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シナリオ詳細

<クリスタル・ヴァイス>冬嵐の時近し

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<クリスタル・ヴァイス>冬嵐の時近し
 新皇帝就任せし帝都。
 新皇帝バルナバスによる統治に対し、それに対抗する六派閥。
 各派閥は不凍港ベデクトの攻略を行うのもあれば、各地域に点在していた鉄道施設の攻略を行うなど、新皇帝対抗に向けて牙を研ぐ。
 しかし、そんな凌ぎを削る六派閥に突如襲い掛かったのは……極寒の冬。
 『フローズヴィニトル』と呼称される、伝説の狼になぞられし大寒波は各派閥だけでなく一般人達をも極寒に包み込み……その大寒波によってちらほらと一般人の死人が出てきてさえする状況。
 幸い各派閥に避難していた一般人達等は、地下道に蓄えられていた物資資材や、解放された不凍港の成果により何とか耐え忍ぶ事となる。
 だが……この大寒波は収まる気配を見せない。
 このままでは資材が何時かは尽き果てるのは間違い無いだろう……一刻も早く国の混乱から解放し、国の安寧を取り戻さねば成るまい。
 ……それ故にここ、ラド・バウ独立区の者達は地下に伸びる地下道の線路跡の利用を探索を進めていた。
 しかし地下道の中には、新皇帝派組織のアラクランらも何故か姿を表す。
 彼等が何故姿を表すのか不明な状況であった……だが、イレギュラーズ達の調査によってその真意が判明。
 彼等は噂話にも謳われる『フローズヴィニトル』が地下道の奥地に封印されていると断じ、総帥フギンの命により、封印を解くことを指示されていたのだ。
 勿論その封印が真に解かれてしまえば、どれだけの災厄が鉄帝国を襲うかも知れない。
 そんなアラクランらの目的を知った各勢力は、当然その災厄の再来を防ぐが為に動き始めるのである。


「さぁ……みんな集まってくれた様ね? 早速だけど、今回は急ぎの話になるわ」
 『Sクラスの番人』ビッツ・ビネガーは振り返ると共に、真摯な表情を見せる。
 いつもとは違う厳しい雰囲気と口調は……事態がかなり喫緊な事を如実に示しており、その表情に『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)が。
「急ぎの話……もしかして、最近のこの地下道の『新皇帝軍』の動きに何かあったのかしら?」
 と問い掛けると、ビッツはこくりと頷く。
「そうよ。皆にこの『地下道』を調べて貰っていたんだけれど……皆のジャマをしてる『新皇帝派組織アラクラン』の目的が分かったのよ」
 一言区切り、そして。
「皆も知って居るでしょう? 大寒波『フローズヴィニトル』と、それに連なる噂話。その狼は遥か地下に封印されている……と」
「どうやらアラクラン達は、総帥フギンの命令により、フローズヴィニトルの封印を解くことを命令されている様なのよ。当然封印を解けば、今の大寒波以上の事態が起きる事はほぼ間違いないわ」
「只でさえ、大寒波により避難している人達は厳しい生活を強いられているの。でも、更なる大寒波やら、その他災厄が襲い掛かれば、耐えきれなくなってしまうかもしれない……それを黙って見ているワケには行かないの。勿論、大事な補給路になっているこの地下道を奴等に明け渡す事も出来ないわだから……皆の力を貸して欲しいのよ。彼等を倒す為に、ね」
 ポン、とフルールらの肩を叩くビッツ、それに皆も頷き。
「ん、感謝するわ。それじゃ、気合い入れて宜しく頼むわね!」
 と笑顔で皆を送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の依頼は鉄帝国地下に広がる地下道を巡る事件の一つの区切りになる全体依頼となります。

 ●成功条件
  ラド・バウ独立区が展開している帝都中央駅ブランデン=グラードから続く地下道。
  その地底深くに向けて進軍すると共に、新皇帝派らフローズヴィニトルを復活させようとする者達の討伐と、フローズヴィニトルの力によりにじみ出ている魔物(?)達を討伐する事になります。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●特殊ドロップ『闘争信望』
   当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
  闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
  https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

 ●周りの状況
  今回の舞台はもう皆様も知っての通り、帝都地下に広がる地下道です。
  昼夜問わず地下故に暗闇に包まれており、光源を確保しなければ真っ暗な状況となります。
  そんな地下道の中を新皇帝派達はフローズヴィニトルの復活に向けて動いています。
  先日までの作戦中はそこまで数は多く無かったのですが、今回は新皇帝軍達も本気になっている様で、精鋭軍を何隊も投入しています。
  それ故に、今まで以上に戦闘の難易度は高めです。
  更にこれら精鋭軍とは別で、いつ現れるかも分からない冬の力を手に入れた者達(精霊や狼の姿をした獣など)が現れます。
  かなり敵軍も強敵が多い一方で、ラド・バウ側もラド・バウ闘士達と共に戦場を駆けることになりますので、仲間達と協力して敵軍を全て仕留めるようにして下さい。

 ●討伐目標
  ・新皇帝派組織『アラクラン』に属する者達:各小隊10人程度
    新皇帝派の勅命を受けて作られた特務部隊です。
    フギンの勅命もあり、かれらはイレギュラーズ達を殺して『フローズヴィニトル』の復活を邪魔する者を容赦無く殺す指示を受けています。
    確りとした訓練を受けており、戦闘能力は高く、相互に声を掛け合い連携動作などもお手の物です。
    尚、一部の隊には異妖を召喚する能力を持っている様で、その者達は天衝種を手懐け従わせ、共に戦う……という者達も居る様です。
  
  ・天衝種『ラタヴィカ』・天衝種『ラルグ』
    どちらもアラクランの部隊に汲みし使役される天衝種達です。
    彼等は当然ながら、イレギュラーズを殺す為だけが行動原理となっています。
    ラダヴィかは光の尾を引く亡霊のような怪物、一方ラルグは怒りの炎を纏う巨大な鳥のような怪物という事で、彼等がいると光源を他に確保する必要はないでしょう。
    とは言え精鋭のアラクラン達と同時に現れ攻撃を行う為、油断は禁物です。
 
  ・冬狼/冬の精霊の群れ
    フローズヴィニトルの力の漏れ出た残滓を核にして作り出された者達です。
    狼の姿や、氷のアイススプライトの様な姿を形取ります。
    彼等はフローズヴィニトルの下に近づかせないよう、侵入してきた侵入者達を容赦無く攻撃します。
    狼状の者は近接しての攻撃、アイススプライトは遠距離からの氷魔法攻撃を軸として攻撃となります。
    尚死んだ場合は、彼等は姿残る事無く消え失せますし、説得行為を試みても一切反応は返しませんので、こちらの敵軍については『倒す』他にありません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <クリスタル・ヴァイス>冬嵐の時近し完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2023年02月03日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
シャールカーニ・レーカ(p3p010392)
緋夜の魔竜
レイン・レイン(p3p010586)
玉響

リプレイ

●冬刻幻
 鉄帝国、新皇帝バルナバスと、それに対抗する六派閥。
 そして両者に襲い掛かるのは、身の底まで凍りそうな大寒波『フローズヴィニトル』。
 鉄帝国に伝わる過去の昔話と同じ名を持ち、単なる噂話、この大寒波には関係無いと思っていた人も多かった事だろう。
 しかし今回、イレギュラーズ達に伝わったのは、この大寒波が現に『フローズヴィニトル』によって引き起こされているといた、という話。
 鉄帝国の地下に広がる地下鉄用の地下道の深い底に『それ』は封印されているという事。
 『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)と『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)、『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)の三人は……ぽっかりと暗闇に口を開ける地下道に視線をこらしながら。
「地下道、暗闇……か……」
「ええ……本当に真っ暗ですね。幸い僕は暗闇は平気ですが……この暗さとなると、戦闘に支障が出そうなのが困りものです。それに僕達同様、フローズヴィニトル復活に蠢いているのは新皇帝派アラクランですか……かなりの手練れの様ですし、油断も出来ませんね」
「そうねぇ……まぁアラクランもまだまだ封印には辿り着けてないみたいですしね。寒いでしょうに、よく頑張りますねぇ……新皇帝からの勅命だから、放り出す訳には行かない、とかそんな感じなのでしょうけれど」
 漆黒の闇の中……新皇帝派のアラクランによって、この封印は解かれようとしている。
 それを止めて来て欲しい、というのが今回、イレギュラーズ達の仕事。
「ただでさえ、今の大寒波だって相当に厳しいというのに、そこにフローズヴィニトルの封印を解いて更なる寒波を乗せようだなんて、流石に溜まった物じゃ無いね」
 『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)が肩を竦め溜息一つ……それに『緋夜の魔竜』シャールカーニ・レーカ(p3p010392)も。
「ああ。全く……これだけ寒いと、亜竜種としては辟易するものだ。大寒波の化身だと言うのならば、これらを倒して仕舞えば春も来る……と。そうそう甘い話もあるまいか」
 もう、数ヶ月に及ぶ大寒波は、イレギュラーズ達に対してもかなり堪える寒さ。
 当然ながら、鉄帝に棲まう一般人達もその寒さに晒されており……命を落としてしまう者も良く聞くようになりつつあって。
「……フローズヴィニトルが起きたら……温かい物を分け合って食べてた時の……ラド・バウに避難してきた人達の、少し安心した顔も見れなくなるのかな……あれは……好きになったものだから……消したくない……」
 『玉響』レイン・レイン(p3p010586)がぼんやりと……でも、確固たる意志を持って呟くと、それにフルールが。
「そうね。封印が解かれて、今以上の寒波に見舞われれば、間違い無く普通の人では死んでしまうでしょうに……アラクランの人達も、自分達が生き残れる側だと思って居るのかしらね?」
 悪戯に笑うフルール、そして『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)も。
「そうだな……今回の仕事は新皇帝派『アラクラン』と、天衝種、魔物達の撃破。フローズヴィニトルと名付けられた大寒波の解放を目論む輩達だ、容赦する必要はねえ。冬の魔物達も話が通じねえなら、これも倒すしかねえ。激しい戦いになりそうだが、それだけの事だ」
 拳を握りしめた義弘に、『波濤の盾』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)と雲雀、レーカの三人からも。
「ああ。だいたいの場合、地下に潜ると碌な事がないが……これを野放しにするわけにもいかんからな。早々にお引き取り願って、これ以上面倒な事を起こすのは勘弁して貰うとしようか」
「ああ、そうだな。いい加減、ゴキブリのように現れるのにも辟易していたところだし、ここで一旦徹底的に叩く方がよさそうだしな」
「うむ。さりとてこの自体を放置するという手もないだろう。全力で掛からせて貰おう」
 そんな仲間達の言葉にアーマデルが。
「そうですね。ここでしっかり倒させていただきましょう……地下道に棲まう者達を」
「ああ……皆、足音、気配……全てにおいて気をつけるようにしてくれ。取りあえず、監視と……光源確保は任せてくれ……」
「了解。それじゃ俺は全体を見回すことにしよう。一応広く周りを見渡す事が出来るし、暗視も出来るしね」
「では、僕は、後ろを担当しますね?」
「分かった……」
 雲雀と鏡禍の言葉に頷きつつ、アーマデルは己の身体を仄かに光らせ、光源を確保。
 その一方でフルールは。
「暗視と光源が大丈夫そうなら、私は……そうね。この子に索敵を任せるとしましょうか」
 と、子猫をファミリアーで呼び出して、アーマデルよりも一歩先を歩く様に指示。
『にゃぁ』
 短く鳴くと共に、フルールに向けてこくり頷き、暗い地下道に進んで行く子猫。
「取りあえずはあっちの方、という事ね? それじゃ、行きましょ」
 その後をイレギュラーズ達と……加勢であるラド・バウ闘士数人と共に向かうのであった。

●冬嵐の刻
「……早速、分かれ道……だね」
 そしてイレギュラーズ達が地下道を進んでいくイレギュラーズ。
 光をもとに進んでいけば、地下から吹きすさぶ寒風……それを強く感じ、この先に『フローズヴィニトル』の力が潜んでいるのはまず間違いないだろう。
 そしてレインのいう通り、所々で遭遇するのは分かれ道。
「……ん。こっちの方かしら。寒い風を感じるわ」
「そうですね……」
 フルールと鏡禍がうなずき、そして寒風が吹いてくる方へ曲がり、更に地下へ。
 ……地下に潜れば潜るほど、周囲は強い漆黒に包まれ、更に……静寂に包まれる。
 勿論、そうなればイレギュラーズ達の足音も響くことになる訳で。
「……」
 そんな地下道の中を進みながら、耳をそばだてる鏡禍とアーマデル。
 自分たちの足音を聞き分けながら、その足音とは違う物音がないかどうかを、常に調べながら進んでいく。
 そして……地下道を潜り一時間ほどが経過した時。
『……カツ、カツ……』
 自分たちのとは違う、軍靴の足音。
 その足音を聞き分けたアーマデルは一旦皆を静止し、自分たちの足を止める。
 自分たちが立ち止まり……更に耳を澄ませていると、その軍靴の音は立ち続けており、自分達の発するものではないのは明らか。
「……ちょっと待ってもらっていい?」
 とフルールが仲間たちにそういうとともに、目を閉じ周りの精霊の気配に耳を傾ける。
 ほんの僅かではあるが、精霊の残滓はあり、それに語りかける。
「……ねえ、ちょっとお願いしてもいい? ……このあたりに、私たち以外の『人間』を見つけたら、教えてほしいの」
 そんなフルールの言葉に、何かにおびえるような素振りを見せつつも、頷く小さな精霊たち。
 精霊たち同志の情報網で、どちらの方向に人影を見た……という情報がしばしののちに、フルールに伝わる。
 勿論、それがアラクラン達なのか、それとも同じような命を受けた仲間たちかはわからないのだが……その場所を知ることによって、事前に対処する事は十分に可能。
 そして、その情報を含みながら、更に進んでいくと……その足音は極めて接近。
「……近いわ」
 仲間たちだけに聞こえるくらいに小さな声で、仲間たちに注意喚起するイレギュラーズ。
 出来る限り足音を立てないようにして進む事で……地下道を曲がった先にいる『アラクラン』達に事前察知させることなく、先手を取る。
「……今だ!」
 とエイヴァンが仲間たちにそう呼びかけ、すぐさまイレギュラーズとラド・バウ闘士達で、アラクランの下に向けて駆ける。
『っ……敵襲! 総員、太刀舞われ!』
 と、アラクラン一小隊の隊長と思しき者が、そう配下達に指示を与えるとともにその方角に向けて対峙させる。
 ただ、そんな敵の動きを一刻目は攻撃をほどほど西監視し、敵のそれぞれの役割を確認。
 攻撃も、防御行動もとらず、詠唱の構えを見せる者を注視すると……その目の前に、光の尾を引く亡霊のごとき者と、炎をまとう巨大鳥がそれぞれ出現。
「左後方と、右中……召喚士はその二匹の様だな」
「そうみたいだな。ならば、まずはそこに繋がる道を切り開こう!」
 雲雀とレーカが威風堂々たる言葉を紡ぎ、先陣を切る
 アラクランはそんなイレギュラーズに対し、一切躊躇することなく。
『お前たちを、新皇帝の勅命の名の下に、殺戮の限りを尽くす! 覚悟!!」
 と、こちらもまた威風堂々。
 踏み込み敵をターゲットする所まで行く着くき、先陣切る雲雀は敵を鋭く見定め、気糸を放ち敵を纏めて絡め取る。
 続きレーカも。
「中々威勢良いな! ならばこちらも全力で戦わせて貰う」
 と、敵の注目を一手に集めるように声高らかに宣言。
 相手側もそれに呼応するように武器を掲げ、攻撃……更には召喚された天衝種二種も、中衛より嗾ける。
 一方は光を放ち敵味方に光源を与える一方で、怒りの炎は身を焦がす。
 しかしその攻撃、エイヴァンが。
「っ……!」
 と間に割込み反撃。
 更には義弘とレインの二人も、他の仲間達と連携し、一体だけを集中砲火する。
 そんな前衛、中衛の者達が激しく立ち回る一方で、後衛からアーマデルが。
「……お前達に、苦しみの声を……」
 と志半ばの英霊の音色で心を蝕み、フルールは苛烈な焔で敵を焼き、鏡禍は。
「さぁ皆さん、こちらですよ。僕を殺してごらんなさい」
 敢えて敵の気持ちを乱す様な言葉で挑発し、敵を蠢かせる。
 そんなイレギュラーズ達の攻撃一巡に対し、アラクラン小隊は、容赦せずに左、右両面から怒濤の攻撃。
 イレギュラーズとアラクラン、更には天衝種達が凌ぎを削り合う……が。
「……!」
 その時。
 突然イレギュラーズの後方に、ふわりと現れる蒼き狼と、透明な氷の精霊。
 フローズヴィニトルの力により具現化した冬の精霊達……だが、慌てることなく。
「闘士さん……冬の眷属達を、お願い……」
『ああ、わかったぜぇ!」
 とレインの指示に頷き、闘士たちは現れた冬の精霊たちへ対峙。
 冬の精霊達は、単体はかなり強敵ではあるものの、ラド・バウ闘士達もかなりの腕利き揃い。
 冬狼と精霊達に対して、互角位までの戦いは何とか凌いでくれる。
 ……そして、その間にイレギュラーズ達は、厄介なるアラクラン小隊を、仲間達が崩れるよりも前に討ち倒すべく攻防を経る。
 そして、敵の攻撃にて傷ついた仲間達はエイヴァン、義弘、レインの前衛三人が回復を行う事で、ラド・バウの同士達にその攻撃が行かないように立ち回る。
 ……そんなイレギュラーズ達の連携所作に、アラクランの小隊長は。
『ふむ……中々強敵の様だ。だが、それもまた面白い!』
 と、何処か嬉々として仲間達を嗾ける。
 10人程一小隊ではあるが、攻撃役、回復役、更には天衝種を呼び出す補助役の三種、それぞれがそれぞれの仕事を熟練の腕で熟していく。
「中々……手強い相手だ。だが……ここで俺達は負ける訳にはいかないんだよ」
「ああ……そうだ。お前達に『フローズヴィニトル』の封印を解かせる訳にはいかないんでな」
 雲雀と義弘が、敢えて『フローズヴィニトル』の名を口にする。
 ……それに。
『……ふん』
 ほんの僅かではあるが、口元を緩ませ鼻で笑うアラクラン達。
 イレギュラーズ達が知って居る事も、どうやら予測済みだったのだろう。
『いいか、殺せ。奴等を生きて返すな!』
 と、更に血気盛んに声を張り上げるアラクラン小隊。
 そんな小隊の動きを見据えつつ……先ず倒すべくは、天衝種を呼び出す召喚士。
 立ち塞がる敵をエイヴァンと義弘の二人が力尽くで押し退けて、召喚士への道程を切り拓いて行くと、後に続く雲雀とレーカ、レインが召喚士に攻撃。
 流石に前線に立つ者達よりは防御力が引く召喚士達。
 強力な一発を次々と叩き込む事で、アラクランの召喚士を数刻の内に、先んじて倒す。
『何っ……!』
 その怒濤の攻撃に、少しばかり驚きの表情を浮かべる小隊長。
 それに。
「……アラクランの人達が、新皇帝の勅命を受けているのは分かりました。ですが……こちらにも負けられない理由があります。だから……フローズヴィニトルは絶対に復活させません……!」
 強い決意の眦と共に、睨み据える鏡禍、笑みを浮かべる彼等。
 ……新皇帝の勅命ではあるが、彼等としては強者と戦える事も、一つの楽しみであるのだろう。
 そんな心の奥底まで戦闘狂なアラクラン達の攻撃を、前衛五人が分散して受け止めながら、カウンターからの反撃一閃を仕掛けていく。
 強敵のアラクラン……士気の高いイレギュラーズ。
 互いに体力を削り合うも……僅かに、イレギュラーズ達の連携が上回り、時間は掛かりながらも一匹ずつ、確実に仕留める。
 ……並行して氷狼らも、ラド・バウ闘士達が確実に倒して行く事により……一小隊と氷達を仕留めるイレギュラーズ達であった。

●安息の先
 そして……幾重のアラクラン小隊と天衝種を倒したイレギュラーズ達。
「……ふぅ。取りあえずアラクラン共は倒せたわね。闘士達は……」
 とフルールが視線を配すと、闘士達は苦戦はしつつも倒したようで……サムズアップで笑みを見せる。
「流石ですね……ラド・バウの闘士の方々の加勢、心強いです」
 と鏡禍が褒めるが……それに。
『グルゥゥゥゥ……!!』
 まるで自分達を無視するな、と言わんばかりに牙を剥き噛みつこうとしてくる氷狼と、氷結した氷柱の如き杭を放ち、攻撃してくる精霊達。
「流石にこれらを倒すのは気が引けるな……ただでさえフローズヴィニトルの力の残滓が具現化したような物だろう? それに、倒したら倒したで、次から次へと出てくるんじゃ、キリがねえな」
「確かに……退路を塞ぐヤツだけ倒して、この場を離脱するか」
「そうね……ムリに倒す必要は無いと思うわ」
 エイヴァンの言葉に義弘とフルールが頷き、そして周りの闘士達にも呼びかける。
「では……行くぞ!」
 とレーカの号令に合わせ、背後に現れた氷狼を集中攻撃で倒す。
 更なる敵が現れるよりも早く、その場を撤退……その退路にまた、更なる追撃の冬の精霊などが現れるが、退路を断つ者のみを仕留めながら……極寒の風が吹きすさぶ方向から急ぎ離脱する。
 数刻の後、身を縛り付けるような寒風は収まり、冬の精霊と氷狼が現れなくなる所まで退去した所で。
「……この辺りまで来れば大丈夫そうだな」
 と安堵の溜息を吐くエイヴァンに、少し息を切らせながらレインが。
「……大丈夫……? ……取りあえず、良かった。地下道に避難している……人達の安全……護られる、かな?」
 レインの言葉に義弘は。
「……その為に俺達がいるんだろう? ……仲間達も、同じようにフローズヴィニトル討伐に動いている……きっと、大丈夫だ」
 とその頭を軽くポン、と叩きながら……イレギュラーズ達は、同じく動く仲間達の結果を期待し、一旦拠点へと帰還していくのであった。

成否

成功

MVP

鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾

状態異常

なし

あとがき

ご参加いただき、ありがとうございました!
なかなかアラクラン達は戦闘狂な感じではありましたが、ラド・バウ闘士たちとの協力で脅威を退けることができました。
もちろん地下のフローズヴィニトルの動きはまだ不気味なところではありますが……。

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