シナリオ詳細
小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業社畜BBQ編~
オープニング
●小芝居しないと進めないダンジョン
そこは幻想で最近発見されたダンジョンの系譜。
世界各地にあるソレは今回もまた、鉄帝で発見されていた。
奥には素晴らしい宝があるとされながらも、誰もクリアできないでいた。
その理由は、そのダンジョンのギミックにあった。
……そして、今回は普通にクリアできていなかった。
「ぐあー!」
「うおおおお!」
スパーン、とダンジョン外に怪我1つなく排出された男2人だが……悔しそうに地面を叩く。
「くそっ! またブラック企業かよ!」
「なんすか社畜BBQって! 心が痛えよ!」
中々苦労しているようだが、ダンジョンギミックは冷徹だ。出来なければ追い出されるだけ情がある方だろう。
再挑戦するか、帰るか。2人に出来るのはそれだけなのだ。
「おい、ジョン。さっきのテンションでもう1回いけるか……?」
「無理っす。大体俺等勤め人とは縁遠い人種じゃないですかね」
「だよなあ……こんなダンジョンクリアできるのは相当だぜ」
「そもそもブラック企業ってなんすか?」
「鉄帝じゃねえの?」
鉄帝に対する熱い風評被害が出ているが、さておいて。
2人の男達は顔を見合わせると、溜息をついて立ち上がる。
「……帰るか」
「ええ。もっとマトモなダンジョン探しましょう」
「つーか、ブラック企業2回目だよな」
「ほんと、なんで来ようと思ったんすか」
「お前が止めねえから……」
●With新田
「なんか前に似たタイプのダンジョンに行った覚えが……ウッ、頭が!」
「既視感&突然のビンタ!?」
「とらぁ……」
『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)と『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)のいつもの流れに『VDMランドの謎の生物兼マスコット』とらぁ君が鳴き声をあげる。
「そういえば、なんでとらぁ君がいるのよ?」
「はい。今回のダンジョンがブラック企業社畜BBQ編ということでとらぁ部長においでいただきました」
「キエー!」
「往復ビンタ!?」
「今日は美味しいお酒呑み放題って言ったくせに!」
「あ、そこは真実です」
解決した。さておいて。
「えー、そういうわけで今回のダンジョンは鉄帝内にあるダンジョンなわけですが」
『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)は凄い微妙そうな顔で資料を捲る。
正式名称は不明。
愛称は「小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業社畜BBQ編~」だ。
なんなんだろうか、このダンジョンは。
古代でもブラック企業が社会問題になって、その風刺なのだろうか?
あまりにも謎だ。謎過ぎる。
ちなみにこのダンジョンの情報を掴んできたのは寛治だ。そう、また寛治である。寛治なのだ。
「ルールは簡単で、部屋に入った後に「ブラック企業社畜BBQ」をテーマにした小芝居をする。2人1組でも3人1組でもいいらしいです」
必要なのは芝居にかける「熱」……つまり演技だ。
それを部屋の古代機械が判定し、クリアすれば次に進めるという仕組みだ。
「必要な芝居数は不明ですが……ま、前回までを考えるに芝居の熱量次第だと思うです」
芝居自体も難しいものではなく、本当に小芝居で良いらしい。
ブラック企業社畜BBQをテーマにしてさえいればシリアスでも恋愛でもヒャッハーでもなんでもいい。
というか本当に古代文明は何なのだろうか、こんなダンジョンが幾つも存在する辺りヤバげではある。
そして、奥に進めば進むほど熱量の高い演技が必要になってくるだろう。
恥ずかしがらずにそういう事を出来る度胸が大切ということだ。
失敗したらダンジョンの外に射出されるが、再挑戦は可能だ。
また熱量が足り無さそうだな……と思うなら演技の追加なども可能だ。
これぞブラック企業社畜BBQと一撃で分かるような、そういうのである。
……なんだろう、幾らでもありそうな気もする。
無論、それは最後の手段ではあるだろうが……そういう手もあるということだ。
「今回の『宝』ですが……当時の最新のお掃除用ゴーレムらしいです。今じゃ遺物ですけどね」
とはいえ、手に入れれば役に立つこともあるかもしれない。
充分にやってみる価値はあるだろう……!
「ところですまないんだけど、私もいるんだけどな!」
「とらぁ……」
『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)にとらぁ君が分かっているよ、と言うかのように頷く。
安心である。
- 小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業社畜BBQ編~完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年03月06日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●じごくがはじまる
舞台の幕が開く。1人にスポットライトが当たり、小芝居が始まる。
「私、アーリア・スピリッツ! 総務部○年目、入社当時はとらぁ部長に肩叩かれながら「とらぁ……」(今日もかわいいね)「とらぁ……」(アーリアくんの淹れるお茶が一番おいしいよ)って言われてたの」
なお、()内は自主勉強だからと残業にならない労働をし続けた結果の幻聴であるらしい。危険な兆候だ、適切なメンタルケアがなければ危ないが、その辺りの仕組みは大丈夫だろうか?
「なのにあのタイムってやつ! とらぁ部長の行きつけのクラブで出会ったあのウスノロビッチがあれよあれよと入社してデカい顔してんのよ。今日のBBQであたしの女子力を見せつけ社のアイドルの座を取り戻す――!」
そんなわけで『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)はやる気満々である。
「って言ってもてっぺん過ぎまで仕事してタクシー帰宅なんだけど。うふふ。今回は全員一品持ち寄りだし、マイナーなコンビニチェーンの手作りお惣菜をタッパーに入れ替えて……一瞬の仮眠のち始発でBBQ会場へ!」
これは出来るだけ他人の知らない味を持っていくのがポイントだ。機械ではない手作り味が漂うのがポイントツー。さておき一品持ち寄り制度とか、経費で落ちないのによくもまあそんなものを決めたものである。さておいて。
次にスポットが当たるのは『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)だ。
「アタシはコルネリア、このBLACK企業に勤めて2年目のピチピチ中途社員! は〜あ、養母(かあ)さんにお見合いしろとか言われたけどさ。アタシにはテレビ練達で放送されてる覇権アニメ「お前の美貌、許せそうにない」に出てくるヴェニー様って婚約者(きゃっ)が居るのにする訳ないじゃない!」
説明が必要だろう。実際に婚約者なわけではない。類義語としては「俺の嫁」であるが、そういうこと言うと怒られるので、もっと尊い……愛の重さが凄かったりするやつである。よし、深掘りをするんじゃない。分かったね。
「本当なら家で録画アニメ消化するつもりだったのに、どうしてBBQなんかに参加しないと行けないのかしら……会社の人と顔合わすと皆、目が泥のように濁ってて怖いのよねぇ。転職しようかしら。ま、おまゆるの最新話見たら今日は早めに寝ようかしら。遅れると御局のタイム、アーリアもうるさいしね……」
さりげにディスられるアーリア・御局・スピリッツと『この手を貴女に』タイム(p3p007854)であるがさておいて。
「もひもひ……ちょっと、おくれそうでふ……はい……倒れてたカンガルー助けてたら……はい」
おっと、どうせ何言っても文句言われるからと凄い理由をでっちあげている。
続けてスポットライトが当たるのは『導きの戦乙女』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)だ。
「ブレンダ・アレクサンデル。私は企画部6年目。そろそろ管理職が目前に迫ってきているが……そこまでこんな会社にいられるか! 今付き合っている彼氏とそろそろ籍を入れられそうな雰囲気だししれっと結婚して辞めてやる。退職届を出しても受けとってもらえないのは正純やコルネリアを見て知っているからな。そんなことはしない。昨今は退職代行という素晴らしいサービスがあるのだ! というわけでこのBBQでの私のミッションは目立たずひっそりと終えること。あわよくば途中で抜けてデートに行くのだ!!!」
ちなみに権限のない名ばかり管理職という言葉も横行する昨今、退職代行に対し高圧的な態度をとって本人と連絡をとるBLACK企業も散見されるので気をつけよう。
「新入社員のフラーゴラでーす! わぁ、BBQ! 楽しみですねえ! えっワタシの車出すんですか? 盛り上げるのも新入社員の役目?? う、うん。え、実家がお肉屋さんだからってBBQが得意な訳では……あっハイ、やります……」
死んだ目をするのは『時には花を』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)。
新入社員だからと色々押し付けられているフラーゴラだが、雑用から盛り上げからパブリックイメージから変な仕事押し付けられたりするので覚悟した方がいい。ブラックブラック。
「実家に連絡して肉の調達、領収書は経理の正純先輩に渡すので用意しないと。自家用車で買い出し。クーラーボックス、鉄板、炭、トング、紙皿紙コップ、ジュース、ビール酒類、椅子、日除けのパラソルなど用意。わぁ……これ用意するのたいへーん」
大丈夫、寛治がいるよ。
「このおっきい鉄板ワタシひとりで洗うのかあ……」
おめめグルグルなフラーゴラはまさに新入社員の悲哀そのものだ。
さておき女性陣の、いろんな悲哀こもごも。朝から眠いのに思い付きのようなBBQに巻き込まれたブラックタイガー社の面々はどうなってしまうのか!
「演技とはいえなんで始まる前から色々と痛々しい雰囲気なんですか……。いえ、私もあの中に飛び込まねばいけないんですよね」
その通りである。頑張れ『明けの明星』小金井・正純(p3p008000)。ブラック企業の社員に明日なんか見えないけど、少なくとも朝日はよく会社の窓から見るぞ!
●しゃちくしっているか。ろうきはやくにたたない
『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)にスポットが当たる。貫徹11連くらいのやばい顔。
「ブラックタイガー社BBQ、はっじまるよー」
キメキメの洗練された動きと笑顔が痛々しいが、それも割に合っているか分からないペイの内である。
「新田寛治、営業部。先輩社員が全員退社してスピード出世で課長代理です。当然名ばかり管理職」
ちなみに管理職なので残業代は出ないし、もっとひどいと残業見込が込みだということになっている。ブラックタイガー社がどんな感じかは不明だ。
「入社何年目かって? アーリアさんとコルネリアさんが同期だからファンドッ」
暗闇から何かが後頭部に飛んできて中断したが、『VDMランドの謎の生物兼マスコット』とらぁ君が起点を利かせて傘回しをしたのでCM扱いで問題なく場は繋がった。
「BBQでの男性社員の朝は早い。食材やら機材やら酒やらを社用車に満載してBBQ場一番乗り。受付したら駐車場から会場へ機材を運んで設営準備。ぜえ、はあ、もう8往復目。男手は一人(部長は員数外)だから辛い」
そう、設営サービス付きのレンタル頼めばいいのに無駄に機材が会社にあるから運ばなければならないのである。
朝から飲みたがるから普段の始業時間より早く家出る羽目になるしね!
そしてそんな場所に「おはようございまーす」とやってきたのは正純だ。
「私は経理部の小金井・正純です。普段は未だに紙の領収書を整理して未提出者に声をかけての申告漏れに悲鳴を上げてます。今日も今回の思いつきBBQの領収書取っておいて上に報告書作らなきゃいけません……。明日までに。ふ、ふふふ。辞表を出しても転属願を出しても毎回部長に目の前で破かれるんですよね……」
退職希望が結構多いが、そういう会社は一斉に辞められたりする。怖いですね。
「ああ、さっきまで一緒に残業していた仲間がいるわ。さっきぶりね」
「あ、おはようございますアーリアさん」
「……ところで小金井ちゃん、嬉しいお知らせと悲しいお知らせどっちから聞きたい? 嬉しいお知らせは領収書処理が要らないこと。悲しいお知らせだけはもう今年の交際費予算がとらぁ部長のクラブ通いで使い切ったから自腹なこと」
「ヒエッ」
「……ま、飲みましょ」
「あ、会費集めまーす一人1万ゴールドね」
「寛治さんがなんか言ってますけど!」
「社畜って……悲しいわね」
「マリアさんは大丈夫ですよ! 社長からお預かりしてます」
社長令嬢のマリアさんにはゴマをすっておかないとね、と言っている寛治をアーリアと正純が「アイツあとで眼鏡割ろう」と言っていたがさておいて。
「皆日頃の仕事お疲れ様だよ! ブラックタイガー社恒例のBBQ大会の始まりだぁ!」
社長令嬢たる『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)の号令が響けば、BBQの開始である。
「ささ! 皆食べて飲んでおくれ! とらぁ部長も今日は無礼講だと言ってるよ!」
なお無礼講だと言っているが、とらぁ部長なので気分でバスターとビンタが飛んでくる。あっ、寛治が特に前触れもなくビンタされた。
「さ、部長も飲んで下さい! 私はコルネリア君とBBQを焼いておきますから! コルネリア君! 今日はつまみ食いは許されないよ! フラーゴラ君! お肉ありがとうね! 美味しく焼いてみせる! ん!? そういえばコルネリア君は何処だい!?」
「あ、はい! えっと確かカンガルーとフュージョンするので遅れるとかなんとか!」
「コルネリア君は月を見るとゴリラになる系の戦士だったのかい!?」
おっとフラーゴラ、新人にありがちな伝達ミスである!
「アーリア君とブレンダ君、正純君の3人は部長のお酌お願いするね! タイム君はこっちの手伝いをしてくれてもいいし接待に回ってくれてもいいよ! 新田君はなんか面白い事しろって部長が言ってたよ……」
「新田さんなら(ファイナルとらぁバスターで)潰れてるわ!」
「ええ!? (ファイナルとらぁバスターが出るのが)早いね!?」
「仕方ないフラーゴラ君! ここは一発芸で場を繋ぐんだ!」
「え、無茶振り……いえなんでもないです! えっとえっとじゃあ……実家のお肉屋さんのローカルCMソングを歌うかなあ? ゴラゴラ ゴラゴラ 肉屋のゴラ (わんわん!)」
フラーゴラが歌い始めているが、その間にも女の戦いが始まっている。こわい。
そのうちの1人は……ここまで度々名前の出ているタイムである。
「わたし、タイムちゃん! とらぁ部長のコネで入社したぴっちぴちの新人社員! 年齢はひみつ!(3桁超え)」
おっと、いきなりパワーの強い自己紹介である。
「ブラック? 残業? え~タイムちゃんそぉゅうのよくわかんない。何故か同じ総務課のアーリア・スピリッツから目の敵にされてるの! やだこわ~い! きっとタイムちゃんが可愛すぎるからね、ふふん。でもいいの。とらぁ部長の寵愛はタイムちゃんのものだもの。ね~!とらぁ部長~♡」
「仕事? 男手の新田さんと新人のゴラちゃんがやるでしょ。え~わたしお料理はできるけど重いもの500ロング缶以上持てない☆」
「うわキッツ」
「おい新田」
アーリアが寛治の眼鏡を奪って投げると、タイムにコツンと命中して跳ね返り、また寛治にスチャッと装着される。
「ちょ、邪魔しないでアーリア・スピリッツ!おつまみピーナツ落としちゃったでしょ!」
「あ? なによ年齢詐称女。一人称名前とか10台で卒業しなさいよ」
「げ、また御局達が勢力争いしてるわ……怖いわねぇ」
その近くからコルネリアがそっと離れていく。
「ねぇ〜正純ぃ〜肉頂戴、肉〜やわらかいとこねぇ。硬いのはブレンダに渡しときゃいいわよ、なんでも食いそうだし」
「おい」
コルネリアに突っ込みを入れつつも何故か近づかないブレンダだが……一応さておいて。
「ゴラちゃ〜ん、お酒あるぅ? ビールがいいな、ビール。げへへ、何時も残業代も出ないんだから、ここらで元取らなきゃ損ってもんでしょ! 寛治さぁん! あれ、お酒……帰りってどうするんです……?」
普通に酒を持っている寛治は、にっこり笑って無言。
「まぁ、なんとかなるか!」
何も見なかった。見なかったのである。
「とらぁ部長ご馳走様です!乾杯!」
ようやく設営終わって一息の寛治は、きゅっと冷えた酒を飲む。事実上の休日出勤だとしても、この一杯の美味しさはホンモノだ。
「新田さんもお疲れ様です、はい、ビールお酌しますね」
「あ、正純さんお酌ありがとうございます。今日も美人ですねえ嬉しいなあ美人のお酌は」
と、ここで余計なことに気付いてしまうのが寛治だ。気付かざるを得なかったともいうが。気付かないと怖いし。
「あ、何かタイムさんとアーリアさんが凄い目で見てる。え? アイス買ってこい? コンビニまで車で? いや今お酒飲んじゃったから……はい、走って行ってきます」
どうせ帰りも車なのに、とは誰も言わない。さておいて。
「ふふ! 焼肉奉行……それも大将軍級と称された私の焼肉力を見せてあげよう……! 肉はね……焼きすぎることは許されないんだ! こら! コルネリア君! つまみ食いばかりしてるんじゃあないよ!」
「おいひー」
「部長! 焼けました!「とらぁ」ぐわぁ!?」
一目見て気に入らずビンタをするとらぁ君だが、食べ物は大事にする生き物なのでちゃんと食べる。つまり理不尽である。社畜である。
そんな中ブレンダは、出来るだけ存在感を消すことでこの場に適応していた。
(お局バトルはいつも通りスルー。そんなことをしているから結婚できないのに)
思っても言わないのが生き残るコツである。SNSもダメだぞ。
「うるっさいわねこの給料泥棒! キエエ! なによ!」
女子プロレスのヒールも真っ青の女の戦い(そのままの意味)が始まっているがブレンダ、これをスルー。
そう、だからこそブレンダは肉焼き係も酒置き場もスルーして、隅で左手の指輪を撫でながらもそもそ誰も食べない野菜たちを処理するのだ。大丈夫、出来ないことじゃあない。立ち回りで誤魔化すんだ。
「って、おい馬鹿コルネリアこっちに来るんじゃない。とらぁ部長のお気に入り(物理)の貴女が来ると視線がこっちに来るだろうが! あ、お肉はいただきます正純さん。フラーゴラさんもありがとうございますね」
「とらぁ」
コルネリアの肩を「お前には俺がいるからな……」と言わんばかりに叩くとらぁ君だが、こうなればブレンダはもう逃げられない。
「会費は遅刻したネリアちゃんが払ってくれるってゆってたし! は? お財布持ってないってゆったじゃん。遅刻したのが悪いし! アニメの彼ピ(笑)に使うよりよっぽど有意義でしょ?」
「お? 戦争か?」
「とらぁ……」
「あ、一発芸ですね! ジョッキに眼鏡を突っ込んで眼鏡割り! なんつってー!」
イッキ飲みして勢いで誤魔化そうとした寛治だが、とらぁ君は許さない。
「何ですかとらぁ部長。え、つまらないからもう一杯! 喜んで! ってこのハイボールほぼ原液(業務用5Lボトルの口を10プッシュくらい)では? いえ! 濃厚ハイボール嬉しいです! 喜んでいただきます!」
ちなみに当然だが、一気はそれ自体危ないからダメです。ええ、危ないからね。
「え、とらぁ部長も一発芸を? 私が相方ですか? バスターですね! ご馳走様です!」
「とらぁ部長が新田さんに絡んでいる今が抜け時では……? そろーり……」
「そこのブレンダァ! 左薬指の指輪? は? 辞める気? は?」
「え! ブレンダちゃんが指輪!?」
「げえ、お局喪女コンビ!」
「何か言った!?」
「言ってません!」
こういう時だけアーリアと息があって絡み始めるタイムだが、こういうところがお局と言われる所以であるのだろうか?
「いえ、そのこの指輪は男除けですよ! 男除け! うっかり外し忘れてました! うわーん! お局たちに見つかったー!」
「聞こえてるわよおおおお」
「逃げるのは無理か……BBQするしかない……」
「ふーん、へーえ、すました顔してちゃっかりしてるのねえ~? いいもん! タイムちゃんにはとらぁ部長がいるし! あっ……!?」
そこにいたのはコルネリアに「とらぁ……」と言っているとらぁ君と、お酌をしている正純。忙しく動き回っているフラーゴラとビンタされている寛治であった。
「何よあなたたちよってたかって部長に媚売って! どいてどいて!」
「落ち着きなさい、私より3倍以上年上なんだから!」
「アーリア・スピリッツ! 年齢の話はやめてってゆったでしょ! こちとら長寿種なんだから人間枠で数えないでくれますぅ? あんたなんて耐用期間終わってんのよすっこんでて!!」
「言ったわねBBA! 博物館に飾られたいのかしら!」
「キー!」
「キエー!」
「タイム先輩とアーリア先輩って二人でにこにこお喋りして仲がいいんだなあ……」
フラーゴラがちょっと現実逃避しているが、ともかく2人のバトルも長くは続かない。
「はあっ はあっ バトってたらとらぁ部長がアニオタ(コルネリア)とイチャイチャしてる!! がびーーーん!!! タイムちゃんという者がいながら! なんで! どぉして! もぅやだマヂショック 病む……」
タイムが撃沈して、寛治も撃沈(物理的に)したあたりで、ちょっと平和も戻ってくる。社畜の平和が。
「あ、とらぁ部長も杯が空になってますね。どうぞどうぞ。相変わらずもふもふですね、圧力ありますけど。あとは私の辞表だけ受理していただければ完璧なんですがえっ、だめ?はい……」
「辞める? 人手が足りないのに? は? 退職手続き忘れましょ うっかり☆ それとあそこで泣きながら画面見て肉食べてるコルネリアちゃんは可哀想だから肉あげましょ 脂身」
「とらぁ……」
「あっやだとらぁ部長、も~☆ なんらかの圧を感じたから酒を飲み機嫌を取り続け時には新田に一発芸をやらせ場をどうにかするわ。練達の小説家A野HマさんPwitterで学んだ処世術よって新田が死んだ!?(死んでません)」
「とらぁ……」
「アーッ!」
「正純の辞職は絶対に許さないし」
何やらマリアがそんなことを言っていたが、正純はそっと聞き流して。
「……みんなお酒のんじゃってますよね。代行呼びますか。自費で」
「え、明日仕事なの……? 朝イチで……? や、休みの筈じゃ……ぎゃあ! とらぁ部長それはァ! いやだぁ! 残業バスターはいやだぁ!! 退職届破らないで!?」
そうして正純が代行を呼んでいるが、そんな楽しいBBQであったのだ。
「というわけで楽しいBBQも終わり。皆が帰る中、機材を洗って駐車場の車に運ぶのは私の仕事。帰りは食材が無いから5往復で済んだ。当然飲んでるから乗ってはいけない。コンプラ無視でも免許取消は怖い。飲みすぎた分虹を吐いてから、車中泊して早朝に酒が抜けたら帰ろう。ソロキャンプ付きだあ。朝イチから出席必須の会議がある月曜日に、ね」
そう、飲酒運転は絶対NO。ブラック企業もNO。セクハラパワハラもない、そんな世の中を目指しています。何処かが。
と、そんなこんなでまた一撃で小芝居ダンジョンクリアである。よかった、ブラック企業社畜BBQなんてなかったんだ!
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
思い当たるものが多すぎて「そんなこともあったなあ……」と頷く今回の皆様のプレイングでございました。
ブラァック……。
しかし今回誰がMVPか本気で悩みましたね……渾身のプレイングが並んでるんですもの
GMコメント
今回はファンドマネージャからのアフターアクションです。ありがとうございます。
またしても小芝居ダンジョンです。
そう、小芝居しないと進めないダンジョン~ブラック企業社畜BBQ編~です。
チームを組んでブラック企業社畜BBQ系の小芝居を実施しましょう。
皆さんなりの演技をぶつけてきてください。
当然ですが、ブラック企業社畜BBQなら、どんな内容でもいいです。ノリだから。
俺の社畜BBQはこれなんだ!っていう勢いが必要です。
プレイング全部を内容と相手で埋めてOKです。
互いにNGシーンを打ち合わせてプレイングを決めると良いと思います。
なお、相手が見つからない悲しい子はチーサを拉致できます。ちゃんと適宜合わせてくれます。
ちなみにですが、無理矢理突破しようとした場合には古代ゴーレムが現れます。
無茶苦茶強いので、無理矢理突破はしない方が無難でしょう。
一応こんな感じです。
・無粋な奴をぶっ飛ばす古代ゴーレム
全長10Mの謎金属製の古代ゴーレム。
ゴーレムパンチと範囲攻撃のゴーレムビームを使います。
もうとんでもない強さです。
一番重要なのは「最後の部屋」なので、そこの担当はしっかり決めておいた方が良いでしょう。
なお、お宝は「各演技の激熱シーンを激写したクリスタル板」です。
つーても最近皆さんは1つの大寸劇を作ってくるのでたぶん一撃ですが。
破壊不能のすげーやつです。思い出は永遠に……。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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