PandoraPartyProject

ギルドスレッド

Deserted House

寂れた裏戸

人通りの少ない寂れた通りに立った廃屋。
その裏口は、更にうらぶれた通りに面している。

ギィギィと揺れる戸は形を変え、もはや閉まることはなく。
裏口の塀は崩れ、戸口までの道は雑草で覆われている。
廃屋の中からは時折女の声らしきものが聞こえ。
割れた窓からは時折人影が横切るのが見えるという。

元の持ち主はとうに失く、今や幽霊だけがその住人──と近所で噂の廃屋であるのだが。
当然その正体は、勝手に住み着く我らがガスマスクガールである。
運が良ければ裏口から銃を担いで帰ってくる姿が見れるだろうが、そうでなくても裏口の戸から中で動くガスマスクが覗き見ることができる。

戸を叩けば、あるいは戸を動かせば、いつもよりも大きく不快な音が鳴るだろう。
家主代わりに住み着いている彼女もきっと、気付いて様子を見に来るに違いない。

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てぃったぁとったぁ のりこんで
てぃったぁとったぁ おっこちて
てぃったぁとったぁ なべのそこ
てぃったぁとったぁ あなたのばんよ♪

(ぺこぺこと鼻歌を歌いながら、とろとろ歩いている。
寒さに身をこごませながらも、夏よりは随分気楽そう。
ふと足を止めると、おんぼろ扉に手を触れた)

……これはまた、素敵な建物だね。住むには向かなそうだけど。
あ、なんか飛び出てる。

(言うなり、なんら脈絡なく、悪気なく、えいっと蝶番の釘を引き抜いた)
(ふいに聞こえた歌声に、外へと耳をそばだてる。
ガラスの奥でぱちぱちりと瞬いて、徐々に大きくなる音に裏戸まで近寄って───)


(カシャン)
(カコッ)

(……ドンッッ!!!)


(釘が引き抜かれたことで蝶番が、蝶番が落ちたことで扉が、崩れ落ちた)


………エッ。
(惨状に思わず固まり、やがて肩をがっくりと落とす)
ボロだボロだとオモっていたけど、コレほどとは……ン?
(立った埃の向こうに、見覚えのあるシルエットを見つけ、首を傾げ、名を呼んだ)

………カタラァナ?
あっ。
ひょっとしてこれは、取っちゃいけないやつだったね?
うん、じゃあ、そういうことで。
(ひょっと挿し直した。しかしたとえ蝶番のないところに挿したとて、それはただの釘なのである)
エェ、と……。
(崩れ落ちた扉と、目の前の少女が刺した釘とを暫し見比べる。状況を理解するように呼吸を幾度か置いて、)
………ウン、まぁ、トっちゃ駄目なヤツだったミタイ、だね。
(諦めたような声で答えた)

ソレで、キミは、どうしてここに?散歩かナニかかい?
……僕は釘を抜いて、そして同じところに釘を刺しただけなのに、もうこれは二度と扉の役目を果たさなくなってしまったのは……
不思議だね?

うん、散歩。
散歩というか……まあ、散歩。
ええと、僕はよく歌を歌っているでしょう?
そんなにレパートリーは多くないから、いつもどこか歩き回ってネタを探しているんだ。
さっきの扉の落ちる音は――良かったなぁ。
そうダネ……元々ボロい扉だったカラね、限界ダったんだろうさ。
アって無いようなモノだったし。

ヘェ、カタラァナが歩いテルのは、ネタ探しダッタのか。
いい音はミツかった……、ミタイだね。
ふふ、ヨかったからって家のホカのところまで壊さないでオクレよ?
ココ家賃幾ら?随分と綺麗な音鳴らしはりますなあ。

(誰かの歌が響いてるみたい――呟いて、現れる。それは私。
私はゆっくりと、妖怪みたいに彼女の横へ顔を出す。音もなく、ひっそり)

ねえ、今、誰かいました?
ヤチン……?

いいや、誰もイナイよ。
モウずっと、誰もいない。

……キミが来たけどね。
ハジメマシテ?
ほう。
(身を屈め)

それは、
(落ちた戸に)

それは、
(蝶番に触れ)

大変
(釘を引き抜き)

失礼しました。
(じっくり見てから刺し戻す。

手ぶらで身軽な私は誰かが通った跡に、屈んだまま飛んで、立ち上がって振り向いた。
私には挨拶という概念が存在しないらしいと誰かがそう言っていたような気がする。
そんな事は無い、そんな事は無いぞ)

ラグラです。
酷い有り様で。

しかし星はよく見える場所です。悪くない。
向こうからも、こちらがよく見えるそうですよ。

(夜まで待つか?いやいや
残響が耳に残っているうちに帰ろう。
今日はよく眠れそうな気がするし。こんにちわも出来たし。

そうしてから私は日の差さない通りへ向かったのであった)

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