PandoraPartyProject

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フリアノンの返答

 亜竜集落フリアノン――その周辺に点在とする亜竜種達の住居は比較的平穏に人間が過ごせる環境を有している。
 幾らか冒険気分で踏み出せばイレギュラーズと言えども痛い目に遭うのは当たり前のことではあるが、此度は客人として迎え入れられたこともあり外に出ることを亜竜種達は封じていた。
 言葉にはしなかったであろうが、それぞれの集落がイレギュラーズの出方を見ていたのは確かである。
 フリアノンでは彼らの存在の在り方を。ペイトでは強者とされたイレギュラーズの実力を。ウェスタでは文化への在り方の姿勢を。
「元気の良い挨拶を貰って嬉しかったわ。オトモダチになろうと沢山の声を貰ったもの」
「ペイトでも模擬戦をしてくれる人たちが幾人も居ました」
「ウェスタだと食事の準備をしてくれる者達が多く……行商団にまで恵まれましたからね」
 里長や里の亜竜種達が口々に告げる感想はどれも良い物ばかりだ。
「予想外に、ミンナ、好感を覚えているのね?」
 フリアノンの里長である琉珂の言葉に亜竜種達は頷いた。
「それより、琉珂、少し――」
 何処か途惑ったように声を掛けたのは美華と名乗る亜竜種の少女であった。
「どうしたの? 美華」
「静李が、祭壇が何だか可笑しいって」
 静李は亜竜集落ウェスタの少女だ。彼女が地底湖の中で薄らと光る祭壇を見たのはイレギュラーズの帰還後だったらしい。
「ねえ、ペイトの祭壇も光ったりしてない?」
 琉珂な何事かを思い出したように問いかける。ペイトの里長は「どうでしょう」と首を捻った。
「フリアノンはね光ったの。だから、これは良い機会よ。外に出たい子達には屹度素敵な知らせになる。
 それも含めて、私達は彼らと交流することを続けていきましょう? 助けになってくれると言った子も、友達になると言ってくれた子も。
 彼らの『可能性』が私達に新しい未来を与えてくれる可能性があるのだから!」
 それぞれの里長が集まる場で琉珂は『予想以上に良い返事を貰えた』と心躍らせラサへと連絡を寄越したのだ。

 ――覇竜領域で、ちょっとした雑用とか手伝って欲しい。その為にローレットへの仕事の斡旋を願いたい。

「……との、事なので今依頼書を纏めてる、から」
 慌てた様子でそう言葉を紡いだのはイヴ・ファルベ(p3n000206)であった。覇竜領域へは自由に行き来しても構わないと琉珂から言伝られている。
 外での探索も自由に行ってくれて構わない、との言葉は実力を認めた以上は何があっても自己責任で動くようにと言うお達しだ。
「覇竜領域の、亜竜集落周辺は、其れなりに安全らしい。
 だから、出てくるのも亜竜とか、小型のモンスターが多いって。竜種と逢うことは無いから安心してほしい、って」
 先ずは肩慣らしから。それから覇竜領域に慣れていって欲しいと言うことなのだろう。
「琉珂もまたお願いしたいことが出来るはずだから、って」
 暫くは里の亜竜種達と自由に交友を行って欲しいと言う。どうやら琉珂は何らかの準備に奔走しているようだ。
 その準備が整った後に、とびきりの『プレゼント』をしたいと張り切っているらしい。
「……何となく、分かる気がするプレゼントだけど」
 それは、精霊種が『結ばれた』様な、秘宝種が『認められた』様な、鬼人種が『繋がった』様な。奇跡の気配をさせていて。
「少しだけ、待ってみようか。その間に、頑張って、依頼書を纏めるね」

 ※<竜骨を辿って>亜竜集落フリアノンの報告書が届きました――!
 ※覇竜領域デザストルの世界観が更新されました!

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