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シナリオ詳細

再現性東京202X:恐怖のジャック・バニー! 或いは、JBの襲来……

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ふんふふん、ふふーん♪
 フラン・ヴィラネル(p3p006816)は上機嫌で練達の映画館に訪れていた。
 最近大人気と噂の『お茶の戸締り』を見に来たのだ。なんでも高校二年生の女緑茶『お茶』が不思議な扉を見つけてなんやかんやしている内に熱湯から逃げる映画なのだとか……いや、ん? もっと違う物語だったっけ?

「あーあ。でも満席だなんて困ったなぁ……
 でも『ジャック・バニー・カーニバル』の方には入れたから、いっか!」

 が。運悪く訪れた時間帯は満席だった様で吐息一つ。
 代わりに隣で上映されている『ジャック・バニー・カーニバル』は席が空いてたようだったのでチケット買って滑り込んだ。この映画知らないけれど、とっても可愛らしい兎がトマトジュース? 飲みながら表紙を飾っていたから、きっとほんわか系映画の筈! うん楽しみ!!
「あれ? フラン君じゃあないか。君も来てたのかい?」
「奇遇ですね。フランさんも映画鑑賞ですか」
「あっ、マリアさんにすずなさん! こんにちは!」
 そんな思考をしていれば聞きなれた声が後ろの席から聞こえてきた――マリア・レイシス(p3p006685)にすずな(p3p005307)のにゃんわんコンビだ。これはまたなんという偶然……おや? よく見ると他の席にも、ちらほらと見知った顔がいる様な……
 と、その時だ。ブザーの様な音が鳴り響いて、周囲が暗くなり始める。
 いつもの映画が始まる前の雰囲気だ……! ポップコーンとコーラを買って準備万端。
 さー『ジャック・バニー・カーニバル』の始まりだー!

 と、思ったらその時。

「あれ?」
 なんだか見た事のある光がフランを包む。
 スクリーンがちょっと眩しいとかいうレベルではない。なにこれ???
 あっ。まずいぞコレ! またアレだ! トメイトゥの時のアレだよアレアレ!!
「映画の中に引きずり込む、夜妖だ――!!」


「うわああああやられたああああトメイトゥの再来だああああ!」
「うっそやろ。『前』ので終わりやなかったん?」
「ちょっと……どういう事なのよ。なにこれホントにどういう事?」
「つまり――夜妖の仕業という事で宜しいですか?」
 絶叫するフラン。という訳で改めて説明しましょう――
 皆さんは映画の中の世界に引きずり込まれました! そう、夜妖の仕業です!
 近くには『前回』を経験した事のあるカフカ(p3p010280)が天を仰ぐ様にしていれば、コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)や彼岸会 空観(p3p007169)もその様子を見てなんとなく事態を察するものである――いやなんでこうなる???
「なんだと……まずい! まずいぞ!
 ジャック・バニー・カーニバルの世界は……まずい!!」
「はっ、ブレンダ先輩! 知ってるの!?」
 と、更にはブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)の声も聞こえてきたか――此処に集っている皆はこの映画の仔細を知ってここに来たのかもしれないし、時間つぶしで適当に入ったから知らないかもしれない。
 が。パンフレットを見た者か、このシリーズを追っている者は知っている筈だ。
 ジャック・バニー・カーニバルとは……

『フゥン?』
「奴だ、奴がくるぞ――人食い兎ジャック・バニーが!!」

 そう。殺人鬼、否、人食い兎ジャック・バニーによるホラー映画である!!
 ジャック・バニーとは一見すると可愛らしいが、しかし数多の人間を喰らって来た伝説の兎。奴の声が聞こえたらもう逃げるのは不可能だとされている……その映画の中に皆は引きずり込まれたのだ!
 脱出するには――180分間、誰か一人でも生き残るより他はない!
 うーん。でもなんだかジャック・バニーって長いなぁ。略してJBって呼ぼ。
 ……あれ、なんかどっかで聞いた事あるような。気のせいかな?
「はぁ、はぁ……これはなんだい? JBって呼ぶとなにか動悸がしてきたね……!」
「とにかく逃げないとまずくないですか。これって映画の展開に沿うんですよね、多分」
 マリアとすずなの胸の動悸が激しくなる。うっJB……なんだ、JB……?
 ちなみにこのJBシリーズ、最終的に登場人物が大体JBによって全滅するらしい。あんな可愛いマスコットですよ~感をだしておきながら……なんてJBだ!
 恐ろしい。背筋が凍る――けれど。
「え~JBってかわいいじゃない! ほらほら、ポスターにあった口に付いている紅いのだって、きっとトマトか何か食べた直後なだけよ~きっと本当は心優しいはずよ! 聖母だって顔負け! 間違いないわ!」
「えっ」
「えっ?」
 タイム(p3p007854)は信じていた。JBって本当はきっと優しい存在だと!
 ……なのにどうして皆はそんな一致団結した様に『えっ』って言うの? ちょっと後でお話があるんだけど? ――まぁ何はともあれ映画の中に引きずり込まれてしまった皆は、生き残らなければならない。
 ジャック・バニー。通称JBに狩られないように……180分間逃げ切るんだ!
 JBはチェーンソーを基本武装として、あともののついでに斧とかも使って来るぞ! やたら急所を狙うのが上手い歴戦の悪魔だから気を付けるんだ! 皆はキャンプ場に隠れ潜んでもいいし、森の中に逃げ込んでもいいだろう……
 もしかしたら森を進んでいけば廃遊園地という隠れ潜みやすい(奇襲されやすい)場所に辿り着くかもしれないね。え、なんで遊園地ってこれ『カーニバル編』だから!
 ――とにもかくにもこの映画は180分間ある。
 大ボリュームだ。誰だこの映画見ようって言った奴!!
『ハァ?』
「うわあああああ悪魔のJBだあああああ!!」
「ちょっと! 皆怯え過ぎじゃない!!? なによ覚えておくことね――お茶ァ!!」

GMコメント

 リクエストありがとうございます。私の命だけは助けてください……!!
 以下詳細です!

●依頼達成条件
 180分間……生き残れッッッ!!

●フィールド・シチュエーション
 皆さんは――映画の中に引きずり込まれました! 夜妖の所為です!(万能説明)
 どうやら皆さんは映画の主人公たちと役割が入れ替わったようです。不思議ですね!

 皆さんが見る予定だった『ジャック・バニー・カーニバル』は一言で説明するならば、凶暴な人食い兎が人々を恐怖のドン底に突き落とすB級ホラー映画(大ボリューム180分!)です!
 もちょっと説明すると、久々の休暇、わくわくしながらキャンプ場に訪れた主人公たちはジャック・バニーに襲撃され、恐怖の儘にあちらこちらに逃げる→逃げられたと思ったらJBに狩られる……というのが基本のストーリーです。
 でも皆さんが主人公役に置き換わった事によって、なにがしか変化があるかもしれませんね……!

 舞台は自然豊かな山奥に在るキャンプ場です。
 主人公たちのモノか、モブのものか、テントが幾つも張られてたりします。なんだか赤く見えるなぁ……
 近くには林があったり川があったりします。
 もう少し進んでみるともしかしたら廃遊園地とかあったりするかもしれません。だって『カーニバル編』なので。

 ちなみにもしJBにやられても、誰か一人でも180分間生き残ってれば皆最終的には解放されるのでご安心ください!

●敵(?)戦力『ジャック・バニー』
 『ジャック・バニー・カーニバル』という映画の主役です。
 一見するととても可愛らしい兎なのですが、その正体は人食い兎。
 数多の人々を恐怖のドン底に突き落として来た存在です――! 略してJB。
 んっ? このJBという名前……どこかで見た事ある様な……

 この映画の中にはなんと複数のJBが存在している様です。
 多分歴代シリーズのJBが集合しています。
 腕組みしながら『フゥン』とか『ハァ?』とか言うJB。
 某13日の金曜日に現れる様な仮面をつけたJB。
 排水溝っぽい場所に潜み『ハァイイレギュラーズ!』と声をかけてくるJB。

 などなど――いずれも狂暴な人食い兎です!

 気を付けてください。JBに目を付けられて生き延びた人間はいません。
 奴は恐ろしい兎です! いや鬼です! 悪魔! JB!
 JBは狡猾な罠を仕掛ける事もあります。例えば『↓ヴァリューシャのおさけ』という立て看板を立てたり『突き刺されすずな』という言霊を発する事もあるのです……
 可愛い外見に騙されてはいけませんよ。いいですか、もう一度言いますがJBは――んっ? こんな時間だが誰か来たようだ。ひとまずOPを審査に回して後で追記しておこ……ウワッ マドニ ジェベガ! ジェベガ!!

●モブ×複数
 映画の中なのでキャンプ場に泊まってたりするモブ(いわゆる犠牲者枠)がそこそこいます。まー映画の展開的に全員JBに狩られるので特に気にする必要はありません! JB……なんてことを!

●情報精度
 この依頼の情報精度はJBです。たすけてください。
 私はリクシナを書いただけなんです……よろしくお願いします!

  • 再現性東京202X:恐怖のジャック・バニー! 或いは、JBの襲来……完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年12月31日 23時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

すずな(p3p005307)
信ず刄
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
彼岸会 空観(p3p007169)
タイム(p3p007854)
女の子は強いから
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
カフカ(p3p010280)
蟲憑き

リプレイ


「またですか! またあなたですか――ほ、じゃなかった夜妖! くぅ! だからマリアさんに付き合うのは嫌だったんですよ! へんな映画見たいって駄々こねるから……! 3時間も耐えれるんですかって最初に聞きもしたのに!」
「こら! すずな君! 変な映画とは何事だ! 私だってまさかこんな事になるとは思ってなかったし、というかそれとこれとは話は別で、この映画は最高のクソ映画だんだよ! 取り消したまえ!」
「噛んでますよマリアさん!! なんですか『だんだよ』って!」
 細かい事に煩いわんわんだなぁ! ホラー物の定番である仲間割れを早速引き起こしているのは『忠犬』すずな(p3p005307)に『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)であったろうか。すずなは、つい知り合いの、ほ……げふんげふん。が原因かと思ったが違った様だ。
 とにかく事態は急転直下。こんな映画の中に引きずり込まれてしまったのである!
 マリアさんに付いてこなければ――! と、そんな事を想っていれば。
「ふむ。三時間の放映時間ですか……長丁場ですね。ちなみに超長時間映画を見る時の大敵が何かお分かりですか――? そう。お手洗い欲です。これが難敵なのですが、存外に対処法があるものなのですよ」
 そこへ現れたのが彼岸会 空観(p3p007169)である。お手洗い欲――! 特にコーラとかカフェインありのモノを呑んだらまずい事になりやすい。だが、そう。そんな時には痛み止めであるロキソニン等を予め服用しておくとよいのである。
「詳しくは【尿意 ロキソニン】で検索下さい。ええ、生き残れたらですが」
『フゥン?』 
 どこか近くで、そんな声がどこから聞こえた――
「あああああまたJBの声が聞こえたアアアア!! うっうっもう終わりだあああ皆JBに炎上させられてズタボロにされて世界はJBが支配するんだ……!! あの暗黒兎大勝利ルートなんだよこれきっとおおお」
「なんやねんほんまめちゃくちゃ既視感あるんやけど。この夜妖って何匹おるん? 何? 最近は映画の世界に取り込まれるのがトレンドなん? 折角なんやったらもうちょい楽し気な映画の方がええんやけど……」
 さすれば『ノームの愛娘』フラン・ヴィラネル(p3p006816)は発狂寸前。『無視できない』カフカ(p3p010280)の瞳もどことなく死んだ様な色になっている様な……パニックホラーの類に巻き込まれるなんて未履修である! とりあえず普通にキャンプ楽しんでればええやろうんうん。
「馬鹿カフカ!! 悠長に火なんて起こしてる場合か!! そんな事してたら奴らが来るわよ!! ああもぉうくそ! こんな所に居られるかっっ!! アタシは部屋に帰らせてもらう!! こんな殺人バニーがいる所にいられるか!!」
 そしたら『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)はフラグを乱発しながらその場を離れんとする――! へへ、アタシはこんな所では死ねないのよ!
「宝くじに当たり、胸元に恋人の写真が嵌められたブローチを開いて結婚が決まった気になって、黒猫が334匹通り過ぎようとアタシは絶対に生き残ってみせるわ!!」
「こら、コルネリア君! いまの猫の数はどういう意図があっての事なんだい!? コルネリア君も折角だから堪能するんだよ! JBにはとらぁ君とはまた違った魅力と必殺技があるさ!」
「うるせぇマリアアア! アタシは生き残るんだああ」
「えぇ!? ダメだよコルネリアさん! こんなときに単独行動+煙草なんて! 死ぬよ!」
 マリアやフランが止める声も聞かず、自らの部屋に滑り込むコルネリア。
 ガチャガチャと施錠&バリケード築いてふぅ安心!
 ……んっ?
「あら。何かしらこれ、ベッドの下に何か……ハッ!!?
 ま、まさかこれは……JBとは……JBの正体とは……!」
『ハァ?』
「物音!? ここには誰も居ないはず!」
 振り返るコルネリア。が、そこには誰もいない……
 ふぅ……気のせいじゃないの、驚かせやがっ……んっ!?
 うわ、天井に! 天井に大量のJBが!!

 ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!

「全く。これだからJBシリーズの素人は……しかし、チッ。最近ストレスをJBシリーズを見て発散していたツケがこんな風になるとはな……あの『フゥン?』が癖になるんだ。ん、なんだ知らないのか? 私のお勧めは水をかけると増えるタイプのJBなんだがそれだけではなく本当に色々種類があってな?」
「ひぃ! ブレンダさんの目がクソ映画に染まってる!!」
「おや。どうやらブレンダ様はJB映画に御詳しいようですね?」
「ああ! この映画は最高だぞ! 何なら三時間と言わず二十四時間語り尽くしてもいい! とりあえず今回はJBオールスターズによる最強JBトーナメントだろう? キャッチコピーはたしか『世界よ、これがJBだ。震えろ』だったか」
 と。そんな木霊する悲鳴を聞きながら超絶早口でまくし立てるのは『導きの戦乙女』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)だ――でもフランは見た。ブレンダの瞳がやべー色で染まってることを! ダメだこの人JBオタクだ!
 と、その時。

「ね~、みんな怖がり過ぎじゃない?
 あんなに可愛いのに悪い事なんてするわけないよぉ。
 コルネリアさんだってきっとお風呂場でまた滑って転んだだけだってぇ」

 もっと気楽に構えていこうよ。ねっ?
 ――そんな事を言っていたのは『この手を貴女に』タイム(p3p007854)だ。
 映画の内容? 全然知らないけれど、話せば分かってくれると思うわ。
「だって兎さんよ? 兎は平和と慈悲の象徴だもの! 今そう決めた!」
「いや。JBは鬼で悪魔で処刑人にして死神というのが全シリーズの共通点なんだが」
「なぁに? よく聞こえなかったんだけど、殺されてぇのか?」
 ブレンダの知識に微笑むタイム。ひぃ!!
 えっ、言葉遣いが荒かった……? うっ、一瞬思考にノイズが。
「とにかくテントの中で静かにしてれば大丈夫よ! ね~兎さん」
「わ~タイムちゃん、なんかかわいいうさちゃん抱っこしてるけど指齧られてない? ていうかそのうさちゃん、どっかで見た事ある気がするんだけど……」
「あ。この子? さっきそこで見つけてね――連れて来ちゃった♪ 『プルァ』『ヤハッ!』――みたいなことしか喋らないけど、悪い子じゃないと思……あれ? フランちゃん? どこ行くの! 皆もなんでそんな全力疾走するの!」
 ギャアアアアオリジンンンンン!! 一番ヤバいJBオリジンだあああ!!! ダメだここは危険だ――逃げろ――あ、マリアさんが転んだ――! うわーカフカさん、後ろぉぉぉぉ――!! いやああああ――!! やだー! この兎怖すぎる――!!
 木霊する声がどんどん離れていく。皆脱兎するようだ。
 ハハッ。ウサギはこっちなんだけど(笑)ウケる(笑)
「うう、また頭になにか……ノイズが……」


 はぁ、はぁ、はぁ。
 カフカは走っていた。さっき『JBって闇食って生きてそうやん』とか呟いたら、何故かその瞬間背後から殺意を感じた――直後には死神の鎌が一閃されていたか。危ない。EXFが高く無ければ死んでた。JBこわい。
「油断も隙もあらへん、最短最速で人様の首狙ってくるとかこの殺人鬼怖すぎへん?? アレ完全に手慣れた人のやり口やったで? 殺人鬼JB……普段から闇の中に生きてるんやろうなぁ」
 取りあえず逃げなあかん。何を犠牲にしてでも……その為のローラーシューズ!
 地上を滑るカフカ! これだけの機動力があればJBだって追いつけな……あっ、小石に躓いてあ、あ、あ――!

「はぁはぁはぁ……生きてる!! アタシ生きてる!! 空気が旨い!!
 うおおおお、JB絶対に許さねぇ!」

 と、その時。森に響く声は――コルネリア、まさかの生還!
 間一髪窓をブチ破って逃げる事が出来たのか! よぉし!
「これで――民意によって決まったコルネリアバリアを使えそうだな」
「なによそのコルネリアバリアって! 民意に見せかけた悪意の投票やめなさいよ!」
「悪意はありません! 平等な民意ですよ民意!」
 なんとかなりそうだと紡ぐのはブレンダにすずなか。コルネリアは猛抗議するのだが、とにかく急がねばならない。だってJBの気配が迫っているのだから――! あっ、やば。
「……あっ。森の中にいる『何か』と目があいました! 逃げ、ってもうみんないない!! うそ!! 早すぎる!! ブレンダさん! こういうのって騎士が食い止めるものじゃないんですか!?」
「今の私は騎士ではない。JB映画の登場人物だ!」
「そんなー! まってまって、コルネリアさんはどうしたんですかコルネリアさんは! ああもう役立たず!!」
「うるせー! 勝手に盾にするつもりにして、勝手に失望するんじゃねー!!」
 瞬間。すずながロックオンされた。
 一目散に逃亡するメンバー! 背後より迫るJBの殺意――ヤハァアアア!!
「ハハハ、これがJBシリーズの本物の臨場感か――! まぁね! 私は最強の虎なんだけどさ! やっぱり争いは良くないと思うんだ! JBに逆らって生き残った人間もいないしね! なので一足先に失礼するね! それじゃ!」
「にゃんこおおおお!! こらああああ!!」
「すずな先輩! すずな先輩の尻尾をモフった想い出、一生忘れないね!」
 続いてマリアも逃走。煩い! 虎だって転進する時は転進するんだ! そしてフランも根性の別れであるかのように尻尾をモフりながら素数を数えた想い出を紡ぐ――が。
「ひゃああああ前に回り込まれたああああ! うああああ来るなあああ! カフカバリアー!」
「なんで? どうしてなん? うわー!」
「カフカ君……まぁ頑張っておくれ! 君ならきっと生き残れるさ! 保証はしないけど!」
 そんなフランの前にJBが至る――! 故に手元にいたカフカで防御全開! うう。罪のないカフカがまた一人、犠牲に……
「ブレンダさんもうむりいいい怖いよおおおおぶってええええ!」
「うわフラン殿、また背中に引っ付くな!
 くっ、離れない! 力強ッ! 折角ならコルネリア殿の背中を犠牲にするんだ!」
「まぁまぁ皆様落ち着いて下さい。廃遊園地に付きましたよ――
 ここなら暫し隠れる事が出来そうですね」
 と、そんなこんなで絶叫の最中にあったが空観が見つけたものだ。
 廃遊園地。JBがどこからでも出てきそうな空間――! の一角に潜んで。
「はぁ、はぁ、やっと着いたん? ちくしょう、こんな状況じゃなきゃ空観さんとかみたいな別嬪さんと遊園地を楽しめたのに……!」
「ここも悪くない遊園地だけど、VDMランドには及ばないね! 生き残れたら今度カフカ君は遊びにおいでよ!」
「え、マリアちゃん経営してる遊園地あるん? 今度是非行かせてもらうわぁ」
 一息。JBに襲撃され、あちこち傷だらけのマリアとカフカが語らえば。
「ふぅ。さて――実は私何を隠そう、このジャック・バニーの元ネタと言われる方と実は懇意でして」
「なんだって!? 空観君……そんな切り札をもっていたのかい!?」
「具体的には恋愛相談等を受けております。ふふ、恋愛の経験などない私にね。ふふ。確かジャック・バニーにはサマー・チャイルドプレイなる恋人がいるらしく……おや? これ以上は駄目? むむ。天からのお告げでは仕方ないですね」
 空観の話に興味津々のマリア。でも謎の力により何故かこれ以上の発言が出来ない――!
「それでは別の話題を。
 ――実は。ジャック・バニーの唯一の弱点とも言えるものを知っております」
「なっ……まさかそんなモノがあるっていうの!?」
 ええ、フライォーゲルさん。それは。
「――ゴシップネタです」
「なんて?」
「ゴシップネタです。どんなに血に飢え燥いでいてもゴシップネタを見ると大人しく聞いてしまう性質があるはずです。そしてこんな事もあろうかとしっかり用意してあります。フライフォーゲルさんのゴシップネタが書かれた札を七枚用意いたしました」
「なんて??? ちょ、待ちなさいよ。なんて???
 ちょ。どっから何を聞いて、何を用意したのよ見せなさいよ!!」
 と、空観が懐より差し出したのは……幾つかの札。
 そう三枚のお札という物語になぞられて用意したモノだ――全く。さっきからフライフォーゲルさんがうるさいですね。ネタの出所? 何を仰っているのか分かりません。
「ちなみにフライフォーゲルさんの分は民意によりありません、宜しくお願い致します」
「アンタらぜってー覚えとけよおおお!!」
 とにかく。これが在れば時間が稼げそうです――と思考を巡らせた、瞬間。

「空観さーん! フランちゃーん! みんなどこ~!?」

 ヒッ。なにか声が聞こえた。
 ――いやアレはJBの声ではない。タイムだ! タイムの声だ!
 ちょっと待て。なんかタイムの背後に等身大ウサギの着ぐるみが在るんだけど。あー確かアレ……ホラーゲームのキャラで、デッド・バイ・デイラビットのコラボも話題になったヤツだ。えっ?
「何々? 一緒にみんなを探してくれるの? え~やさし~!
 ほら話せば分かってくれるじゃない!
 皆でてきてよ~! この子達が盛大に『歓迎』してくれるんだって~~!」
 きゃっきゃ。楽し気なタイムがまず探すのは――すずなだ。
 あいつは絶対逃がすなよ。そんな意志を感じる……ヒィ、どうして!
「あっ。見つけた~こんな所いたんだ~!」
「ひ、ひぃ! あっ、ああああタイムさん、じゃなかったJBが排水溝から! ちょっ、なんですかこの看板! やだやだ、フゥンじゃない! たすけ、くーかんさん! このお札きかないいいいいいい!! あっ、マリアさん! ほら早くあなほってええええ!!」
「すずな君……君とはいい友人だったけれど、時と場合という言葉がこの世には存在するんだよ……!」
 ああ! 遂に捕まるすずな。逃走するマリア!
 ――ねえ、私シャイネンナハトで宇宙いってきたばっかりなんですよ!?
 手心くらいくれても――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!
「あっあっあっ、来るな、来るなぁぁぁぁ!!! 今のは! 今の射撃は間違えただけだから!! くそ! なによ、なんでこんなタイミングで弾切れするのよ!! おかしいでしょこれもホラー補正か!!」
 次いで、隠れながら撃って、逃げるサポートする……ふりをしてJBを他の奴らに押しつけて――やろうと画策していたコルネリアだが、うっかりミスから逆に引き付けてしまった! くそがあああ! 来いよ! それならもう逃げも隠れもしねぇ!!
「アタシとJBバトルだっ!!」
『ハァ?』
「一人で勝てなくても、複数人で一気に掛かれば――
 ちょっとアンタ達! 見てないで加勢しなさいよ! 最低でも応援しなさいよ!」
「いやぁ……こういう所で参戦しても、薙ぎ払われるオチが見えてなぁ……」
「頑張ってねコルネリアさん! コルネリアさんの雄姿……忘れないよ!」
「フラン、その憐れみの目やめさないよ!!」
 コルネリア、必死の奮戦。ウサギ型JBの高速腕回しに対抗すべく――『フゥン』カウンターだ! ダイレクト・アタックで逆に兎を粉砕せんとする――でもJBの援軍がやってきて、次々とコルネリアに飛び掛かっていく――あああ!
「え? うわぁぁぁぁ!? JBだぁ!?!?
 コルネリア君もすずな君もめちゃくちゃにされてるじゃないか!!
 こわっ! とらぁ君! 遊園地なんだからどこかにいないかい!!?」
 そんな悲惨たる光景を見てマリア、泣きそうである。
 タスケテ;; でもとらぁ君は今頃VDMランドでとらとらしてるんだ。
「あ!? こんなところにヴァリューシャのお酒が!? ヴァリューシャ……
 任せて! ヴァリューシャのお酒は必ず私が確保してみせる――!」
 と、その時。都合よくあった『↓ヴァリューシャのお酒』に誘導される――
 酒を求め穴を掘るマリア。背後から近付くJB。あっー!
 ……そんなこんなでタイムは見た。皆が無残な姿になり果てている。
 すずなやマリアは穴に埋まってるし、コルネリアは水面から足だけ出して動かなくなってる。怖ッ。タイトル『コルネリア家の一族』じゃん。
「くそ、コルネリアめ……! 『やられるときはホラーでありがちな何かに気づいてしまってやられる奴』をもうキャンプ場でやっただと!? これは意趣返しのつもりか、コルネリア――!!」
 直後。響いた声は――ブレンダか。
 後は時間まで生き残るだけ。万一やられる時も……と思っていたのに。コルネリアにネタ潰しされてた! くそー! 扉から突入してくるJBの波にのまれて、普通にやられてしまう様な感じに……うわあああ!
「はぁ、はぁ、マジでレパートリー豊かすぎてしんどいんやけどJB。うわぁ!?ってこれはJBじゃなくてタイムちゃんやったわ。びっくりしたぁ。よくよく似ててたまぁに油断すると見間違えるわ。タイムちゃんよね?」
「ふふ。どっちだと思う?」
「えっ?」
 何故かタイムだけは傷ついていない――それは、そう。
 タイムはJBであり、JBはタイムなのだ。
 つまり彼女はどういう理由かこの世界と親和性が高いのである――! だから最低でも彼女は安全にこの地獄から脱出できるのだ。確ロなのだ。ええ、確ロなんです……だ、だから、採用するから私の命だけは助けてください、ヒィ!!
 だけどとりあえずどんな映画にも『終わり』はあるものである。
「びええええもうだめ走れない。はぁはぁ、もうこうなったら!」
 フランだ。ブレンダの背中に張り付いていたのだが、途中で落ちちゃったか。
 最後はなんかその辺に都合よく設置されてたスイッチぽちー!
 ――直後。遊園地が大爆発を生じた。

『ヤハッ?』『ヤハアアアア!?』

 JB達が吹き飛ばされていく音が聞こえる――なんでこんなモノが遊園地に設置されてるとか考えはいけない。感じるんだ! アクション系って最後は大体爆発で終わるし! これホラー? 細かい事は良いんだ!
「わー凄い事になってる! やったー! これでもう大丈夫だよねコルネ――」
『フゥン?』
「あ」


 ――上映時間終了。お疲れさまでした!
「うう……はんにんはくそうさぎ……じぇいびーこわい……」
「ヴァリューシャ……ヴァリューシャ……」
「JBブラスターはダメよ……JBブラスターはJBシリーズ最終回で……うーん……」
 すずなやマリア、コルネリアがうなされている。よっぽど怖い夢を見てるんだろうか。
 スクリーンではスタッフロールが流れていて――

『JB Next Stage ”JB Double” Coming Soon』

 ……その最後。なんか凄い不穏な文字があった気がした。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 よし、私は書き終わったのでJBから逃げ……『フゥン?』

 ありがとうございました!!

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