シナリオ詳細
街路を塞ぐ巨大スライム
オープニング
●うっかり錬金術師の忘れ物
幻想(レガド・イルシオン)、バルツァーレク領。
幻想の西に位置するこの場所は有力貴族の1人、『遊楽伯爵』ガブリエル・ロウ・バルツァーレクの領地だ。
幻想貴族の中にあって人道派のガブリエルは珍しく……というと聞こえが悪いが、自身の領地民を思いやる発言を行う良識人だ。
最近は「新生・砂蠍」が領地内に潜り込んでいるとあって、頭を痛めているようなのだが、事件はそれ以外にも日々起こっている。
例えば、こんな話。
バルツァーレク領のとある集落において、突如として集落内の街路を塞ぐようにとある物体が鎮座する事件が起きている。
それは、全長5mほどの水色をしたゲル状の物体。この集落を訪れた錬金術師が何らかの手段で生み出したスライムらしい。
この巨大スライム、街路からは全く動く気配がない。
居心地がいいのか、錬金術師の命令が変な風に作動しているのかは分からないし、スライムに理由を語る手段などもない。
残念ながら、原因をつくった錬金術師はすでに幻想にはいないらしく、スライムを穏やかに移動させることは不可能らしい。
日常生活の妨げとなる為、集落民はやむを得ず駆除に当たるのだが、このスライムはいくつか面倒な能力も持っている。
かなりの体力を持っている上に自己修復能力を持つらしく、多少の攻撃では一晩経てば元通りという有様だ。
また、破壊しても、分裂して動く事ができる。
半分にしても分裂した個体はそれぞれ独立して動けるようで、元の大きさの16分の1(全長30cm程度)以下になると動かなくなるようだ。
このスライムは平時は無害なのだが、自分を傷つける者には殴りかかり、体当たり、体液を散弾として飛ばし、攻撃をしてくる。
巨大な状態では威力が大きく、分裂して小さくなると威力こそ落ちるものの手数で攻めてくるので、かなり危険な相手だ。
女性の身体に絡みつくだの、服を溶かすだの、不健全なことをしないのがある意味救いだろうか。
集落民もすっかりこのスライムの対処に困り果ててしまい、領主ガブリエルを介してローレットにその駆除依頼を出しに向かうのであった。
- 街路を塞ぐ巨大スライム完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年09月30日 21時15分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●飼い主は責任持って!
幻想内、バルツァーレク領とやってきたイレギュラーズ一行。
その目的は……。
「久々の依頼は、街道を塞ぐ巨大なスライムね」
少女の姿をした『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)は新たな権能を試すには丁度よい依頼だと考える。
今回、女王……レジーナと同じく異界接続者として依頼に臨む、『召剣士』パーシャ・トラフキン(p3p006384)。
小柄な青い髪の彼女はここのところ、巨大植物、巨大魚、巨大クラゲと戦ってきており、今回のスライムもまた巨大な相手だ。
「……私、結構大きい生き物に縁があるのかもしれません」
一方、多くのメンバーが今回の状況に辟易としていて。
「やれやれ、自分で面倒見れないペットは飼っちゃいかんと教わらなかったんかねぇ」
無精ひげを生やした現役勇者、『風来の博徒』ライネル・ゼメキス(p3p002044)は飼い主であり、創造主である錬金術師に悪態をつく。
「うーん。自分で作ったモノを野放しにして迷惑をかけるとか、常識を疑うよね」
モノづくりに携わるものとしては激おこ案件だと、小柄な鍛冶屋の娘、コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)は腹を立てていた。
「錬金術師も、とても大きな忘れ物をしていきましたね……」
もしかしたら、錬金術師は手に負えなくなっていたのかもしれないと、銀色の長髪を靡かせる可憐な少女、『誓いは輝く剣に』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)が相手の事情を推し量る。
「やれやれ、厄介な置き土産を残してくれたもんだな」
いずれにせよ、共感できる理由になどなろうハズもなく、金髪長身の青年、『紅蓮の盾』グレン・ロジャース(p3p005709)などは呆れて頭を振る。
「ホント傍迷惑な錬金術師だよね!」
狐の耳と尻尾を持つ豊満な体の女性、『夢見る狐子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)などはぷんすかと激情を隠さずにいた。
「早くスライムどかして、困ってる人達助けないと!」
ヒィロが言うように、集落民はこの道を通ることが出来ず、日常生活に支障が出ている。
「まっ、いつ被害が出るともわからねえ。一丁スライム掃除といくか」
また、グレンが示唆するように、大きな事故に繋がる恐れもある。
ともあれ、メンバー達は集落民に案内される形で、現場となる街路へと移動していくのだった。
●巨大スライム駆除作戦開始!
現場にやってきたイレギュラーズ達。
「これは圧巻ですね……」
「まぁ、ペットにしちゃぁ……、こう、可愛い、のか? よくわからんが」
パーシャが見上げたそれに威圧感を覚えると、ライネルもその姿に愛嬌などとは無縁の感情を抱く。
街道を塞ぐ5mもの大きさがある水色のゲル状をした物体。
もしかしたら、それにかわいいと感じる者もいるのかもしれないが、さすがに大きすぎて手に余る存在には違いないだろう。
「ふぅん、ああいうのが好みなのかしら?」
『呼ばれた故に応えただけだ、我が契約者殿』
少女の姿をした人間種スペルヴィアに、血液を模した呪具が寄生した存在である『宿主』サングィス・スペルヴィア(p3p001291)はそんな会話を交わしつつ、倒すべき敵を冷ややかに眺めていた。
「もし押しつぶされたらと思うと……、住民の皆さんも不安がるはずです」
現場到着後、パーシャが言うその住民達はグレンの指示もあって、イレギュラーズ達が対処に当たる間は貴重品を持って退去してもらう。
巨大スライムは攻撃しなければ襲ってこないようだが、念の為にとグレンは人々の護衛にも当たっていたようだ。
その間、パーシャ、レジーナの2人は錬金術師宅の訪問も考えたが、それを後回しにして巨大スライムと無機疎通をはかってみる。
しかしながら、どうやら有機物を含んでいるのか会話は出来ない。
「無機物とは思えませんでしたからね」
「そうね、やはり無理だったわね」
このスライムは果たして、どんな想いでこの場に居座っているのか……。
「ともあれ、どうにもできん以上は殴って消すしかないとは世知辛い世の中だ」
ただ、少しくらい不健全のスライムの方が楽しかったかもしれないとライネルは頭に過ぎらせるが、それは言わぬが華と口を噤む。
その間に、ヒィロは保護結界を展開して周囲の建物を保護する。
「村の被害を抑えつつ全力で戦える。いいね!」
今回の状況に対し、これ以上なく役に立つスキルだとヒィロは笑顔を見せていた。
ただ、避難誘導から戻ったグレンを含め、皆の準備が整うのを見て、その表情も真剣なものになっていく。
「何はともあれ、人の行き来に影響が出ている以上放置しておくことなどできません。町の皆さんの為にも、排除します!」
シフォリィが叫びかけると、巨大スライムもいささか緊張したように身を硬直させる。
メンバー達はその手前で戦闘態勢へと入り、改めて作戦を確認していく。
敵は5mの大きさから、半分、また半分……と分裂し、16分の1にまで細分化する。
大きい状態は一撃が強力だが、細かくなると手数が厄介な相手。
さすがにその数を相手にするのは危険と判断し、イレギュラーズはこんな作戦をとる。
「まず、全体の作戦としては攻撃を加え半分にし、その状態のスライムをグレンさんとヒィロさんで分断ですね」
シフォリィの言葉に、ライネルが頷く。
「俺達はグレンの引き付けた方からさらに分裂、殲滅していく。そうだな?」
「……要は余計な数を増やさない様にしつつ、分裂限界まで持ち込んだ個体から順に殲滅するって事だよね」
コリーヌもまた、仲間に内容を確認していた。
ここで、作戦の肝となるのはヒィロで、一旦半分に割った片割れを彼女が引き付けることとなる。
「責任重大だけど、頑張るよー!」
「後は勢いで、どうにかなるなる!」
意気込むヒィロの姿に、コリーヌも気合を入れていた。
イレギュラーズの殺気を感じてか、スライムの体表面がほのかな赤みを帯びてくる。
作戦を再確認していたサングィス……いや、少女のスペルヴィアはやや面倒な状況だと感じていたようだ。
「ただ殴り合う方が好みなのだけどね?」
『正式な依頼だからな、努力はせねばなるまい』
呪具サングィスがツッコミを入れつつ、二位一体となる彼女は相手へと迫る。
(──大丈夫、皆さんも、住民さんたちも、誰一人欠けさせないように)
そして、パーシャはそんな頼りとなる先輩達を見回してから、召喚を行う。
「――召剣!」
彼女は呼び出した星座が刻まれた双剣「ウルサ・マヨル」をスライムに向かわせ、戦いに臨むのだった。
●潰すのは半分ずつ!
ともあれ、まずはその巨体スライムへ、イレギュラーズ達は攻撃を開始する。
「通用するかはわかりませんが……」
シフォリィが魔剣「ピトレイヤル」を手に流麗なる舞いを見せながら、全力で相手の巨体を切り刻まんと斬撃を浴びせかけた。
彼女が狙うは、人で言うところの出血状態。
実際に傷口からどろりと体液が流れ出したことで、少しずつでもダメージを与え続けて分裂を促すことができるとシフォリィは確信していたようだ。
さらに、距離を詰めたライネルは近接格闘用の術式を発動し、ひたすらスライムの身体を殴りつけていく。
後はただ殲滅の為にと、ライネルは拳を振るっていたようだ。
グレンも曲刀「ドレイクの尻尾」で相手を叩き割ろうと動く。
そこへ、コリーヌも相手の包囲を意識しながら、武装システム「プラモデル&ビルドベース」を駆使して、相手の体を一刀の後に斬り伏せんとしていた。
レジーナは回復役として立ち回る心積もりだが、相手が動き出さないのを見て、この場へと使い魔を想像する。
「異界に住まう我が分身、我が意に応えて顕現せよ」
それは、黒装束に身を包んだレジーナの分身体。
分身体は身の丈ほどある大剣を操り、スライムの身体を大きく切り裂こうと斬撃を見舞う。
その直後、スライムは憤怒した様子でその身体を大きく変形させ、手近な位置にいたシフォリィの身体を殴りつける。
一撃の威力は相当なもの。彼女も油断せぬよう次の一撃を仕掛けていた。
その直後にサングィスも近づき、少女スペルヴィアが主体となって戦う。
彼女は一度自らに「忌呪」を使って自身の防御を高めてから、格闘戦に臨んでいた。
こちらも一旦、自らの流れる赤き血潮を沸き立たせていたパーシャ。
「ウルサ・マヨル、お願い!」
攻撃に集中する彼女は双剣を操って突撃させ、目の前のスライムへと攻撃していくのである。
巨大スライムの一撃はかなり重いが、それでも序盤は淡々とした攻防が続く。
だが、パーシャの双剣による幾度目かの攻撃で、スライムの巨体が大きく弾ける。
次の瞬間、半分になったスライムが2体、イレギュラーズ達の前に並んでいた。
「って、半分でもこんなに大きいの……?」
それでも、自身の身長より大きなスライム。
2.5mほどある相手にヒィロは気後れしかけてしまうが。
「ビ、ビビってないよ?」
それでも震えを止めた彼女は踏ん張り、相手の抑えへと向かっていく。
もう1つの片割れは、グレンが引きつける。
スライムの粘液で服が汚れるなど女性陣には辛いだろうと判断し、彼は物理的な汚れ仕事を請け負おうとこの任を引き受けたのだ。
「グレン・ロジャースだ」
重盾『海洋』を構えながら、彼は名乗り口上して相手の注意を強く引く。
すると、敵はさらに赤みを強くして前方へと自らの体の一部を散弾のようにして前方扇状に飛ばし始める。
「まっ、俺も極力汚れねえように防ぐがな」
それを構えた盾でうまく防ぎ、グレンは食い止める。
出来れば、味方後方にまで飛ばないようにと考えたが、何せ現状だと自分達よりも大きな相手。
その散弾は多くのメンバーに及ぶ。
射線に気を配っていたレジーナは難を逃れていたが、シフォリィ、パーシャなどがそれを浴びてしまっていたようだ。
「お二人が頑張ってる間に倒せるかが鍵なので、全力を尽くしましょう」
引き付け役の両名が耐える間に、シフォリィは合体を阻止するように動くよう心かげながら、再度魔剣で切りかかる。
そのヒィロは自らの迸る闘志をスライムにぶつけ、そいつを後方へと引き付けていく。
とはいえ、彼女の傷の深まりは余りにも早い。
それを確認したレジーナが支援能力を持つ召喚物を呼び、彼女の回復に当たらせ、戦線の維持へと当たる。
「ボクが粘ってれば、もう半分を倒した皆がすぐ駆け付けてくれるもん!」
だから、自身は皆を信じて頑張るだけ。
ヒィロは一層、気を振り絞って相手の気を引き続けるのだった。
●増えるスライムを如何にして叩く?
4分の1、8分の1とどんどん分裂していくスライム達。
ただ闇雲にスライム潰そうとすれば、数が増えて収拾がつかなくなる。
「うぬん、やってみて分かる面倒さ。ちゃっちゃと片付けたいねー……」
コリーヌは小難しい顔をしながらも、目の前のスライムの身体を一刀両断し、真っ二つにしてしまう。
ぷるんと2つに割れるスライム。分裂限界となる16分の1のサイズは全長30cm程度の大きさだ。
「再度、合体されないようにしないと面倒というわけね」
『こればかりは確実に潰すしかないのだろうな』
スペルヴィアはサングィスと話しながら、特にヒィロの傷を気がけてサングィスの体の一端を媒介とし、彼女の傷を塞いでいく。
周囲はヒィロの抑える最初の半分の個体が1体、そして8分の1が2体と16分の1の個体が4体いる状況。
「わわ、凄い事に……」
最も細かくなったスライムの素早い動きに、パーシャは苦戦しながらも双剣を向かわせて個別に切りかかる。
さらに、そいつへとライネルが遠距離術式を発動し、その一体の身体を完全に破壊していた。
そこで、8分の1の個体を見定めたシフォリィは分裂せぬままで一気に殲滅にはかる。
「この状態で倒せれば、時間が短縮できます」
分裂すれば2体。それらを倒す手間を考えれば、ここで粉砕しておきたい。
「ラ・ピュセル!」
シフォリィが叫んだのは、異世界のある地において『乙女』を意味する言葉。
それは、オルレアンの乙女と呼ばれたジャンヌ・ダルクの異名でもある。
戦乙女の加護をその身に纏った彼女は握りしめた裏切りの魔剣「ピトレイヤル」で素早く相手を斬りつける。
確実に、相手の核を狙った一撃。スライムは分裂することなく弾け飛んでしまった。
交戦続く中、スペルヴィアが何か敵の姿に感じることがあって。
「ふと思えば、サングィスの同類なのかしらね?」
『同列に扱われるのは非常に不本意だな?』
液体で構成されたサングィスだが、さすがにスライムと同じ扱いは我慢がならなかったらしい。
そのスペルヴィアは依然、ヒィロの回復へと当たる。
「作戦の成否がこれにかかってるんだもん……」
ヒィロは序盤こそ反撃を叩き込みつつ応戦をしていたが、仲間の回復を受けてなお徐々に疲弊していくのを実感し、防御を続けて踏ん張ってみせる。
「ボクを信じて大事な役目を任せてくれた皆のためなら、どれだけ傷付いても耐えられるよ!」
そんな彼女を助ける為に、パーシャも双剣「ウルサ・マヨル」より癒しの力を発して支援に当たっていたようだ。
さて、その間にもスライムの数は減っており、グレンの負担が激減する。
グレンも防御寄りでの立ち回りをしていたが、飛びかかる相手に対して盾を叩き付けて強力なカウンターで相手を叩き潰す。
そこで、コリーヌは周囲に、限界まで分裂したスライム数体を目にして。
「そろそろ分裂限界かな? それじゃ、一気にずばっといく準備ー」
集中したコリーヌに対し、グレンは祝福の囁きを行って援護に当たる。
限界にまで高めた彼女は素早く、刃を一閃させる。
紫電が周囲に迸った後、2体のスライムが完全に蒸発して消え失せていた。
もう1体もそれを受けていたが、トドメには至らない。
だが、ライネルが術式によって発する弾丸で追撃して撃ち抜き、そいつの全身をどろりと崩してしまった。
これで、片割れ全ての分裂体を倒したはず。
レジーナは召喚物のサポートでヒィロを癒し続けていたのだが、すでに限界だったらしい。
「あっ、良かった……」
笑顔を浮かべたヒィロは次の瞬間、その巨体による体当たりを受けてしまって。
運命に頼っていなかった彼女はそのまま気を失い、街路に倒れてしまったのだった。
●ご褒美プリンに事後調査
ヒィロの健闘もあり、メンバーはその後同様の作業を繰り返してスライムの撃破に当たる。
スライムは激しく抵抗を見せるが、手堅く立ち回るイレギュラーズ達は小さくなって威力の落ちた攻撃をうまく捌き、確実に殲滅していった。
一度は8分の1の大きさを粉砕したシフォリィだったが、その後はうまくいかなかったようだ。
ただ、あの一撃がなければ、ヒィロは最後まで持たなかった可能性も高い。
そう割り切ったシフォリィは魔剣で最後の1体を切り裂き、この戦いを終わらせたのだった。
全てのスライムを撃破すると、現場から一時避難していた集落民が戻ってきて、割れんばかりの拍手で労ってくれた。
そして、集落民達は成功した場合のお礼にと、人数分のプリンを用意してくれる。
「えっ、プリンですか? わあ、嬉しいです……!」
パーシャは嬉しそうに受け取り、皿の上でぷるぷると震えるそのプリンに、少しだけスライムの面影を感じてしんみりしてしまうものの。
そのほんのり冷たく、甘い味にパーシャは顔を綻ばせてしまう。
「甘味の差し入れとはまた豪勢だな。この手合いは女性陣が好きそうだな」
皆、自分の物で大丈夫とのことで、貧困育ち故かグレンもそのデザートに興味を持つ。
一口食べた彼はポーカーフェイスを崩さぬものの、ほのかな幸せを感じていた様子だ。
「こんな美味しいプリンがもらえるなんて、頑張った甲斐があったよね!」
意識を取り戻したヒィロは感激しながら、その甘いプリンを幸せそうに口にする。
「そういえば、このプリンちょっと冷たいけれど……」
コリーヌが尋ねると、集落民曰く、錬金術師が作った魔力を込めて一定時間保温できる箱のおかげなのだという。
「へぇ……」
物作りに携わるコリーヌは少し驚きの声を上げる。
それもあって、ライネル、レジーナ、パーシャは周辺住民から錬金術師のことを聞き、さらにその工房跡へと案内してもらう。
「これが最後の置き土産とも限らんよな」
スライム以外に何か別のものがあったら、また集落民が迷惑を被るとライネルは考えたのだ。
その後、訪れた錬金術師のいた工房跡を、レジーナは見回して。
「もぬけの空……ね」
すでに設備も運び出したらしく、室内には何もなくなっていた。
「結局、何も分かりませんでしたね」
どうやら、研究を行う為の高度な環境が整う練達……探求都市国家アデプトへと向かったとのことで、パーシャは残念そうに呟く。
聞き込みを行うも、錬金術師がどんな研究をしていたかもつかめず仕舞い。
イレギュラーズ達は止む無く調査を打ち切り、ローレットへと戻ることにしたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
巨大スライム討伐、お疲れ様でした。
MVPは仲間が駆けつけるまで耐え切った貴方も考えましたが……、
ここぞと運を味方につけ、その仲間が耐えきる一助となった貴方へお送りさせていただきました。
今回は参加していただき、本当にありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。
GMのなちゅいと申します。
●目的
スライムの撃破。
●敵……スライム×1体
初期状態では全長5mほどあり、水色、球体状です。
ダメージを与えることで半分に分裂(1/16、30cmまで)、
放置すれば集合して合体、自己修復能力を持ちます。
細かくなればなるほど、積極的に動き回って相手を攻めてきます。
また、分裂状態の個々の能力は大きさと比例します。
以下のスキルを使って攻撃してきます。
・殴りかかり(物近単)
・体当たり(物中単)
・散弾(神遠扇・足止)
●状況
幻想、バルツァーレク領のとある集落の街路を塞ぐように巨大スライムが鎮座しています。
街路の両端には店や家が並んでおり、スキルに巻き込む危険性がありますので、大きな被害を及ぼさないようにしてスライムを駆除したいところです。
うまく、事が運んで駆除できれば、集落の人々からちょっとしたご褒美(甘いプリン)がいただけます。
●情報確度
A。想定外の事態(オープニングとこの補足情報に記されていない事)は絶対に起きません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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