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シナリオ詳細

<腐実の王国>蝕む風流れ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<腐実の王国>蝕む風流れ
『仔羊よ、偽の預言者よ。我等は真なる遂行者である。主が定めし歴史を歪めた悪魔達に天罰を。我等は歴史を修復し、主の意志を遂行する者だ』
 天義に降りし神託の言。
 それが真実であろうが、虚実であろうが関係無い……神の言葉であるならば、それこそが真実。
 そんな天義に集いし国民達の性質を利用すれば、その天啓を利用し国家転覆を狙う事は可能であろう。
 ただ、流石に天義上層部も愚かではない……国を揺るがすその天啓を口にする事を禁ずる箝口令を敷き、違反した者は処罰する事を暗に進める事となる。
 しかしながらその神託は様々な手段で国中を巡り、口にはしないながらも暗に広まる。
 そんな拡がりように危機感を抱いた天義上層部は、更に一つのステップを執る。
 それは……天義、ヴィンテント海域に面する白亜の街『エル・トゥルル』の中心部『ガレサヤ・ピレア大聖堂』にありし聖遺物が毒されているという話を広める。
 その聖遺物の近くにあった銀細工物は腐食、更に見ずに接すればそれをも腐らせる。
 加えて……その聖書から聞こえたと言われし声に人々は狂気に囚われてしまうというもの。
 天義外に居る者からすれば、それが直接敵に関連する物だなんて思わないだろう。
 しかし、国はそれを強引にも結びつける事で……悪は自分に無き事を知らしめていた。


「すみません……本当、集まって頂きありがとうございます……」
 申し訳無さそうに、深く頭を下げる『深緑の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
 彼女が天義の国を訪れ数ヶ月……だが、ここ数週間の間に起きている事は目を見張る物がある。
 神託の言葉が降りし天義は、それと繋がる事態として、『エル・トゥルル』の街の聖遺物事件を喧伝。
「皆様も、既に知っていらっしゃると思いますが……街にある聖遺物から狂気があふれ出ている……という事の様なのです」
「聖遺物から漏れ出た瘴気に触れた銀細工物は、まるで焼け爛れたように腐敗し、水も腐るという現象が起きています……しかしそれが真実なのかどうかも、全く分からないというのが現状なのです」
「更にはその聖遺物が収められている『ガレサヤ・ピレア大聖堂』に静置されている『聖書』からは、常に人々を狂気に包み込むという呼び声が響くと言われて居ます……現に聖書の近くに足を踏み入れた一般人の方々は、次々と狂気に包まれてしまっているのです」
「この狂気に囚われた方々は、殺人、人攫いを一切躊躇することなく繰り返している様です……このままでは、街の治安は保たれる事無く混乱に混乱を重ねてしまう事でしょう……そんな事態を、このまま放置しておく事は出来ません……」
「皆様に御願いです。街の人々を救ってきて頂けないでしょうか……? 街の人は……被害者であると思うのです。狂気が拡がれば、更なる狂気が伝搬します……そうならない為にも、どうか今の内に止めてきて頂きたいと思います……」
 ルリアの不安気な表情……君達はそんな彼女の言葉に頷き、『エル・トゥルル』へと赴くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 神託により巻き起こった事件は、天義国内を確実に蝕んでいる様です。

 ●成功条件
   『エル・トゥルル』にて伝搬している狂気を収める為に、狂気に狩られた者達を倒す事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   白亜の街『エル・トゥルル』は、美しい街並みの港町です。
   その中央部『ガレサヤ・ピレア大聖堂』から次々と狂気に侵された者達が出来上がり、、街中に放たれている状態です。
   皆様としてはその脅威を収めつつも、出来る限りガレサヤ・ピレア大聖堂に近づき、情報の収集と共に街の安全を維持することが目的となります。
   とは言え相手となるのは狂気に侵された一般人達なので、多少……心境的には複雑なところがあるかもしれません。

 ●討伐目標
 ・狂気に包まれ、人を傷付けることを良しとする『狂気一般人』達。
   侵食する狂気に追われた者達です。
   基本的には一般人達の群れですが……多少ではありますが『騎士』もいます。
   ただ全体的に狂気に侵されリミッターが外されている状態なので、戦闘能力は底上げされています。
   一般人は複数人で皆様一人と相対出来る程度、一方騎士は1:1で普通に戦える程度……といった感じです。
  
 ・狂気に刺激されて生み出された『ワールドイーター』の獣達
   人々の侵食を食い物にしている様で、ワールドイーターの獣たちも数体ではありますが出現しています。
   姿形は漆黒の闇、熊のような姿をしており、ただただ暴力を振るう事だけに特化します。
   故に攻撃力がかなり高く、1:1でも苦戦……するかもしれません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <腐実の王国>蝕む風流れ完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
武器商人(p3p001107)
闇之雲
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
冬越 弾正(p3p007105)
終音
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)
生来必殺
マルコキアス・ゴモリー(p3p010903)

リプレイ

●天啓下る
 神の言葉降りし、天義。
 その言葉に従わぬ者には死を、と加熱していた動きは今や鳴りを潜め、天義という国は転換期を迎える。
 ……しかしながら、依然として天義を是とし、それ以外を否とする過激な思想を持つ者達は、一つ消えればまた何処かで現れる様で……天義の国の各地に於いて、その爪痕を残す。
 そしてここ、ガレサヤ・ピレア大聖堂のあるエル・トゥルルの街。
 神託の影響かどうかは分からないが……狂気に包まれる人々が人を攫い、殺すという悪事のループが繰り返されており、人々は恐怖に苛まれていて。
「これは……呪いの類いなのだろうか?」
 と、目の前の異常事態に小首を傾げる『含牙戴角』イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)。
 それに、目を閉じたマルコキアス・ゴモリー(p3p010903)が。
「……真実は分からない。だが、又狂気に侵された一般人の相手をしなければならないとはな……元聖騎士としては、如何ともしがたい事態ではある」
「そうか……宗教やオカルトが政治利用されるのは、世の運命と言うべきだろうか……こいつはタチが悪そうだ」
 息を吐くイルマ……それに大きく頷く『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)。
「全くだ。人攫いを躊躇することなく繰り返す……殺人目的ならばよく聞く行動だ。だが、人攫いのみを目的としているのは初めて聞いたな」
 人を攫うという事は、当然ながら足が着く可能性がある。
 攫い、殺して証拠を消すなんていうのは、裏社会であれば良く聞く話。
 だが、今の所聞いている限り、人を攫いその後何をしているのか、というのは余り聞こえて来ない。
 しかし攫われて、五体満足で戻って来たという話もない……。
「奴等の目的は、聖書の近くまで連行して、狂気仲間を増やす……が目的だろうか?」
 推理するウェールに対し、『闇之雲』武器商人(p3p001107)は。
「ああ、確かにそうかもしれないねぇ……しかし、多少気の毒ではあるが、狂気に苛まれた人達を、殺さずにいたとしても影響範囲から出してやれる余裕も狂気から回復させてやれる保証も無い。狂気のまま永遠に彷徨い続けるのがマシか、死んだ方がマシかは……それこそ神のみぞ知るってやつかね? ヒヒ……」
 低く不敵に笑う武器商人。
 何も知らない人からすれば、薄情な事を……と眉を顰めるかもしれない。
 しかし今迄に何件ものこの事件に関わってきた武器商人からすれば、生きて苦しみ続けるのも、死するのもどちらも見てきた。
 そして、その事態を引き起こしてきたのは……街の中心部、『ガレサヤ・ピレア大聖堂』に収蔵されていると言われる聖遺物。
 人々を蝕み狂気に陥れ、更に本来は錆びぬはずの銀製品をも腐らせるという強腐食性を持つと言われる。
「うーん……聖遺物がこの発狂の原因だとして、そうなると聖遺物は元々危険な物だった、という事でしょうか? それとも、これを介して何かが何らかの能力を使っている……という事でしょうか?」
 と『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)が仲間達にふと問い掛けるが、その回答を持つ物はいない。
 ただ、自明なことは一つ。
「実際の所、聖遺物が誰の手によって作られたも分からないしな……ただ、聖遺物とやらを何とかしなければ、何度でも同じ事が繰り返されるだろう……もし、今回が無理でも次は、あれを始末出来るよう……情報を得なければなるまい」
「そうね。出来れば大聖堂にある現物を回収して調べて見たいと思うのですが……上方が少なく過ぎて、迂闊には近付けません。下手に近づいて、私達が狂気に包まれては意味がありませんしね」
「そうだな……」
 『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は頷きつつ、傍らの『セクシーキング』冬越 弾正(p3p007105)に目を向ける。
「そうだな。俺が信じるイーゼラー教は、他の神を尊重する教義ではある。だが、人を害するとなれば話は別だ。神と人とは、救い崇めの支え合いが大切だろう。致命者のやり方は全く許せるものではない」
「ああ……俺も、同じ考えだ。信じない者を狂わせ、死なせるだなんておかしい……」
 弾正の言葉にこくりと頷くアーマデル……そしてウェールが。
「致命者達の思い通りにさせてたまるか。とにかく一人でも犠牲を減らす為に全力を尽くす。狂気に追われた人も、被害者なのに黒幕の思い通りに死屍累々だなんて、洗脳された経験がある身としては、真っ平ごめんだ!」
 己が出自を去来させながら、強く拳を握りしめるウェールに、マルコキアスも目を閉じながら。
「……そうだな。これも天義の平和の為、力尽くでも鎮圧させて貰おう。自分は……その為に存在しているのだから」
 と、誰へという訳でもなく言を紡ぐ。
 そんな様々な思いを抱く仲間達の声に、黙っていた『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)は。
「……そうだね。かわいそうに……ああ、かわいそうにね。本当にかわいそうだ。だからせめて苦しまぬように、俺達の手で気絶させてあげよう」
 少し気を楽にした言葉ではあるが……史之の心の内には、絶対に助けようという強い気持ちが刻まれていた。

●闇の傍ら
 街に辿り着いたイレギュラーズ達……先ずはウェールが鴉と鼠を召喚。
 鴉を武器商人に託しつつ、鼠は己達に随伴。
「それじゃ、街の人達の対処は我(アタシ)達に任せて貰うとして……大聖堂の方は宜しく頼むねぇ……」
「ああ、そっちも気をつけてくれ。何かあれば、そいつを通じて俺に連絡してくれ」
「了解だよぉ」
 手をヒラヒラと振りつつ、武器商人の頭上で旋回する鴉……それから伝わるテレパスにて、ウェールと意思疎通を出来る様に細工。
 そして武器商人、イルマ、マルコキアスの三人は大聖堂から離れた方を担当し、ウェール、史之、フルール、アーマデル、弾正の五人が大聖堂に向けて街を駆け上がる様、二班に分かれる。
 勿論、大聖堂から離れた所ではまだ市民達は正気であり、狂気に陥っている者はほぼ居ない。
 でも、狂気に包まれている人が多数発生しているという事は、当然ながらこの辺りの人達にも聞こえてきており、人々はいつ自分の身に降りかかる事か……と不安に苛まれている。
 そんな街の人達を前に、武器商人は。
「さてさて……みんな、もう話は聞いている様だよねぇ? 今この街は、変な聖遺物のせいで、おかしくなっちゃう人が続出しているのは事実。でも、我(アタシ)達が来たからにはもう大丈夫。先ず守って欲しいのは、あの大聖堂の方に向かわないで欲しいって事。下手に近づいたら、狂った人達に襲われちゃうかもしれないからねぇ……ヒヒヒ」
 目元が見えない武器商人の言葉は、何故か人を焦燥感にからせる。
 は、早く逃げなきゃ……と言う動機付けを呼び起こしたところで、更にイルマとマルコキアスが。
「逃げる方向はあっちだ。こっちの方には来るな!」
「まだ正気で居られる内に、本当は街から離れて欲しい……だが出来ないのならば、一時だけでもこの街の外に避難する事を考えてくれ」
 と指し示して誘導し、この街からの一時避難を誘導する。
 ……そう三人が、周りの人達を避難させつつ、少しずつ大聖堂の方に向かっていく。
 すると……。
『ウガァアアアア……!!』
『や、やめて、来ないでよぉ!!』
 目を血走らせながら、市街地を走る人影。
 その人影は、避難に走る市民を追いかけ回す……速度差があり、段々と距離が詰まっていく。
「っ……こっちは頼む!」
 それにいち早く気付いたマルコキアスは、狂気一般人を追いかける。
 流石に狂気に包まれているとは言え、元は何の能力も無い一般人……みるみる内に距離は詰まり、被害者を産む前に間に立ち塞がる。
『グゥアア!!』
 邪魔するな、と言わんが如く怒りのままにその拳を振り落とす狂気一般人。
 ズシンと重い一撃ではあるものの、イレギュラーズにとっては中程度のダメージといった具合。
 そしてその攻撃を受け止めつつ、マルコキアスはカウンターで。
「我が一撃で頭を冷やすがいい……少し寝てなさい」
 と眩い光へ包み込み……彼はそのまま、パタンと地面に臥して気絶。
「ふぅ……間に合った。さぁ、急いで逃げて下さい」
 そう助けた背中の一般人に声を掛け、は、はい……と急いで逃げていく。
「ふぅ……この辺りまで、狂気が蝕みつつある様です」
「その様だな。大聖堂に向けて急ぎたい所だが……逃げ遅れが居ないか、見て回った方が良さそうだな」
「そうだねぇ……ま、仕方ないか。一応、ウェールの旦那の方には伝えておいたよ」
 イルマと武器商人の言葉に頷き、三人は街の人達の逃げ遅れが無いかを確認しながら、中心部に向けて進んで行った。

 そう三人が一般人達救出に尽力している一方で、フルールら大聖堂に向かう者達は、一直線に大聖堂へと道を進む。
 勿論大聖堂に近づいていけば近づく程に、狂いし一般人の数は多くなり、それに襲われている一般人の姿や、脇に抱えられてジタバタと逃げようとしている人も居る。
「全く、ダメだよお? 強盗はね、許せるけど、人は殺しちゃダメ。ダメったらダーメ!」
 そんな狂気一般人を、悪い子を説き伏せる様に立ち塞がり。
「いい夢見せてあげる。まとめてかかっておいで!」
 と、斥力の一閃を叩きつける史之。
 強烈な一閃は、纏めて敵を薙ぎ払うが、死を与える事のない慈愛の一撃。
 ドミノ倒しの如く倒れていく狂気一般人へ、更にフルールの神の光と、狼札より実体化した矢銃により狙い撃つ。
 更に弾正が、胸より沸き起こる歌を声に乗せて奏で、そこにアーマデルの志半ばの英霊が遺した音色のハーモニーを重ねる。
 ……ただ、全てが人を殺さぬ力を持った不殺の一閃であり、攻撃を喰らった狂気一般人達は死ぬ事無く、路傍に臥して倒れていく。
「ふぅ……取りあえず狂気一般人達は不殺で行けそうだな」
「そうだね。不要な殺人をしたら、こっちが悪いだなんて事にもなりかねないし、気持ちも良い物じゃないしね」
「本当よね。本当彼等が狂気に陥る過程はどのようなものなのかしら。何かしら声が聞こえる……とかなのかしらね? 私も聖遺物の近くまで近づけば、その声が聞こえたりするのかしら?」
 ウェール、史之、フルール三人が会話する通り、ただ何もなしに狂気に苛まれるなんて事は、普通はあり得ない。
 ただ事実として、今先程に倒したように沢山の人達がそれに苛まれているのは事実。
 その事実を知る為に、大聖堂へと更に向かっていく……そして。
「……ん」
 史之の手にあった、シルバースプーンが少しだけ黒ずみ始める。
「……どうした?」
「いや、シルバースプーンが黒ずんだから、かなり近くまで来たみたいだね。普通なら、そう簡単に腐ることなんて無い筈だもの」
「確かに……そういえばそうだな。これが聖遺物の腐食性……という訳か」
 アーマデルの視線が、極普通の街並みの中に、ドーム状の神々しき建物に向く。
 ガレサヤ・ピレア大聖堂……聖遺物が収蔵され、人々がおかしくなる場所。
「良し……こっちだ」
 敵の足音を注意深く聞き分けながら、道を左へ、右へと進んで行くと……百メートルほど先に大聖堂が見据えられる場所へと出る。
 しかし、大聖堂の方からは、今迄よりも一際多い数の狂気一般人と、武器と防具に身を包んだ騎士然たる者。
 更に、その間を埋めるかの如く。
『グガァァア……!!』
 人ではない、狂いし熊の如き獣が咆哮を上げて、周りの狂気一般人諸共に位、傷付け、血肉に歓喜している。
「凄まじい数ね……これを全部倒さ無ければ、大聖堂まで近付けない……って事かしら?」
「……普通に考えればそういう事になるな。だが……俺に考えがある。取りあえず敵陣に突っ込むぞ」
 フルールに対し、ウェールの言葉。
「分かった。それじゃ……行くよ」
 覚悟を決めて史之が不意を突くように、斥力の一撃を叩き込む。
 その一撃を食らい倒れるのは、普通の狂気一般人程度で、騎士とワールドイーターは倒れる事は無い。
「流石に体力はかなりのものの様ね……大丈夫なの?」
「あ、もうちょっとだ……!」
 フルールの言葉にウェールは一言……その懐に隠しておいた鼠を、大聖堂に向けて放つと、鼠は敵の間をすり抜けるようにチューチューと、大聖堂に向けて接近。
 偵察鼠に注意が行かないよう、イレギュラーズ達は派手に立ち回り、時間を稼ぐ。
 そして鼠は大聖堂の入口まで到達……だが、そこで鼠からの視界が、不意に遮られる。
「っ……」
 目潰しの攻撃を受けたのかかは分からないが、視界がぼやける。
「大丈夫?」
 と史之が声を掛けるが……眩む視界は暫し治らない。
 更に大聖堂の方からは、騎士狂気一般人と、更なるワールドイーターが続けざまに出現し、数を凌駕する勢い。
「流石にこれは数が多い……一旦退くぞ!」
 と弾正が仲間達に叫ぶ。
 包囲されれば、流石にイレギュラーズであろうとも無事では居られないのは間違い無く……命賭す前に、その場からの戦略的撤退を行うのであった。

●告げるは人の刻
 そしてイレギュラーズ達は、街の入口の方まで下る。
「情報は聞かせて貰ったよぉ……何だろうねぇ、強い力がやっぱり、あの大聖堂の中からは出ているみたいだねぇ……?」
 と、合流した武器商人の言葉にウェールは。
「ああ……正直どういう力が働いたのかはよくわからんが、目を潰されたかのような、そんな感触と共に、自分の身にもその痛みが及んだんだ」
「ふむふむ……うーん……」
 顎に手を当てて考える武器商人。
 今迄に、彼が目の当たりにした事象を整理した上で、似たような状況が無いかを思慮。
 ……恐らくではあるが、ファミリアーは何らかの力によって消え失せたのは間違い無い。
 その力が直接的な攻撃なのか、其れとも魔術的な何なのかは分からないものの……力の奔流が逆流し、使役者まで蝕んだとなると、かなりの力を持つ者、いや、物があるのは間違い無い。
 大聖堂にある聖遺物がその力の根源であるとするならば……イレギュラーズ達が近づけばその力に触れたことは出来たかも知れないが、それは自分達にとっても悪影響が及ぶのは先ず間違い無いだろう。
「……そういう事、かもしれないねぇ……少なくとも、聖遺物は今のままでいれば、更にこの街を蝕んでいく……それは間違い無いだろうさ」
 息を吐く武器商人に、史之も。
「その様だね。気絶させた人達も、中々目を覚まさない様だし……勿論目を覚ましたからって、正気に戻っている保障は無い。それに……」
 耳を澄ませば、遠くで響く悲鳴……この街に住む人の悲鳴であるのは間違い無く。
「人の悲鳴はさ、いつ聞いても胸が痛むね……出来る限り早く、この街に平穏を取り戻したい所だけど、それにはまだまだ情報が少ないか……」
「そうね。大聖堂の中の構造は分かってても、それがそのままであるかなんて保障もない……何にせよ、まだまだ気は抜けないわね」
「うん。取りあえず、狂気に包まれた人の様子を見ておくことにしよう……目を覚ませば、何か情報が得られるかもしれないし」
「分かった……周囲の監視は任せておいてくれ」
 フルールと史之の言葉に、イルマは頷く。
 彼がいつ目を覚ますかは分からないが……一つでも情報を得るが為、街の平和を追うのであった。

成否

成功

MVP

武器商人(p3p001107)
闇之雲

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂き、ありがとうございました!
大聖堂を守りし戦力はかなりのもので、中々近づく事は出来ません。
ただその力の奔流はかなり強いもので、下手に近づくのは危険そうですね……。

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