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シナリオ詳細

<咬首六天>命の欠片、寒港の畔

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<咬首六天>命の欠片、寒港の畔
 <大乱のヴィルベルヴィント>作戦から半月ほどが経過した、不凍港ベデクト。
 戦はイレギュラーズ達の属するポラリス・ユニオンと独立島アーカーシュの両派閥に軍配が上がり、新皇帝派の者達は街から撤退。
 ……街の人達は新皇帝派に対して声には出さないながらも不平不満を抱いていたようで、イレギュラーズ達が救い出してくれた事に対しては感謝の言葉を紡ぐ。
 だが……そんなイレギュラーズ達の動きに対して動き始めたのは、やはり新皇帝派。
『くそな奴等がよぉ……? 人の街を横からかっ攫って、やってる事は強奪と一緒じゃねえかよぉ……?』
『ああ。やってる事は昔の俺達と一緒ってこった。でもよ、今度は俺達の方に大義名分が出来たってワケだ……やつら賞金首だしよ、首取ってけば鐘を貰えるんだろう? やらないなんて選択肢はねえよな!』
『勿論だぜ!』
 満面の笑みを浮かべながら、声を掛け合うのは新皇帝派に属する軍部特殊部隊『新時代英雄隊(ジェルヴォブリノシェーニェ)』に所属する者達。
 所属する、とは言ったものの、実際の所は新皇帝派が支配する街にて声を掛けられた、傭兵崩れのならず者達。
 金になるからというそんな単純な理由の上で動く彼等だが、今回は軍部所属という、新皇帝派に属するという大義名分がある。
 正義は故に我にあり……というべく考えの下、彼等はイレギュラーズ達から再び奪還しようと動き始めていた。


「……さて。みんな集まってくれたようだな?」
 不凍港ベデクトにて、浮遊島アーカーシュに所属する者達を集めるのは九頭竜 友哉。
 そして彼は不凍港ベデクトの地図を拡げると共に、指し示すのは南方の森林地帯。
「皆のお陰もあり、ここ不凍港ベデクトは俺達イレギュラーズ達が奪還し、新皇帝派に属する者達は街から出て行った訳だ。幸い街に住む者達はオレ達を受け入れてくれたようで、今ここに俺達がいる……って訳だ」
「だが、新皇帝派の奴等はまだ諦め切れていない様でな。ポラリス・ユニオンの者達とも情報交換をしているんだが……度々街が襲撃されるという状況が起きてしまっている」
「正攻法で攻めてくる奴らも居れば、闇夜に紛れて卑怯な手段を使って攻め入って来る奴らがいる。新皇帝派の奴等も形振り構わずといった具合の様だ」
「そんな訳で、いつ奴等が攻め込んでくるかは分からねえという状況だが、奴等にこの街へ足を踏み入れさせる訳にはいかねえって訳だ。そこで皆には、街の巡回を頼みたい……ま、簡単に言えば手分けして巡回って訳だ」
「特にこのベデクトは、南部に森林地帯を要している。一応外壁はあるんだが、木々を伝って登ってくれば容易に外壁を乗り越えてくることが出来る。その辺りからやってくる奴等は居るだろうから、特にその辺りを重点的に警戒してくれ」
 そこまで言うと、友哉は最後に。
「……新皇帝派の奴等には、ゴロツキ連中が金を掴まされて軍隊になった、って言う奴らも居る様だ。奴等の本質は、ゴロツキ連中と全く変わらねえ様だからな……そいつらをしっかりととっつめてやってくれ。よろしく頼むぜ」
 と笑い飛ばすのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 先日の作戦はお疲れ様でした。
 奪還した『不凍港ベデクト』……しかし新皇帝派の者達は、再度奪還しようと目論んでいる様です。

 ●成功条件
   不凍港ベデクトに襲い来る新皇帝派、更にそれに連なる敵軍を迎撃する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   今回皆様が警戒に当たるのは、ベデクト南部の『森林地帯』です。
   ここは外に森が拡がっている為、外壁はあるものの木々を伝ってくれば容易に乗り越えられるという要所ながらも守りが弱い場所です。
   更にその周囲の湿地帯やら建物に身を隠せば、そう簡単には見つからないでしょう。
   要所ではあるものの、地形的に不味い場所……新皇帝派に属する者達は、それを上手く利用して侵入しようとしてきます。
   又時間は侵入に都合の良い深夜の刻……当然街に棲まう人々は寝静まっており、周囲はまっ暗、更に寒い……というコンボ状態です。
   しっかりとした寒さ対策をした上で視界確保も忘れずに。

 ●討伐目標
 ・新皇帝派『新時代英雄隊』:20人ほど
   『波瀾に道だ新時代こそ英雄が必要』と騙る鉄帝軍将軍『レフ・レフレギノ』の下に集った者達です。
   ただ、その真実は傭兵崩れの者達(暴力沙汰やら金をくすねるなどして)が、レフのスカウト(金を出すから力を貸せ、と言われて)に集った者達です。
   その為に戦闘能力は単純に高く、更に倫理的に悪そうな事であっても、臆すること無く実行してきます。
   深夜の刻故に周りに人気は無いですが、不意に街の人が通りがかれば人質に取る可能性は十分に高い様です。
   
 ・血の臭いを嗅ぎ付けた天衝種『ストリガー』の群れ
   この南部の森林地帯で何等彼の理由により死を迎えた者達の成れの果てです。
   天衝種となり、血の臭いを嗅ぎ付けると燃え盛る爪を武器に姿を表し、無差別に攻撃してきます。
   その武器となる爪は至近~近距離の範囲ではありますが、避ける事が出来ない『火炎』のBSを与えてくるので、ご注意下さい。

 ・命の鼓動を察知する『ジアストレント』
   森林地帯にいつの間にか生息していた、巨大な樹に変じた魔物です。
   基本的に動く者ではないのですが……血の臭いや命を失いそうな気配を感じると動き始め、その命を奪い去ろうと行動します。
   地面に根を張る大樹の姿となり、常に再生・充填の能力を発揮しています。
   攻撃手段はその大樹の幹を振り落とす事での、攻撃力がとてつもなく高い一発のみです。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <咬首六天>命の欠片、寒港の畔完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年12月29日 21時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
武器商人(p3p001107)
闇之雲
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!

リプレイ

●凍えぬ時
 冬を迎えた鉄帝国、
 イレギュラーズ達の力の下、新皇帝派より奪還した不凍港ベデクト、
 かの地を失いし新皇帝派の者達は、資源が豊富であろうかの地を再び手中に収めようと、進軍を開始。
 その噂話を聞きつけたイレギュラーズは、軽く溜息を吐きながら。
「はぁ……アーカーシュ出航が近いこの時期に、まためんどくさいことをしてくれましたねー……」
「ええ、そうですね。まぁ新皇帝派にとってもこの不凍港ベデクトは渡せない……という事の証左かもしれません。勿論はいどうぞ、と渡す訳もありませんが、ね」
 『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)の溜息に、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)も頷く。
 二人語るが如く、不凍港ベデクトは極寒の地である鉄帝国の冬であろうとも、不思議に凍らないと言わしめた港。
 ただ、ここ最近の大寒波においては不凍港も段々と凍り始めており、拠点としての優位性は失いつつはある。
 とは言っても、この大寒波が過ぎ去れば唯一冬に海産物が獲れる地であるのは間違い無い訳で。
「まぁ、そうね。港を取り戻したからって、そう簡単にはいかないわよね」
「本当ね。まぁ重要拠点ならば、防衛設備にはもうちょっと力を入れて欲しいわね……まぁ、なんとかなるでしょうけれど」
「そうね……油断せずに行かないといけないわね」
 『闇をも掬う精霊遣い』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)と『狐です』長月・イナリ(p3p008096)の会話に、更に『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)も。
「そうだな。やっと奪還した不凍港をまた奪われるわけにはいかないし、確実にここで守るぞ。それに賊紛いの奴等だろうが、天衝種だろうが、街や住民に手を出させてたまるか!」
 拳を振り上げるイズマの気合い。
 そう、イレギュラーズに対抗してくるのは新皇帝派……その中において、この新たなる時代に英雄と呼ばれるべく集いし新皇帝派『新時代英雄隊』。
 軍に所属しているとはいえ、彼等の元々は傭兵崩れの荒くれ者達であり、軍の戒律などは有名無実化している状態。
 それに呼応する様に『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)と『闇之雲』武器商人(p3p001107)が。
「それにしても、『新時代英雄隊』とは、大層な名前をつけたもんじゃな」
「そうだねぇ……『新時代英雄体』か。名前は我(アタシ)も何度か聞いているが、夜盗さながらの振る舞いだと事だしねぇ……」
「うむ。名ばかりの英雄など、今の鉄帝には要らんじゃろう。彼等こそその名前に囚われているのかもしれぬな」
 そんな二人の言葉に『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)も。
「全くだ。英雄と言うからには住人達のお手本になるようなやりかたをすべきだと言うのに……闇夜に紛れて襲撃だと? 街に住んでいる人にとってはいい迷惑なんだよな。深夜のドンパチは睡眠不足に繋がるし、早朝にゴミだし出来ないから、深夜に済ませる人の迷惑になるし。名による弱肉強食な新皇帝派が街に居たらば、いつ被害に逢うか分からない日々だなんて、誰だって嫌だろう? もしも自身が強くても、大切な人が、友人が、家族がいつ弱者として切り捨てられるかもしれない日常なんて反吐が出るぜ、だから、絶対に止める!!」
 拳を強く握りしめたウェール。
 そんな彼の言葉に美咲が。
「そうですね……仕方ありません。年末の大掃除としてやってきまスか」
 と言うと、武器商人も。
「うんうん。公務員のコの言う通り、天衝種ともども、丁重にお帰り願うとしようねぇ」
 と呼応する様に頷きながら、イレギュラーズ達は不凍港ベデクト南部の森林地帯へと急行するのであった。

●森闇より来たる
 そして深夜の闇を切り裂く南方森林地帯。
 鬱蒼と生い茂る木々は視界を遮り、静けさに包まれる。
「さてさて……取りあえずはこの辺りの様ね? それじゃ早速だけど……始めましょ」
 とオデットは言いながら、森の木々に軽く手を触れる。
 静かに目を瞑り……木々を通じ、この森林地帯に棲まう精霊達に向けて。
「……ねぇ、聞こえるかしら? 私の声……」
 彼女の紡ぐ言葉は、精霊達に向けての言葉。
 柔和に語りかける声……一言、二言……言葉を紡ぐと、ほんの僅かではあるが、木々がザザザ、とざわめく。
「……うん。ありがとう。もし可能なら……私達に力を貸して貰えないかしら。この森の中から攻め入る人達が居たら、教えて欲しいの。うん……教えてくれるだけでいい。絶対に、みんなを護るわ」
 オデットの言葉に対し、木々はざわめくがのみ。
 でも……そのざわめき方は、何処かイレギュラーズ達を歓迎している様でもある。
「……うん。それじゃ……御願いね」
 そこまで言うと、オデットは一端手を離す。
「……どうだった?」
 それにウェールが問うと、オデットは。
「うん、大丈夫……ただ今の所は、そういった影は見当たらないみたい。でも見つけ次第教えてくれると思うから……こちらはこちらで進めていきましょ」
「分かった」
 頷きながらウェールは、その手に蝙蝠二匹を召喚し、放つ。
 一匹を外壁の上、もう一匹は上空から監視の目を光らせる。
 更に各々の暗闇に対する視界を確保し、更に自分達の周囲に陣地を構築し、崩れかけの外壁を整備していく。
 加えて外壁の一歩外側には……イズマが有刺鉄線で、鉄条網を構築し、万が一外壁から昇ってきても、昇りづらいように細工する。
「今回だけじゃなくて、これから先もずっと街を守れるようにしないとな。その為にも、今できる部分で外壁を強化しないと」
「ヒヒヒ、確かにそうですねぇ……このままの状態じゃあ、護ると言っても厄介だ。今後も考えれば対策を講じた方が良いと思いますよ!」
 笑う武器商人は何処か含みを見せるが、今この時に、そこを議論している余裕も無い。
 そうイレギュラーズ達が作業していると、当然ながら深夜の刻は廻る。
 ……冬の鉄帝国の寒さに加え、更なる異常寒波がイレギュラーズ達の身を凍えさせていく。
「っ……流石に寒いわね」
 イナリが呟く通り、一応防寒具を持ってきて居るものの、それでも寒風は身に堪える。
 ……色々と厚着している仲間達……だが、そんな中厚着している様に見えないのは美咲。
「む……美咲よ、それで寒くはないのか?」
 とニャンタルが声掛けると、美咲は。
「そうでスね……寒いでスよ」
「むぅ……寒いのに上着を着ないというのは、何か理由があるのかの?」
「いえ、ありません……そうでス。やせ我慢というやつでスね……あまり長くは持つとは思いませんので、早めに終わらせたいところでス」
「……そ、そうじゃな。うむ、早く終わらせるに越した事はないからな! とは言え奴等が入り込んでこない限り、こっちも何も出来ぬのじゃが……」
 苦笑するニャンタルの通り、いつ敵が襲ってくるかは分からない訳で。
 ……まぁ、何はともあれ敵が襲来するまで、手を擦り合わせながら、じっと待つイレギュラーズ。
「……ん」
 突如木々が風に揺れている訳でも無くざわめく。
 それと同時に、オデットの元に精霊の言葉。
「……うん。ありがとう。皆、どうやら相手が入り込んできたみたいよ」
「分かった」
 頷くオリーブは、外壁を見渡せる様、監視の目を光らせる。
 一方でイナリは、先んじて森の中に張り巡らせておいた鳴子のようなモノの近くへ移動し、目と耳で監視。
 ……そして。
『ガサガサッ』『カランカラン』
 木々のざわめきと共に、鳴子の音が鳴り響く。
「あっちよ!」
 すぐさまイナリが鳴子の音のした方角を指さし、イレギュラーズ達は総じてその方角に向けて移動。
 外壁まで十数メートルほどの距離を進んでいた新皇帝派『新時代英雄隊』の者共。
『くそっ……何でこんな所に鳴子がありやがるんだ!』
『罠か? くそが、小賢しい真似しやがって!!』
 声を荒げる彼等……そこに、一斉にイレギュラーズ達が包囲。
 少し高い方角より灯りを照らしながら、辛辣な口調で。
「こんな時間に何の用だ?」
 とイズマが問い掛ける。
 無論、敵陣営は舌打ちしながら。
『うるせえ! 俺達はてめぇらを殺す事を許可された『新時代英雄隊』! てめぇらを容赦無く殺してやらぁ!』
 と威勢良く言い放つ。
 そんな彼等の装備は、一応武器と鎧は揃っては居るものの……顔に傷がある男やら、目つきの悪い者達が居並び、彼等がゴロツキ上がりなのを如実に示している。
 とは言え軍に所属しているという後ろ盾があれば、イレギュラーズ達を新皇帝の勅命の名の下に殺戮出来る訳で……今迄以上につけあがっている様にも見える。
 そんな彼等に向けて、オリーブは怜悧な言葉で。
「……所詮はゴロツキ連中ですね。新皇帝の勅命とか言っても、実際の所は掃いて捨てるほど居るただの尖兵でしかありませんね」
 とバッサリと断じる。
 そんなオリーブの言葉にアァン、と怒りを滲ませて。
『ふざけてんじゃねーぞ! わかった、テメェから殺してやらぁ!!』
 と、先陣を切る一兵がオリーブに向けて剣を振り落とす。
 ……しかしオリーブは、その攻撃を腕で敢えて受け止める。
 血は滲むが、骨には至らない。
『なっ……!?』
「所詮、付け焼き刃で武器を持たされたんだろう? ……剣の使い方とは、こうだ!」
 返す刀の殺人剣を繰り出し、一匹は血に染まる。
『何だとっ、一発でっ……!?』
『あいつは油断したからだ! そんな実力差、ある筈ねえ! 行くぞ。さぁ、行くぞ!!』
 一瞬の焦りを見せるが、次々と剣や槍を手にして波状攻撃を仕掛けてくる新時代英雄隊。
 そんな敵が押し寄せるところに、武器商人は思いっきり引き寄せた所で破滅を想起させる声で、更に怒りを呼び起こす。
 武器商人とオリーブの二人による惹きつけに続き、イナリ、イズマ、ニャンタルの三人は前線に立ち、一人に攻撃を集中させて、確実に一匹ずつ倒しに掛かる。
 対し後方からオデット、ウェール、美咲の三人は、敵の動きを監視しつつ……その他の影が動く気配が無いかを注視。
 ……そして、前線が新時代英雄隊を4、5人程倒したところで、彼等の背後にうっすらとした動きが。
「……ウェール氏。あれ、何でスかね?」
「朧気な気配……ああ、ストリガーだろう」
「でスか……ならば、あちらにも注意しないとでスね」
 美咲とウェールの言う通り、かの影は天衝種『ストリガー』。
 新皇帝派が倒れ、血を地に薙がした結果、その臭いを嗅ぎ付けて具現化したのだろう。
 そしてストリガーは一人、二人、三人……と、次々と影姿を表し、そして……新時代英雄隊の背後から攻撃を嗾ける。
 そのターゲットは、半数ほどはイレギュラーズだが……残る半数は、新時代英雄隊達の下へ。
『なっ……何だこいつらはっ!!』
『くそっ……来るんじゃねえ! 亡霊どもが!!』
 汚い言葉で罵りながら、近づくストリガー達を剣で振り払う新時代英雄達。
 ……幸いストリガー達は、体力はそこまで高くはない様で、攻撃を喰らえば煙の様に消えていく。
 ただ、血が流れれば流れるほどに、更に姿を表してくるから、切りが無い状態。
 そして、そんなストリガー達の群れとイレギュラーズ達の両面から攻撃を受ける形になった新時代英雄隊達は、更に数を減らして行く……すると、今度は周りの木々が、一際強くざわめく。
『う……な、何だ……!?』
 次々と起きる事態に、理解が追いついていない具合の新時代英雄隊。
 次の瞬間、ざわめく木々の枝が一本の幹となりて、頭上側から叩き落とされる。
 幹に押し潰される形で絶命……そしてそんな事態に動揺する他の仲間達。
「全く、いろんな事態が立て続けに起こりすぎじゃな! 我もお腹いっぱいなのじゃよ!」
「そうだねぇ……とは言え今の内に、こちらも動きませんと。新時代英雄隊を倒しても、続くのはストリガーと、このジアストレントですしねぇ……」
「確かにそうじゃった! よーし、それでは容赦無く行くとするぞい!」
 武器商人に促されるように、ニャンタルは新皇帝派を容赦無く叩き潰し始める。
 勿論武ウェールと美咲の後方陣からの援護射撃もあり、半ば狂乱状態に陥りつつある新時代英雄隊を的確に殲滅。
 ……そして彼等が血を流すと同時に更に生まれ出ずるストリガー達は、オリーブとイズマが戦場を駆け、不意打ちを取られぬようにしながら確実に始末する。
 十数分の後、新時代英雄隊とストリガー達を一通り始末すれば、残るは動かずとも強烈な攻撃を叩き出すジアストレントのみ。
 ……しかしこの大樹、地に根を張り常に再生と充填を繰り返している為に、一気に大ダメージを与えねばならない。
「ふむぅ……厄介な奴じゃ。しかしの、この位で立ち止まる訳には行かぬのじゃよ!」
「そうね。皆さん、一気に仕掛けるわよ」
 ニャンタルとイナリの言葉……そして、イレギュラーズ達は合図と共に……その周囲四方を取り囲み、一斉攻撃。
 全員総攻撃でもって、確実にその体力を削るが……一刻では削りきれぬ。
 だが、全ての体力回復には至らず、傷が残れば……こちらのもの。
「一発だけでは流石に無理か……続けて行くぞ!」
 今度はイズマの号令に合わせ、二撃、更に三撃……と波状攻撃。
 ……少しずつ、少しずつではあるがジアストレントの体力は削られていき……そして。
「これで……終わりだ!」
 何度目かの、ウェールの号令一下に繰り出された攻撃が、ジアストレントを崩落させるのであった。

●再びの刻
 そして……天衝種と新時代英雄隊が動かぬ骸となった後。
「……うん。どうやら終わったみたいね」
 息を吐き、安堵の表情を浮かべるオデット。
 ……とは言えこれは、南部森林地帯から攻め入る新皇帝軍の一派を倒したに過ぎない。
 新皇帝派が諦めない限りは、第二第三の波が押し寄せることだろう……この不凍港ベデクトが、それだけ魅力ある場所であるならば。
 そしてイレギュラーズ達は、再度この外壁部から攻め入れられても即座に築けるよう、更に時間が掛かるような罠を追加する。
 一通りそれら罠を追加し……町側に戻れば、その場所に立ち入らない様に看板を立て注意喚起。
 それら全ての仕事を終わる頃には……すっかり深夜から陽が昇っていて。
「徹夜仕事になってしまったのぅ……流石にそろそろ眠いのじゃよ」
「確かに。まぁ、これくらいでいいんじゃないかねぇ?」
 ニャンタルと武器商人の言葉に、周りを見渡すイナリ。
「そうねえ……うん。大丈夫だと思うわ」
 頷く彼女……その横で、森林地帯をじっと見つめるイズマ。
「む、どうしたのじゃ?」
 とニャンタルが問うと、イズマはぐっと拳を握りしめ。
「……冬を生き抜く鉄帝国民の命は奪わせるものか1 それを脅かす者は、ここで全て倒す!」
 意気込みを言葉に代え、発破を掛けるイズマ。
 言霊は森内に響きわたり……そして、イレギュラーズ達は報告の為に、一端その場を跡にするのであった。

成否

成功

MVP

ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂き、ありがとうございました!
不凍港ベデクト……それをも凍らす大寒波という恐ろしい状況が発生している様です。
とは言えこの拠点が奪われれば事態は急変するやもしれません……皆様のお力で、是非とも護って頂ければと思います。

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