シナリオ詳細
AI警察「こいつ、素手でラーメンを喰っているぞ! AIだ! 狩れ!」
オープニング
●AI警察
練達――。
科学技術が高度に発展したこの都市では、当然ながら実用可能なAIがすでに実装されている。
それらは混沌世界に人間として選ばれたわけではない故に、『ロボット』のようなものに間違いない。
とはいえ、そのような『AI』搭載型ロボットやアンドロイドは、間違いなく練達の街のあちこちに姿を見せ、街の一員として生活しているのです……。
そんなわけで、とある練達のラーメン屋。油多めで麺も硬めの美味しいラーメン屋さんである。そこで一人の少女がラーメンを注文していた。高校生くらいの年代だろうか。洗井落雲の好きそうな外見をした女子校生を想像してください。したね? じゃあそういう女の子が食券をかってラーメンを注文しました。
ここで少女がそわそわとラーメンを待つ描写を事細かに描写してもいいが、それをやると怒られるのでやめる。とにもかくにも、少女がラーメンを待っている。それでいい。
さて、それからほとんど待つことなく、ラーメンが少女の前にやってきた。こういうお店は回転率がすべてである。さくっと提供、さくっと食べてもらって次のお客さんにつなげたい。まぁそれはさておき、少女はお出しされたラーメンをみて、目を輝かせた。
「おいしそ~」
そう言って、少女は「いただきまーす」と声をあげると、ラーメンどんぶりに『手を突っ込んだ』。
ざわり、とあたりがどよめく。少女は気にもせず、『素手で麺を持ち上げると、口に運んだ』のだ! ああ、なんというマナー違反! いや、そういう問題ではない! 手が熱くないのだろうか!? だが、少女は特に気にせず、ラーメンをもぐもぐと食べている!
「おいしー♪」
至福の表情だ! ラーメンを食べる女の子は可愛い。僕の日記にもそう書いてある。いや、それはさておき、この奇妙な食べ方は――!
「貴様、AIだな!?」
ふと、店の入り口で声が上がった! 見れば、入り口にはTOP画像に立っているような鎧武者のコスプレをした一団がいる! そこにはこう書かれてあった――AI絶対許さない侍――。
「ふぇ?」
女の子がラーメンをもぐもぐしながら声をあげる。かわいい。
「そうだけど……? というか、あたしアンドロイド……」
もぐもぐと少女――アンドロイドの少女がそういう! そう、彼女はアンドロイドでAIなのだ! AIだから、そうだね、ラーメンは手づかみで食べるよね……。
「やはり! ラーメンを手づかみで食べるとはAIの証! 許゛さ゛ん゛!」
なんか侍がぎりぎり手を握りながら言った。「おい!」と侍大将みたいな奴が声をかけると、侍たちはアンドロイドの少女を持ち上げて、店の外に放り出した。
「な、なにすんの!?」
少女がプンプンと怒る。可愛い。
「AIはラーメンを食べられん! 故に! AIは出禁!」
かあっ、と侍が叫んだ。
「そうだな店主!?」
「いや、そういうわけでは……」
「そうだな店主!?」
「いや、そういうわけでは……」
「そうだと言ってよ店主!!」
「あ、はい……」
店主が押されて頷いた。
「そういう事だ! 我々はAI警察! AIを狩り、ラーメンの秩序を守るものなり――!」
明らかな迷惑集団である! アンドロイドの少女も、こんなヤバそうな連中に関わりたくはなかった。うげぇ、という顔をすると、少女はすごすごと退散することにした。可愛い。
●AI警察をおびき出せ
「どういう話なんですか」
と、あなたの仲間=ローレット・イレギュラーズがそういうのへ、依頼主の練達警察の巡査は言った。
「どうもこうも、AI警察とかいう変な人たちが」
いるのだ、という。
なんでも、AIが素手でラーメンを食べるのを見かけては、外に放り出す迷惑集団「AI警察」がいるのだとか。そのせいで、色々と迷惑をこうむっているラーメン屋やAIの皆さんがいるわけだが、しかしAI警察は神出鬼没。中々捕まえられないのだという。
被害者であったアンドロイドの少女は、ぷぅ、と頬を膨らませた。可愛い。
「あたし、ただラーメン食べてただけなのに」
「手づかみで食べるのはありなんですね……」
「混沌世界ですからねぇ。いろんな食文化の人がいますから」
巡査は適当に流した。そういう事にしてください。
「そこで、皆さんに」
「探してほしいと?」
「いえ、こう、手づかみでも食べられるラーメンを開発してもらって、実際それを食べてもらってAI警察をおびき出して、そのあとていやーっ、てしてもらえれば……」
「注文が多いな……」
仲間の一人が嘆息する。まぁ、要するに、AI警察をおびき出せばいいわけだ。その手段が面倒なだけで。
「まぁ、実質ラーメン作り依頼だと考えてもらえれば」
「それもどうなのかなぁ」
仲間の言葉に、あなたも嘆息する。緩い話だ。でも、まぁ、こういうこともまれによくある。
「それではどうぞ、よろしくお願いしますね。食材とか調理場とかは、言っていただければ用意しますので」
巡査の言葉に、あなた達は頷いた。アンドロイドの少女も、「がんばってね、みんな!」と応援してくれた。可愛い。
- AI警察「こいつ、素手でラーメンを喰っているぞ! AIだ! 狩れ!」完了
- GM名洗井落雲
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年12月26日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●作れ! 手づかみで食べるラーメン!
手づかみでラーメンを食べる者たちを、AI認定して追い出す迷惑AI警察!
その神出鬼没なAI警察を懲らしめるため、ここに8人のイレギュラーズたちがそろった!
つまり――
『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)
『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
『グレイガーデン』カティア・ルーデ・サスティン(p3p005196)
『呪い師』エリス(p3p007830)
『お師匠が良い』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)
この八名のラーメンファイターたちだ!!
「ラーメンファイター……?」
困惑した表情を浮かべるアクセル。そんなものになった記憶はない。
「というか、AI警察ってやつらも、なんかピンポイントすぎるんだよね。
まぁ、ヒトの姿をしたAIが、いきなり手づかみでラーメンを食べたらびっくりはするけど」
「そっかー、びっくりするんだぁ」
AIのアンドロイドの少女(洗井落雲のこのみ)が言った。かわいい。
「なるほど、洗井落雲。今のトレンド性癖は可愛いアンドロイド娘ですか?」
虚空に向かって声を上げる汰磨羈。好きだよ。アンドロイド娘。ここで文字数爆発するくらいに語れるくらいにはね。
「奴に性癖の話を振るな、リプレイを乗っ取られるぞ」
マカライトが肩を落としつつ、そういった。
「さておき――ラーメンか。なるほど、確かに、手づかみでアツアツのラーメンを、とはなかなかいかないからな」
そういって、あたりを見回す。ここはジビエラーメン・洗井絶対食ってやるからな亭。ジビエ食材をふんだんに使ったラーメンショップである。この度、エリスの交渉によって、こちらのお店を舞台としてお借りすることができました。
「ほう! さすがラーメン店だな。でかい鍋、高火力のコンロ。たっぷり水も使えるし、ラーメン特化って感じだな!」
ぶはは、と豪快に笑うゴリョウ。即座に調理用具の品定めができるところは、さすがゴリョウといったところか。
「これならどんなラーメンでも作れそうだな。おお、豚骨もいいのがそろってる……ぶははっ、俺が豚骨握ってるのはなんか嫌な絵面かもしれんけどな!」
「それいったら、オイラが鶏ガラ持ってるのも相当な気がしてきたよ」
アクセルが苦笑する。
「ま、実際に動物というわけではないのだから、気にすることもあるまい」
うんうん、と天狐がいう。
「しかし、本当にこのでっかい寸胴はたすかるのう。うどんもよく茹でられそうでうらやましい。
いや、今回はラーメンをゆでるのであるけれども。だめ? ちょっとうどんゆでちゃ?」
「ラーメン作り終わったら好きなだけゆでるとよいよ!」
うふーん、って感じでリコリスちゃんがそういう。
「天狐さんのうどんも食べたいよね。終わったらお願いしよ」
「任せるがよい! よいのをぶってやろうではないか!」
わーはっはっは、と笑う天狐。エリスが「わぁ」と声を上げた。
「それは楽しみですね。用意された具材も好きに使っていらしいですし。
少し早いですが、年越しのそばではなくて、うどんをいただきましょう」
「それもいいね。でも、まずはラーメンだよね」
カティアがそういう。そのあと、困惑した表情を浮かべてから、
「……正直、どこから突っ込めばいいのかわからないよ。汁物って、基本手づかみで食べないよね……?」
「そう、ですね。でも、それでも、ラーメンを食べるのを邪魔するのは許せないです!」
エリスがぷんぷんと怒った様子でそう言って見せた。
「おいしいものを食べるときは、こう、邪魔されてはいけません! 心行くまで、幸せにならなければいけませんからね!」
「それには同意するけれどね」
カティアが言う。
「だが、汁物というか、再現性インドとかでは、カレーを素手で食べたりするぞ?」
汰磨羈がそういう。
「むろん、その場のルールや文化にもよるが。確かに、再現性日本のカレーチェーンで素手で食べてたらドン引きされるのは確か。
それでも、おおもとの文化を否定するものではあるまい」
「そうだよ、文化だよ~」
アンドロイド少女がそういった。かわいい。
「というわけだ。今日この場は、手づかみでラーメンを食べる店にすればよい。郷に入りては郷に従え――とはいえ、アツアツの汁の中に手を突っ込むのは、アンドロイドならぬ我らにはつらい。
というわけで、我らがやるべきは、ラーメンの開発であろう!」
「そっか、手づかみで食べても自然なラーメンだね!」
リコリスちゃんがぐっ、と手を握った。
「ボクにも案があるよ……素手で食べられるラーメンのね!
ゴリョウさんや天狐さんにも負けないくらい、おいしいやつを作って見せよう!」
「おっ、そいつは楽しみだな!」
ぶはは、と豪快にゴリョウが笑い、
「わしはうどんが専門じゃが、麵ものなら引けを取らんと宣言しよう!
そう簡単には負けんぞ! ラーメンの新時代を見せてやろうではないか!」
わーっはっは、と笑う天狐。リコリスも負けじと笑った。
「なるほど、素手で食べられるラーメンか……」
マカライトがそういう。
「……そもそも、ラーメンの定義とはなんだ? ラーメンとはいったい……ラーメン……ラーメンとは……生命……?」
「よくわからない真理の扉を開きかけている!」
アクセルがマカライトの目の前でばさばさ手を振った。現実に呼び戻す。
「……はっ。危うくラーメンで真理を得るところだった」
マカライトが目をぱしぱしさせた。アクセルが嘆息する。
「そこまで……? まぁ、ラーメンが難しいのはわかるけどね」
「そうですね、ラーメン、奥深いものです」
むー、とエリスが声を上げた。
「オーソドックスなラーメンもありますし、つけ麺、混ぜそば……焼きラーメンといったものもあります。
一筋縄ではいかないかもしれません」
「そうだな。ラーメン……ラーメンとはいったい……?」
「マカライトさん、帰ってきてください!」
エリスが声を上げる。はっ、とマカライトが帰ってくる。
「ラーメンって深淵の怪物か何かなの?」
カティアが嘆息する。
「料理の道は奥深いってことなのかな……?」
「そうですね……ラーメン道は奥が深いのです……」
うんうんとエリスがうなづいた。そういうことらしい。
「とにかく、ラーメンを作ろうか」
リコリスがそういうのへ、仲間たちはうなづいた。
かくして――手づかみで食べるラーメン開発プロジェクトが、ここに幕を上げたのである! 洗井落雲好みのアンドロイド女の子も応援しております!
●ラーメン・開発
「手づかみで食べる、となると」
リコリスがむむむ、とうなり、
「おすしだね!!!!!」
そう叫んだ。さて、調理場である。ここでは仲間たちはめいめいラーメンの開発にいそしんでいた!
麺は極上、スープも絶品。具材も一流。そういうものを用意してあるし、もちろん、新たに自分たちで用意してもよい、ということで、結構本確定なラーメン作成タイムが始まったわけであった!
リコリスが作り上げるのは、そう、ラーメン寿司である!
「ほう、一口大の麺の塊に、具をのせて寿司風に……それをたれを絡めて食べるのか」
ほほう、と感心したようにゴリョウがうなった。
「そうだよ!
こっちはまず、大きなメンマと長葱を乗せた極太麺に濃厚いりこ出汁を絡めて食べるニボSUSHIラーメン!」
どん、と木の皿にのせられたそれは、なるほど、確かに寿司のようである。リコリスが作った寿司は、それ以外にもある。簡単に明記すれば――。
鶏白湯が染み出す海老とお野菜をたっぷり包み込んだワンタンを中太ちぢれ麺に乗せてあんかけソースに付けて食べる白湯SUSHIラーメン。
もちもちの平麺に山椒香るピリ辛肉味噌が絡まる具沢山なSHSHI坦々麺。
分厚いチャーシューとメンマが存在感を発揮する定番肉SUSHIラーメン(出汁は五種類の中から好きに選べるよっ!)。
「アレルギーにも対応してるよ! ほら、ネギとかダメな人とかいるかもだし。
ボクはネギがダメなんだよね! 人狼だからね!」
わうわう、と言って見せるリコリス。アンドロイドの女の子が、わぁ、と感激したような声を上げる。
「すごーい! 食べてみるとちゃんとラーメンだよ~!」
「ああ。特に担々麺は汁なしのそれに通ずるものがあるな……」
マカライトが感心する。なるほど、汁なし担々麺のようなものだと思えば理解も早いだろうか。
「肉寿司もおいしいですねぇ。つけ出汁がいろいろ選べるのも最高です~!」
エリスもお寿司をほおばりながら、にこにことほほ笑む。
「えへへ、評判いいね! お師匠にも食べさせたいなぁ……」
高評価に、リコリスもニコニコである。これが料理のだいご味だろうか。みんなが幸せになるところに、その真髄があるのだ。
「俺の作ったチャーシューもなかなかのものだろう?」
マカライトが笑う。ラーメンそのものは作らなかったが、チャーシューを仕込んでいたのはマカライトだ。もちろん、それぞれの調理担当の『味』に適したチャーシューをいくつも仕込んでいる。そのため労力はかかっていたが、その分おいしいものができたことも確かだ。
「うん! 肉寿司にも使わせてもらってるからね~」
リコリスがうなづく。
「チャーシューはたくさん作ってあるから、切り取ってサイドメニューのチャーシュー丼なんかにするのもいいだろうな」
「あ、それはおいしそう」
アクセルがじゅるり、とよだれを飲み込むように笑って見せた。
「オイラのチャーシューは鶏むね肉とか、ささみを使った鳥ハム風のやつなんだよね。あ、ちゃんと火を通してあるから安心してよ。
ただ、ラーメン自体はオーソドックスな醤油ラーメンにしたよ! でも工夫はしてあって、少しだけスープの温度を下げて、やけどしないようにしているよ!」
とん、と出されたラーメンは、一目見れば普通の醤油ラーメンのように見えた。ただ、確かに、スープの温度は低めで、そして脂分もだいぶ少ない、すっきりとしたスープに見えた。
「脂分は、手を突っ込むとギトギトしちゃうからね。抑えめに。
具材も、大きめの青梗菜とかで、手でつかみやすくしてみたよ!」
「本当だ、確かに手づかみで食べやすくなってるね」
カティアがそういって見せる。確かに、アクセルのラーメンは手で食べやすいような細やかな配慮がされていた。近くには手を洗うためのフィンガーボールもやタオルもある。
「それだけじゃなくて、すっきりとしたスープがおいしいものじゃなぁ」
もくもくと食べて見せる、天狐。脂分少なめのそれは、うどんやそばの出汁に通じるものがあったかもしれない。
「では、私だ!」
汰磨羈がとん、と丼を置いた。黄色いたれに、スパイシーな香りの漂うそれは、まさにカレーラーメンである。
「手づかみでカレーを食べる……というところに引っ張られたところもあるが、カレーラーメンにしてみたぞ!
具材も、アクセルのように手で取りやすいようにしてある。当然、熱の方も程よく冷ましてあるし……」
「おう、こいつは食いやすくなってるな!」
ゴリョウがぱくり、と麺を放り込む。スパイシーなカレーの香りが、口中を満たしてくれた。
「だが……オメェさん、なんでエビを胸に挟んでるんだ……?」
「ふふ、エッチハプニングのノルマも達成しておくという寸法だ!
なんてエッチな食材なんだ。イケないヤツめ☆」
ばちん、とカメラ目線でウインクして見せる汰磨羈。さておき。
「僕は手巻き寿司ラーメンにしてみたよ」
カティアがそういって、お盆を差し出した。海苔、そして麺と具材。つけるのは醤油ではなくて、麺のスープだ。
「そばのまき寿司っていうのがあるから、それをイメージしてみたんだ」
「なるほど、これは面白いですね」
エリスがくるくるとお寿司を巻いて、食べて見せた。
「自分で手巻きにするのも面白いしおいしいです!」
「あとは、しらたき小結みたいに麺を結んで積んで、汁につけたり……固めて焼いてお好み焼きみたいにするのとか、揚げ麺にするのもアリだよね」
「なんとも和風な感じでよいのぉ」
天狐が楽しげに笑う。
「そうだなぁ。ラーメン、奥が深い……!」
汰磨羈が感心したように声を上げる。
「寿司被り……と思ったけど、方向性が全然違うね。そうなると、食感とか、味とか、全然変わるんだねぇ」
リコリスがもむもむとお好み焼き風麺を食べてみる。見た目はお好み焼きだが、口の中は何ともラーメン風になる面白さだ。
「残るは、天狐さんとゴリョウさんですね!」
エリスが、なんとも楽しみ! といった表情で声を上げた。なるほど、この二人はまさに本職……いや、本職ではないが、大本命の二人といえただろう。
「なら、まずは俺から披露させてもらうかな!」
ゴリョウがぶははっ、と笑いながら、丼を差し出す。丼は、二つ。汁の入ったものと、麺の入ったもの。
「つけ麺だ」
リコリスが声を上げる。そう、つけ麺である。
「でも、麺が独特だね。なんていうか……てるてる坊主みたい!」
そう、リコリスの言う通り、ゴリョウの作った麺は独特なものだ。てるてる坊主……一口サイズの麺で賽の目切りのチャーシューを包み、その根元を白髪ねぎで縛る。目にあたる部分に海苔を張り付ければ、なんともかわいらしいてるてる坊主の完成だ。
「へぇ~! かわいいし、この頭の部分をもってたれにつければ、手も汚れないね!」
アクセルが感心した声を上げた。
「おう。頭の部分に汁はつかねぇが、その分チャーシューは味を濃いめにしてある。だから、味が薄くなる……ってことはねぇぜ!」
「ほんとですね! それにもともと一口サイズですから、口の中でチャーシューとつけだれも程よく混ざっておいしいです~!」
エリスがにこにこと笑いながら、ラーメンを口にする。
「なるほど、アツアツのつけ汁も、これなら気にせず食べられるんだね」
カティアが感心した声を上げた。
「なるほど、湯気が出るくらいのアツアツの汁を素手で食べていれば、AI警察も騙されやすくなるというものじゃな」
天狐もうんうんとうなって見せた。
「じゃが! わしも負けん!
わしの描く新時代は! そう! 『ソースをディップする欲張りラーメン』――!」
たんっ、と差し出すお盆の上には、せんべいサイズに揚げられた麺が乗っている。
「揚げ麺か!」
ゴリョウがほう、とうなる。
「うむ! そしてこれを、粘度高めのスープにつけて食べるのじゃ。
ソースは四つ……醤油・味噌・塩タレ・豚骨の4種ソース!
そして各種トッピングじゃな、ニンニク・ネギ・背油や玉葱チップ。
基本4種のソースを客が好みの味へ育てていくタイプのラーメンじゃな!」
「わぁ! これは何とも、わくわくするラーメンですね!」
エリスがうれしそうに声を上げた。
「ああ。ファストフードのような気軽さを感じられる」
マカライトがうんうんとうなづく。手に取って食べてみれば、揚げ麺の中心はふんわりと柔らかい。
「へぇ、中はまだ揚げきってないんだね!」
アクセルの言葉に、汰磨羈がうなづく。
「うむ、それによって、ラーメンを食べているという感触はしっかりとあるなぁ」
「確かに、これは美味い……!」
AI警察がそういった。
「おやつのようにも感じられるね。気軽に食べられる、っていう感じだよ」
カティアがそういうのへ、
「うむ……なるほど、これがラーメン新時代か……!」
AI警察が仰天したように答えた。
「これでいつAI警察が来ても大丈夫だね!」
リコリスがうなづく。
「こっちは完全に、手づかみで食べられるラーメンで完全武装!
おびき出されたAI警察をていやーってすれば、お仕事終わり!」
「そうだね! さぁ、早く来い、AI警察! こっちは準備万端だ!」
アクセルがそういった。
「はい! おいしく食べることなら任せてください! 見事にAI警察をおびき寄せて見せます!」
エリスがにこやかに笑った。
「ぶはははっ! ま、これを見せられたら、AI警察もぐぅのねも出ないだろうな!」
ゴリョウが楽しげに笑った。
「うむ! 見せてやろう! わしらのラーメン新時代を!」
天狐がかっかっか、と笑う。
「そうだな! ……ところで、おい、そこの鎧武者の。ちょっと飾りがチクチクするので、すこし横にずれてもらえるか?」
汰磨羈がそういうので、
「あ、すみません。おい、みんな。ちょっとずれるぞ」
「へーい」
と、AI警察たちがごそごそと椅子をもってずれた。
「AI警察もまだ来ないようだし、しばらくラーメンを堪能するか」
マカライトがそういうのへ、皆はうなづいた。
「せっかくだから、お借りしたラーメン屋さんに、メニューとして提供しましょうか」
エリスが言う。
「いい案だね! きっとお客さんたくさん来るよ~!」
リコリスがそういうのへ、皆はおいしくラーメンを食べながら、にこにこと笑うのだった。
この後、AI警察の存在に気付いたのでていやーして依頼は完了しました。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございました。
僕もラーメン食べに行きます!!!
GMコメント
お世話になっております。洗井落雲です。
この物語はフィクションであり、実在する事件などには特に関係ありません。
●成功条件
『手づかみでも食べられるラーメン』を作り、『実食し』、『現れたAI警察をていやーってする』。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●成功条件
AI警察……それはAIが手づかみでラーメンを食べるのをとがめて店から追い出す自警団。
混沌世界には色々な食文化があり、受け入れているのでこういうのもOKですが、しかしAIが手づかみでラーメンを食べるのを良しとせず、手づかみでラーメンを食べるAIを追い出すもの達がいるのです。
皆さんは、そんなAI警察をおびき出し、ていやーしてください。
AI警察をおびき出す手段は一つj! 『手づかみでも食べられるラーメン』を作り出し、『お店で実食』するのです!
そうすると、AIかと思ったAI警察が飛んでくるので、そこをていやーしてください。
プレイングには、手づかみで食べられるラーメンを相談する所とか、作る所とか、何故か食材がエッチな性質を持っているからエッチな目に合うとか、もう思いつかなくて気合でアツアツのラーメンの中に手を突っ込んでギャーってするリアクションとか、AI警察にする説教とか、そういうのを書けばいいと思います。AI警察? ていやー、って書いておけば倒せるよ。
●エネミーデータ
AI警察 ×3
武者みたいなかっこをした人たちです。
ていやーすれば倒せます。
以上となります。
それでは、皆様のラーメンをお待ちしております。
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