PandoraPartyProject
Emerald Countdown
翡翠――現実世界における深緑に相当する国家は、国境を封鎖せんとしていた。
それは翡翠における自然が『余所者』に荒らされているが故である。
……神話的大樹ファルカウを中心に栄えた幻想種勢力の翡翠は自然を友とし、『小枝を折られたら腕の一本は覚悟しろ』という例え話が出る程に過激な性質を持つ国家でもある――元々の排他性も伴って『過剰防衛』を行う彼らは余所者に厳しい。
しかし昨今の自然荒らしは最早個人がどうのこうのというレベルではなかった。
「あーよっこいせーのどっこいしょッ――!!」
夜。月明りもない薄暗い日の迷宮森林にて――巨大な音が響き渡った。
それは木がへし折れる様な音。いや『様な』ではなく正に『その通り』か。
悲鳴を挙げる。幹の、細胞とも言える繊維の一つ一つが。
――衝撃音。
地に倒れ伏したは迷宮森林に在る木の中でも大きな――そう『大樹』とも言える木だった。
根元には何か大きな圧でも加わったのか、無残なる傷跡が致命傷として残っている。
「ふぅ~~~なーんでボクちゃんがこんな重労働しなくちゃいけないんですかね?
あの中二病お姫様みたいにこう、ぱぱぱーっ! とやれないんですかねホントもう~!
家帰ってバタピー食べたいんですけどぉ!?」
「はっはっは、ピエロ君これぐらい頑張りなよ。それとも私の手も必要かい?」
「アンタ手がないじゃないですか。どこなんですか手って!! ここぉ!? ここぉ!?」
「セクハラだよピエロ君!!」
あイタァ――!! という声となんかのビンタ音が周囲に響く――
倒れ伏した大樹の根本付近にはいくつかの影があった。
一つは頬を押さえてオーバーリアクション気味に痛がっているピエロの様な男。
もう一つは――あれは――何か植物の様な姿をした存在――?
「は~……とりあえずさっさ逃げましょうかねぇ。
ここにいつまでもいたら『大樹の嘆き』がすーぐ顔を出してきますよ」
瞬間。後頭部を掻きながら起き上がるピエロはスキップする様な足取りと共にその場から逃走。次いでピエロと話していた植物もまたそれに付いていくように……
彼らの態度はともかく――『大樹の嘆き』
今しがたピエロが紡いだその言葉こそが、先述の『自然荒らし』の問題であった。
それは永き時を生き、神秘性を宿した大樹が何かしらの危機に陥った際に放出する防衛機構の様な存在。周辺全てを更地にせんとする、精霊の様な魔物の様な……それが最近、翡翠各地で確認されるようになったのだ。
当然そんなものが発生すれば周辺の被害はとんでもない事になる。
一件や二件ならまだしも複数に渡って発生すれば……
そして翡翠の民は自然を友とする者達だ。ならば、自然を害すならば余所者――
そう考えて翡翠は鎖国政策を実行しようとしている真っ最中な訳である。
「んふふ~のふ~~~『それ』が目的だとも気付かずにゴクローサンって訳ですよぉ。まぁ余所者が原因てのはあながち間違いじゃないって言うか……その通りなんですけどねぇ!」
「誰に話してるんだいピエロ君?」
ひみつ! そう叫ぶピエロ――は置いといて。
彼の言う通り『余所者が自然を害している』事は間違いではなかった。
ピエロや、或いは――今彼の隣に居る様な『存在』達が影で動いていたのだから。
大樹を物理的に傷つけ、その命に危機を齎し。
後は――何もかもを放置してその場から逃走する。
そうすれば『大樹の嘆き』は勝手に暴れてくれるのだから。
「いいですかぁ? もうすぐですよぉ?
翡翠が国境を封鎖したら私も始めちゃいますからね――イッベントを!!」
高笑うピエロ――の背後。
先程へし折った大樹があるであろう場所から……また大きな音が響き始めた。
それは彼らの目論見通り『大樹の嘆き』が生じたが故だろうか。
迷宮森林警備隊がどうにかするか、イレギュラーズが介入するか、それとも全て更地にするまで止まらぬか……知らぬ知らぬどれでもよい。ピエロはその結末にはきょ~みがございません!! あ、いやどれかというと邪魔されず徹底的に更地にしてくれるのが一番いいけど。
――重要なのはこの後のステージなのだからと。
「はい! そんな訳でね、■■■■■■の皆さんにも出番がある予定ですからねぇ。お披露目ですよ、おっひろめ! 待望のカーテン・オープン! じゃ! その時に向けてがんばっていきまっしょい! MVPには私からバタピープレゼントッしますからね!!」
「いらなくない、それ?」
常にふざけた言動を繰り返すピエロ。一体どこの誰に喋っているというのか――
しかし、鎖国政策を進めているこの国が完全なる封鎖を行うのは確かにそう遠くはない事だろう。
影で蠢く『異常』の蜂起――
それは思ったよりも間近に迫っているのかもしれなかった。
※翡翠の方で暗躍している者がいるようです……
これまでの再現性東京 / R.O.O
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