PandoraPartyProject
竜過ぎ去りてⅡ
「成程、リヴァイアサンよりも『小物』ではありましたが竜が現れたとの事です。
まあ、我等と共に滅海竜を封じた彼らであれば大きな問題も無かったでしょう!」
「そう言いながら落ち着き無く執務室内を歩き回っていたのは何処の貴族だったかの?」
イザベラ・パニ・アイス(p3n000046)の発言に息を詰まらせてから「カヌレ!」と妹の名を叫んだソルベ・ジェラート・コンテュール(p3n000075)。
名を叫ばれた妹、カヌレ・ジェラート・コンテュール(p3n000127)は「あら」と穏やかに微笑んだ。
「何かあったならば海向こうの彼らにも救援を頼もうと考えていらしたお兄様の落ち着きの無さ……。
わたくしが伝えなくとも直ぐに女王陛下には届きましたでしょうに!」
「コホンッ――その海向こうの友人達からの書状をお持ちしましたよ」
ソルベが差し出したのは遥か大海を隔てた向こう側に存在するカムイグラよりの書状であった。
彼らにとっては祖国の窮地を救った友人である『神使』の都が窮地に襲われていたのだ。救援は惜しまぬとの返答が訪れたのだ。
霞帝などは張り切って中務卿や陰陽頭を視察に赴かせる提案までも海洋王国へと齎していた。
「しかし、竜は一度は退いた――と」
「ええ。ですので復興の手を貸してはくれないかと声はかけております」
何かがあれば直ぐにでも協力は惜しまない。それが海洋王国と豊穣のあり方だ。
「彼らはわたくしたちのヒーローですものね」
少しは落ち着いてグラオ・クローネを過ごしてくれれば嬉しいと呟いたカヌレにソルベとイザベラは珍しく同意したように頷いたのだった。
「遊びに着たわ! って、あれ? どうしてそんなに微妙な顔をするの?」
『亜竜姫』珱・琉珂(p3n000246)の顔を見て面倒ごとがやってきたと言いたげな『赤犬』ディルク・レイス・エッフェンベルグ(p3n000071)が「いや?」と首を振る。
ディルクにとって琉珂は正確な『情報』は得ては居なかったが旅人ではない何かである認識であった。
それが自身らが『手酷い目』にあった覇竜領域の住民であったのは予測していなかったわけではないが驚きだ。
「ディルク達に相談があってきたのに。詰まんない顔しないで?」
「……相談なんざ、面倒ごと以外にあるかよ」
「ないかも」
にんまりと笑った琉珂に『凶頭』ハウザー・ヤーク(p3n000093)は「竜をヤんのか!?」と戦意を滾らせる。
「違うの。ローレットの皆に聞いたら練達の竜の襲撃は混沌中に広まってるって聞いたの。
それから、その撃退した竜がラサや領域(くに)を越えていった事も」
「ええ。竜の向かった先が深緑ではないかとも言われていますね」
イルナス・フィンナ(p3n000169)が困り顔で言う。頷いた琉珂は「それって、困った情報よね」と重ねた。
「だって、深緑に本島に向かったならば救援は多くは見込めないわ。
アナタ達とローレットしかない。あの国は閉鎖的なんでしょう?」
「そうですね。彼女たちは他の国の救援は認めてはくれないでしょう。
故に、早期に確認をしておくべきかと書状を商会の者に持たせました」
ファレン・アル・パレスト(p3n000188)にフィオナ・イル・パレスト(p3n000189)は「でもまだ帰ってきていないっすよねえ」と重ねた。
書状を持った使者が深緑の実質的指導者であるリュミエ・フル・フォーレの許にたどり着いてくれさえすれば話は早い。
竜に対する対応を早期に詰め、防備を固めて被害を最低限に抑える算段を立てるのだ。
彼女たちはラサにとっては良き隣人だ。その信頼関係に皹を入れることは『二度と』は許されまい。
「その使者ってどれくらいで戻ってくる?」
「おそらくは数日以内かと」
ファレンが計算をするように指先をとんとんと叩く様子を眺めながらフィオナはふと、呟いた。
「そういや、数日もすればグラオクローネっすね」
出来ればあの尊いイベントの日位、平穏で居てくれると嬉しいと。乙女は嘆息しながらも呟いたのだった。
これまでの覇竜|アドラステイア
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