PandoraPartyProject

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ダークネアンデルタールガール

 要塞都市メリカナ。
 鋼鉄帝国首都スチール・グラードの北部に位置し、はるか昔は北に存在した大国への防衛を目的として建設されたその都市には、気が遠くなるほど長く続く壁と等間隔に設置された砲台があり、更には壁に至るまでには急な斜面を駆け上らねばならないという都合から無敵の要塞とされ、長らく誰も攻め込んでくることはなかった。
 時折亜人モンスターが飢えを凌ぐためにか少数で攻め込もうとすることはあれど、ごく僅かな兵でこれを追い払うことができる。
 そのためあらゆる敵対勢力が、そして鋼鉄帝国自身ですら、この要塞を越えることのできないただの壁として扱っていた。
 扱っていた。そう、今日までは。
「『フ、脆い……』」
 まるで砂の城のごとく崩れ去っていく壁と砲塔。地面に転がる兵たちの中に、動いているものはいない。
 その風景を背に歩く、一人の少女。
 禍々しいオーラを放ち、常人では引きずることすら困難であろう巨大な石斧を片手で軽々と持った少女である。
「『ピエロの命令でもなければ、我が出張るまでも無かったな』」
 少女の表情や口調は、その顔には似つかわしくない、厳めしい男のようなそれであった。
 だがそれがパッと少女相応のものへと変わった。
「いいじゃんデルさん、おかげでこっちも楽できたんだしさ。見てよ皆も喜んでる」
 ぴたりと足を止める。
 銃を向け、列を組む兵達が彼女をにらみ付けた。
 少女が言う『皆』とは、彼らのこと……ではない。
 彼女の後ろから、城壁が破壊されるのを待っていたノーザンキングス連合軍の兵達が一斉に要塞内へと流れ込み、必死に抵抗しようとする兵達を次々に殺していく。
 『天国篇第一天 月天の徒』長谷部 朋子によって文字通り切り拓かれた要塞は、そう長くたたずに陥落するだろう。

 ディアナによるシャドーレギオン作戦が遂行されるその傍らで、朋子は着々と『追撃』のための計画を進行させていた。
 といっても朋子は細かく深く考えるのが苦手だ。そういうコトが得意そうなヤツを見つけて闇へと引きずり混み、彼に計画を練らせた。
 それが、『ザーバインパクト』の裏で暗躍していたカイトもとい『プロモーター』である。
 計画は思いのほかうまく転がり、ザーバの反転のみならずノーザンキングスの一斉蜂起やその他複数のネームドを『こちら側』へ引き込むことが出来た。
 惜しむらくはディアナが負け鋼鉄から撤退してしまったことだが……。
「まっ、今からでも挽回できるよね! なにせこっちは二大勢力でドンだから!」  血が吹き上がる風景を見つめていると、てくてくと棘パットをつけた鳥が横へ歩いてきた。
 その首元をわしわし撫でながら、朋子は目を細めた。
 多くの『パラディーゾ』たちは翡翠国で派手なパーティーを開いているらしい。
 その間に、こっちはこっちで鋼鉄帝国でバーベキューパーティーだ。
「もうすぐこの国がぶっ壊れるよ。ピエロさんも喜んでくれるかね?
 楽しみだなあ。なっ、ダークネス・ゲートリ!」


 ――【警告】:システムに改ざんの形跡がありました
 ――【警告】:フルメタルバトルロア・ザーバクライシスに『パラディーゾ月天:朋子』が介入しています!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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