PandoraPartyProject

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<Closed Emerald>

 ――練達の、R.O.Oを観測しているモニターの一つが妙な反応を見せていた。
 ノイズが走る。ノイズが走る。ノイズが走る――
 暗転。そして聞こえてくるは――時計の音。
 チク・タク・チク・タク。
 時計の針が進む。見た目だけのアナログ時計が目の前で進む。
「ん~~~ふふふ~~~んふふの~ふ~~~
 さぁ来ましたよ皆さん! はいッおはようございます!!
 今日も元気にラジオ体操していきま――え、そういうのいい? あ、はい」
 直後、画面一杯に顔面を寄せてきたのは『ピエロ』なる人物。
 それは先日『アリス』と名乗るジェーン・ドゥと共に目撃されたNPCだ。
 ――ただし『バグ側の』という注釈が付くが。

「さ、ってと……じゃ、行きましょうかね。パラディーゾのみなさ~ん!

 そして。彼が仰々しいマイクを使って呼びかけるのは――パラディーゾ。
 先日アリスとピエロらとのゲイムで明かされた存在である。
 一言で言えば――ログアウト・ロックした時にバグNPC達がその存在に介入したのだ。そして精巧……かは知らぬが、ともあれアリス曰く『トランプ兵』として彼らはこの世界に誕生した。
 ――そしてその者達が翡翠の中に紛れ込んでいる。
 国境を封鎖せんとしている、渦中の国へ……
「えーという訳でですね皆さん! 本日アタクシ達が訪れましたのは、えーなんとカビ臭い翡翠でございまーす! いえーい! ほら拍手拍手!! ハイ、三・三・七拍子! ――あ、見えます? ほらアレがかの有名な大樹ファルカウですよ、うっふん!」
 紡ぎ、ピエロが指さした先にあるのは――確かに、ファルカウだ。
 世界最大の大樹であるアレは遠くからでも見れば分かる。
 確かに、確かに彼らは今翡翠にいる。ならば。
「じゃ、ここからは皆さんじゅー行動です!
 バシバシあちこちでこの国を玩具に遊んであげましょーね!!」
 ならば彼らの次の目的は――この国か!
 慌てて練達の研究員が翡翠のモニタリングを始めれば……そこには一つの文字が浮かんでいた。

 緊急クエスト『<Closed Emerald>』を開始します――

 停止していたサクラメントの内、解放されているモノがある!
 すぐにローレットに連絡を――R.O.Oにログインしている者達にも――!
 騒がしくなる研究室。
 その後ろ。モニターの中でピエロは一人でおどけていた。どこまでも、どこまでも。
「さぁさ。現実のみなすわぁ~ん? 是非、わったし達と遊びましょーね♪」

 チク・タク・チク・タク。ルンルンルン♪
 チク・タク・チク・タク。ルンルンルン!

 ※――翡翠各地にバグNPC達が大量に出現しています!!
 ※緊急クエスト『<Closed Emerald>』が始まりました!!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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