PandoraPartyProject

ギルドスレッド

『mort d'or』

【雑談】静かな部屋

ヴィクトールの部屋は陽射しが入らぬ限り、薄暗い。
昼間ならカーテンを開け、夜になればカンテラやらランプにに火を入れる。そんな小さな部屋だ。

※お招きした方と1:1のロールでお話しする部屋になっております。

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[冷えた部屋のドアを開ければ、外よりも少しだけ冷たい。家主の男――ヴィクトールは少女を部屋に招き入れると、部屋のランプに火を入れた。狭いところですがと男は言うが、その原因のほとんどは男の背丈のせいであるのは、たとえその背筋が少々丸まって猫のようになっていてもうかがえよう。
 冬が終わり春の息吹を感じる季節とは言え、部屋はすぐには暖まるはずもなく。申しわけそうな顔をしながら男は「茶でもわかしましょう」と、台所へ立った。]
すきなところ、座っていて下さい。今お茶を用意致します。
紅茶と、ハーブティと……ミルク。どれがいいでしょうか?

[意外にも男の部屋らしくなく、棚には様々な種類のハーブティがガラスポットとともにそろって居る。開封されてからあまり手を付けられていない茶菓子も同様に棚に押し込められていた]
(春冷えの或る日、彼女は殆困り果てて居た。雨が降っていて、腕が酷く痛む。傘を差す事すら侭成らず、不意に『雨風を凌いで行きませんか』と聲を掛けて下さった御仁に此れ幸いとばかりに着いて来た。随分と大きな方だなあ、と見上げて思う。其の体躯が、窮屈そうに丸まって居るのが何だかちょっぴり、可笑しい)

あ、其の。お構い無く……と云うのも此処まで着いて来ておき乍ら失礼なものでしょうか。
ハーブティをお願いしても? ええっと、
――……あ。お名前を、伺っておりませんでしたね。

(勿論、自分の名前も名乗って居ない。抑も――、)
わかりました、ではハーブティを……
[と、選び取ったハーブティは生姜とスパイスを中心としたもの。甘みなどとはほど遠いが、身体を温めるには丁度よさげなものである。]

あ、名乗ってもいませんでしたね。ボクはヴィクトール……と申します。
ええと、もし身分の証明が必要ならギルドのほうに声をかけて下されば、た、多分大丈夫なのです。不審者でないことはたぶん……証明してくれる……とは思う……のです?

[そこまで証明してくれるだろうか、いっているうちに自信がなくなっていく。焜炉に薬罐をおいたならば風呂場へとかけていき、これまたおろしたてのタオルを一つ持ってくる]

先にわたしておくべきでした。……身体、ふくのに使って下さい。
ヴィクトールさま……あは。
何、丁寧にお茶を出して下さる不審者なんて居らぬでしょう?
其れを言ったら、ぼくだって相当に怪しい者です。

(有難う御座います、とタオルを受け取って。上手く動かぬ両腕で乱雑にわしわしと髪を拭き上げ乍ら、先程迄抱いていた人形に目を落とす)

ぼく、名前をよく、覚えて居ないのですよ。抑も、有ったのかすら。
だから、
(男の子の人形と、女の子の人形。其れを交互に指差して)

チルチル、若しくはミチルとでも、お呼び下さい。
其れか何か、別の名前を下さっても良い。
はは、油断してはなりませんよ。ボクが不審者だとしたら……こうやって何も手を出さずに『友達』になってから、手を出すでしょうから。

[ずるい大人とはそういうものです、と言いながら沸いたお湯を茶葉の入ったガラスポットに。生姜とスパイスの独特な香りが湯気と共に部屋に広がることだろう。
拭くのを手伝おうか、と声をかけようとしたがそれはやめた。自分が触れる事は躊躇われたからである。]

……よく、覚えていない。ボクも名乗りはしましたがこれに書いてあっただけで――[と、黄金色のプレートに確かに『ヴィクトール=エルステッド=アラステア』の文字が刻まれている]自分の名前かどうかは定かではないのですよ。

チルチル、もしくはミチル。なら間をとってチル様と呼ばせていただきましょうか。
人に名前を与えるほど、ボクはできた人間じゃあないので。
ははあ。成る程、一理ある。
まあ、まあ、だけど。
手を出されて困る様な清純な乙女でしたら、此の様な日に、雨曝しに等なっていない様な気もします。

……良い、香りですね。
ぼくは、ほら。此の子達の、靴底に。Tyltylと、Mytylと。
(プレートを覗いて、じゃあ同じ様なものですね、と何の気も無しに言った)
屹度、ぼく等の出逢いに、名前は然したる問題ではないのでしょう、ええ、チルで構いません。
そのような卑下をなされずに、雨ざらしになっていたのは仕様がないことでしょう、チル様。
あ、拭い終わったらタオルはそこら辺においてくださって構いません。あとで拾って片付けておくので。

[そういう面において結構適当な男のようだった。ガラスポットに入った茶と、ガラスの器を二つ分。小さな木のテーブルの上に置くとヴィクトールも着席する。彼には些か小さい椅子のように見受けられた。]

ありがとうございます、数少ない趣味なので。……お茶、いい香りがするでしょう。
食に頓着がないボクでも良い香りは心地がいいのです。
お茶は適当に――よい頃合いになったら飲んでください。

……そうかもしれません。名など、『ボク』を区別するだけのものかもしれませんから。
ええ、ええ。
聲を掛けて下さった御恩を軀で返せと云われたら返す心算では有りましたが。
どうにもヴィクトールさまはそういう手合いでは無さそうにお見受けしました。
(元より、其の様な警戒を彼女がしていた様には見えない。タオルを綺麗に畳んで、濡れても大丈夫そうな床にそうっと置いた)

暖まりそうです、良い頃合い……
(硝子のティーカップをそうっと持ち上げる指先は、透き通ったブルゥ。本来であれば其の部分に熱を求めても何も感じないのだが)

……へくち、
(小さなくしゃみを、一つ)
あ、あのう。初めましての方にあまりに御無礼かと存じますが、何か着るものを、お借りしても宜しいでしょうか?
洗って、返しますので。
身体で、といわれましても難しいことでしょう。[そういう欲はありませんし、そもそも体格的に難しいでしょうし。とさらりと言ってタオルを拾い上げる]

頃合いを見るのがヘタなので、お好みの時になにと……んえ?
ミルクをこがす人間なので……。(お茶もうっかりすると出し過ぎます、といいながら続いた言葉に変な声が出た。)

服。
……服、ですか。その……僕のサイズの服しか、ないのですが……?
ええと……その……着られます、か……?
[用意されたのはおそらく彼のシャツ……だと思うがどうみてもでかい。190cmを超える体躯の人間の服だ、普通の人でもデカい。]
……ふふ、ヴィクトールさまは存外、明け透けにものを仰る。
けれど、そうに違いありませんね。

……マントも、コートも雨水が絞れる程で、其の。
此の儘ですと、動くも座るもお部屋を濡らしてしまうでしょうから。
(差し出されたシャツを受け取って、広げて、大きさに驚いたのか、平時の畏った口調ではなく無防備に『はへー』なんて聲が思わず出る。軀に当てがってみると成る程、小柄な少女には最早ワンピースの様であった)

ボタンをきっちり閉めて、袖は捲れば多分、大丈夫……です……?
(首を傾げ、擡げ、傾げ) 殿方のお召し物を借りた記憶が生憎ないのですが、
……一寸、彼方で着替えて来ます。折角の温かいお茶を頂くのに、寒くては台無しだ。
言葉を飾ったところで仕方がないときはありますから。……ああ、濡れているならそのまま洗面所で絞って、干して置いて下さい。着替えるついでに丁度良いでしょうから……。[と、洗面所の方を手で差して]扉もあります、安心して下さい。

……申し訳ないです。その、大きいモノしかなくて。
乾くまでの間に合わせですが必要なら縫ってしまったりしても構いませんので。
服は、正直使い捨てに近い部分がありますから。

[盾役(タンク)の衣服――特に自分は普段甲冑を着るわけではないから余計に衣服などよく破れる消耗品だ。余分にあるが……流石に他人のぶんは、ない。]
縫うだなんてそんな、そんな、勿体無い。此の雨が止んだら、お暇しますから。

(とは言え、窓をふと見れば春冷えの雨はざあざあと、止む気配を見せず。強まっている様にも思えて)
(洗面所で格闘する音が聞こえる。軈て、一仕事終えた様な貌で、お洋服を借りて戻って来ました)

お待たせしました、すいません、干す所までお借りしてしまって、何から何まで。
……そう云えば、『食に頓着が無い』とは仰ってましたが、其の。全然、食べなくとも平気なのです?
少なくとも、睡眠は、とても必要そうに思えますが。
(凄いクマだ、と自分の眼の下をなぞって、其れからお茶を啜る)

……!
美味しい。
同じ服などいくらでもありますし。……むしろ同じ服ばかりですから。
(外から聞こえる音は強まっている。彼女もすぐには帰れないのではないか? と内心思うが――それをどうすることもできないので早々に諦めた。洗面所から出てきた姿を見て)

……本当に大きいものしかなくてすみません。

(口から出たのは謝罪の言葉だった、今他人が部屋を訪ねてきたら間違いなく、自分が怒られるだろう。)

睡眠は、寝ようと思えばすぐに寝られますしずっとボク寝てたんですよ。こんな貌ですが――(と、手袋越しの指先で自分の目の下をなぞって苦笑いを浮かべた)
よかった、お茶はどうにか用意できるんです。如何せん食事はほんとうに頓着がないというか……うっかりすると寝ちゃったりするのでよくものが焦げたりするのですよね。食べる必要もないしまあいいかな……って。ええ、一切食べなくても平気なのですよ。

まあ、チル様のような来客のために食品は用意していますが……(それも大概は主食ではなくお茶菓子用のクッキーやらシガールやら。或いは酒のつまみになるようなものばかりだ)

チル様ももし食べたいものがあればお茶菓子も好きにつまんで下さい。
な、何でヴィクトールさまが申し訳なさそうに……!?
(二つの彩を宿した眸がまん丸に見開かれて、自分と男を交互に見遣った。成る程、此れは確かに事案である)
い、いえ……ぼくこそ、小さくてすみません。

ずっと。
(言葉を反芻して、其れから指先でなぞられたクマを見てくき、と人形めいた仕草で首を傾げる)
血行不良でしょうか、其れとも、ヴィクトールさまは何か眼を酷使するお仕事でも?
嗚呼、何だか質問攻めみたいで申し訳ないです、如何せん……
(興奮、と云うのが一番近い感情であろうか。恐らく自分は此の世界の住民では無い事を伝えたら笑われてしまうだろうか、と揺れる水面を見ながら溢して)

(其れから、ぐう、とお腹が鳴って)
……あは。
食べないで平気なのは、此処が肝心と云う重要な時に、腹の虫の様子を伺わなくて良いですね?
はい、有り難く、頂きます。
(どれにしようかな、そんな風に目移りしてから、クッキーを摘み上げて口へと放った)
いえいえ……(数瞬の沈黙はこれ以上のやりとりは恐らくは謙遜合戦になってしまうといった事による逡巡か。しかし目の前の、彼の者からの質問は話を逸らすのにはとても丁度良い内容であった。)

……ずっと、ですね。ええ、いつから寝てたかも解りません。ローレットに寝たまま召喚されたんですよボク、おかしいでしょう?(ふふ、と笑うように)
仕事とかそう言うのも何をしていたかなんてのも解らない――あ、今はローレットのしがない冒険者ですね。其れしかないですから。
(目は確かに酷使するかもしれませんね、冒険で。とも言いながら自分自身も適当に入れられた水だか茶だかをカップに注いで呷る。)

チル様はあんなところにいらっしゃいましたが――普段は何をされているので?

(クッキーを食べる様子をにこにこ、と眺めつつ。)
ふむ、ローレット。
嗚呼、そうだ。ぼくも意識が覚醒した時にはあれよあれよと云う間に其処に連れて行かれて。
『此処なら住むのに支援が受けられるから行って下さいね』って……
其れで、地図を描いて貰ったのですけれど、さっぱり判らない上に雨が降って来て。
傘も無いし、来た道を引き返そうにも判らないし。

……あ。
(慌ててスカートのポケットから紙切れを取り出す。程好く湿って居て文字も滲んでしまっていた
 がっくし、項垂れて。もう一個、二個、クッキーを齧りながら)

だから、計らずとも、ヴィクトールさまとは恐らく同職と云う事になりそうです。

多分、此処に来る前のぼくは、――……死んだ筈、なんですけど。
『ウォーカー』とか、何とか、言われた様な……
ああ、ローレットからの案内なら……どこかに捨てずにとっておいたはずなのであとで確認してみましょう。同じなら、多分案内が出来ると思います。
(少なくとも雨が落ち着いてからになりますが、と窓の外を見遣ってから)

旅人(ウォーカー)、ですか。ローレットにはかなり多くの『旅人』の方がいらっしゃるようですよ。ボクも出自がわからないという面では似たようなものですが――そういうかたであれ、特異運命座標[ぼくら]の衣食住を保証してくださるのがローレットという場所……だとか。
ココもその伝手で借りた部屋ですしね。……離れた場所のせいか、住んでる方は少ないですが。

……同職、となると。荒事を引き受けることもある、ということですね、この先……。
本当ですか、嗚呼、其れは助かります。
(釣られて窓の外を眺め、バケツをひっくり返した様な、と云う言葉が似合う雨模様に肩を竦め曖昧に笑い乍ら)

何かのドッキリか、夢でも見ているのかと思いましたが……
漸く、実感が湧いて来ました。
まあ、衣食住を保証して下さるのなら、悪い話では無いのでしょうけど……

……其の感じですと、楽々な未来が保証されているものでは、無い様ですね?
まあ、だからと言って『嫌だ』と断る選択肢は与えられて居ないと判断しても宜しいのでしょうか?
同じモノとは限らないので一応確認して違いそうなら――ローレットにでも戻ってもう一度案内を受けましょうか。ここはローレットから少し距離の有る場所ですし。
……どちらにせよローレットへの案内は必要かもしれませんが。

僕のような身元が一切わからない人間でもこうやって保護されていますから、その辺は安心してもいいです。仕事も――一応選ぶことは出来ますが。
かといってボクなんかは『何もせずにいられない』ので……

(と、苦笑を浮かべる。ほっとけない、という気質は現在の状況からもよく分かるものだろう)

出来ることをする、ただそれだけですよ。
此処、同じ様な景色が続いているでしょう。
だからか、余計に自分の歩いている場所が判らなくなってしまって……
(バツが悪いのか、将又『迷子』と云う事実に照れているのか、頬を掻いて)

ははあ、……寛容、と云うか。
記憶が一切無い、と告げた時も特に驚かれなかったですし、随分手慣れた様子が見受けられました、ね。

『何もせずにいられない』――ふふ、身元不明の濡れ鼠に、聲を掛けてしまう位?

(カップを優しく揺すって、水面をじっと見つめ)
其れにしても、出来る、事ですか。
来てしまった以上は、そうするしかなさそうですね。
どうやら、帰路の切符は用意されてない様に、聞き及んで居ますし……まあ、
第二の、人生だとでも思う他、ありますまいね。
(不安や、悲壮という感情は、女からは見受けられない。随分と乾いている様な物言いだった)

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