PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<黄昏崩壊>崩れゆく中で見えるもの

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●崩れゆくもの
「おお、おお。なんということだ。我等がヘスペリデスがこのような……」
「予測されていたことでしょう、オズバーン。このような日が来ることを、星はずっと語っていました」
 『轟雷竜』オズバーンに『天智竜』アルテイアは、至極冷静にそう語る。
 そう、ヘスペリデスはベルゼーの権能が暴走し、美しさを喪い始めていた。
 空は黒く澱み、雷が落ち始め、まさしく「天変地異の前触れ」であるかのようだ。
 この美しきヘスペリデスにこのような日が来ることを、アルテイアは星から読み取っていた。
 しかし残念ながら、オズバーンからしてみればそんなものは寝言に等しい。
 何を言っているんだこの星バカは、と。こんな感じであった。
「くだらん寝言を言うなよアルテイア。ならば貴様ご自慢の星に聞いてみろ。どうすればこれは止まる」
「そんな便利なものではありませんよ、星詠みというものは」
「やはり寝言ではないか」
 その言葉にアルテイアがキレかかり両者は睨みあうが……すぐにそんな場合ではないと気付く。
 人間たちが有難がっていた『女神の欠片』とかいう代物……未だ確保されていない『女神の欠片』がヘスペリデスを護るために、激しい反応を見せ始めていたのだ。
 そして、そこから生まれたのは『黒い影のような竜』であった。
 しかしそれは本物の竜ではない。『レムレース・ドラゴン』とも称されるその個体は、周辺の生物を激しく敵視し始めたのだ……!

●レムルース
「ヘスペリデスの件についてはもう聞いていると思うです」
 【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)は集まった面々にそう切り出した。
 ラドネスチタによる『選別』をうけ、イレギュラーズが辿り着いたのは『ヘスペリデス』と竜種達の呼ぶ緑豊かな場所であった。
 その地に点在していたのは、女神の欠片というベルゼーの権能の『規模』を僅かに抑える事の出来る『巨竜フリアノン』の力の残滓であった。
 しかしベルゼーの権能が暴走を始めた今、回収されていない『女神の欠片』がヘスペリデスを護るために、激しい反応を見せ始めたのだ。
 そこから生まれたのは『黒い影のような竜』……レムレース・ドラゴン。あらゆる生物を敵視するそれが今、ヘスペリデスを闊歩しているのだ。
 その対象は竜種もであり、かの『轟雷竜』オズバーンや『天智竜』アルテイアもすでに戦闘状態に入っているという。
 しかしレムレース・ドラゴンは本物の竜種に比べると強くはない。ないが……数の問題もある。
 女神の欠片の確保、そしてレムレース・ドラゴンを放置すれば此方の邪魔になる事実を考えても、ここに乱入してレムレース・ドラゴンを倒さなければならない。
「つまり……結果的な共闘、という形になるか」
「そういうことです。まあ結果的な、であって向こうが此方に好意的なわけではないですが」
 『騎士の矜持』ベネディクト=レベンディス=マナガルムにチーサが頷けば、『竜は視た』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)も「そうですねえ」と頷く。
「しかし、結果的であろうと共闘は共闘。頼りにできそうですね」
「だといいんだけどね……今までを考えるに近づかないのが無難って気もする……」
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が言えば『Star[K]night』ファニー(p3p010255)も頷く。
「あんまりその辺のは期待しない方がいいな。連中、気遣いが出来るとも思えねえ」
「ま、そういうことです。向こうがこっちに仲間意識を持っているとは思わない方がいいです。諸共……なんてことにならないよう、無事に帰ってくるですよ」

GMコメント

動乱のヘスペリデスにて竜種と共闘です。
ただし、竜種は皆さんが自分の攻撃に巻き込まれて死んでも一切気にしませんので、戦闘中はあまり近づかないのが無難です。そう、仲良くなったわけではないのです……!
現場ではちょうど戦いがひと段落ついたころでしょうが、すぐに次が襲ってきます。
左右から襲ってきますが、竜種2体は「お前らはあっちで勝手にやってろ」などと言いながら即座に右に向かいますので皆さんは左に行くのが無難でしょう。

●出てくる敵
・レムレース・ドラゴン×2(左から来ます)
・レムレース・ドラゴン×6(右から来ます。竜種が戦闘)

ヘスペリデスの崩壊に伴い『女神の欠片』が過剰反応して出現させた個体です。
周辺の生物を激しく敵視し、全てヘスペリデスへの攻撃者と捉えているのか無差別に襲い掛かります。
(竜種、亜竜、人間にも等しく襲い掛かります)
『黒い影で出来た竜』の様な個体達です。しかし形が竜に似ているだけで竜ではありませんし、実力も竜程ではありません。強力な光のドラゴンブレスを吐き範囲内の敵を消し飛ばそうとします。

●竜種たち
・『轟雷竜』オズバーン
最強生物である竜種にして将星種『レグルス』。
竜の中でも天帝種同様に強大な存在達である。
それなりの年齢であると思われ、同じ将星種『レグルス』の中でも比較的強い力を持っていると思われる。
此処で注意すべきは「同じ将星種『レグルス』の中でも」ということであって、人間など歯牙にもかけないほどの強さを持っているということである。
将星種『レグルス』には『人間(亜竜種に似た)』の姿を取る個体も時折存在するが、オズバーンの場合は威厳のある男の姿をとるという。
しかしながら多くの竜種の例に漏れず、オズバーンもまた人間のような下等生物のことなど一切気にせず記憶すらもしない。
今回の攻撃方法は天空から無慈悲な稲妻を落とす天雷と、自分の周囲に荒れ狂う電撃を放つ嵐雷の2つ。

・『天智竜』アルテイア
最強生物である竜種にして将星種『レグルス』。今回は亜竜種の女性に似た姿をしているようです。
性格は非常に冷静で知的。尊大で傲慢なのは変わらないのですが、深い知識を下敷きにしている為か突発的な行動をあまりせず「一歩引く冷静さ」をも兼ね備えています。
 どうやらある種の星詠みの知識も所持しているようで、その精度は兎も角そうした浪漫を楽しむ洒落っ気も持ち合わせているようです。
 ただ、竜種としての星詠みは人間の星詠みとはあらゆる要素が違うのでそこで意気投合する……などといったことは無謀でしょう。
 自分を中心とした範囲に輝く「星」を降らせるメテオライト、指定した1人に天空より破壊の流星を降らせる「スターライト」、指先から星の輝きの如きレーザーを放つ「トゥインクルスター」を使ってくるようです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はDです。
 多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
 様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。

  • <黄昏崩壊>崩れゆく中で見えるもの完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2023年06月28日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
終わらない途
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
ファニー(p3p010255)
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

リプレイ

●介入せよ、激しき戦場
 空は黒く澱み、雷が落ち始め、まさしく「天変地異の前触れ」であるかのようなこの光景。
 この時を予期していた者もいたがそれは決して大多数とは言えず、だからこそ今、ヘスペリデスには大きな混乱がもたらされていた。
 変わり果てたヘスペリデス。美しかったはずのその場所で発生している天変地異の如き現象は、それだけでは終わらなかった。
 現れたレムレース・ドラゴンたちが暴れ回る中、『轟雷竜』オズバーンと『天智竜』アルテイアはこの場に現れたイレギュラーズたちに気付いていた。
「こんな時に虫まで出るとはな」
「そう邪険にすることもありませんよ、オズバーン」
 吐き捨てるオズバーンとは違い、アルテイアはピッと指先で一方向を指差す。
「あちらから来ます。死にたくないのなら必死で迎撃なさい。私たちは私たちで暇ではありませんので」
 なるほど、確かにアルテイアの指差す先には2体のレムレース・ドラゴンが此方に向かってきていて、オズバーンが向かった反対側には6体のレムレース・ドラゴンがいる。
「まあ、期待はしていません。虫の意地を見せなさい」
「この辺りに影響を与えたであろう女神の欠片がある筈だ」
「最近貴方たちが探していたもののことですね。ですが、私には関係のないことです」 
 『騎士の矜持』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)にそう言いながらアルテイアもオズバーンと共に6体の方角へと向かっていく。
「どこからか変な竜もどきが湧いてきましたが、何体かは竜種達が相手してくださるので、その分多少楽になりますかね……? 知りませんけど」
「仲良く共闘ってわけにゃいかないか。おとなしく左へ向かおう」
 『竜は視た』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)と『Star[K]night』ファニー(p3p010255)も言いあうが、ヴィルメイズの言う「竜もどき」とはまさに面白くも正鵠を射た表現であると言えるだろう。
 まさにレムレース・ドラゴンたちは竜種もどきであり、だからこそあちこちで始まっている同様の戦いでも、竜種が非常に優勢だ。
 しかしそれは、この場で座して待っていればいいということでは決してない。この状況だからこそ介入しなければならない。
 それを理解できているからこそファニーは広域俯瞰にエネミーサーチ、超視力、透視、更には暗視(弱)を併用し敵の数と位置を確認していくが、此方に向かってくる2体を相手にすればよさそうだと理解する。
「アルテイアに、オズバーン……結果的にでも共闘は嬉しい。これ以上近付かないのが無難な気もするけど……興味はある……! とりあえず、左から来るレムレース・ドラゴンはぶちのめさせてもらうよ!」
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)もそう頷きながら状況を分析していく。
(アルテイアやオズバーンも気になるけど……)
 右側に行ったアルテイアたちの戦いが終わるまでは緊急事態が起きた場合を除き干渉しないことにしていた。
 ただし予想外の事態が起こる可能性は警戒しなければならないので、ハイセンスを用いて周囲警戒は行うつもりだった。
(竜種の2人はきっと五感も良い、何かあれば察知できるとは思うけど……)
 そこは信じるしかない部分もある。ヨゾラが何か言ったところで、鼻で笑われるのは間違いない。
「アルテイア、前回は手酷くやられたもんだが結果的な共闘になるとはな」
 『老兵の咆哮』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)も言いながらアルテイアたちの向かった方向を見る。
 早速星が落ち雷が荒れ狂う光景は、正直近づきたくはない。極小規模の天変地異があそこでも起こっているようなものだ。
「早々あることでもねぇから今回は良かったと思うことにするか……出会って早々巻き込まれたかねぇから左から片付けるか」
 そう、向こうも指定してくれているのだ。それにのっかることに何の憂いもない。
「さて、ニセモンだろうがいっちょドラゴンハントと洒落込むか」
「偽物……レムレース・ドラゴンか……姿形は確かに竜種には似ているが、まるで影だ」
 ベネディクトもバクルドの言葉に合わせ、そんな感想を漏らす。
「ベルゼーを抑え込めるだけの力を持つ女神の欠片から影響を受けた存在だ、油断せず行こう」
 決して楽な相手では無いが、勝てない相手では無い、とベネディクトは仲間たちを鼓舞する。
「俺達が普段から培っている力をぶつける事が出来れば問題はない筈だ……それに竜達は一先ず問題は無いだろう、俺達は俺達の仕事を為さねばな」
 そう、オズバーンたちは問題は無さそうだ。そういう意味では非常に頼りになると『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)は思う。
「頼れる味方がいるのは嬉しいけど、もうちょっと仲良くしてくれたら嬉しいんだけどなぁ。とはいえ、味方はいるだけで心強いし、あまり邪魔をしないように戦いでは立ち回っていこう! ワガママ言っても仕方がないしね! それに、まだ回収できてない女神の欠片があるみたいだし、そこも忘れずにちゃんと探さないとね!」
 ちょっとでもこれで状況が良くなるといいんだけど……と咲良は思うが、それは分からない。しかし、動いた分だけよくなるのは確かだろう。
「とりあえず、竜種たちの動向も気ににはなるっスけど、目の前の敵に集中した方がよさそうっスね。俺達はとにかく、左からくる2体に専念するっス」
 『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)も言いながらハイセンスを活用し周囲の状況に気を配っておけるようにしていた。
 竜種の攻撃の巻き添えにならないように注意は必要っスから……とは本人の談だが、女神の欠片の位置も探るつもりだった。
「あー、めんどくせえ! 強さと矜持で、手伝ってくれとか手助けしてくれっつう発想すらねえだろ! へいへいオレらは勝手にやりますよー、だ!」
 『巨星の娘』紅花 牡丹(p3p010983)もそう叫び、向かってくるレムレース・ドラゴンたちへ向けて戦闘態勢をとる。
 さあ、戦いだ……!

●倒せ、レムレース・ドラゴン
「いくよ、ファニーくん、ヨゾラさん、ヴィルメイズさん!」
「ああ」
「星空の泥よ……2体のレムレース・ドラゴンを飲み込め!」
「サラマンダーよりもずっと速〜い皿倉様の連鎖行動……便乗させて頂きます!」
 デッドリースカイを放つ咲良の合図でファニーが焼き焦がす三番星を降らせ、指先に光を宿らせて流星の軌道をなぞるように……相手の死線を切り裂くように指先の一番星を放ち、ヨゾラが星空の泥を発動させ、ヴィルメイズが地府十王舞を舞う。
「出だしは上々! 左んレムレース達をぶっ倒すぞ! その為にもなんとしても食い止める! 下手に右側に行かれて竜種達にこれだからニンゲンは役に立たないとか思わせたり、面倒だからオレ達ごと一掃とか踏み切らせるきっかけを与えたくねえんでな! 竜種達の方には行かせねえぜ!」
 牡丹も輝くもの天より堕ちを発動させ、レムレース・ドラゴンを引き付けようとしていく。
「レムレースは相当にでけえだろうが、オレだってアドヴァンス・ウォールで3人力なんだよ! こちとら誰よりもデカかったアイツん娘なんだ、舐めるんじゃねええええ! オレは硬い、オレは無敵だ!」
 慕っていたその人のことを想いながら、牡丹はこれ以上はないくらいに気合を入れていく。
 彼女が取り戻した青空くらいはオレが護ってやると、そう強く決意していたからだ。
 SSSガジェット3.0bと彗昴による自己強化を済ませていたライオリットも、ソニック・インベンションを放っていく。
「攻撃を集中させていくっスよ!」
 レムレース・ドラゴンは竜種に似た何かであるとはいえ、決して油断できるようなものではない。
 だからこそ、ライオリットには1つの懸念もあった。
(女神の欠片は、可能なら二体のレムルースを倒した後に回収したいっスけど……そもそも、竜種たちが戦っている場所の近くにある可能性や、戦闘後に回収する余裕がない可能性もあるっスね。そういう状況だったら、少しでも攻撃を被弾するリスクが小さいときに、ささっと回収しに行きたいっスね)
 回収できる状況があれば一気に向かうつもりだが……それは今ではない。ライオリットは、冷静にそのチャンスを伺っていく。
「そこですっ転んでろ!」
 マグネブラストをばらまくバクルドは、今はとにかくレムレース・ドラゴンを倒すことに集中していた。
 あちらがどの程度かかるか分からないが、万が一向こうの戦闘が先に終わってこっちにでも来たりしたら、オズバーンたちは此方の安全になど一切配慮はしないだろう。そんなものに巻き込まれるのはごめんだった。
「ベルゼーをどうにかしたいと気持ちが逸ってるか知らんが今は邪魔だ、とっととくたばれ」
 まさにその言葉はバクルドの心の底からのものだと言えるだろう。
 だが、どのみち本気でかからなければ危険なのは変わらない。
 だからこそベネディクトの攻撃にも迷いはない。
「竜種程ではないにせよ、俺達には十分に脅威。本気で叩かせて貰うぞ!」
 放つ黒牙無慙は騎士からは遠く、獣が如きものではあるが……その分、威力も折り紙付きだ。
 仲間の攻撃で態勢を崩したり、隙を見せたりする様な時を狙って己の全力を目の前のレムレース・ドラゴンに向かって吐き出すベネディクトの姿は、騎士ではないのかもしれないが……尊敬すべき戦士そのものだ。
 相手が此方を狙って力で攻撃してくるなら、相手の力も利用してのカウンターを仕掛けるつもりのベネディクトを騎士らしくないとあざ笑う者など、この場には1人もいない。
「奴らの力と俺の力が乗れば相応のダメージは通る筈だ。無論、俺も無事では済まん可能性もあるが覚悟の上!」
 ファニーは戦っている最中にレムレースが増えたり、他の亜竜や竜種がやってこないとも限らないと考え警戒していたが……この乱戦の中でも、どうやらその心配はないようだ。あちこちで同時多発的に起こっている戦いが自然とエリア分けのようになっているのも助けになっているせいだろうか。有難い話ではある。
「向こうでアルテイアがもっと美しい技出してると思うし……僕もとっておきでぶん殴る!」
 そうしてベネディクトの一撃とヨゾラの星の破撃がそれぞれレムレース・ドラゴンにトドメを刺せば。丁度あちらでも全てのレムレース・ドラゴンを倒したところだった。
「こいつはさっさとしねえとな」
 ファニーは言いながら掌サイズの精巧な渾天儀であるArmillarySphereからファミリアーとして烏を2羽召喚する。
「元凶である女神の欠片を探すぞ」
 竜種たちの戦闘が終わっているので、1羽は右側を捜索させていく。
「ここにある女神の欠片がどんな形かは分からないが、女神の欠片自体もエネミーサーチに引っかかるかも知れないし、強大な力を持っているならその源を探せばいい。簡単な話だ」
 言いながら女神の欠片が左側にあればいいんだが、問題は右側にあった場合だな……と思う。
(小さくて軽いものならファミリアーの烏に嘴に咥えさせて回収できるが、大きいものであったり小動物では近付けないような力を放出しているなら自分たちが向かわなきゃならねぇ。すでにファミリアーを見てやがるしな」
 なんともめざといことだが、万が一にでも敵と思われるわけにはいかない。
「オレたちだってヘスペリデスを荒らしたいわけじゃないんだ。戦闘の意思はねえ……女神の欠片を回収したらすぐに撤退する」
「此処でやるつもりはないっス」
 ライオリットもそうアピールするが、2体のドラゴンはなんとも興味の無さそうな顔をしている。
 ヨゾラも女神の欠片を探しながら、そちらをチラリと見る。
(近づかないのが無難って気もする……とも思う。それでも……本音は興味津々で、仲良くなりたい。アルテイアも、オズバーンもね)
「僕はヨゾラ。夜の星空に憧れて名を付けた者だよ」
「そうですか」
 アルテイアからの反応はつれないが、攻撃されないだけでもかなりのものだ。
「今回の影竜はつまるところアナフィラキシーショックみたいなもんか」
 バクルドも、そう呟く。
「女神と呼ばれたやつがどんなやつなのか知る由もねえが少なくとも現状が本意ではないだろうということはわかる。なんにせよだ、早く集めねえとな」
「ただ一つ、個人的に気になってるんだけど……女神の欠片ってもしかしたら集めてもその場しのぎの可能性、ないかなぁ……? アタシが気にしすぎてるだけかもしれないけど、さ」
「かもしれねえが、ないよりゃマシだ」
「そりゃそっか」
 咲良はそうバクルドに頷く中……牡丹が「見つけたぞ!」と声をあげる。それは櫛のような形をしており、しかし一目で女神の欠片と分かる代物だった。
「見つけたようですね。ではさっさと帰りなさい」
「こんなトンデモ非常事態になっているのだから、竜種の方々も人間は虫同然とか言ってないで、少しは協力して欲しいところですがね〜? 非力な色男の私が、これほど身を粉にして頑張っているというのに。何よりこの事態を望んでいなかったのは、ベルゼー様ご本人でしょうしね」
「寝言を言う元気はあるようだな」
「おやめなさい、オズバーン」
 ヴィルメイズに分かりやすくキレようとするオズバーンを押さえると、最後に代表するようにベネディクトが前に出る。
 貴族の嗜みも使って失礼のないように振舞いながらアルテイアへと話しかける。オズバーンを選ばなかったのは流石と言えよう。
「此度の戦い、あなたが詠む星は何と?」
 応えはどうであれ、俺達は特異運命座標として戦うだけではあるのだが、と付け加えればアルテイアは小さく溜息をつく。
「混沌としているわ。けれどそんなもの、詠むまでもないこと。私たちがどうであれば、貴方たちがどうであれ」
「……確かに、そうだね」
 さっさと何処かに行けと促すアルテイアに、ヨゾラも頷く。
 そう、たとえ何がどう示すにせよ、やるべきことは変わらない。目指すべき未来は、この手で。
 いつだって、そうしてきたのだから。


成否

成功

MVP

ファニー(p3p010255)

状態異常

バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)[重傷]
終わらない途
ファニー(p3p010255)[重傷]

あとがき

ご参加ありがとうございました!

PAGETOPPAGEBOTTOM