その部屋は女王の執務室から近い位置にある。

客人を招き入れるための部屋。

壁には絵画が並び、棚には珍しい陶器のカップや調度品が置かれていた。
部屋の中央には大きなテーブル。それを囲むようにゆったりとした黒革のソファー。
毛の長い絨毯は、まるでクッションのように柔らかな感触を足裏に伝える事だろう。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

初詣の相談場所よ。
お誘いした方以外の書き込みはご遠慮願うわね。

そうなのか……。
ボクの知ってる奴ならとても危ない。
多分すぐに襲われてしまう。

べ、別に…私なんかを…襲う人……いないと思います…けど…

おや。
そう思うかい？

え…？は、はい…そうとしか…思えません…
だって…襲うメリットも…なければ……魅力も…ないですし…

それは危険な考え方だね。
相手に悪意があれば、そんなの関係ないのだからさ。

うーん……悪意………ですか…

そうだよ。
『人』はそれだけで利用価値があるからね。

でも……私なんかでも…何かの役に立つなら…

悪い男に引っ掛かる典型的パターンだね。

そ、そうなんですか…？

だからボクが良い子という強い幻覚を見てるんだ。

それは…幻覚ではなく…事実です…！

ゆみが珍しく力強い否定を……！？

ここだけは…譲りません…！

うーむ。
これは、喜ぶべきなのか、ゆみの素直さに頭を抱えるべきなのか……。

ど、どうして…頭を抱える…必要が…

ゆみが騙されてるから？

だ、騙される…なんて……そんなことは…

本当にそう言える？

え…？えぇ…は、はい…

ボクを本当に理解してる？

うーん……どうでしょうか…？
私は…私なりに理解した…レジーナさんを…知っているので…
人の理解に…正しいや…間違いはない…って…おばあちゃんが…言っていましたし…

そうだね。
じゃぁ確証はないね。

でも…私の中のレジーナさんは…いい子です…！

むむむ。

これで…解決……ですね…

頑固だなぁ。

レジーナさんの…影響…でしょうか…？

ボクの……？

レジーナさんの…頑固さが……うつったのかも…しれません…

むむむ。
そうなのか。
それは問題だ。ボクはあまり良い見本ではない。

そうですか…？他人を気遣える…優しい見本…だと思いますが…

そんなことしてたのかい？

独りだった…私を…気遣って……かまってくれました…

いや……気遣ってはいないと思うが……。

そうですか…？
私は…気遣って…いただいたように…感じました…

そうか。
ゆみは強い幻覚を見ているようだ。

もう……また…そんなことを…

んーむ。
ボクの性質から言って下心なく話し掛けるとは思えないんだよ。

そうでなければ大罪女王なんて呼ばれないわけだしさ。

だとしても…私は救われた…わけですし…
それで…いいんです…

む。
そう言われると何も言えないな……。

ふふふ…やっぱり……優しいですね…

いや。
優しくはないぞ。
ゆみの勘違いだ。

私の中でのレジーナさんは…優しいんです…

困ったなぁ。
どうして、そんなに頑ななのか。

少しは警戒心をもって欲しいものだけれども。

警戒心……ですか…？
一応…悪戯に対しては…少し…警戒は…していますけど…

いたずら？

えぇ…悪戯…です…

と、言うと……？

うーん……例えば…ですけど…
今の…記憶喪失が…嘘で……私を驚かせようと…したり…
食べようとしたり…