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シナリオ詳細

<鉄と血と>いざ帝都。響き渡るは解放の凱歌

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●その時は来たれり
 帝都スチールグラード。
 此度の騒動の始まりの地である帝都には人の気配はあまりない。
 一般住民の避難が進んでいるのだろう、しかしそれが帝都の歪な状況を剥き出しにしているようにすら見える。
 古代兵器が転がっていると思えば練達にあるような現代的な機器が存在しているこの場所は元々歪ではあったが。こうして人の気配が無くなることで『強ければ何でも取り入れる』ことを是としてきたが故の歪さが際立っているのだろう。
 ……今からこの場所は戦場となる。そしてそれが激しいものとなるだろうことは間違いない。
 放置された古代兵器が人も乗っていないのにゆっくりと動き出し、何かを待ち構えるように融合していく。
 恐らくは天衝種(アンチ・ヘイヴン)たちも決戦の雰囲気を感じ取っているのかもしれない。
 より強く、あるいはより大きく。
 鉄帝がそうしてきたように、その歪な進化を続けていく。
 そして……巨大な「何か」もまた、帝都の空を浮遊していた。
 それは、まるでハチのような何かだ。
 アーカーシュの面々であればそれを「ラースホーネットの近似種」と評したかもしれない。
 その周囲を飛行するラースホーネットの群れは、その巨大ラースホーネットを護衛するかのように飛び。
 地上では、液体金属か泥のような姿をしている「マッドアーマー」が1つだけ色の違う……赤いマッドアーマーの下に集まり何かの姿を為そうとしている。
 どちらもアーカーシュを襲い続けた天衝種たち。
 その元凶がこの決戦に現れた。あるいは、そういうことなのだろう……!

●進撃せよ、いざその時
「いよいよこの時が来ました」
 歯車卿の使者は、帝都の地図を集まった面々の前に広げる。
 帝都スチールグラードへの強襲作戦は一気に行われるが、当然敵側の防衛戦力も相当数ある。
 だからこそ、それを倒す必要がある、のだが。
 『独立島の司令』マルク・シリング(p3p001309)はその地図に置かれた印を見て「……放置するわけにはいかないね」と頷く。
「マッドアーマーとラースホーネット。そのリーダー個体が集まったか。明らかに此方を警戒している」
 そう、マッドアーマーとラースホーネット。どちらもアーカーシュに深く浸透しようとした天衝種であり、アーカーシュに関する情報をある程度蓄えている相手でもある。
 そして、航空戦力を纏まった規模で保有する敵でもあった。これをどうにかするのはまさにアーカーシュの面々をおいて他に無いだろう。
「とはいえ、帝都への被害は避けられないな」
 『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)もそう呟くが……事実、どんな手段をとったとしても帝都への損害を避けるのは無理だ。
 無理だが、幸いにも戦闘範囲となる区画の人の避難は済んでいる。気にして隙を作るよりも、ガツンと壊してしまった方がいいだろう。
「古代兵器の整備も済んでる……相当派手な戦いになりそうね」
 『雪花の燐光』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)の言葉通り、これはまさに決戦だ。
 互いの全力で挑み、それでようやく勝利を掴める……そうした、戦いなのだ。
「大丈夫。僕たちには此処に至るまでに積み重ねたものがある。それは決して敵には劣らないはずだ」
 響くマルクの声は、アーカーシュの面々の声の代弁といえるものであった……!

GMコメント

アーカーシュから出撃し、まさに空からの急襲です!
今回、全ての古代兵器には飛行ユニットが取り付けられています。
地上でも空中でも、好きに動けるでしょう。
さあ、派手に戦ってこれまでの集大成を見せつけてやりましょう!

●出てくる敵
・ラースホーネット×80
天衝種(アンチ・ヘイヴン)。
怒りの炎を纏う巨大なハチのような姿をした怪物です。
飛行しており、すばしっこいです。物理大ダメージの噛みつきや、『移』を伴う針攻撃を行います。
全ての攻撃に『毒』系のBSを伴います。

・ラースホーネットクイーン×1
天衝種(アンチ・ヘイヴン)。
怒りの炎を纏う巨大なハチのような姿をした巨大な怪物です。
飛行しており、動きは鈍いです。敵に影響を与える毒音波を使用します。
全ての攻撃に『毒』系のBSを伴います。

・マッドアームズ(天空魔兵)(機関銃)×30
天衝種「マッドアーマー」がほぼ完璧にセレストアームズの機能を模したもの。
遠距離闘全般に長け、恐ろしい銃撃を行います。
恐らく本物のセレストアームズとほぼ変わらない実力を有するでしょう。
陸上を歩行しています。

・マッドスチーラー×1
大量の天衝種マッドアーマーがリーダー個体を中心に融合合体し変形した姿です。
多数の古代兵器をも取り込んでおり、巨大な人型戦闘兵器の姿をとっています。
全方位へのレーザー攻撃、胸部から放つ強烈な極太レーザーを使用します。

●友軍&古代兵器
・サキノソラ号
8人~10人が搭乗可能な小型飛空艇。空中静止も出来るので足場にすることも可能でしょう。
ある程度の自動操縦も可能です。

・飛行バイク「バジランテ」×人数分
高速で空を飛ぶ飛行バイク。騎乗戦闘を活性化している扱いになります。

・『秘匿級ギア』レイブレイド
蒼銀の装甲が輝く乗り込み型ギア。乗り込まない場合でも、それなりに動きはするようです。
胸部装甲を開き、無慈悲な光線を発射する「レイブレイド」を使用可能になります。
また、搭乗者のスキルも使用可能です。

・『雷電の騎士』サンダーナイト
黄金の装甲がキラリ輝く乗り込み型ギア。
乗り込むと反応が30上昇、回避が5上昇しますが、クリティカルが10減少します。
専用武装である電撃剣「サンダーブレイド」、電撃タックル「フルパワースパーク」を使用可能になります。
また、搭乗者のスキルも使用可能です。

・スチームゴーレムType1 ×1
強くて硬い戦闘用ゴーレム。
近接戦闘のスチームナックルとスチームキック、中距離用の電撃を使用します。

・パワードゴーレム
戦闘用のアーカーシュゴーレム。かなりタフです。
肩にキャノン砲を装備しており、砲撃を行います。
また、中距離範囲に機銃による範囲掃射攻撃も可能です。

・極地活動用パワードスーツ「タイタン」×人数分
極限の状況でも着用者を守るために作られた無骨なパワードスーツ。
分厚く頑丈で、蒸気機関の作動により快適な環境を整えます。
着ると防御技術と特殊抵抗が10上昇しますが、反応が10下がります。
BSを無効化出来ます。当然ですが、着た人の武器なども使用可能です。

・砲兵鎧ランチャーギア ×1
全長5mの人型兵器。乗り込んで動かすタイプです。
各種に備え付けた砲で、たった1体で砲兵隊の如き無慈悲な砲撃を放つことが可能です。
近接武器は格闘のみですが、砲撃の威力は凄まじいです。
今回は気にしなくて良さそうです。

・強襲用パワードスーツ「TA207」 ×1
大量のスラスターによる凄まじい機動力で敵陣に突入しパイルバンカーやアームキャノンで障害物を粉砕する突撃用のパワードスーツです。
機動力が+50されますが、反応も20下がります。
着込んだ人の武器も使えます。安心ですね。

・スチームゴーレムTypeF25 ×1
空戦用ゴーレム。搭載された機銃で自律戦闘を行います。
騎乗スキルがあれば肩などにも乗れそうです。

・ブリキングエックス(要請した場合、飛来)
全長10Mの巨大ロボっぽいアイツ。
地震攻撃は敵も味方も吹っ飛ばす超威力です。一定範囲の帝都の建物も当然吹っ飛びますが、大丈夫。怒られないよ!
周囲に超威力のビームをまき散らして敵も味方も消し飛ばす事も出来ます。
こんなもん呼んでどうしろと? 死ぬ気で避けて相手にだけ被害をもたらすんだよ。
「エーーーーーーーーックス!」

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

  • <鉄と血と>いざ帝都。響き渡るは解放の凱歌完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年03月21日 22時06分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

マルク・シリング(p3p001309)
軍師
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
高貴な責務
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)
竜の狩人
結月 沙耶(p3p009126)
少女融解
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
祈光のシュネー
ノア=サス=ネクリム(p3p009625)
春色の砲撃

リプレイ

●帝都スチールグラードへ
「……強襲用スーツも一緒に使ってあげたかったけどレイブレイドに乗り込んだらせっかくの機動力が持ち腐れになっちゃうから、仕方ないけど……回収に私が関わったスーツだから、少し思い入れがあるのよね。ま、適材適所とも言うし今回はレイブレイドが適任だもの」
 『雪花の燐光』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)はこの戦いで使用しない強襲型パワードスーツTA207を気の毒に思ったりしながらも『秘匿級ギア』レイブレイドに乗り込む。そう、アーカーシュにズラリと並ぶ兵器群は地道に回収してきたものばかりだが……いよいよ、それを披露する時が来た。つまりはそういうことなのだ。
「ついに出たな、天衝種の大物……! 巨大なラースホーネットに赤いマッドアーマー……他の天衝種達も。古代兵器の力も借りて、全部倒す!」
「これは、何というか……斬新な敵ね」
 『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)と『高貴な責務』ルチア・アフラニア(p3p006865)も飛行バイク「バジランテ」に乗り込み準備を始めていく。
「マッドアーマーとラースホーネット……ついにそのリーダー格が来るか! さ、いくかマルク『将軍』! ……やめろと言われてはいてもつい、な。うん。少しだけならいいだろう? アーカーシュ秘蔵の古代兵器の準備はいいな、よし……これまでの集大成といくか!」
「うへー、すごい数の敵だなぁ。でもこっちもこっちで戦力は十分すぎるし、やれないことはないな! ……で、書類読んだんだけど。このブリキングエックスって呼んでもいいのか? ──良いの? マジで? やったー!」
 『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)と『深き森の狩人』ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)もバジランテに乗り、発進の時を待つ。ちなみにブリキングエックスは古代兵器ではなくニンジャ兵器ではあるのだが、その辺突っ込むとニンジャが出るのでやめておこう。
「ん、さすがに敵の本拠地。敵の規模もかなり大きい。でも逆に敵はもう後がない。ここを叩けばかなりの痛手になる。じゃ、行こうか。ランチャーギア起動。オニキス・ハート、いつでも出撃できるよ」
「敵も大層な数と質だけど……僕達の今までの成果、古代兵器群だって負けちゃいないさ。アーカーシュの力、奴らにとくと味わせてやろう!」
 『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)も早くも砲兵鎧ランチャーギアを使うための操作系を把握しつつある。『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)もバジランテで出撃準備を整え、その時を待つ。
「……練達の映画撮影かこれ? って思わなくもないんだが。こーいうのはノリも大事なんだよノリが。まー俺熱血系では少なくとも無いんだけどさ。いっちょ劇場版撮る雰囲気で【演技】でもしとくかな」
 『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)は『雷電の騎士』サンダーナイトの操作方法を把握し、太い笑みを浮かべている。
「……なーんかお誂え向きにこいつ雷属性なんだよな」
 相性が合う。つまりはそういうことだ。
 そして相性というものは機体だけではない。シチュエーションも重要だということを『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)はよく知っている。
「なぁるほど、完全に理解したわ。つまりあれね、練達で言う「劇場版」ってやつね? いいじゃない、何十体、百体と敵が居ようとこっちにはアーカーシュの叡智があるの」
 アーリアはそう言うと『独立島の司令』マルク・シリング(p3p001309)へと振り向く。
「行きましょマルク『司令』?」
「ゴーレムやロボ……アーカーシュがこれまで集めた技術の集大成だね。その積み重ねを、今ここに示そう」
「こういうのは気持ちだものね、発進! おー! みたいな」
 アーリアに言われ、マルクは頷く。
「ブリキングエックスに出動を要請するよ。到達予定時刻を教えて欲しい」
 切り札も当然、惜しみなく投入だ、と。マルクはそう呟いて。
「最速でも最終調整にあと5分はかかるでござるよ!」
「了解。では先行して発進する」
 マルクはアーリアの言うように「気持ち」を込めて、それを唱える。
「司令官より各機へ。アーカーシュ・ロボッツ、全機スクランブル!」
(司令官として、出撃命令を。できるだけ大きな声で!)
 そのマルクの気持ちに応えるように、各員が声をあげて出撃していく。
「勝利をアーカーシュに――アーリア、いっきまぁーす! ふふ、言ってみたかったのよねぇこういうの! 燃えるのは男の子だけじゃないんだから!」
自分はスチームゴーレムType1、パワードゴーレム、そしてスチームゴーレムTypeF25を随伴させたアーリアのサキノソラ号が発進したのを皮切りに、各マシンが帝都の空を舞う。
「折角の機会だ。こういうのはテンションを上げて行かないとね……出撃!」
「オニキス・ハート、出撃するよ」
「僕もバジランテと一緒にかっこよく飛んで戦うんだ……! いくよ!」
 そうして始まった戦いは帝都の戦いの中でも上位を争うほどにロボロボしい、そんなド派手な大決戦であった……!

●スーパー古代兵器大戦
 帝都の空も地上も、総勢100を超える敵によって埋め尽くされている。
 この戦いですら全体からすれば一部にしかすぎないが、それでも相当に多くの敵を相手にせざるを得ない大きな戦いだ。
 古代兵器群を集めたマルクたちアーカーシュの面々だからこそ相手に出来る敵だとも言えるだろう。
「Type1、君は防御担当だ。いつも通り僕を庇ってほしい。頼むよ。パワードゴーレムは火力支援。僕に合わせて狙った敵を攻撃してくれ。Type25、直掩は任せる。サキノソラ号に近づく敵を迎撃だ」
 標的はラースホーネットクイーン。巨大な要塞じみた巨体はまさに、ラースホーネットのリーダー格なのだろう。
 マルクのケイオスタイドが広がっていき、アーカーシュの司令として、そして頭脳としての指示が響き渡る。
 ゴーレム立ちも普段は飛べない者もフライトユニットを装着しているため、マルクの指示通りに動き攻撃を開始している。
 そしてアーリアも、普段は後衛ながら今日は前衛へと「ほら、綺麗なおねーさんがバイクを乗り回すのは映えるじゃない?」と言いながら出ていた。
 そして放つ名乗り口上は広く響き渡り、高らかにその正義を告げる。
「私達は浮遊島ア-カーシュ! 今この時、全ての悲しみを終わらせに来たわ! 全員かかってきなさーい!」
(私の声と怒りは届きやすいもの、一気に敵を集めましょ――尤も、そこに降りかかるのは仲間の手痛い一撃なのだけど!)
 ルチアもマギ・ペンタグラムを発動しサポート中心に飛び回る中、カイトもサンダーナイトに乗り戦場を飛び回る。
 葬送舞台・冷え切った雨帳を展開しながら放つ電撃タックル「フルパワースパーク」はマッドスチーラーの巨体にぶちあたり、揺るがしていく。
「ほら雷には雨空が付き物だろ? そういったプロデュースすんのも役者の仕事、ってな」
 時には雷電の騎士の機動力を活かしつつ、俊敏かつ駆け回るように。カイトはまるで長年の相棒のようにサンダーナイトを駆り戦場を飛び回る。
 そう、この戦いは敵味方入り混じっての三次元戦闘だ。上下左右、普段は気にもしない方向からの攻撃も飛んでくる。
「極太レーザーに一網打尽になる訳にも行かないからね。索敵に監視もこなしていかなくちゃ。一網打尽にする為にも、ね!」
 地上から放たれるマッドアーマーの銃撃に晒されながらも、カインは殲光砲魔神を放つ。
 巨大なマッドスチーラーはカインの一撃を受けても揺るぎもしないが、ひとまずはそれでもいい。マッドスチーラーから放たれる全方位へのレーザー攻撃は帝都をも蹂躙し、だがその程度で倒れるわけにはいかない。ランチャーギアを纏い飛ぶオニキスは、この状況をどうにかするための火力担当の1人であった。
「全身に搭載された砲台。一機で砲兵隊並みの大火力。ん、これ欲しい。普段も使いたい。ダメ? そっか……。ともかく、敵が多いならこの火力を活かさない手はない。敵が纏まっているところに砲撃して一気に数を減らしていくよ」
 まず狙うはラースホーネットの大群。この中では一番戦力の低い相手と言えど、普通であればこの戦力差は絶望。
 しかし、その絶望的な戦力差にこそ今のオニキスは輝ける。
「機動力の高い相手に闇雲に撃っても効果が薄い。移動先を封じるように弾幕を張って動きを誘導、本命の砲撃で確実に当てて数を減らしていくよ」
 足を止めて砲撃してたらまとわりつかれて対処しづらくなりそうだと考えて、だからこそオニキスはフライトユニットを動かし常に距離をとっていく。
 そう、今のオニキスはいつも以上の砲戦型。言うなれば重機動殲滅型。今のオニキスならば、射角にさえ注意すれば狙いを絞らずとも構いはしない。それでも、オニキスは油断は一切せずに確実に仕留められるようにしていく。
「発射」
 その言葉と同時にランチャーギアに搭載された無数の火器があまりにも無慈悲な一斉砲撃を開始する。
 響く、激しすぎる轟音。並んだ砲兵隊が一斉射撃したかのような、そんな無慈悲で頼りになる音。
 撃ち落とされていくラースホーネットを見ながら、他のラースホーネットに狙われないようにオニキスは飛ぶ。
「コイツらを倒せばマッドアーマーとラースホーネットはいなくなるというのなら私も全力で殲滅を開始します。さぁ行くわよ、レイブレイド!!」
 ノアはラースホーネットクイーンを狙って、ラースホーネットもたくさん巻き込むことができるように魔砲を放つ。
「効率的に! 大量に敵を巻き込める位置から! ぶっ放します!!」
 ラースホーネットクイーンはその巨体に見合う強さを持っている。
 だがマッドスチーラーの巨大さには敵わない。歩くだけで帝都を破壊するソレは、まさに破壊の化身の如きだ。
「なんだあの巨体は! あれがマッドアーマー……マッドスチーラーか! アレを野放しにしちゃヤバいぜ。本部! 本部! ブリキングエックス出撃要請だ!」
「もう少し待つでござるよ! 今最終調整中でござる! 何しろ急な要望ぶっこまれたでござるしなあ!」
 その急な要望をぶっこんだ本人であるミヅハはハハ、と笑いながらラフィング・ピリオドをマッドスチーラーに撃ち込んでいく。
 そして沙耶もまたマッドスチーラーを意識しながらマッドアームズを少しでも片づけるべく動いていた。
 普段タイニーワイバーンを使うノウハウを生かし飛行バイク「バジランテ」に騎乗して三次元機動をする沙耶だったが、やはりそうした経験というものは活きるのだろう。
 アッパーユアハートを発動させマッドアームズたちの攻撃を引き付けようとする姿は、まさに歴戦のものだった。
「この調子でいく……!」
「うん……天衝種達も、そのボスも……ここで殲滅する……!」
 祝音もそう声をあげ、沙耶と連携してバジランテを飛行させる。
「神滅のレイ=レメナー……奴を斬り裂け、みゃー!」
 ラースホーネットクイーンへと放たれた神滅のレイ=レメナーが命中し、ついにラースホーネットクイーンは無数の攻撃の前に揺らぎ始める。
「今だ!」
 そこにマルクが飛び移って身体に取り付き、発動させたブラウベルクの剣を突き立てる。
「ギイイイオオオオオオオオオ!」
 叫ぶラースホーネットクイーンの身体が地上へ向けて落下する中、マルクは自動操縦でやってきたサキノソラ号へと着地する。
「よし、ラースホーネットクイーンは倒した! あとはマッドスチーラーを……って、来るよ皆!」
 マルクはサキノソラ号に入った通信を聞きながら仲間たちへ、そしてゴーレムたちへと呼びかける。
 これまで一緒に戦ってきたゴーレム達。
 彼らはもう、独立島アーカーシュの一員で、僕達の大事な仲間だ。
 マルクはそう思っているからこそ、見捨てはしない。
「多少の無理はしてもらうけど、ちゃんと君達も連れて帰る」
「ついに来るのね!」
「ああ、でもエックスじゃない……ダブルエックスだそうだ!」
「何それ!?」
 アーリアの叫びが響く中、ブリキングと何か巨大な戦闘機が飛来する。
 その戦闘機はブリキングに乗ることを希望した物好きなミヅハを謎の光線で収納し、変形しながらブリキングと重なっていく。
「単純にブリキングエックスの攻撃に巻込まれない、ってのもあるけど誰かが命令したほうが狙いが正確になるだろうし、ブリキングエックスの護衛にもなるしね。それに、一回乗ってみたかったんだよなー! 巨大ロボット!」
 ミヅハはそう叫びながら光っている戦闘機……ブリキンバードの中で合体ボタンを押す。
 瞬間、ブリキンバードが分離しブリキングエックスの各部に合体し……かつてROOで見せたトンデモ巨人が完成する。
 そう、これこそは鋼の巨人。ブリキングに戦闘機ブリキンバードが合体することで人間も搭乗できるようになった「だから何?」の極致!
「誰だって一度は乗ってみたい……巨大ロボット……たとえオートパイロットだとしても、コックピットに乗って高らかに叫びたい……だって! そのほうが! カッコいいじゃん!!」
 そう、そんなミヅハのような人間の為に存在する安全地帯!
「──全員射線から退避したか? オーケー? さあ行こうぜブリキングダブルエックス! やってやろうじゃん!」
「エーーーーーーックス!」
 そう、その名も別に気高くないブリキングダブルエックス! ついに完成してしまった超巨人である!
「ご唱和ください、彼の名を!!」
 ノアも、そう叫ぶ。
「ブリキング ダブルッ エーーーーーーーーックス!!!!!!」
(何というか……ロボットアニメみたい、だね)
 祝音はその姿を見ながら、僅かに思い出せた元世界の昔の記憶に思いを馳せる。
「もっと小さい頃、お姉ちゃん達と一緒に見てた……でもここはアニメじゃない現実の戦い。だから…戦って、天衝種に勝つんだ!」
 そしてこのタイミングを、ノアとカイトは逃さない。
『胸部ビーム、チャージ完了』
「魔砲、発射準備OK!!」
「『ファイア!!』」
「――雷電の刃を掲げ、天より来たるは封邪の万雷!」
 放つのはレイブレイドの胸部ビーム砲からのノアの魔砲。その一撃をマッドスチーラーに叩き込むと、ノアがサンダーナイトで一撃を叩き込み、撤退準備を始めていく。
「凍てつく冬の鉄帝に、舞い降りるは彼の姿。悪を討ち、春を告げるその姿に刮目せよ。十の星、集いて呼ぶは彼の名。その一撃は悪を屠る! 集いし絆は光となる! 響き渡るは解放の凱歌、出でよ、ブリキングダブルエックス!」
 アーリアのスピーカーボムを使った名乗り口上が響く中、ブリキングダブルエックスはマッドスチーラーの前へと降り立つ。
 当然マッドスチーラーの極太レーザーがブリキングダブルエックスを撃つが、それを真正面から受け止めて。ブリキングダブルエックスのメインアイが強く光り輝く。
「こちらでは初めて見るけど、本当にこっちでも出鱈目な出力だね! だけど、やっぱり味方ならとても頼もしい物だよ。許可も出ているから、思う存分暴れて貰おうじゃないか!」
「皆で魂の叫びだ!」
 カインが叫び、マルクが全員にそう号令をかける。
「すべての敵を吹っ飛ばせ! 高鳴る胸の鼓動をそのままに叫ぶぜ!!」
 タイミングよくミヅハの声がそう響いて。
「エーーーーーーーーックス!!」
 10の……いや、ブリキングダブルエックスも合わせ11の声が唱和する。
 そうしてブリキングダブルエックスの起こした地震が地上の僅かに残ったマッドアームズを帝都の一部ごと吹き飛ばし、全包囲へのビームが地上も空中も関係なく消し飛ばしていく。
 攻撃集中の結果とはいえ、その場にいる者は絶対殲滅してやると言わんばかりのトンデモ威力。巻き込まれていたらこちらも消し飛んでいたかもしれない。
「火力も大きさも規格外。あれがブリキングエックス……!」
 オニキスはそんな声をあげながらマッドスチーラーを完膚なきまでに帝都の一部ごと消し飛ばしているブリキングダブルエックスを見ていた。元々優勢に傾いていた戦いは、これで一気に決着に向かい……完全に更地と化した帝都の一部に着地しながら、カイトはぽつりとつぶやく。
「……あ、でもああいう搭乗場面も欲言えばプロデュースしたかったな」
 それはまさに余裕が出来たからこそ言える言葉ではあるのだが。
「しかしまた派手にやったものだな……古代兵器は早く修理してあげないとな。……私今は革命派でそっちの深いところには行けないから、任せたぞ。頼りにしてるからなマルク『将軍』」
「これだけ派手にやったんだ。古代兵器群の整備点検修理は必須だろうね……状況的にどれだけ余裕があるかは兎も角ね!」
 沙耶とカインもそんなことを言いあう。
「……みゃー」
 この激しい戦いを生き抜いたことを改めて実感しながら祝音は我慢していた「みゃー」な声をあげる。
「サキノソラ号からゴーレム達が発進する、かっこいい姿……ローレットの報告書は映像も見れるはずだし。決戦終わったらまた見たいな」
 本当にロボットアニメの如くだろう。ちなみにミヅハはダブルエックスと共に何処かに飛んでいった。
 たぶんそのうちアーカーシュに帰ってくるだろう。
「……貴方がいてよかった、レイブレイド。これからも一緒に冒険したいのだけど、貴方はどうかしら」
 ノアもこの戦いを一緒に戦い抜いたレイブレイドの装甲を軽く撫でる。
(蒼銀の装甲は傷ついて、少し燻んでいる。それはこの戦いを知った古代兵器が成長した証なのだと、私は思うのです)
 秘匿されていたギア、レイブレイド。この戦いを経たレイブレイドは、またその必要があれば一緒に戦うこともできるだろう。
 そして、その思い出をいつでも見返すことも出来るのだ。
「そう、報告書を映像で見る画面の向こうの皆さんもご一緒に!」
 そして青空に、アーリアの声が響き渡る。それはまさに勝利の……そして解放の凱歌。
「エーーーーーーーーックス!」

成否

成功

MVP

アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯

状態異常

ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)[重傷]
高貴な責務

あとがき

エーーーーーーーーックス!
ご参加ありがとうございました!

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