PandoraPartyProject

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ヴィーグリーズ会戦・終結

 ヴィーグリーズ丘を、斜陽が赤々と染めている。
 今も尚、戦場で流れ続ける血のようにも見えた。

「――勝ったな」
 レイガルテ・フォン・フィッツバルディ(p3n000091)公爵は、眉一つ動かすことなく呟いた。
「ハッ!」
 側に従う黄金騎士ザーズウォルカが応じる。一際豪奢な天幕に続々と上がる報告は、いずれも小戦域の快勝と、それから決戦区域の激戦を告げる物だった。
「閣下、馬車の手配が済んでおります。このままビルレストへ本陣を移し戦勝報告を受けるがよろしいかと」
 フィッツバルディ派の貴族クロード・グラスゴルへ、レイガルテは鷹揚に手を振る。

 戦自体は丘中部における主戦場の決着、それからローディス・ド・バランツの軍勢討伐を以て、大きな転換点を迎えていた。残る二区域へ向けて、大規模な増援が動き始めたのである。
 戦場となったビルレストの街もまた、敵軍は指揮系統損失によって完全に瓦解していた。

 ――勇者達が、逆賊ベルナール・フォン・ミーミルンドを討ち取りました!

 ――勇者達が、巨人の軍勢を圧倒! フレイスネフィラなる怪物を討ち取りました!

 夕陽がすっかり山の向こうへ沈みきった頃、ようやく全ての戦勝報告が飛び交い始めている。
「幻想王国の兵士諸君! 我等の勝利だ!」
 高らかに戦勝旗を掲げるヨハン=レーム(p3p001117)の心境は、出身柄か少し複雑なものだった。
(これで、良いんでしょうかね)
「って、ちょっ! ちょっと!」
 群がる兵士達がヨハンを担ぎ上げ、何度も空へと放り出す。
「勇者! 万歳! ヨハン! 万歳!!」
「我が名はウェール=ナイトボート!」
 馬を走らせるウェール=ナイトボート(p3p000561)も叫んだ。
「伝えよ! 幻想王国軍の勝利である!」
 轟く声と共に、喝采のうねりが丘を満たし始めた。

 力なく拳を振り上げる兵士の一人を、アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)が天幕の中で寝かしつけると、その傍らには勇者筆頭――シラス(p3p004421)の姿もあった。
(俺は――)
 何者かになれたのか。何者かになれるのか。
 まだだ。
 これだけじゃ、終わらない。硬い決意がその瞳に炎を宿す。
 鋭い眼差しは黄金双竜の瞳にも似て――アレクシアはその背をそっと撫でた。

「空想の刃、神を斬る――か」
 源 頼々(p3p008328)が岩へ腰掛け夜空を見上げた。
「アハハッ! 全部壊してあげたわ!」
 両腕を大きく広げて、ナナ(p3p009497)が笑う。
 勇者なんて柄でもないと肩をすくめるルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)の背を、ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)がぽんと叩いて労った。
「――やっとっスね。さすがにくたびれたっす」
「ようやく……これで終わりだねぇ。さあ戻ろうか。ねえ、小鳥。ヒヒ!」
 どこか呆然と呟いた佐藤 美咲(p3p009818)の後ろで、武器商人(p3p001107)は踵を返す。
 やることはやったのだ。霧裂 魁真(p3p008124)もまた、さっさとずらかろうと姿を消した。
 ワルツ・アストリア(p3p000042)のaPhoneに『ヤバい戦い、生きてます?』と。そんな通信に気付くのは明日の話なれど。
「ま、後は貰うもん貰うだけ」
 コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)は口笛一つ。

 ――勝利! 勝利だ!

 戦勝のうねりは、あちこちの陣へなだれて行く。
「大きな戦いは初めてだったっすからね~。勝てて良かったっす」
「……精一杯を、やりました」
 ほっと胸をなで下ろすのは暁 無黒(p3p009772)と天閖 紫紡(p3p009821)の姿。
「なんだかクローディスも、確かに可哀想だった気もする」
 皿倉 咲良(p3p009816)もまた、ぽつりと零す。
「……」
 アクア・フィーリス(p3p006784)は溜息一つ、バッシュフルへの同情を振り切った。
 思わず視線があったリンディス=クァドラータ(p3p007979)エルス・ティーネ(p3p007325)シルキィ(p3p008115)ニア・ルヴァリエ(p3p004394)は、ふいにリュシアンの事を思い出す。
「まっ、ざっとこんなもんでしょ」
 からからと述べたゼファー(p3p007625)は、仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)とすずな(p3p005307)に微笑みかけ、白薊 小夜(p3p006668)の手を引いたフィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウ(p3p006734)に片目を瞑って手を振った。けれど――
(貴方達みたいに甘ちゃんで……でも、優しい奴がもっといたなら良かったのに)
 それだけは胸の内をひっかいて止まない。

 そも、事件の発端は――
「……謀殺を事故とする、貴族の闇」
 黒影 鬼灯(p3p007949)の言葉通り、この国の暗部であった。
「国を割るなんて、本当に愚かなこと」
 ルチア・アフラニア(p3p006865)の言は正鵠を射る。
「同じように翻弄したことも、許せない」
 未だ覚めやらぬタイム(p3p007854)の表情も硬い。
「醜い、この国は」
「世の中腐った大人ばかりですよねー」
 レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)の呟きに、ジェイク・夜乃(p3p001103)は何も言わずにすいと瞳を細め、しにゃこ(p3p008456)もまた夜空を見上げる。
「厄介なもんだ。本当にな」
 この国はグレン・ロジャース(p3p005709)達のホームなれど。
「魔王――か」
「せめて、良い夢を」
 グレイシア=オルトバーン(p3p000111)、ルアナ・テルフォード(p3p000291)の言葉が風へ溶ける。
「見届けたよ、全部。ね、アリア」
「うん」
 シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)とアリア・テリア(p3p007129)は静かに頷き合い、咲花・百合子(p3p001385)は何も述べずに、楚々と腕を組んだ。
「ええ。ですから。今は、せめて祈りだけでも」
 ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)は膝をつき手を組んだ。「そうだね、ヴァリューシャ」と告げたマリア・レイシス(p3p006685)の声音は、いつものものとはまるで違っていた。

 ――天幕の回りに居る兵士達が各地でたき火を始めていた。
 そろそろ夕食の時間である。
「あー、マジ。無理。今は飯しか勝たんわ」
 伊達 千尋(p3p007569)が仰向けに倒れ込み、大の字を描いた。
「さすがになあ」
 長谷部 朋子(p3p008321)も座り込む。
「それじゃおばさんも、腕を振るっちゃうわよー」
「ぶはははっ! だったら任せときな。人生は、飯が美味けりゃ――大体よし!」
「もちろん、お手伝いしますの」
 嶺渡・蘇芳(p3p000520)の宣言にゴリョウ・クートン(p3p002081)が頷き、ノリア・ソーリア(p3p000062)もすいすいとついて行く。
「アンジェロくんも、お腹空いたんじゃない?」
「アーリアお姉ちゃんこそ、飲み過ぎないでね」
 突然釘を刺されたアーリア・スピリッツ(p3p004400)は曖昧な笑みを浮かべ
「リルも、無理はしないで」
「大丈夫です。私だって手伝えますから」
 シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)の心配を他所に、リルはテキパキと支度の手伝いを始めた。
 ニャー(p3p003147)はただの猫さんだけど、貸せる手もあるかもしれない。

 各軍は各々ビルレストへ帰還し、あるいは各拠点の天幕で負傷者の治療にあたっていた。
「まあ、それなりに愛着はある国だ」
「しっかし、人使いが荒いったらないぜ」
 亘理 義弘(p3p000398)とグドルフ・ボイデル(p3p000694)が、たたき割った木材を火にくべる。
「腹が減っては戦はできんが、ふん。終わった所で腹はへるもんだわい。飯と酒じゃ!」
「酒だったら、とっておきがあるんだ」
 ゲンリー(p3p001310)の演説と伏見 行人(p3p000858)の言葉に兵達は喝采する。
「やっとご飯ウサね」
「それは興味があるね」
 望春 ばに(p3p009739)にロロン・ラプス(p3p007992)が応え――
「みんなご飯の時間よー! って、兵隊さん達の、その目は何なの!?」
 何よりの朗報に、トリーネ=セイントバード(p3p000957)が飛び回る。
「けど、これは終わりじゃないよ。あたし達が、繋いで行くからさ」
「そうだな。未来ってのは生者のもんだ」
 バスティス・ナイア(p3p008666)の言葉に頷き、ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)がギターを一つかき鳴らす。ならばと津久見・弥恵(p3p005208)も立ち上がり、優美な舞いの最後に布がほどけてしまったのはお約束。こんな夜にも、娯楽と潤いは必要だ。
 勇者達によるたっぷりの夕食と少々の酒、娯楽の提供は、兵士達の腹も心も大いに満たした事だろう。
 あとはデザートでもあれば良いが――おや。
「だからって、こっち見るのやめてもらえます?」
 ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)が、にじり寄る兵士達を警戒しながら――
「あヨイ、ホホイ! っと。勝利の宴、良きものぞ」
 一条 夢心地(p3p008344)の舞いに、兵達が拍手を送る。
 ――夜は更けていった。

 一人空を見上げるレジーナ・カームバンクル(p3p000665)と、豪奢な馬車でビルレストへ向かうリーゼロッテ・アーベントロート(p3n000039)は、奇しくも同じ月を眺めていた。
 そういえばなんか、サラっとすごい事言ってた冬越 弾正(p3p007105)とアーマデル・アル・アマル(p3p008599)は無事だろうか。さておき。
 兵士達は天幕で寝息を立て始めている。
 そんな深夜になっても、勇者達の働きは休まる所を知らない。
「いたいのいたいのとんでいけですにゃ!」
「レーさんも皆を回復するっきゅ!」
「メーコにお任せくださいめぇ!」
「マナも治すよ! マナはいつだって元気なんだから!」
 小鳥遊・鈴音(p3p005114)も、レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)にメーコ・メープル(p3p008206)、それからマナ(p3p009566)も、負傷者の手当を仲間達と交代しながら続けていた。
「それじゃ、ボクもお手伝いしなくては、だよねえ」
 そろそろ食事や休息が必要な者も居るから。
「ボクも力添えを」
 鳶島 津々流(p3p000141)に頷いたアイラ・ディアグレイス(p3p006523)が仲間達を案内する。
「まだまだ行けます!」
「全力でいきましょうっ!」
 ユーリエ・シュトラール(p3p001160)とセリカ=O=ブランフォール(p3p001548)が頷き合い。
「はい、すぐに治します」
「アリスも……もう少しだけ……がんばる……ね……」
 ノルン・アレスト(p3p008817)とアリス・アド・アイトエム(p3p009742)が救護の天幕へ足を運んだ。
「こっちは大丈夫だよ。みんな無事だ」
「会長がいる限り、全員癒やしきるからね!」
 負傷者の点呼を追えたヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が頷き、楊枝 茄子子(p3p008356)が元気いっぱいに駆け回る。
「うぃーんうぃーん」
 天幕ではアルヤン 不連続面(p3p009220)が稼働を続け「あはは」とフォウリー(p3p009811)が笑った。
「兵達に、良き明日がくれば良い」
 一通りの仕事を終えたナハトラーベ(p3p001615)がぽつりと零す。

「こっちはOK」
 ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)とひじを打ち合うイーリン・ジョーンズ(p3p000854)が振り返る。
「これから負傷者の救助にあたるわ。動けるのは何人?」
「お供します」
「お任せあれですわ!」
「私の力も、まだまだお役に立てるのだわ」
 ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)にフィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)、華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)をはじめ、『伝説』の大軍勢――騎兵隊が頷いた。
「私は太陽の翼、ハイペリオン。大地の子を守るため、再び羽ばたきましょう」
「うん、行こう」
「ならばならば! ジェック様と、お供させて頂きますわ~!」
 ジェック・アーロン(p3p004755)と御天道・タント(p3p006204)も駆けつける。
「いいよなー、だってもふもふなんだぜ」
「わっふー!! まだまだ頑張るよ!」
「ハイペリオニウムが、足りなくて! スゥー!」
 カイト・シャルラハ(p3p000684)とミスト(p3p007442)、澄恋(p3p009412)もはせ参じ、ハイペリオンと共に陣を立ち夜の大空へ、太陽を届けに。
「……ゆるいなー」
 けれど――悪くない。破滅に抗う同志を見送ったR.R.(p3p000021)も自身の仕事に戻る。
「それじゃ、こっちは馬車を走らせよう。いけるかい?」
「ああ、そうだな」
 時任 零時(p3p007579)とゲオルグ=レオンハート(p3p001983)が馬車に乗り込んだ。
「我等黒狼も向かうとしよう」
「ええ」
「ならばこの私に任せよ。だろう?」
 ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)とリースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)、ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)の名も、空がすっかり白ずむまで兵士達の間に轟き続けていた。

 幻想王国レガド・イルシオンが誇る勇者の軍勢――
 イレギュラーズ達の夜が明けようとしていた。
「この夜明けを、しかと見届けましょう」
 ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)の頬を、陽光が染め上げる。
「責務を果たすよ、これからも」
 リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)は、太古の遠縁が述べた最後の言葉を思い出す。
「――朝か」
「本当にお疲れ様」
 クロバ・フユツキ(p3p000145)にアルテナ・フォルテ(p3n000007)が応えた。
「これも始まりなのだと、きっと」
「終わらせて良い話も、あるけど」
  シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)に、アルテミア・フィルティス(p3p001981)が肩をすくめてみせる。
「これからも、きっと――ずっとこんな戦いを」
「そうなんだろうさ」
「連鎖は、断ち切った。だからね」
 メルナ(p3p002292)にプラック・クラケーン(p3p006804)が応え、ミルヴィ=カーソン(p3p005047)が締めくくる。
「シュクショウカイ、きっとあるよね!」
「うん。たっぷり寝てからね」
 イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)へアルテナが応えた。
「失われた多くを、忘れません。ギストールの街も、古代の戦士達も」
「フリック 弔ウ 行ク」
「ワシも今は、せめて冥福を祈ろう……」
 マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)の言葉に、『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)とオウェード=ランドマスター(p3p009184)が頷いた。

 ビルレストの街には、参戦した貴族、騎士、兵士達が詰めかけていた。
「クロード様、こちらへ」
 リーモライザ家が長クロードへヲルト・アドバライト(p3p008506)が道を空ける。
「勇者なのだ。今はせめて、羽を休めたまえ」
 市街にはイレギュラーズの姿も多い。

 中心部の商人ギルドを間借りし、そのバルコニーに立つ幻想国王フォルデルマン(p3n000089)三世へ向けて、朝の広間に集まる全ての視線が集中していた。
 その言葉を、今か、今かと、待ちながら。

 ――これをもち、ヴィーグリーズ会戦の勝利を宣言する!

 両腕を広げてそう言った瞬間、歓声が街中を包み込んだ。

 ――この勝利は、勇者達と我等幻想王国のものである!

 フォルデルマンが、セララ(p3p000273)の腕をとり、大空へと伸ばした。
 喝采は一層甲高く響き、割れんばかりの振動に包まれた二人はバルコニーを後にする。
「フォルデルマン、教えてよ」
 壁の向こうの喝采に背を預け、ふいに悲痛そうに表情を歪めたフォルデルマンへセララは問うた。
「そう、だな……聞いてくれまいか、昔話を……」

 静かに語り終えた後、震える青年の肩をセララはそっと抱きしめた。

 ――ボクはこの人と、ずっとずっと友達でいよう。

 そう誓って。


 ベルナール・フォン・ミーミルンドが討ち取られました。
 フレイスネフィラが討伐されました。
 ヴィーグリーズ会戦が終結しました。イレギュラーズの勝利です!

これまでのリーグルの唄(幻想編) / 再現性東京 / R.O.O

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