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シナリオ詳細

こんな時だから覇竜で寿司食べたい

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●覇竜を泳ぐ寿司
 最近、魚を知らない子どもが多いという。
 魚屋で切り身の魚ばかり見ているので、魚が切り身で水の中を泳いでいるのだと考えるのだという。
 確かに「魚とはこれだ」と学習して育てばそうなるのは理解できるだろう。
 さて、そこで寿司について考えてみよう。
 寿司とは一般的にはすし酢を混ぜたシャリを親指ほどの大きさに握り、その上にネタを乗っけるものだ。
 そのネタも千差万別だが、一般的には魚の切り身が多いだろう。
 職人が「ヘイラッシャイ!」と出迎えてくれる店もあるが、起源を辿れば大衆食であったともされる。
 練達では回転寿司なる店もあり、概ね寿司という概念について大きな違いは無いだろう。
 では、覇竜ではどうだろう?
 その答えが今、この平原にある。
「ヘイラッシャイ!」
 ああ、平原に元気な声が響いている。やはり覇竜でも概ね変わらないのだ。
 エビの寿司、白身魚の寿司、マグロの寿司。そういった寿司が、元気に空中を泳いでいる。
「ヘイラッシャイ!」
 どうやら声は寿司そのものから出ているようだ。
「ヘイラッシャイ!」
 群れから離れていった寿司が、たまたま上空を通り過ぎて行ったデミワイバーンの口に入っていった。
 そのまま遠くまで飛んだデミワイバーンは今の美味しいものが何か周囲を探すが、見つからない。
 その頃には寿司たちは川の中に潜ってしまっている。
 やがて諦めて飛んでいったが……そう、もうお分かりだろう。覇竜で寿司とは「これ」である。

●覇竜で寿司食べたい
「焼き肉の次はSUSHI食べたいですよね?」
「いくら覇竜でも、さすがに寿司が泳いだりはしないだろうな……」
 同時に口を開いたのは『北辰より来たる母神』水天宮 妙見子(p3p010644)と『九歩必殺』佐藤・非正規雇用(p3p009377)だ。まるで狙ったかのように同じタイミングで口を開いた2人は、こういうことを言った後の展開に気付き振り返る。
「うむ、そうか。そんなに寿司が食いたいか」
 やはりいた。『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)である。
「まあ、そういうこともあろう。此処も今は色々と忙しい時期ではあるが、丁度寿司も旬じゃしのう」
「最近妙見子ちゃん分かってきたんですけど、全部分かった上で言ってますよね?」
「え、マジかこの爺さん」
「なんじゃ。寿司が食いたいんじゃろ?」
「ご飯にネタがのってるやつが寿司ですからね?」
「うむ。そうじゃろうのう」
 そう、今覇竜では「覇竜寿司」が丁度旬なのだ。
 覇竜寿司はモンスターというよりは野生動物に近く、何処かから一定の時期になると発生するのだという。
 その外見は「外」の人間が言う寿司に酷似しており、成分的にも同じであるという。
 しかし、唯一違うのは……覇竜では寿司は飛ぶし、泳ぐのだ。
 主に綺麗な水に生息し、空を飛ぶこともある。
 そして何よりも……その美味しさはまさに高級な味がするという。
「ほっといても害はないんじゃが、寿司がいると他のモンスターをおびき寄せてしまうからのう。今の時期、そういう可能性を放置するのはよくないじゃろ?」
 かのピュニシオンの森の調査に関連し覇竜でもいつもとは違う物騒な事件が起こる中、こうした小さな事件でも放置はできない。
 そう、これは未然に危険を防ぐ大切な仕事なのである……!

GMコメント

覇竜の平原で寿司を捕まえて食べようぜ!
寿司は川を泳いでたり空を泳いでたりするので皆で捕まえましょう。
データでいうとHP1くらいしかないので楽勝ですね!
ちなみに鮮度の問題もあるので捕まえた寿司は食べてしまいましょう。
そう、寿司祭りですね。おすしおいしい。

●出てくる敵(寿司)
・覇竜寿司×不明
あらゆるデータが「これは寿司だ」と示す不思議生物。
綺麗な川に住み、泳いだりします。空も泳げます。
なお、水の中を泳いでも味や形、衛生面などに影響はないそうです。
覇竜不思議パワー!
形は様々でマグロ寿司、イカ寿司、サーモン寿司、いくら寿司などがあるそうです。
何故なのかは分かりません。覇竜不思議パワー!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • こんな時だから覇竜で寿司食べたい完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年03月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
チェレンチィ(p3p008318)
暗殺流儀
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
テア・アナスタシス(p3p010620)
特異運命座標
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで

リプレイ

●寿司が泳いでる、あと飛んでる
「うっひょー! 高級な寿司!! なかなか食べられんからのう〜捕まえるのにも気合いが入ると言うもの! いっちょやってやるぞい!」
 『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)はお茶っ葉にガリをその場にドサドサと置いていく。
 Hamazonで業務用キロ1000GOLDの物を3つ買ってきたらしく、結構な量だ。
「捕まえられんかった者にはガリ寿司を我が握って進ぜよう。そんでもって大漁旗に法被、細目の網を持って準備完了じゃ!」
 そう、捕まえるとか網とか言っているが……別にニャンタルがガリの暗黒面に落ちたわけではない。
「さて、今回の仕事は寿司を食う事なんだが……。なんだがよ。何故寿司が水中を泳いだり宙を飛んだりしてるんだろうな……。それに、あの状態で生きてるってんだから、不思議だよな……。何が来ても大抵の事では驚かなくなったがよ、これはちょっと予想外だぜ」
 あまりにも当たり前な『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)の言葉。当たり前すぎて何処から何を言えばいいか分からないが、寿司が泳いでいるし飛んでいる。新鮮な寿司だ……きっと栄養もたっぷりだろう。
 タイにヒラメ(の寿司)が舞い踊る、豊穣や海洋のお伽噺のような光景だ。
「まあ、寿司が食える事には変わりねえ。取り皿と醤油、生わさびにおろしがねを準備して、寿司に備えるとしよう。目の細かくて柔らかい素材のたもも準備しておかなくては」
 すでに準備も万端なあたり、流石義弘ではある。
「おかしい、寿司と聞いて思わず飛びついたんだが……明らかに生き物みたいな動き方してるぞ? ……いや今更か。海洋じゃシャケ弁だかのり弁だかが季節の風物詩になってる場所だし……でも覇竜にいるってコイツらどうやって生き延びてんだ? ……考えても答えは出ねえか。さっさと捕まえて食って忘れよう、多分その方が良い!」
 『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)もそう納得しているが、目の前をフワフワ泳いでいる炙りサーモンの寿司を見ればそんな気分になるのも仕方ない。
「お寿司と聞いては黙っていられないのだわ。海洋出身だもの、新鮮なお魚が取れる国で育つ私達にはお寿司にはちょっと舌が肥え……ごめんなさい、ちょっと思ってたのと違ったのだわ」
 『蒼剣の秘書』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)もそう言うが、まあ当然の反応だろう。
 目の前を飛んでいくイクラ軍艦のWhyが止まらない。とりあえず一端見なかったことにする。
「サーモンとイクラが好きなのだわ。あとガリが何気に好きなのだわ、美味しいガリを食べる事がお寿司の目的の一部ですらあるのだわ」
 ガリ好きは実は一定数いる。美味しいガリを食べるのが何より幸せという者だっているほどだ。
「なるほど……覇竜では寿司が泳ぐし空も飛ぶ、と……寿司って、あの寿司ですよね???」
 再現性東京で食べに行った回転寿司を思い出しているのは『暗殺流儀』チェレンチィ(p3p008318)だが、安心してほしい。たった今、目の前で一口サイズの鉄火巻きが空中で円陣を組んで回っている。
「今が旬……旬なんてあるんですね……それならこれはもう食べるしかないか……モンスターが集まらないようにしないとですし、寿司は美味しいですし、いっぱい捕まえて皆さんで食べましょう! 因みに好きな寿司ネタはサーモンやいくら、ネギトロです。穴子とかも好きですよ」
 そう、寿司には旬があるのだ。嘘はついてない。覇竜ではそうなのだ。
「寿司さんは野生にいる物なのですね、初めて知りましたなのです! いっぱい捕まえて、妙見子様に喜んでもらうなのです」
「えっ、妙見子さんも寿司を!? 俺たち気が合うね……。よーし、大量に捕まえて良いところを見せるぞ!!」
「うわっ…佐藤様と被るとか…妙見子ちゃん一生の不覚なのですが……まぁ野生の寿司捕まえるなんて造作もないですからね、いっちょ頑張って寿司ぱーちぃでもしましょう! 大量に捕まえますよ~!」
『特異運命座標』テア・アナスタシス(p3p010620)と『九歩必殺』佐藤・非正規雇用(p3p009377)、そして『北辰より来たる母神』水天宮 妙見子(p3p010644)が「おー!」と声をあげる。
 ちなみにテアは今回は馬車を持ってきている。
 皆の道具や、持ち帰るのであれば寿司の運搬などして手伝いをメインに行動したいと思っているのだ。
「捕まえた寿司さんはやっぱり寿司桶に入れれば、大人しくなるかもしれないので、いっぱい持っていきますなのです。そういえば、馬さんは寿司さんとか食べるんですかねなのです?」
「流石に分かんないなあ。あ、寿司を捕まえる前に、皆の好みを再確認しておこうかな。……「寿司を捕まえる」って、今後の人生でなかなか言うタイミングないだろうな」
 そんなタイミングが何度も訪れる人生は中々にファンキーだが、言うなれば今日がそのファンキーな日なのだ。
 言うなれば非正規雇用にとっては、今日が「それ」だということなのだ。

●寿司を食べよう
「個人的狙い目はエビ、とびっこ、ハマチ、秋刀魚辺りか。秋刀魚は炙られてる奴がいたら良いんだが、流石に最初っから火が通ってる奴なんていないだろうし後々自分で炙ろう。居たら驚愕通り越してドン引きするかもしれうわあ」
 目の前を通り過ぎていくあぶりエンガワにマカライトはドン引きするが、覇竜ふしぎパワーの賜物である。
「エビに関しては甘エビも良いが、やはり車海老が食いでがあって良いな。無論甲殻類繋がりでカニも捨てがたい。後忘れちゃならない事としてティンダロス達には何を食わせるか……まぁ各自食えそうなもん食って貰うか。一応イカはやめさせとこう」
 そう、何を捕まえるかは重要だ。
「ハイセンスで、寿司の存在を全身で感じよう……我ながら何を言っているのか分からないが、仕方ない。本当の事だ」
 義弘がそうして寿司の存在を感じ始めるが……まるで練達の寿司漫画のようなことを言っている。凄い技法で美味しい寿司を握りそうだ。
「水中行動を活かしつつ、川の中を攻めるとするか」
 そう、透明度の高く美しい川の中にも無数の寿司が泳いでいる……義弘は考えるのをやめた……。
 泳ぎながら探索しつつ、発見したらすかさずたもで回収していく。シャリが崩れたりはしないが、細かいことは考えない。
 陸に上がって、取り皿に醤油を滴し、わさびをおろして醤油にとき、寿司を軽く押し付けて、獲れたての寿司を一口で食べる。
「……うん、うまいな。獲れたてを食っているからか、物凄く鮮度がいいのが分かる。酢飯の具合も爽やかでネタを邪魔してねえ……取れたての寿司ってなんだ? まあ、いい。とにかくうまい。ネタの鮮度や厚みといい、元の世界でおやじと食った寿司と遜色ねえくらいだな」
 そう、これは立派な寿司だ。職人が握ったものとそん色ない。
「このまま、鰤、鮪、烏賊、鯵、玉子と食べ進めていこう。別に食通気取るわけじゃねえ、好きなようにやらせてもらうぜ」
 そう、好きにやるのが一番だ。ところで天然の卵焼きはどうやって生まれてきたのだろう。義弘は考えないことにした。
「妙見子ちゃんは無難に釣りをしましょうか…太公望もびっくりのウデマエを見せて差し上げましょう! とりあえず名乗り口上で近寄ってきた寿司を扇動で整列(?)させて一匹ずつ地道に釣っていきます!」
 そう、妙見子の頭の中にはすでに勝利のビジョンが見えている。実際どうなるかは分からないが。
 ところで寿司って釣り針にどうやって食いつくのだろうか?
「たも使った方が早い気が……いいんですよ、こういうのが風情が大事ですからね! 非戦スキル使ってる時点で風情もへったくれもない気がしますが! ……あ!すみません義弘様! やっぱりたも貸してください!」
「おう」
「最初は王道ネタ寿司くんから釣っていきましょうか……サーモンとかえんがわも釣りたいですね……あっ、ハンバーグ寿司……え、ネタ寿司……?」
 そんな妙見子をフォローするべく動いているのはテアだ。
「特に妙見子様のお世話は重要なのです、自分の食事は二の次なので、妙見子様にはお腹いっぱいお寿司を堪能してほしいなのです」
 そんな決意をしているテアだが、どう動くかは大事だ。
「ワタシの方は、皆さんがあまり狙わないようなイカ寿司さんや貝類の寿司さんなどをメインに捕まえようと思っていますなのです……光物の寿司さんとかも居たら捕まえたいですねなのです」
 情報収集も大事だからと事前に相賀に色々聞いてきたが「運と技」という身もふたもない答えが返ってきている。
「……寿司さんに寿司桶を見せたら勝手に入ってくれないですかねなのです」
 言いながら試しに寿司桶を構えてみると……なんと寿司が入ってくるのである!
「って、稲荷寿司だけが我先に!? ああーっ!」
 稲荷寿司のみっしり詰まった寿司桶を置いて他の寿司を実力行使で捕えようとしているテアを余所に、非正規雇用も準備運動を終えていた。
「俺は泳ぐの苦手だから、竜宮イルカに頼ろうかな。そういえばイルカも食べられるのかな……あっ! ウソウソ! そんなスピードで潜……がぼがぼ」
 引き摺られるように入水していく非正規雇用は信頼の重要さを教えてくれるが、途中で許してくれたらしく寿司の吟味を始めていく。
「そういえば鰻も食べたいなぁ。えっ、玉子も泳いでんの!? このハンバーグみたいのが乗ったヤツも寿司なのか……? あぁ、でも竜みたいに細い生物もいるな。……ん? これよく見たら河童巻きだ……切ったみたいなのもいるな……どうなってんの?」
 謎をたくさん残しつつも、非正規雇用はそれなりに寿司を捕まえてくる。
「いや~、豪華な食事になったな!! ごめんな……俺はブリを見つけられなくて、ハマチしか捕まえられなかったよ。お茶やガリもありがとう! 寿司と言えばこれだよな」
 そうして寿司セットを作り上げた非正規雇用は、そのままスススと妙見子に近寄っていく。
「妙見子さん! このサーモン俺が捕まえたんすよ! あーんしてあげる! はい、あーん……え、竜宮イルカ!? 何をあーっ!」
「佐藤様、自分で取ったお寿司は自分で食べませんとね? ……というわけではい♡ テア様あ~ん♡ んもう……ここまで来て妙見子のお世話なんて気を使わなくていいんですから……せっかくですしニャンタル様もあ~んして差し上げますね♡ はい、あ~ん♡」
 竜宮イルカにサーモンを食われていた非正規雇用はニヒルに去りながら、ふと呟く。
「しかし何だろうな……この、寿司を食べた後にプリンとか食べたくなる気持ちは……」
「ほい!佐藤、義弘、プリンじゃぞ! 他の者には茶碗蒸しじゃ!」
 そんな非正規雇用や義弘にニャンタルがプリンを差し出して。
「おー、まだまだ泳いどる泳いどる! 活きの良さが伝わってくる様じゃ! バビューンと飛んでってザザーッと捕まえて来るかの! 地上で捕まえられとらん者が居れば、其方の方にも追い込んでやるぞい! それ、マグロにエビに玉子にイクラじゃ! そっちの方にサーモンとブリも行ったぞー!」
「え、ブリ!?」
 ニャンタルの追い込み漁に非正規雇用も走っていくが……ニャンタルは自分の分もしっかりと確保していく。そうすれば、次は実食だ。
「先ずはマグロから行く我じゃ。もぐもぐ……」
 寿司には食べる順番があるとかないとかいうが、そんなものは関係ない。食べたいものから食べるのがニャンタル流だ。
「う……うんまぁあぁぁぁぁい!!! もう一貫、いや、もう五貫じゃ! 次はサーモン、その次はブリ、イクラ、とびっ子挟んで玉子! タイとボタン海老、サバアジイカに、ガリを挟んでからのイカ、サーモン再びの再マグロ……
 と、ここでニャンタルはお茶をズズーッと飲んで一息。
「ここに来て高級食材食べとらんのウニとアワビは食べたいところ……あ、待てぇい!」
 丁度目の前を飛んでいったウニ軍艦を追いかけるニャンタルを見ながら、チェレンチィは集中力を高めていた。
 チェレンチィは今日いるメンバーの中では、特に飛ぶのに自信がある。何処までだって捕まえに行けるだろう。
「そして実は、川を泳ぐ寿司を捕まえる用意もしてきました。何と、ボクはカワセミの飛行種なのです。魚が好きですし、魚捕りが得意です。ですから、泳いでいる魚を捕る(漁業)要領で寿司もいけるのではと思いまして……」
 そう、カワセミの如く寿司を獲る。カワセミが寿司を獲っている構図を考えるとかなりシュールだが、チェレンチィはあえて考えない。
 川の上を飛んで様子見、寿司の姿が見えたら狙いを澄まして一気に接近、寿司を捕まえていく。獲ったのは……何とオオトロだ!
 高級ネタも紛れているこの寿司漁、常識を投げ捨てればかなり面白いものであるのは間違いない。
「寿司を捕まえることに意識が向きすぎて、他の準備のことをすっかり忘れてしまってましたが……お皿や醤油、わさびにガリ、お茶、茶碗蒸しまで! 至れり尽くせり、ありがたい限りです」
(このご恩にお返し出来るようたくさん捕まえませんと)
 そんなことを考えながら、豪華な寿司盛りで還元できるようにチェレンチィは次から次へと寿司を獲っていく。
(捕まえた寿司をお皿に並べたら豪華に見えるでしょうか? 皆さんが取りやすいようにネタごとに分けて。楽しく話をしながら頂きたいものです)
 とはいえ、自分でも捕まえるべく頑張るのが此処に居るメンバーであり……華蓮だってそうだ。
 予防線も張っている。動物知識を資料検索してお寿司の習性について調べておいたのだ。
 勿論寿司は食べ物なので動物知識では分からなかった。華蓮はちょっとキレそうだった。
 水中行動も飛行も両方あるし、小鳥の姿に変化することだって出来る。
「ママだからね、ママ適正で何とかするのだわよ。ママの力で川や空を泳ぐお寿司たちを導いてあげるのだわ」
 とはいえまずはママとして何とかしようとしてみると、お子様用のおにぎりが整列した。何故かお寿司屋さんにあったりするネタメニューである。華蓮はにっこり微笑んで「こうなると思ったのだわ」と自分の準備の良さに感心した。
「ニャンタルさんと追いかけっこをしているお寿司たちを対象とするのが良さそうかしら? 他の皆と追いかけっこをして群れからはぐれた子なんかも狙い目だわね」
 そう、ママとしての寿司漁を華蓮は諦めていない。
 両手を広げて、包み込むような優しさを持ってお寿司たちを迎え入れてあげるつもりなのだ。
「駆け寄ってくる子供を迎え抱きとめる様に……お布団で子供をぎゅっと抱いてあげる時の様に……決して追い込み漁の網の役をしているわけではないのだわ、決して違うのだわよ、これはママの力よ。何言ってんだ私」
 ほんとにね。今日のファンキー賞の受賞は間違いない。ともかく、そうしてゲットしたお寿司の実食の時である。
「覇竜不思議パワー……凄まじいのだわ…お寿司が乱獲されないような対策を、いずれ考えないといけないだわね」
 言いながら一口食べれば、華蓮は驚愕する。
「この活きの良さ…海洋の港で直接食べるお寿司に勝るとも劣らないのだわ……!! マグロやサーモンは勿論……玉子やいなり寿司すら活きが良いのだわ……!! 何言ってんだ私」
 ちょっと正気に戻っていたが、自分の分をしっかりと確保したマカライトも寿司に舌鼓をうっていく。
「ネタもシャリも鮮度がいいのは素晴らしい事だな。何せさっきまで動いてた位なんだし。……コイツらの区分は何なんだ?生物?精霊?無機物じゃないのは確かだが……謎が謎を呼んでるな……」
 そう、謎が謎を呼ぶ覇竜寿司。大切なのは、確かに美味しいということ。
 それ以外はたぶん……考えないのが無難である。おすしおいしい!

成否

成功

MVP

華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人

状態異常

なし

あとがき

おすしおいしい!

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