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シナリオ詳細

<昏き紅血晶>幻を去る

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<昏き紅血晶>幻を去る
 幻想王国と鉄帝国の狭間に位置する大陸中央部の砂漠地帯、ラサ。
 その中央部に位置するオアシス『首都ネフェルスト』には、いつもならば両国の特産品が持ち込まれ、掘り出し物に目を光らせた商人が大枚を叩き買い上げ、それを自国に持ち帰り更に高価で売りつける……なんて事は良くある話。
 とは言え今、鉄帝国は皇帝交代と六派閥の動きによって物資の輸出はほぼ途絶えてしまい、あるのは幻想の特産品ばかり。
「……そうですか……今回も又、入ってきて居ないのですね……」
「ああ、すまんなぁ嬢ちゃん。毎回言ってるけど、暫くは来ないと思うぜ? ……ラサまで来るのも大変だろうに」
「心配、ありがとうございます……でも、気にしないでください」
 微笑むのは、耳の長い女性。
 見た目の年で言えば20歳近辺……だが、耳が長いという事は、幻想種(ハーモニア)であろう。
 彼女が何故にラサに度々来ているのかは解らない……鉄帝国に何か思いがあるのかもしれない。
 ……そして、そんな彼女が、深緑に戻ろう、砂漠地帯に差し掛かった……その時。
『……今だっ!』
『えっ……きゃ……っ……!!』
 彼女の下に突如近づくのは、顔をマスクで隠した男達。
 その掌に白い粉を乗せて、彼女の鼻に近付けると……彼女の瞳はぼんやりとぼやけ……そして、瞑りその場に臥す。
『よーっし。んじゃあずらかるぜ!』
 その言葉と共に彼女を抱えたマスクの者達は、彼女を白昼堂々に連れ去っていくのであった。


「……集まって貰い感謝する。少々厄介な事件が起きてしまっていてな……皆に頼みがある」
 ネフェルストの街の酒場……君達の前に立つファレンが、難しい顔をして向き直る。
 そして彼は……其の手に小瓶に入った粉をコトンと置くと共に。
「既に聞いている者もいるかもしれないが……最近、このラサの国において、幻想種(ハーモニア)の方達の拉致事件が続発しているんだ」
 拉致事件と聞いて、ザントマン事件を思い出す者達もいるだろう……だが、それを騙った男も、真なるザントマンも既に倒されて時が経っている。
 これを模倣した事件……という可能性は十分にあるが、その詳細は未だに不明確。
 ただ、一つ分かって居るのは、机の上に置かれた小瓶の中の白い粉……これにより、幻想種の者達が、一人で居る所を狙い済まし、拉致事件が起きているのだ。
「つい先日も、ラサのバザーを訪れた幻想種の女性が数人、行方不明になっている。今の所何処に居るのかも判らない状態だ」
「皆には申し訳無いのだが……この事件の追及を頼みたい。街に居る幻想種の女性の後を付ける事で、どうにか尻尾を掴んでほしい」
「勿論、彼等が根城としている様なところが解れば、そこの壊滅も頼みたい所ではあるが……色々と難しい所もあろう。少なくとも幻想種の方の救助だけは、最低限熟してきてほしいのだ。よろしく頼む……」
 深く頭を下げるファレン。
 一時にラサと深緑を騒がせた事件の再来となれば、両国の再びの火種となりかねない……故に、早急に対処する懸念なのである。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の依頼ですが、ラサに最近現れた幻想種の拉致事件の解決依頼となります。

 ●成功条件
  首都ネフェルスト及び、その周りの砂漠地帯で発生する拉致事件の尻尾を掴み、拉致犯人達を倒し拉致された者達を救出する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  拉致するのは人気のない所限定です。
  街の中で拉致する可能性が無いとは言えませんが……人気が無い所である必要が有ります。
  幻想種の方々はちらほらとラサの街に来ておりますので、それをマークして追跡……という方法が取れます。
  又、今回の依頼において幻想種の方の参加があれば、囮として申し出る事も可能です。
  勿論……囮となるからにはかなりの危険が伴いますので、その覚悟の上で御願いします。
  尚、拉致する際には白い粉を鼻腔に近付けて吸わせるという行為を行います。
  その粉には意識をぼんやりとさせたり、気絶させたりする効果があります。
  その粉を空中に撒き散らすことで、一般人、イレギュラーズ共にその効果が発生しますので、注意して下さい。
  
  尚、幻想種の方達が捉えられている所には、拉致犯人達の他に護衛の為にモンスターが居る様です。
  ですが……どういうモンスターが居るかは今の時点では分かって居ません。

 ●討伐目標
 ・幻想種を拉致する犯人達
   幻想種を白い粉を使って拉致している犯人グループです。
   何故かは解りませんが、装備はかなり整っている者達が揃い、戦闘能力も高い様です。
   前述の白い粉を一人一つは持っており、危険が及べばそれを空気中に散蒔く事で、吸った者の意識をぼんやりとさせたりすることが出来ます。
   尚、顔を見られないようマスクを被っておりますが、特に視界が遮られたりする事は無い様です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <昏き紅血晶>幻を去る完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年02月24日 21時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
武器商人(p3p001107)
闇之雲
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
アルトゥライネル(p3p008166)
バロメット・砂漠の妖精
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
ことはる(p3p010563)
かけだしのエイリアン

リプレイ

●人を奪う
 幻想王国と鉄帝国の狭間に位置する砂漠の国、ラサ。
 首都のネフェルストには、周りの国々から様々な国の特産品が多数持ち込まれており、ある国にとってはありふれた物であろうと、、別に国にとっては珍重されるものも多く存在。
 そして、そういった物珍しい物に興味を抱いた幻想種を……人身諸共に奪取するという事件。
「んー……何というか、イヤーな予感しかしねェんだよなぁ……」
 空を仰ぎ見る『社長!』キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)に、『闇之雲』武器商人(p3p001107)は。
「全くだねェ……イヒヒヒ」
 と低く笑う。
 二人の言う通り、ここ最近ラサにはきなくさい事件が多発していた。
 今回の拉致事件もそうだが、同時に多発しているのが真っ赤な宝石を持った者が豹変し、怪物化してしまうという事件も同時に多発している。
 取りあえず今回の拉致犯人が紅血晶に侵され正気を失った者達……という事では無さそうなのは、不幸中の幸いかもしれない。
 しかしこの人攫いの事件は、過去にも同じような事件が起こった事がある訳で。
「ザントマン事件の再来、か……」
 『陰性』回言 世界(p3p007315)の言う通り、数年前に起きた幻想種拉致事件である『ザントマン事件』。
 その時も、今回と同様ラサを訪れていた幻想種の者達が攫われるという事件であり、大筋に於いては同様と言える訳で。
「……どうにも拉致誘拐事件は、ラサでは後を絶たないんだな……」
 幻想種である『努々隙無く』アルトゥライネル(p3p008166)からすれば、下手すれば自分に起きていたかもしれない事件。
 幸いザントマン事件の時は被害に逢う事は無かったが、イレギュラーズとなって再び誘拐事件に直面するだなんて、想っても居なかった所だろう。
 ただ……過去の事件の時と大きく違うのは、拉致犯人達の装備は金が掛かっており、野盗盗賊の様なゴロツキ連中では無いという事と、あのときとは違う『白い』粉を吸わせているという部分。
「うーん、装備が整った誘拐犯でっすか……なんだか、嫌な予感しかしないでっすね……」
「ええ。原因は取り除いたと思っていたのだけれど、もっと別のところにあった……という事なのでしょうか?」
「かもしれねぇ……こんなにザントマンの手口に似てるのは、疑問しか湧かねえよ。でも、流石に滅びたはずだけどなヤツ奴ぁ……」
「ええ……そうですよね。何はともあれ、調べなければなりませんね」
 『かけだしのエイリアン』ことはる(p3p010563)、『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)、『ラド・バウA級闘士』サンディ・カルタ(p3p000438)三人が過去の事件を思い出しながら会話していると、そこに世界とキドーが。
「まぁ……何にせよ奴隷売買は良くある事だ。手口等が似てるのは少し引っかかるが、ザントマンの専売特許と言う訳でもあるまい」
「ああ。便利な白い粉を使うんなら、それだけでも儲かりそうなモンだぜ? なのにわざわざリスクを負って幻想種を捕らえるあたり、ただの人身売買……じゃねェだろうさ」
「そういう事だ。何にしろ今の事件を解決するのが先決だ。詳しい事は、その後じっくり調べればいいさ」
 と、そこに無言だった『時には花を』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)が。
「うん……ラサはワタシの領地があるし、商売や趣味のお買い物をする時に、物騒な案件がつきまとうと困るねぇ。だから、解決するのに助力させてもらうよ?」
 ぎゅっと拳を握りしめるフラーゴラ。
 その言葉に感化されるように、アルトゥライネルとことはるの二人も。
「そうだな……紅結晶騒動との繋がりを探るのを含め、きっちり同胞を救出して帰るとしよう」
「そうでっすね…拐われてしまった人たちを助けるために、はるも頑張りまっす!」
 強い決意と共に、イレギュラーズ達はラサのマーケットへと赴くのであった。

●命の欠片
「……良し。取りあえずやれる事はやっといた。まぁ幻想種の人達が来てくれるかどうかは解らんないけどな」
 そしてラサのマーケット……街を歩く限り、多数では無いが幻想種の人達の往来はままある状態。
 そんな出歩く幻想種の一般人達に声を掛け、自領で行うセールを話して周り、そちらに来て貰えるように誘導。
 勿論全部が全部来てくれるという訳ではないが、重点的に告知することで、人の流れを多少ではあるが制御に成功。
 そんなサンディの作戦の効果が上手く発揮されるのを待ってから、続いて動き始めるのはフルールとアルトゥライネル。
「……これで、良し……っと。アルトゥライネルさんも、気をつけてくださいね?」
「ああ、勿論……そうだ、この小鳥を預けておくから、何かあればすぐに連絡してくれよ」
「ええ、解りました」
 二人短く会話し、それぞれ別の方向、別の場所に向けて移動。
 残るイレギュラーズ達も二手に別れて、ギリギリ見える位の距離で追跡を開始。
 フルールの方は可憐な少女を演じながら、人気の無い所を歩く。
 一方でアルトゥライネルは、流しの旅芸人を演じ、人を集めて、その前で舞踊るといった具合での囮作戦。
 特にフルールの方は、特に一人で歩いている様に見せる事により、襲撃し易い様に試みるわけで……その背後を追いかける世界とキドー、フラーゴラ。
「……中々暗い場所まで着てしまったな……」
「ああ……最近、この辺りでも愉快事件は起きてるらしい。いつ襲われても仕方ねえ……ってな感じだな」
「うん……不気味な雰囲気……取りあえず、いつでも出られるように……しておかないと」
 三人互いに言葉を掛けつつ、フルールを追跡。
 当然ながら、華蓮な彼女を手籠めにしようと、邪な想いと共に……声を掛けてくる砂漠のゴロツキ連中がいたりする。
 だが、彼等は聞いている徒党を組んでやって来る事は無く、フルールがあしらうと、しゃーねぇなぁ、とか、つれねぇぜぇ、とか言いながら諦めて去って行く。
「……想定はしていたけれども……享楽的で刹那の時を求めるのが多いわね……」
 と、溜息を吐くフルールであった。

 その一方で、アルトゥライネルの側にはことはるとサンディ、武器商人。
 勿論旅芸人を装い踊りを舞うのだから、人気の無い所では余り効果が無い。
 ある程度人の流れがある所で準備を整え、纏めておいた髪を解き、長髪を靡かせる。
 更に、女性的な所作を念頭に置いた踊りを披露し、往来する人々の注目を集めていく。
 そして、そんな人の往来を少し離れた所で観察し、何か変な動きをしている物が居ないかに眼を光らせる。
 ……何カ所かで踊りを披露し、場所を転々として行き……1、2時間程経った所で。
『……良し。後を付けるぞ』
 ほんの僅かではあるが、そんな声がことはるの所に聞こえる。
「ん……皆さん、後をつけるとか言いましたっか?」
 そうことはるが確認する様に問うが、首を振るサンディ。
「いや……そんな事一言も」
「そうでっすか……」
 ことはる、サンディの二人がぐるりと観客達を見渡すと……その声のした方向には、コートを来た男達が数人。
 周りの雑踏の音に掻き消され、その声をはっきりと聞き取ることは出来ないが、アルトゥライネルの踊りに拍手等をする事も無く、じっと見つめて何か会話している。
「取りあえず、要注意だな……アルトゥライネルにも報せておくぜ」
 そうサンディは、アルトゥライネルに合図を送る……それに頷き、ぺこりと一礼し、踊りを終えて荷物を纏め、移動を開始。
 勿論観客達は綺麗だったねー、面白かったー等と言いながらその場から離れていく……先程の数人の集団は、会話を続けるようにして、その場に留まる。
「……今日はこれにて終わりです。ありがとうございました……」
 とアルトゥライネルは小さく呟き、表通りから一本入った裏路地の方へと向かう。
 その動きを追跡するかの如く、先程の集団も……その後を少しの距離を取りながらついていく。
 当然表通りを離れれば、人通りはガクンと下がる。
 更には建物の間をショートカットするが如く進んで行けば、更に人気は少なくなっていく……そして。
『……ヒヒヒ。行くぜ!』
 突然笑いながら、後を追っていた集団が、一気にアルトゥライネルの下へと駆け寄っていく。
「っ……!」
 咄嗟にアルトゥライネルは紫染を口元に巻き付ける……対する彼等は、彼の間近まで迫ると共に、その懐から白い粉の包みを開けて、風に舞わせる。
 ……息を止め、その粉を吸わない様にしながら、軽業の動きで敵の頭を跳躍し、彼等の背後へ。
『逃げんじゃねー!』
 と怒りを含んだ言葉で叫ぶ彼等。
 と、その後ろから、更に数人……更にイレギュラーズ達の後方にも、更に数人。
 狭い路地の両面を封鎖するが如く彼等は現れ、逃げ道を塞ぐ。
「尻尾を出しやがったな! さぁ、アルトゥライネル、こっちだ!」
 とサンディの言葉に頷き、アルトゥライネルは合流、更にその情報をファミリアーを通じ、フルール達に伝える。
 勿論、来る迄に数刻は掛かるだろう……それまでの間は、四人で対抗せざるをえない。
 敵陣は、両面抑えているからか余裕を見せていて。
『ヘッヘッヘ……本当はお前だけで良かったのによぉ。手以降するんじゃしゃーねぇなぁ!』
 コートを脱ぎ去ると共に、その下に装備されていた鎧と武器を掲げ、攻撃を開始する彼等。
 そんな彼等にことはるが。
「人気の無い所で襲うだなんて、卑怯者っすよ!」
 と辛辣に避難しながら火焔の大扇を振るい、敵を纏めて炎に包む。
 更にサンディも、ナイフを空に投げる。
『はぁ、どこ狙ってんだぁ? 少しマトモに狙ってみせ……っ!』
 笑おうとした敵の頭に、投げたナイフが突き刺さり、そのまま前屈みに倒れる敵。
『何……!?』
「ったく、お前達は何故幻想種を狙う? ザントマン事件を模倣してるのか!?」
 サンディの言葉に対し、にへらと笑う彼等。
『ヘッ。てめぇらには関係ねえ! さっさと死にさらせや!』
 回答をせずに、アルトゥライネルだけでなく四人を殺すべく、剣戟を振るう。
 一撃一撃はかなり強烈……更に、接近した際には白い粉を舞わせる事で気絶へと誘う。
 ……しかし動きの素早いアルトゥライネルとサンディには中々決まらない。
 むしろ接近しなければ粉を嗅がせることが出来ない為、カウンター攻撃を喰らい大ダメージを寧ろ喰らう……何て羽目にもなる。
 そして、四人が敵を上手く惹きつけて居る間に、別班だったフルールらも合流。
「お待たせしました。さぁ……幻想種の皆を攫っていった先を吐いて貰いましょう」
『何、てめぇも幻想種か……チッ!』
 舌打ちする彼等。
「全く……何の理由だ? 誰の差し金だ? てめぇらの口から洗いざらい吐いて貰うぜ!」
「ええ……ま、所詮は実行犯。余り詳しく知っているだなんて想いませんが」
『なぁにくそぉ!!』
 キドーと世界のあわせ技の挑発に怒りを口走る敵陣。
 とは言え攻撃方法は単純に近づいて殴る、近づいて粉を嗅がせる……位しか出来ない人攫い実行犯の下っ端達。
 その動きを鋭く見据え、フラーゴラの号令に続きフルールの蒼き焔とキドーの黒き犬やらの妖精団を嗾けて、その体力を一気に削る。
 流石に耐えきれず、そのまま死んでしまう者が多数……だが、一、二体程に狙いを定め、そこには不殺の一撃にて非殺に処していく。
 ……そして、襲撃してきた敵陣を数匹不殺で残し仕留める……そして、彼等が再び目覚めた時には、その手、脚縛られており。
「さぁ……話して貰う……」
「そうだな……喋らないなら、あれと同じ目に逢うだけだ。別にこっちはどっちだっていいんだぜ」
 フラーゴラと世界の言葉……指さすは、死したる者達。
 無論、下っ端である彼等は口を割らないなんて確固たる意思がある筈もなく……彼等のアジトである場所を吐く。
「そうかい……ああ、後もう一つ。この粉は何処で手に入れたんだ?」
 と追加でキドーが問うが、彼等は。
『……知らねえ。俺達は支給されただけだ! 所在なんて知らねえ!!』
 と声を荒げる……まぁ、恐らくはただ貰っただけで、それ以上のことが解らないのは真実なのだろう。
「しゃーねぇな……んじゃ、後はしっかりと罪償っとけ」
 とキドーは言い捨て、そしてイレギュラーズ達は聞き出したアジトへと向かうのであった。

●幻の欠片
 そして、首都ネフェルストから半日ほど。
 砂地に隠されるように、洞窟への入口が開いており……その中から声が聞こえる。
『……あー、あいつら、帰って来ねぇよなぁ……』
『ああ。どっかで油売ってるのかねぇ……』
 彼等が死んだ事等意識しておらず、笑っている彼等。
 ……その洞窟にイレギュラーズ達が入ろうとした所で。
『……ウゥゥウ、ワウウウ!!』
 獰猛な獣達が、洞窟の中から飛びだし噛みついてくる。
 不意を討たれた形にはなり、その噛みつかれたところから血が滲み痛みを覚える。
 ……だが、猛獣たる狼は特殊な能力を持っている訳でも無い……直ぐにフルールが回復、治療を行う事で後に残さない。
 そして獣の鳴き声に慌てて出てきた残存した敵軍勢は数人。
『っ……イレギュラーズかよっ!』
 彼等の強さにすぐに気付き、捕らえている幻想種の元に戻ろうとするのは居るが……キドーとサンディの二人が足止め。
「行かせはしないぜ?」
 ニヤリと笑みを浮かべるサンディ、そして。
「皆……一気に仕留めるよ……」
「了解」
 フラーゴラに頷き、世界が獣と敵陣に嘲笑し、その狙いを一手に引き受けて、逃げれない状態の敵を一匹ずつ確実に死へと至らしめていく。
 勿論、人一人は目的を知るが為に、不殺で殺さずに調整……。
 そして……敵を一通り仕留めると共に、捕らえられている幻想種の元へ。
「大丈夫か……助けに来た」
「もう安心して。さぁ、一緒に帰りましょう?」
 アルトゥライネルとフルールが声を掛け、同じ幻想種である事と共に、安全に帰れるように、護衛に付ける。
 アジトから彼等彼女等を救い出し、避難させた後に……最後に生き残りを取り囲み、尋問。
「……貴方達は、何者? 目的は……? ……幻想種の人達を拉致して……何をしようとしているの……?」
 と、フラーゴラが問い掛けながら、じっとその瞳を見つめ……催眠状態へと持ち込む。
『……し……らねぇ……おれたちは……いらい……を……うけた……だけだ……』
 ぼんやりとした受け答えだが……依頼を受けた、との言葉。
「その依頼主は……誰?」
『……わからねぇ……裏の……ギルドから……依頼……受けた……この薬も……そこから……』
 表だっての仕事を仲介するギルドに対し、隠れた世界の依頼をこなす裏ギルド。
 どこの国にもあるが、その正体は不明……どこか決まった場所もあるという訳でない。
 勿論そこで躱される依頼は人攫いから人殺しまである訳で……その中の依頼の一つ、という訳であろう。
 ただ、それ以上の事は彼の口から零れることは無く……本当に知らない様で、世界もそれを察知。
「……そう。仕方ない」
 と……それ以上の尋問を止めて、彼を警団に突き出し報告する為に、一度ネフェルストに戻るのであった。

成否

成功

MVP

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました。
幻想種の方達だけを攫うと言う彼らの動きは、過去の再来といった感じでとても不気味な存在ですが……少なくとも実行犯達には詳しい情報も伝わっていない様ですね……。

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