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シナリオ詳細

鉄帝的ウェディング

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●結婚は人生の闘技場
 みんな知ってる結婚式のクラシック音楽が鳴り響く。
 鐘は鳴り鳩はとび花びらは舞い飛ぶ赤い絨毯の道。
 ウェディングドレスを纏った新婦とフロッグコートを纏った新郎。
 腕を組み歩いて行く彼らを取り囲むの祝福する両親や兄弟や友人その他諸々。
「ヨシコ、おめでとう!」
「しあわせになれよ!」
 鉄帝のシンボルマークが掲げられた教会で、いま開かれているのはまごう事なき結婚式。
 司会役の男がマイクを手にこくこくと頷いた。
「お集まりの皆様。このたびはヨシコさんと暗黒怪獣デスゴリラさんの式にご参列いただき、まことにありがとうございます。
 このよき日を祝うべく、本日は特別なゲストにお越し頂きました。
 かの有名なギルド・ローレットの皆様です! どうぞ!」

 扉が開かれ、八人のイレギュラーズが飛び出していく。
 その中に混ざっていたのは紛れもなくあなただ。
 あなたは今日、鉄帝で行なわれる結婚式のゲストとして招待されたのだ。
 なぜそうなったのか。時間を遡ってご覧頂こう

●鉄帝的ウェディング
「皆様初めまして、わたくしフルメタルウェディングのプランナー、ゼクスと申します」
 鋼の名刺を渡してきたビジネススーツの男。彼は鉄帝で行なわれるいくつもの結婚式のプロである。
 これまで担当してきた夫婦は数えきれず、よき思い出を作り続けてきたという。
 そんな彼の提案する、次なるプランとは……。
「鉄帝で流行している式プログラムに、ローレットの皆様を盛り込むことでございます」
 実質的な依頼人は新郎新婦が、直接的には式場が依頼主となりローレットをゲストに呼び、鉄帝的ウェディングに参加してもらうというものだ。
「なに、複雑なことはありません。
 式でお手伝い頂くプログラムは
 『ケーキ入刀バトル』
 『ブーケトスバトル』
 『結婚誓約バトル』
 だけでございます」
 いまなんつった。

 説明しよう。
 鉄帝的ウェディングとは夫婦が良き生涯をおくれることを願って行なわれる祭事である。
 その内容を紹介しよう。

 第一祭闘、『ケーキ入刀バトル』。
 新郎と新婦はそれぞれ専用の刀を装備し、ウェディングケーキを切り裂く。
 その際、ケーキの中に入っていた二人組は悪を装い新郎新婦へ挑みかかるという祭闘だ。
 このとき2対2によるギリギリのバトルを演出し、最後は新郎新婦の力で悪を打ち破ることで祭闘成功となる。
 新郎新婦がこのさきいかなる苦難にも協力して立ち向かい、そして打ち倒すという意味がこめられているのだ。

 第二祭闘、『ブーケトスバトル』
 新婦が鋼鉄の花束を投げ、それを新郎側新婦側がそれぞれサモンした戦士によって奪い合わせる祭闘だ。
 先にキャッチした方が先攻となり、後攻の相手をめいっぱいぶん殴ろう。
 このとき防御や回避をしてはならない。互いに全力で殴り合い、最後に立っていた方が鋼の花束を掲げるというルールだ。
 これは新郎新婦もいざというときは正面から向き合い、打ち解け合うことで長い人生を共に生きていこうという意味がこめられている。

 第三祭闘、『結婚誓約バトル』
 新郎新婦が結婚誓約書を持ちサインをするまでの1分間(6ターン)、新郎新婦双方の両親がサモンした戦士たちが死闘を繰り広げるという祭闘だ。
 制限時間内にどれだけアツいバトルができるかを目指すものであり、アツければアツいほど粋だとされる。
 双方の両親は自らの子となる新郎新婦を守り、そして影ながらもり立ててゆくという意味が込められているのだ。

「合計8人が必要となります。
 そのひとりが……そう、あなたなのです!」

GMコメント

 ごちゅうい。この結婚式プランは一部式場で流行っているプランであります。鉄帝マン全員がむかしからこればっかりやっているわけではないってことにしておいてください。
 ただし鉄帝出身のPCたちがこの結婚式になじみ深い設定にするのはアリとします。だって楽しいから。

【役割分担】
 このシナリオには役割分担が必要です。
 第一祭闘『ケーキ入刀バトル』に2人
 第二祭闘『ブーケトスバトル』に2人
 第三祭闘『結婚誓約バトル』に4人
 という具合で8人きっかり分かれます。
 向き不向きもあるので、相談をして誰がどこにつくかを決めてください。
 決まっていなかった場合はなにかしら適当に割り振りますが、十中八九決めて挑んだほうが素敵な絵になると思われます。

【祭闘】
 それぞれの祭闘について解説します。

●第一祭闘『ケーキ入刀バトル』
 悪役をよそおってウェディングケーキ内から飛び出し、新郎新婦に挑みかかります。
 新郎新婦は強力な鉄帝マンなのでガチで戦っても負ける可能性すらある連中です。
 手抜き不要。ただし殺したりえげつないことしたりはナシでいきましょう。
 そして最後には、新郎新婦を祝うべく綺麗に負けてあげましょう。
 新郎新婦の装備はそれぞれ刀一本ずつ。ケーキが切り裂かれるところからバトルスタートです。
 つまるところ、『新郎新婦の協力』と『美しい負け方』の二つがこの祭闘のキモとなるのです。

●第二祭闘『ブーケトスバトル』
 先攻後攻を決めてノーガードで殴り合うというバトルです。
 どちらが勝ってもめでたいことですが、殴り合いが白熱すればするほど粋とされています。
 鋼の花束をキャッチした方が先攻となり、交互に殴り合っていきます。
 このとき武器や防具を使っていてもいいっちゃいいですが、素手のほうが喜ばれます。
 ちょいと特殊なケースなので、プレイングで素手であることを示していれば、装備している武器防具の数値を計算にいれたまま『素手で殴り合っていること』とします。
 勿論最後まで立っていた方の勝ち。勝ったら花束を掲げて雄叫びを上げましょう。

●第三祭闘『結婚誓約バトル』
 新郎新婦の両親たちにかわって6ターンの死闘を繰り広げます。
 6ターンしかないので見せ場もきわめて少なく、バトルの激しさがモノをいいます。
 どっちが勝ってもめでたいことですが、それだけに出来レースや消極的なバトルは嫌われます。
 攻撃はできるだけ派手に。そして大胆にいきましょう。
 回復とかするにしても派手かつ大胆に回復してください。ちょっと無茶なこといいました。

 なお、これらは祭闘であるため戦いに負けてもパンドラは減りません。パンドラ復活のコールも自動的に無視されます。
 (減らす場合PCの半数以上がめりめり減ることになってヤバいからって理由もあります)
 寸止めとかしたんだなあと思って置いてください。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 鉄帝的ウェディング完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月04日 21時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
キミと、手を繋ぐ
主人=公(p3p000578)
ハム子
江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)
咎狼の牙
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
Briga=Crocuta(p3p002861)
戦好きのハイエナ
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト

リプレイ

●祝福するは我にあり!
 りんごーんりんごーん。祝福のベルが鳴る。
 鉄帝の東に位置するウルフカオス教会の白い塔には鳩が飛び交い激しい空中戦を展開し、メタル牧師は笑顔で鐘を叩いていた。祈りによって繰り出される祝福の正拳突きがきわめてリズミカルに鐘を鳴らすのだ。
 あちこちでおこる魔法爆発のシャワーに祝福され、今日めでたき日に結ばれた二人が赤い絨毯を歩いて行く。
 新婦ヨシコと、彼女を肩に担いで歩く暗黒怪獣デスゴリラ。
 おめでとーと言ってガトリングガンによるバレットシャワーを浴びせる友人たちに囲まれ、笑顔で弾幕をはねのけていた。
「なんだアレくそ強え! 今から俺らあいつと戦うのか!?」
 怪獣映画さながらの無双っぷりを発揮する暗黒怪獣デスゴリラの強さに軽く引く『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)。
「あれ……ゴリラですよね……人類なんです……?」
 『咎狼の牙』リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)がきわめて怪訝な顔をするのも無理は無い。暗黒怪獣デスゴリラはどう見ても白いタキシードを着たゴリラだった。身長も3メートルを超えていた。
 肩に担がれた新婦は弾幕を跳ね返す謎バリアが光を反射するせいでよく見えないが、とりあえずウェディングドレスは着ているっぽかった。
「この後披露宴に移りお色直しをする予定でございます。きっと服装の違和感も消えると思いますよ」
「俺が聞きたいのはそういうことじゃなくてですね?」
「暗黒怪獣デスゴリラさんは暗黒星雲から地球へやってきたゴリラ星人だそうです。その後ウォーカーとなり混沌へ――」
「ゴリラじゃねえか!」
「うーん、グローバル!」
 『ハム男』主人=公(p3p000578)がにっこり笑顔になった。
 なったまま友人の列をみて固まった。
「あれ? あそこにいるのマスターだよね。ボクあの人知ってる。嫌な予感してきた」
「新郎がゴリラであるなら新婦がゴリラであることもまた必定ですね?」
 『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)が『私は分かってますよ』みたいな顔をした。
「それで、ゴリラなのですか?」
「いいえ新婦のヨシコさんはヒトですよ」
 眼鏡をちゃきってやるウェディングプランナー。
「ゴリラのブルーブラッドです」
「やっぱゴリラなんじゃん!」
 『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)が激しく二度見した。
 バリアの反射がはれて、真っ白なウェディングドレスを着たゴリラが見えた。
「よーし! それならオレも、その流儀に則って、全力で新郎新婦の幸せをお祈りするぞ―!」
 正直ゴリラでもやることかわんねえなと割り切った洸汰である。
「あァ……めでたい門出の祝いだ、派手にやらねェとな?」
 『戦好きのハイエナ』Briga=Crocuta(p3p002861)もひとの見た目とか気にしないタイプらしい。
「それに、一母親として、盛大に祝って送り出したい両親の気持ちは分からなくもねェ。多少の寂しさもあるだろうが……その寂しさを吹き飛ばすくらい派手にやってやらァ!!!」
「「おー!」」
 拳を突き上げる介添人たち。
 ふと見ると、『鉄帝軍人』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)と『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)がそれぞれ花かごをもち、新郎新婦のゆく道に祝福の手榴弾を投げていた。
「……まってあれなに」
「M26手榴弾、通称レモンです」
「正式名称とか聞いてるんじゃなくて」
「ボンバーガールです」
「あれが噂の!?」
(これはまた古式ゆかしい戦前式でありますな。なつかしいものであります。フロールリジは騎士の家系、無論戦士としてこの手の式には引く手数多でありますよ)
(うーん。ワタシはこういうのよりはもう少し普通の結婚式の方が……いやいや、国民の幸せの時間を安全に運行するのも軍人のお仕事……で、ありますかなぁ)
 エッダもハイデマリーも鉄帝にて名のある家の娘。祝福にはもってこいの二人である。
 プランナー兼司会役の男がスッと前へ出た。
「それではマウンテンゴリラ家、暗黒怪獣家――ご両家によるブーケトスバトルが始まります。今回は特別に、かの魔種を打ち倒したナイスマッスル、ローレットの面々をゲストにお迎えしております。拍手を!」
 イエーと言いながら空に向かってマシンガンを乱射する友人や両親たち。
 エッダとハイデマリーがそれぞれ花かごを置き、スタートダッシュの姿勢に入る。
「ご新婦ヨシコ様、鋼鉄のブーケを投げてください!」

●ブーケトスバトル
 新婦ヨシコが高速回転している。
 鋼鉄のブーケをハンマーのごとく振り回し、激しい遠心力を巧みにコントロールしながら星のごとく周り、そのエネルギーを一点に込めて投擲した。
 圧力に身体が潰されぬようにあげる激しい咆哮が、ハイデマリーとエッダのスタートを示す合図となった。
 機動力は同等。反応速度はエッダに二割近い分があった。僅かな差でブーケをジャンピングキャッチしたエッダは、地面を転がり反転。
 鋼の腕を肩までシフトさせ素に近い拳を露出させると、エッダは挑発的に構えた。
「さあ」
 ブーケはとったが先手は譲る、とでも言うように自らの頬を指で叩いてみせる。
 ハイデマリーはぽきぽきと拳を鳴らすと、エッダめがけて走り、拳を握り、至近距離から魔砲パンチを叩き込んだ。
 激しい魔力の波動と光がエッダを包み込む。
 光が過ぎ去った後、現われる腕組み姿勢のシルエット。
 先手が先手を譲る。決闘における愛の作法である。
 たとえ夫婦生活の中で衝突が起きてもまずは最初に謝るという歩み寄りの精神だ。
 だがただ譲るだけではない。エッダの誇る鋼のごときボディはハイデマリーの魔力を受け流し、殴った拳にすらダメージを跳ね返していた。
 ただ受け入れるだけが夫婦にあらず。衝突したときこそ互いをぶつけ合い、理解し合い、そして共に歪むのだ
「――ふんぬ!」
 エッダのちょっと珍しいスリムハンドによる顔面強打パンチ。
 ハイデマリーが派手に殴り倒された。されど血を吐き捨て、立ち上がる。
 夫婦がぶつかり合うことで互いは歪み、崩れ、そして血を流すだろう。
 しかし最後まで向き合い見つめ合ったことで、互いを深く深く知り、真の付き合い方を学ぶ。
 いびつなパズルが組み合わさるかのごとく、美しさも醜さも認め合った時、夫婦はひとつの生命となるのだ。
 幾度拳が交わされたことだろうか。
 やがてエッダとハイデマリーは血まみれあざだらけとなり、ハイデマリーは大の字に倒れたまま起き上がらなくなった。
 それを、エッダが力強く抱え起こす。
 そう、新郎新婦はひとつの生命となり、やがてもうひとつの生命を生み出すのだ。それこそが生命の連鎖。人の連鎖なのである。
 エッダの咆哮がごとき勝ちどきが、教会の塔へ響いた。

●ケーキ入刀バトル
 お色直しを終えた新婦ヨシコと新郎暗黒怪獣デスゴリラ。
 獣の鎧を纏った二人は巨大な刀をそれぞれ構え、ウェディングケーキへとにじり寄る。
「それでは、夫婦はじめての共同作業です! カメラをお持ちの方はどうぞ前へ!」
 友人や親戚たちが囲む中、夫婦のクロススラッシュが炸裂。ウェディングケーキがはじけ飛ぶ。
 と同時に、ぼっふんと水蒸気のようなものが吹き上がり、恰幅豊かなゴリョウとスマートなタキシード姿のリュグナートが現われた。
 あの細長いケーキの中にどうやって入っていたのかと思うほどのボリューム。
 そう、夫婦生活には時として苦難が降りかかる。
 嫁姑問題。夫のリストラ。ご近所トラブル。その他数えきれぬほどの苦難に晒されることだろう。
 それが、予測していたよりもずっと大きなトラブルであることも、当然あるのだ!
「ぶはははは、ご新婦ヨシコさん。ご新郎暗黒怪獣デスゴリラくん。ご結婚おめでとう。死ねぇええええい!」
 真っ黒な蛮族風皮鎧を纏ったゴリョウはがに股で跳躍。テーブルの上に乗って棍棒を振り回すと、満を持して暗黒怪獣デスゴリラへと飛びかかった。
 一見卓をめちゃくちゃにしているかのように見えるが、ゴリョウによって展開された保護結界は周囲の物品をしっかりと守っている。
 そう、これは祝福の襲撃なのだ。
「ぶりゃああ!」
 大上段から打ち下ろされた棍棒を、しかし新婦ヨシコが刀によって受け止めた。
「ぶはは、出来た奥さんじゃねえか! だが背中を晒して大丈夫かな!?」
 妻が夫を支えるのに理屈はいらない。だが人はあくまで一人。誰かを庇った時自らの背中を晒してしまうもの。それが隙となり転落することもまたある。
「えっ何――あそうか!」
 新郎新婦のゴリラっぷりとゴリョウの(本場の)オークっぷりに軽く異世界酔いしていたリュグナートが、クールなホストみたいに前髪をかき上げた。
「隙だらけですよ、新婦ヨシコさん!」
 フィンガースナップによって生み出した蒼い炎がほとばしる。
 ヨシコめがけて走った炎は――しかし暗黒怪獣デスゴリラの刀によって防がれた。
「なんと……! さすがは夫!」
 夫婦互いにかばい合う時、それは鉄壁の防御となる。
 たとえば夫が職を失ったとき、妻がしおれた夫をはげますだろう。妻が励ますことに疲れたなら、夫は立ち上がり妻を癒やすだろう。そうして二人は手を取り合い、あらゆる困難に立ち向かっていくのだ。
 深く結び合った依存は共生となり、互いの欠点を埋め合う大いなるものと貸すのだ。
「だが、これを逃れられますか?」
「二人がかりでもキツいぜ!?」
 リュグナートとゴリョウは同時に構えた。
 魔剣を振り上げて生み出した髑髏の呪いと、ゴリョウ渾身の突進。
 夫婦が支え合っていても、その双方が同時に危機にさらされることもある。
 互いをかばえないときがある。
 だがしかし。
「暗黒」
「ゴリラ」
「「デスクロス!!」」
 互いを信じ突き進む時、夫婦は大いなる力となって危機を打ち払うことができるのだ。
「「ぐああああああああ!!」」
「ヨシコさん」
「暗黒怪獣デスゴリラくん」
「「ご結婚おめでとおおおおおおおおおお!!」」
 新郎新婦の交差斬撃をくらったリュグナートとゴリョウは、大爆発を起こして倒れるのであった。

●結婚誓約バトル
 祝いの席とは特別なものだ。
 顔のプリントされたマグカップすらちょっとおもしろく思えるほどに場は暖まっている。
 そんな場を締めくくるように催されるのが、結婚誓約バトルである。
 サインされた結婚誓約書をメタル牧師が翳し、新郎新婦がそれぞれ祈りの姿勢をとる。
 吹き上がるスモークによって両サイドから現われたのは四人の戦士。
 新郎暗黒怪獣デスゴリラ側からは公と洸汰。
 新婦ヨシコ側からは樹里とBriga。
 それぞれが武器を取り、全力の姿勢で構える。
「これよし、結婚誓約バトルを開始します!」
 後ろのスクリーンでは新郎新婦の若い頃の写真や出会いのいきさつを語ったムービーが流れ、一方戦士たち四人を囲むようにプロレスリングが床下からせり上がり、エネルギーロープが渡されていく。
 ゴングの代わりに鳴らされるのはウェディングベル。
 メタル牧師の聖なる正拳突きによって打ち鳴らされたベルと共に、Brigaと洸汰が飛び出していく。
「神に愛を、なンて頼りねェ! お互いの拳と強さに心(愛)を込めて誓い(殴り)あえ!!」
「良いか新郎、健やかなる時も病める時も! ヨシコさんの事を、体と命を張って、しっかり守るんだぞ! 例えば、こんな風に!」
 Brigaのパンチと洸汰のパンチが正面からぶつかり合い、激しい空圧が走る。
 そう、夫婦が協力しあうだけが人生ではない。
 二人を取り巻く人々との関係性もまた人生なのだ。
「クハハハハッ!! テメェらと戦うなンて多くはねェからな! せっかくの好機だ、楽しませてもらうぜェ!!」
 Brigaによる捨て身の攻撃が洸汰に炸裂。
 吹き飛ばされそうになった洸汰は、バットを取り出して踏ん張った。
「だけど、新婦さんも、こんな風に、新郎と輝く未来を切り拓いていける! 盾の新郎と剣の新婦、つまり最強の盾と最高の剣がそろっちまえば、この先どんな困難だって、乗り越えられる筈だぜ……!」
 バットを水平に構えて突撃する洸汰。
「もちろん、盾の仕事は、守るだけじゃない。こうやって、襲いかかってくる脅威に、時には全力でぶつかって、打倒してやるんだ!」
 互いに譲らぬぶつかり合い。
 その一方で公はビーム盾を構え、拡張スロットに差し込んだインスタント柄からビームソードを抜き放った。
「無明の闇に飲まれろ!」
「この儀より先に進むならば、一切の希望を捨てなさい」
 対する樹里は杖を回し、樹里の魔法を乱射していく。
「甘えを捨てなさい。身勝手な希望を抱き、勝手にしてくれるだろうと思う行為は信頼ではありません。常に言の葉を交わし合い、時に殴り合い、愛を育みなさい。何の為にその手と手を繋いだのか。挫けそうになった時には、その意味を思い出しなさい。主から与えられるものは祝福であり、希望ではありません」
 公たちを貫く光。
 光の中にあって公は盾を構えて突き進み、樹里にビームソードを叩き付ける。
 樹里はそれを、杖を翳して受け止めた。
「我が祝砲で、最初の過酷は撃ち払いましょう。その先の道は……お二人の絆に、お任せしますね?」
 新たなる門出に、人々はこうして祝いの言葉を向けるだろう。
 苦しいとき、躓いたとき、手をさしのべてくれる人々がいる。
 夫婦は大いなるものでありながら、たった二人の人間でもあるのだ。
 だからこそ人々と助け合い、ときに励ます言葉を貰うこともある。
 それこそが社会であり、大いなる共同体(ファミリー)なのだ。
 吠えながらも追撃を加える公。砲を打ちつくし、杖でもって殴りかかる樹里。
 幾度も交わされる打撃のコミュニケーションは、ご祝儀代わりにパンドラを支払ったBrigaが高く拳を天に突き上げる格好で終幕を迎えた。
「……二人の道に幸あれ!!!」
 そう、それは四人の戦士の戦いでありながら、道を示す祝福のことばであった。

 結婚式と披露宴は喝采の中で幕を閉じた。
 この日生まれた新たな夫婦、新たなる門出を皆が祝福した。
 あたひとつ未来へつながる、希望の絆として。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 たいへんお疲れ様でした。
 皆様には引き出物としてヨシコ&暗黒怪獣デスゴリラの顔がプリントされたマグカップがプレゼントされましたが使いどころがなさ過ぎるので非アイテムのフレーバーとしてお配りしております。
 「ゴリラのマグカップ、家で使ってんのかな……」とたまに想像してお楽しみください。

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