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炎堂 焔のたぢまよしかづによる10人ピンナップクリスマス2023

イラストSS

「焔ァ!」
「ち、違うよ! ボクのせいじゃないよ! ボクもこんな格好するなんて知らなかったんだよ!」
 ――再現性東京に秋奈の絶叫(控えめ)が響き渡る。焔の「こんなはずじゃなかった」、はもう何度目になることだろう?
 最早信頼性が整理株手前まで暴落したその言葉をよそに、集められた美女十名。シャイネン・ナハトらしく美しいコントラストの紅白の……紅白バニースーツに身を包んでいた。
「仮にも貴族令嬢の私がこんな……」
「なんで私またこういう扱いなのよ!!!!」
「なんでこんなことさせるんですか!!!!」
 それなり高貴な立場のはずのディアナ、アルテミア、シフォリィの三名の、あまりに扇情的なポージングにはどこかノり気すら感じるが……まあ、仕事なのだから当たり前だろう。そういう時もあるということだ。
(依頼……依頼だから……でも恥ずかしい……)
(確かに受けたのは私ですし、皆さんですから……頑張らないと……)
 アクアは全身から黒炎の幻影を吹き出しているが、量に反して濃度は控えめになっている。負の感情……というより単純な恥じらいという意味での影響だろう。仕事であるという事実、でも恥ずかしいという感情のコンフリクトがその量を弥増しているのかもしれない。傍らのエリスは周囲にちらちらと目配りしながら気丈に振る舞っているが、やはり恥じらいはあるのか、頬を紅く染めている。その紅潮が酔いからくるものなら、まだましだったのだが。
\たぬきー!/
「ねこだが???」
「たぬきだって!」
「ねこだが????」
 そしてこちらはいつもどおりと言うか、紫電と汰磨羈がかしましく言い合いを続けていた。……と思うんだが、紫電はポールダンスを巧みに熟しているし汰磨羈は投げキッスまでしている念の入れよう。全く不満を感じさせないのはプロらしさをひしひしと感じられた。
 ……そしてこの状況で最も目立っている人物が、そこにいる。
「私の姿、好きなだけ見ていってねー!」
 レイリーである。自らの肉体を惜しげもなく晒し、愛嬌を降る撒くその姿は間違いなくアイドルとしての矜持を全うしているワケで、プロの根性というのはかくあるべき、というのを見せつけてくる。内心がどうかはさておき。
 ……さて、ローレットが誇るスタイル抜群[一部要出典]な彼女らが何故こんなあられもない姿をして人前に出てきているのかというと、再現性東京に名だたるイベント企画会社である「TDM企画」から直々に依頼が舞い込んできたというのが大きい。「ローレットの皆さんじゃなきゃ頼めない仕事なんです!」って熱っぽく語られた焔が仲間達をかき集めて現場入りしたら、あれよあれよという間にサンタバニーコスに身を包んでいたのである。
「でも今回はボクも知らなかったもん!」
「焔が知らなくても巻き込まれた事実が大事なんだぞ焔ァ!」
 秋奈と焔が言い合っている横で、しかしレイリーは、ディアナは、紫電は見事な肢体を効果的に見せることやり方を心得ており、会場のボルテージを上げていく。汰磨羈はといえば、紫電の煽りを受けた会場の人々がたぬき呼ばわりするので目からハイライトが消えつつあるし、アクアは戸惑いが増すにつれて全身の黒炎が徐々に勢いを増している。でもそれらが逆に人々の興奮を煽っている様子。どうなってんだここの客。
「で、でも本当に嫌だったら断っても文句言われないんじゃないかなぁ……?」
「やりますけど!!!」
「やってやろうじゃないの!!!」
「受けたからには逃げませんよ?」
 流石に罪悪感がチラ見えした焔だが、アルテミア、シフォリィ、エリスは揃って異を唱える。もうステージは始まり人々は集まり、彼女らに期待を向けている顧客の目もある。恥じらいはちゃんと人並み以上に備わってるのに使命感がそれを塗り潰すの、真面目に凄いことだとは思うが。
『皆さん、サンタバニー達の共演はお楽しみ頂けておりますでしょうか? 楽しんでいる? それは何より!』
 一同が何かしら疲弊の兆しを見せる中、運営者のアナウンスが響き渡る。凄まじい歓声とともにステージの幕が唐突に降り始めたことで、これはやっと依頼終了か、と安心する者数名、疑念を抱く者数名……。
『では第二幕、ミニスカバニー編への移行を宣言致します! 着替えのためしばしお待ちを!』
「ミニスカだってたぬき」
「ねこだが???」
「ハァ? 衣装替えとか聞いてませんよ!? やりますけど!」
 斯くして、この狂乱の聖夜はまだまだ終わる気配がない……マジですいませんでした。

 ※SS担当:ふみの

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