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シナリオ詳細

<昏き紅血晶>移動する紅き執着

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●紅き執着は何処へ
 ラサのネフェルスト。この町では今、とある宝石が大人気であった。
 そう、それは「紅血晶」と呼ばれる宝石である。
 それが何処で産出される物であるかは分からないが、最初に市場へ持ち込んだ旅人は『地下より発掘した』と告げたらしい。
 この宝石は非常に美しく人気が高い。だが、流通量が絞られているのか手に入れるのも難しく、躍起になって商人達は取り合っている。
 動乱の火が燻っている幻想の貴族達も商人に依頼をし、恋人へのプロポーズやプレゼントとしても使われるそうだ。
 だが、その「紅血晶」には不吉な噂が付き纏う――その宝石を手にした者が化け物になり果てる……というのだ。
 鉄帝に対して人道的支援を行なうファレン・アル・パレスト(p3n000188)にとって、それは頭痛の種ではあったが……下々の者にとっては、しったことではない。
 だから今日も、紅血晶は取引される。
「毎度どうも。旦那、運が良かったね」
「ああ。しかしこの輝き……フフフ、素晴らしいな。これが俺のもの……」
「おや、恋人への贈り物だったんでは?」
「ん? あ、ああ。そうだな。ああ」
 運よくそれを手に入れた男は、大切そうにそれを懐にしまって歩き出す。
 これをあげる? 他人に? そんなことを考え上の空で歩き……すぐに自らの不運に気付く。
「な、ない! 俺の紅血晶が!」
 すられた。しかしいつの間に。先程ぶつかった子供? それとも通り過ぎて行った男?
 分からない。分からないが……必死で相手を探す。探しても、見つからない。
 それをすった相手は、もう遠くの路地裏だ。
「宝石……ルビー? 違うな。もっと高ぇやつだ。これさえあれば」
 いや、そんなのはダメだ。これは、この宝石は。
「僕のだ。これは、僕の」
「お、いいもの持ってんじゃねえか」
 そうして、紅き執着は移動していく。その、果ては。

●紅血晶を見つけ出せ
「紅血晶……それってラサで出回ってるっていう赤い宝石だよね」
「そうです。それと同時に、ロクでもない代物でもあるです」
『特異運命座標』セシル・アーネット(p3p010940)に 【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)はそう頷いた。
 紅血晶。
 熟れた紅玉かと思いきや柘榴のような美しさに、宵闇のような光をも湛えた美しい宝石。
 余りにお美しさに魅了される者が多く居ます。『魔性の宝石』や『魔石』と揶揄されることも多いようだ。
 手にした者は徐々に姿を変え、キマイラのように姿を変容させてしまう宝石でもあり……しかしそれは人々の間ではまだ「噂」の域を出ていない。
 元々怪しいものに怖い「いわれ」は付き物であり、そんなものを恐れていては多くの場合ラサでは生き残れない。
 だからこそ、今回の事件も起こったのだろう。
「ラサのとある犯罪組織で刃傷沙汰が発生したです。下っ端構成員が上役を傷つけて逃亡……まあ、よくある話です。そこに紅血晶が関わってさえいなければ」
 逃げ出した男の名はカーキ。
 オレンジ色の逆毛が特徴的な男だが、そんなたいそれたことをするような男ではなかったという。
 しかし現実として事件は起き……組織はカーキを追っている。
「悪人同士の潰し合いではあるですが……紅血晶が関わっている以上、介入しないわけにはいかないです」
 まずは紅血晶と連中を引き離す。
 当然その過程で色々と起こるだろうが……それも含めて、今回の仕事の範疇、ということなのだ。

GMコメント

罪悪感とか後ろめたさとか後味とか、そういうのを感じなくて済むタイプの紅血晶です。
はい、というわけでカーキをぶちのめして犯罪組織もぶちのめしましょう。
紅血晶は壊れてしまっても構いません。

●カーキのいそうな場所
・スラム
ネフェルストの闇の部分。善なるスラムではなく悪なるスラムなのでスレスレの奴がいっぱい。
・表通り
犯罪組織も光のある場所では蹴散らされるのみ。面子の問題とどう天秤にかけているのか?
・裏通り
怪しい店に暗い路地。身を隠すには基本です。

●敵一覧
・『晶獣(キレスファルゥ)』カーキ
ラサではよくいるタイプのチンピラ。
紅血晶を持っており、徐々に変化していきます。最初は腕や脚などが異形に転じて行くようです。変化した箇所は元に戻りません。
(部位だけの場合は早い段階で紅血晶を手放せばそれだけで変化が止まります)
どうしようもないほどに紅血晶に魅入られているため手放すことが出来ません。
左腕が赤い鞭のような触手になっており、自分の周囲に瞬時のうちに強烈な範囲攻撃を繰り出します。
その他、触手が赤い光を纏い近~中距離の直線状に鞭打攻撃する「赤光鞭」を使用します。

●犯罪組織のチンピラ×20
カーキを追うチンピラ。紅血晶にも興味を示しているので、どのみち戦闘になるでしょう。
色んな武器で武装しています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <昏き紅血晶>移動する紅き執着完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年02月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す
メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
狙われた想い
浮舟 帳(p3p010344)
今を写す撮影者
セシル・アーネット(p3p010940)
雪花の星剣

リプレイ

●紅血晶を探して
「紅血晶絡みの事件か、最近多いんだよな。怪しい噂があるんだから恐れずとも多少は警戒をして欲しいもんだが……まあ、怪物になるなんて荒唐無稽な内容じゃ無理もないか」
「厄介なもんだ。化け物になるって事を知らせても、いざ紅血晶を手にしたら魅入られちまう。ならいたずらに混乱を広げねえように水面下で集収をつけるしかねえ。どこの誰だか知らねえが、広めてるやつをぶちのめさねえとな」
 『陰性』回言 世界(p3p007315)の『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)の言葉がネフェルストの裏通りに響く。
 ラサの、それもネフェルストという場所にあって……いや、そういう場所だからこそ感じる薄暗い湿気のような感覚。
 それはルカにとっても世界にとっても、決して違和感を感じるものではない。こういう場所だからこそ感じる独特の空気感はネフェルストのような大きな場所でこそ濃くなるということを知っているからだ。
 しかしながら2人は此処に同化しに来たわけでもなければ、此処を浄化しに来たわけでもない。
 狙いはルカが言ったように紅血石。人を化け物に変えるという、ロクでもない宝石が目当てである。
「さてカーキを探すために3班に分かれたわけだが……俺たちの担当は裏通りだ。ルカはラサには詳しいだろうし頼りにさせてもらおう」
「ああ、任せてくれ。こういうものもある」
 ルカはアルパレストの紹介状を取り出すが、ラサの大商人アルパレスト家の紹介状ともなれば無下にする者は裏通りにだってそうはいない。
「一応俺もコネクションがあるので、知ってる店の商人でもいたらカーキを知らないか聞いてみるか。あとは人手を増やすか。人海戦術は大体いつでも有効だ」
 簡易式召喚陣を使って精霊を召喚して捜索に回す世界だが、その手は確かに有効だろう。
 散らばっていく世界の精霊たちを見送ると、ルカは「よし、始めるか」と声をあげる。
 まずは、裏通りの中でもそれなりに顔の効きそうな店を探す。
 これは非常に大事なことで、裏通りにも独自のルールや上下関係、つながりがある。
 下っ端をどれだけ持ち上げたり脅してみたところで、適切な相手でなければ必要な情報は出てこない。
 金を使うのももちろん手だ。金は潤滑剤、錆びた道具に油をさしたような効果があることだろう。
 しかし、ルカはそうではない「真っ当」な方法を知っている。
「よう、ここらの顔役はアンタだな? ちょっと聞きたいことがある」
「アンタ、ラサの出身だな? でなきゃ儂にいきなり声をかけようとは思わねえ」
「俺もラサの傭兵だ。アンタらみてぇのと付き合っていくやり方を知ってるって訳だ」
 どう見てもガラクタ売りの老人に声をかけたルカだが、どうやら「当たり」を選んでいたようだった。
 勿論アルパレストの紹介状も効果を発揮しているだろうが……ルカの「目」も確かだというわけだ。
「俺の傭兵団、クラブ・ガンビーノは傭兵だけじゃなく、いわゆる軽いものも含めた性風俗の店もやってる。ちっとばかし後ろ暗い商品を扱ってるからって悪いようにはしねえよ」
「……ハッ、こっちに片足突っ込んでるってわけかい。で、何が聞きたい」
「カーキってやつを探してる。オレンジ色の逆毛の男だ。知ってるか? 知らなくても情報があるなら買うぜ。アンタらの仲間にもクラブ・ガンビーノのルカが探してるって伝えてくれ」
 金じゃなくて何らかの口利きが必要ならそれでも構わねえ、と付け加えるルカに世界は「流石だな……」と呟き、老人も口笛を吹く。
「いいね。話が早くて的確だ……答えよう。この裏通りにその男はいられなかった。ただ、奴を探してるチンピラの一部はまだこの辺りをウロウロしてる。どいつか教えとくから、邪魔ならシメときな」
「良いサービスだ。感謝するぜ」
 ルカと世界は頷きあうと、教えられたチンピラの肩を叩く。先手必勝。それは全ての基本だ……!
 そして、そんなルカたちとは全く正反対の場所……表通りを『桜舞の暉剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)たちは歩いていた。
 『特異運命座標』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)と『特異運命座標』セシル・アーネット(p3p010940)も一緒だが、このネフェルストの表通りは明るく、そしてマトモな人間の多く出歩く場所だ。
「綺麗な紅い宝石がラサにあるって聞いてきたから、すっごく楽しみにしてたんだけど何だか怪しい雰囲気だねぇ!」
「赤い綺麗な宝石! いい響きねぇ! いいわぁ、欲しいわぁ! キラキラだもの!」
「早くカーキを見つけないと! それにしても紅血晶を持ってたら怪物になっちゃうの? 何だか怖いなぁ」
 メリーノとセシルがそう言い合うが、実際「化け物になってしまう」という噂……事実だが、とにかくそういう噂を無視すれば紅血晶は素晴らしい宝石であるのは事実だろう。
「あまり褒められた生き方をしている人達ではないようだけれど、だからといって自業自得……というのは流石に情が無いかな。それにしても紅血晶……恐ろしい威力だね、これを野放しにしてもおけない。早く対処してしまわないとね」
 ヴェルグリーズの言う通り、今回の目標であるカーキにせよ、それを追う犯罪組織のチンピラにせよロクデナシのサンプルみたいな連中ではある。だが、だからといって自業自得で済ませてしまうのは情がない……かもしれない。
 ただ、どの道同情の余地もない連中であるのは確かだ。カーキがどうなるにせよ、紅血晶はどうにかしなければならないだろう。
「さて、具体的にどうするか……オレンジ色の逆毛の男を見なかったか、聞いて回る感じになるだろうか。俺はあまり町の裏側には詳しくないからおとなしく聞き込みをしていようかな?」
「わざと騒ぎ目に、探してるよーと陽動しながら進むのもいいかもしれないわねぇ」
 ヴェルグリーズにメリーノはそう言って……「カーキちゃああああん!」と声をあげる。
「分かりました! なら僕も!」
 セシルもトナカイのマーシーと共に機動力を活かして走り回る。
「こっちには何も無いみたいです! あっちはどうかな? 行こう、マーシー!」
 そうして走り回るセシルとメリーノだが……メリーノにはしっかりした考えがあった。
「でも多分表通りにはあんまりいなそうな気がするの 表通り側に逃げてこられないように、こっちにもイレギュラーズがいるぞっていう脅しが目的かな。表通りの方に逃げてきたら多分、巻き込んじゃいけない住民たちを巻き込むからね」
「ああ、いい考えだと思う。それに……」
「おい! カーキの野郎を探してるってのはお前らかげふう!?」
「こういうチンピラが絡んできやすいから、情報を吐かせられるしね」
「そうね。チンピラちゃんたちにあの赤い石、あげるのは癪だもの。遠慮なくぶん殴っちゃう」
 明るく楽しく物騒な3人組だが……何人かのチンピラが釣れたので、実に素晴らしい釣り作戦であったとは言えるだろう。

●紅き執着の果てに
「紅血晶か……どう考えても普通の宝石じゃないな。悪人同士の潰し合いであっても、このままでは真っ当に生きてる人にまで被害が及ぶ。一刻も早く止めねばならない!」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)の言葉通り、これは裏の者たちの潰し合いでは終わらない話だ。
「紅血晶ねぇ、綺麗なモノらしいし一度ぐらい見てみたいけど、こういう状況だと見てる暇もないのが残念だよね。それに悪い人だとしても放置して完全な化け物にするのは目覚めが悪いもんね。早く見つけて憲兵さんとかに引き渡そう」
 『今を写す撮影者』浮舟 帳(p3p010344)の言っている通りではあるし、カーキの持っている紅血晶も奪ったものであるし……なんなら、叩けば埃が山のように出てくるかもしれない。今後のことを考えても官憲に引き渡すというのは、正しい選択であるように思えた。
「あん? ユノじゃねぇか。そうだ、オマエさん、この辺り縄張りにしている連中の情報しらねぇか?」
 そしてスラムに入る前に、『探す月影』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)は知人のユノ・シンティ・ロマを見つけて情報を仕入れていた。
「情報料? ったく、がめついのは変わんねぇな。ま、金出す情報だからこそ信頼もできんだがよ」
「そうよ。対価なき情報は当然信頼度はそれなり。ま、今更な話よね」
「あぁそれと、わかってっと思うが、オマエも紅結晶には手を出すなよ」
 ヒラヒラと手を振るユノにそう言い含め、ルナは目的としている情報を得る。
 今から入ろうとしている場所場表通りとも裏通りとも違う場所、スラム。法を無視しているようで、しかし確実にネフェルストの法に……ただし独自の法の中にある者たちの集う場所だ。
 当然、それなりの準備がいるものであり……だからこそルナは確かな情報を求めたのだ。
「ま、ラサらしいっちゃらしい状況だぁな。弱肉強食。私欲のままに。だがまぁ、そいつをコントロールできねぇ奴ぁ、よほどの力でもなきゃ大成しねぇのもこの国だろ。情報にも疎い。自分を過信している。あるいは性根が弱ぇ。どれをとっても、身に余るもんに手を伸ばしちまった連中に先はねぇよ」
 そう、だからこそルナはこの場所にいる。スラムほどラサの「語られぬ裏」を明確に語るものはなく、裏通りにすらない光景がそこにはある。だからこそ、ということでもあるのだが。
「じゃあ、スラムでカーキが居ないか探そう!」
 帳は、とりあえず目に付いた人か近くにいる者相手に油断させてから魔眼で催眠していく。
 勿論失敗すれば危険だが、出来そうな相手を見極めているので問題は基本的にはない。
「オレンジの髪した悪そうな人を見てない? カーキっていうらしいんだけど」
「いや、知らねえ……」
 勿論、催眠にかけられる人物から手に入る情報はそれなり程度だが、嘘はつかない。
 そうした情報の確度を上げていくため、イズマも広域俯瞰で周囲を把握しながら超聴』で騒ぎや噂話を聞いて捜そうとしていた。
「オレンジの逆毛の男を見なかったか? 身体の一部におかしい様子があるかもしれない。あるいは紅い宝石を見た人はいないか?」
「知らねえなあ」
 協力しないなら少々強引な手段を使うのも辞さないつもりのイズマではあるが、その手段を多様すればスラム全体が敵になるかもしれない。それでも勝てるかもしれないが、大騒動になればカーキが逃げ出す可能性もある。
 それは少し……いや、かなり問題のあることではあった。
 だからこそ、聞き込みの「ここぞという時」には『リーディング』を併用して本当の情報を読み取るつもりだが、リーディングを受けた相手が必ずそれに気付く以上は、使うタイミングを厳選しなければならない。
 強引な手段はそれだけしっぺ返しがくる。だからこそルナはその辺りを上手くコントロールしようとしていく。
(ラサ出身ラサ育ちの獣種。もとより成人前からこのラサを一人で生きてきた身。ラサの表も裏も知っている。その上で部族の名を汚さぬよう、あるいは個人的な価値観で裏の道に深くは踏み込まなかったが)
 此処はまさに裏の中の裏。どうしようもなく薄暗い、そんな場所だ。
(言うてルカなんかもこの国で修羅場くぐってんだろうが、ま、その他の連中よかは俺の方がこの国のスラムみてぇなとこにも慣れてんだろ)
 そう、だからこそルナはこのスラムに来ていた。
(イズマ、帳も……あいつら二人で絡まれてもなんとかなんだろ。もし絡まれりゃ、チンピラなら漁夫の利狙って集まってくる。離れようとする奴ぁ、後ろめたい何かがある奴だ)
 2人から離れた場所で見ていれば、早速チンピラが絡んできてぶっ飛ばされている。
 とはいえ、この場所ではそれも危険度を高めるものだが……。
「お?」
 騒ぎの中、何処かへ消えていく……情報にピッタリ合う後ろ姿。その正体を看破し、ルナは笑う。
「なるほどねえ。ガチの飛行種以外に、足で撒かれるつもりはねぇ」
 イズマと帳に合図を出すと、ルナはそれを追いかけて。
「ああ、見つけたぜ」
 すでにイズマのファミリアーを通じて全員に連絡はしている。スラムの路地へと追い詰めて、ルナはその男……カーキを見る。
 マントで隠したその姿には……妙な盛り上がりが見えている。
「その宝石を手放せ! 人でなくなる前に、今すぐ!」
「そうだよ! それは危険なんだよ!」
 イズマと帳の説得に、カーキは聞く耳をもっていない。
「俺の石を狙おうってんだな……許さねえぜ」
 カーキの赤い鞭のような触手になっている。明らかに人間ではない部位だが、そうやって変化したということなのだろう。
「ひとまずその部分は切除だな」
「やれるもんなら……!」
「ああ。口で言っておとなしく手放すわけもないだろうし……やらせてもらう」
 そこにヴェルグリーズたちが現れ、早速一撃を加えていく。
「ぐお……!?」
「命を守ってやる義理はねえが、怪物になるのを見過ごすのも目覚めが悪ぃからな。ちっとばかし痛い目にはあうだろうが、命には代えられねえと我慢してくれよな」
 ルカと世界も現れ、全員揃った以上……まだ大部分が人間のままのカーキが対抗できるはずもない。
 カーキを倒し……割れて落ちた紅血晶を見ながら、セシルとメリーノが興味深そうにしていた。
「幼馴染みのディランに持って帰ったら喜ぶかな? でも、ディランが怪物になったら嫌だからちゃんと回収してもらおう」
「これ、かけら、もらってもいいかしらぁ?」
「いや、危険だ。やめておいたほうがいいだろう」
 イズマは欠片を拾い中の見えない袋に入れておく。
 カーキの変化した部位も調べたいところだったが……すでに消えてしまっている。
「しかしこれ、俺達も所持し続けたら怪物になっちまう……なんてことないよな? まだ人間を辞める気は無いんだ」
「どうかな。しかし、ここまで人を引き付けるものとは……宝石というより麻薬やその類みたいだね。明らかに異常事態と呼べる状況だ、何とか収集が付けばいいけれど……」
 世界にヴェルグリーズもそう返すが……本当に危険な代物だ。
「まあ、ぶっ壊れてるからな。自分が持ち歩いて正気を失う可能性もあるし、研究や調査には十分な量がもう集まってそうだしな……粉になるまで砕いとくか?」
 ルカは言いながら、呻いているカーキへと声をかける。
 どうやら正気を取り戻したらしいし、行く所あるのか聞いてみたのだ。どのみち、もう元の組織には戻れまい。
「俺の団にも脛に傷を持ってるやつなんざゴマンといる。今更新顔が1人増えたところで気にはしねえよ」
「その新顔がちっとばかし個性的な見た目してても気にはしねえよ。ま、傭兵団だからその後の命の保証は出来ねえけどな。それでも良いなら来な」
 カーキは軽く舌打ちしていたが、結局ルカへと同意する。
 それもまた、ラサの乾いた風の如く。何処へ吹いていくかも分からぬ、そんな生き様の1つなのだ。

成否

成功

MVP

ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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