PandoraPartyProject

ギルドスレッド

寂れた占い師の店

【占い】エントランス

廃墟の店に足を踏み入れてすぐの場所、黒いクロスの敷かれたテーブルにはわざとらしい燭台が置かれている。
対面するように置かれた椅子は存外にも綺麗にされており、
席についたあなたの前に、山盛りの砂糖と湯気の立つコーヒーカップが置かれる。


「はてさて、あなたはどんな運命を背負ってここへ?
ああ仰らなくて結構、勝手に覗き見しますので。
人の不幸は蜜の味と言いましょう、これからアナタに降りかかる災いを、珈琲の茶請けにさせて頂きましょう…。

的中率?そんなのどうでもいいじゃあないですか。
当たっても外れても、ワタクシが嗤えれば満足なんで?」


※当スレッドは来客用で、対面式のRPスレッドとなります。
ヴァイオレットに占って欲しい方は、こちらのスレッドにて来店RPの書き込みをお願い致します。

※占いは基本的にアンラッキーな結果ばかり出ます。更にヴァイオレットのウザ絡みが入ると思いますので、これらを許容できる方、RPの一環としてお楽しみ頂ける方のみご利用頂きますようお願い致します。

※初見さんや一見さんも歓迎致します。とはいえヴァイオレット自体が人を選ぶ性格をしたキャラ造形である事をご留意下さい。

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(目を閉じる。一つ、二つ。ゆっくりと、絞るような声で)

…………構いません。貴方は本当に優しい方だ。
帰りたいけれど帰れない。そんなことは、分かっているんです。私は知りたいわけではないのです。『納得したい』のです。
立場も力も影響力も……。置いてきたくなんて、無かった。私が握っていたものはもっと違うものだったはずだった。……確かに、此処も向こうも。全てが今滅びゆく世界なのでしょう。けれど、滅んだ世界ではないのです。

……お願いします、占い師さん。
……そうですか。
では、聞き届けました。この占いを聞いてどうするかは、アナタが決めることです。
後悔なさらぬよう……

(ここでヴァイオレットが取り出したのは、水晶玉)
………(ヴァイオレットの眼前の水晶玉には、縁が見てもただのガラス玉で、彼女がそれを机の上に置いても、何も見えない。
ヴァイオレットが少しだけ前髪をかきあげる。手で覆われ、額は縁には見えない…が
暫く、顔の向きを固定したまま瞳を伏せ…ぽつり、ぽつりと語りだす)

……空に拓く…虚なる扉。眼下に拡がるは、夥しき怪物の群れ。
…建物を崩し、人を潰し、街を焼く

立ち上るは黒煙。空は赤黒く染まり。

破砕された一際大きな建物より…光る目を持つ異形が、見下ろす

4つの鉄騎。機械仕掛けの守護者達は

………奇妙な動きの…そう、まるで。さっきまで其処に居た『誰か』を
有る筈の歌が聞こえない事に、惑い、鈍り、焦り、哭き

数刻としない内に、全て

街の瓦礫と同じ運命を、辿りました。


其の世界にはもう、何もない

異形の跋扈する世界に、明日はなく、希望はなく。
誕生することも、生まれ変わる事も能わず

誰の願いも、届かない。
…………そう、ですか。そう……成りましたか。
(彼女の言葉を静かに、静かに聞いている。……唇を噛みながら。捉えきれ得ず、求めきれず。ただ、それだけが口から溢れて。数間の後にぽつりと。呟く)

……私のせいだ。私の……。あの人たちはとても優しいから。
(手をぎゅっと膝の上で握って。視線が空を彷徨った後、下へと降りた。言葉は空虚にその場を滑り落ちる。涙は溢れない。どうなっていても、泣く事だけはしないと決めていたから)


……ありがとうございます、ふふ。スッキリしてしまいました、ねえ。帰る場所、なくなってしまいました…ふふ(顔を上げた。目の前にいるヴァイオレットに微笑みを浮かべ。それはこの店を訪れて、最初に見せた表情と同じ顔。)
………(静かに、席を立って、薄暗闇の中に消えていく
縁をその場に残して、気配が消えた)
お、おや? あの、お代の話とかを……ですねえ……?(わたわたと慌てたようにその姿を見送って。ぽつん、と一人になってしまい。暫く、ぽかんとした顔で待っていたが)
……駄目ですね、ほんと。(本当の悲しみは遅れて、遅れてやってくる遅効性薬だ。意図しない所でーー。涙が一雫。着ていたパーカーの裾を濡らす)

……ごめんなさい、皆さん。私が居なくなったせいで。こんな所に、呼ばれてしまったから……。

(相手には何も、何も伝えていなかった。それなのに【あれほどまでに正確に】、言葉を紡ぎ出せると言うことは。きっと本当に見えたのだろうと。彼女は思う。自分でどうすることも出来なかったことに、無力なのが悔しくて。そして。自分だけ残ってしまったことが)

……どうして、私なんかを探してしまったんですか!! あんなの、皆さんが負ける相手なんかじゃないですか……!

(寂しくて。悔しくて。誰もいない空間に慟哭が一つ落ちる。声は限りなく掠れて、割れて)

……此処から、どうすればいいんでしょう。生きる価値なんて、私は……。
(絶対言わないと決めていたことだ。けれど、気が少しだけ緩んで。もとい、魔がさして……。ぽろり、と口からこぼれ出てしまう)
(そんな彼女の前に、ふわり、と温かく、甘い香りが漂った。
視線を動かして見れば、彼女の前にはコーヒカップに注がれた、白茶色く甘い飲み物が、
湯気とともに鼻孔をくすぐってくる)
やれやれ、だからやめておけ、と言っておきましたのに…。

……一口お飲みなさい。そして、ゆっくりと息を吐いて。

(いつの間にか対面の椅子に腰掛ける占い師は、すっとローブのフードを引っ張ってそっぽを向きながら、縁に飲み物を促した)
……み、見てたんですか、意地が悪いなあ……。(動揺したように瞳を揺らし、へにゃりとした、情けない笑顔で。溜まっていた涙をそっと指で拭って)

……いただきます。ごめんなさい、結構ショックでした。意地を張りました。
(カップを両手で手に取り、ふぅ、ふぅ、と吐息で冷ましつつ一口)
……当たらぬも八卦、と濁しても、今に至っては何の意味もありませんね。
正直に申し上げましょう。ワタクシが見た光景は…ある意味では真実であり、ある意味では起こり得ぬ…
言うなれば、「可能性」です。

…アナタは、戦いの最中で、召喚された。
固く結びついた隊であったからこそ…アナタが欠けた事で総てが狂ってしまった。
ピースが外れたジグソーパズルのように、ばらばらと…全て、全てが崩れ落ちた…

或いは、それこそがこの『混沌』より拡がる滅びの一つなのかもしれません。
アナタが欠けたのは、きっかけに過ぎず…アナタの世界が滅びたのは、ある意味では必然だったのかもしれません。
…しかし、先程も申したように、それはあくまで「可能性」
ワタクシ達、旅人が元の世界と認識している世界。かの世界に帰る事が出来る可能性すら、今のワタクシ達には存在しません。

……このまま帰れぬままならば、この可能性を辿る事は十二分に考えられ…
…或いは、この事象は既に遠い過去という「可能性」すら、有り得るでしょう。
…………それは、えーっと………。(回らない頭で占い師の言葉を反芻する。しばしの沈黙、思考)
……あの光景は、まだ確定したものではない、ということですか? このままだとそうなってしまうだろうけれど、でも。例えば…………。(小さく唸り声。希望的観測だというのは分かっているけれど)
……こちらの世界を救って、大手を振って無事に帰れたとしたのなら。もしか、すれば……。勿論、全く関係なく手遅れの可能性も、十分にあるんでしょうけど。
ヒッヒッヒ…言ったではないですか、「可能性」と。
ワタクシ達のいるこの世界、混沌と元の世界の繋がり方をはじめ、未だありとあらゆる事が未知に包まれております。元に戻れるのか、元に戻れないのかすら定かではないなら…
当然、時間の流れすらもどうなっているか定かではないでしょう。

仰るとおりです。その「もしも」はどちらもあり得る事。
ならば…希望を抱いて前に進むか、絶望を抱いてその場で立ち止まるかも、アナタの自由です。

…希望を抱いたとて、アナタの望み通りに事が運ぶ可能性は1%もないかもしれません。
しかし…立ち止まれば。何もしなければ、0%。決して何も変わりはしないのです。

…アナタが望む事を成しなさい。それはアナタの此れからの道(未知)を切り開く…
未来へと続く可能性に他ならないのですから。
……なるほど、綺麗に纏めますね、占い師さん。自然と……気持ちが上向く気がします。向いてるかもしれませんよ、アイドル!
(小さく微笑んで。唐突に見える言葉だが、自分の仕事に誇りをもつ彼女にとって、最大級の賛辞だったり)

……凄い遠回りになっちゃいますけど。帰還する道筋を探しながら……。こちらの物事にも、手を出さなければなりませんか。それでいて帰れるのかも、やっぱりどうなってるかも分からなくて。進んではいませんが……。もやもやは少しだけ、薄れた気がします。止まっているなんて、時間がもったいないですね。らしく、ありませんでした。

……ありがとうございます、占い師さん! 私、九重ユカリって言います。
(と言いながら連絡先を押し付けるだろうか。かわいらしい名刺である)

普段は練達に居るんですけど、何かありましたら声掛けてください。まだ、出来ることは少ないですけど一応イレギュラーズなので。お役に立てることもあるかもしれません!
ヒッヒッヒ、面白いジョークでございますね。
ワタクシのような影を歩くものがアイドルを名乗ろうものなら滑稽すぎて神も笑い死ぬ事でしょう。

やはりアナタはそちらの顔の方が似合っておりますねえ。
塞ぎ込む顔もそれはそれでそそるものがありましたが、まあ駄賃として愉しませてもらう分には十分でしたからね。

仰るように、決して楽な道ではないでしょうが…ですが、未来は未確定なものです。ゆえに人は手を差し伸べるのでしょうから…

…ふむ、これはご丁寧にどうも。まあ、かの地にはよく訪れますゆえ、困った時には助けてもらうとしましょうかねえ
(一瞬影が蠢いたかと思うと、名刺が彼女の手に握られている)
そうでしょうか。……隠してるかもしれませんけど、結構美人ですし、声も……よく通るかと! ふふふ。神様を殺したくなったら言ってくださいな、いつでも。
(くすくすと笑って。少し、気負いが無くなったように。……少なくとも、貼り付けたみたいな笑顔よりはマシだろう)

はい。お世話にな……。すごいですねそれ。魔法ですか? かっこいいなあ……! はい。なんでも言ってください。がんばります! 出来る範囲で!
(目を輝かせつつ、ぺこりとお辞儀をして。席を立ち上がる)

……私はもう何も、諦めません。優しい言葉をありがとう、占い師さん。
ヒッヒッヒ、神様を殺したくなったら…ですか
しかし、良い顔をするではないですか。ワタクシからすれば、そのような顔をされるアナタの方が好ましく思いますよ

優しい、などと。よくわからない事を申しますね。
まあ…此処に来て、ワタクシも色々と感化されてしまったのでしょうねえ。
もし優しく視えているのだとすれば…それはきっと、アナタがもとより持ち合わせていたものに他ならないと思いますが。

まあ、礼は受け取っておきましょう…
アナタの行末に、せいぜい幸の多からんことを
 そうですか? よかった……。彼に、ぶしょったい顔は見せられませんもの! 成程、貴方も変わったんですね。じゃあきっと、出会う人が素晴らしかったに違いありませんね。私は今、ちょこっとだけお話しただけですもん。
では、また普通に遊びに来ますよ!
(ひらりと手を振って、軽めの足取りで店から去っていく
(ちらり、と水晶玉を見て)
……我ながら、お節介を焼いたものですね。変わった、というのは本当かもしれません。
これを告げれば…確実に不幸を味わえましたのにね。

(前髪をかきあげると、『第三の眼』が鈍く光る)

……ええ、あの光景は確かに『九重 縁がそこに居なかったら』という未来。

…そう、『居なかったら』なのですよ。

(独白を聴くものはいない。声は、闇に溶けて消えていった)
(視界の淵で、蝶が飛んだような気が、した)

こんばんは。
占い師さんがいらっしゃる、と伺ってやってきたのですが……まだ、受け付けていらっしゃいますか?

(ちらり、と扉から顔を出し。
 店内をきょろきょろ、落ち着かない様子で観察する青の双眸ひとつ)
(大きな声で『ごめんください!』と叫ぶ少女が、そこにひとり)
(ごめんください、という声に反応するかのように、目の前の影が揺れたかと思うと、物陰からひっそりと姿を現す)

おや、いらっしゃいませ。
…随分と可憐な方が、こんな場末の廃墟にお越し頂けるとは、一体どんな噂が独り歩きしているのやら……

ええ、ここで占いを営んでおります。ヴァイオレットと申します。
以後、お見知りおきを。
なんだか凄腕の占い師さんがいる! ……と。
えへへ、よかった。迷ってなかったみたいです。

(自己紹介にはふたつの瞬き)
(慌てて深く、頭を下げる)
(迷わなかっただけでひとあんしん、だけでは、たりないのだ!)

わ、わ、すみません!
ボクはアイラ。アイラ・ディアグレイス、です。
どうぞよろしくお願いしますね、ヴァイオレットさん。
やれやれ…真面目に占いを営み続けるのも考えものかもしれませんねぇ…

ま、それはさておきようこそ、アイラ様、ですね。此方こそよろしくお願いします。
…アナタも此処を訪れたという事は、なにか占って欲しい事柄がある…といったところですかな?
わ、……め、迷惑だったでしょうか?

(なんとなく後ろに下がり。扉の取っ手に手をかける)

……あ、はい!
ええと……その。たたかいについて、悩んで、いて。
……う、占えるものなのでしょうか?
ヒッヒッヒ、これは失敬。お客様を前にする事でもなかったですね。お気になさらず
折角来てしまったのですから、まあゆるりとしていくと良いでしょう。大したもてなしはできませんがね。

戦いについて、ですか。なるほど
つまりアナタは今…戦いに臨む事について悩んでおられる、ということですね?
いえ、こちらこそお気になさらず!
……で、では、失礼して。

(適当な椅子に腰掛ける。そわそわと落ち着かない様子)

……はい、そう、です。
……………………なんだか。ヒトを倒したり。殺し、たり。
そういうことに、痛みを、覚えなくなってきていて。
……ヒッヒッヒ、それはそれは。
(眩しいものでも見るかのように、目を細めながら)

それを悩めるうちは、アナタはワタクシなどとは違って、心優しき方なのでしょう。
しかし…それに次第に「慣れてきてしまっている」自分を恐れている…ですね?
……そう、なのかもしれません。
むしろ、戦うことが、楽しかったりして。
誰かを傷つけることが楽しいとか、慣れた、とか……そういうのって、なんだか、とっても恐ろしいことのような気が、しているんです。
……なるほど、承りました。
ならばそのお心を鑑みつつ…憂慮されている、アナタの未来について占わせて頂きましょうか
(アイラの言葉を聞き、丁寧に頷くと、袖口から取り出したタロットの束をシャッフルし始める。その後、一塊にした束をアイラの前に差し出した)

…どうぞ。アナタのお好きな位置でカット…切り分けて、上下を入れ替えて下さい
アナタの心の示すまま…直感的に、してみてください
(ダイスロールで決定して下さい)
……こういうのって、あまりよくわからなくって……あっ、あ、あ。

(ゆっくりとシャッフルする……の、だが、不器用かな、彼女の手からは1枚のカードが零れ落ちた)

……う、うう。
ならば、この子で、おねがいします。

(落ちたカードを拾い上げ、ヴァイオレットに手渡して)
20
おっと…ヒッヒッヒ、これは思ってもみない事が起きましたねえ
なるほど、アナタの手から零れ落ちたカード…それがひょっとすると、アナタが憂慮している「今」なのやもしれませんね
(渡されたカードを受け取り、テーブルの上に置くと、元の山札の上からカードを1枚めくり、その前に配置するように設置する)

……では、アナタの手からこぼれ落ちたカードがアナタの『現在』だとすれば
この手前にある、このカードがアナタの『未来』を指し示すカードです。

順番にめくり、見ていくとしましょうか…
(アイラ側にある、一枚目のカードが表になる。そこにあるのは逆位置の『審判』
そして、その前方にあるカードは、逆位置の『恋人』)

…ふむ。一枚目のカード…このカードがアナタの現在を指し示すカードです。
このカードの指し示す意味は、悲観的、執着、挫折、望まぬ結果…などがございますね。

二枚目のカードが、アナタの未来を指し示すカード。こちらのカードの意味は
別離、悲嘆、不和、相性の悪さ、見込みの間違い…などといった意味がございます。


…これらがアナタの「戦いへの姿勢」から見た現在と未来を指し示しています。順番に読み解いてみるならば…
まず、現在のアナタは現状に不満を持っています。これはアナタの言った通り、自身が今置かれている境遇、心の内に生じているわだかまりというのは、アナタの認識通りだということです。
…戦いに対して思う姿勢を楽しいと感じていながら、その感情そのものに苦悩している。その事がアナタを苛んでいるという事でしょうね。

しかし、そんなアナタの行く先は、このままだと決して良いものではありません。
自らの胸中で二律背反に苛まれ続けたアナタの未来は、自分自身の心の不和のもとによからぬ結果を招くでしょう。理想と現実の乖離、心と感情の軋轢…アナタの内にあるもの同士が擦れ合い、摩耗してゆく…そのように読み解けます。
……こう考えるならば、現状の悩む姿勢そのものが、或いはアナタの心に悪影響を及ぼしているという風にも読み解けます。戦いを厭う心と、好ましく思う心。どっちつかずのその在り方がアナタ自身を苛んでいる…とも。


だとするならば、「審判」のカードが指し示す現状を打破する…というのが、一番の近道でありましょう。このカードの正位置の意味は決断や覚醒といった意味がございます。

戦いを遠ざける事か、もしくは戦いを受け入れる事か。
そのどちらかを選択する事が、アナタの未来をより良くする方法なのやもしれません。
…といったところでしょうか。
……な、なる、ほど。
抗うか。受け入れるか。
そのどちらか……と、いうこと、なのですね。

(深く頷き、小さく俯いて)

……………………そうかぁ。
そっかぁ…………………………。

(はぁ、と溜め息重く。諦めたように、笑う)
…ふむ、何やら深い思慮があるようで?
占いは占い。何もこれが確定した未来という訳でもございませんが……
ワタクシは判明している情報と読み取った機運から結果を予測したに過ぎません。

…よろしければ、悩みについて詳しく話して頂けますかね?
それによっては、より仔細な助言が出来るやもしれません。
……せっかくのご縁ですから、話してしまいましょうか、ね。

ボク、ちょっと前までは、戦うことすら怖くって。
それこそ、小さな子供みたいに震えてばかりで……いつも庇ってくれるひとに頼ってばかりでした。
それをようやく克服して、戦えるようになった、っておもったら。
どんどん、戦うことが楽しくて……傷付けて、壊して、そうやって、感情のままに動くのが楽しくって…………。

ボクね、見た目はヒトのそれ、ですけれど。
中身はもっと複雑な……カミサマだとか、獣だとか。そういった、ヒトじゃないものが、混ざりあっているから。
だから、ボク、いつか。
たいせつなひとまで、傷付けてしまうんじゃ、ないかって。

たのしいが、こわいんです。
……なるほど、なるほど。
戦う事を忌避し恐れていたアナタが人らしい進歩を遂げたと思ったら、
思いも依らぬ方向に開花したことに戸惑っているという事ですね。
殻を破ったはいいですが、生まれ出たものは思ってもみない存在だった…ということで。

…己が人でなくなってしまう事が、怖いのですね?
人らしい心を持ちえたアナタが、いつか自らの心を見失ってしまうことが
己の内に潜む、人でない何かが顔を出してしまう事を、恐れている…という訳ですか。
……(立ち上がり、暫し気配が消える。程なくしてもう一度暗がりから現れると、そこには湯気のたつコーヒカップが2つ)

ひとまず、お飲み下さいな。口に出して少し気疲れした事でしょう。
お口に合うのがどちらかわかりませんでしたから、お好きな方をお取り下さい。

(そう言ってヴァイオレットがアイラの前に置いたのは、真っ黒で芳醇な香りたつコーヒーと、甘く温かな香りの漂うホットココアの2つのカップだった)
…………ひと、らしい。

そう……そうです。
きっと、そうです。

ボクは、こわい。
ニンゲンらしさを、失ってしまうことが。

(現実を受け止めるように、言葉を繰り返して、反芻して)
わ……ごめんなさい。
ありがとう、ございます。
何もお礼なんてできそうにないのに……。

(そっとおかれた2つのカップ。
 躊躇うようにとったのは、甘いココアのカップであった)
(余った方のカップを引き寄せ)

…さて、まずは初対面である筈のワタクシに、胸の内を打ち明けてくれた事に感謝を。

…その信に応え、一つ語り聞かせたい事がございます。

アナタの話を聞いて……とても思い当たる話を知っておりましてね
……ワタクシの知る内では、アナタの他にも一人…同じような境遇の方を知っております

その方は、…親には人として善良であらんと、心を尽くして育まれました。
人の愛、人の喜び、人の温かさ…それらをよく知り、教えられました。

…そうしてその方は、善良たる意味と価値を、人の心の尊さを学び
そんな両親の心に報いる為に、良い人間になろう、としておりました。
……しかし、そうはならなかった。

自分の事を人間だと思っていたその人は、邪なる神との混ざりもの。人間だと思っていたその方は、心の内に「ひとでなし」の心が巣食っていました。

…それは、人の不幸を喜び、人の悲劇を渇望し、人の絶望に甘露を味わう、唾棄すべき魔性
人間らしくあろうとしたその人は、自らの想いに関係なく人の慟哭を求めずにはいられない本性を抱えていたのです。

…それを自覚してからもなお、その方は人でなくなることを、邪に呑まれてしまう事を恐れ続けていた。…ちょうど、アイラ様が悩んでいるような想いを、抱えていたのですよ。
(そぅっと、耳を澄ませて。時に相槌を混ぜて)

……そう、でしたか。
同じような、方が。

(ごくりと、乾いた口内を潤すためにココアを口に含んで。緊張からかあまり味は感じられなかった様子)

……その方は、どう、なったのですか?

今も変わらず生きておりますとも。この混沌世界でね。

…結局のところ、本人の望む望まないに関わらず、世界は廻り、人は巡り、そして命は続くのです。どんなに辛くとも、生きていく必要がありました。

その方は、人でないなら人でなしなりの生き方をすることにしました。
人の不幸を味わう事。それがその方の避け得ぬ渇望。それを慰めぬ事には生きてゆけぬと…

…その方はそれから、多くの不幸を味わいました。貶め、辱め、そして殺した。
人が今際の際に浮かべる絶望で、渇きを癒やしながら…生きていきました。
…しかし、それでいくら本能が潤おうとも、人としての理性がそれを許しませんでした。
人の不幸を味わう度、人としての心が痛み、軋み、悲しみが溢れました。

……その方が最後に求めたのは、矜持です。

自分は、決して善なるものではなく。純粋なる人とも呼べぬ存在なれど
…人の感じる痛みを、悲しみを、決して忘れない事を選びました

人である事はできなくなったとしても、人であったことを忘れぬために
……人の心を持ったまま化物として生きる事を、選んだのです。
……っ。

(胸を抑える。痛み。軋み。嗚呼、同じだ、と)

…………そう、でしたか。
ひとの、いたみを。

…………つらくは、ないのでしょうか。

(ココアに落ちる水滴。気が付くと娘は、ぽろぽろと、涙を溢していた)
………そうですね。或いは…辛かったのでしょう。考えぬようにしていたのでしょう。
自らの心を偽り続け…関わる事を避け、他者に期待せず、独りを選び続けていたのです。

(アイラの零した涙を目で追い、その感情を噛みしめる。そして、少し置いてから)

……しかしそれは此処に来て…終わりを迎えたのですよ。

その方は此処に来て知ったのです。人でない事など、ここでは些細な問題だと。
人でなかったとしても…人たらんとするその姿にこそ、「人の心」は在るのだと。
…例え、不幸に愉悦を覚えようとも、他人の絶望を歓迎するような化物であっても。
それでも良いと、受け入れてくれた方がいたのです。

…ゆえにこそ、ワタクシは想うのですよ、アイラ様。
アナタもまた、「人」なのだと。

己が性に悩み、心の所在を彷徨い、傷つける事を恐れる……
…そんな風に思えるアナタを、ワタクシは尊く思うのです。

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