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ギルドスレッド

雨が止んで月が現れるまで

【雑談】雨の降る夜に

――しとしと、静かな雨音が心地よい。雨が止むまで暫くここで耳を澄ましているのも悪くないかも……なんて

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(唐紅の番傘をくるりくるりと緩やかに回し、滴り落ちる雫を楽しむように悠然と歩く青年が一人。
青年の肩に乗った子猿が雨粒に触れようと身を乗り出した所に、ぽとりと大粒の雫が頭に落ちて。
慌ててぷるぷると雫を払う子猿が面白かったのか青年がくすくすと笑い、拭うように頭を撫でてやる。
そうして、ふと人影に気づいてそちらへ視線を向ける。
その人物が身に着けていた白い装束が、青年に取っては珍しかったのか興味を持ったように立ち止まって。)

あれ、お兄さんは雨宿りかい?
こんな所で何してるの?
(雨雲が太陽を覆い隠し、辺りはまるで真夜中の様に闇に包まれていた)

俺のことかな……?
運悪く帰り道で雨に降られてしまったからここで雨宿りしているんだよ

(もう誰も住んでいないであろう、古びた煉瓦造りの建物。玄関に続く階段で一人雨宿りをしていた雨月は震える手を擦りながら青年の問いかけに答えた
 昼間は暖かかく、彼はまるで防寒対策をしてこなかったのだ)
おっと。
そりゃあ災難だったな。あ、それなら………。

(濡れぬようにと羽織の下で抱えていた紙袋をガサゴソと探り。
目当ての物を取り出して首で番傘を支えながら、笹葉に包まれている丸い物体を開けていく。
蒸し立てなのかほんのりと湯気が出ているそれは、白練色をしたふかふかの饅頭だった。
仄かに香ばしい肉の香りを漂わせた饅頭をずずいっと青年に差し出して。)

故郷の食い物と似ててつい買ったんだけど。だいたい蒸し肉饅頭だと思う。
善因善果ってね。良ければ遠慮なく食ってくれ!
ちょうど、俺達は買い出しの帰りだったからさ。

(ニッと笑いかけ、そうしてふと思いついたように。)

そういえばお兄さんって……んーっと、この辺の人?
あー、この辺っていうか、街っていうか国っていうか。

(アレなんていったっけと、取り留めなく尋ね。)
わぁ、美味しそう。……ありがとう

(震える手を伸ばし、青年から肉饅頭を受け取ると暖を取るように両手で包み込む。優しい温もりに自然と頬が緩んだ)

暖かい
……そうだね、この国に住んではいるけど、俺はもう少し王都よりに住んでるんだ。ちょっと歩けばすぐそこだよ

(混沌世界に存在する大国の一つ、幻想(レガド・イルシオン)。その中心部である王都メフ・メフィートは西洋の美しい街並みが続き、そこは幻想の繁栄の象徴でもある。だが、一歩外へ出れば美しい景色はガラリと変わり、スラム街の様な無法地帯が多く存在していた
 ここはスラム街ではないが、随分と昔に捨てられた古びた街のようだ。もう誰も立ち寄ることはないだろう)
(頬を緩ませた青年を見て、良かったと微笑みかけて。
そうして、番傘を畳み青年の隣の壁に背中を預けて、またガサゴソと紙袋を漁りもう一つの肉饅頭を取り出して半分に割る。片割れを子猿と分け合いながらもぐもぐと食べて、満悦そうに飲み込む。)

あ、そうなんだ。
練達とかなんとかっていう都市から来たっていう研究者の人と服装が似てたからさ。
お兄さんも研究とかしてる人?

俺の行きつけの店も、割と裏手にあって、たまーにガラ悪いやつとか来るなあ。
今のとこ、俺は定住はしてなくて、依頼受けつつ色んなとこに泊まって暮らしてる。
この前は深緑ってとこにある温泉に泊まったけど、すげーいいとこだったな!
ううん。俺は違うよ。医者志望なんだ。今日は教会の手伝いをしに行ってたんだ。今はその帰り

深緑で温泉かぁ、いいね。深緑は緑が沢山広がっている大自然に包まれた国らしいね。俺もいつか行ってみたいな

(ほぅっと白い息を吐き、肉饅頭をぱくりと食べる。じわりと口いっぱいに広がる饅頭の温度と肉汁におもわず目を輝かせる)

……とても美味しいね
へー!そうなんだ!
俺とそんなに歳変わらなさそうなのにすげーな。
故郷で医者って呼ばれてる人達は、爺さんばっかりだったから。
あ、そうだ。俺はゲンセイっていうんだ。こっちは豆吉。

(言って親指を肩口の子猿へ指すと、それに反応したように「キュキュー!」と子猿が鳴き声を上げる。)

俺はよく知らないけど、なんか今は色んなとこが大変みたいだな。
妖精がどうのこうのっていうのも聴くし、どっかで機会、あるかもな!

(目を輝かせた青年を見て、ふと思いついたように顎へ手を当て。)

……なあなあ。なんとなくで聴いてみるんだけど。
“自分でこんな事がしたい”って思ってどうやろうか考えてたのに、
段々自信がなくなってきてしまったら、そん時どうする?
よろしくね。ゲンセイさんに豆吉……くん。俺は築柴 雨月だよ

(一人と一匹ににっこりと微笑みかけ)

そうだね、今は海洋っていう世界で大きな戦いが起こってるね
だから、深緑にいけるのはもうちょっと先かな……

(顔を俯かせ、少し考えこみ)

そうだね……俺も自分自身に自信が持てなくなる時があるよ。今の目標は医者だけど、本当に医者になれるのか? 別に医者にならなくたっていいんじゃないか? って……。でもね、俺はそんな時目指したきっかけ……を思い出すんだ。そうしたら「ちゃんとなりたい理由があるぞ」って不思議とやる気が出てくるんだ「ここで立ち止まってる暇はないぞ」って……そしたらいつの間にか自信もついてくると思うんだ
…………こんな感じでいいかな?

(少し気恥しそうに頬を触る)
雨月か。オッケー覚えた!

………。

(少し視線を外し、地面を跳ねる雨粒を見つめながら青年――雨月の言葉を反芻する。
沢山の雫が落ちて弾けた頃、ようやく口を開いて。)

うん、そうだな。“ここで立ち止まってる暇はない”、か。
正に。正にそう、だな。
会ったばっかなのに変な話して悪い。
っと、軽く振ったつもりだったのに、そんなに丁寧に返してくれるなんて。
雨月って、人が良いって言われないか?

(先ほどの真剣そうな雨月の顔を見て、どこか羨ましいと思う節があったのか。
何か眩しいものを見るように少し目を細めて、冗談混じりに笑いかけて。)
(ゲンセイの言葉に少し驚く)

え……そうかな。言われたことはないかも
ただ、俺は困っている人や悩んでいる人がいたら真剣に向き合いたいと思ってるからかもしれないね
これはただのエゴだけれども……その方が気分が良いから。かな

(ゲンセイの瞳をしっかり見つめ、笑い返す
 しとしとと降り続いていた雨がやがてぽつりぽつりと小さい音に代わっていく
 空を覆いつくしていた重たい雨雲が強い風に吹かれ、飛ばされていく)
え、そうなの?
(笑い返した青年へきょとんとした顔で首を傾げ、シンクロしたように子猿も同じく首を傾げた。)

へー、んなら俺が第一号だな!(と、屈託なく笑いかけ。)

エゴなんて、難しいこと俺はよくわかんないけど。
やらなかったことの後悔っていつまでも覚えてるもんだし。
まあ……やってしまった後悔てのも、もちろんあるんだけどさ(微笑みながら、ほんの少し眉を下げて)
でもなんていうか、心が言葉にがんじがらめにされるなんて、きっと不幸なことだと思う。

(言いながら雨雲が薄れていく空を見上げる。
灰色の雲の隙間から瞬いているいくつかの星を見つけ、嬉しそうに微笑み。
トンっと一歩跳んで、青年の方へ半身で振り返り。)

雨、弱くなってきたし、俺はこの辺で。
世間話に付き合ってくれてありがとな。
俺、こっちに来てからまだ知り合いっていえるようなやついないし、
年頃近いやつとも話してなかったから、楽しかった。
そんじゃな、雨……あ、あー……(と、何かを言いかけ。)
ん、やっぱいいや!帰り道、気を付けてなー。

(羽織を翻して背を向ける青年の肩口から、後ろ向きになった子猿が小さな手を懸命に振っていた。)
後悔したっていいんだよ。誰でも後悔はするものだよ。それに、後悔するほど真剣だったってことじゃないかな? それはとても素敵なことだと思うよ。何もかもに無頓着でどうでもいいと思っている人だったらきっと後悔なんてしないと思うから……

(――後悔。それは生きていれば誰もが通る壁。でも後悔をのり超えた先にはきっと笑っている自分がいるはずだから。不幸なんかじゃないよ
 雨月は雲が薄くなった夜空を見上げながらゲンセイに笑いかけた)

ん……? うん
こちらこそ話しかけてくれてありがとう。それと、美味しい肉饅頭もね
気を付けて帰ってね

(ゲンセイが飲み込んだ言葉が少し気にかかたが、いつか会えたら聞いてみようかな。と、背中を向けたゲンセイと、手を振る豆吉を笑顔で見送った

 青黒い夜空の真ん中に、銀色に輝く三日月がぽっかりと浮いている
 すっかり雨は上がって、ぴゅーっと冷たい風が雨月の頬を撫でた)

さて、俺も帰らなくっちゃな

(じっとりと雨水に濡れてしまった白衣を絞りながら雨月は自分の帰るべき家へと足を進めた)


――――雨の降る夜に end

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