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Deserted House
……僕は釘を抜いて、そして同じところに釘を刺しただけなのに、もうこれは二度と扉の役目を果たさなくなってしまったのは……
不思議だね?
うん、散歩。
散歩というか……まあ、散歩。
ええと、僕はよく歌を歌っているでしょう?
そんなにレパートリーは多くないから、いつもどこか歩き回ってネタを探しているんだ。
さっきの扉の落ちる音は――良かったなぁ。
不思議だね?
うん、散歩。
散歩というか……まあ、散歩。
ええと、僕はよく歌を歌っているでしょう?
そんなにレパートリーは多くないから、いつもどこか歩き回ってネタを探しているんだ。
さっきの扉の落ちる音は――良かったなぁ。
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その裏口は、更にうらぶれた通りに面している。
ギィギィと揺れる戸は形を変え、もはや閉まることはなく。
裏口の塀は崩れ、戸口までの道は雑草で覆われている。
廃屋の中からは時折女の声らしきものが聞こえ。
割れた窓からは時折人影が横切るのが見えるという。
元の持ち主はとうに失く、今や幽霊だけがその住人──と近所で噂の廃屋であるのだが。
当然その正体は、勝手に住み着く我らがガスマスクガールである。
運が良ければ裏口から銃を担いで帰ってくる姿が見れるだろうが、そうでなくても裏口の戸から中で動くガスマスクが覗き見ることができる。
戸を叩けば、あるいは戸を動かせば、いつもよりも大きく不快な音が鳴るだろう。
家主代わりに住み着いている彼女もきっと、気付いて様子を見に来るに違いない。