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シナリオ詳細

<孤樹の微睡み>聖痕の魂晶

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<孤樹の微睡み>聖痕の魂晶
 深い深緑の拡がる深緑の『アルティオ=エルム』。
 冠位怠惰はイレギュラーズ達の活躍によって退けられ、今となっては近隣諸国との交流も再開……深緑の国の特産物がラサのマーケットに並ぶことも珍しくはなくなった。
 無論ラサも、吸血鬼などにより一時の危険はあったものの……今はどちらの国も平穏なる世界を取り戻し、人々は日々の生活を送っている。
 ……だが、そんな深緑やラサの国も、未来永劫平和である……とはいかない様で。
『あはは……そっかそっかー。平和なんだねー、この国は……壊したくなっちゃうじゃん』
 くすりと微笑むのは、小柄な背丈の影のモノ。
 声の具合も併せれば女性か、それともかなり若い男……といった所だろうが、その顔を窺い知る事は出来ない。
 そして彼は。
『そうだなぁ……壊したいなら、壊しちゃえばいいよね? あの聖女かぶれも上手く利用していいって事だし、ね』
 そう影のモノは言うと、その手を虚空に差し伸べる。
 漆黒の闇の中に、ほんの僅か……ぼんやりと光が浮かぶ。
 その軌跡は、『翼』を重ね合わせた様な、幾何学的な紋様。
 そしてその紋様の中から生まれ出るのは……。
『……ググゥゥゥ……』
 普通の大人よりも、一回りほど大きな姿をした……獣状の『何か』。
 そしてそれは、影のモノの傍らに頭を垂れると。
『うん……いい子だ。それじゃ、思いっきり暴れて来てくれていいよ……楽しんで来るんだよ!』
 まるで飼い犬を広場に首輪を解いて放つが如く。
 それに獣の『何か』は嬉しそうに甲高く鳴いて……虚空より『アルティオ=エルム』へと飛び込み襲撃を仕掛けるのであった。


「えっ……本当……ですか……?」
 天義首都の街角にて、驚きの表情を浮かべる『深緑の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
 彼女の元に齎されたのは……故郷である『深緑の国』に、『終焉獣(ラグナヴァイス)』が現れたとの報告。
 突如、前触れもなく現れたその影は、『アルティオ=エルム』の地に現れると共に、逃げられなかった者達を喰らおうとしていると言う。
 当然彼女の胸騒ぎは鼓動を早め……どうにかしなければ、と言う焦燥感に駆られるのも仕方ない。
 ……でも、そんな焦りを露わにしないようにしながら、ルリアは皆に振り返り。
「御願いします……深緑の国に襲い掛かる脅威を……打ち払ってきて頂けないでしょうか……? 終焉の獣が現実世界に現れたとなると……恐らくは……影の軍勢の者達の影響でしょう。でも……今はその手がかりが殆どありません。どうか獣を倒し……その痕跡を見つけてきていただきたいのです……我が儘、かもしれませんが……どうか、御願いします……」
 本当に申し訳無さそうに、深々と頭を下げた。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 どうやら『遂行者』達のターゲットは、とうとう深緑にまで及んできた様です。

 ●成功条件
  深緑の『アルティオ=エルム』の一角に突如姿をあらわした『終焉獣』を撃退し、街を守る事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   皆様の向かう場所は、樹をくりぬいた形で家々が立つ深緑の地です。
   極普通の街で、当然ながら非戦闘員のハーモニアの方達が住んでいます。
   当然そんな場所ですから、皆様がまずやらねばならないのは終焉獣(ラグナヴァイス)から住人の避難です。
   彼らを非難させないと、不意を突いて殺されてしまう羽目にもなりかねませんので、そこはご注意下さい。
   尚、大樹の袂ですので、火を使うと燃え¥拡がる危険性があります。
   相手はそれをおかまいなしに仕掛けてきますので、戦闘時は延焼対策も踏まえた上で作戦を考える様に御願いします。

 ●討伐目標
 ・狼状の巨躯の『終焉獣』の群れ
   R.O.Oの世界で観測されていた詳細不明の生き物達です。
   今回の終焉獣たちは『狼』の姿をしていますが、性質で言うとケルベロスに近しいかもしれません。
   その口元から炎・氷・雷を放ち、更に素早く回避力も高い相手です。
   属性のブレスは当たれば同時にバッドステータスも付与されますのでご注意下さい。
   又、彼らは知性は無い様で、言葉等で説得等しても無駄です。
   ただ、『音』には敏感の様で、注意を逸らす為にそういった作戦を採る……というのはいいかもしれません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <孤樹の微睡み>聖痕の魂晶完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年07月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エマ(p3p000257)
こそどろ
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす

リプレイ

●堕落の刻
 深い森が拡がる深緑の国。
 冠位怠惰の魔の手から時は経過し、今は平穏を取り戻しつつある自然豊かな国。
 だが……そんな深緑、『アルティオ=エルム』に突如姿を表したのは……奇怪かつ凶暴な生物達である『終焉獣』。
 彼らは大樹の聖域に足を踏み入れ、罪も無く棲まう人々を蹂躙し、喰らい尽くす……そんな惨劇が、もはや起こりつつある状況。
「くそ……開幕から襲われている状況とは、かなり不利な状況だな……!」
「ええ。居住区だろうがなんだろうが、彼らはお構いなしに侵食してきますね、この手の異空間騒ぎは」
 アルティオ=エルムに向かう道すがら、駆ける『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)と『こそどろ』エマ(p3p000257)の躱す会話。
 暫しの平穏を取り戻した故に、街の人達は平穏に身を預けており、突如終焉獣が現れるだなんて思っても居なかった事だろう。
 『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)も、平穏な世界にやっと穏やかな時を過ごしていた……なのに。
「やっとやっとみんな落ちついて暮らせるようになったのに……! また、みんなを悲しませるなんて許せないのよ!」
 頬を膨らませながら、終焉獣の傍若無人な振る舞いに怒りを露わにすると、それに『タコ助の母』岩倉・鈴音(p3p006119)も。
「全くだ。突如終焉獣の群れが襲来するホットスタートな世界になってしまうとはね。なんとしても、倒してホッとするエンドにしたいもんだネ」
「ええ! ルシェはお姉さんだから、だからアルティオ=エルムの人たちを守るのよ!」
 いつも以上に張り切るキルシェ、それに感化されるように『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)も。
「そうですね……これ以上、奪わせてなるものですか……一人でも多く、助けないと……!」
 あの時の惨事を繰り返してはならない……そんな危機感と共に沸いてくるのは、終焉獣の存在。
「それにしても終焉獣、だったかしら? R.O.Oで現れた敵だとは聞いているけれども、私はほぼ未プレイ状態だから、あんまり詳しく知らないのよねー」
 と小首を傾げる『狐です』長月・イナリ(p3p008096)に、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)は。
「そうか……まぁ、参加してないなら、見覚えがない敵だというのも普通か。まぁ……R.O.Oの世界でも酷い敵だったさ」
「ふぅん……そうなのね?」
 興味津々、目を煌めかせるイナリ……一方どこか斜に構えた『狂言回し』回言 世界(p3p007315)が。
「ああ……ま、今回は難しい事は無く、シンプルな面倒事だ。住人を逃がしつつ、敵を排除して、ついでに街も火から守れ、という事。いくら俺がデキる男だからといっても過大評価が過ぎるぜ、まったく。泣けてくるぜ」
 笑う世界にウェールは複雑な表情を浮かべて。
「……ま、確かに。普段から俺は人命救助は失敗したくない、だから気が引き締まるものだ。だが……今回の終焉中はそれ以上にもう一つ思う所があるんだよな……当時は未だ敵だったからとか、色々な事情はあるにせよ、あの事件以来、木々の焼ける匂いが嫌なんだ。罪を連想させるからな……」
 彼も又、R.O.Oの世界で色んな事件を経験してきた経験者である事は間違い無い。
 そしてその脳裏に刻まれた、木々の焼ける匂いと……今感じる匂いが微かにリンクし、彼を苛む。
 だからこそ、その苦い記憶を再来させない為にも、今、ここで決着を付けねばなるまい、と。
「人的被害0を目指すのは当然だ。それに加えて、木々も家屋も被害を減らす。日々を過ごした誰かの思い出が一杯の家屋を燃やさせるかよ!」
「そうね。とりあえず民間人を何とかするところから始めないとね」
「ああ。取りあえずなんとか避難誘導を終わらせないと! 俺達が街の人達を避難させている間破、奴等を頼む……!」
 ウェール、エマ、サイズの言葉……そして
「よーし、鮮度良くぶち殺したら、解剖して中身をしらべましょうかね♪」
 何処か嬉しそうなイナリの言葉も加わり、そしてイレギュラーズ達は、アルティオ=エルムの大樹の街へと辿り着いた。

●樹焉
『ひ……なんだ、なんだぁぁ……!!』
 突然の事に訳も分からず、木霊する悲鳴。
 地上を駆ける獰猛な獣の様な『何か』と、追い立てられる住民達。
 転び、足を挫いてしまったのか……動けなくなっている人もちらほらとおり、それを見つけた終焉獣は『キシャアア!!』と咆哮を上げてそれを喰らおうと接近中。
 ……そんな終焉獣と住人達の間にアクロバティックな動きと共に割り込むのはウェール。
『グゥゥゥルゥゥ……!!』
 唸り声を上げる終焉獣だが、そのターゲットを自分に引き付ける様、声高らかに咆哮を上げる。
『グガァ!!』
 明かな敵対行動とみなし、威嚇する終焉獣達……その一方で、鈴音はすかさずその周囲に保護結界を張り巡らせて、大樹を炎から守る様に行動。
 その一方でキルシェは周りの精霊達を落ちつかせるように話しかけつつも、彼らに。
「ねぇみんな、この近くに避難に向いている開けた場所はないかしら? みんなを安全な場所に避難させたいの。だから良い場所を知って居たら教えて?」
 と、この近くで避難する場所がないかを問い掛ける。
 精霊達も当然の事ながら、突然の襲撃に驚いてしまっては居るが、キルシェの言葉に平穏を取り戻す。
 そして……精霊達のネットワークで終焉獣が未だ到達していない大樹の裏側の広場を指し示す。
「あっちなのね、了解なの! みんな、あっちの方に避難させてください、なのよ!」
 その声を仲間達に伝えるキルシェと、それに頷きながらサイズは周りの住人達へ。
「ローレットのイレギュラーズです! こちらの避難誘導に従ってください!」
 と叫ぶ。
 更にウェール、鈴音も。
「こちらはローレット! 音に敏感な獣たちは俺達が惹きつけるから、安心して避難してくれ!」
「そうそう。ここはわたしらに任せて住人は先に逃げろ~!」
 あえて大きな声を上げたり、持ち込んだ打楽器をドンドンガンガンと鳴らして音を掻き立てて、終焉獣達のターゲットを強制的にこちらへと惹きつける。
 また倒しつつもイナリは。
「犬(ケルベロス)の外見をしているみたいだけど、その中身は……犬と同様の構造なのかしらね? 興味深いから、実際にぶった切って、中身を拝見しましょうか!」
 と、危機として終焉獣の行く末を知る為に、一匹ずつを確実に仕留めて回る。
 その一方でエマ、サイズ、キルシェ、涼花の四人で持って、周りに居る住民達をその場から順次避難させていく。
 勿論、その行く先に終焉獣が居る可能性はある……だが、そこは涼花が呼び出した小鳥のファミリアーを上空に飛翔させる。
「無理をさせてごめんなさい、全力で飛び回って欲しい」
 涼花の言葉に従いし小鳥は、木陰に隠れない程の高さまで上昇してその視界を涼花と共有し状況把握。
 終焉獣の来る方向を鋭く察知しながら、住人達を落ちつかせつつ、その場から順次避難を進めていく。
 またそれでも感知出来ないような、気配を殺したモノの襲来については、鋭敏な感覚を張り巡らせたエマが住人達と共に避難することで素早く対処出来るようにしつつも、住人達に声を掛け、悲鳴、恐怖の声を上げさせないように注意しながらも道を進んでいく。
 そう四人が住人達をその場から避難させている一方で。
「さぁ……それじゃこっちも思う存分音を出して暴れさせて貰うとしようか」
「ええ、そうですね……思いっきりいきましょう」
 世界とイナリは頷き合うと、世界は音の爆弾を投下し、敵の狙いを一片の隙も無く自分達に寄せる。
 そして牙を剥く終焉獣にイナリが掠め手の奇術で己の動きを加速させ、流れる様に仲間の怒り効果の効きが悪いと目星を付けたモノに遠距離から三つの殺人剣を振りかざしていく。
 剣閃によりて、その身に大きな傷が裂かれるが、終焉獣は決して立ち止まりはしない。
 獣の咆哮を上げ、目の前に立ち塞がるイレギュラーズ達を敵と認識し、ただ……食い殺すべく暴れる。
 更にその口元を開けば、口内にうずめく炎や氷、雷。
「あいつは炎、こっちは氷のブレス吐き……という事か?」
「その様だね。いやはや、外見は全く同じだというのに、そういった所は器用なもんを作り出すものだね」
「ああ……全くだ」
 鈴音の言葉に肩を竦めつつも、ウェールはタンクの役目を全うするが如く、終焉獣の動静に目を配りつつ、怒りの効果付与を常に継続し、決して敵を逃さぬように立ち回る。
 更には鈴音は音を掻き鳴らしながらも、避難する人々を追い立てようとする終焉獣をいち早く見つけては、その場に素早く回り込んで立ち塞がる。
『グルグァアア!!』
 邪魔するんじゃない、と言わんが如く業炎の焔を吐く終焉獣……その身を炎が蝕むものの、決して退く事は無い。
「わたしたちが倒れたらこの街はどうなるというのですかっ! だから、この先には行かせませんっ!」
 毅然たる態度で睨み据える鈴音。
 そんな四人の防衛網で、一分の隙も無く彼らの前進を留めながら立ち回る。
 更に、特に炎のブレスを吐く敵については、その放火を己が身で受け止める事で、燃えやすい周りの木々に火が燃え移らないように最大限の配慮を行い、僅かでも火が着けばすぐに足で踏みつけたりと、鎮火に回る。
 当然四人の動きは左へ、右へと戦場を駆けずり回ることになるが……疲れを見せる事も無い。
 そうして、数十分の刻が経過した頃。
「……お待たせしました……!」
 遠くから飛んでくる癒しの力。
 振り返れば大樹の方向からかけつける、涼花らイレギュラーズ達の姿。
 戦線に合流すると共に、エマとサイズも。
「えひひ……お待たせしました」
「この辺りにいた住人の方達は、安全な場所まで避難させられました。勿論……この先に俺達が奴等を通さなければ、だけど」
「そうですねぇ……では、本格的に戦うとしましょうか」
 笑みを浮かべるエマ……そしてサイズは躊躇無く小柄な身体と同じ位大きな鎌を振るい、前へ出て来ようとする終焉獣の首をかっさく様に一閃。
 更にサイズの攻撃に合わせるようにエマが超高速で繰り出す突撃殺法で、横っ腹から狙いを定めて一閃を放つ事で完全に息の根を止める。
 ……仲間を傷付けられた終焉獣は、更に怒り、見敵必殺の如く暴れ回り、口元のブレスを吹き付けるペースもハイペースに繰り返す。
 一撃一撃がかなり高い威力を誇る為に、イレギュラーズ達はかなりのダメージを喰らう事にはなる。
 だが……合流し涼花が常に回復を重視して動く事で、そのダメージは後に残さぬ様に力を尽くしていく。
 そんな迫り来る終焉獣を確実に一匹ずつ仕留める中、キルシェは終焉獣達に向けて、辛辣に。
「ルシェ、怒ってるの。深緑のみんな、やっと落ちついて暮らせるようになったのに……! なんで、こんなことをするの!!」
 深緑の人達が大事だから……だからこそ、彼らの狼藉は許せない。
 だからこそ、いつもより攻撃的に……精神的な破壊力を一極集中させて、確実に終焉獣を仕留めるように動く。
 勿論終焉獣はそう簡単に死ぬ事は無く、しぶとく生き延び続けようと戦場を駆け巡るが、八人のイレギュラーズ達が常に声を掛け合う事で、その動きを見逃す事無く滅殺していく。
 ……そして、更に十数分経過した頃には終焉獣の数は数匹にまで減少。
『グルゥゥ……!!』
 と、流石に威嚇の声を上げて間合いを取ろうと後ずさりする彼ら。
「逃がさないわよ? 私がエスコートしてあげるから、こっちに来なさい!」
 と逃げようとする彼らの後方へと回り込み、その精神に干渉して逃げ道を塞ぐ。
 逃げ道を塞がれた所に鈴音が。
「さー、もうそろそろ終わらせようか。ゆっくりと死んで行ってね」
 と笑みを零しながら熱砂の嵐をその足元に展開して敵の動きを更に鈍らせて、逃げ足を低下させる。
 そして……。
「森も、みんなも、傷付けさせません。傷付けたいなら、私を倒してからにしなさい!」
「そうだよ。お前たちが奪って良いものなんか、何一つないんだ」
 キルシェに加え、涼花も辛辣に彼らを非難し、倒す。
 一匹ずつ確実に死を与えていき……終焉獣たちは断末魔の咆哮を上げながらも、木陰の下にまるで影が失せるかの如く……死した影はその場で消え失せて行くのであった。

●救われるものは
 そして……。
「ふぅ……残りの終焉獣は……いなさそうだな」
 息を吐き、武器を降ろすサイズ。
 既に影も形もなくなってしまった終焉獣達は、まるで悪夢だったかの様に……記憶にはのこるものの、姿は失われてしまっている。
「取りあえず姿だけは狼だったけど、何と言うのか……幻みたいな存在だったみたいね? 取りあえず、何か痕跡は知れるかもしれないから、ちょっと調べて見ましょうか」
 とイナリが失せた影の所に跪き、地面に残った爪痕やら、残滓の思念に意識を傾ける。
 当然の事ながら、姿がないものを調べるとなるとほんの少しの切っ掛けにも耳を傾けなければならず、かなり時間がかかるもの。
 その間に……。
「……取りあえずこの周りの安全は俺が確保する。皆は街の人達の安全確保と、状況確認をしてきてくれるか?」
「ん……ああ、解った。それじゃこっちの方は宜しく頼むな」
 ウェールの言葉にサイズは頷き、そしてサイズ、世界、キルシェらは避難した住人達がいる場所へと向かう。
 避難していた人々は、不安気な表情でやってきたイレギュラーズに。
「あ……も、もう……大丈夫なのか……?」
 と問い掛けてくる。
 それにキルシェがニッコリと笑みを浮かべて頷きながら。
「ええ、もう大丈夫なのよ! 本当に怖い思いをさせてごめんなさい。でも、もう大丈夫だから安心してね!」
 胸を叩き、自信満々に話しかけるキルシェに、そう、よかった……と安堵に胸をなで下ろす住人達。
 そして世界が。
「さて……無事に終焉獣は倒せた訳だが……みんな、怪我とかはないか? 急いで逃げたから、転んだりしたのも居たみたいだからな」
 と言うと、キルシェとサイズが。
「取りあえず怪我ある人がいたら、教えてほしいの。ルシェ、張り切ってみんなの傷を治して上げるから!」
「それじゃ治療はルシェに任せるとして……落ちついたら家の方に向かおう。もし何か荒れてたりする所があったら教えてほしい。俺の全力で、必ず治すからな」
 並々ならぬ意気込みを口にして……三人が住人達のケアに奔走。
 ……そして一通り皆の治療を終えれば街に戻り、終焉獣の暴れた痕跡で壊れた箇所とかを見つけて、そこを修繕して回る。
 そうして住人達のケアを終えた仲間達がイナリとウェールらの下に戻ってくると、イナリが。
「………これくらいかしらね」
 立ち上がり、目を開く。
「ん? あー、終わったのかな? どうだい、どんな事が解ったのかな?」
 と鈴音の言葉にイナリは。
「そうね……まぁ肉体構造自体は普通の狼とは大きな違いはないみたい。ただ変な力を使役していた様に、何らかの力を与えられて、強制的に変異させられたみたい。その力こそ……まああの遂行者とか、そういった類いの様ね」
「やっぱり……そうなんだ。まぁ普通にR.O.Oのが出てくるだなんて思えないしなぁ……とはいえ、また別のが出てくる可能性がないとは言い切れない訳か」
「そうですねぇ……最近は深緑だけでなく、ラサとかにも出て来ている様ですし。どんどんとこれからも拡がっていきそうですねぇ……」
 ウェールにエマが空を仰ぎ見て、紡ぐ言葉。
 ……不気味な侵略者達の動きは未だに蠢き……その真実は闇の中。
 そして今、イレギュラーズとして出来る事は……そんな影より生み出されるモノを確実に闇に葬る事。
「……取りあえず得られた情報を纏めないといけませんね。一旦戻るとしましょう」
 そうイナリが皆を促し……イレギュラーズ達は深緑を後にするのであった。

成否

成功

MVP

長月・イナリ(p3p008096)
狐です

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きまして、ありがとうございました!
暑い日々が続くと、深緑のような地に涼みに行きたくなりますね……。
終焉獣も無事に倒せ、深緑の方達も皆様に感謝しているでしょう……本当にありがとうございました!

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