PandoraPartyProject

シナリオ詳細

変態擬態怪人カメレンジャーを捕まえろ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●はた迷惑なやつら
 幻想東部のカーカス村では今ある事件が問題となっていた。
 買い物にでかける村娘三人組が歓談しながら歩いていると、不意に踊りでる影五つ。
「カメ! レオォォォン!!」
 カメレオンのお面にしか見えない平べったい変な頭部のその怪人五体は赤、青、黄色、緑、ピンクと色とりどり体色で卑猥に身体(腰部)を揺らす。
「きゃ、きゃあああ、でたわー! 怪人よー!」
 村娘達は噂のソレに出会ってしまったと、悲鳴を上げて逃げ出す。
 だが、怪人達は常人ならざる回転ジャンプで先回りすると身を捻った変なポーズで大きく口を開けた。
「ゲボボボボボ!」
 汚い吐瀉音を響かせながら半透明の液体が放射される。
「いやー!!」
 村娘達は為す術無く液体塗れに。そして液体が服に浸透すると、染み渡ったその場所から溶けていく。
「や、やだー! 服が!」
「ちょ、やめて、いやぁぁー!」
 服が溶けて恥ずかしがる村娘達を五人がかりで取り囲むと――ああ、なんてことだ、あろうことか怪人達はその長いぐるぐる巻きの舌を伸ばして村娘達を舐め回し始めたではないか。
 ノリにノッてる怪人達は楽しげに身体中を舐め回す。肌に触れるざらざらの質感が大変気持ち悪い。
 そうして、村娘達が涙ながらに抵抗をするのを諦めるまで追い詰めると、額の汗を拭って満足する怪人達。
「見つけたぞー! ここだー!」
 遅れて、村人達が武器を手に走ってくる。しかし――
「あっ! 擬態したぞ!」
「なんとなく居る場所はわかるけど、なんとなく命中させずらい、そんな中途半端な感じになった!!」
 周囲の景色に溶け込んだようで溶け込めてない、目を凝らせばなんとなくわかってしまうそんな状態に身体を変化させた怪人達は、またもや常人ならざる回転ひねりジャンプを見せながら村の方々へと散っていく。
「くそ! また逃がした!」
「誰か、アイツラを捕まえられるやつはいないのか!」
 憤る村人達は、救いを求めるように天を仰ぐのだった――


「と、いうわけで、このままでは村から若い娘がいなくなると危惧したカーカス村の村長が義援金を募ってローレットの依頼料に変え、カメレンジャーとかいう怪人捕縛の依頼を持ってきたわけよ」
 『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)が依頼書を手にそう言うと、さらに詳しい話を聞かせてくる。
「カメレンジャー。いつの頃からかそう呼ばれる五人の怪人だけど、元々は村の側に潜んでいた大人しい魔物だったようね。動物のカメレオンによく似ているけれど、二足歩行をして大人の男性くらいの大きさよ」
 お面のような平べったい頭部らしいが想像すると結構気持ち悪い。それが色とりどりであればなおさらだ。
「村の何人かが交流をもってたそうなんだけれど、いつの頃からか村に現れるようになって悪さをするようになったみたいね。
 狙うのはいつも若い女の子らしく、村の女の子達はみんな怖がってしまっているわ」
 村娘を五匹で取り囲み、吐き出す体液で服を溶かしては、舐め回して喜ぶ。一体どこでそんな悪知恵を手に入れたのか。「本当にしょうがない魔物ね」とリリィが肩を竦めて首を横に振るう。
「それでこの魔物を倒せばいいのか?」
 イレギュラーズの質問にリリィはノンノンと指を振った。
「オーダーはカメレンジャーの捕縛よ。
 村の人達は人が良くてね、『殺すのは忍びない、更正の機会を与えてあげたい』と言うわけ。なのでしっかりとお仕置きして反省させるわけね」
 捕縛するとなると、一段難易度の上がる依頼となるが、村人の意向であれば仕方がないだろう。
「服を溶かして、身体中を舐め回してくる。正直武器を振るってられない状況になるかもしれないから、なんとか頑張って頂戴。
 それと、この怪人達ものすごいアクロバティックな動きをするから驚いて逃さないように注意してね」
「しかし話を聞いてる分にはあまり危険性はなさそうだな」
 イレギュラーズがそう思うのも無理はない。話を聞く限りではただの変態怪人だ。しかしリリィは真剣な面持ちとなって言う。
「それが、そうも言えないのよね……。
 やってることは結構な変態だけれどその動きから分かるようにかなり腕っ節には自信がある見たいよ。
 一度村人達が領主様の兵隊達と取り囲んだことがあったみたいだけれど、為す術無く全員気絶させられた見たいね。
 温厚な魔物だけれど、逃げられないと悟ればその隠した力を発揮してくるでしょうね」
「それは結構厄介なのでは?」
「ええ、だからローレットにまで持ち込まれたのでしょうね。
 不殺は必要だけれど、気を抜かず全力で挑むべきでしょう」
 変態でありながらかなり強さを持つ魔物捕縛。
 なかなかに難易度の高い依頼だが、村娘達が安心して村を歩けるようにしてあげるべきか。
 依頼を受けるかどうか、イレギュラーズは思案を浮かべるのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 変態擬態怪人カメレンジャー!
 今日も元気に女の子を舐め回すぜ!

●依頼達成条件
 カメレンジャー五匹を捕縛する。

■失敗条件
 カメレンジャー二匹以上の逃走
 または、カメレンジャー三体以上の殺害

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●カメレンジャーについて
 平べったいカメレオンの頭部をした二足歩行の生物です。
 赤、青、緑、黄色、ピンクの五匹います。
 何をするにしてもオーバーアクションです。格好いいような卑猥なような。
 見かけによらず結構強いです。
 EXA値が高く素早い身のこなしで連続攻撃を叩き込みます。
 追い詰められるとヒーローのように逆転を狙った動きに変わります(追い詰められると高CTに変化)。
 女の子を見つけると高確率で狙って来ます。

 ・溶解体液(神遠範・体勢不利)服が溶けて戦闘どころではなくなるかもしれません。
 ・舐め回し(物中単・停滞)身体を舌が這いずり回りまともに動けなくなるかもしれません。
 ・擬態 効果三ターン。周囲の景色に同化し回避率がちょっと上がります。効果中はブロック、マークが無効となります。攻撃が命中すると解除されます。

●戦闘地域
 幻想東部のカーカス村内になります。
 時刻は十三時。
 障害物、遮蔽物のない通り道となります。
 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 変態擬態怪人カメレンジャーを捕まえろ!完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月14日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
ジョゼ・マルドゥ(p3p000624)
ノベルギャザラー
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
アーバレスタ・グラナイト(p3p006228)
爆裂猛牛
Melting・Emma・Love(p3p006309)
溶融する普遍的な愛

リプレイ

●女子を襲う悪い奴ら
 幻想東部カーカス村へとやってきたイレギュラーズ一行。
 平和そうに見えるこの村に、いま許しがたい悪戯を行う魔物がいるという。
「では、皆さん、よろしくお願い致します」
 村長が頭を下げ、イレギュラーズに後を託す。依頼として発生した以上、解決へと導くのはイレギュラーズの使命だ。
 村長の家をでて、村を回る。捕まえるべき敵――カメレンジャーに対する準備を行うためだ。
「しかし、どんな風に出てくるのかね。
 怪人とも呼ばれてるし、おどろおどろしい感じか? 話を聞くとどうもコミカルな様子にも聞こえるが」
 『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)が周囲を観察しながら言葉にすると、後ろに続く、『ノベルギャザラー』ジョゼ・マルドゥ(p3p000624)が「さて、どうかね?」とその大きな目をクリクリと動かした。
「コミカルな奴らとは言え、やってることがえげつないからなぁ。
 とにかく怪人どもを懲らしめるのが先決だな」
「衣を溶かすというが、こちらも対策はした。
 そう後手に回ることは、ないだろう」
 髪業を駆使して自身に香水を振りまくのは『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)だ。その硬質的な肌には強烈な辛子が塗り込まれている。それを分からないようにと上から香水を振りまいて居るわけだが、辛子の刺激的な匂いとフローラルな香水の合わせ技は結構な匂いにも思える。
「カメレンジャー様方を捕らえる――それだけの依頼ではありますが、やはりカメレンジャー様方を拐かした者を見つけたい所ですね。
 原因の元を絶たねば同じような――場合によってはもっと酷いことになるかもしれません」
 仲間の服装をその瞳に捕らえ瞬間記憶をする『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)。自身に備わるギフトと合わせれば、それはこの依頼での切り札たり得るか。
 幻の危惧するところの、カメレンジャーを拐かす者。恐らく村人の誰かだと予測しているが、それを見つけ出す必要があるだろう。
 これには『孤兎』コゼット(p3p002755)も同じ考えで、小さくコクリと頷いた。
「交流してた、っていう村の人が、やっぱり気になる、ね。
 あとで話聞いてみる、ね」
 そう言うコゼットの準備は順調のようだ。大量の水を馬車に積み込んでいく。
「何を吹き込まれてそんな破廉恥で困った変態さんになったのやら。
 まぁボク達は村の人達に頼まれた通り、殺さないように捕まえないとね!」
 コゼットの水運びを手伝いながら、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)が肩を竦める。常識的に考えて女の子の服を溶かして喜ぶような奴は碌な奴ではないと思った。
 とはいえ、怪我人がいるわけでもなく、更正の機会を与えようと村人のなんと優しいことか。
「まったくおかしな奴らも居たもんだ。
 しかし、服を溶かすねぇ……服だってタダじゃないんだし、度が過ぎた悪ふざけは悪意さね」
 手にした武器に体重を預けながらそう言うのは『爆裂猛牛』アーバレスタ・グラナイト(p3p006228)だ。若干布面積が少ないような気もするが、溶かされる前提であれば潔いと言えるだろう。
 もっとも潔さというか、この依頼におけるデメリットが通じなさそうな人が一人。『溶融する普遍的な愛』Melting・Emma・Love(p3p006309)だ。
 上半身裸の人型でありながらその肉体はスライムだ。下半身に至っては液状化してる始末である。
 果たしてカメレンジャーの体液によってLoveの身体に異常をきたさないか心配ではあるが、当の本人はしっかりと舐め回されることを前提とした対策を取っている。
「こんな薬が役に立つとは思わなかったの。
 これで、相手もイチコロなの」
 『きもちよくなる薬』を身体に溶かしこんでいるわけだが、果たしてカメレンジャーはそのスライムの身体を舐め回すのか。これからの展開に期待がかかるところである。
 そうして各人準備を終えて、村を闊歩する。
 カメレンジャーの悪戯が増えたことで、村を歩く女性は少ない。いや、ほぼ居ないといって良いだろう。
 そうイレギュラーズ達を除いては。
 サンディやジョゼといった男性もいるがその大半が女性である(Loveのような性別が分からない者もいるが)。カメレンジャーにとっては格好の獲物だろう。
 そして、期待通りに、奴らは現れた。
「カメェ! レォオオオン!」
 爆発音と共に格好いいBGMでも聞こえてきそうなテンションで、捕縛目標であるカメレンジャーが、屋根の上から現れた。シャキーンとポーズも決めている。
「うわ、本当に平べったい頭してる」
「気持ち悪い……」
 イレギュラーズの散々な感想もどこへやら。カメレンジャーは威勢良く「トォ!」とかけ声まじりにジャンプすると空中で無駄にひねり回転を加え着地した。
「ボン! キュ! ボーン! ナメル! ナメ マワス!」
 ビシっと音がするように指を突きつけると、とても不自由そうな感じで言葉を喋った。
「しゃ、しゃべった!」
「最低限ながら喋れる……ということは村人と交流があったっていうのは本当みたいですね」
 焔が驚き、幻が冷静に分析していると、卑猥に腰を揺らすカメレンジャー達がオーバーアクションを取りながらポーズを決める。
「分析はあとだ! くるぞ!」
 サンディの注意喚起と同時、カメレンジャー達が一斉にアクロバティックなジャンプを見せ、イレギュラーズ達を取り囲んだ。
「カメェ! レオォォォン!」
 今一度、カメレンジャー達が流暢に名乗りを上げたのが戦いの始まりの合図だった――

●カメレンジャーを捕まえろ!
 カメレンジャーの五名はとにかく素早く、息もつかせぬ連続行動を畳みかけてくる。
「ゲボボボボ!!」
 口内から撒き散らされる体液が、辺り一面に広がっていく。当然ながら、イレギュラーズだとしてもこれを確実に避けるすべなどない。幾人かには直撃し降りかかった体液によって見る見る服が――!
「そうは行かないよ!」
「そう簡単に脱がされはしません」
 焔と幻が手にしたマントで体液を防ぐ。見る見るマントが溶けて襤褸になっていくが、カメレンジャーの溶解液を防げたことに間違いはないのだ。
 これにはカメレンジャーも頭に感嘆符を表示するかのごとく驚いて、これまでの相手とひと味違うぞ、と認識を改めることとなった。
「驚くのは、これから、よ」
 コゼットが引いていた荷馬車に溜めに溜め込んだ水を取り出しカメレンジャーの足下に撒いていく。
 どろどろになった土の地面にカメレンジャーが不思議に思っていると、そこにコゼットが飛び込んで風のように体勢を攫い投げ飛ばす。なぜか自分から大回転してオーバーに投げ飛ばされた緑のカメレンジャーが、地面に叩きつけられて泥まみれになった。
 エクスマリアと対峙していた黄色がアクロバティックに伸身宙返りを決める。そしてエクスマリアの頭上を取ると同時に口から溶解液を吐き出す。
 頭上から浴びせられ見るまに服が溶けていくエクスマリアだが、感情的な抵抗をもたないエクスマリアは淡泊だ。
「素早い身のこなしだが、衣が溶かされようと、マリアの術は乱れない」
 晒される肌を髪業で隠しつつ、破壊のルーンを刻む。不可避の氷がどこから共無く降り注ぎ、戦場に氷の山を作り上げていく。手痛いダメージを受けた黄色が氷を厄介そうに睨みながら、隙を生み出そうとエクスマリアの肌を舐め付けるために舌を伸ばした。
 その一撃に敢えて肌を晒すエクスマリア。そうその肌には強烈な辛子が塗り込まれている。ざらざらとした不快な感触が肌を嬲り、同時にドッと体力が減るのを感じる。だがその分の成果はでたようだ。
「か、カメェェ!?」
 強烈な辛子を舐め取り黄色が大げさに転げ回る。カメレンジャー達が黄色の側へと駆け寄って肩を貸しながら助け起こした。
 肌を晒すエクスマリアがずいっと前にでて、
「可能な限り、手段は揃えた。大人しく捕まるなら良し。だが、応じないのであれば――
 一匹残らず、力づくで叩き潰すことに、なるぞ」
「カ、カメェ……!」
 だがそんな脅しで引くような連中ではなかった。立ち上がったカメレンジャー達は大げさな振り付けを見せると一斉にその姿を透過していく。
「擬態ですか――させませんよ」
「ほいきた。これでもくらいな!」
 幻がすぐさまカラーボールを作りだし、仲間へと投げ渡す。ジョゼは受け取ったカラーボールを擬態中のカメレンジャーに即座に投げつける。破裂するカラーボールがカメレンジャー達をカラフルに染めた。
「カ、カメェ!?」
 これもダメか!? と言わんばかりの驚きを見せたカメレンジャーはならば実力行使あるのみと、中途半端な擬態のままにイレギュラーズへと走り出す。
「カラーボールが無くても目を凝らせば全然見えるね。中途半端な擬態だよ」
 くすくす笑う焔が、傘を盾に近づいてくるピンクと対峙する。
 焔との対峙それは神なる炎の標的とされることだ。ピンクの身体が発火し炎が揺らめく。とはいえ、それ自体にダメージはない。目印代わりなだけだが、付けられたピンクは自身の身体が燃えていることに慌てふためく。
 炎を消せと言わんばかりに慌てて放たれた溶解液を傘で防ぎ、襤褸になる傘を投げつけて壁とするとその陰から躍り出る。
「ほら、油断してると痛い目を見るよ!」
 両手で振るう槍は神々の力で鍛えられた炎の槍。容赦のない執拗な連続攻撃がピンクに叩きつけられる。
 擬態したカメレンジャーと同じくらい、否、それ以上に背景に同化しているのはLoveだ。
 七色に変色するLoveの不定形な身体は視認困難で、カメレンジャー達もLoveの相手は四苦八苦していた。
「愛の相手もして欲しいの」
 自身の分身を召喚し、仲間達の回復に努めていたLoveも攻撃に転じる。
 取り出した式符より生み出された光明の白鴉がカメレンジャーを撃ち貫く。爆発にでも巻き込まれたかのように吹き飛ぶカメレンジャーは少し面白いと、Loveは思った。
 Loveを厄介に思ったか、青が大きくジャンプし着地すると、Loveに向け舌を伸ばす。粘性に思える肌をざらざらの舌が這いずり回る。
「ん……んんっ……」
 不快にも思える舌が、なぜだか気持ち良く感じてしまう。それは間違いなく『きもちよくなる薬』のせいなわけで、舐めてる方の青もなんだか恍惚な表情を浮かべていた。
「そう、そのまま続けて欲しいの」
 上目遣いに誘惑するLove。とても年齢十歳とは思えない蠱惑的な視線に青はもう骨抜きだ。
 そうして囮に引っかかった相手に攻撃を集中するのはジョゼとサンディだ。
 連携タイミングを計っていたサンディはここぞとばかりに気合いを入れる。
「良い気合いだ! サンディ!」
「おうよ! 畳みかけるぜ!」
 ジョゼの魔力が高まり、手にした愛用の小剣に纏う。
 Loveにご執心の青目がけて二人が疾駆し、先手を取ったジョゼが手にした武器を横薙ぎに振るう。斬撃より生まれ出でる美しい花弁が幻影の魔力を伴い刃と化して青の肌を切りつける。
 そこに飛びかかるサンディ。全身をバネに放たれる電光石火の蹴撃が青の頭部を捕らえる。小気味の良い音を立てて青が口を開けたまま吹き飛んだ。
 止めと言わんばかりにジョゼがダチコーに作って貰った辛子珠を口に放りこむと、ガクりと青は意識を失った。
「へっ、一丁あがりだ」
 手にしたロープで青を捕縛するサンディ。仲間がやられたことに動揺を隠せないカメレンジャー達。だが、仲間を捕らえられたままで引くわけにはいかないと、溶解液を吐き出していく。
 次々と降りかかる溶解液に、イレギュラーズの服が溶かされていく。
「……僕の裸を観てタダで帰れると思わないで下さいね。お代は頂きます!」
 幻が、露出する肌を隠しながら、無数の見えない糸を放つ。身体の自由を奪う糸に黄色の肌は切り裂かれ動きを鈍くする。
「一時しのぎですが――」
 幻は服を溶かされている女性陣を優先に、そのギフトを行使する。瞬間的に具現化される服は、戦闘前に記憶した元通りの服だ。
 長く持つものではないが、加速した戦闘機動の中では十分に持つ物だろう。
 まさか一瞬にして服を元通りにされるとは思っていなかったカメレンジャー達は、苛立たしげに地団駄を踏んだ。
「一丁前に悔しがるじゃないか。
 そら、ぼやぼやしてるんじゃないよ!」
 アーバレスタが土煙を上げながら突進し手にした武器を振るう。これをカメレンジャー達は素早い身のこなしで回避すると、アーバレスタを狙い舌を伸ばす。豊満な胸を嬲るように蠢く舌。だが、アーバレスタはそんな不快さにも意を介せず、
「テメェよくもナメてくれたね!? 一張羅が台無しじゃないか!!」
 と、恥じらいなど浮かべない闘士としての顔を見せる。
 嬲る舌を手づかみで掴むと、全力で引っ張る。捕まったのはピンクだ。
「そら、お寝んねの時間だ――!」
 肉薄したところから一気に組み技で大地に組み伏せる。締め上げる腕が極まり、呼吸困難となったピンクは程なくして動きを止めた。
 イレギュラーズの考えた対策はとても有効に機能していた。肌に塗られた刺激物によって舌で舐める機会が減り、擬態を封じる色づけや泥、溶けた服も瞬時に戻されてしまえば、打つ手がなしだ。
 そして、仲間二人をやられたカメレンジャーは、確かに追い詰められていた。
 このままでは、どのような仕打ちを――仕返しをされるかわからない。その恐怖心がついに彼らを本気へと誘った。
 突如爆発的な気が漲り、それまであったコミカルなオーバーアクションが消え去る。
「くっ、こいつら――」
「本気を出したようだな」
 立体的な機動はそのままに、放たれる拳の一撃は重く鋭い。下級な魔物の比ではない数々の連撃に、然しものイレギュラーズも無傷と言うわけにはいかなかった。
 変わらず溶解液は放たれるも、それは相手を辱める物ではなく、相手の動きを封じるもので、伸びる舌は相手を嬲るものではなく、相手の武器を封じる為に用いられた。
 強い。間違いなく強敵だ。
 イレギュラーズはカメレンジャーとの激戦に身を躍らせる。
 激戦の末残っていた黄色、緑、赤の三人は、ついに赤を残すまでとなった。だがそこに至るまでにイレギュラーズも大いに消耗したと言える。
 まず始めに戦闘経験の少ないアーバレスタが膝を付き倒れた。次にマークを続けたジョゼに攻撃が集中し、ついに膝を折った。
 その後、エクスマリアの一撃が痛烈にヒットし黄色を捕縛するが、残る緑と赤の反撃の一打にエクスマリアと幻、そして焔がパンドラに縋ることとなる。それでも緑を追い詰め倒すと、ついに赤を残すのみとなったのだ。
「気持ち悪い……攻撃ばかり」
 赤の舐め回しをナイフで切りつけ逃れるコゼット。
 舌を切られたことに恐れる赤が、一瞬逃げようと後退の動きを見せる。その動きをコゼットは見逃さなかった。ロープで捕縛しているカメレンジャーの首元にナイフを突きつける。
「逃げたら、こいつ殺す、よ」
 幼い少女とは思えない鋭い眼光に、赤は恐れ戦き、覚悟を決めた。だが――
「終わり、だよ」
 一瞬の隙を突いてコゼットが走る。慌てて反撃する赤の攻撃を俊敏な動きで回避すると、蹴りを叩き込む。倒れ込んだ赤にLoveが聖なる光を浴びせる。
 苦しむ赤がついに力尽きるように大の字になった。
「まったく、もっと早く諦めなさいよね」
 滴る汗を拭いながら、焔がサンディから受け取ったロープで赤を捕縛した。
「悪い事したら退治されるのは当たり前なの。
 これに懲りたらしっかりと反省するといいの」
 Loveに一言言われたカメレンジャー達は観念するように項垂れた。
 こうして、カーカス村を騒がせた擬態怪人カメレンジャーはご用となったのであった。

●真犯人は……
 村に引き渡されたカメレンジャーは酷く反省し頭を地面に擦りつけて村人達に謝罪していた。
 村長さんが「その力、今度は村を守る為に使っておくれ」と肩を叩くと、カメレンジャー達は涙ながらに頷くのだった――

「さて、話をここで終わらせるわけにはいきませんね」
 温厚と思われたカメレンジャーが破廉恥に変貌した原因があると睨んでいた。その原因は交流のあった幾人かの村人――つまり真犯人にあると踏んでいたのだ。
 以外にもカメレンジャー達はこのことに関してはどんな手段を使っても黙秘を続けていて、犯人捜しは難航する。村人達も誰がカメレンジャーと交流していたかをしっかりと把握してなかった為に、犯人を見つけるのは難しいように思えた。
 唯一の手がかりはカメレンジャー達の巣にあった――えっちな本だ。
「……出て、こないなら、仕方ないの」
「ええ、連帯責任です。男性は全員並んでください」
「えぇ!? 何を!?」
 村長の驚きをよそに、女性陣には話が通っていたようだ。
 並ばされた男性に順番にビンタが飛んでいく。
「はっはっはっー痛快だねぇ」
「これに懲りたら二度と同じような事態は引き起こさないように!」
 頬を押さえて項垂れる男の村人達に説教したイレギュラーズは、こうして依頼を解決するのだった。
 依頼に参加していた男性陣のサンディとジョゼは、
「女性は怖いねぇ」
「まったくだね」
 と、肩を竦めるのだった。

成否

成功

MVP

夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師

状態異常

なし

あとがき

澤見夜行です。
依頼成功です。詳細はリプレイをご確認ください。

溶解液、舐め回し、そして擬態に逃走と全てにしっかりと対策がされていてとてもよかったと思います。盛りだくさんだったのでちょっと描写が薄くなってしまったかもしれません。
そして服を脱がして「きゃー」とか言わせるシナリオのはずが意外と淡泊な方が多かったですね。

MVP候補は何人かいて全員にあげたいくらいだったのですが、ここは皆さんの肌を守るプレイングをかけていた幻さんに贈らせてもらおうと思います。
貴方のせいで、恥ずかしがる「きゃー、いやー」って台詞が書けませんでした。

真犯人を見つけようという試みはとても良かったです。
字数的に厳しいので難しかったとは思いますがもう少し調査に割り振れてたら大成功もあったかもしれませんね。
ちなみに犯人は村のエロ少年(ガキ大将)です。えっちな本を見せてスカートめくりを教えたらなぜか服を溶かして舐め回し始めてビビりました。後々お母ちゃんにバレて叱られてるはずです。

依頼お疲れ様でした!

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