PandoraPartyProject

シナリオ詳細

キャトられ⭐︎七夕てゅーみれーしょん!

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 七夕。それは一年に一度、織姫と彦星が再会できる奇跡と愛に満ち溢れた日。
「当日くらいは星空を眺めて、大切な人へ想いを馳せて過ごしたいもんだな」
「ほう。ベルナルド殿もロマンチストなところがあるんだな」
「るせぇ、ただ絵の題材に丁度いいと思っただけだ」
 冬越 弾正の素直な感想に、ベルナルド=ヴァレンティーノは前髪に隠れた目を挙動不審に揺るがせた。このところ、恥ずかしくて言えるはずもない。何かにつけては天義に残した聖女ーーアネモネ・バードケージの事を想っているなどと。
 彼の動揺を知ってか知らずか、弾正は腕を組み思案する。
「星を見るなら田舎の方が、よく見えるに違いない。
 どうだろう。豊穣にある俺の領地で、七夕祭りを楽しまないか?」
「それは面白そうですね!」
 商売の気配を感じ、すかさず鵜来巣 冥夜が会話に割り込む。
「私のホストクラブからスタッフと、お酒の用意を致しましょう」
「いいのか?」
「えぇ。ちょうど豊穣に新たなコネクションが欲しいと思っていたところです」
 と笑顔で告げる冥夜の本音もまた別にあり。
(七夕については既にリサーチ済み! 短冊に願いを書けば、叶うという願掛けを使えば……京ちゃんともっと親密になれる!)
「では決まりだな。当日は楽しい祭りにしよう」


 色とりどりの飾り紐が笹の葉と共に夜風に揺れる。
 空は雲ひとつ無く、夜になれば空は星々で満たされるだろう。

「酒と料理の準備も滞りなく。これなら皆さんにご満足いただけるかと」
「展望やぐらの設営も終わったぜ」
「ありがとう、冥夜殿、ベルナルド殿。後は会場を開けてーー」

 祭りを始めるだけ、という弾正の声は領民の悲鳴によってかき消された。

「なっ、何があった!?」
「あれを見ろ!」

 ベルナルドが指差した先を弾正と冥夜は見上げ、絶句した。

 ぱわわわわ!

 謎めいた音と共に、領民が一人、また一人……空に浮かぶ銀色の円盤めいた飛行物体に光を浴びせられた瞬間、体が持ち上がり円盤へと吸い寄せられていく!

「な、何だあれは!?」

 訳の分からない状況に固まる弾正達。そうこうしている内に、人を吸い込んだ円盤はカクカク不思議な動きをした後、ぽん! と何かを吐き出した。

 にゃあ。

「猫だ! なんかよく分からんが猫が吐き出されたぞ!」
「よく分からないなりに、対処した方がよさそうですね!」

 どの道、この混乱をどうにかしなければ祭を楽しむ事はできないのだ!
 特異運命座標達と未確認飛行物体の、不思議な戦いが幕を開けるーー

NMコメント


 今日も貴方の旅路に乾杯! NMの芳董です。
 七夕依頼を出したかっただけなのに、ドウシテ……。

●目標
・全エネミーの討伐
・七夕祭りを楽しむ

●戦場
 豊穣の冬越弾正の領地、常山という山の中です。ところどころ地面からカジキマグロが生えている事をのぞけば普通の山です。
 戦場は祭り会場。山の中の開けた場所です。

●エネミー
 NFO(にゃーふぉー)×30
 猫耳が生えた銀色の空飛ぶ円盤。これでも立派な魔物です。
 攻撃スキルは【火傷】になる虹色のビームを飛ばしてくる他、特殊攻撃『キャトる』をして来る場合があります。

 特殊攻撃『キャトる』:NFOに吸い込まれてしまう特殊技。吸い込まれた者は一定時間、猫の姿になってしまいます。戦闘は自由に行えて、喋ることも出来ますが、なんとなく語尾が「にゃ」になります。
 いつ解けるかはランダムだとか?!

●味方
同行している味方。プレイングで指定されれば戦闘や祭に登場します。

冬越 弾正(p3p008218)
 ローレット所属の特異運命座標。音の因子を持つ精霊種です。今回の祭り会場を提供した領主でもあります。アタッカーとして戦います。
 祭りでは主催として会場を歩いて回っています。

ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p008218)
 ローレット所属の特異運命座標。画家を生業としているクロウタドリの飛行種です。AP回復などの支援を行います。
 祭りでは七夕の夜を描くつもりだとか。

鵜来巣 冥夜(p3p008218)
 ローレット所属の特異運命座標。シャーマナイトの秘宝種で、ホストを生業としています。タンクとして戦います。
 祭りでは会場で接客をしているようです。

●七夕祭り
 戦闘後は祭りを楽しむことができます。
 会場にはお酒やイカ焼き、わたあめなどの屋台が並んでおり、自由に飲み食いができます。
 七夕飾りの展示があり、短冊に願い事を書く事も可能です。

 会場から少し離れれば、人々の喧騒もなくなり、ゆっくりと夜空を眺める事ができるでしょう。設置された櫓(やぐら)に登れば、少し星から近い場所で過ごせるはずです。

 説明は以上となります。それでは、素敵な七夕をお過ごしください。


キャトられ⭐︎特異運命座標
【1】を指定すると高確率でキャトられちゃう?!

【1】キャトられる!
ご希望の猫の種類や毛並みがあればご指定くださいにゃあ。
なければランダムに決まりますにゃあ。

【2】キャトられにゃい!
NOキャトられでフィニッシュしますにゃあ!

  • キャトられ⭐︎七夕てゅーみれーしょん!完了
  • 宇宙猫と七夕。未知との戦いがはじまる! NPC:冬越弾正、鵜来巣冥夜、ベルナルド=ヴァレンティーノ
  • NM名芳董
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年07月21日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
変わる切欠
アカネ(p3p010962)
ゆめのひとかけら

リプレイ


「戦う前に、ちょっとだけいい?依頼書のこのタイトル、誤字だよね」
 聡明な 『冬結』寒櫻院・史之(p3p002233)は、まず真っ先にツッコむ。差出人の冥夜はニコッとした。
「キャトル『ミュ』ーティレーション、では?
ほらキャットだけに、みゅうって。よく聞こえない?
みゅ、みゅー」
「はいストップ」
 みゅーみゅー言ってる史之さんの台詞、ボイスピンナップサイズで戴きましたー!
「たっ、謀られたー!?」
 初対面の人間に自己紹介する前から罠にはめられ、史之は膝から崩れ落ちた。絶望する夫を、夫婦である『秋縛』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)がフォローする。
「しーちゃん。みゅーみゅー鳴きながら恥ずかしがってるの、とっても可愛かったから。後でもっと聞かせてね?」
…否、あんまりフォローになってなかった。開幕からイチャイチャする寒櫻院夫妻を遠目に見、冥夜は後方オタクの姿勢を取る。
(ここまでイベントが事故ったからには、皆さまに録れ高の高い言葉を乱発して戴き還元せねば――)
「めーやくーん!」
「あっ、あかね!?」
 そんな計算高い冥夜の誤算といえば、大事な愛娘『ゆめのひとかけら』アカネ(p3p010962)まで村を訪れている事だった。
「あんね、アカネおしごとさがしてたら、なんかここにこれたの!」
「偉いぞあかね。早速、今日の経験値と報酬を…」
「過保護爆発させすぎです冥夜様、まだ敵の討伐が終わってないと思うのですが」
 いい機会なのでと軽い気持ちで弾正の領地に遊びに来た『淡い想い』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)にとっても諸々誤算である。
「まさか、地面からカジキマグロの悪霊が生えて来るなんて…。おまけに猫型のUFOまで現れている様ですし」
「ジョシュア殿。そのカジキマグロは敵じゃない」
 弾正の訂正に、思わずジョシュアは聞き違いかと振り向く。今度は弾正の恋人である『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)が口を開いた。
「隣にある俺の領地でもゲーミング・カジキマグロがポップするぞ」
 ご想像いただきたい。地面からにゅるって生えてくる16万色のビチビチした輝きを。
「いいからお前ら喋ってねぇで手を動かせ!」
 と、こちらは今回のマトモ枠ベルナルドの発言だったが、その視界の先にはNFOが猫化した村人へまっしぐらな『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)の姿。
「猫ーーーー!!」
「ヨゾラ様が猫に我を忘れてる! 待ってください、ヨゾラさ…」
「うわーーーー!?」
「キャトられるの早ぁー!?」
 時すでに遅し。ジョシュアの前に、ころんと一匹の灰毛の猫が転がった。ロシアンブルーは本来、子猫から成猫になる過程で目の色が青から緑に変わるものだが、成猫のまま青目でいるのはヨゾラ本来の姿が反映されたからか。
「…って、猫ににゃってる猫に!あああ写真撮りたいにゃー!」
 大興奮で腹を見せたままぐりんぐりん身体を曲げてはしゃぐヨゾラを、パシャパシャ弾正が連写する。
 このままではノリで全員、猫になりかねない。ジョシュアは眉をハの字に寄せる。
「どうやら今回、ツッコミは僕とベルナルド様だけのようです。慎重に戦いましょう」
「そうだにゃ」
「だからキャトられるの早くないですかー!?」


「とにかく、このままではお祭りどころではありませんのでなんとかしましょう」
 ジョシュアが聖弓を天へ引き絞り、勢いよく解き放つ。光の矢が美しき恐怖劇を奏で、敵のみへと降り注いだ。ぴるるる〜、と謎の音を出して撃墜されていくNFO。倒れ方も可愛いすぎる!
「かわいー! アカネ、つかまえてひみつきちでかっていい!?」
「仕方ないな。まずは一匹、徹底的に躾けて…」
 目の色を変えてブツブツ呟く冥夜を弾正が抑える。この男、あかねが絡むと過保護オブ過保護である。
「あかね様、残念ですが魔物は飼い慣らせないモノなんです」
 何処かからスライムっぽい視線を感じ、ジョシュアは無視した。収拾がつかなくなるからね!

「カンちゃん、前に出すぎだよ!」
「僕だってしーちゃんに守られてばかりじゃないもん!」
 夫婦二人で久しぶりのお仕事。史之も睦月もやる気一杯だ。史之がNFOを刀で叩き伏せれば、疲れを睦月が癒しの力をもって緩和する。息のあった連携で次々と敵を打ち倒すも、困った事がひとつ。睦月の放った攻撃は、射程が届かず避けられやすい。
「カンちゃん、捕まって」
 事態を察知し、流れる様に彼女を抱え上げる史之。ふわりと空へ飛び立つと、睦月は最初驚きこそすれ、嬉しそうに耳打ちした。
「ありがと。この状況、お空デートした時みたいだね」
「言われてみれば、確かにそうかも」
「……ね、しーちゃん」
「なに?」
「あの時は急に縛られて、ちょっとびっくりしたけれど…うれしかったよ?」
「~ッ!!」
 当時の事を思い出し、空中で急ブレーキを踏んで真っ赤になる史之。すぐさまNFOが近寄り、やがて二人は――
「あっという間にキャトられたにゃん」
「ふ、不覚だったにゃん…」
 赤い触覚が生えたふわふわ白ぬこ睦月にゃんと、赤い瞳で眼鏡をかけた黒猫しのにゃん。二匹は驚き、にゃーにゃーじゃれ合う。
「ああぁ、可愛いにゃあ! でもじゃれるのは我慢にゃ…!」
 この惨劇ならぬにゃん劇は猫好きの理性を溶かすが、ヨゾラにゃんはマテが出来るぬこだった。
 プルプル震えて耐え忍ぶ彼の前に、ぽん、とキャトられたばかりのふわふわ金毛子猫のあかねにゃんが転がる。
「よぞらくん、なでなでしていいにょー?」
「お許しがでたにゃん!」
「おっ、俺も混ぜろにゃ!」
 ベルナルにゃんも加わって、三匹がわちゃわちゃ、もふもふ、てちてちてち。
「現場が凄くぬこぬこしくなってるにゃ」
「その表現は止めて差し上げろ、弾――いや、くろねこダンジョーだったか」
 連れて来た使い魔があまりにも弾正に似すぎていて、アーマデルは一瞬見誤った。ふいーっと額の汗を拭う。
「焦った。てっきり弾正がキャトられてしまったかと思ったぞ。弾正は俺が守るにゃ。KTR(キャトり)許さないにゃん!」
 そこまで叫んでから、はっと黒猫にゃーマデルは宇宙猫顔になった。喋っているうちに自分がKTRれているにゃんて!
「うぅ、不覚です。僕まで猫になってしまいましたにゃ…」
(´・ω・`)って顔で茶トラのジョシュにゃんが俯く。縞模様の一部に紫メッシュが入ってるので分かり易い。
 残る人間は冥夜と弾正。にゃんデミックは留まる事をしらない!
「めーやくんでっかい! のぼっていーにゃ!?」
「落ちない様に、気を付けるんだぞ」
 おまけに残存戦力(冥夜)は可愛い猫の奴隷である。戦意がごりごりに削がれている。
「猫は見るから可愛いのであって、なるのは恥ずかしいですにゃ…。にゃーマデル様、今までこのNFOというのは山によく出ていたのですかにゃ?」
「初めてにゃ。困ったにゃ…このままではカジキマグロもキャトられてねこなのかカジキマグロなのかわからない謎の名物が爆誕してしまうのにゃ」
 ジョシュにゃんが心配そうににゃんマデルの横顔を見る…が、次の瞬間、真顔になった。
「そんなのダメなのにゃん、うわさを聞きつけて通りすがった諸国漫遊の若大将に弾正が見初められたりしたら俺は許さないのにゃん!」
「大丈夫だにゃんマデル、俺は一途だから!」
「弾正ッ…!」
 一人と一匹の世界になってる横で、ころんとでんぐり返ったあかねにゃんが思いつく。
「はっ…もしかしたら、にゃーふぉー、まぐろたべにきたのかもにゃ…!」
「あかねにゃん、賢いにゃ!」
 そーれ、とあかねにゃんが炎の花を散らせ、近くに生えてきたカジキマグロを直火焼く。香ばしい匂いにつられ、にゃごにゃご一か所に固まるNFO。
 チャンスとばかりにヨゾラにゃんが星空の泥で辺りを満たし、ジョシュにゃんの魔弾が一弾一殺。睦月にゃんと史之にゃんが空へ逃れようとするNFOを牽制しーー
「イエ~イ、NFO殿見てるにゃ~ん? これからNFO殿たちをめろめろにしちゃいま~すにゃん!」
 後光輝くにゃーマデルの声と共に、冥夜の『あかねにゃん絶対守るキック』と弾正の『純愛NTRれぬパンチ』が激しく火花を散らしたのだった。


 その後、真っ先に猫化が解けたのはジョシュアだった。どうやらこの猫化は毒が引き起こした物らしい。そう気づいてから、村の対応は早かった。
 村医者と話し合い解毒薬が出来上がってからは、人も猫も一安心。好きな姿で祭りに参加出来るようになったのだ。

「もっと猫でいたかったけど、七夕祭りもちゃんと楽しみたいよね」
 ヨゾラが手にしているしゅわしゅわのラムネは、史之のギフトである『ドリンクフォーユー』で生成されたもの。冷たい刺激が喉元を通り過ぎ、身体をクールダウンしてくれる。
「らむね、おいしーね!」
「ふふ。あかねさん、好きなだけ飲んでね」
 喜ぶあかねの頭を撫でる睦月は、なんだか子供をあやす母親の様で。垣間見える母性という新たな魅了に、史之は何だか得した気分であった。
 そして史之のギフトへ目をつけたのは、もう一人。
「史之様は素晴らしい力をお持ちですね」
「冥夜さんはホストクラブを経営してるんだったね。どう? うちから安く仕入れてみる?」
「話が早くて助かります。それでは明日から、ホストクラブ『シャーマナイト』海洋支店勤務でお願いします」
「待って、働くとは言ってないけど?!」
「そうですよ冥夜さん。しーちゃんがホストなんて、そんな…」
 史之の腕をぎゅうと抱きながら、睦月は敏腕ホスト・シノの姿を夢想した。
「そんなの…かっこいい!」
「では睦月様がいらした時のみフロアスタッフという型で」
 本人の同意なき雇用契約が結ばれている隣で、ベルナルドは真剣な面持ちでカンバスに向き合っていた。大まかなアタリを線で取り、顔料を混ぜて色を乗せる。
「凄いですね。夜空をそのまま筆に取ったみたい」
「ジョシュアはこういうの、見るのは初めてか?」
「はい。絵を描く事は殆どありませんので」
 ふと、描かれる風景の中に一箇所だけ異様にカラフルな場所がある事に気づいて景色を見渡す。…ゲーミング・カジキマグロだ!

「だんじょー…」
 しょもんと耳を垂れさせ、にゃーマデルは震えた。村医者の処方は適切だった。…が、処方に必要な薬の材料が、一匹分足りなかったのだ。
「医者の見立てでは、明日には治るそうだ。元に戻れるまで共に居よう」
 弾正がにゃーマデルを抱え上げ、毛並みに沿って丁寧に背を撫でる。喉を鳴らす彼の温もりに目を細めつつ、弾正は思い出した様に仲間へ声をかけた。
「そういえば、短冊に願いは書いただろうか?」
「あー! わすれてたー!」
 ピンク色の短冊に一生懸命あかねは文字を書いて、出来上がったのを短冊に吊るそうとする。高い位置に吊るしたくてぴょんぴょんする彼女を冥夜は抱え上げ、短冊を吊るせる様に手伝ってやった。
「あかねはどんな願いにしたんだ?」
「えっとね、『せんせぇと、めーやくんと、ずーっといっしょがいい!』にしたの!」
 あかねにつられて、冥夜もにっこり。この後、今日頑張ったご褒美にと、とびきり大きな林檎飴を買ってもらったらしい。

『いつまでも睦月と仲睦まじくやっていけますように』
 誰にも見つからない位置へ、こっそりと史之が願いを飾る。隠れてやるから素直じゃないって言われるんだろうけど、性分だから仕方がない。
「しーちゃん、何してるの?」
「何でもないよ」

「僕の願いは、これかな」
『楽しい思い出をたくさん作れますように』
 くわえていたイカ焼きを食べきり、ヨダカはせっせと短冊へ吊るす。ふと、肩を叩かれ彼が振り向くと、そこにはーー
「「ハッピーバースデー!」」
「えっ、わぁ!?」
 ぱーん! とクラッカーが鳴り紙吹雪がかかる。テーブルに並ぶミニケーキと、猫化した時の幸せそうなチェキ。この後すぐ別の約束で里を離れる彼に、こっそり皆がサプライズを用意していたのだ。
「ありがとう。なんか…もう叶っちゃったかもね」
 急がなきゃいけないけれど、少し遠回りをして星を見ながら帰ろうか。ヨゾラの口元が綻んだ。


 祭りの喧騒から離れた櫓に、満天の星が輝く。
 ジョシュアは透かす様に、手を空へ向けた。
(離れていても星の光は届くけれど、できるならあなたともっと近くで……)

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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