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シナリオ詳細

<黄昏の園>麗しき女神の花

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ピュニシオンの森の探索が進み、イレギュラーズはいよいよその先へと向かう。
 竜種が住まうともいわれる場所。
 それは、フリアノン出身の亜竜種少女ペア、『シェインの相方』カレル・タルヴィティエ(p3n000306)、『カレルの相方』シェイン・ラーティカイネン(p3n000307)は聞き覚えがあったという。
「うちは里おじさまから聞いた記憶があるよ」
「わたくしも。カレルと一緒に聞いたのよね」
 こうした会話の中でも、2人は終始手を繋いだまま。
 友情という絆では言い表せないほどに強く結ばれた2人の関係が窺える。

 話は戻して。
 2人が話す「里おじさま」とは、『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスのこと。
 亜竜種と縁を結んだ彼が冠位魔種であった事実には、直接会ったことのあるカレル、シェインがイレギュラーズ以上に驚いていた。
 彼は森の先へと退避しているのは間違いない。
 その先には、人の文明を真似て作られた竜種の里……ヘスペリデスがあるのだという。
 この場所は『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスが竜種と人の架け橋となるべく作り上げたのだとか……。
「まだ探索をしっかりできてないけれど、うち達も見たことない植物でいっぱいだったな」
「興味深いですね。できるならゆっくりカレルと見て回りたいな」
 とはいえ、そうも言ってはいられない。
 『花護竜』テロニュクスはこの場所がいつかは滅びに向かうと告げたのだ。
 あまりのんびりもしてはいられない。早く里おじさまを見つけて、助けるべきだと2人は主張する。
「信じていいのかわからないけれど、『花護竜』と『白堊』がイレギュラーズに依頼してきたのよね」
「女神の欠片……それが見つかれば、里おじさまの苦しみを和らげることができる……本当にそうなら嬉しいのだけれど」
 2人は助けられるのであれば、ベルゼーを助けたいと話す。
 それだけ、亜竜種達にとって、里おじさまという人物が大切な人物なのだろう。
 やるべきことはヘスペリデスにおける拠点の確保。
 そして、一つでも多く、女神の欠片を確保することだ。
 すでに、いくつか拠点ができているという報告もあることから、2人は女神の欠片を確保したいと話す。
「今回は一緒に探索しよう」
「女神の欠片の一つは花の見た目をしているそうね」
 チームを組んだイレギュラーズは2人の情報を頼りにヘスペリデスの探索に乗り出す。


 ピュニシオンの森を越えたイレギュラーズ一行と亜竜種少女ペア。
 しばらくヘスペリデスを歩いていたメンバー達だったが、その風光明媚な土地に感嘆してしまう。
 柔らかな日差しが差し込むその場所は非常に見晴らしがよく、人跡未踏の場所とあって自然豊かな場所であった。
 説明の時に亜竜種少女ペアが言っていたように、ここでも森と同じく見たことのない植物が散見される。
 とはいえ、人の手が全く入っていないかといえばそうではない。
 この地に住む竜によって作られた、見様見真似で石を積み上げただけという不格好な遺跡がいくつか存在する。
 その中には誰が住んでいるのだろうか……と覗き込むと。
「また貴様らか。よく我の邪魔をする……」
 呆れた様子の美青年。嵐を呼ぶことすらできる将星種『レグルス』ティフォンである。
 一度、イレギュラーズは森で交戦したことがあるが、その力を示したことで彼も再度交戦する気はないようだ。
「要がないなら去れ。目障りだ」
 相変わらず人間に無関心というか、そっけないというか。
 あまり長く滞在して気分を害するのもと、メンバー達はいくつか質問してこの場を去ることに。

 女神の欠片は、ティフォンも何となくは知っていたようだったが、あまり興味がなかったようだ。
 ただ、花らしき形をしていることを伝えれば、近場にいくつか花畑があることを教えてくれる。
「言っておくが、荒らすなよ」
 イレギュラーズがティフォンの教えてくれた場所へと向かえば、色とりどりな花が多数咲いていた。
 これらは年中ずっと咲いているのだろうか。
 ともあれ、どの花がそうなのかは調べないと分からない。
 ……ゆっくり調べたいのはやまやまだったが、ここは亜竜の生息地でもある。
 フリアノン近辺や覇竜各地で見られる亜竜が群れを成してこちらへとやってくる。
 水牛を思わせるカトブレパス。
 ハゲタカのようなV(ヴァイオレンス)・ヴァルチャー。
 翼を持ち、脚を持たないワイアーム。
 イレギュラーズを見て餌が迷い込んだとでも思ったのだろう。
「どれくらい探せば目的の花が見つかるかな」
「でも、亜竜さんはそれを許さないよね……」
 カレル&シェインの懸念もあり、亜竜の対処はほぼ必須だろう。
 しっかりと撃退し、追い払ってから探したいが、下手すると花畑を荒らしてティフォンら竜を怒らせてしまうかもしれない。
 程々に交戦し、追い払えばいいが、亜竜がどれほど襲ってくるかもわからない。
 メンバー達は手早く策を練り、亜竜の対応と花捜索に当たるのである。

GMコメント


 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <黄昏の園>のシナリオをお届けします。
 亜竜種少女ペアの初トップです。よろしくお願いいたします。
 『ヘスペリデス』を探索し、女神の欠片の確保を目指します。

●概要
 『ラドンの罪域』を越えた先、ヘスペリデス。
 「黄昏の地」「暴食の気紛れ」などとも竜種達が呼ぶは亜竜種や竜種の住まう場所となっています。
 亜竜種少女と共に探索し、依頼を受けた『女神の欠片』の確保へと動いていただきますよう願います。
 どんな形をしているかは様々ですが、なんでも花の形をしたものがあるのだとか……。

 風光明媚な場所を歩きながらいくつか花畑を渡り歩く中で、亜竜の群れと出くわします。
 徹底的に討伐、あるいは撃退してからゆっくり探すも、発見してから手早く撤収するも皆様の方針次第です。

●敵:亜竜
 いずれも覇竜に生息する亜竜達。
 どのくらいの数がいるかは状況によりますが、これまで交戦経験のある相手ばかりなので、冷静に対処すれば問題ない相手のはずです。
 目的は女神の欠片である為、討伐、撃退は自由です。

○カトブレパス(略称:水牛)×?体
 全長4~5mほど。水牛を思わせる容姿に豚の頭を持つ怪物。
 食らいつき、のしかかり、地響き、石化睨みを使ってきます。
 持ち前のパワーで特攻を仕掛けてくることも。

○V・ヴァルチャー(略称:禿鷹)×?体
 Vはヴァイオレンスの略。全長2mほど。死肉を喰らう覇竜に生息するハゲタカで、この場の敗者の肉を狙っているようです。
 急降下からの強襲、旋回特攻、鋭いクチバシによる連続ついばみと、素早い動きで獲物は全て自分達の物だと襲い掛かってきます。

○ワイアーム(略称:翼蛇)×?体
 翼を持ち、脚を持たない蛇。ワームと呼称されることもあります。
 低空から噛みつき、尻尾叩きつけ、尻尾締め付けなど、素早い動きで攻め立ててきます。

●NPC
〇竜種:将星種『レグルス』:ティフォン
 全長6.5mほど。人間の姿とった彼はかなりの美男子。
 森で金のリンゴを守っていたはずですが……。
 本来の姿は、複数の蛇の尾を下半身として持ち、背には大きな翼、腕を大きな斧状に変化させることもできます。
 以前森で交戦済みで、戦う気はないようですが、こちらを助けることもありません。

〇亜竜種少女ペア
 フリアノン出身、互いを友情以上の感情を抱くペア。
 今回は共に探索に当たります。皆様の邪魔にならないよう動きますが、指示をいただければ効率的に対処いたします。
 
○カレル・タルヴィティエ(p3n000306)
 トップ絵右。赤いショートヘアの長剣使い女性。
 剣の舞は見とれてしまうほどの美しさなのだとか。

○シェイン・ラーティカイネン(p3n000307)
 トップ絵左。緑のロングヘアを揺らす術士の少女。
 炎、雷の術と合わせ、治癒術も使いこないます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <黄昏の園>麗しき女神の花完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年05月31日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
囲 飛呂(p3p010030)
きみのために
ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)
ラッキージュート

サポートNPC一覧(2人)

カレル・タルヴィティエ(p3n000306)
シェインの相方
シェイン・ラーティカイネン(p3n000307)
カレルの相方

リプレイ


 森を抜けた先は、暖かな日差しが差し込む眺めの美しい土地だった。
 様々な場所を渡り歩くイレギュラーズはあちらこちらに視線を巡らせながら語り合う。
「にしても竜種の皆さんは皆、整った人間態を持っているのですね? 変身のモデルなど居たりするのでしょうか?」
 『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)が離していたのは竜種のこと。
 理由はわからないが、人間を意識しているからこそ、そうした形態を持っているのではないかと推論するが、残念ながらティフォンは答えてくれなかった。
「まあ、この場においては衝突なく探索を許してもらえるだけ有情、と言うべきでしょうか」
 『雨宿りのこげねこメイド』クーア・M・サキュバス(p3p003529)は、先程であった竜種ティフォンに一応、ヘスペリテス滞在の許しを得られたと解釈する。
 触らぬ神に祟りなし、竜もまた然りなのだろうとクーアは考え、先ほどティフォンに礼を告げていた。
「女神の欠片集め……それがベルゼーに続く道なのですね」
 ウルリカは美しい自然に酔いしれそうになりながらも、現状について思い返す。
 亜竜種、龍種、どちらからも慕われる七罪、権力なき覇竜の王……。
 その果てに、少しでも望みに近い結果があればとウルリカは願う。
「女神の欠片……か。ワクワクする響きじゃん!」
 故あって女神様を探し続けている『幸運の女神を探せ』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)はその発見の為に何か役立てるかもと意気込む。
「女神の欠片ね。……少なくともこの地でガラパゴス的な進化をしてきた草木でしょうね」
 『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は女神の欠片と合わせ、他にも珍しい草木や昆虫を採取するべく幾つかサンプリング容器を用意していた。
 色々な発見ができそうだと、イナリは胸を躍らせる。
「シェイン、カレル。今回も宜しくな!」
「ええ、よろしく」
「精一杯頑張るね」
「シェインさんとカレルさんもよろしくね!」
 そこで、ジュート、『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が亜竜種少女ペアに挨拶する。
 快く返事する2人がずっと手を繋いだままなのを見て。
(カレルさんとシェインさん……とても仲良しなんだね)
 彼女達のとても強い、良い絆を、ヨゾラは羨ましくも感じていた。
 『あたたかな声』ニル(p3p009185)もまた、カレルとシェインの仲の良さが素敵なことだと告げて。
「そして、おふたりとも……ベルゼー様のことがすきなのですね」
 子供の時から触れ合っていた存在が例え冠位魔種だったとしても、優しく接してくれた人を突然嫌いになれるはずもない。
 『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)もまた、そんなニルと同じ考えだ。
「ベルゼーが敵なのは事実、でも彼らとベルゼーの間の感情も本物だろうから
欠片探しが、彼らへの一助となれば良い」
 そんな飛呂に、ニルも同調して。
「ニルはかなしいことがなくなるといいと想うのです」
 2人の言う里おじさま……ベルゼー様を救う為、ニルも欠片探しをいっぱいいっぱい頑張ると意欲を見せていた。


 花畑はティフォンのいた建物の近場にあった。
「うん、いい感じの花畑じゃない?」
 『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)が見回したその場には、季節感を感じさせない色とりどりの花々が咲き乱れており、己を主張するように首を傾げて甘い香りを漂わせる。
 亜竜の存在は気になるものの、花畑だけでも飽きさせないほどの魅力をラムダは感じていて。
「あの竜種、ティフォンさん。ここから離れてないし、荒らすなって言うし、なんだかんだこの場所好きだったりすんのかな」
 そんな飛呂の素朴な疑問に、ラムダは小さく笑って。
「この花畑に女神の欠片がね……ボクもこんな風情のある場所を言われずとも荒らすような真似はしたくはないけどね?」
 はてさて、どこにあるのやらとラムダが花畑を見回す。
 ヨゾラもその女神の欠片に強い興味を抱きつつも、こちらに気づき始める亜竜を注視して。
「花畑を荒らさないように……亜竜にも対処して、探していきたい所だね、飛呂」
「ああ、荒らさないのは大前提だな」
 保護結界を展開するニルの呼びかけに飛呂が応じる。
 ニルがさらにオルド・クロニクルを使って結界の効力を高めれば、飛呂がその範囲を確認する。
 ハイセンス・広域俯瞰・エネミーサーチ。
 講じられる手段をフル活用し、飛呂は闇の帳を下ろして敵襲に備える。
「ティフォン様に言われたのもありますけど……」
 竜種ティフォンが花畑を荒らすなと警告していたこともあったが、ニルはそれ以上にと付け加えて。
 柔らかい風が吹いて優しく花をくすぐるような花々の香りがこちらにも届く。
「ニルはこのきれいで大事にされてきた場所を傷つけなくはないのです」
 それはとても悲しいことと、ニルは本音を漏らす。

 全員の視界に亜竜の姿がちらほら入ってはいたが、ともあれ目的を果たすべくイレギュラーズは花畑に散開する。
「荒さず、了解でございます」
「素敵な花畑、荒らしたくねーもんな!」
 ウルリカ、ジュートもチームの方針に同意する。
 2人とも仲間をサポートするように動いており、ウルリカは気配遮断と忍び足を使う。
 さらにリピートサウンドを活用することで、川のせせらぎが鳥の羽音を掻き消すように。
 僅かな気配に対して自然の音が判別を困難にしてくれる。
「きっといい事あるぜ。頑張ろう!」
 ジュートもできる限り、亜竜がこちらへと気づかぬよう、装飾品で強化したおまじないで皆にいいことがあるようにと願掛けする。
 それを受け、メンバー達による女神の欠片捜索は進む。
 幾つかの保護結界が展開されているが、クーアもその一人だ。
 彼女は仮にも敵対者に本気で心づもりなどさっぱりないと言い切っていたが。
「どういう意図であれ、一時的にでも向こうが矛を収めてくるのであれば、相応の礼を返すのが道理というものでしょう」
 それに、ここは亜竜の住処だ。
 亜竜がどれだけ襲ってくるかを考えればキリがない。
 加えて、戦闘も可能な限り避けるよう方針を立てる。
 飛呂とは別方向に敵探知を行うジュートは、予め得たモンスター知識と合わせて導きの輝石の力で覇竜の地理も考慮して。
「一時中断だ。接近する亜竜をやり過ごそう」
 亜竜の動きを注視していたジュートに促され、一行はしばらく物陰へ。
「本当だ。こっちに気づかない」
「わたくし達よりずっと詳しいね。すごい」
 ジュートと同じく亜竜種のカレル、シェインも素直に絶賛する。
 そういえばと、ジュートは気にしていたことを2人に問う。
「カレルとシェインは里おじさまの事、とっても大切なんだな。どういう人だったんだ?」
「「それは……」」
 2人は覚えていることを一つずつ語る。
 小さい時から、里おじさまが来訪すると知れば、2人は喜んで皆と一緒に会いに行ったそうだ。
 子供達には幅広く色々な話を語ってくれたという。
 生活の知恵から、亜竜の生態、他国について。
 そんな亜竜種少女ペアの話を微笑ましげに聞いていたジュートだったが、自身の実家のことを思い出して話す。
 なんでも、身内同士でギスギスしていて、皆で固まると不幸になる……のだそうだ。
「血が繋がってなくても身内みたいに親しくしてくれる人がいるのって、すげーいい事じゃん」
 だから、大切なおじさんを助けてやろうぜとジュートは呼びかける。
 前より少しは戦えるようになったと胸を叩く彼に、少女達も少なからず頼もしさを覚えて頷いていた。


 さて、捜索は続く。
 感覚を研ぎ澄ますニルは2羽のファミリアーを使って他メンバーとは重複せぬよう、かつ女神の欠片をできるだけ短時間で見つけられるようにと尽力する。
「この辺りの花の品種は、少し違っているようですね」
「何かありそうな気がするね」
 気づいたことをすぐに仲間へとニルが伝達すると、ヨゾラも自身のギフトで何となく感知したらしい。
 その情報交換には、クーアのハイテレパスも活用される。
「んー、なんか感じるのです」
 そのクーアはアナザーアナライズで皆が示す一帯に何かを感じ取ったらしい。
 他の場所だと、他の国にも生育する花々も紛れていて、その中にヘスペリデス特有の種が紛れており、それが目立つといった印象だった。
 だが、ある一帯は特有種ばかりで埋め尽くされている。あたかも何かを隠しているかのように。
 イナリはそこに気づいて、片っ端からサンプルの採取に勤しむ。
 この場にある花々はもちろん、寄ってくる昆虫や野鳥などもチェックする。
 ただ、下手に採取を進めれば生態系への影響が出かねないと、イナリも程々になるよう努めていた。
 それだけでなく、欠片探しにもイナリは余念がない。
 装飾品の力もあって、イナリは6羽ものファミリアーを展開しており、上空から地上を偵察していたのだ。
 合わせて、彼女は亜竜の動きも警戒する。
 やることが多い状況であったが、イナリは興味の尽きないヘスペリデスの生態調査に目を輝かせている。
 もちろん、イナリも欠片の回収を最優先としている。
 ある程度、探すべき範囲が狭められたのはありがたいが、いつ亜竜が気付くか分からない。
 ヨゾラも自身の感覚に頼りつつ、鳥のファミリアーを飛ばして欠片を探す。
「他の物がギフトの感知に引っかかってたらごめんね!」
 捜しながら、ヨゾラは仲間達へと話すが、他メンバーもこのあたりに欠片はあると感じ取っている。
 それを信じて、捜索を進めていたのだが……。
「亜竜が近づいてるな」
 仲間達のファミリアーの感知もあり、飛呂が皆へとハイテレパスを通じて呼びかける。
 暫くはイナリがドリームシアターで作り出した幻影の人型を囮としていたが、知能が高いと思われるV・ヴァルチャー……禿鷹は暫く注視して上空を旋回していたが、それが消えたタイミングで偽物だと察し、降下してきたのだ。
 ある程度、当たりがついていた状況もあり、欠片発見を急ぎたいが、接敵するのは時間の問題。
「これは邪魔になりそうですね」
「迎撃は必須ですね。花畑を荒らすわけにはいきません」
 クーア、ニルも応戦やむなしと判断したようだ。
 相手を刺激せず、交渉は最小限に。飛呂もヨゾラもその方針は共有しつつも、外敵を追い払うべく身構える。
「花畑を荒らすなと警告されている手前、迂闊なことはできないから仕方ないね」
 ラムダも応戦の為武器を手にする横で、ウルリカが頭上から襲い来る敵を見据えて。
「では、私の個人技は適するはずですね。皆様は欠片探しを続けてください」
 ウルリカはここぞとAAS・エアハンマーを取り出し、亜竜の撃退に乗り出し始めたのだった。


 覇竜の亜竜達は獲物を発見する嗅覚が鋭い。
 真っ先に寄ってきた禿鷹だが、まだイレギュラーズ達から距離がある。
「かかってきなさい、遊んで差し上げましょう」
 この園に生息する亜竜は獲物に対する嗅覚が優れているとみて、発見は時間の問題だったと考えていたウルリカだ。
 一旦は女神の欠片捜索の為の時間を稼ぐべく、ウルリカは一番降下していた禿鷹を狙撃し、さらに真空波で追撃する。
 ただ、禿鷹は1羽だけでなく、別に2羽が追加で降り立ってくる。さらに上空には数羽が様子を窺っていたようだ。
 それらを纏めて足止めすべく、ラムダも素早くアンジュ・デシュを発動し、堕天の輝きで照らし出す。
 動きを鈍らせるだけでも、仲間達への攻撃の頻度が落ちるし、被弾も減ると判断したラムダの策だ。
 花々への影響を懸念して低空飛行するラムダは素早くもう一度空に光を瞬かせ、禿鷹どもを牽制していた。
 既に自らを戦いに最適化させた飛呂もまた迎撃に当たる。
 彼は敵に先んじて突撃戦術に出て、鋼の驟雨を禿鷹らへと浴びせかけていく。
 3体の禿鷹はその間もイレギュラーズへと接近してくる。
 これだけ攻撃を受けてもなおひるまず襲い掛かろうとしてくるのはさすが亜竜といったところか。
 数名は女神の欠片を探し続けていたが、そこに飛び込んでくる新たな亜竜が。
 ケエエエエエッ!
 こちらも遠方からやってくるワイアーム……翼蛇。
 ただ、群れを成しており、その数は10前後と多い。
 それらと接近する禿鷹の前に、クーアが進み出て。
「やるからにはやってやるのです!」
 チームの盾役を自ら引き受けるクーアは恋人にして主であるサキュバスほど、うまく役をこなせるとは思ってはいないが、同族としての維持がある。
「これでも私は夢魔の端くれ。相手を『惹き付ける』ことに関しては一家言あるのですよ? にひひ♪」
 クーアは禿鷹からサキュバスの特権を使って強く精神を昂らせて自らへと関心を引く。
 たとい亜竜だろうと、抗いえぬ情動はあるとクーアは豪語して。
「今それを知るがいいのです!」
 興奮して襲い来る禿鷹。前線に立つメンバーを含め、やむなく迎撃に当たり始める欠片捜索メンバーにも合わせ、ジュートがエスプリ、クェーサードクトリンで支援する。
「いよぉ、亜竜ちゃん元気? ラッキーな俺の顔に免じてここを通して……くれない?」
 ただ、眼前に迫った禿鷹は急旋回して鋭い爪を振るってくるのみ。
「そりゃざーんねん!」
 明らかな拒否とみたジュートは敵の接近を待ち、爪を突き立てようとしてきたタイミングで逆に組み上げた魔術を撃ち込む。
 集中して発したその術は至高と光輝の一撃。空中で光に縛り付けられた禿鷹は苦しそうに翼をばたつかせていた。
 丁度、翼蛇もイレギュラーズの射程内にまで接近してきており、ニルが亜竜を纏めて捉えていて泥と化した根源たる力を浴びせかける。
「もう少し……」
 仲間達の攻撃は前線の敵に集まっており、ニルもそこから切り崩しつつ亜竜の撃退に当たる。
「シェイン、合わせて」
「ええ、カレル。お願い」
 亜竜種少女ペアは息の合った掛け合いを見せ、近づく禿鷹にカレルが斬りかかり、仰け反ったところにシェインの炎が襲い掛かる。
 そんな2人をヨゾラは後方から見ていて。
(いや、ほら……百合の間に挟まるのは絶対駄目というか……)
 戦いの間と時折寄り添う2人を視界に入れつつ、ヨゾラは詠唱する。
 ケイオスタイドを思わせるが、ヨゾラ流のアレンジが加えられていて。
「飲み込め、泥よ。混沌揺蕩う星空の海よ」
 多数を捉え、ヨゾラは星空の泥を浴びせかけていく。
 群がってきた亜竜の中で、イレギュラーズの攻撃を立て続けに受けていた禿鷹目掛け、距離をとっていたイナリが短機関銃で狙撃する。
 胸部を穿たれた禿鷹は花畑へと墜ちていく一方、残りは危機を察して飛翔したのだった。


 依然、翼蛇は花々を見回すイレギュラーズを食らってやろうと飛び掛かってくる。
 これだけ多く生物が集まる状況。
 大きな騒ぎとなれば、大物も突っ込んでくる。
「何かくるよ」
 ラムダが予知する危険。それは……。
 ブモオオオオ!!
 新手のカトブレパス……水牛も混ぜろと言わんばかりに駆け込んでくる。
 クーアは禿鷹に代わって翼蛇を相手にしていたが、花畑のことを考えれば水牛を抑えざるを得ない。
 激しい特攻を仕掛けてくる水牛の攻撃によって、前線の体力が瞬く間に削られていく。
 ラムダは危機を察知し、慈愛の息吹をこの場へと吹き込む。
 ラムダの癒しを得て活力を得たカレルとシェインも果敢に攻め立てる。彼女達は主に翼蛇を個別に叩く。
 癒しをもたらすメンバーはいるが、さすがに全快とはいかない。
 体力が減ったのを自覚するジュートは後退し、絶対不可視の刃を飛ばし、翼蛇の首を跳ね飛ばす。
 すでに乱戦模様となっていた戦況において、ニルも水牛、翼蛇複数を纏めて堕天の輝きで照らす。
 もがくように空中をかきむしった翼蛇2体が地に墜ちていく。
 ただ、それでは終わらない。
 ブオオオオオオ!!
 鼻息荒くこちらへとのしかかってくる水牛に、ニルは最大に高めた魔力をとりわけ危険視していたその両目目掛けて叩き込む。
「石化がニルはちょっといやですもの」
 加えて、暴れられればそれだけ花畑が荒らされる。
 イナリは瞬時に接敵して至近距離から足回りへと弾丸を浴びせる。
 強力な反撃を見越して、イナリはすぐさまその場から離脱していく。
 その間に、墜ちた翼蛇をついばもうとゆっくり降りてきた禿鷹を、ヨゾラが
 近寄ってくる敵にヨゾラが近づき、魔術紋を……己を光り輝かせながらも極撃を打ち込む。
 危険と判断すれば、禿鷹はまたも飛翔する。
 多少それらを追い払っても、また高空を旋回して死肉を狙ってしまう。
 おそらくは後続の亜竜2種とイレギュラーズのうち、敗者の死肉をついばむつもりなのだろう。
 ならば、向かってこない敵は放置。
 イナリもまだ交戦の意志のある水牛の後頭部から弾丸を撃ちこみ、さらにその心臓に凶弾を見舞う。
 ブモオオオオオオオ!!
 力でねじ伏せようとしてくる水牛。
 前線がそれを抑えるのに体力をすり減らす仲間を支えるべく、ジュートは号令を発して。
「だいじょーぶ、もう一息だぜ!」
 頷くウルリカはこれまで得た経験を元に、無駄のない動きで真空波を連撃で水牛の巨体へと刻み込む。
 すかさず飛呂が弾丸をばら撒いた直後だ。
 ブモオォォォォ…………。
 1体の翼蛇と合わせて白目を剥いた水牛が花畑の上に崩れ落ちたのだった。


 亜竜達が怯み、距離を取り始めたところで、メンバーは再度探索に当たる。
 クーアが改めてアナザーアナライズを働かせ、合わせてヨゾラがギフトを働かせることで、一層捜索すべき領域を狭めて。
「ん、これは……」
 他の花々に隠れるようにしてひっそりと咲いていた小さな花。
 それは一見すると淡い水色の花だが、見る角度によって花弁が煌めいて色が変わるというもの。
 それをそっとヨゾラが摘み取るが、一行に輝きは損なわれることがなく、煌めき続けている。
「女神の欠片……綺麗な花だね」
 以前の浦出、これもフリアノンの欠片なのだろうとヨゾラは察する。
 その周辺をイナリが確認していたが、目的の花は一輪のみ。
 それでもイナリは周辺の花と合わせて土まで少量を採取していた。
 ただ、依然として交戦は続く。
 カレルが翼蛇に斬りかかり、シェインが雷の術を叩き込んで1体を花畑の外へと落とせば、残る翼蛇が高度をやや上げる。
「今のうちか」
 目的はすでに果たしており、相手も怯んでいる。
 飛呂の呼びかけもあり、皆花畑からの離脱へと動く。
 ただ、多少、花畑が荒れてしまったのを、ニルは後ろめたさを感じて。
「……ごめんなさい。応援しています」
 その2つのおまじまいをこめ、ニルは少しでも早く元に戻るようにと、ひとにぎりの灰を戦場となった花畑に撒く。
 飛呂も手早く仲間と手分けして翼蛇や禿鷹の死骸を花畑の外へと運び出す。
 ただ、水牛の巨体を運び出すのは難しい。
「禿鷹が綺麗に片付けてくれりゃ助かるんだが」
 できる限り、亜竜同士の争いに見せかけるよう、ジュートは自分達の立ち入った手掛かりを隠滅する。
 ある程度、それが進む間、メンバー数名が残る亜竜を牽制する。
 鉛をばら撒いて亜竜を傷つけるウルリカは、飛呂も続いて発砲しているのを見て。
「さぁ、長居は無用、逃げましょう」
 うまく亜竜の攻撃能力を削ぎ、ウルリカは仲間達にも離脱を促す。
 ニルやクーアが速やかにこの場を離れ、ラムダら他メンバーも続く。
 亜竜達も離れていくイレギュラーズを追うことまではせず、倒れた水牛や花畑の脇に転がる亜竜へと群がり、その死肉を貪ることにしたようだった。

成否

成功

MVP

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは女神の欠片を発見した貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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