その部屋は女王の執務室から近い位置にある。

客人を招き入れるための部屋。

壁には絵画が並び、棚には珍しい陶器のカップや調度品が置かれていた。
部屋の中央には大きなテーブル。それを囲むようにゆったりとした黒革のソファー。
毛の長い絨毯は、まるでクッションのように柔らかな感触を足裏に伝える事だろう。
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初詣の相談場所よ。
お誘いした方以外の書き込みはご遠慮願うわね。

大事な…もの…大事な…もの……この…ヘア…ピン…(髪留めを触りながら)

い、一番は…無理です…よぉ……私なんかじゃ…

そう言えば、ユニークなヘアピンをしているわね？ 表情が独特というか……(変わってる？)

さて、無理と決めつけるのは早計だわ？
だって、どれだけベストを尽くせたかが基準だもの。前線を保つために回復に集中し続けることでも立派な貢献だし、事実我(わたし)はそれでMVPになったのだわ。

いや、かんざしの方かしら？＞ヘアピン

えっと……かんざしではなく…この…ゆるバケちゃん……です…(幽霊の髪留めを外して見せ)

うぅ……そ、それは…レジーナさん…素敵ですし……目立ちそう…ですし…(偏見)
私は……こんな…ですし…誰も…見ていません……よ…

ゆるバケちゃんといったのね、それ。
(興味深そうに見つめて)
これ、表情のバリエーションあるの？

えぇ？
まぁ、今でこそ普通だけれども変な名前とは思われていたかもしれないわねぇ、目立つと言えば。名乗りは兎も角、登録上の名前は「女王」だし。

見てても見てなくても……行動すれば自ずと結果は出てくるのだわ。
それを見ずして諦めるのはもったいないでしょう？

あ…はい……あります…けど…私は…これが特に……お気に入り…です…

名乗り……ですか…？
聞いて…みたい……です…

行動……ですか…
私は立派に…動けるでしょうか…

ほう……。
しかし、なんでおばけ……？
地元のマスコットかなにか？

それは名乗り口上？
あー……あれよ、自己紹介のときのことよ。
レジーナ・カームバンクル
(静かなる紅玉の女王)と名乗っているのだけれども
本名は「善と悪を敷く天鍵の女王」だから。「Cardinal Sin Regina(カーディナル・シン・レジーナ)」直訳すると大罪女王。

なに。
望みを強く持ちなさい。
そうすれば大丈夫よ。最初は慣れなくても、次第にできるようになるのだわ。

小さな…頃に……雑貨屋さんで…おばあちゃん…が…買ってくれた……んです…
「幽魅に似て愛らしい」って…言ってくれて…

大罪女王…ですか…
カーディナル…シン…レジーナ……かっこいい…です…

望み……私の…
わかった…と……思います………たぶん…
やれることは…やって……みます…

確かに、愛敬があるというか……うん。
見ていてほっこりするわね。

まぁ、大罪女王て大真面目に名乗ることは少ないけれどね。

頑張って！
応援してるのだわ。

それと……ヘアピン…なんです…けど……結構…柔らかくて…気持ちいい…です…

名乗らないんですか…？すごく…かっこいい……と…思い…ます…

へぇー。やわらかいんだ。
さわってみたーい。

えぇ？
大罪女王よ？
なんの冗談言ってるのー？ て思われてしまうのだわ。

えっと……ど、どうぞ…(外し)

よく…わかりませんが……何だか…響きが…かっこいいな……って…思いました…

ありがとう。
(ヘアピンを受け取ってふにふに)

まぁ、それはそうよ。
響きが良いように作られた名前でしょうから。

ど、どうでしょうか……その触感…苦手な人も……いるよう…ですが…

語感の…意識は…していたのですね……なるほど…
でしたら…もっと…名乗っても…よさそう……な…

そうなの？
我(わたし)は好きね。いつまでもさわっていたくなるわね。むにむに。

……。…………。
……そうね。例え話をしましょうか。
ある日突然、今この瞬間から汝(あなた)の名前は【黒焔之皇(スサノオ)】ですと言われたら、どうする？ 名乗る？

えぇ…変な…触感……と言って…
私も好きです…不思議な…ふにふに触感……癒されます…

と、突然…ですか…？
それはちょっと……難しい…です…

つまり、ゆみもこのヘアピンみたく、可愛らしくて柔らかい癒し系……そういうことね！
(ひとしきり堪能して)
ふふ。ありがとう。お返しするわね(ヘアピンを差し出す)

つまりはそういうこと。
まぁ、これが実名だなんて誰も思わないでしょうけれども。

わ、私は…どれも……当てはまらない…気が…
あ、いえ…気に入って…もらえたのなら……私も…嬉しい…です…(受け取り髪を留め)

なる…ほど…？
レジーナさん…も…そういうところ……苦労していそう…です…

少なくとも柔らかくはあるのではないかしら？
あと、癒し系。ふふふ……。

苦労と言うほどではないけれどね。
もう初めから偽名名乗るようにしてるし。

や、やわらかっ……あぅ…(自分の二の腕、お腹周りをふにふに)

確かに…先に名乗ってしまえば……それで…お終い…ですね…

やわらかーっ(二の腕とお腹をふにふにしようと)

まぁ、正直に名乗るのも長いしね。

あぅ……だ、ダイエット…しなきゃ…(されるがままふにられ)

確かに…？単純…明快……な方が…何かと…不便しません…ね…

そうして、できずにギブアップするパターンね。
ふふふ。諦めて我(わたし)の抱き枕と化すのよ。

そのお陰か、レジーナの名前で定着したし。逆に本名を知らない人の方が殆どじゃないかしら？

うっ…ぐぅ……が、頑張って…みます…！
抱き枕…予定は…まだ先……という…ことで…


そう…ですね……レジーナさん…という名前で…刷り込まれて…いそう…です…

あらあら、どこまで続くかしらねぇ(笑みを浮かべながら)

イベントシナリオでトレーディングカードのシナリオ出たわね。

うっ…抱き枕だけは……か、回避…しないと…

トレーディング…カード……ですか…？
男の子に…人気の遊具……といった…イメージですね…

そうねぇ。でないと、ずぅーっと甘やかしてしまうでしょうからねぇ？
(菓子の箱を持ち出しながら)

そうね。
まぁ、我(わたし)の世界ではオリンピック以上にメジャーで、男女問わず人気があったけれどもね。
一時はカードの重さと金が同等で取引されていた頃もあったかしら？

あ、甘やかして…もらうのは…嬉しいですが…(ニート思考)
動きが…限りなく…制限されるのは……

オリンピック以上で…お金と…同等…！？
や、やっぱり…世界が変われば……流行りや…価値観…というのは……まったく変わる…ものですね…

過保護、甘やかしは自由への冒涜よ。
ディストピアの縮図……なんて。
でなければ、抗うしかないわねぇ？
(クッキーをくわえながら)

あくまで一時だけれどね。
ルール調整があるたびにレートとか変わるから。

抗う……ですか…？

一定…周期で……ルールが…変わる…んですか…？
それって……結構…大変…なんじゃ…

そ。
安きに流されず、自分の意思を貫き通す。
誘惑への反抗、てこと。
(ぽりぽり)

大変よ？
昨日まで通じていた戦法が、今日になったらまったく歯が立たなくなるなんてザラ。
苦労して手に入れたカードが一夜にして紙屑になることもあるわねぇ。

そ、そのクッキーも…もしかして…誘惑の……つもり…ですか…？

それって…大丈夫…なんですか…？
暴動が…起きそう……ですけど…

(質問には応えず)食べる？ 遣いに出して手に入れさせた逸品よ？(クッキーを差し出す)

まぁ、強すぎるカードへの修正だからねぇ。それに、オリンピックでもルール改定で、環境が変わることがあるでしょう？

えっと……うーん…せっかくの…ご好意ですので……いただき…ます…(受け取ろうと)

でも…根本が変わるような…改定は……あまり…ない気が…
カードが…無駄になるのは……結構な…変更かと…

あーん。
(しかし答えは問答無用のあーん、攻撃である)

ああ、そういうこと？
確かに遊びレベルなら大した変更にはならないけれど……大会レベルともなれば無視できないものがあるのよ。
それこそ、演技点で稼げた場面が、力押しのトリプルアクセル、四回転に置き換わったように。

えっ…えぇ…！？
じ、自分で…食べれます…からっ…

う、うーん…なんだか…カードの世界も……難しい…ですね…

あーん。
(頑として譲らない姿勢を見せる)

当然よ。
人生がかかっているもの。
時には国や世界の命運すら争われるのだわ。

(私の拒否を聞いてないですっ！これは…都合のいい言葉以外聞き入れない状態…！)
うぅ……あ、あーん…(口を開き)

カードって……怖いんですね…
私の…知らない…世界です……

素直でよろしい(その口にクッキーを咥えさせようと)

ええ。
こわいわよー？
だからカードゲームしましょう。

はむ……(クッキー咥え)

……！？
な、なんで…怖いものを…勧めるのですか…！？

そのまま齧って？
(クッキーに指先を添えたまま)

んー？
ドキドキするじゃない？

……？(サクッと)

ドキドキ…しませんっ…！ハラハラ…ヒヤヒヤとしか…

(齧られたクッキーを摘まもうと)

そのスリルが楽しいのではない？
オールオア、ナッシング。
全てを得るか、全てを失うか。

……えっ？

私は…何も得ず…失わず……平々凡々に…生きていたい…です…

(そのままクッキーをぱくり)

平々凡々なんて……ふふふ。
我(わたし)がゆるさなーい。

えっ！？えぇぇ…！？
それ…私の……食べ…かけ…

な、なんで…ですかぁ…！？
普通に…ゆっくり…何事もなく……生きたい…のに…

んー。
ふふ。いぢわるしちゃったのだわ？
(チロリと舌を出して)

それだと我(わたし)がつまらないからー。
あきらめるのだー？

うぅ……レジーナさんの…イタズラ好きには…困っちゃいます…(ぷいっと)

こ、これだけは…譲れない…です…
堕落…していたい…ので…！(謎の意志)

あら、かわいい反応。
ごめんなさい。ゆみが、かわいいから、ついつい。
こっちむいて？ お願い。

ほう。
堕落のためなら、何でもすると？

ま、また…イタズラ……される…ので…(ぷいー)

ほどほどに…なら…その……堕落も…大事…かと…
なので……今は…堕落のとき…かと…