PandoraPartyProject

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夜景は命で出来ている

夜景は命で出来ている


 世界が広く動乱するなかで、ここ希望ヶ浜はいつまでも平和なままだ。平和と言うのが何を指し示すのかそれは其れ其れ個々により定義は違うだろうが、この場合の平和とは『無差別多数の人間が死に至らしめられない』と言うこととしよう。現にカムイグラでは呪詛なる忌むべき悍ましき『お呪い』が流行し続け、深緑ではまるで御伽噺の如く存在さえ誠かどうか怪しく感じられる妖精郷が冬に閉ざされ春に別れを告げたのだという、そして、希望ヶ浜の『外』では日夜死と隣り合わせの日常が平然と、当たり前の如く、それがないことが可笑しいかと言うかのように過ぎているというのに。
 ここ練達の一角、再現性東京2010希望ヶ浜エリアでは――家々は穏やかに、街灯は整然と、信号機は規則正しく光を放ち、草臥れたサラリーマンが缶チューハイを片手にアスファルトを踏み締める。在り来たりな日常の風景を、『当たり前』の象徴を嚥下して謳歌してモニュメントのように堂々と『平和』の看板を掲げている。
 夜の闇になにが潜むかも知らぬ儘――否、知らぬのではないのだろう。見て見ぬ振りをして居るだけだ。目を塞いで耳を塞いで知りませんとイヤホンで流行曲でも口遊んで世界に埋没していく。
 そんな夜景を、埋没しきった日常を『希望ヶ浜学園校長』無名偲・無意式は高級そうなワインを片手に眺めていた。
「……来たか」
 扉の開く音に、ゆっくりと回る革張りの椅子。無名偲校長はあなたへと振り返ったあなたを見た。
 その眸は普段の通り感情が浮き上がらない。それもそのはずだ、彼は校長。学校の長。そんな人間が易々と感情を吐露してなるものか。
 彼の心中などさておいて、学園で、もしくは学園の周辺施設で生徒や教員といった形で関わるあなたが夜の校長室に呼ばれるのは、大抵が依頼の説明か報酬の受け渡し時だ。
「旧校舎はどうだった。貴重な体験が出来たろう。まあ、一応聞くが、何度も死に続けた経験はあるか。
 まあ、そうそうないだろうな。あの催しを考えた俺も、音呂木も君たちには平和の中の非日常を楽しんで欲しかったんだ。
 まるでジェットコースターにでも乗っている気分だったろう。遊園地は良い。自分から非日常を探して乗り込み、楽しむことが出来るのだから。
 まあ、聴いておこう。勿論、欲しい返事は分かっているだろうが……楽しかったか? ……なら、結構だ」
 ドン、と瓶をデスクに置き、どこか見覚えのある鍵で引き出しのロックを解除した。
「今回の報酬だ。タダで死ぬのは誰だって嫌だろう。ああ……わかる」
 ため息のように、心底重たく彼は言う。取り出した封筒をあなたに手渡し、『ご苦労だった』と極めて機械的に言った。
 機械的――と感じたのが此方の気のせいであるかは分からないが、少なくとも彼は退出を望んでいるようだ。
「以上だ。帰っていい」
 たったそれだけなのだろうか。あれだけの経験をしたというのに。
 ひょうしぬけ。落胆。もしくはもっとクレバーな感情。人によって抱く気持ちは様々だろうが、ここでつっかかる必要もあるまい。
 命辛々、と言うべきかは分からないが『死に続けた』人間に、そして『死に続けた人間の報告書を確認した』人間にとって、校長という存在は良く分からない人間だった。
 希望ヶ浜学園の校長先生ですと立場を堂々と話されようとも、信用ならぬと感じれば信用ならないし、信用できる信頼できると認識したならば信頼することができる。つまり、彼は味方だが、いまいち信用出来ない存在なのだ。
 背を向けて校長室から出ようとした時。
 ふと、校長のスマートホンが古いデュエットソングを奏でたのが聞こえた。
 閉まる扉、その向こうで。

 ――ああ、俺だ。……そうか、『去夢鉄道』がうごいたか。

 ――希望ヶ浜学園オリエンテーションが終了しました!
 ――妖精郷アルヴィオンでの決戦が進行していますです!

 ※サミットの結果、各国に領土が獲得出来るようになりました!
  キャラクターページの右端の『領地』ボタンより、領地ページに移動出来ます!
 →領地システムマニュアル

これまでの妖精郷アルヴィオン

これまでのカムイグラ

再現性東京とは

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