シナリオ詳細
<咬首六天>遥かなるこたつを求めて
オープニング
●アーカーシュにて
鉄帝を襲う大寒波は、未だ収まる気配を見せず。されど冬であればこうした事態も充分にあり得る。
要は、タイミングがただひたすらに悪かった。
それだけの話であり、それゆえの理不尽だ。
そんな中、浮遊島アーカーシュほど理想的な場所は、早々ないだろう。
古代人の消えた地であるアーカーシュには、彼等の遺した様々な物品が残されている。
それらを稼働可能な今現在、独立島アーカーシュでは様々な試みがされている。
だが、そんなアーカーシュにも天衝種はやってくる。
たとえば、そう。森の中で蠢く天衝種。
ラースホーネットと呼ばれるそれらは、森の中に黒い球のようなものを落としていく。
マッドアーマー。そう呼ばれる乗っ取り、模倣を得意とする天衝種。
それらは「何か」を真似し、その姿をとっていく。
最近よく見られる形態はアーカーシュゴーレム。
そして今は……こたつ……?
●こたつを探し出せ
鉄帝は厳冬……もしかしているの? こたつ型ゴーレム……?
『魔女断罪』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)がそんな発想に至ったのは、寒かったからだろうか?
しかしながら、そこはアーカーシュ。探してみるとこたつ型ゴーレム、実在したようなのである。
「ですが、現存するこたつゴーレムは野生化してしまったようでして。なんとか捕まえなければいけないみたいです」
ココロの言葉に、集まった面々は疑問符を浮かべる。
野生化したこたつとは、これ如何に。
そもそもこたつゴーレムとは一体何なのか?
「……どうも古文書を調べるに、こたつゴーレムは暖房ゴーレム同様、派遣されるタイプのゴーレムであったらしい」
歯車卿の使者は、なんとも微妙な表情でそう補足する。
そう、以前探索に向かった集中暖房待機センター。
こたつゴーレムはどうやら、そこにかつては配備されていたゴーレムであったようだ。
しかし何らかの事情でこたつゴーレムたちは集中暖房待機センターには戻らず、そのまま野生化……もとい暴走してしまったようだ。
それから長い年月が経ち、未だに生き残っているこたつゴーレムが確認された、というわけだ。
「しかし、此処で問題が発生した……天衝種だ」
天衝種、マッドゴーレム。他の姿を模倣する天衝種だが、何を考えているのかこたつゴーレムを模倣したようなのだ。
「恐らくだが、暴走したこたつゴーレムと相対し『真似る価値がある』と判断したのだろう。そのせいで、この地点にある森が危険地帯になっている」
言いながら歯車卿の使者は、地図の一点を叩く。
「天衝種を倒すのは勿論ですが、こたつゴーレムも回収しなきゃですよね。これもまた、寒さに苦しむ鉄帝を救うカギになるかもしれません!」
まあ、そうなるかは分からないのだが……どのみち天衝種は倒さなければならない。
それにこたつは良いものであり、冬の友だ。
そのゴーレムがあるとなれば、回収したいのは人情というものだろう……!
- <咬首六天>遥かなるこたつを求めて完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年01月09日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●遥かなるこたつの為に
「さて今回の仕事は、偽コタツゴーレムの破壊と真コタツゴーレムの破壊と回収だ。偽物は破壊して解体処分、本物は倒してから回収、修繕して持ち帰る事になるか。なんだがよ、廃品回収業者みたいだぜ」
『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)の声が森の中に響く。
そう、義弘の言う通り、今日の仕事はこたつ狩りである。この寒い冬、こたつは重要だ。少なくとも普通はこたつは野生に帰ったりしないが、この場においてはそう気にならないかもしれない。
「こたつ。それは一度入ると容易に抜け出すことができない超強力な能力があるようです。しかし真面目な話。凍傷は手より足に起きるケースの方が多いと海洋王立医学校で教わっています。足を効率的に温められるこの機械、ぜひ欲しいですね」
真っ白な水着に薄い布を羽織っているだけの『魔女断罪』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)に比べれば、こたつが野生に帰っていることなど何ほどのものだろうか?
「野生のこたつ……シュールな光景かもだけどちょっとかわいいかも。マッドアーマーは嫌な感じだけど、こたつゴーレムが発見できてよかったね! 一旦倒さないといけないのは残念だけど、修理して、集中暖房待機センターに帰して整備して、冬を越すために働いてもらおうね!」
『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)も仲間(ココロ)のシュールな光景にはコメントしない。
あるいはシュールがココロにもかかっているのかもしれない。
「こたつ出てくるの遅くね……? もう1月だぞ。まあ、寒さ厳しいから対策できるものは取っていかないとな……対策になるのか? 設置型だぞ」
『紅矢の守護者』天之空・ミーナ(p3p005003)もそう言うが安心してほしい。水着のココロは遅いを通り越して、いっそ早い。
つまりなんかこう、大丈夫だ。鉄帝の寒さも収まる気配すらない。こたつのような暖房器具は必要性を増すばかりだろう。
何しろ外に出なくなるのだ、設置型でも問題はあまりないしアーカーシュの場合は暖房ゴーレムも併用していたので、まさに完璧な運用方法であったといえる。
「こたつゴーレムって電気どうなってんの。精霊式だからか? 精霊式ってヤツは便利だなー。そいつら直してこたつで丸まろうや!
「見つけたら構造をよく調べて描かないといけませんね」
『タコ助の母』岩倉・鈴音(p3p006119)も言いながら、周囲を確認する。
ちなみに連れてきている雪歩は同人誌(えちち)の取材も兼ねてこたつモンスター退治に参加したという剛の者である。
「こたつゴーレム、森のどこで遊んでるかな」
今のところ見つかってはいないが……そろそろ近いだろう。
「コャー、おこた、おこた~。炎たるわたしと言えども、やはり冬になるとこたつでぬくぬくしたくなるときもあるの。ちなみに、狐はイヌ科なので庭を跳ねまわりたくなるときもあるの。しかしながら、立派なこたつゴーレムがあると聞けば気になってしまうのは仕方ないと思うのよ」
「仕方ないというか、冬にこたつは最高の組み合わせなのですよ! 入るだけで体も心も暖まるのでしてー。でも、段々眠くなっていくだけで入ってすぐ眠らされるのは違うんじゃないのですよ……?」
『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)と『開幕を告げる星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)がそう言えば、『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)も「うむ」と頷く。
「こたつであるか。実物を見るのは初めてであるが文献で読んだことはあるである。何でも一度入るとその居心地の良さから出たくなくなる魔性の家具と聞き及んでいたが動くとは知らなかったであるな。実に興味深い、上手く捕まえて是非ともその心地良さを味わおうではないか」
「こたつゴーレムが捕獲できれば、冬越えに役立ってみんな助かるのかしら~? ということで探検なの。森で野生化したこたつとは、なんともはや、奇妙な存在なの。森の動物たちの巣になってたりはしないのかしら~?」
それはそれで面白い光景な気もするが……ココロが「あっ」と声をあげる。
そこには、目的となるこたつが飛び回る光景があったのだ……!
●不幸にも黒塗りの高級こたつ
「あれがこたつ……歯車卿さんは何でも知ってますねえ。黒塗りの高級こたつ、あれはなぜとは言いませんが義弘さんが好きそうなデザインですね。まあ、偽物らしいのでボコりますけど。とりあえずアーカーシュゴーレムさんにはサイドブレーキを引いておいて待機していただきましょう」
ココロの言う通り、確かに黒いこたつと木目調のこたつがある。
ちなみにぶつかっても義弘が示談の条件を提示してくることはないので安心してほしい。
「問題は色の違いだよな。家政婦は見た! 木目調の暖かそうなこたつがほのぼのしているのを……! 木目調が本物だから回収しなきゃ」
「黒い奴は偽物、木目調の奴は本物だが、そもそも何なんだこの奇っ怪な存在は……そして何故マッドアーマーはこれを模倣しようと思ったんだ……なにかしら有益な事があったのかねえ」
鈴音と義弘もそう言い合うが、分かるはずもない。ましてや飛び回るこたつの気持ちなど。
「とりあえず、こたつゴーレムは機動性自慢っぽいのね」
「ルシアには今回とっておきの作戦があるのですよ! そう! 飛べばいいのです! そうすれば仮に捕まったとしても下から熱が逃げて寒くはならないのです! 入れば一瞬で寝かされる程の心地よさは確かに気にはなりますけども! 今は倒すのに集中するのでして!」
ルシアがそんな提案をするが、なるほど確かに有効であるかもしれない。こたつたちも此方に気付いたのか、動きを止めているが……どうやら、作戦タイムはここまでのようだ……!
「くるよ!」
アクセルがマッドこたつゴーレムに向けて神気閃光を放つ。
たとえ動きや形が同じでも、色が違えば判別は容易だ。だが……こたつはどちらも非常に元気だ。
複数体が飛び跳ねながら、アクセルをふわりと包み込む。
「こたつ……ぬくぬく……羽毛の間の空気が温まるのはいいよねー……」
「ア、アクセル殿ー⁉」
「へっくし!」
すぐにこたつがどっかに行ったのでアクセルは無事に起きたが、なんという誘惑だろうか。
アクセルから離れたマッドこたつを狙い練倒は破式魔砲を放つ。
その高威力の一撃はマッドこたつに大きなダメージを与えていく。
「この程度の熱波など火のドラゴン・ロアを持つ吾輩には微風とは変わらないである」
別のこたつから放たれた熱波を受けながら涼しい顔をする練倒にもしかし、こたつが迫っていた。
「幾ら魔性の魅力をこたつとは言え戦闘中に寝る等有り得な……ぐー、ぐー、ぐー……ぶえっくしょん⁉」
「ヒートビームの斉射に恐れてはいけない。近づいた方がかえって安全です!」
グラム・アンティノアを振るいながらココロが叫べば、義弘も「ああ」と叫び返す。
「攻撃力自体はそんなにねえ! 踏み込んでも平気だ!」
しかしながら、問題がないわけではないと義弘は思う。
(こんな存在だが、縦横無尽に立体起動で動いてくる。上空も平気で落下してくるしな……仲間と連携しながらお互いをカバーして、死角から襲われないように注意しよう)
こたつという頑丈な四つ足であるせいか、動きに躊躇がない。
「温かさで眠らされるのもまあ仕方ない。寒さですぐに目覚めるようだが、皆、風邪引かねぇようにな。まあ、早めに起こせるならそれに越した事はねぇが」
範囲に入ったこたつに義弘が八岐大蛇を叩き込み、胡桃のこやんふぁいあ〜がマッドこたつゴーレムに炸裂していく。
「見た目木製っぽいのだけれども、よく燃えるのかしら。あんまり景気よく燃やしすぎると、後で修理できなくなってしまいそうなので、暴走こたつゴーレムに関してはやりすぎてしまわないように注意かしら~?」
そんな胡桃だが、ぴょんぴょん反復横跳びでこたつゴーレムの動きに対抗している。さながら狐が威嚇しているかのようだが……胡桃にもこたつゴーレムが包み込むべく襲い掛かる。
一瞬のスキをついて飛び掛かったこたつに胡桃は包まれて。
「これは眠くなってしまうのはいたしかたないと思うの……ねむねむ……へっくち」
しかし、すぐにこたつゴーレムは何処かに行くので起きてしまう。なんとも生殺しなゴーレムではある。
「おいおい、皆こたつなんかに負けるなよ」
マッドこたつゴーレムにナイアガラデッドエンドからの紅を仕掛けていたミーナがそう余裕の表情を見せるが、そんなミーナも平等にこたつは包み込む。
「私はこたつになんか負け……スヤァ」
寝たところを鈴音にバッチリ目撃されたミーナはこたつ去りし後に起き上がり何でもない表情をする。
「……いや、負けてない。負けてないよ。死神がこたつに負ける訳ないじゃん」
「家政婦は見た! 木目調の暖かそうなこたつとミーナがほのぼのしているのを……! 木目調が本物だから回収しなきゃ」
「ま、負けてないよ!」
「こたつにはみかんとか雑煮……食い物のある状態が定番かな。チーズでも置いて背中のテーブルに載せるために寄ってくるか試してやる~」
「負けてないからな!」
ミーナをそのままに、みかんやチーズでおびき寄せようとしながら鈴音はシムーンケージを放つ。
「やいやい! あんまりうろちょろせずに大人しくせんかぁ~」
本人曰く「今日はこたつ鍋よ~ヾ(´∀`*)ノ」らしい。こたつで鍋をするという意味に違いない。きっとそうだ。さておいて。
「♡あらあら~こんな感じなのね~。嫌がっていても身体は正直なんですね~。ここが差し口でしょうかすやぁ」
「あんまり接近するとこたつの中でスヤァしちまうんで気を付けろっ。そこの魔人絵師っ……あー、遅かった」
雪歩がすやぁをしていたりもしたが……まあ、ひとまず大丈夫そうだ。
そうしているうちにマッドこたつゴーレムたちは全滅し……残るは本物のこたつゴーレムだけの状況で、ルシアは思い出したように声をあげる。
「あそこの本物の方ですけども……もしかして一瞬で眠れる異常な心地よさは暴走してる今回だけなんじゃないのかなーって思っちゃったのでして。だから正直かなり気になるのですよ……!ううっ、ちょっとだけ……ちょっとだけなら入ってみたいのですよ……!」
「確かに、こたつの中はあったかくてきもちいい魔性があるのを感じます。ちょっと気になりますね。ルシアちゃん……もしかして興味があるの? 一緒に行くよ、あなたを一人にはできません!」
ココロのそんな心強い(?)言葉にルシアも100万の味方を得たように頷くが……その隙をこたつたちは逃さない。
「――えっ、あっ! し、しまったのでして!」
此処まで来ると誘い受けというものに似ているらしいが、ともかくルシアとココロはこたつゴーレムにしっかりと包まれる。
「でもそう簡単に、ルシアは、まけないの、でしてぇ……」
「寝ちゃダメだー誰も寝てはならぬ~!」
すやぁからの「へっくち!」と「ぶえっしゅ!」のクシャミ。どっちかどっちかは本人のプライバシーなのでさておいて。
「……ううっ、ううん……さ、寒いのでしてー! 心地いい以上に寒暖差が地獄なのですよー!! やっぱりこたつは普通に入るのに限るのでしてー!!! 早く暴走止まって普通のこたつゴーレムになるのですよーー!!!」
そんなルシアの叫びはまさにこたつから引きずり出された全世界の猫の叫びにも似ているだろうか。
全てのこたつゴーレムを倒し、アーカーシュゴーレムによる修繕をすると……こたつゴーレムたちはしっかりとその機能を取り戻したようだった。あとはレリッカ村に連れ帰るだけ……なのだが。ちょっとだけ、ちょっとだけ温まっても何の問題もないだろう。
「せっかくだしな。少しだけ温まらせて貰おうか。温まりながらこう、一杯やるのもいいだろう」
そんな義弘の言葉が合図になったかのように、全員でそっとこたつゴーレムに入っていく。
ぽかぽかと暖かいこたつ布団に足を入れるだけで、天国のようですらある。
「冬にはやっぱりこたつとみかんだよな」
こたつゴーレムたちは命令すれば自分でついてきてくれそうだし、帰りも何の問題もないとミーナも安心した気持ちでこたつに入る。
「木目調ズ。気分はどうだ?」
テーブルの上で騎乗して走ったりみかんや鍋を載せて休んで確かめていた鈴音を雪歩がサラサラとスケッチしているが、森の中でこたつというのも中々にシュールな構図だ。
ルシアも、ココロも……今度こそ心置きなく「すやぁ」していて、なんとも平和な光景で。
「やっぱり、こたつにはみかんなの。由来は知らぬけれども、お約束と聞くの」
「文献にはこたつではミカンを食べるのがマストであると書いてあったのであるな。食べながらゆっくりとするである」
「そうだね。ゆっくり温まって、食べて、飲んで……最高だねぇ」
胡桃と練倒、アクセルも頷きあう。冬にこたつ。そしてみかん。
それは素敵な……そして、最高の組み合わせであるのは間違いなかった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
こたつゴーレムがレリッカ村に到着しました。
どんな寒さの中でも足元はポッカポカ! 猫も大喜びですね!
●運営による追記
本シナリオの結果により、<六天覇道>独立島アーカーシュの技術力が+10されました!
GMコメント
はい、というわけでアーカーシュの森にいって偽こたつを含むこたつゴーレムたちと戦い、本物を回収しましょう。
無事にこたつゴーレムを回収し直せば、その場でこたつも楽しめます。
●出てくる敵
・マッドこたつゴーレム×5
天衝種マッドアーマーがこたつゴーレムを模した姿。
見た目は黒い高級感のあるこたつ。
こたつの足を器用に動かし縦横無尽に立体機動を行います。
攻撃方法はこたつから熱波を放つヒートビームと、無理矢理こたつで包み込み、相手を眠らせる「こたつドリーム」です。
なお、眠ってもこたつが何処かに行くと寒くなるのですぐ起きます。へっくし!
・暴走こたつゴーレム×5
こたつゴーレムが暴走した姿。
見た目は木目調の高級感のあるこたつ。
こたつの足を器用に動かし縦横無尽に立体機動を行います。
攻撃方法はこたつから熱波を放つヒートビームと、無理矢理こたつで包み込み、相手を眠らせる「こたつドリーム」です。
なお、眠ってもこたつが何処かに行くと寒くなるのですぐ起きます。へっくし!
●友軍(希望があれば)
アーカーシュゴーレム×1
必要であれば同行してくれます。
こたつゴーレムを修理してくれます。戦闘能力はほぼないです。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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