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シナリオ詳細

再現性東京202X:憤慨の森

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 這いまわる混沌……私は最初に巻き込まれた者であり……嘲笑う緑に対して……言の葉を投擲しよう……。

●憤慨の森
 再現性東京202X――とある学校にて突拍子もない、筆舌に尽くし難い事件が発生した。生徒も先生も近所の人も巻き込まれ、行方不明者を出てしまうほどの、途轍もないものだ。名状し難い、形容し難い、と住民等は『気の所為』を貫こうとしているが――さて。目の前の未曾有を観て、何者が正気を保てるのだろうか。
 それは――永遠とも、永久とも思える、ひどくシュールな沙汰で在った。眼球を拭ってくるのはヤケに深く、暗い、緑、緑、緑――かと言って生き物の息遣いを感じ取れない――森。誰が慄き震え、名付けたのか、憤慨の森。まさしく神の所業とも謂える、莫迦らしい、茫々たる……。
 男が言った、神だ、此処は神の住処なのだ!!!
 女が叫んだ、たすけて、誰かたすけて……このままだと、私、頭がおかしくなりそうよ!!!
 この森には出口などない。この森で死ぬ事は許されない。この森に在り続けた者は何れ、この狂った緑に呑まれ、痴れるのだろう。おお、這い寄る混沌の声が聞こえる。彼方、沸騰し始めた門が戯れを求めていた。

●カフェ・ローレット
「森林破壊よ。森林破壊をするわ。ええ、勿論、私は狂ってなんかないし、正気なんだから。お相手さんは激しく混沌としているってワケね。んじゃ、説明するわよ……?」
 カフェ・ローレットに集められた特異運命座標は女子学生の言葉に首を傾げる事となった。彼女の名は火々神くとか、夜妖を狩る一族の末裔だと謂う。
「今回の依頼はすこぶるシンプルよ。突如として学校が『森』に変わったのよ。その中に突撃して放火する、簡単よね。あ、森に呑まれた人達は『森の焼却』と同時に解放されるわ。つまりバーベキューして帰るって事よ。あ、ちなみに森の名前は『憤慨の森』。え。ンガイですって。気の所為よ、理解したら私達の負けなんだから……。ええっと。色々と用意したけど持参しても問題ないわ。つーか魔砲とかの方が効率いいでしょーし」
 マッチ、ライターetc、くとかは用意した道具を君達を配っていく。その眼はある種の強迫観念にやられており、若干ぐるぐるしている。この娘大丈夫か……?
「もしも、万が一、夜妖本体に出遭っても無視しなさい。話したいとか絶対ダメなんだから。良い? 絶対に戻ってくるのよ……? 発狂してたら私でも助けられないんだからね。わかった?」
 それではバーベキューを始めよう。お肉は混沌と鳴いていた。

NMコメント

 にゃあらです。
 燃えろよ燃えろ。

 学校が森になりました。

●目標
 森林破壊、燃やすのが良いです。
 夜妖との接触も可能ですが発狂するリスクもあります。

●再現性東京
 再現性東京のとある学校が舞台です。が、全てが『憤慨の森』になっている為、学校らしさは皆無です。

●火々神くとか
 女子学生です。今回の依頼人。
 夜妖を退治する一族の末裔だとか。
 這い寄る混沌絶対許すマジ!!!

●サンプルプレイング
 森を魔砲でぶっ飛ばす
 夜妖とおはなしする
 など

●情報精度
 このシナリオの情報精度はLです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる場合があります。
 全て成功判定になります。


憤慨の森にて
 憤慨の森で何をするのか。

【1】憤慨の森を燃やす
 依頼の通り憤慨の森を燃やします。

【2】火々神くとかと森を燃やす
 くとかちゃんと協力して森を燃やします。

【3】夜妖との接触
 夜妖と接触します。発狂するリスクもあります。


燃やし方
 燃やす方法です。

【1】ド派手に
 ド派手に燃やします。魔砲とか。

【2】効率的に
 効率的に燃やします。道具とか使って。

【3】夜妖と仲良くなる
 夜妖と戯れます。もしかしたら仲良くなれるかもしれません。つがー。しゃめっしゅ。しゃめっしゅ。

  • 再現性東京202X:憤慨の森完了
  • NM名にゃあら
  • 種別 カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年03月04日 15時10分
  • 章数1章
  • 総採用数14人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師

 地獄の最下にて咲く花が在るとすれば、おそらく、形容し難い燃えさかるものに違いない。かろうじて円形を維持していた超越性はいずれ、緑色の暗渠に釘を刺して往くのだろう。まるで王に忠告する僕が如く、永遠、永久への反旗として鳴き声を残す――テケリ・リ、テケリ・リ――文字数だけで謂えばザックリと86400、蟲が啜るにしてはヤケに少なく思えた。よう、火々神って名前だったか。俺は大地、よろしくな。ド派手にヨロシクやってくれと鬱蒼が返事をしてきた。お言葉に甘えて轟々と、業々と虚言、偽りをつむぐ……。
 夜妖の影も見当たらなかったのは憤慨の森がスサマジク、茫々としている事に尽きた。蜿蜒と伸びて往く焔の色も、嗚呼、宇宙色の怪物にとけるかのような心地であった。やァ、しかしえらく張り切るなあ嬢ちゃン――ひくり。黙々とモクモクと放火していた女の子がはねた。だ、誰、誰の声なのよ、今の――あ、今のは赤羽と謂って……簡単に謂っちまえば俺に憑いてる同居人みたいなモン……。イス! 別に問題ないわよ。あっちの世界はどう? ポリプからは逃げられた?
 沈黙――重い空気が場を支配していた。如何やら赤羽・大地と火々神・くとかの間には大きな溝が存在しているらしい。何を謂ってるんだきみは? イスがほしいンじゃねぇノ? 疲れたのか。休憩にしないか?
 そうじゃないわよ!
 そうなのか?
 アンタがマトモな奴だって事はわかったわ。
 光栄ダナ。

成否

成功


第1章 第2節

シャーラッシュ=ホー(p3p009832)
納骨堂の神

 恐怖の大王がやってくる、ツマラナイ日々に覆い被さった、途轍もなく愉快なニュースは人々の心に火を点けたと謂えよう。当然、あらゆる騒ぎは神々にも伝わるもので、嗚呼、悉くは混沌が孕む為の種子に過ぎない。結局、火の粉を浴びていたのはオマエのような、まったく害の無さそうな一柱のみ――ええ、勘違いしないでいただきたいのですが。私は決して『アレ』に嫌がらせがしたいわけではありません。ひょうひょうとした面を構えつつもシャーラッシュ=ホー、なんとか家の崩壊が如くにガソリンをブチ撒けた。
 いやアンタかなりガチじゃないの。なんかこう、目がマジよ。これは合法的に森を燃やせるからウキウキしているのであって、私に他意なんてものはありませんよ。そう謂えば自己紹介がまだでしたね、火々神殿。私はシャーラッシュ=ホーと申します。
 ……Shaurash=Ho……うっそでしょ? え? マジモン?
 マジモンです。いい発音でしたよ。
 じゃー神様にお願いなんだけど一緒に燃やしてくんない?
 喜んで。
 ばちばちと嘲笑うぬくもりに擁されて、ふたり、親子の如くに並んで文句を揃える。最早、常人では絶対に理解出来ない、冒涜的なまでのエネルギーが其処には溜まっていた。クトゥガ、フォマルハウト、ウガ――お腹が空きませんか。鼠の死骸のハンバーグがあるのですが。
 鼠の死骸のハンバーグ……。
 珍しい鼠の死骸でした。
 壁の中に棲息する種類のようで。

成否

成功


第1章 第3節

冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 後転する事によって事態が好転するとは思えないが、何故か、睦月の最中に湖畔が描かれていた。底に沈んだ緑色のくされを、嗚呼、追い掛けたなら、其処に留まる怪物に攫われた。あらゆる事柄が幻想の類だと見做されるならば、おそらく、頭を齧られた痕も失くしていた筈だ。だんまり決め込んだお月様に吐き気をぶん投げる……十字に裂けていた。
 人々を狂気に追いやる森なんて、それこそ、存在してはいけない、神様らしくてよろしい。忌々しさを肌で感じ取り、食い殺すかのようにして眼球をまわす。嗚呼、そうとも、燃やすべきだ。虚のような嘲笑は刹那の内に片付けるべきだ。また随分と成長したんだね、オマエ、アハハ――聞こえない。なんにも聞こえないよ、※※ちゃん……?
 アンタ、なんか顔色悪いわよ? 大丈夫? 意識を現実に固定したならば変なご挨拶だ。別に僕はさっきから正気なんだし、あわれっぽい目で見ないでほしい。くとかさん、効率よく参りましょう。ふたつめの月が踊る頃、油分たっぷりな、ヌガーな叫喚が……。
 ワールドエンド・ルナティック、淡い光は紫に染まり宙諸共と不吉を象徴した。さかれ、さかれ、愛おしい誰かさんの為に……ところで誰かさんは一緒に『来た』のでは無いか。ぞくり、厭な予感が脳味噌を舐る――ちょっとアンタ、休んだ方が良いんじゃない? 顔色まで紫よ……? 大丈夫です、いつもの事ですから。
 坂道をのぼるように、他人の傷をかくす。

成否

成功


第1章 第4節

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結

 詩が聞こえる、理解が出来る。宙の彼方の混沌、沸騰する核の傍らで、笛の音が響いているのが解せる。ダムダムとヤカマシイ、鬼面の中の伽藍洞が、楽しそうに引っ掻いてくる。やあ、なんだってこんなことをしたんだい? 嗚呼、君は史之だったね、質問を返すようで悪いんだけど、お嬢さんを放っておいてこのザマなんて、どっちがプリンセスかわかりゃしないね。ああ、警戒しなくていいよ、俺は君の味方さ――今のは何方の科白だったのか、頁数を改めても判別し難い。深い深い森の、更に暗い場所で獣の遠吠えを知った。
 森へと変えた所以を訊ねたところでオツムの中心、掘削されたかの如くにDNAを認めた。蓄える事しか能のない、手も足も頭も出ないのんだくれが暇潰しとなって帰還したのだ。ハハア、それが理由? アハハ……腹を抱えて笑っちゃうかもね……それとも腸を抱えたいのかい? 良いさ、良いさ、片手間程度の好奇心で加工されるのも悪くはない。そうだ、酒でも飲む? 甘ったるい蜂蜜の濃厚さが夜妖の無貌を潤していった……。
 この出会いに祝杯を。
 乾杯だ……杯を乾し、果て知れず、痴れたかの如くに悪意へとぬれる。
 オマエに助言してやるよ。発狂するかもしれない、戻れないかもしれない、なんて、奴は脅すけどな……無意味なのだよ……!
 アッハッハッハ、何かい、俺が正気ではないと謂うのかい? お笑いだ。大笑いだ。頭を抱えて嗤ってしまう!
 転がって終った!

成否

成功


第1章 第5節

シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士

 罪人の首を刎ねよ――! 玉虫色の意識が鮮明に、シューヴェルトが明々に晒された刹那、懐かしいような、おぞましい怒声にやられた。碧の最中で反芻されたのは魔女の群れの滂沱、嗚呼、断頭の面からはドボドボと、真っ黒いジュースが謳われる――つまりはね、君、僕との接触を試みたって事は、ナンセンスな行為を止めたいだけなんだろう? その通りだ。そのつもりだ。差し伸べられた触手へと掌をおくる。ヤグサハ、まったく躊躇の『ち』の字も無いんだね。わかった、わかったよ、一緒に月へと吼えて終おうか。十字に裂けた円形へと毒をそそぐ。土留色と成り果てた心臓へ、在り方を刻み込む。
 契約――なんてモノは莫迦らしいと夜妖は溜息を吐いていた。蠢くだけの闇黒に成せるのは、ただの、これからのオマエを応援する程度だ。結局はさ、世の中ひどくご都合主義なんだよ。ぼそりと潰れた小さい蟲が如何して思考回路を人に寄せる事が出来る……? 呪い呪われの関係性も燃やし燃やされの今と等しい。さて、オマエ、恐れ知らずなのは勝手だが、畏怖されたいなら揮い続ければ良いじゃないか。
 僕が強いと君は謂いたいのだろう。
 欲張りなのだと君は謂いたいのだろうな?
 それを嫌悪するとか、嘲笑するとか、そんな事じゃあないのさ。手始めにさ、この森を燃やしている連中に伝えてくれよ。
 ――この貴族騎士が守ってみせる! ってね。
 ああ、良いだろう。僕が君を守ってみせる……。

成否

成功


第1章 第6節

シェンリー・アリーアル(p3p010784)
戦勝の指し手

 残り物には福がある、とは、練達で聞いた諺だ。急がば回れ、なんて、滑稽な言の葉も耳にしている。緑色の影を落としたのは果たして憤慨の森だったのか、憂炎、オマエの双眸だったのか。兎も角、必然的に『これ』が何かを知りたくなるのは、僕の性だろうか。弄るようにして、掬うようにして、塗りたくられるようにして、クエスチョン・マークを揃えた。問おう、君は何者だ? 或いは『なに』だ? 依頼人の精神からも混乱がこぼれていたのだ――私はね、君達イレギュラーズのお友達なのさ。這い寄る混沌なんてヒトサマは嫌がるけれどね――何処かで聞いた事のある異名だ。何処かで咀嚼した読み方だ。そんな存在は混沌に……? 一人いたか。おいおい、私を『一人』だなんて決めつけないでほしい。私が前に在るのだから、今後は『二人』としようか。それで……? 私に質問があるんだろう?
 何がしたい。思いつくのは世界征服、だが、成程、ツマラナイ無貌を晒すに『別の所以』が在るのだろう。折角の機会だ、君、僕ともう少し話をしてくれるかな。勿論、ああ、勿論さ。憤慨が燃え尽きるまでゆっくり、棲み憑いたって構わない……。
 生ハムの原木が焦げないように立ち回らなきゃダメってのが要なんだよ。燃やす側の連中も難しい事を注文してくるよね。その通り、僕の大切なものを奪おうとするなんて如何かしている。スモークな香り、煙たい、鬱陶しい……。
 襲撃者には帰ってもらおうか。

成否

成功


第1章 第7節

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結

 深い深い黑は、史之、オマエの眼球の中でやがて緑に、何れ紫に染まって往くのだろう。反芻するかの如くにチェスの続きを愉しんでやる、と、意気込んで、ごっこ遊びの狭間に悪辣を挿入する。ハハア、挨拶が不足していたね、アナタはまったく数秒前の事を失くしている。ごきげんよう、可愛い可愛いあの仔らしく、神様らしく、雑に頭を垂れてみた。退屈凌ぎにマシュマロでも焼こうか、焦げた部分を齧ると甘くて美味しい――一昨日ぶりだったか明後日ぶりだったか、そんなクリーム状のオツムなんかどうでもいいやね。理解したら負けなんだろ? 本当に脳味噌がかたい奴だ。これだから、抉り取っての叩き付けも致命傷にならない――ドンペリは気に入ってくれた? ナンセンスな問答だ、高価な買取なんぞ誰もしてくれやしない……嗚呼、嗚呼、君は随分と顔色が良さそうだ!
 いたくないのときもちよくなるの、何方がヒトサマに害をなすのか考えてみよう。シンプルに、燃え集る方が毒孕む魔の手に違いない。なぁんて、※※さん、嘯くのが上手なんだから。酩酊は合法的な狂気、そうして凶器だよ、たいして現実と変わらない。それなら乾されたグラスを満たして終うと良い、十字に裂けた満月もおねむな頃合い。
 乾杯――!
 転がる癖が抜けていないのが悪いのだと夜妖は揶揄う。まあ、脳髄を引っこ抜いて理想郷を謳う哀れなものよりはマシだよ。マトモだよ……。
 違いない。イヤラシク、違いない。

成否

成功


第1章 第8節

冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 悪魔に唆されて地の獄へと掻っ攫われた、慈しみ塗れの神様は何度目かのご挨拶に遭った。ごきげんよう。今日は良い天気ですね、一昨日も明後日もきっと、雨でしょうし、現を味わい尽くして終いましょうか、くとかさん。ひどい闇の具合はおそらく、夜妖が準備した、粋な企てなのでしょう。顔色のことは心配しないでください。大丈夫です。僕は大丈夫です。槍が降っても頭が転がっても、何が起きても、いつだって大丈夫です。正気ではないヒトサマほど酩酊していないとこぼすものだ、女子学生は頭を抱えて溜息を吐く。あの、本当に、無理しない方が良いわよ? アンタさっきから森の奥ばっか見て……。大好物の羊羹でも聳えていたのか、オコサマな舌がちろちろと貌を出していた。
 森を燃やしましょう。人々を助けるために火をつけましょう。燃やし尽くしましょう。名状し難い、ずぐずぐと腐れた、拭えない感情を焚いてしまいましょう。これは正しいことです。これは正しいことなのです。為しましょう、成しましょう――ちょ、ちょっとアンタ。煙くない? もう顔面真っ黒よ? まるでアレみたいな……!
 いけません。こんなにもお顔が汚れていたら、※※ちゃんに嗤われてしまいます。ごしごしと掌で落とそうとした。のびる、のびる、餅の如くに広がる……。今度は睦月が団子になる番だ、焼かれたみたらし、美味しそうなにおい。
 休んでなさい、これはドクターストップよ。
 目の前に、黑。

成否

成功


第1章 第9節

ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜

 捕食する事に関しては抵抗の『て』の字もなかった。ウィッカーマンと見做された行方不明者の味気の無い魂をつまみ食い。まあ、うん、中々に、食感だけは悪くないものだ。断末魔の内に視えたのはおそらく、在り来たりな、再現性東京を生きていた者の絶望だろう。いい加減飽き飽きしてきたところ、誰かさん、つまりは依頼人の面構えを知った。ああ、初めましてだな。ヨロシク――それではパーティ会場へのご案内は扇に委ねよう。不吉の象徴たる塔を燃やしてカダス、その輪郭を罰として融かすがよろしい。
 ところでさぁ――黑が赤へと塗り潰される最中、ちょっとした疑問を女子学生に投げつける。キミの名前ってなんか聞いたことある響きなんだよな。もしかして有名人? たぶんアタシの一族知ってんのは旅人くらいだと思うけど? ええっと、くとか……くとぅ……。咽喉に引っ掛かるような音を残して蝦蟇の脂が嗤い出す。嗚呼、売ってる場合ではない。暇を買っているほどに良心的ではないのだ。マジメに仕事するか――!
 今更隠す必要は無いんだけどね、どーせアンタも悪魔でしょ。
 わかっちゃう?
 人間で謂うところのいじめっ子みたいな雰囲気だもの。
 ヒトを見た目で判断するんじゃねぇ。正解だけどな。
 アンタ名前は?
 ペッカート・D・パッツィーア。
 ――カーペット?
 友達になれそうだな俺達、あとで校舎裏な?
 ……地雷踏んだわ。
 照らされる二人の影、人から外れていた。

成否

成功


第1章 第10節

メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
狙われた想い

 最上階、接吻しながら生命エネルギーを啜り尽くし、枯れ果てたもの、只管と放棄した。そんな化け物で在れば幾等か気楽だったと謂うのに、愈々、オマエは一昔前と滓れていた。お話しできる存在がそこにいるんでしょぉ? お遊びできる夜妖がそこにいるんでしょぉ? グロテスクなほどに暗黒がお似合いな金髪おんなのこ、メリーノの青々しさが混沌を映した。キミはお話がしたいんだね。何のお話をしようか。たとえば、塔の上に棲むお姫様の冒険とか、悪いおんなのこに迫られるおとこのこの悲劇とか――でも、ご依頼はちゃんとこなさないとねぇ。ぎろり、眼球を失くしたからっぽが、徐々に徐々に焦点を合わせてくる。火をつけます。つけました。そこにいたらオマエにも火がついちゃうよぉ……? また随分とおあついおんなのこだ。夜妖の哄笑が頭蓋骨の中、反響する、半狂乱する……。
 いいの? いいよ。じゃあ燃えたら良いんじゃないかな。ひらがなでぺたぺたと貼りつけた戯言のように白痴な、堂々とした、出来損なった白鳥のフリだ。どうぞ、お仕事を続けてください。冒々とヤカマシイ赫々の中心であらゆるものが揺れていた。
 震えている、くだけている、何度も何度も、オイルをばら撒いて、それがようやく自分の漿液だと謂う事に気付けた。まあ、結局さ、僕が選択肢を与えたのがいけなかったんだ。そう、そうよねぇ、わたし、もっとお話ししたいわぁ……?
 遅れて、頭、地に吸われる。

成否

成功


第1章 第11節

水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで

 胎から生じたのか、千切れた細胞なのか。
 解脱まつりの深淵に身投げする事。容易く、決して振りほどく術のない臍の緒にからまる。絡繰りの如くに反芻した呪文ごっこは、必然、本物への近道と成り果てた。にゃるしゅたん。にゃるがしゃんな。ひどく気軽な、スサマジク軽率な、挨拶とやらを交わしてみる。それで。黄金色の蜂蜜酒を持ち込まなかった所以はアルデバランの曇りの所為に過ぎない。あ、せっかくですしお茶でもしませんか? いい茶葉が入ったんですよね、黑い蓮って聞いた事あります? 完全にピクニック気分な水天宮、ゆらり、尾めいた蛸足がふるえた……。
 轟々と、業々と、情け容赦なく燃え広がる、生ける赫々の傍らで体育座りなんかをした。世間話でもしましょうか? 優雅に、盲目に、誰かさんの模倣として、カオスをばら撒く。まぁ、同じ存在から産まれたもの同士、仲良くしましょう。ヤグサハ! オマエ、嗚呼、その、病的かつ禍々しい破滅の妖艶、足掻いても藻掻いても拭う事は赦されない……。
 ――何をしに此処まで?
 ――そりゃ再建を手伝う為です。
 獣が棲家を欲するとは、これまた、滑稽な――!
 名を消され、貌を削がれ、役目を失くしたフリークスどもの団欒、爛々と煌めくのは果たして、手の甲か極光か――携帯電話は便利だな。時代はタブレットですよ、ええ。
 ポラリスが言の葉をこぼし、干渉者の頭の中を擽った。
 ナコトに挟んだ栞を台無しにする……。

成否

成功


第1章 第12節

リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王

 正気を維持する方法は簡単だ。
 ありのままを呑み込み、消化し、血肉と見做すがよろしい。
 レッドフックの混迷、一役買うのは如何か。
 チョウチンアンコウの肝は美味だろうが、さて、オマエの臓腑は如何様な柔らかさなのか。リカ・サキュバスの精神性に関して謂えば、成程、こういう依頼に向いている。見渡せば一面が赤・紅・赫、度し難いほどに広がった熱量の、なんとも愉快な、生命的な沙汰だろうか。派手に燃やせと猛っていたけれど、ああ、もう既にありとあらゆる緑がボウボウだ。なら……更にガンガン焚きましょ! まるで禁書に対しての嘲りだ、咲いた、咲いた、夜妖とやらの根源が咲いた――うん。ちらちらとおどる焔の中、影のような、黑のような輪郭……。
 ああ、うん、視覚的に、超現実的に語ってしまえば、クソデカイ雑草ムシャムシャくんだ。宇宙空間の如くに開かれた顎が月へと向かって明滅している。あー、つまりはアレよね。疑似餌みたいなものよ。考えが纏まってしまえば面白みのない生態だ、嗚々、五感で触れた君は蠢動でしかない……。それじゃもっと燃やすわよ、それこそ、塔を壊すようにね。
 夢魔――大悪魔――乳魔はひとり、ウィッカーマンへと玉座をぶん投げた。降り注ぐ雷の中心、ため息と共に肢体を動かす。いい夢が見たいなら少しくらい黙っててくれない? 恋煩いのお肌が如くに、プスプスと、焦げる、焦がれる。
 ミルクの香りに擁されてンガイと悶える。

成否

成功


第1章 第13節

ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
タナトス・ディーラー

 眠る事のない乙女の回路、食す必要のないコアの輝き、混沌へと叩き付けたのはきっと秩序だ。秩序で無秩序を打ち砕く、それは人からの抗いか。
 ノーライフキングからの歪んだ歯車か。
 治癒知れずの反芻をあの子がしていたのを覚えている。祀り上げられ、囃されて、挙句の果てにはこのザマだと、夜妖に嗤われた気がして仕方がない。故に、ド派手に燃やしてしまおう。つけ損なった感嘆符をエモノにしてから、薪にしてから数分間、ロクでもない思案に現を突き付ける。大体神様がやる事なんて、ブランシュたちに対しての冒涜なんですから! ええ、ですから――多少の犠牲は致し方ないと思いませんか? くとかさん。アンタがそれで良いならアタシは文句ないけどね、ねえ、最初っから目の色が可笑しいわよ? なにかあったのかしら――これも悪を退治する為。これも明日のパンの為……。
 善悪二元論と四大元素を組み合わせた結果がこのカオスだ。神様にとっては、夜妖にとっては、私が悪か? 正義の反対は悪なのか。もしくは、また、別の正義……? 知らないわよ。さっさと燃やして帰ったら考えなさい。業々とうっとうしい、深い深い、緑色に光を中てた。何方が神様らしいのか、何方が、ロクでもない突っ走りなのか……。
 ま、いいや。ガソリンぶち撒けて精々、スッキリ荒れ野に、焼け野にして終え。井戸の底から浮かび上がった色の如くに、狂々と、旋回をにおわせる。
 ――人類の幸せ!

成否

成功


第1章 第14節

フロイント ハイン(p3p010570)
謳う死神

 ゴルゴー、モルモーと唱えれば恐怖の再来か、オマエの双眸にはひどいパロディと映った。汁気たっぷりのイチジクは忌まわしいほどに臭く、にがい。
 不実の聖杯と称されたお呪いをフロイント ハインは認識した事が在った。秩序的な、人類的な数値を滅茶苦茶に掻き乱すサマは、成程、クルーシュチャ方程式の顕現に近しい。ここは森とは名ばかりの泥だ。雷すらも落ちない他人様の奈落だ。残骸だと見做す以外に何だと謂うのか。堆積された精神の滓が別の心と連なっている――それは憤慨などではない。それは熱い々い太陽などではない。発露の機会を与えられず、未練を残したまま濁り腐った怨恨だ――お友達に対して不条理な事を、理不尽な事を吹っ掛けるものだ、この傲慢め……。
 僕はここを森に変える。薪の山という名の森に――七日間も使い潰して出来損なったのがこの沙汰だ。人々が笑っている。人々が、雁首を揃えて、糞を垂らしている――肥料に成っていたのだろう? 自分で考える事も出来ない神様が嘲笑っている、そんな想像。騒々しい焔に光を注いでやると宜しい。罅入っていた宇宙に常識などを叩き込む。
 "Richten."
 貌が有ろうと無かろうと罪深いものは裁かれねば成らない。パンと肉をブチ撒けた程度で悦ぶものに、真の意味での美食を教えてやるべきだ。
 これが、夜妖が、君が無秩序を自称するなら、流れてくれないか。
 火と硫黄の浄化によって肉慾三眼をくらます。

成否

成功


第1章 第15節

 深い深い緑が、闇が、赫々と擁される中で。
 夜妖の咆哮が響いていた。
 彼、または彼女は元の場所に失せていく。
 行方不明になっていた人々は無事――精神的にはひどく致命的だが――帰る事が出来ただろう。
 学び舎は通常の輪郭を取り戻し、そのお礼として門を、頭を垂らしている。
 こうして、平穏が貌を晒したのだ。

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