シナリオ詳細
人を喰らうシャークくん
オープニング
●人を喰らうシャークくん
シレンツィオ・リゾートの一部にブームが巻き起こっていた――
それがジンベエザメの一種をモデルにして作られた『シャークくん』人形だ。
なんとも愛らしく可愛らしい造型だと巷で大人気。
何匹も買って、練達なんぞでは写真を挙げる者もいる程――
な、だけならよかったのだが。
「実はですね……奇妙な噂が流れておりまして。夜な夜なシャークくんが動いて、街に出向き人を喰らうというのです。喰らわれた人はシャークくんと一体化してしまうとか……」
「はははそんなまさかぁ」
シャークくん人形を発売している系列店で、イレギュラーズは依頼の説明を受けていた。
そう。店主が述べた様に、シャークくん達が『動いている』疑惑があるのだという。
……そんな筈はないよね? とイレギュラーズの一人がシャーク君に触ってみれば、普通の人形だ。動く気配など欠片もありはしないし生命の息吹も感じない。これが夜な夜な動くだって……?
「まぁデマならデマでいいのですが、怖がってシャークくんを買わないなんて事になったら困るのです。ブームは燃えるのも早ければ冷えるのも早い……! 今シャークくん達を積極的に推していかないといけない時期なんです! 商売的に!」
「はあ。まぁ、つまりシャークくんの噂がホントかどうか確かめてほしい、と」
もしかしたら何かがしかの影響で本当に動いている可能性もゼロではない。故に営業終了後より明日の朝までシャークくん達を見張るのがイレギュラーズに寄せられた依頼である。大量の人形に囲まれた地で一晩中過ごすのか……
――まぁそんなこんなで夜まで至る。
すっかり暗くなった店内。お客さんは当然として、店員も全員帰宅済みだ。
本当にここでシャークくんが動くのか――? そんな疑問を抱いていれ、ば。
「……んっ? なんだ、今なにか音が」
早速だ。倉庫の方から何か気配が生じた。
恐る恐る見に行ってみるものの……其処には大量のシャークくん在庫だけ。
ははは。やはり可愛らしい人形があるだけではないか――と、思ったその瞬間。
「ぎゃああああ!? 噛みついてきた――!!?」
「やばい、やばいぞ! なんか群れを成してくるぞ――! 逃げろ――!!」
案の定シャークくんが動き出した! イレギュラーズの腕に噛みついてくる――!
ぎゃー! ぐあー! 一気に阿鼻叫喚。一体なんなんだこれは。どうして!? 恐らくこれは魔物の仕業か、それともシャークくんを夜にだけ変貌させる謎のアーティファクトでもこの店にあるのか――
いずれにしてもシャークくんの大群に扉を破られそうだ!
一刻も早く逃げねば――しかし。
おかしい。どこまで走っても店の外が見えないぞ……?
「なんだ? この通路、こんなに長かったか!? どうなってる!!?」
何か、おかしい! 怪奇現象に巻き込まれている……!?
動くシャークくん。どこまでも続く店舗――
なんだこれは。何の恐怖だというのだ! 希望はないのか――!?
と、その時。
「皆、こっちだよ! さぁ早くこの『シャークくん着ぐるみ』を着用するんだ!
そうしたらシャークくん達の仲間だと一時的に誤認されるよ――!」
何故か通風孔から勢いよく部屋に飛び出してきたのはリコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)であった! 彼女が手にしているのはシャークくんそっくりの……着ぐるみ!?
「あ、でも結構体格が大きい人は無理かも! そこは自己責任でなんとかしてね! 無理に着ぐるみ着ようとしたら多分パッツンパッツンになるか、ブチィ! ってはじけ飛んじゃうかも!」
「そんなー!」
「オイ、そこのサメバカ! 何か仕込むなら早くしろー! もう扉が破られるぞ!」
同時。キレ気味の様子を見せながらリコリスに言を紡いだのは『人喰い兎』ビンセントだ――リコリスの監督者たる彼も偶然この店のシステムに組み込まれてしまったのか、逃げれないらしい。あ、あと体格がいいので着ぐるみ着用してないです。くそう!
――ともあれ、こうなってはやむを得ない。
暴走するシャークくん達に喰われる訳にはいかないのだ!
朝までなんとか耐え忍ぶか、シャークくん達を全滅させるか、或いは謎の無限空間と化してしまっている店内を駆け巡り外への活路をなんとか探してみるか……!
いずれにせよ生き残るんだ、イレギュラーズ!!
- 人を喰らうシャークくん完了
- GM名茶零四
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2023年02月10日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「ひんひん……昼間は普通のお土産屋さんなのに、夜になると怪奇現象が起きるなんて怖いのです。でも! こういうハプニングにはエンヴィねーさまはなれっこな筈なのです! そうですよね、エンヴィねーさ……あれれ?」
「ふふ。メイさん――諦めましょうね」
「エンヴィねーさま!!?」
開始十秒。『ひだまりのまもりびと』メイ(p3p010703)が視線を向けた先にいた『サメちゃんの好物』エンヴィ=グレノール(p3p000051)は――既にもう目と称号が死んでた。だってサメよ? 可愛く見えてもサメよ?
「サメにはね勝てないのよ……ふふ……」
「ねーさま、だいじょぶ? 着ぐるみ着て、おちつきましょう……はっ! エンヴィねーさま。メイたちのこの格好、すでに食べられちゃってるみたいです!」
「……えぇ、そうね……考えてみたら、シャーク君もぬいぐるみなのだから、状況的には似たような物になる……のかしら? これ、いきなりシャーク君化して一気に食べられるとか……ないわよね?」
なんぞやのトラウマか。エンヴィの絶望は深まっている……うう。サメちゃんの想い出……でもメイの声により、なんとか戦意を取り戻せば着ぐるみ着用だ――これ確かにまるまる食べられて頭だけ見えてる状態っぽいよね。でも可愛いからいっか!
「……私188あるんだけど、小柄ということにはならないかな。案外イケるんじゃないかな。そう、人に必要なのはチャレンジ精神だと思――あっ無理か。無理だね知っていたとも。着ぐるみが破けそうな音で気付いた訳じゃないよ。ああ決して」
「フフ! オシショウ ノ タメニ 着グルミ サガシテクルネ!( ‘ᾥ’ )」
「リコリスさんありがとう――可愛い恰好だね。
しかしどこかいつもと雰囲気が違う気もするのだけど気のせいかな?」
「キノセイ ( ‘ᾥ’ ) ダヨ!」
「そっかぁ。リコリスさんがそう言うなら、やっぱり気のせいだね」
同時。メイらとは異なりサイズ的に厳しかったのは『赤頭巾の為に』リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)だ! しかし愛弟子たる『狩ったら喰らう』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)は既に着ぐるみIN。ふふ。リコリスさんは偉いね可愛いね……でもうーん、やっぱり何か違う様な。
そう、よく観察すれば気付いたかもしれない……
既にリコリスの精神は半分ぐらいシャーク君に侵食されてることに!!
リコリスの精神は今やや暴走しているという事である! いつ彼女が裏切る事か……え、暴走はいつもの事? うるしゃい!( ‘ᾥ’ ) ともあれ――そうしている内にシャークくんが扉を破りそうだ!
「くっ、着ぐるみを着用できる人は急ぎましょう!
……でもなんかすごく怪しくないですこれ? ホントに安全性が?」
「しかしリコリスさんの言う事です! 間違いないでしょう――! 勿論着させて頂きます! それを着ればシャーク君からは襲われないだなんて凄いモノもあったものです!!」
故に『瀉血する灼血の魔女』ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)に『紫苑忠狼』那須 与一(p3p003103)も着ぐるみに手を伸ばす。与一は信じている……( ‘ᾥ’ )顔のリコリスを……! 故に迷わず装着するのだ! あ~あ( ‘ᾥ’ )
――直後。扉が破られ雪崩れ込んでくるシャーク君たち。然らば。
「し、しゃ~く! しゃ~~~~く!」
同様に着ぐるみ着用済みの『人魔の間で揺れる魂』Lily Aileen Lane(p3p002187)は――匍匐ポーズで少し体を浮かしながら、必死にシャークの擬態を行わんとしていた! 鮫っぽい動きをしながらクネクネ。頼む。シャーク君、見逃してくれ――!
――する、と。シャーク君たちが襲ってこない。
やはり仲間だと誤解しているが故か――更に、もう一つ理由があったとすれば。
「さめなんてモノがいわしを超えてるつもりですか――? 舐められたモノですね」
それは『海軍士官候補生』アンジュ・サルディーネ(p3p006960)が鮫達の注意を引き付けんと着ぐるみを着ずに立ち回っていた事も、そうだろう。そもそもアンジュにとっては不満なのだ、このお土産屋。なんでいわしのぬいぐるみとか人形を売ってない――?
いわしだけで十分でしょうが世界は――まぁいい……
「本来愛されるべき存在が、愛されなくなる瞬間は辛いから」
その感覚だけはサメといわしの違いはあれど分かるからと。
彼女は引き付けるものだ。多くのシャーク君達を――!
「さぁ皆行くんだ! ここは任せてくれ! なぁに最悪の場合でもワイバーン君と共に朝まで駆ければどうとでもなるとも。予防接種の時に頑張ったからね――ワイバーン君?」
「こんな狭い施設+長時間は流石に無茶させてやるなって!
顔がなんとなし( ‘ᾥ’ )になってるじゃねーか!!」
更にはリーディアも最早時無しと、自らに懐くワイバーンと共に脱出を試みるものだ。
でも飛べる? 大丈夫? 超視力で着ぐるみを探しながら、店の商品を壊さないようにスピードは控えめで、シャークくん達が届かない位置を飛行するようにねって、かなりの無茶振りじゃない? ビンセント君が言ってるようにワイバーン君なんだか渋い( ‘ᾥ’ )顔してる気がするよ?
ま、とにかく脱出しようか――急げー!
●
アンジュとリーディアの下へ雪崩れ込んでいくシャーク君達。
どちらも引き付けながらなんとか躱し彼方へと導かんとするか――
「数は多いようですが、いわしではないさめなど有象無象。やり様はあるものです」
同時。アンジュはサメ達を相手に奮戦するものだ。
露払いの一撃がサメ達を吹き飛ばす――やはり中身は人形であるが故か、左程の性能はない。吹けば飛ぶ程度の有象無象……動きを止めれば神秘の泥ならぬ、いわしの泥をもってして流すものだ――
着ぐるみを着た皆さんが解決法を見つけてくれると信じて、サメの猛攻を防ぐ!
どこまで時を稼げるか。分からないが他のメンバーは脱出だ~!
「しゃーく!」
「しゃ、しゃーく……」
そんな中、我々は仲間ですよアピールするメイとエンヴィ。
周りにはシャーク君が沢山いる――気付かれたら終わりだ――!
でもこの着ぐるみ性能高いのか気付かれてない。良かったのです!
「何とかなりそうですね、エンヴィねーさま! でもこのぬいぐるみあったかくてメイは眠くなってきたですよ……ぽかぽかねむ……うみゅう……」
「あら、メイさん……ダメよ。こんな所で寝たら、流石にバレちゃいそうだわ……何とか、メイさんを抱えて飛べれば良いのだけど……ほら、もうちょっと頑張りましょ? ね?」
うとうとすやぴよ……ホッと一息ついてしまった反動か、メイは眠そうだ。彼女に宿りしギフトの祝福が故か、いつの間にか集まって来た猫さん達が着ぐるみの中に入ってくる……あっ。あったかいのです。ダメなのです。もうスヤァしちゃうのです……
もう完全にお眠モードのメイを引っ張るエンヴィ。
とりあえず周囲を警戒しながらサメ達がいない場所はないかと探して……っと、その時。
「……う……!? なんだ、これは……しゃーっく!! しゃしゃしゃーくぅ!!」
なんか変な声が聞こえた! ――い、今の声は与一か!?
「ぴゃああああ!!? い、いまどっかからか悲鳴あがったですよ!!
いや今のは悲鳴!? 悲鳴ですよね、エンヴィおねーさま!!?」
「!? ……誰か見つかったのかしら……私達も、出口を探して移動しましょう……それにしても一体なにが……あっ。猫さん出ちゃダメよ。着ぐるみのポケットに入っててね」
猫の様に飛び跳ね起きるメイ! 何があったのかと廊下の角からエンヴィは除け――ば。
「しゃあああく……しゃあああああく! おまえもしゃーくくんにならないか?」
たべます! おなかすきました!
たべますたべますたべますたべますたべますたべま――
あ、ダメだ! 与一の眼がシャークくんになってる! 乗っ取られてるぞアレ――! 何があったのか。与一の急変には偶々近くを通っていたLilyも気付いて。
「う、うわあああ! い、一体何がどうして……!
はぁはぁ、皆となんとかして合流を……んっ? あれは、リコリスさん……だよね……?」
サメちゃんぬいぐるみ着ながらパタパタと走るLily。
さすれば眼前。リコリスがいたので話しかけようとした……のだが!
「ぇ……、ぁれ? なんで脱げない、のです……!?」
「フフ 始マッタ ネ! オレサマ シャーク クウ……( ‘ᾥ’ )
オマエ ウマソウ クウ……( ‘ᾥ’ ) コノ世ハ 焼肉定食……!( ‘ᾥ’ )
オレサマ 焼肉食ベ放題 好キ!!( ‘ᾥ’ )」
「ぴ、ぴええ~!! リコリスさん、うわ、伸し掛かってくる~~!」
「いっただっきまあぁぁぁ〜〜〜んむっ!!
……あれェこのひとイレギュラーズさんだぁっ!? どうしてえぇぇぇ!?
んんまああああいっかぁ!!」
気付いた。この着ぐるみ、なんだか脱げないと……!
更に眼前のリコリスが振り向けば、その顔は( ‘ᾥ’ )に染まってもいる――! うわー! ( ‘ᾥ’ )ャークだー!! 着ぐるみと着ぐるみがまるでじゃれ合う様に重なりて、あっ。もしかして私もこれシャーク君になってるでs……
そう。与一もコレにやられたのである! 半分ぐらいシャーク君に精神を侵食されていたリコリスによる陰謀だ――! 彼女の放つ月の魔力……いやシャークの魔力が皆を襲う……! やべーぞこの魔力、シャーク君フィールド補正で強化されてやがる! うわー! 心がシャークになるー! 与一みたいになっちまう――!
「リコリスさん、そんな! くっ。ですがそう簡単にシャークされたりしませんよ!」
が。そう簡単に誰も彼も侵食される訳ではない――例えば物陰に潜みつつ隙を伺うルトヴィリアなどがそうだ。気配を押し殺しつつ、音の反響を耳で捉えて敵の位置を探……うわあああなんか四方八方にサメの気配を感じるんですけどおおおお?!
くそう。新しい使い魔の依代のインスピレーションを探しにと、かなり気楽に来ただけなのにどうしてこうなった……?
「どこかな~~~どこですか~~~? 逃げても無駄ですよぉ~~~?
おまえもしゃーくくんにならないか?
見れば分かる。お前の強さ、しゃーくに適している」
「オマエモ……シャーククンニ……ナラナイカ、デス? コワクナイ……コワクナイ、デス?」
「くぅ。どんどん犠牲者が。しかし……夜にだけ動き出すということは……魔力でも漏れているんでしょうかね。よし、聞き出してきなさい『ジョーンズ』。あなたなら疑われない筈です」
迫りくる与一ャークにLilyャーク。というかサメってあんな群れ成すものですか? うわあ暖かそう(現実逃避)。やむなくルトヴィリアは使い魔を放つものだ――
どうにかして元凶を断てないかと。必ず、必ず突破口はある筈だから……!
「うう~~! 出口はどこなのですか~~! はっ。いつの間にかぽっけにないないしてた、子猫さん達がいなくなってるのです! な、なんだかヤバイ状況な気がするのです、エンヴィねーさま!」
「……もしかしてこれ、普通にサメちゃん案件所ではないのでは?
無限回廊……? まさか、そんなモノがこんなサメちゃんのお店で……?」
そうしていればルトヴィリアの使い魔の瞳を経由して捉えられたのは、遂にバレたのか追いかけられているメイとエンヴィの姿であった。うわ。リコリスを先頭にまるで津波の様に迫ってきてるぞ!
「まぁあああってええええ! ニガサイゾー!! あっ。ビンセントおにーさんもいるううう待て待て待て~~!」
「オラー! お前の所の弟子だろ早くなんとかしろ!!」
「言われるまでもない――大柄サイズの着ぐるみも確保できた。愛弟子との戯れも此処からが本番だとも。これでやっと可愛いリコリスさんと同じ格好が出来るよ! 私が代わりに抑えてるから早くこれを着るんだビンセント君。なんだねその顔は? 嫌なのかい? 私だって少し恥ずかしいが背に腹は変えられないよ、さぁ!」
「ダメだコイツ、頭がぶっ飛んでらぁ」
更にはリーディアとビンセントの影も見えようか! ワイバーン君はなんとかリーディアの指示に応えんと必死に飛んでいる最中だ。偉いぞワイバーン君! ともあれ倉庫から見つけた大型着ぐるみ――これがあれば更に時間も稼げるはずだ!
「ふふ。普段、リコリスさんを護ってくれてありがとう。君は何かとリコリスさんを気にかけてくれるね。でもリコリスさんの事が好きならば私に射撃で勝ってから――えっ? 違う?」
「あの時々二頭身だぞ? 天地がひっくり返ってもそんな事はねーよ!
って前見ろ前々前――!!」
「( ‘ᾥ’ )お師匠ーっ! あ〜〜〜んむちゅっ! むちゅちゅ! む~~~ちゅッッ!」
刹那。隙を見せてしまったリーディアがリコリスに襲われる――!
それは( ‘ᾥ’ )の口付けだ。内から侵食……違う、内から癒すもの。えっ? キスマークが( ‘ᾥ’ )の形をしてる? 気のせいなんじゃないかな? 気のせいだよ。キノセイダヨ。
――ともあれまずいぞ。サメの尖兵になったLilyと与一は某鬼の様になりながら皆を攻め立てる。リコリスはリコリスだし、リーディアもあの様子じゃいつも通りダメだ! そしてゲリラ戦的に抵抗していたルトヴィリアも……!
「しゃーく、"宝物"はまだぶじか。どこだったっけ――
あっ。あたたた意外と痛い!」
『オレサマ オマエ マルカジリ』――
サメに侵食されてしまったジョーンズの裏切りによりサメの一匹と化してしまう!
「Shaarrrk、やられちゃったか。ふふ。成程、これがシャーク君の思考……」
しょうがない、なんか大事にはならなさそうだし、この際楽しもう。
そう思えばこそ胸が躍るものだと、ルトヴィリアは往く。
サメ達の動きを統率し効率化させ、まるで軍隊の如く操りながら……! メイとエンヴィはぴょこぴょこ跳ねながら逃げているが、それもいつまで――あっ、ビターンって転んだ! ふぇぇ!
やはりダメなのか。世界は……サメに支配されてしまうのか……!?
「――いいえ。そうはなりません」
だがその時。現れたのは――アンジュだ!
満身創痍。サメの歯形っぽい痕が付きながらも正気を保っている彼女は、しかしまだ倒れない。やはりこの不思議な空間を脱出するための方法はそうたやすく見つからなかったか……
ならば、と彼女は覚悟を決め――シャーク君の群れに襲われる。
いわしも無敵ではない。やがてその心をシャーク君に侵食されんとするだろう……
が、しかし。
その刹那。アンジュの至高が輝くものだ。
そう。サメが心を侵食できるのなら、いわしが出来ない道理はあるまい?
アンジュには狙いがあったのだ。つまり侵食してきた瞬間を利用した――逆侵食である!
「ば、馬鹿な……! いわしなんかに、シャークがああああ!( ‘ᾥ’ )」
「ああ! しゃーく君が……消えていく……!? 拙者の中のしゃーく君があああ!」
「さめごときが、私のいわしへの愛を覆せるとでも?
いわしこそが海の生態系の頂点であり、いわしこそが……森羅万象を司るのです」
故にこそ。喰らうしかできない哀れなさめの人形に、いわしへの愛を目覚めさせる……
それが今、私が此処に居る理由。
――いわしへの心に目覚め、解き放たれなさい。シャーク君よ。
リコリスに与一から絶叫が聞こえる。サメから解放される雄たけびだ!
「決まり切っている絶対の法則はただ一つ。
――人はいくらでも食べれば良い。いわしのことだけは食べないように」
……ねっ?
アンジュの微笑みはまるで慈愛のいわし神が如く。
瞬間――お店の全てが、いわしの神秘に包まれた。
●
「――あれ? 動いてたシャーク君はどこに?
着ぐるみを着てからは何故か記憶がなくて……」
「うう……私も着ぐるみを着た後からの記憶が曖昧で……
しかも思い出そうとすると、ウッ、頭が……」
その後。イレギュラーズ達は正気を取り戻す――
真っ暗な店内。目覚めた与一にLilyは頭を抱えながら周囲を見渡すもの……
動いている人形などありはしない。全てただの人形ばかりだ。
店も出口が、外が見える。アレは夢だったのか――?
「しゃーく……ぴぇぴぇ……しゃああく……」
「メイさん起きて。起きて。というか、鳴き声はしゃーくで良かったのかしら」
続いて猫の様に丸まりながら寝てうなされているメイを、エンヴィが起こさんとする。
……何はともあれ依頼は終わった、と見ていいだろうか。
それならローレットに帰還すると使用か。あっ! 着ぐるみは個人的に気に入ったので与一辺りは買い取る気満々だ。皆、忘れ物はないね? えーと。えーと。
「( ‘ᾥ’ )あれ……何か忘れてる様な……?
( ‘ᾥ’ )あーっ!! ビンセントおにーさん!!」
刹那。お師匠におぶられながら考え事をしていたリコリスは思いつくものだ。
サメに呑まれたビンセントの姿が見えないと――
ま。いっか! (いつもの事だし)生きてるでしょ!
そう思って放置していたら次会った時に拳骨ぶち込まれたのは――また別の物語。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
しゃああああああああああああああく!
お待たせしました、ありがとうございました!!
GMコメント
●依頼達成条件
生き残れ……!
●フィールド
シレンツィオ・リゾートのお土産販売店『シャーク・フィッシュ』です。
ここでは最近大人気のシャークくん人形を販売していました、が。
なんでもシャークくんが夜な夜な動くのだとか……?
そんな真偽を確かめるべく皆さんは夜間の店に残った――のですが、なぜか出れなくなります! というよりも、お店が無限に広がっている様な……? あれ、こんな部屋とか通路とかあったっけ……?
あ、でも朝になったら解除されますし、あちらこちら走り回ってたら、もしかすると外への出口を見つける事が出来るかもしれません。
とにかく朝まで逃げるか、何か原因があるか調べるか、もしくは襲い来るシャークくんに対抗してください……! うっかりシャークくんに食べられたら、貴方の意識はシャークくんに乗っ取られるかもしれません――! まぁそれも朝になったら解除されるんですが!
●シャークくん
最近シレンツィオの一部でブームが起きてる人形です。
ジンベエザメの一種らしいです。一見すると可愛らしいだけの人形なのですが……
実は、夜になると動きます。
理由は分かりません。魔物の仕業か、謎のアーティファクトでも誰かが仕込んでいて、店のどこかにあるのか。いずれにせよシャークくんに襲われればどうなる事やら……!
彼らは皆さんに噛みついて、呑み込んで来ようとしてきます。
しかしご安心を。シャークくん達はあんまり頭はよくありません。
なので『シャークくん着ぐるみ』を探し当て、着用すれば暫くシャークくん達の眼を誤魔化せる事でしょう――! リコリスさんが持ってきた分がありますが、これは身長が「小躯」「小柄」なら着用出来ます。
「普通」「大柄」「巨躯」の場合、大型の着ぐるみを別途探さないといけませんね……頑張れ!
●リコリス・ウォルハント・シャーク・ローア
リコリスさんです。もしかしたら既にシャークくんに乗っ取られてるかもしれませんし、逆にシャークくんを乗っ取っているかもしれませんし、普通にサメ人形の着ぐるみ着込んでやる気満々なだけかもしれません。どの立場でも行動可能です。
●『人喰い兎』ビンセント
リコリスさんの関係者です。シャークくん着ぐるみ着用しながらガラスケースの中になぜか潜んでたリコリスさんを監視していたら、店の空間に巻き込まれました。クソ! とか言いながら、シャークくん達に対抗してます。
●情報精度
この依頼の情報精度は2for$20^5です。
2点買うと3,200,000GOLDのシャークくんプレミアムも販売中です。
よろしくお願いします!
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