PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ここに『○○しないと出られない部屋(全年齢版)』があります。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●説明しよう!
「『○○しないと出られない部屋(全年齢版)』とはその名の通り、『○○しないと出られない部屋』の全年齢版である!!」
 などと言っても全く説明になっていないので、解説AIのJINOBUNが順を追って説明しよう。
 まずは冒頭でいきなり叫んだこの男は練達に拠点を構える天才科学者で、ドクター・マッドを名乗っている。
 そう、この男は紛れもない天才なのだ。素人には理解不能なレベルの高度な知識や技術を易々と使いこなし、トンデモなものを次々と開発・発明している。
 が、同時に頭のネジがぶっ飛んだ阿呆でもあった。彼の作ったものは確かに非常に高度ではあるのだが、使用用途が非常に限られるものであったり、使われている技術だけが無駄に高度で意味の無いものだったり、とにかく変な発明しかしていないのである。
 つまり、練達によくいる頭がアレな科学者の一人ということだ。
 そしてそんな彼が今回作ったのがこの『○○しないと出られない部屋(全年齢版)』だ。
 ここにいる紳士淑女の諸君であれば、同人界隈などで見た事や聞いたことがあるだろう。『(自主規制)しないと出られない部屋』の存在を。フィクションの中でしか存在しなかったこの部屋を、この男は独力で作り出すことの成功した――いや、成功してしまったのだ。
 使い方は簡単。一人以上で部屋に入り、用意されている白いプレートに「お題」を記入。入り口の上にある『○○しないと出られない部屋』というプレートの「○○」部分に重ねて張り付ける。
 そうすると、センサーがそれを感知して扉をロックし密室となる。
 その後は設定したお題をクリアするまで、閉じ込められた人は部屋の外に出られなくなるという仕組みである。
 ただし、この部屋には注意しなければならないことがある。今まで敢えて無視してきたが気付いている者も多いだろう。この部屋は「全年齢版」なのだ。
 つまり、(自主規制)や(自主規制)、はたまた(自主規制)なんてことはアウトなのだ。どこまでも健全でなければならない。
 もし、不健全なお題を設定してしまったり、お題とは関係なく不健全な事をしたりしようものなら粛清されてしまうのだ。
 逆に、健全な範囲であり物理的に可能な事であるならば、何をお題に設定してその過程で何をやっても構わない。

●なぜ全年齢版なのか?
「そんなもの、私が(自主規制)や(自主規制)をしてる様子を見てて、精神的に耐えられるわけがないからに決まっているだろうがっ!」
 彼女いない歴=年齢の悲しき男は、それはもう色々と拗らせ過ぎてヤバいことになっているようだ。
 加えて言うなら、まぁ関係各所からストップがかかることが目に見えて……おっとこれ以上はいけない。
 ともかく、色々と不味いので全年齢版になっていると思っておけば問題ない。
 ところで、この部屋は完成したはいいものの、まだ起動テストがなされていない。彼女どころか友達もおらず、会話の相手はもっぱら自作のAIという極度なコミュ障のドクター・マッドでは、手近な誰かに頼むという事すら難しいのだ。
「ぐはっ! 言ってくれるではないか……!」
 という訳で、イレギュラーズ諸君にこの『○○しないと出られない部屋(全年齢版)』のテスター依頼が出されたのだ。
 幸いにも部屋は幾つかある。一人でもいいし、友人や恋人を誘ってもいい。憎いあんチクショウを唆して……ゲフンゲフン。
 気が向いたのなら、暇潰しに参加してみてはいかがだろうか。

「――とまぁ、こんな依頼がきたのだけれど……誰か受ける人いるかしら?」
 依頼書をひらひらとさせているのは『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)。非常にしょうもない依頼ではあるが、ローレットに依頼料が支払われ正式に依頼として受理されたのだから仕方ない。
 依頼の貴賤や善悪を問わないからこそのローレットなのだから。

GMコメント

思いつきでやりました。反省も後悔もしてません。たまの息抜きにいかがでしょうか。

●目標
『○○しないと出られない部屋(全年齢版)』のテストに付き合う

●『○○しないと出られない部屋(全年齢版)』取扱説明書
1.部屋の中にある白いプレートに「お題」を書きます。
2.入り口上部にある「○○しないと出られない部屋」と書かれているプレートの「○○」部分に「お題」のプレートを貼り付けます。
3.部屋がロックされます。
4.「お題」を達成して脱出を目指しましょう。
 この時、「こ、この部屋はもしかして……!」といった子芝居を入れると雰囲気が出ます。
 希望があれば拘束具(簡単に着け外しできる)のレンタルもあるので、より雰囲気を出せます。

●注意事項
1.部屋の定員に上限はありません。1人で入っても複数人で入っても構いません。部屋は幾つかあるので、何組かに分かれることも可能です。
 ロールプレイとして誰かを騙し部屋に突っ込むのは構いませんが、その場合は事前にPL間での意志確認をしておきましょう。
2.部屋の「お題」に合わせて部屋自体の大きさは自在に変化します。また、長時間におよぶ場合はお食事や飲み物など、必要なものは適宜提供されます。
3.全年齢版なので、「お題」や挑戦の過程は健全なものでなければなりません。不健全を検知した時点で、後述する「『不健全粛清ロボ』じぇのさいどくん1号」が介入します。爆破オチです。
4.逆に言えば、健全なものであれば「お題」はなんでも構いません。世界を救うなどでも大丈夫ですが、あくまでも部屋の中に展開される仮想現実内での話なので、部屋の外に影響は与えません。
5.部屋や扉、じぇのさいどくん1号など備え付けのものは破壊不可能です。

●人物
ドクター・マッド(自称)
 練達によくいる頭のアレな科学者であり、『○○しないと出られない部屋(全年齢版)』の開発者です。
 データの収集をしながらカメラを通じて皆さんの挑戦を見ており、希望があれば『黒幕のM』として子芝居に付き合ってくれます。
 部屋の中で理不尽な目にあったり、なんかイラッとしたりしたら殴っても構いません。

『解説AI』JINOBUN
 ドクター・マッドの開発した高性能AIで、状況の分析・解説に優れます。
 今回の起動テストにおける、実況・解説を担当します。

『不健全粛清ロボ』じぇのさいどくん1号
 彼女いない歴=年齢のドクター・マッドが作り出した悲しきモンスターマシンです。
 不健全を検知すると部屋の中に出現し、ビームやミサイルなどで破壊の限りを尽くします。
 不健全の基準ラインは「甘酸っぱい系青春ラブコメ」レベルで、それを超えると起動します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • ここに『○○しないと出られない部屋(全年齢版)』があります。完了
  • GM名東雲東
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年06月22日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)
永遠の少女
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
メイ・ノファーマ(p3p009486)
大艦巨砲なピーターパン

リプレイ

●『アイドル』しないと出られない部屋
 『大艦巨砲なピーターパン』メイ・ノファーマ(p3p009486)は、部屋の中に入ると白いプレートに迷わずこう書き込んだ。『アイドル』と。
 事前に聞いた話では、新人アイドル『姪浜』としてライブに参加するものの、知名度や人気はまだまだのようで単独ライブを開催しても客入りは芳しくないという。
「やっぱ歌がヘタだからなのかな~? それとも……ボクのしんちょーがおおきいからなのかな?」
 ダンスは得意なのだが、どうやらそれ以外の部分に不安を感じているらしい。
 しかし、それはアイドルをやらない理由にはならない。深呼吸と共に弱音を吐きだしきって気持ちを切り替えると、部屋の奥にあった扉からその先に広がるライブステージへと進む。
「みんなー! 今日は来てくれてありがとう!」
 ステージの前には多くの観客がおり、彼らを前にメイは臆することなく立つと音楽が響き始めた。
 イントロに耳を澄ませながら体を揺らしてリズムを刻むと、Aメロの開始に合わせて口を開く。本人が自覚している通り、お世辞にも上手いとは言えないその歌声。
 しかし、この場に集っていたドルオタたちは見抜いていた。苦手ながらもそこから逃げることなく、笑顔を届けようとするメイのその心意気を。
 やがてサビに入ると音楽は一層に盛り上がり、メイの歌とダンスもそれに合わせてより激しくなる。特にダンスは長い手足をダイナミックに使い、曲のイメージを視覚的に強く訴える。
 ドルオタたちはメイの健気な姿に心打たれたのか激しくサイリウムを振り続ける。
 そして曲の終わり。
 ステップのあとにくるりと一回転すれば薄緑のツインテールがふわりと舞った。
 すると、観客のボルテージも最高潮へと達し、姪浜ちゃんコールが会場中に広がるのだった。

●古今東西の楽器を演奏しないと出られない部屋
 『古今東西の楽器を演奏』と書いたのは『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)だった。
 プレートを部屋の入り口に掲げると、早速部屋の中が変化しコンサートホールのステージのような作りへと変わり、客席にはいかにもセレブといった服装の観客が座っている。
 ステージの中央でスポットライトを浴びるイズマの一歩前には大きな穴が開くと、床から何やらせり上がってきた。どうやらここから『古今東西の楽器』が出てくるようだった。
「なるほどな……。それでこれは……」
 部屋の仕組みを理解したところで、イズマは目の前に現れた楽器とその演奏法が記された説明書を見る。説明書の表題にはこう書かれていた。『スティールパンの演奏法』と。
 スティールパン。それはドラム缶の底を切り出し、叩くと音階が鳴るようへこませた楽器だ。
「世の中にはこんな楽器が……。ちょっと待て。なんだこの音階の配置は!」
 そう。スティールパンの音階配置はピアノなどとは全く異なり、この見慣れない配置を理解するだけでも一苦労だろう。
 打楽器ゆえに叩けば音はなるが、配置を覚えて簡単な曲を演奏できるようになるには、イズマをもってしてもそれなりに時間を要することとなったのだった。
「次は……琵琶?」
「今度は尺八だと?」
「スコップ三味線……これは楽器と言えるのだろうか? それにしても、なんなんだこのラインナップは……」
 音楽一家に生まれ幼い頃から音楽に触れてきていたということで、メジャーな楽器は省きマイナーな楽器を集めた結果である。
 一つを演奏できるようになると、すかさず現れる次の楽器。そのどれもが一般的とは言えないものばかりだが、それらを前にイズマは困惑するも不満を漏らすことはない。
 こうして珍しい楽器や知らない楽器を知り、聞いたことのないその音色を奏でることが何より楽しいからだ。
「これは噂に聞いたことがあるな。確かテルミンと言ったか」
 楽器の歴史は古いが、比較的最近になって生まれた電子楽器というものがある。テルミンはその先駆けであり、基部から垂直方向にのびる金属の棒と、横方向に伸びるU字型に歪曲した金属の棒といった外見をしている。
 詳しい原理は説明すると長くなるのでなんちゃらペディアを見て貰うとして、こちらもなかなか演奏が難しい楽器である。
 ピアノのように鍵盤があるわけでもないため、どの位置に手を置くとどの音が出るのか、自分なりの位置をチューニングする必要があるのだが、演奏の際にも基準点は見えないのでしっかりと身体で覚えなければならない。
 悪戦苦闘すること数時間。用意された説明書や解説の動画を見ることで、イズマはなんとか簡単な曲を引けるようになり、その後も何種類も現れる楽器たちを見事に演奏しきったことで観客からも万雷の拍手を送られたのだった。

●キスしないと出られない部屋
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)と『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は二人で部屋に入ることにしたようだ。
 先に入ってなにやらプレートに書き込んでいるノリアの後ろから、ゴリョウはお題が何かと覗き込む。ノリアから誘われて受けた依頼であるため、お題がなんであれ全力で挑む所存であるが――。
「あの……どうでしょう?」
「あーなるほど。こう来たか……」
 天を仰ぎ顔を覆うゴリョウ。そしてノリアは、顔を赤らめながら『キス』とかかれたプレートを持っていた。
 何も言わずとも、そのプレートを部屋の入り口に掲げロックされたということは、ゴリョウも同意はしているという事だろう。
 部屋の中がマンションの一室のように模様替えされるとソファに座る二人。キスすれば出られるとはいえ、心理的なハードルはかなり高いようだ。
 どちらも落ち着かない様子で、何かを言いかけては止まってしまうという状態が続いている。恐らく、依頼という大義名分を得てより親密になろうとはしたものの、いざ本番になるとやはり緊張してしまったといったところだろうか。
「……の、ノリア!」
「はい! ですの!」
 もじもじしていても始まらない。やがて覚悟を決めたゴリョウが呼びかけると、ノリアは緊張した様子でそれに応える。
「腕を出して貰っていいか?」
「はい、ですの……」
 跪いたゴリョウにそう言われ顔を赤くしながらもノリアが左腕を差し出すと、ゴリョウはその華奢な指先に優しく口づけをする。
 ひゃっと小さな声を上げるノリアだが構わずゴリョウは続ける。指先の次は手首、その次は透き通った淡い水色の髪のひと房に、そして最後は鼻先に。
 なんでも、キスはする場所によって様々な意味があるらしい。
 指先は賞賛と感謝、手首は強い好意、髪の毛は愛おしく思う、鼻は大切にしたい。といった具合だ。
 ノリアの身体に傷を付けないように、と細心の注意を払って優しく何度も口づけをしていくゴリョウ。そのたびにノリアは赤くなっていき、今ではもう茹で上がったようになっている。
 が、そこまでいくとノリアの方も何かがふっきれたようだ。もはやモニター越しにドクター・マッドが見ていることなど関係ない。人を愛することの何を恥じる必要があるのかと自己弁護を完了させると、腕を広げてゴリョウへと抱き着いた。
「お返しですの!」
「っ! おう!」
 ノリアがゴリョウのその太い首に口づけをすると、ゴリョウの方も全身が赤くなる。覚悟を決めて全て受け入れるつもりではいたが、それでもなおこれほどになるとは。
 数々の強敵との戦いで強力な攻撃の数々を受けてきたゴリョウは人並み外れた耐久力を持つと自負しているが、こと恋愛においてはそうでもなかったようだ。ノリアの口づけを受けるたびに、ごりごりと何かが擦り減っていくような感覚がある。
 しかし、それは決して不快な物ではなく、むしろそのたびにノリアの事が一層愛おしく思えてくる。
 それはノリアも同じようで、恥ずかしさが天元突破した今、愛おしいという気持ちを素直に表現するように、ゴリョウよりも激しく何度も口づけをしていく。
「ゴリョウさん……!」
「ノリアァ!」
 完全に二人きりの世界に入ったようなので、システムが気を利かせて暫くはロックをしたまま邪魔が入らないようにしてくれている。
 そうとは気づかぬまま、お互いの事しか見えていない二人は熱に浮かされたようにキスしあう。深い方のキスをしないあたり、ぎりぎりのところで理性は残っているようだが、逆に言えばそれ以外はほぼなんでもあり状態の二人。
 一方がキスをすればもう片方は嬉しさやら恥ずかしさやらでより激しいキスをして、それがまた激しいキスを呼ぶエンドレスなループが完成していた。
 だが、それもやがて終わりの時がくる。精神的な疲労が限界まで来ると、徐々に落ち着きを取り戻してきてどちらからともなくそっと離れ、再びソファに並んで座る二人。
「…………」
「…………」
 お互いに何も言わず、恥ずかしさから顔を逸らしているが、手はしっかりと握り合っていたのだった。
 もうちょっと閉じ込めておこうかな。と思わずにはいられない。が、お題は達成しているので音もなくこっそりと鍵を開けておくことにする。
 既に鍵が開いていることに気付くまで、二人でずっとそうしていればいいだろう。

●夫さんを甘やかさないと出られない部屋
「えー、夫さんを甘やかさないと出られない部屋?」
「うふふ。楽しみにしていてね?」
 部屋の入り口に掲げられたプレートを見て困惑するのは『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)。そして、そのお題を設定したのは他でもなく、史之の妻である『かみさまの仔』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)であった。
 史之はいつも依頼でどこかに出かけており、なかなか夫婦水入らずの纏まった時間が取れない。しかし、それは史之が睦月のために頑張っているからだということも理解している。
 だからこそ、この依頼を利用して史之にご褒美として色々してあげようという事らしい。
 一方で、史之の方はいつも甘やかす側なので、これから甘やかされると言われると途端に恥ずかしさが込み上げてきて頬が赤くなり始めた。
「それじゃまずはハグをいっぱいしちゃいます、しーちゃんおいで」
「わわっ!」
 睦月に呼ばれてせっかくならと歩み寄る史之。包み込むように優しく抱きしめられると、思わず声が出てしまった。
 抱きしめながら、史之の背中や頭をよしよしと撫でて、睦月はその時間をたっぷりと堪能する。史之を甘やかすという名目ではあるが、こうして自分もまた楽しみたかったのだろう。
 ちなみに史之は立ったままぷるぷると震えていた。甘やかされる側なので、抱き返してはいけないと我慢しているらし。
「僕のすてきなしーちゃん」
「っ!!!」
 駄目押しに耳元で囁かれたその言葉に、遂に史之も限界を迎えたようだ。ぼんっと爆発したように顔を真っ赤にさせてしまった。
 立っているのが辛いのだろうと察すると、睦月はいつの間にか部屋の中に用意されていたソファに座ると、自分の膝をぽんぽんと叩いて史之を招く。
 膝枕をしてくれるという事らしい。だが、史之はそれを嬉しいと思いつつも緊張してしまう。本当にいいのかと視線を送って尋ねると、睦月が笑顔で返してきてくれた。
 ごくりと唾を飲み込んで覚悟を決めると、史之はソファの上に横になり、そしてそのまま頭を睦月の太腿の上に置く。
(あ、睦月のふともも、細いけど柔らかい……女の子なんだもんな、そうだよな……なんかいいにおいもするし、うわ、極楽かも)
「ふふ、しーちゃんってばけっこうかわいいところもあるよね」
 などという考えが頭をよぎり、それを自覚するとまた嬉しさと同時に恥ずかしさが込み上げてきたようだ。史之が自分自身を誤魔化すように睦月のお腹に顔を埋めぎゅっと抱き着くと、驚きつつも睦月もそれに応えるように史之の頭を優しく撫でる。
 言葉には出さずとも史之の考えなどお見通しであり、そんな振る舞いもまた素敵なのだと。
「それじゃあ、そろそろお料理の時間です!」
「え、カンちゃんが料理するの!?」
 膝枕を暫く堪能していると、やがて睦月がそう切り出す。と、同時に部屋の一部に練達式の高性能キッチンが生えてくる。
 その言葉に史之の方は困惑を隠せない。なぜならば、これまで料理は自分の役割であり、睦月が料理をしている姿など見たことがないからだ。
 しかし、やる気を見せている睦月に水を差すのも可哀そうだ。渋々といった様子でそれを受け入れると、サンドイッチが食べたいとリクエストすることにした。
 野菜や肉をパンで挟むだけならば失敗しないだろう、と。
「サンドイッチだね、わかった!」
「あ、包丁は使わないでこっちのハサミを使って!」
 万が一にも睦月が傷を作ってはいけない。キッチンバサミでハムやレタスを切っていく様子を、史之ははらはらとしながら隣で見ている。と、すぐにサンドイッチは出来上がった。
「どう、しーちゃん。僕がんばったよ?おいしい?」
「うん! とっても美味しいよ!」
 やり切った感満載の笑顔で出されたサンドイッチを受け取ると、史之もまた満面の笑顔で返す。
 レタスは水切りされておらず、パンにバターは塗られていないため水を吸ってべちゃべちゃだが、そんな事を言えば睦月を悲しませてしまう。
 気合で己の味覚を捻じ伏せると、睦月が淹れてくれた紅茶を飲みながら笑顔のまま完食するのだった。

●満足するまでいちゃいちゃしないと出られない部屋
 『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)と『永遠の少女』ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)の二人が部屋へと入る。
 お題を書くのはどうやらルミエールの役割のようだ。手早く書き終えたそれは、『満足するまでいちゃいちゃしないと出られない部屋』であった。
「まあ、困ったわフルールちゃん。いちゃいちゃしないと出られないんですって! じゃあいちゃいちゃしないとね? 仕方ないわ。仕方ないのよ」
「いちゃいちゃするのは良いのですけど、満足しなかったら出られないですよ? 一夜かそこらで満足します?」
 わざとらしい小芝居を挟みつつフルールに向き合うルミエール。一方、フルールの方もまんざらではないようだが、別の心配事もあるようだ。
 試しにハグをしあう二人。そしてそのまま唇を重ね合う。
 しかし、部屋の鍵が開く気配はない。それもそのはず、この程度のいちゃいちゃなど二人にとっては日常茶飯事なのだろう。
 せっかく訪れたこの機会。この程度で終わらせてしまうにはもったいないと、二人の想いは一致している様で、脳波測定でもまだまだ満足には足りないというデータが取れている。
 であればどうするか。ハグからのキスとくればその次は――。
「さあ、お尻を出して頂戴。ぺんぺんしてあげるから♡」
「え、お尻?いきなりお尻ですか……拳骨とかじゃなくて、お尻…わかりました」
 なぜそうなる? あまりの急展開に、どこかにバグが起きたのかとシステムチェックをしてしまった。しかし、目の前の現実は変わらない。
 ルミエールに言われるまま、フルールは壁に手をつきお尻を突き出したのだ。
「見えちゃいけないものも見えてないわ。健全よ、健全。」
「あふんっ! あふんっ! あふんっ!」
 ルミエールが平手を振るう度に、ぺしんぺしんという音が部屋の中に響きフルールが艶っぽい声を漏らす。
 ここで一度おさらいしてみよう。
 尻叩きとは、一般に子供をしつけるための罰である。呼び名は様々あるが、その名前の通りお尻を叩くことを意味する。
 子供に対して行われることでもあるのだから、決して不健全なものではないのだというのが二人の理論らしい。チョットナニイッテルカワカラナイ。
 なおも続くお尻叩きと、部屋に響く嬌声。これは流石に不味いのではないのか、とじぇのさいどくん1号の様子を確認するが、かなりぎりぎりなラインらしい。起動するかしないかのところで前後している。
 じぇのさいどくん1号の介入がないのをいいことに何時までも続くお尻叩き。脳波測定によると二人の満足度も非常に高くなってきており、このままならば遠くないうちに鍵が開くことだろう。
 あ。ルミエールがフルールのお尻を叩いた瞬間、その衝撃でスカートがめくれ……はいてな――。
 その事実を認識した瞬間、じぇのさいどくん1号は起動した。
「どうして! 健全だったわよね!?」
「そうです、不健全なはずありません!」
 全く理解出来ないといった様子の二人だが当然である。じぇのさいどくん1号が目からビームを出したり、ドリルとなった腕を振り回したりして暴れ始めると二人も必死に迎撃する。
 が、悲しいかな。じぇのさいどくん1号は破壊不能オブジェクトである。二人の反撃も虚しく、遂に『その時』が訪れるのだった。
「カウントダウン。10、9、8、7……」
「え、ちょっと待って! お願い待って!?」
「6、5、4……」
「まさか、冗談ですよね? ね?」
「3、2、1、0……」
 次の瞬間、部屋の中は強い光と熱に包まれ、研究所全体がその衝撃によって大きく振動する。
 そして数秒後、鍵が開かれた扉からふらふらと出てきたルミエールとフルールは、見事な黒コゲアフロとなっていたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

フルール プリュニエ(p3p002501)[重傷]
夢語る李花
ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)[重傷]
永遠の少女

あとがき

綺麗にオチがつきました。
めでたしめでたし。

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