PandoraPartyProject

シナリオ詳細

花粉症すぐ死ぬ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●怪樹「タイリョクナサ杉」
「体力を使って、解決するような敵が、いると、聞きましたの……! これは、わたし向けなのではないかと……!」
 ノリア・ソーリア(p3p000062)は何処から仕入れてきたのか、依頼の情報を手にローレットに駆け込んできた。当然ながらそこまで露骨な依頼はない。ないがしかし、日高 三弦 (p3n000097)は何事かしっているふうの表情を向けた。なんかもう全てを諦めてるとしか思えないようなそんな顔。よくよくみると、彼女はメガネもマスクもなんだかゴツいものをつけている。なんなれば。
「ど、どうしましたの?! 何か大変なことに」
「カハッ」
 肩を掴んで揺さぶったノリアのせいで、三弦が血を吐いて倒れた。
 だが、彼女は倒れ込んだ直後にすぐさま立ち上がり、何事もなかったかのように血の付いたマスクを取り替え始めた。
「すみません、ノリアさん。今の私はどこかの美少年のようにちょっとした衝撃で命が削れますが、どこ(中略)のようにしぶとくはないのです。なのでなんとかしないと早晩死にます」
「なにが、どうして、どうなったらそうなりますの……?!」
「ではこちらの資料をどうぞ。それと……多分回避不可能なので強く生きてくださいね」
「??????」
 三弦はそう言い残すと、資料を渡して奥へと引っ込んでいった。
 どことなく哀愁が漂うのは気の所為ではあるまい。
 そして、ノリアが手にした資料にはこう書いてあった。
『敵性樹木・タイリョクナサ杉の全伐採。接触した場合極端に体力が少なくなるが、まあどうせ樹木相手だしええやろ』
「体力、逆に、全く関係ないですの……!」

●皆伐採道具は持ったか! イクゾー↓
 ……そんなわけでノリアが必死に仲間を集めて数日後。
 彼らの目の前には、「タイリョクナサ杉」の群生地帯が広がっていた。
 資料によれば、そこを全部伐採すれば終わりだそうだ。
 ただし、花粉が容赦なく降り注ぐためくしゃみなどをした場合、拍子に体力全損してブッ倒れる可能性が高く。
 しかし、花粉症中は体力自慢であればあるほど、体力以外の数値があれこれ強化されるらしいので伐採が楽になるらしい。
 果たして、イレギュラーズ達は無事にタイリョクナサ杉を伐採して回り、無事に失われた体力を取り戻すことができるのだろうか?
 なお、そもそも体力少なくてすげー死ににくい人はそんな都合いいバフとかかからないから頑張ってなんかこう、生きてほしい。

GMコメント

 ライトシナリオっていう凄い色々試されるシナリオに於いて、私はなぜこういうシナリオしか出せないのか。調べるために調査班はアマゾンへと飛んだ。
 あ、私マジで花粉症とかアレルギーとか無縁なんで、ごめんなさい。

●やること
「タイリョクナサ杉」の伐採

●タイリョクナサ杉
 ざーこ♡ ざーこ♡ よわよわ体力♡
 ……というのはさておき、非常に強力な花粉を放つ杉です。どっかで見たぞこういう依頼。
 皆さんはどんだけ防護しても花粉を被ることで花粉症になり、いきおい「強制的に最大HPが1になります」。
 その代わり、「通常時の最大HPが別の能力に割り振られます」。
 これは選択肢でいい感じに選んでください。結果如何でとんでもないことになります。
 なお、なんていうか頑丈さはそこそこあるから遠慮しないで恨みをぶつけていこうな。
 ライトシナリオの関係上、なんかこう凄くセリフがアドリブし散らかしますのでご承知おきください。

●戦場(?)
 タイリョクナサ杉の群生地です。
 全部伐らないと翌日ベンチで三弦が冷たくなっています。


杉伐採への意気込み
 Youは何を思って伐採を?

【1】花粉症が許せない
 そもそも花粉症なのにこんな杉が出てくるなんて許せねえ! 野郎ぶった切ってやらぁ!

【2】HP1ですって!?
 体力を鍛えすぎてひ弱になれる機会なんて逃すはずないじゃない! 私を〇しにいらっしゃい!

【3】えっ仕事って聞いてきたんですけど
 え? 花粉症? HP1? マジかよ帰りたい……


HP→?
 あなたはHPが1になりました。有り余るHPはどこにいきましたか?

【1】なんか死ににくくなった(EXF)
 お願いだからやめてください

【2】木を一撃伐採出来る気がする(攻撃力)
ぶん殴ったら木が折れた。魔砲がめっちゃ範囲攻撃になった。

【3】めっちゃ効率いいんですけど?(EXA)
一振り3本くらい伐ってたらしい。


どうやって木を?
 タイリョクナサ杉をどう料理してやろうか。

【1】物理
 斧とかチェーンソーで伐ったり殴り倒す。ゴリラ向け。

【2】神秘
 魔砲とかする。ゴリラ(神秘)向け。

  • 花粉症すぐ死ぬ完了
  • GM名ふみの
  • 種別 通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年02月16日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談0日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
終わらない途
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
アオゾラ・フルーフ・エーヴィヒカイト(p3p009438)
不死呪
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
航空猟兵
尹 瑠藍(p3p010402)
夜摩 円満(p3p010922)
母なるもの

リプレイ

●こんな話を望んでいたわけじゃないんだが?
「こんな、依頼を、受ける気はなかったんですの……! どうして、こうなってしまったんですの!?」
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)はこの依頼が簡単だと聞いていた。体力仕事だとも聞いていた。まあ間違っちゃいないんだ。魔物とか出てこないしすぐさま命の危機はないんだけど、なんなら木を切るだけで終わる仕事なんだけどその木がめちゃくちゃ厄介な性質を持っているってだけでな。
「なんで簡単な仕事で酒をかっ食らえると思ったら花粉の只中に放り込まれてるんですか?」
 『蛇喰らい』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)だって仕事終わらせて帰ったら酒飲もう、簡単な仕事だなって思ってたんだよな。お前にはちょうどいい肌感覚の仕事だと思うんだよ。シリアス続いて疲れたろ? ゆっくり伐採していけよ。ヒヤリハットが重大インシデントになるだけの職場だ。簡単だと思うよ。
「なぜか名指しで呼ばれたんだが?」
 『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)にいたっては情報屋があきらかに自分を狙い撃ちにしているかのような物言いをしていたと聞きつけ、呼ばれたんなら仕方ないかと来てみたわけだが全く不利益を感じない。セレマにとってこれは有利でもなければ不利でもない、しかし当たり一面の木々を切り落とすとかいう馬鹿げた話に巻き込まれた不幸である。大丈夫? 大丈夫じゃないかそっかあ。覚悟しろ。
「普通の仕事だって聞いてきたのにこの扱いを受けるのはなんだかおかしくないですか???」
 『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)もよもやグラオ・クローネでピンク色に染まりつつある脳が与太に染められるだなんて考えもつかなかっただろう。EXF溺死みたいな展開を夏に被ったのは記憶に新しいが、いや新しくもないが、鉄帝や天義の危機に際してこんな扱いを受ける謂れはないんじゃないかと思えて、こないな。覚悟できてるよな。今夏の『覚悟』とかな。
「へっくち」
「花粉! でもブランシュは秘宝種! 無敵! 最強! ぶえくしょいうぇあおい!!!」
 『不死呪』アオゾラ・フルーフ・エーヴィヒカイト(p3p009438)はなんかもとより不死性の高い肉体なので病魔とは無関係だったはずだが、タイリョクナサ杉にはそんな道理は通用しないようだ。与太はその当たり貫通しがち。『後光の乙女』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)も秘宝種なんだから花粉症にはなるまい、と甘くみていたらそんなことはなかった。めっちゃ花粉症被ってた。まあこの二人がそうならないってコトだとじゃあ妖怪である鏡禍の扱いはどうなるの? みたいな話になってしまうので考えてはいけない。いけないのだ。
「地底湖暮らしに花粉耐性があると御思いかしら? 無いものは許せないから切り倒すしかないわね」
 一方、『蛟』尹 瑠藍(p3p010402)はそもそも故郷『ヴァハトン』が地底だし水回りも清すぎるくらい清いため、汚れに対する耐性が高くない。つまり花粉なんぞに飛ばれたらひとたまりもないのだ。そりゃ元を潰しに突っ込んでくるわなと思う。いまここで発生源が消えれば、すくなくとも「タイリョクナサ杉の花粉症」は回避できる。それ以外? 頑張って。
「体力がなくなるということは、同じようなか弱い人達がいるということですね……であれば、助けるのが道rぶしっ」
 『ママうさメイド』夜摩 円満(p3p010922)はタイリョクナサ杉の影響で自分も仲間もか弱くなると聞きつけ、これは溢れんばかりの母性をなんかいい感じに発露できるのではと考えた。
 仲間達の絶望に打ちひしがれる表情を見た時、その感情はピークに達し今すぐにでも動かねばと感じた。感じたのだが、直後に溢れたのは母性ではなく激しい勢いのくしゃみであった。控えめなものであったが、顔を上げた彼女の表情はまるで異なるものに。
「ざーこ♡ よわよわ杉♡ こんな炎で燃えちゃうなんてよわよわ植物?」
 ……つまりは「天魔波洵」と名乗る、今までの依頼で顔すら見せなかった第三の人格が目覚めたと言うことにほかならない。ないんですよね? 「波洵」は奪われた体力を力に変え、ひときわ大きな杉を殴りつけた。次の瞬間、それは生木でありながら激しい炎と共にメキメキと折れていくではないか。轟音を上げて倒れた杉を足蹴にし、にたついた笑いを見せるその姿は成程、『波洵』と名乗るだけのポテンシャルを秘めている。
「何あの鬼人種。なんかすげぇ殺る気感じるんだけど」
「これは期待のメンバーが現れたのですyぶぇっくしょい(HP-1)!! ……うう、これかなりの強敵なのですよ?」
「間違いなく、今までで最大の、戦いですの……!!」
 セレマはそんな波洵の姿に心底恐ろしいものを覚え、ブランシュは期待の視線を向ける前にくしゃみで一回命を落としかけ、そしてノリアはこれから来る戦い(笑)に身震いした。
 彼らに待ったは通用せず、タイリョクナサ杉も花粉を待ってくれない。つまりは戦争ってやつだオラァ!

●この展開から入れる保険があるんですか?
「なんか体力奪われた分強くなるんじゃないかなって思ってたんですよね。そんなの勘違いですぶしっ……やっぱり死ぬんじゃないですか」
 鏡禍はくしゃみひとつで生死の境を垣間見つつ、木々に対城技を叩き込み伐採を進める。えんやこらどっこいしょである。しみじみと命の儚さを噛み締めつつ、しかしいつもより心なしか死が遠くに感じる。感じるだけでなんも変わってないので、彼はやけくそ気味に杉を殴った。程なくして折れたそれに達成感を覚えたが、まあまだ沢山生えている。
「へっくちん! へくちっ!」
 アオゾラにとって、病魔という存在は久しく忘れていた感覚である。あるが、だからといって再会を果たして必ずしもうれしいものかというとそうでもない。くしゃみを繰り返し肋骨に負担がかかると、当初は新鮮味に楽しんでいた精神だって徐々に摩耗していくわけで、要はこの木をブッた切らねば危機があぶないと思うようになるのだ。くしゃみにあわせて叩き込まれる攻撃はあれよあれよという間に木々を薙ぎ倒していく。常の力よりも遥かに高まっている感じさえする。
 一方、バクルドは全身に装備とか安全ベルトとかカチャカチャと目まぐるしく装着してから、盛大な効果音すら聞こえそうな仁王立ちを披露した。建物とかめっちゃ吹き飛ばしそう。近くにあるのは杉ばかりなので、結果として杉が次々と吹き飛んでいった。怖。なにあの威力。
「この調子ならサクサク終わるよなぁ! 今日は早帰りからの晩酌だァ!」
「群生地を更地に? たった8人で? できるわけねえが?????」
 勢いに乗ってるバクルドをよそに、セレマは己の魔力で以て次々と杉を吹き飛ばしていく。周囲がくしゃみやらなんやらで軽率に命のバランスが崩れるのをチラ見した彼は、「つってもボクはいつもああだが?」という冷めた目で見ていた。というかおかしい。仲間達は常日頃の実力を超えたなんかすごい状態(ふんわり)になっているように見えるのに、自分はといえば別に強くなった気配がビタイチ感じられないのだ。まあ元々? 魔力には自信があるので? 強化されなくても全然問題ないんだけど? 泣いてねえし。これはタイリョクナサ杉花粉症だし。
「体力のなくなったわたしに、捕食者から、逃れる術が……ありませんの……! だったら、捕食者になれば、全部解決します、の……!」
「割と話の持って生き方が強引じゃないですか? 大丈夫ですかノリアさん??」
 ノリアにとって、元より潤沢な体力というのは捕食者に対する本能的な防御という性質があった。
 全て食べられない為に、一部を食べられても生き残るための生存本能。生きるための戦い方。だが、今まさにその装甲が文字通り剥がされようとしている。このままでは自分がタイリョクナサ杉によって命を奪われ、以てその糧になることで食物連鎖に押し潰されかねない。そんな屈辱は断じて許されない。よって今、彼女は食物連鎖の頂点に立たねばならぬと決意した。
 だからだろうか? 彼女は顎が裂けんばかりの大口を開けて杉に噛みつくと、その幹の8割ほどをひと噛みのうちに削り取る。自重を支えきれなくなった杉が倒れてくると、いきおい次々と噛みついて杉の体積を奪っていくではないか。大きく膨れた腹部は、しかし一瞬のうちに収縮する。異常としか言いようのない捕食性に、鏡禍は、そして他のイレギュラーズ達は正直に驚きとビビりを覚えた。
「ぶぇっくし、べぇぇっくしょぉぉい! ……うう、嘘なのですよ、効くのですよ。だからそろそろ花粉っぶしょーい!」
 ブランシュは度重なるくしゃみの乱打で体力を順調に奪われつつあった。そして切り倒した杉の衝撃でコケて命を失いかけた。だが死なない、倒れない。ちょっとびっくり(意味深)したけど到底、依頼続行不能になる様子は見受けられない。この程度で倒れるわけにはいかないという根性が、今の彼女には根付いている。こんなバカみたいな依頼で倒れるなんて嫌なのですよという魂の叫びが聞こえる。
「喰らえ、しぶとさとか関係ないブレリミハイペリオン(※略語)をーッ!!」
 ありったけの力を込めてブランシュは叫ぶ。得物に込められた力は体力とは全然関係ない一撃であるが、鍛えてきた過去と杉への恨み節という現在、そして希望の未来を織り交ぜたなんかとっても凄い一撃だ! これで倒れない道理はな「あっっっぶな!?」いが、倒れた余波で危機的状況に陥らないとはビタイチ言ってねえのだ。
「剣技の調子がいいわね、最高よ。この調子なら全部切り倒すのもワケないんじゃないかしら」
「絶対ぇ無理だが? この数は流石に無茶ぶりがすぎるが??」
 瑠藍は花粉症に特段に弱くなった半面、己の剣技がいつになく冴えていることを自覚する。仲間達の異常な行動に埋もれがちだが、彼女の実力はそもそもが高く、それに加えて体力が即死級に落ち込んだのと引き換えに凄まじい切れ味と行動効率の上昇により、細目の杉であればあっという間に切り捨て御免なのである。そりゃあ調子も出てくるってもんだ。
 とはいえ、イレギュラーズ達も花粉症の影響で普段と大きく異なる自分のコンディションを把握するのに大なり小なり時間をかけているし、群生地であたりかまわず杉を切り落とせば、周囲の木に引っかかったり連鎖して倒れたりするので混乱も一入。
 そしてなにより、視界が染まる程度の花粉はそれだけで目鼻を冒してくるのだ。割と洒落んなってない。
「こんな花粉に負けるなんてよわよわ粘膜♡ ざっこ♡ ……ぶしっ」
 そんな中でもめげずに杉(と自分の体)を煽り倒す波洵の姿たるや色々突き抜けているわけで、イレギュラーズ達は(恐らく依頼では)誰も見たことのない彼女の狂奔に恐ろしいものを感じつつあった。
 ……ちなみに彼女の行動が後にとんでもな、いややめておこう。予断は罪である。

●「ところでこのオチ想定してた?」「全然……」
「へっぶし! ……流石にそろそろこの花粉量は無理だと思うわ。ちょっと川まで洗い流しに行ってくるわね」
「ブランシュも行くであります。まっ黄色になっていて正直気持ち悪いのです」
 瑠藍が近くの川に向かうのに合わせ、ブランシュものろのろとついていく。秘宝種とはいえブランシュも女性体であるので外聞や見た目を気にするのは当然というか、顔が涙と鼻水で見れたものじゃなかった。こんな顔を女性にさせるなんて、なんと酷い杉なのだろう。一同はなんとしても除かねばならぬという決意をあらたにした。
 ……そして数分後、ブランシュはぐったりとした様子の瑠藍を引きずって戻ってきた。一応戦闘不能ではないらしいが、「あっちょっと(パンドラが)減るっ?」ってしたらしい。
「まさか顔を洗う時にそのまま水流で体ごともっていかれるなんて思ってなかったのですよ……」
「その様子じゃあお前さんも流されたのか」
「そうなのですよ」
 バクルドは水浸しの二人を見て全てを察した。多分水没した瞬間に意識が一度途切れているな、と。
「くしゃみや水流に乗っただけで死ぬとか冗談じゃないが? ボクはそんなに弱弱しくな」
 グシャーッ!
 美少年は仲間が切り倒した杉に薙ぎ倒され潰れ死んだ。次の瞬間、すぐ横に再構成されたセレマは「クソが!」とこの日一番の口の悪さを発揮した。なおこのあと10~20回くらい似た理由で再構成されている。命が軽すぎる。
「花粉症のせい、なのでしょうか……お腹が、ちっとも、満たされないですの……!」
 他方、ノリアは先程からずっと、延々と杉を捕食しつづけているが一向に満たされた様子がなかった。食性がブーストされてしまった肉体はどうやら激しい飢えというデメリットを生み、畢竟、飢えを満たさなければ待っているのは体力減からの戦闘不能。
 ひたすら食べ続けなければ肉体を維持できない状態に陥っていたのである。このとき、彼女は頂点捕食者の孤独と苦悩を思い知る。まー人間以外の頂点捕食者って飢え死にも何割か起きるらしいしそうならぁな。
「セレマさんほどじゃないけど僕も命が軽い方だと思っていましたけど、こんな環境に置かれると……」
 鏡禍は己の命の軽さを、このメンバーの中で二番目くらいに理解していた。そのつもりだった。
 だがその考えの甘さを大いに反省することになるとは思わなかった。ただ伐採に来ただけなのにあまりに命が投げ捨てられている。杉の命は奪われることが前提になっている。
「結局は迷惑をかけたら命を殺られる運命なのデスへっぶち」
「倒れたわね。……起き上がったわね」
「いつものことなのデス」
 アオゾラは何もかもを悟ったふうに言い切ることを赦されず、くしゃみの衝撃で膝から崩れた。瑠藍は呆然と眺めていると、寸暇をおかず立ち上がる姿に恐ろしいものを覚えた。あれが不死性……!
「ところでよぉ、かなり切った筈なのにまだあるのおかしくねえか? 依頼の量と報酬のバランス狂ってねえか?」
「だから最初から言ってるだろ! この人数でこの伐採目標はイカれてるんだって!」
「でも、わたしたちにとっても、この杉は切り落とさないと、大変なことになりますの……!」
「僕とセレマさんとアオゾラさんはそこまで悪影響はなさそうですけどね」
「大アリだよ」
 最初の段階では元気だったバクルドも、延々と賽の河原じみた伐採作業を続ければ文句の一つも言いたくなる。現状が続けば餓死もありうる、そうでなくとも非捕食者の筈のノリアが捕食者の顔で杉にかじりつく姿はシュールすぎるので終わってほしいのはマジそう思う。
 それはそれとして素の状態でも滅多には死ななさそうな面子が3人いる時点で色々と果てしなくどうなのかは言わないでおこう。
「よわよわ杉♡ 簡単に燃え落ちて恥ずかしくないの?」
 と、論争をしている横で波洵の罵倒が杉に向かって放たれている。
 そう、炎とともに。
 火器と一緒に、なのだ。
「なあ、今更なんだけど」
「何か疑問に思ったのですよ? なあにしぶとさがあれば体力なんてヘーキヘーキ」
「いや、この量の花粉に火器って今更だけど」
 爆 発 し な い か ?
「あー」
「盲点でありますな」
「当たり前の話でしたね」
「燃えたら、食事が、なくなりますの……」
 斯くして一同が話し切るより早く、周囲は花粉による粉じん爆発に包まれるのであった。
 爆発オチなんてサイテー!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)[重傷]
終わらない途
尹 瑠藍(p3p010402)[重傷]
夜摩 円満(p3p010922)[重傷]
母なるもの

あとがき

 なんて最低なオチなんだ……!

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