PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ヤツラ キャン フライ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●命を賭ける価値ある戦い
 その日、集められたイレギュラーズの前に現れた『博愛声義』垂水 公直(p3n000021)の顔は真っ青になっていた。真っ青と言うか真っ白というか。とにかく顔色が悪かった。
 他方、『無明の明』ドルト・ペオン (p3n000035)はカウンターのそばに縮こまりガタガタ震えていた。
 両者ともに、世界の終わりを見てきたような顔をしている……そこまで酷い依頼が舞い込んだのか、と一同は渋い顔。
「ああ、来たか。今回の依頼は……危険性は無いわけじゃない。場合によっては君達の心身に深い傷を残す非常に危険な依頼だと言って差し支えない」
「嫌であります嫌であります行きたくないのであります」
 公直が説明を始めると同時に、ドルトがうわ言のように言葉を紡ぐ。重篤だ。
「あいつは強制参加なんで無視で。ああ、別に手練じゃなくてもいいんだ。今回の依頼人は『幻想』のとある分野の研究者で、一応は薬品関連のテストの一貫、遠回しな治験……ああ知らない? 薬の効果を人体実験したい、みたいな。安全な環境で試したい、って感じのアレをやるから人を集めてと言われた。……それが数日前。依頼人は無事だけど、状況が大きく変わった」
 さわりだけ聞くと非常に穏やかじゃない。駆け出し冒険者のドルトを同伴させて問題ない依頼なのだろうか? むしろ、呼ばれた者のなかにもそのテの面々はいるだろう。安全性が気になる。
「依頼人は、一応世のため人のためになる薬を研究している。今回も、その効果を観察してまとめてもらうだけの任務だった。だけど、皆には依頼人の自宅兼研究所を制圧してもらいたい。繰り返すが依頼人は無事で家の外にいる。現地についたら早急に家に潜入し、全室の脅威を即座に排除。然る後に消毒作業に入ってもらう」
 潜入、排除、消毒。雲行きが怪しくなってくる。
「排除対象は――、依頼人の研究の成果でメフ・メフィートの総数の8割ほどが集まっている可能性がある。奴らをその家から逃してはならない」
 今、この男は言葉を濁した。確実に濁した。
 問い詰めることは……きっと互いにとって不幸となるだろう。
「幸いなことに、ドアの開けシメなどでは対象は容易に逃げたりはしない。だが旗色が悪くなれば話は別だ。可能な限り早急に片付けてもらいたい。必要な道具などは薬品等を除き多少はこちらで都合しよう。無論、君達が準備してくれることが最上ではある」
 最後に、と言葉を切ると、彼はひとつのスイッチを置いた。
「望ましくないが最終手段だ。これを使用すれば事態は確実に打開できるが君達全員に被害が及ぶ。だが屋外に出てこれを使うことはできない。ボタンの効果範囲が狭いからね。それと――」
 このボタンはそこの新米に任せるから、君達が判断するように。そう言い切った彼とほぼ同時にドルトは逃げようとしたが……公直が彼女の首に巻き付けていた縄のせいで喉が締め上げられたか、蛙の潰れるような声をあげて倒れ込んだのだった。

GMコメント

 にげるなら いまのうちだぞ

●情報確度
 この依頼の情報確度はBです。
 依頼人の言葉に嘘はありませんが、不明点があります。
 また、リプレイに於いてもごく一部の描写に伏せ字や敢えて曖昧な描写が採用される可能性があります。

●達成条件
 ???の殲滅(手段問わず)

●???
 大体の人間が見たことがあるであろう虫の一種。種別名は伏す。
 強いとか弱いとかではなくただ不快なのだが、数の暴力という意味では無数にいるため被弾の可能性は高い。一体一体は弱い。だが数が多い。
 なお、戦場は閉鎖空間である。そのうえで数がとても多い。
 噛まれればダメージも入る。ごくごく稀に毒状態にもなる。だが個別ダメージは1固定である。つまりは倒れるとなると何百回と噛まれるわけだ。
 あとは個別に勘案してもらいたい。結局の所アホほど数が多い。メフ・メフィートの8割だ。意味は理解してもらいたい。

●事前準備や道具の供給
 簡単な掃除用具や石鹸、その他駆除に要する一般的な道具は調達可能です。現代日本の洗濯洗剤のような文明の利器はありません。
 武器は(リプレイ開始時に)一旦回収されますが、代わりに硬い紙で作られたハリセンと布を巻かれた履物が手渡されます。

●最終手段スイッチ
 ドルト(NPC)が預かります。彼女が独断で押すことは鉄の意志よりまずありえません。参加者中半数からの指示があった場合のみ、押されます。
 これが発動した場合、『全員のパンドラが減る可能性があります』。多分使われないと思いますが、心に傷を負う前に使う選択肢も賢いかもしれません。

●戦場(?)
 メフ・メフィート内、とある研究家の自宅兼研究所。
 2階建て6部屋ぐらいあります。

●重要
 この依頼ではパンドラ残量によらない死亡の危険性はありませんが、後に残る精神的負傷に関しては保証いたしかねます。

  • ヤツラ キャン フライ完了
  • GM名三白累
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年09月27日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
パティ・ポップ(p3p001367)
ドブネズミ行進曲
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
村昌 美弥妃(p3p005148)
不運な幸運
イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)
水葬の誘い手
リナリナ(p3p006258)

リプレイ

●ある意味スーパー命知らず
「アレ、アレデスかぁ……片手ぐらいの数ならまだしも……8割はヤバいってやつデスねぇ……」
 『不運な幸運』村昌 美弥妃(p3p005148)は何でこんな依頼を受けてしまったのか、と呆然とした表情で『研究所』を見た。諸々の事情で封じ込めはできているらしいが、それを今から倒さなければならないとなると。やっぱり憂鬱なのは忌避感より数である、数。
「うわぁぁ虫苦手なのになんで……混沌にきてはじめてアレを見た日には恐怖で眠れなかったほどなのに!」
 『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)はそういう虫がとても少ない北の国に住んでいた、という。寒い地域でも部屋が温かいから現れないわけではないんだが。小さいのとか。
 現れないワケではないんだけども、遭遇せずに育っていても珍しくもなく。これから一生分見てしまうと思えば。思わないとやっていけない。
「……あれが数百数千となるとちょいとおっかないですねえ」
 『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)は恐らく、他の仲間よりは慣れている部類なのだろう。そうでなければ客商売なんて、といえばそれまでだが。
 かと言って、頑健さをウリにするイレギュラーズが一斉に集られ倒れるまで襲われる、などということがあれば……正気を保てるかは保証できない。彼女の危惧もだいたいそこだ。
「HAHAHA、名前の出せないヤツらか! 一般的なヒトの感覚からすると仕方のない反応だよネ。依頼だから仕方ないよネ!」
 『水葬の誘い手』イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)の割り切り方は、一同の中でも群を抜いていた。依頼でなければ共生できると言っているようなモノなのだが、きっと彼の言葉は本音。流石にこの量と共生は物理的に無理だろうが、害虫対策などノーガードで行っても驚かない、驚けないレベルではなかろうか。
「み、皆様肝の据わり方がおかしくないでありますか……?!」
「ドルトちゃんだけに大変な思いはさせられないよ! お友達だもん!」
 ドルトの弱々しい声に対し、安心させるように『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は言い聞かせる。彼女も出発前には情報屋に撤退を進言していたが、すげなく断られたので腹を括ったらしい。そのひと幕をドルトが見なかったのは天の慈悲である。そして彼女の装備はジャージだ。賢明。
「ククク……俺は泣く子も黙る吸血鬼、だ。大量のアレ位は恐るるに足らん!」
 『死を呼ぶドクター』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)、吼える。割合シリアス顔なのに言うことがとんでも理論なのだが、本人の中では仮定と結論の間に矛盾はないらしい。すごい。
 手にした袋から『アレ』好みの匂いが漂ってるが、何でか建屋からは黒いのが溢れてこない。すごい。
「おーっ、虫いっぱい。虫地獄発見っ! 退治、退治。リナリナ虫退治するゾッ!」
 『特異運命座標原人』リナリナ(p3p006258)は周囲の引き気味な雰囲気をよそに、今にも飛び出していきそうな勢いを保っていた。尤も、彼女は自己流の戦いの舞で自身を鼓舞しているあたり、いうほど考えなしの猪突猛進というわけでもないらしいが。
「今日手伝ってくれるというのは君達だね? 私が依頼者だ。よろしく頼むよ」
 一同の騒々しさを気にも留めずに歩み寄ってきたのは、白衣姿のいかにも、な初老の男性だった。一同の得物をリヤカーに積むよう促すと、次々とハリセンやら履物やらを渡していく。
「ちょれにちても、どうちて8割もあつめたんでちか?」
 『ドブネズミ行進曲』パティ・ポップ(p3p001367)は依頼主の人好きのする顔を見て、首を傾げながら問う。彼の顔はそこまで、悪人面にはみえない。なにか理由があったのではないか……と。
「いやぁ、それがねえ。部屋中の『奴ら』を引き寄せる毒餌を研究していて、これは傑作だ! というのが完成したんだけれどもねえ。それが実に効果が高かったらしくて、気付いたらこのザマさ!」
 アメリカンな笑いを交えて肩を竦める依頼主に、一同はげんなりとした視線を向けた。研究のための犠牲ならなんでもしそうなタイプだな、と。
「集めちゃったんですかー……8割はやりすぎだと思いますけどねえ」
 利香が呆れるのも無理はない。毒餌はポピュラーな対策だが、どこをどうすればそうなるのか。聞きたいような、そうでないような。
 突入すべく準備を進める仲間達をよそに、パティは大きく息を吸う。さいわい、ここは街中。彼女のギフトも使いようがあろう。
「ちゅー、ちゅー、ちゅうううううううう!!」
 パティの声に応じて、次々と鼠達が集まってくる。側溝といわず家といわず次々と現れるその状況は壮観の一言。彼女は集まった鼠達に建屋へと突入するように指示すると、自らもハリセンの素振りを始めた。……殺虫用の煙幕は、まだ幻想では技術として確立していなかったので手元にはない。

「……なあ、中から聞こえる音が滅茶苦茶物騒じゃないか? なんか、アレが食われてる音よりちょっと湿っぽいんだけどっ?!」
 数秒後、建屋から聞こえてきた物音にチャロロは驚きの声を上げる。特に聴覚を鍛えていない彼ですらこれなのだ。耳の良いパティなら、鼠の鳴き声も含めて何が起きたかを把握していよう。
「オイ、これ」
 レイチェルが冷静な声で、足元に転がってきた白いものを拾い上げる。それは半ばほどまでが欠けた、ドブネズミの大腿骨だ。奴らはパティが呼んだ鼠の群れすら食い散らかし、骨すらこの有様にしたということか。
「これは覚悟が要る相手デスねぇ。無傷で返して貰えるといいんデスけど」
 猫もこれでは無理デスかねぇ、と美弥妃が諦め半分で息を吐く。たかが鼠ではこのザマだが、彼らは選ばれたイレギュラーズだ。遅れは取るまい。多分。

●魂の削れる音
 建屋に入るなり、正面から群がってくる黒い影。真っ直ぐ続く廊下に向け、焔は樽を蹴り込んだ。
「武器は使うなって言われたけど、道具は大丈夫だよね?!」
 言うなり、彼女は樽の後を追いながら立て看板を振り回して突き進む。ぶつかる範囲が広い分、アレを巻き込む数も多いが。その分、飛び散る体液も多い。
 袖口にかかるそれらを無視し、焔はなおも前進していく。
「しかしホントにうじゃうじゃいるネ。洗剤とか探せれば手早く済みそうだけど、もう無くなっちゃってるかナ?」
 イーフォはもしものために持ち込んだ石鹸水を左右に撒きながら、キッチンを探して左右を見渡す。焔が通っていった先には広い部屋があるようだが、水場とは別方向らしい。右を向き、そちらへ向かうことにする。
「ソッチに誰か向かうなら、コッチに集めるゾっ!」
 リナリナはいつの間にか手にしていた肉を叩きつけるようにアレの群れへと投げ込む。手にした瞬間には既に肉めがけて滑空してきた群れがいたため、考える暇がなかったというのが正直なところだが。とにかく、誘導するには十分な効果があったらしい。
「逃しませんよぉ、ここで潰せば暫くは見なくて済みますからねぇ」
 美弥妃はハリセンを横一閃に薙ぎ払い、近付くアレを潰していく。まあ確かに武器を使うなとはいったが、スキルを使うなとは言っていない。普通の家だったらそれだけでも損壊は必至であろうが、幸いにも仲間達が保護結界を張ったことでその心配もなく。
「俺はアレに触りたくねぇ。使わせてもらうぜ」
 レイチェルはハリセンを振り下ろす。が、攻撃のためではなく、魔力を狙った場所へ向ける為の予備動作だ。足元から生み出された魔力は建屋の隙間に入り込み、ソレを一体食い潰す。
 その状況に驚いたように吹き出した黒い群れは彼女目掛けて飛翔するが、チャロロが横合いから石鹸水をぶちまけ、何体か墜落させる。さらには死角から振り下ろされたドルトのハリセンが一体撃ち落とし、ことなきを得た。
「あぶねぇ……助かったぜ。で、どうしたんだそれ?」
「ごめん、聞かないで」
 レイチェルは胸を撫で下ろそうとしたが、石鹸水とアレの体液で背中がマーブル状に染まったチャロロを指さし、問う。本人は話したくなさそうだった。
「一部屋に纏められるんなら、上の階から潰していった方がいいですかねぇ? 石鹸水を撒いても下に落ちるならそれはそれで効果ありそうですし」
 利香が上の階へ続く階段(黒い)を指差し、その場の仲間に問いかける。一瞬だけ躊躇した面々だったが、背に腹は代えられない。一同同意のうえ、上階へと向かうことになった。

「ちゅううう!」
 一方、1階に残ったパティは手当たり次第にハリセンを振るい、薙ぎ払い、次々とアレを撃破していた。鼠達もただで食われたワケではないらしく、微妙にアレの数が少ないようにすら感じた。感じた、だけだが。
「ちょっと気をつけてネ、少しだけそっちに行くかラ」
 イーフォは台所の方から石鹸水を撒きつつ、入り口へ向かって進んでくる。偶然にも進行方向にパティがいたが、不幸な巡り合わせと思う他はない。彼も彼で多少の噛み傷があるようだが、さして痛そうにも見えなかった。無論、毒に冒される様子は全くない。
「食べられないこともないでちけど、帰ればおいちいものがいっぱいあるでちから。ここは手当たり次(ち)第につぶちゅでち」
 パティ、群れて襲いかかってくるアレも気にせずハリセンを振るっていく。気力が瞬く間に減っていくが、殺さねば終わらないので仕方ない。
「リナリナわかったゾッ!」
 1階のアレが半ばほどまで減った時点で、リナリナは唐突に気付いた。この状況がどれだけヤバいのか、ということに。
「この家最初から手遅れ。成虫潰しきっても家中虫の卵だらけ。虫いっぱい産まれる」
 彼女は野生に生きる身なので、そう言う面についての感覚が鋭敏だった。
 げんに、先程潰した雌が撒き散らした卵鞘から、孵化しかけのアレが飛び散ったではないか。すぐに潰したけど。
「もうさ、このお家ごとさ、皆焼き尽くしちゃうっていうのはどうかな? 世界の平和のためならそれぐらい……ふふ、ふふふ」
 焔は奥の間から廊下へ身を乗り出して、暗い笑みを浮かべながらそんなことを宣っていた。部屋ひとつ分のアレを潰したからか、体液でジャージがえらい汚れている。近付くアレをハリセンで撃ち落としつつ左右にぎらついた視線を向けた。
「限界キてるネ。だいぶ減ってるからもう一息頑張ろ……ウ……?」
 イーフォは目を疑った。
 倒した分と同数とまでは言わないが、突如として上階から黒い波がうねりを上げて降りてきたのである。多くの死骸と、それを追う共食い目当てのアレの群れ、そして、その先陣を切って降りてくるのは、どう見ても玉葱である。そんなものを持ち込んだのは1人しかいないが、果たして何が起きたというのか?

●ドキドキ☆蟲ンで屍ック(ちゅんでシック)
 遡って数分前、階段下の面々が2階にあがって間もなくのこと。
 上階に向かった利香、レイチェル、チャロロ、美弥妃そしてドルトの5名は、1階以上の数が狭い範囲に犇めく惨状に一瞬、声を失った。
 反射的にレイチェルが玉葱を袋から取り出そうとして、袋に詰まった玉葱の匂いにアレが敏感に反応した。
 そして、取り落とした玉葱が下に転がっていき……1階の惨状と相成ったのだ。
「悪ぃ、アレは俺が燃やしてくる」
 責任を感じたレイチェルはそれらを追って下階へ向かう。残された面々は、いまだ2/3は残るアレを倒すべく手近な部屋へと入り。
 周囲のアレが一斉に向き直ったのを見て、利香がぴくりと反応し。気付いたら彼女は、魅力的なポーズを取っていた。
「ど、どうしたんデスか利香サン?!」
「えっ」
 美弥妃の叫びに我に返った利香だったが、もう遅い。部屋中のアレが一斉に彼女に群がり、顎を突き立てていく。堅牢な肉体を持つ彼女がちょっとやそっとのことで倒れるワケもないが、逆に言えば、堅牢だからこそ苦しむ時間が延びるのである。
「うわあああああああ取り敢えず石鹸水、石鹸水を浴びせて!」
「こればかりは危険すぎるであります! 潰しまくるでありますからご勘弁を!」
 チャロロは手持ちの石鹸水を桶ごと黒い塊にぶちまけ、ドルトは地面から這い上がろうとする黒い影をふんづけて蹴り飛ばしてハリセンを振り回す。
 黒い塊から断続的に聞こえるうめき声からもそのヤバさが分かる。一瞬たりとも放置できない。次々と潰して殴って吹き飛ばし、石鹸水で剥がれた影を部屋の隅へと掃き貯めていく。共食いのために群がった一部のアレは、纏った石鹸水のせいで窒息死していく。所詮、知恵なき蟲である。
「……う、うぅ……」
 やがて、黒い塊が剥がれた跡から利香がよろよろと現れ。かろうじて運命のちからに身を委ねずに済んだ様子であったが、まあ、なんというかズタボロであった。
 チャロロはその様子を見て、場合が場合であったなら自分が『ああ』なったという事実に薄ら寒いものを感じていた。
 2階の面々はその後、機械的なまでに淡々とアレを追い詰めていくがまあそれはそれで。

 そして、玉葱が転がり落ちた1階はというと。
 アレの体液で滑り落ちるように降りてきたレイチェルが放った爆発術式にリナリナとパティが巻き込まれたがハリセンによるものだったので負傷には至らず。
 イーフォが運良く見つけていた洗剤を撒き散らしてアレを蹴散らし。焔はいろいろ限界を感じる表情で迫るアレを吹き飛ばし。
 体液と石鹸水と洗剤、そして死骸が撒き散らされた建屋内は惨憺たる有様の末、イレギュラーズによって制圧されたのだった。

「そういえば虫の体液って仲間呼ぶらしいデスよぉ?」
「このジャージはもうだめだね……捨てていかないと」
 拭き掃除をしながら美弥妃がぽつりと零した言葉に、焔がジャージをつまんで残念そうにぼやく。視界の端ではイーフォとレイチェルが次々と袋にアレの死骸を詰めて縛り上げる。
「これ死んでるよね? またカサカサ動いたりしないよね?」
「こいつらは動かないけど、卵は別だなァ」
 不安げに袋詰めを手伝うチャロロに、レイチェルは脅すでもなく恐ろしいことを言ってのける。彼女は部屋の隅にハリセンを突っ込むと乱雑にふるい、体液のついたそれを引き抜く。どうやら、隠れ潜んだ卵を潰しているようだ。アレにまみれた建屋内で卵をみつけるとなると、匂いのヤバさでパティの嗅覚は上手く働かないし、頼れるのはレイチェルしかいないのだ。彼女にとっては不幸なことであるが。
「これで暫くアレと顔を合わせなくてすむなら……いいです……」
 利香はどこか遠くを見るような目で、淡々と丁寧に掃除をこなしていた。彼女とリナリナは当面、アレと引き合わせてはいけない気がする。

成否

成功

MVP

リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王

状態異常

なし

あとがき

 最終手段は使われずに済みました。お疲れ様でした。
 ……いやぁ酷かった。あの状況に猫が入っていったらどうなるのかとねこ好きの私はゾッとします。マジで。
 MVPは、まあ、そうですね! 言うまでもありませんね! 当面は見ないと思うのでお大事にどうぞ!

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