PandoraPartyProject

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ニイタカウミコエテ

 砂嵐で戦乱勃発――終焉の獣が蹂躙している――

 その噂は……いや、それはもう噂ではなく明確な情報として既に世界各地を巡りつつあった。元々国家の上層にある者達は、ある程度の差はあれ素早く事態を把握しており援軍の態勢を整えていた訳だが……時此処に至り、砂嵐から遠く離れた市井にも遂に広がり始めていたのである。
 人々の中には、よもやこれがバグによる世界レベルの干渉であるとは知らず――或いは所詮遠い国の出来事であると――楽観視する者もいなかった訳ではないが。
 しかし航海では連日に渡り慌ただしい様子が続いていた。それは。
「早く! 動かせる船はどんどん動かしてください!!
 今この時しかないんです! 後になって後悔しても遅いんですよ!!」
 コンテュール家の当主たるソルベが活発に行動していた所も大きいだろう。
 豊穣より早期に手紙を受け取っていた彼は、この事態に元より積極的であった。そして終焉獣ベヒーモスが実際に現れ、砂嵐の地を跋扈し、伝承の先遣隊すら壊滅しているという報告を受け取って以降はより艦隊による支援を厚くする事に奔走していたのである。
 そしてその内の戦力の一角が。
「――ソルベ殿。これより砂嵐方面へと出撃します」
 R.O.Oのヨタカ・アストラルノヴァだ。
 航海の軍人一族であるアストラルノヴァ家末男である彼は出撃準備を整え、遥か彼方の騒乱に対する戦略をその脳裏に描きつつあった。既に『海賊提督』の異名を持つ国家の主軸とも言える男が援軍に向かっているとはいえ――それでも尚にまだ足りぬ、と。
「おお、ヨタカさん頼みます! 戦場は混迷としている様です……
 戦力を少しでも送り届ける必要がありますからね。全力を注がねば!」
「ソルベ様! 第二十一、第二十二艦隊まで編成完了しました! 俺も向かいます!!」
「宜しい。武運を祈ります――それと、必ず生きて帰ってきてくださいね。誰も彼も、戦死の報を受け取る時間の予定なんて組んでいませんからね!」
 更にヨタカに続いてカイト・シャルラハもソルベに敬礼を一つ。
 コンテュール家の側近として仕える彼もまた軍人の一人――
 彼の号令あらばどこまでも往こう。
 知らぬ地の果てであろうとも。航海の民に超えられぬ大海があろうか!

 ――航海首都リッツパーク軍港拠点ダルハ・マバラより出撃する船の数は最早数えられぬ。

 それら全て行く末は砂嵐、或いは伝承の国境付近へと。
 後の事など知った事か。今この時を制さねばその『後』がないのだと!
「あら……ずーと騒がしいわね。
 やっぱり砂嵐の方で戦争が起きてる、って噂は本当なのかしらぁ」
 その様子。港の付近では見送る民にも溢れていた。
 その内の一人が――アリア・スピッツだ。
 緩やかに頬をなぞる風に、帽子が飛ばされぬように抑えながら幾つもの船が出る様を眺めている。周囲には彼女のみならず多くの者も詰めかけていた――それは見送りの為の家族などだろうか? 海往く船へ見うる様にと、航海の旗を振っている者もいる程だ。遠くを見据える様に目を細めれば、船の方からも帽子を振って応答している様子が見て取れる。
 この先。水平線の果てで激しい戦が起こっていると、耳にはしているが。
 誰も彼もが戦いに赴けるわけでもない。
 そうした者達はこうして、彼らの無事を祈る事に努めている者も――いる。
 『この世界』のアーリア……
 いや、アリアは大学に通う只の一人の娘(留年回数は内緒!)であれば尚更に。
「……大丈夫、よねぇ。きっと」
 彼女は見上げる。晴れやかなる空を。
 きっとこのすがすがしいまでの日がずっと続くのだろうと信じている。
 刹那。船を送り出すような、強い追い風が――アリアの後方から海の方へと。

「行くぞ――! 帆を張れ――ッ!!」

 誰かの声が響き渡る。風に乗り、さぁ行こう。
 彼方の地へ。
 全てを覆わんとしている闇を――祓う為に。

 ※――ネクストの砂嵐で終焉獣ベヒーモスが進撃を続けています。
 ※――R.O.O Ver.4.0 『ダブルフォルト・エンバーミング 』を直ちに攻略開始して下さい。

これまでの再現性東京 / R.O.O

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