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シナリオ詳細

鉄帝の夏、屋台の夏

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●夏がきた
 夏が来る。
 鉄帝にまた夏が来た。
 鉄帝を襲った未曽有の事件のことを、忘れている者は居ないだろう。
 生きることさえ難しくなってしまった、そんな日々。
 まさに苦難の日々であっただろう。しかし今そんな日々は終わり、平穏が戻ってきつつあった。
 まあ、未だ手の届かないところは多くあれど……一応の安定は、此処にある。
 そしてやってきたのは凍えるような寒さを吹き飛ばすような夏。
 素晴らしいことではあるのだが、暑ければ暑いで体調を崩すのが人というもの。
 ならば、その夏をどうにかしようと考えるのは当然のこと。
 とある人々は、夏らしく屋台を大量に出してお祭りにすることでこの暑さを乗り切ろうと考えた。
 たこ焼きにイカヤキ、モロコシに冷やしキュウリ。
 色んな屋台が町中に出れば、この夏をきっと楽しめるに違いない。
 そして、とある者はこう考えた。
 折角資材の供給に余裕も出たことだし、街中を直接冷やせばいいんじゃないかと。
 丁度自動かき氷マシーンの設計図もあるし、古代文明の技術と合わせて冷たい風を吹かせる機械を作ろうと。
 これで心地よい夏が過ごせるはずだと、そう考えたのだ。
 ほんと余計なことしやがるぜ。

●屋台出そうぜ!
「Ah~↑↑💥真夏🌞🌴🏄🎇🌺のJamboree〜〜」
 『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)が上機嫌に歌っている。
 いいことでもあったのだろうか? さておいて。
「幸せなところすまねーですが仕事です」
「む?」
 そこに現れたのは『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)であるが、その手にあるのは「夏の鉄帝屋台祭り開催のお知らせ」である。
 なんとも楽しげなチラシだが……実はこのイベント、今ちょっとした開催の危機に陥っているのである。
「というのも、なんか久々な感じのするゴーレムの暴走です」
 そう、鉄帝特有の古代兵器技術が暴走するのはよくあることだった。
 なんかこういうのが起こると「鉄帝の日常が戻ってきたなあ」と安心する諸氏も多いだろう。
 安心しない諸氏はまだ心が鉄帝の日常に戻っていないので精進してほしい。さておいて。
 今回暴走したゴーレムは「夏の鉄帝快適作戦ゴーレム」であるらしい。
 練達から流れてきた自動カキ氷機の技術に鉄帝の古代文明技術を混ぜて作ったゴーレムは、微細な氷の欠片をいい感じに噴出することで涼しい空気を作り出すことを目的としていたのだ。
 しかしまあ、調整を見事にミスって吹雪を吐きだすロクでもない暴走ゴーレムに変貌してしまったのだという。
 だが暴走してもいわゆる冷房ゴーレムだという本能は残っているのか、この夏の暑さの中で大変そうな人……すなわち屋台を狙って吹雪を吹き付けるのだという。
 おかげで今や屋台祭りの危機である。鉄帝魂を持つ者たちとしては、2度も寒さに負けるわけにはいかない。
「そこで、皆さんです。いい感じに屋台を出せばゴーレムが出てくるでしょうから、やっつけるですよ」
 つまりは、そういうことらしい……!

GMコメント

夏の鉄帝で屋台を出してゴーレムもやっつけましょう。
屋台は各自で出して大丈夫です。固定の場所で出しても町中を巡ってもOKです。
見事ゴーレムを倒したらお祭り会場も再開します。
そう、お祭りだ……! 屋台で稼いでガッツリ楽しもうぜ!

まあ、そんな感じです。屋台にプレイング凄い振って良いってことです。


●夏の鉄帝快適作戦ゴーレム×1
全長3m。吹き出し口のついた箱に頭と手足が生えたみたいなゴーレムです。
製氷&粉砕&噴出の3機能が冷たい吹雪を作り出す凄いやつ。
マトモに受けるとカキーンって凍っちゃうかもですが、時間経過で元に戻ります。
逃げ足はすんごい速いですが、どうせ屋台やってれば寄ってくるので皆さんのうちの誰かがトドメを刺すでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 鉄帝の夏、屋台の夏完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年06月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人
秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

リプレイ

●屋台を出そう:前編
「天狐の陽気なバイブスにタオルブン回して祭りだFOOOOO! って突撃しにきたら暴走ゴーレムって何よ!?」
 アロハとサングラス装備の『秦の倉庫守』秦・鈴花(p3p010358)がそう声をあげる。
「最近覇竜に神の国に、気持ちが沈む事だらけで今日くらい楽しめると思ったのに! 頭来た、ポンコツゴーレムなんて古来からグーで殴ればいいって決まってるわ! ということでおびき寄せる為に――出店よ!」
 法被とハチマキ装備の鈴花だが、本人が言った通りにこれはおびき寄せ作戦である。
 屋台をやっている人を涼しくしてあげようとやってくる暴走ゴーレムをガッとやるのだ。
 さて、では鈴花はどんな屋台を出そうというのか?
「夏に冷たい物を食べるのは勿論最高だけど、夏に大汗かきながら熱くて辛い物を食べるのもイイわけ。なのでアタシが出すのは、そう、激辛ラーメン! 大量の唐辛子をドバー! 真っ赤!」
 なんと激辛系である。確かに夏には激辛というし、辛ければ辛いほど良いという人もいる。
 早速町中を屋台引いて歩いていく鈴花には、当然のように狙いもあった。
「狙うのは仲間の甘いもの屋台の傍――くく、甘いと辛いの無限ループよ! そして麺の湯切りは勢いよく魅せるプレイを! こう、黒顎魔王撃つ時の拳くらい勢いよくやるわ。行くわよ――そぉい!」
 あとさらなる刺激を求める人には焼いておいた石でも入れて煮え立たせることも忘れない。焼き石のサービスはちょっとこだわったラーメン屋にあったりする面白い試みだ。
 そんなところにやってくるのは暴走ゴーレム……夏の鉄帝快適作戦ゴーレムだ。
「シュオオオオ……」
「出たわね!」
 そんな排気音をたてるゴーレムに鈴花は湯切りであったまった肩の勢いで黒顎魔王をぶちこんでいく。
「でもって壊しちゃまずいもの、まだ働いてもらわなきゃだからね……ってことでああ、逃げた!」
 凄まじい勢いで逃げていくゴーレムに鈴花は舌打ちするが……あとは仲間に頼るのもいいだろう。
 そんな鈴花と少し離れた場所にいるのは『ねこの料理人』玄野 壱和(p3p010806)とエイリス・リデルだ。
「「茶屋:猫之森」鉄帝支店、限定開店ダ!他の屋台は結構ガッツリめな食い物を出すみたいだし、こっちは茶屋らしくドリンクとスイーツでいこうカ。夏っぽく清涼感のあるドリンクとソフトクリーム……、って冷房ゴーレム!? 冷やされちゃこちとら商売上がったりじゃねぇカ! にしても祭りだからか客が多いナ……おい、エイリス! せっかく付いて来たんだったら裏でゴロゴロしてないで店番手伝えってノ!」
 壱和はそうエイリスに声をかけるが、まあ自堕落なエイリスには中々難しい注文ではある。
「ねこは遊びに行きたいの。他の屋台見に行っていい?」
「終わったら他の屋台見てもいいかっテ? まぁ最悪何かあったとしても、オマエも[ねこ]なら上手く立ち回れるカ……。分かったヨ! 行ってもいいから早く接客の方手伝ってくレ!注文受け取るだけでいいかラ!」
 そうやって屋台を回していく壱和だが、ちょっとした発想の転換も考えていた。
「前半は取り敢えず氷抜きのドリンクでどうにか凌ぐカ……うぅむ、どうにも売上が伸びン……」
 まあ、それもこれもゴーレムのせいだと恨みは募るばかりだ。
 だからこそゴーレムが出た瞬間、壱和は即座に襲い掛かる。
「逃がすかコノヤロウ! これ以上営業妨害されてたまるカァ!! あー、クソッ!」
 しかしゴーレムは逃げていく。その先にいるのは、『あたたかな声』ニル(p3p009185)だ。
「お祭り! 屋台! ニルは屋台を出す側になるの、とってもとってもたのしみでした! 寒すぎるのは困りますけど……ゴーレムさんも、(機能が?)落ち着いたら一緒にお祭りに参加できたらいいのになってニルは思います」
 そんな風に言うニルだが、一体何の屋台を出すのだろう?
「ニルはたこやきの屋台をします! 「お祭り言うたらたこやきやで」って、ニルの知ってる人に教えてもらって再現性大阪で作る練習もしてきました! きれいなまんまる、カリ、とろ……をめざして! がんばります!」
 周囲には保護結界とオルド・クロニクルを展開し、お祭りが台無しにならないようにファミリアー2羽で周りを探ってもいた。
 そう、ゴーレム対策はバッチリだ……近づけばすぐ分かる。
「あ、でも今ニルはたこ焼きくるくるしてるので! これができるまでちょっと待ってください!」
 そんな冗談……ニルは本気だがともかく、そんな冗談を言う余裕もあるほどだ。
 そしてそれは、『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)も同じくらい余裕であった。
「わーい、お祭りなの。こういうハレの日の行事がちゃんとできるようになると、復興したんだなぁ、ってなるの」
 そう、鉄帝も復興してきている。いつまでも戦後をやっているわけにはいかない……そういうことだ。
「こういう時は食べ歩きをするのも楽しいのだけれども依頼を受けた事だし屋台を出してみるのも面白そうね。もちろんゴーレムのことも忘れてはおらぬの……そういうわけで、いざ! 屋台なの」
 言いながら胡桃はテキパキと準備をしていく。多少不慣れな様子はあるが、何の問題もない。
「ちゃんと屋台用の荷台とか食材とか用意してきたの。非戦料理もあるし準備は万端なの。で、何をするかというと、得意分野を活かすのと、温度を上げて冷房ゴーレムを誘き出すことを考えると、焼く料理物なの。今回の気分としては、焼きもろこしがいいかしら~。焼き芋も迷ったけれどもまだシーズンではないし」
 そう、焼き芋は必ずしもそうというわけではないが秋のモノだ。ならば焼きもろこしを選ぶのはまあ、当然だ。
「バターと醤油で味付けして焼いた、屋台の味って感じのやつで行くの。パフォーマンス的なことを考えると、直火で炙ってふぁいあ~ってできるのがアピールポイント。屋台でわたしの炎で直火焼きして現場をアゲていくのよ」
 勿論、ゴーレムが出たら凹る気は満々だ。そんな胡桃の想像通りにゴーレムはボコられて。しかし、どうやらまだまだ終わらない……!

●屋台を出そう:後編
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい! なんなら味わっておかわりもいっちゃって! SO! この身を焦がす程のサマー! 熱く迸る人々の熱気! YEAH!」
 『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)の、そんなシャウトが響く。ゴーレムが暴走していようとあんだろうと、やることは変わらないと言わんばかりだ。
「鉄帝に轟くは屋台達のシャウト。極寒は冷凍サウナ以外ノーセンキューなのじゃ!! さぁいざ往かん!」
 そんな天狐が出す屋台は、言わずと知れたうどんだ。去年金賞を獲った実力は伊達じゃあない。
「屋台は熱々のうどんと冷やしうどん! ピリッと辛めのスタミナ仕様! そして『太陽の手』の効果で光り輝くうどん! 映えを意識したパリピスタイルでお届けじゃ! 皆の屋台も寄って巡って夏を楽しむのじゃ! 焼きもろこしもクレープも!た こ焼きも美味そうじゃのう! お土産の風鈴なんかも思いで作りにピッタリじゃけぇ! 実質これが最後の夏! ここが楽しみ所よな!!!      」
 第四の壁をあれこれしながら天狐が言っているが、さておいて。
「さぁ例のゴーレムとやらを誘き出……きたー!? ええい、寒さなんぞに負けてられんぞい! 早速『うどん砲』で熱烈歓迎してやるけぇの! 熱々のうどんパワー、その身でたーんと味わうが良い!!」
 そんな天狐から少し離れた場所にいたのは『疾風迅狼』日車・迅(p3p007500)だ。
「あ~こーとしーも~なつが来た~♪」
 歌い出す迅は、屋台の雰囲気に見事に浮かれている。勿論仕事は忘れていない。
「夏と言えばお祭り。そして屋台!美味しい季節がやってきましたね! 冷房ゴーレムとは素晴らしいアイデアだと思いますが、調整はしっかりしてから起動を……無理かな……鉄帝だし……」
 そう、無理である。鉄帝だし。
「でもそのおかげでこうして屋台が出来るのですからおっけーという事にしてしまいましょう! 久々に腕が鳴りますね……! 皆さんの屋台もとっても楽しみです。ゴーレム……? あっゴーレム! 大丈夫です、現れたらちゃんと壊しますよ!」
 ちゃんとやるらしい。安心である。
「はい、それでは屋台を始めます。僕はクレープ屋です。燃えよガストロ魂!」
 ソウルオブガストロリッターもヒグルマ・レコードIIもあるので何も問題はない迅である。
「練達の方でクレープを焼いた事がございまして、今回はその経験を活かして壱和殿がリクエストした定番のチョコバナナから鈴花殿リクエストのチョコバナナいちごアイス生クリームスペシャル、百合子殿のシュガーバターにヨゾラ殿のいちごチョコ生クリームまでどんどん焼いていきましょう。他の方からのリクエストも張り切って焼きますのでぜひぜひ。頑張ってお洒落に巻きます!!」
 なんとすでにリクエストも入っている。ならば頑張らねばならない。
「む、出たでありますね! ていやーっ!」
 そんな最中、天狐の屋台のほうから走ってくるゴーレムを迅は見逃しはしない。
 デッドリースカイからの鉄拳鳳墜。そして逃げ足が早かろうと逃がす気もない。
「しかしまわりこまれてしまっアー!?」
 フェイントを入れて逃げていくゴーレムに迅はガクリと膝をつく。まあ、そういうこともあるだろう。
 しかし、その先には『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)とリューエン・ヴァルムボーデンがいる。
「わーい屋台だ屋台だ! 今回は屋台出して美味しい物売るぞー、そして暴走ゴーレムをぶちのめす! やっと鉄帝も春を迎えたんだ、また猛吹雪に戻るなんてごめんなんだよ!」
「まあ、屋台手伝ってって言われたからねぇ。準備も出来てるし、やっていこうか」
 リューエンもヨゾラからバイト代も出ているし、手伝わない理由はない。
「屋台は良いぞ美味しいもの沢山だー! ……という訳で、僕の屋台は……たい焼きです。たい焼きを焼きたい売りたい。たい焼きを焼けって何かが呟いた気がするんだ」
 何かが呟いたらしい。なんだろう、たい焼きの精霊とかだろうか?
「何の影響かわからないけどおいしいたい焼き作るんだ。粒あんとこしあんとクリームのを売るんだー!」
 粒あんとこしあんが選べるのは英断と言えるだろう。両者は未だに決着がついていないのだから。
「いらっしゃいませー! おいしいたい焼きだよ!粒あんとこしあんとクリームがあるよー!」
 価格帯は鉄帝の屋台の相場を見て、高くならないように設定しているヨゾラだが……実に良心的だ。
 しかしたい焼きを焼くのも中々に暑い作業だ……だからこそ、ゴーレムはヨゾラへと向かってkじゅる。
「うっわ寒い!出たな暴走吹雪ゴーレム!」
 名前は違うが合っているのでまあ大丈夫な感じだ。
「貴様が来るのを待っていたぞめっちゃ寒いゴーレム……食らえ、星の破撃ー!」
「また名前が違うなぁ……」
 そんなリューエンのツッコミを受けながらも、ゴーレムは別の場所へ向かっていく……そう、『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)の居る場所である。
「領地でもよく祭りをするがいつも運営側なので出店する側は初めてであるな! うむ、よい知見が得られそうである!」
 屋台の出店は色々と大変なこともあるが、やりがいもあることだ。確かに百合子の言う通りに良い知見は得られるだろう。
「吾は料理が出来ぬ。真剣にやってもなんか爆発するし、下手をすると夏の鉄帝快適作戦ゴーレムよりも甚大な被害を出しかねん。故に! 料理以外のものをやる事にした!」
 なるほど確かにそれも屋台としてはアリである。金魚すくいのようにレア露店であり、あると思わず足を止めてしまう系だ。
「と言う訳で豊穣から直輸入した硝子の風鈴である。これに吾が絵を描いてオリジナル風鈴として売るのだ! 幸い美術は嗜み程度に扱える吾である。表面にさらっと絵を描く位は訳ないぞ! 硝子の風鈴がいくつも釣り下がっている様は涼しげであるし……吹雪を操るゴーレムが近づいた時には開戦を告げるゴングとなる訳だ!!!」
 言うなり風鈴が一斉に涼しげな音を立て始め、百合子は「来たか!」と視線を向ける。
「風流したいときに吹雪は要らぬぅ! 目覚まし時計のアラームを止めるがごとくのEXA連打でおとぼけゴーレムを止めてくれよう! 攻撃機会が一瞬でも吾は最大7回動くぞ!」
 そうしてゴーレムが破壊されれば、もう何も懸念はない。再開したお祭り会場には活気がすでに戻り始めていた。
「ピリ辛冷やしうどん等々、あとは氷を削ってかき氷をメニューに追加しても良いかもな! うむ! それが良い! 夏と言えばかき氷は外せぬよな!」
 天狐がそんなことを言いながらも腕を止めず客に対応していく。
「祭りはこれから始まるんだ屋台祭りでも美味しい物売るよー! 途中で休憩入れて屋台巡りも良いね!」
「ヨゾラー、かき氷か冷えたラムネとか飲もうなぁー!」
「いいねぇ、皆の屋台も、かき氷もラムネも…沢山巡ろう!」
 ヨゾラとリューエンもそう言いながらしっかりと客をさばいていく。
「ところで……さっきのゴーレム、再利用できないかな。屋台でよくあるラムネとか飲物冷やすのに使えない? 駄目?」
 壊れてるから思い通りに難しそうではあるが。けれど、そんなものなくても屋台は楽しいものが揃っている。
「大きめのタコと天かす、紅しょうが。まんまるにするために注意してハイセンスで焼き加減とか見極め……おいしくなぁれのおまじないも忘れずに。上にかけるのはいろいろ準備してソース、ねぎポン酢、明太マヨ、チーズ……どれにしますか?」
 迷っている迅とそんな話をしているニルも、数をこなしてきてちょっと自信が出てきたようだ。
(ニルは前に、うどんにたこ焼きが乗っているのを見ました。かき氷に乗っているのも、パフェに乗っているのも。そういうふうに食べるのも「おいしい」のでしょうか)
 食は自由。まあ、そういうことなのかもしれないが。
 ともかく迅も出来た時間を使って他の屋台を回っていく。ニルがたこ焼きをひっくり返す様子を見守ったり(ちゃんと買った)、鈴花の激辛メニューに火を吹きそうになって壱和のドリンクで相殺したり、胡桃の焼きもろこしをおかずに天狐のうどんを食べたり、風鈴を百合子のところで買って屋台に吊るしたりヨゾラのたい焼きをおやつにしたり……満喫である。
「ゴーレムの製氷&粉砕&噴出機能は祭りの為に使わせてもらうわよ。勿論普通に祭りの中央で不定期に冷房を吐いてもらうけど、冷やしメニューにも役立ってもらわなきゃ! 激辛のスープを飲ませて激辛氷を吐いてもらったら、冷やし激辛ラーメンの完成よ!」
 天狐盛り……間違えた、てんこ盛りにした迅のクレープを一仕事終えた記念に齧りながらも、鈴花は夏の空を見上げる。
「アタシって夏が一番好きかもだわ、だってなんだか底抜けに楽しいもの!」
 そう、夏は何をやっても大体楽しい。
「取り出したるはソフトクリーム製造機! 注文されたドリンクの上に乗っければフロートの完成ダ! 勿論ソフト単体でも売ってるゼ。バニラ、チョコ、ミックス、好きなのを選んでくんナ! ん、このゴーレム瞬間製氷も出来んのカ。なら有効活用させて貰おうカ。急だがメニュー表にシャーベットドリンクを追加してト。注文が入ったらゴーレムの口に材料をオラァ!! おー、自動的に粉砕されてル。流石練達の技術が元なだけあるナ。 出てきたシャーベットをシロップで割ったらシャーベットドリンク、一丁上がりダ。飲み過ぎて腹壊さないようにしろヨ?」
 壱和は冷たいメニューを出し始めていたが……それもまた夏の楽しみだ。
 そんな中、百合子も風鈴の絵はお客様のリクエストにも応えるが客が居ない間は見本として夏の花等も描いて吊るしていた。
 風鈴とは夏の風物詩であり、チリンとなる姿は実に風流だ。
「後は、皆の屋台の料理等も描いて……売れなければ今日の思い出として持ち帰ろうか。些か軒下が騒がしくなりそうであるが、それもまたよし!」
 そう、それもまたよし。夏とは何処までも自由で、だからこそ思い出に残りやすい、そんな季節なのだから。

成否

成功

MVP

日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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