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シナリオ詳細

<黄昏の園>因縁は黄昏にて踊る

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●黄昏の園にて
「ふふ、ふ」
 1人の女の笑い声が、そこに響く。
 ヘスペリデス。
『ラドンの罪域』を越えた先に存在している風光明媚な空間の名だ。
 ピュニシオンの森から見て黄昏に位置し、この空間独特の花や植物が咲き乱れているこの場所に、亜竜種の女にも見えるそれは佇んでいた。
「おかしなものじゃな」
 女の視線は、1体の亜竜へと向けられていた。
 ランサーホーン。槍のような角を額に付けた、全身鱗の馬のようなトカゲのような……そんな亜竜だ。
 その角はユニコーンの如く一本。それがランサーホーンの「普通」。
 しかし……その中には1体、違う姿のランサーホーンが混ざっている。
 その角の上に更に生えている、2本目の角。ランサーホーンとしては明らかな異形。
 だが、他のランサーホーンたちは気にした様子もない。2本角のランサーホーンは、なんでもないかのようにそこに混ざっている。
 赤い衣を纏ったその女は「2本角」を見ながらほう、と息を吐く。
「排除されぬ、か。野生の亜竜ですらそうじゃというのに、我は……」
 あの2本角が羨ましい。女は……本気で、そう考えていた。

●因縁のその姿
 ラドネスチタによる『選別』をうけ、イレギュラーズが辿り着いたのは『ヘスペリデス』と竜種達の呼ぶ緑豊かな場所であった。
 この場所は『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスが竜種と人の架け橋となるべく作り上げたらしい。
 人の営みを真似して作った遺跡は不格好。咲く花はデザストルの特有の名も知らぬ花。
 覇竜とはこのような未知だと再度突き付けるようなこの場所はされど、不器用で不可解な感情を形にしたかのようでもあった。
 いつか滅びに向かうのだというこの場所において……やるべきことは、幾つも存在する。
 女神の欠片と呼ばれるモノの探索も、その1つだった。
『花護竜』テロニュクスと『魔種・白堊』がベルゼー・グラトニオスの苦しみを少しでも和らげるためにイレギュラーズに協力を要請したというモノの名前だ。
 勿論、何処まで信じていいものかは分からないが……女神の欠片は様々なものに形を変えているという。
 たとえばそれは亜竜の卵にであったり、あるいは竜種の鱗にくっついていたり。
 勿論そのようなもの、命懸けになることは確かだが……多少ではあるがもう少し生き残れる確率が高いものもある。
 それが亜竜ランサーホーンの「2本目の角」だ。どうやら女神の欠片が姿を変えたことでそうなったようだが……たとえ本来は存在しない2本目とはいえ、ランサーホーンはそれを譲ったりなどしないだろう。
 つまり、どうあがいても戦いになる……のだが。話を聞いていた『竜は視た』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)は、次に聞いた言葉にピクリと反応する。
 その2本角を観察しているという、亜竜種のようにも見える4本角の女。
 どうやら竜種ではないようだが、普通の亜竜種とも思えない凄まじい力を放っているという。
「どうやら……また只事ではすみそうにありませんねえ」
 そう呟くヴィルメイズの言葉は……恐らく、現実となるだろうことは間違いなかった。

GMコメント

ヘスペリデスの草原にいる2本角の亜竜ランサーホーンの2本目の角を持って帰れば依頼は成功です。
無茶はやめましょう。命はオンリーワンです。

●出てくる敵
・亜竜ランサーホーン×30
この中に1体だけ2本角がいます。攻撃方法は近距離からの突進攻撃「ホーンアタック」と角から電撃を放つ「ホーンサンダー」です。結構仲間意識が強そうです。

・『邪術舞踊』閻・陽明
恐らくは亜竜種の魔種です。その四本角が特徴的ですが、非常に穏やかに見えます。
見えます……が、何がスイッチになってブチ切れるかは不明です。
話し合いが出来そうな雰囲気も持っていますが、その途中で殺しに来そうな危うさもあります。
今回彼女がどう行動するかは皆様のプレイング次第です。
踊ることによって範囲内の指定した敵に魂を引っこ抜かれるような痛みとダメージを与える「邪術舞踊・ハジマリノ舞」を使ってくる可能性があります。
もう死ぬほど強いので倒そうとは思わないでください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC-です。
 信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
 不測の事態を警戒して下さい。

  • <黄昏の園>因縁は黄昏にて踊る完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年05月09日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
ハリエット(p3p009025)
暖かな記憶
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

リプレイ

●ヘスペリデスへ
「大量にいる亜竜の中から一体二本角を見つけることすら骨が折れるのに、いかにも面倒くさそうな女がいるな」
 草原に佇む1人の女を見て、『老兵の咆哮』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)がそう呟く。
 赤い衣を纏う亜竜にも似た女……気のせいか『竜は視た』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)にも似ているような気がする。
「綺麗な場所だね。私たちも彼らも、自然や奇麗なものを好むという点では同じなのに相手が魔種だと戦わざるを得ないなんて、悲しいね」
 『暖かな記憶』ハリエット(p3p009025)もそう呟くが……場合によっては、あれと戦わなくてはいけないのだ。
「群れの中から二本角をですか……なかなか骨が折れますね? しかしあの女性の方……なんとなく私に似ているような?気のせいでしょうか……。それに……彼女から強い死の香りがいたします」
 広域俯瞰で様子を伺いながら、ヴィルメイズ自身もそう呟く。
 そう、今回の仕事は亜竜ランサーホーンの群れから2本角を探し出し、その2本目の角……女神の欠片が姿を変えて貼りついたソレを回収することだ。
 元々本物ではなく女神の欠片が変じて貼りついたものなので、殺さずとも問題はないはずだが、大人しく渡してくれるかといえば話は別だ。
 そして、ランサーホーンをじっと見ているあの女がそれを大人しくやらせてくれるかというと、それもまた分からない。
「あの女……十中八九魔種だろうが、どうにも様子が気になるな……」
「ただ単に角を狩るだけなら楽だったのだが。どうやら、とんでもないオマケが付随してきたようだな? さて、どうやって切り抜けようか……」
 『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)に『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)もそう頷く。
 そう、あの女は明らかにランサーホーンを気にしている。迂闊に手を出せば敵が増えかねない。
「あの人、怒らせたら絶対ヤバい気配がするよぉ。あの気配から察するにやっぱり魔種だとは思うんだけど……」
 『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)も女を見るが、何故ランサーホーンを気にしているのか?
 いや、あるいはランサーホーンではなく二本角を気にしているのかもしれないと『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)は思う。
「見た目で疎まれるかどうか、それは先天的か後天的かで変わる気もしますがどちらにしても見た目で判断するのは人間の悪いところでもありますよね。彼女もその被害者なのでしょうか?」
「……世の恨み、嫉み、失望したと言わんばかりの瞳……可能性はありそうですが……」
 『愛し人が為』水天宮 妙見子(p3p010644)もそう呟くが、その女はどうやらこちらに気付いていたようで、じっと此方を見ている。何をするにせよ、無視をするわけにもいかない。それが相手が敵対するスイッチかもしれないからだ。
「生き物が皆、分かり合えるなんて戯言を言うつもりはない。元の世界では隙を見せたら死ぬだけだった。召喚されてから幾分マシになったけれど、どこも結局は同じ。でも、分かり合うための努力はしたい。角を持ち帰るのだって、その一環」
「……だな」
 ハリエットに、クウハも頷いて。
 だからこそヴィルメイズとクウハは対話を望むべく、一歩前に出る。
 ちなみにヴィルメイズとしては「女性が会話できそうな雰囲気であれば、会話を試みてみます。色男ですので女性を気遣うのは当然のこと」であるらしく、胆力が流石である。
「そこのご婦人。ここは竜種も住まう場所……お一人では危ないですよ。私によく似た角を持つ方、きっとこれも何かのご縁……」
「ふむ?」
 女はヴィルメイズを見て一瞬驚いたような表情をするが、すぐに元の笑顔に戻る。
「そうか、知らんのか。これもまた奇なるものよ。まさか変わったわけでもあるまいが」
 やはり何か因縁があるのだろうとクウハは感じ取るが、そこには今は触れまいとする。
「……クウハだ」
「これはこれは。我は閻・陽明。何用じゃな? 先程から此方を見ていたようじゃが……?」
 やはり気付かれていた。それを感じながらも、クウハはまずは謝罪する。
「そっちの……ランサーホーンもだが、平穏を乱す非礼を詫びる」
「おやおや。それはそれは」
 コロコロと微笑む陽明は、非常に穏やかだ。こうして話している限りだと、とてもではないが魔種には見えない。
 見えないが……魔種とはそういう者も多い。だから、そんな感覚はあてにはならない。
 妙見子も正直何が琴線に触れるか分からないからと、いざというときの盾役として近くに控えていた。
「俺たちは、あくまで『女神の欠片である2本目の角』の回収が目的だ。ランサーホーンを必要以上に傷付け、殺害する意思はない。というのも、女神の欠片を集める事で冠位暴食の苦しみを和らげることを望んでいるんだ。陽明から要望があるならば、それに可能な限り沿う意思もある……どうだろうか?」
「ふぅむ……女神の欠片、とな」
「何も取って食うわけじゃねえ、ちょっと角……になってる女神の欠片に用があるだけだ」
「彼らに恨みがあるわけじゃない。できるだけ傷つけずに済ませたいとは思ってるよ」
「無駄な殺生を行うつもりは無い。その二本目の角さえ持ち帰らせてくれれば、それでいいのだが」
 バクルドと咲良と汰磨羈も、そう呼びかける。
「今も言ったとおり取って食うつもりはねえし争い事を悪化させるつもりもない。角が二本でも他が気にせんならなくても気にせんだろ」
「此処に居る二本角に思い入れがあるのだろう。だが、アレはかのベルゼーの為にどうしても必要なモノなのだ」
 下手に誤魔化さず、理由を率直に。そんな交渉に陽明は悩むように首を傾げる。
「まあ、ええじゃろ。アレも生まれついての2本角かと思うたら、そうでもないようじゃし。よく分からん代物が貼りついているだけとあらば、共感も消えて失せたわ」
 本当にどうでも良さそうな冷たい目になる陽明に、誰もが一瞬武器を構えそうになる。
 しかし、内容は此方の提案を受け入れたものだ。幸いにも、陽明の地雷を踏まずに済んだようだった。
「うむ、好きにするとええ。我は帰るでな」
「……ちなみにだが、2本目の角を持つランサーホーンを気にしている理由ってのはなんだったんだ?」
 難色を示すようであれば深入りはしないようにしようとは心得つつ、それとなく聞き出そうとするクウハに陽明は薄く笑う。
「……さて。それを知りたくば閻家について調べればよいが。そこの。名前は?」
「私ですか? ヴィルメイズ・サズ・ブロートと申します」
「くくっ、なるほどのう。お主もまた我のあったかもしれぬ姿か。となればまあ、うむ。もう良い」
「どうして重ね合わせてるか知らんがお前さんの角はいい角だと思うぜ?」
「良い悪いは常に流動的なものじゃ」
 バクルドに陽明はそうとだけ答えて。
「陽明様、貴女の過去に……何があったのか、どんな苦労されたか私達には分かりません……そしてそれはおそらくヴィルメイズ様にも関係があることなんでしょうね、似てますからあなた方。ですが血は繋がっていなくとも私はあの子の母親代わりです」
「左様か」
 妙見子に、陽明は僅かに扇子を開いてみせる。
「しかしまあ……そういうのは余所でやってもらおうか。呪い殺したくなるでのう?」
 その言葉を最後に、陽明は何処かへと去っていく。どうやら交渉に成功したらしい。それだけは、確かだった。

●女神の欠片をゲットせよ
 何はともあれ陽明が去ったのであれば、話は非常にシンプルになる。
「二本角は……と」
 咲良がエネミーサーチとエネミースキャンを併用するが、ハリエットも広域俯瞰で二本角を探していく。
「彼らに恨みがあるわけじゃない。できるだけ傷つけずに済ませたいんだけどな」
 鏡禍としては見つけられずとも普通の一本角はわかるはずなので、妖気の誘いで一本角のランサーホーンを引き寄せることも考えていた。
 移動しながら引きつけ続けることで群れを分け、二本角を見つけやすくしようというのだ。
 そして汰磨羈も鳥のファミリアーを召喚し、超視力を併用して二本角を探していた。
 二本角を見つけたら、鏡禍の一本角引き付けに連動する形で行動開始するのが最適だろうというところまで計画を立てている。
「ああ言ってはいたが、いつ戻ってくるか分からんしな。しっかり約束は守るとしよう」
 バクルドも広域俯瞰で二本角を探し……「おっ」と声をあげる。
「どうやら見つかったみてえだな」
 バクルドの見つけたそれは、確かに二本角。しかしよく見ればどうにも妙な生え際をしている。
(魔眼で大人しくなってくれるならそっと角を折るけれど……そうはうまくいかないかな?)
 ハリエットはそんなことを考えるが……まあ、あれなら近づいてしまえば大した痛みもなく折れそうな気もする。
「では始めましょう」
 殺したくはない、との意向に従い、ハリエットは攻撃はしない。
 一本角のランサーホーンだけを引き付けること、付与を維持することを最優先にして、目的を終えるまで耐え続けるつもりだった。
 そして仲間たちの行動も、それに沿ったものだ。
 神気閃光を妙見子が放ち、闇の帳で気配を隠したヴィルメイズの遠距離からの地府十王舞が発動する。
「いつかちゃんと話を聞いてみたいな。今はとにかく、ランサーホーンの角を確保することに専念しよう。アタシも無益な殺生は避けたいからね」
 咲良もそう考えながらも、二本角からは目を離さない。
「いやぁ、それにしても色んな意味で運が悪かったね!  でも命は取らないから安心して!」
 アタシに会ったが運の尽きを発動させた咲良に合わせて、ハリエットがラフィング・ピリオドからのロングバレル・リコシェットを二本角の根本……すなわちランサーホーンを傷つけないぎりぎりのところを狙って撃つ。
 アレは二本角の角ではない。ならば出来るはず。
(私の命中ならば、叶う)
 その祈りが届いたか、二本角の「二本目の角」がパキンッと軽い音をたてて飛んでいく。
「よっと」
 それを拾い上げたのはバクルドだ。
「角を使って攻撃する以上痛覚はないか鈍そうだが、攻撃に使う以上普段から折れることもあるだろうしまた生え変わるだろうさ」
 ま、この角はそういうもんでもない余計な部分だろうが、とバクルドは冗談めかして。
「よし、撤退だ!」
 汰磨羈の掛け声に従い全員が一気に撤退していく。元から目的はこの角だ。長居する意味など全くない。
 そうして、撤退して……ランサーホーンたちがもう追ってこないと確信すると、バクルドは手の中の角を見る。
 どう見ても普通の角だが……これが女神の欠片ということなのだろうか。
「そういや魔種と思われる……か、違う可能性もあるのか? もしくは反転以前から迫害されて結果反転したか……だとするなら。もしや、あの女も女神の欠片宿してるとかじゃあねえよな……?」
 だとするとランサーホーンなどより余程面倒な相手だ。そうではないことをバクルドは祈っていたが。
「相手が魔種であったとして、それだけで憎む理由は俺にはない」
 クウハも、そう小さく……しかしはっきりと呟く。
「運命特異座標として召喚されていなけりゃ、俺は本来魔種側だろうしな。冠位暴食には色々と思う事もある。出来る事なら助けてやりたい。魔種とそうでない者が共存できる道があればいいんだが」
 そんな日が来るかは分からない。この「女神の欠片」が果たして望むような何かを起こせるものなのかも分からないのだから。
 しかし、今はそれを信じて女神の欠片を集めるしかない。
「ランサーホーンの様子を見てると微笑ましい様な切ない様な複雑な気分になってくるよ。昔の仲間に容姿や生まれつきの異能が原因で、迫害を受けた奴がいたんでな……」
 すでに過去の話ではある。しかし、今回彼女ときちんと話そうとクウハが思ったのも、あるいはその過去ゆえ……なのかもしれない。それはクウハの中にのみある真実だ。しかし今回はそれが実を結んだ。
 もっともそれでも分かり合えることなど出来るかは、やはり分からないのだが。
「その身を魔に染めるほどの怒り、悲しみ、憎しみ。彼女をそうさせたのは一体何でしょう……?」
 ヴィルメイズも、陽明が消えた方向を静かに見て……そう呟く。
「いつかまた出会うかもしれません、私と同じ角を持つ方よ」
 それが幸か不幸かは、まだ分からない。2つの運命が何処で交差するのかは……今は誰にも、分からないのだから。

成否

成功

MVP

クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

状態異常

なし

あとがき

女神の欠片「ランサーホーンの二本目の角」を手に入れました!

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