シナリオ詳細
<ネメセイアの鐘>神ならぬ貌
オープニング
●<ネメセイアの鐘>神ならぬ貌
天義首都『フォン・ルーベルグ』より離れた独立都市『アドラステイア』。
天義とは異なる神を信じることを強制し、魔女裁判で以てその信仰を強制せし国。
しかし……そんな異質な一都市においても、隣国の事件は大きな影響を及ぼしており、アドラステイア自体も『殉教者の森』へ兵派遣を行っており、アドラステイアは平時に比べて手薄になっていた。
更にはそんなアドラステイアにおいて、昨今は異常な動きが見えつつある。
アドラステイア下層のスラム街に棲まう子供達に対し。
「さぁ、キミとキミ。キミ達は『ファルマコン』様に認められた様だよ。おめでとう……さぁ……私についてきなさい。ファルマコン様の下に、連れていって挙げよう」
微笑みながら、ボロボロの衣服に身を包んだ子供達に手を差し伸べるのは、神父服に身を包む者。
手を差し伸べられた子供達は、ぱぁっ、と顔を明るくさせて。
『え? ファルマコンさまが、ぼくをみとめてくれたの……? うん、いくいくっ!!』
『わーい! ふぁるまこんさまのために、がんばるぞー!』
とても嬉しそうな子供達……そして神父、いや、ファザーである大人達は子供達と共に……本来は侵入する事すら厳しく禁じられし『上層』へ。
空からは、海風に吹かれて横に流れる雪がちらほらと降り注いでおり、とても肌寒い。
更に、そんな街角には、子供達は嗅いだことのない……異質なる臭い。
しかし、子供達の心はウキウキ、ワクワクと踊る……ファルマコン様にほど近い上層に来る事なんて、人生で一度あるかどうかなのだから。
……そして、子供達が連れてこられたのは、上層一角にある教会の様な施設。
「さぁ……この中へ。祭壇の前にある『聖盃』を飲み干すんだ。ファルマコン様と……やっと会えるんだ」
そっと背中を押して、教会の中へと促すファザー。
頷き子供達は教会の中へ……子供達が入った後に、入口の扉はカチリ、と鍵が閉められる。
……そして、少しの後。
『……グ……グゥゥ……ア、アツ……アツィィ……』
『イ、イヤァ……ボク、ガ、ボク……ジャ……ナクナッチャウ……!!』
先程の子供達の悲鳴が響きわたり、ドアがガンガンと叩かれる。
しかし、鍵は開く事無く……その悲鳴は段々と絶叫、咆哮へと変わり果てていく。
それに。
『これで良し。さぁ……次なる犠牲者を作り出す事としよう』
クックック、と低い笑いを浮かべるファザー達なのであった。
●
「……皆さん……集まって頂けましたね? ……ありがとう、ございます……」
アドラステイア下層にて、キミ達の前に立つのは、ラヴィネイル。
ぺこりと頭を下げつつも、その表情はいつもよりも憂いを湛え、何処か悲しげにも見える。
そんな彼女の表情に声を掛けたキミ達は、一端人目に付かぬ様に裏路地へと入り込み、そこで。
「……皆さんも知っての通り……最近、アドラステイア下層、スラム街に住む子供達が、多く上層へと連れて行かれている様なのです」
「上層で、子供達に何が起きているのかは……正直な所分かりません。ですが、連れて行かれる少し前に、鉄帝国での事件があり、派兵もあり、このアドラステイア自体の守りも手薄になってきているのです」
「……子供達が何をされているのか……何かの被害に逢っているのでは無いか、と思う所はあります。ですが……このアドラステイアの好機を逃すわけにも行きません。皆様の力で……上層へと攻め込み、アドラステイアを元の通りに取り戻してきて頂きたいのです……」
深く頭を下げるラヴィネイルに、皆が頷くと……少しだけ安心した様な表情になる。
そして。
「……これは、可能であればの御願いですが……子供達が何処に連れて行かれ、どうなっているのか……調べて頂ければ幸いです。子供達が傷つくのは……もう、視たく……ありません……から……」
と……俯きながら、小さく頷くのであった。
- <ネメセイアの鐘>神ならぬ貌完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年12月16日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●異なる神の地
天義首都『フォン・ルーベルグ』より離れ、独立自治の狼煙を上げた独立都市『アドラステイア』。
異神『ファルマコン』を信じ、その神を信じぬ者は全てが異端者……かの者達を魔女裁判にて裁き、従わぬ者は全て断罪される地。
……しかし、そんな閉鎖的なこの地においても、隣国の突如の皇帝就任による混乱は影響を与えており、アドラステイアもその混乱に強い影響が及ぶ。
そんな混乱に乗じてなのかかは不明だが……今ここ、イレギュラーズ達が居る下層において頻繁に発生しているのは、棲まう子供達が上層に連れられていくというもの。
本来であれば、下層にいる子供達が上層に行く事は厳しく禁じられており、下層の子供達にとって憧れの地の上層に行けることは目を輝かせるほどに嬉しい事。
でも……そんな子供達が再び下層に帰ってくる事何故か無く、行方不明になるばかり……そんな事件を目の当たりにしたラヴィネイルから話を聞いたイレギュラーズ達。
「……本当にどうかしていますね、ここの大人達は。まぁ、階級社会って、どこもこんなものなのでしょうか……?」
と、『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)が小首をかしげると、それに済ました顔をしながら『北辰より来たる母神』水天宮 妙見子(p3p010644)が。
「まぁ……神様を信じる事自体は普遍的なものです。妙見子も元の世界では、子供を贄として献上された事おありましたので、その信仰の在り方までは否定する事はしません。まぁ、妙見子は未来あるものを畜生と同じように供物として扱う様が、最後まで理解出来ませんでしたけれど……それをまぁ、この国の神の名の下になどと……笑止。よく『我』にその醜態をさらして居られるな人間共。反吐が出るわ」
最初は柔和ながらも、最後の方には非常に棘のある、辛らつな言葉が飛び出てしまう。
それほど迄に、妙見子の内心は穏やかでは無い……そんな彼女に『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)が。
「むむ……? 今の口ぶりからすると、お主は神様だった、という事なのじゃろうか?」
問いに対し妙見子は。
「……ええ。失礼失礼、神様モード出ちゃいました♪」
浮かべる表情の喜怒哀楽は豊かで、神様と言われても、素直には信じがたい所……とは言えウォーカーである者達の経緯は様々故に、そういう事もあるだろう。
ともあれそんなアドラステイアを巡る事件を今迄幾つも解決してきた故に、思う所は苛立ち。
罪も無い子供達を上手く利用し、己、もしくはアドラステイアの利を追い求める大人達に強い怒りを覚えるのは、まぁ……当然のこと。
「……毎度のことだけど、本当に子供たちが前衛に立ってって言うのは、本当に胸糞悪いな」
「全くだ。私は大抵のことは許すが、他人に迷惑を掛ける悪は許せない質でな。アドラステイアは輝く未来があった筈の子供達を洗脳し、大人たちの様々な欲望の為に使い捨てている。まさに悪の中でも吐き気を催すような邪悪。絶対に許す事など出来ないな」
「そうね。『正義の反対は別の正義がある』って聞いた事あるけど、あんな形で子供たちが犠牲になる正義ならば、アタシは全力で止めに行くよ。子供たちとしては『アドラステイアの未来のために』って思って居るのかもしれないけど、子供を使ってその上の大人たちが良い思いをするなんて、絶対に許せないんだから!」
「そうだな。全く、とんだディストピアだ。だけど……そこに隙が出来たのなら、突かない訳がないよね。上手くいけば、彼等の秘事を大きく切り崩せるかもしれない。困難は未だ多いけれど、だからこそ最善の結果を目指さないとね!」
「ああ。まだ道は長いだろうが、壊滅の為に尽力するとしよう」
『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)と『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)と『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)の会話。
そんな仲間達の言葉に、『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)も。
「そうだな……アドラステイア……気にはなっていたが、縁があったからには行くしかない。何より助けを求むものがいるのに助けなくてどうする! 必ずや救ってみせる!」
気合いを入れる彼女にフルールは。
「そうね……連れて行かれた子供達は、どうなるのでしょうね……調べたい人は、もう行っちゃったみたいだけれど。視たくない現実を突きつけられるかもしれないですし、ちょっと覚悟はしておいた方がよさそうね……まぁ、あまりな現実を突きつけられたら、理性的でいられるとは限らないですけど、ね」
自分達より先に上層へと向かった『竜剣』シラス(p3p004421)は、子供達の連れ去られた状況を詳しく調べようとしている。
単独行動は危険が伴うが……彼は強い意志と共に潜伏する訳で……自分達も恐れている訳には行かないだろう。
「良し……では行くとしよう」
そう沙耶は仲間達を促すと共に、上層に向かうのであった。
●神に近づく時
「……さて、と。取りあえず、気付かれてはいないようだな」
涼しい顔で、軽く息を吐くはシラス。
一切の気配を遮断し、音も限りなく妨げる形で以て、下層から連れてこられた子供達を追いかけてきた彼。
空から降り注ぐ雪がその足跡と足音も消してくれたのもあり、子供、更には子供達の手を引く大人連中も気付いてはいない。
子供達は上層の街並みに眼をキラキラと煌めかせ、大人達に向けて。
「ねぇ、ティーチャー。あれって、何なの? とっても綺麗なたてものだね! 私達の済んでいた所とは、大違い!」
とっても嬉しそうに、その感想を口にする。
……だが、大人達はそんな子供達の言葉に耳を貸すことはない。
「……ティーチャー?」
と不安気な声を上げる子供もいるが、そこに視線を配す事も無い……いや。
「何だ? ……奴等、何かの命令に従ってるとかか? そういやイコルは供給を断たれたとか聞いてるが……こいつにイコルが何か関わってるとかかねぇ?」
と、表情を視て、シラスは疑問を抱く。
そして、子供達の声に応えることがないままに手を引きし大人達が子供達を連れてきたのは……上層の一角に建つ、こじんまりとした教会。
「ティーチャー……ここは?」
「……この中に、ファルマコン様がいらっしゃる。さぁ……ファルマコン様に選ばれた子供達よ、この中に入りなさい。そして、祭壇の上に捧げられている『聖盃』の中身を、一気に飲み干すんだ。いいね? ……飲み干したいい子の前に、ファルマコン様は現れてくれるよ」
「ファルマコン様が……うん、わかった……!」
とっても目をキラキラ光らせ、疑う事無く教会の中に入っていく子供達。
そんな従順な子供達の動きにシラスは。
「下層の子供たちも、十分に洗脳されている様だ。イコルがなくなり、聖獣化の線も薄そうんんだが……この状況で、子供達の使い道として考えられるのは……贄、か?」
そうシラスが言う間にも、子供達は教会の中へ……一方の大人達は、子供達が入ったのを確認した後に……外から扉に鍵を掛ける。
『……』
相互に頷き合い、その場から少し離れると……次の瞬間。
『……ア、アツ……アツィイイ……!!』
先程の子供達の悲鳴が、その教会の中から響き渡る。
「ちっ……やっぱりか……!」
シラスは舌打ちすると共に、大人達とは逆の方向から、壁を抜けて教会の中へ。
……むせ返るような臭いと共に、喉を掻きむしるようにして苦悶の表情を浮かべる『何か』。
「おい! おまえら、大丈夫か!」
そうシラスが叫ぶが、その『何か』は熱と苦しみを訴えるがのみ。
その表情を一瞥すれば……『何か』が、先程の子供達なのは自明。
みるみる内に身は泡立ち、苦しみ叫び、そして……零れる涙。
その変化は止まる事無く、彼等を次々と変質させていく。
『タス……ケテ……タスケテ……』
少女だったモノが、救いを求め、手を伸ばす。
「大丈夫だ! 意識をしっかり持て!」
その手を強く握り返すシラス……だが、その手は次の瞬間爪が伸び、シラスの手を傷付ける。
『グルルゥゥ……』
最初聞こえていた人の言の葉は、最早意味を成さない呻き声へと変わる……正しく『聖獣』。
「そういう訳か……アイツを飲ませて、聖獣へと替えるという訳か」
祭壇の上にあった盃は空となり、そこからは血生臭い臭いが薫る。
……だが状況判断をしている時間もなく、替わりし聖獣達は狭い教会の中で、聖獣でない獲物を食らうべく牙、爪を轟かせる。
「……っ」
流石に躱しきれぬシラス……更に、次の瞬間。
『お前、どこから入り込んだ……! この秘密、知られて帰す訳にはいかぬ!」
鍵を開けたティーチャー達が、シラスの背後を塞ぐ。
「流石に不味いか……一端、退く」
唇を噛みしめながら、シラスは横の壁をすり抜け、それに驚くティーチャー達を尻目にその場を脱した。
そして、シラスに暫し遅れて上層へと潜入したイレギュラーズ達。
美しく整う街並みは高貴な雰囲気が漂う……だが。
「……何だか街が焦げ臭いな……どこか、曰く付きというか、到底ここで生活出来るようなものではない。よくアドラステイアの者は、ここで暮らせているものだな……」
と沙耶が言う通り、街並み自体は綺麗なものの、焦げ臭い臭いが異臭が充満している状況。
空から雪が降り積もり、雪と焦げ臭い臭いという……背反しそうな状況に混乱しそう。
……そして、そんな街角を進んで行くと。
『ぬ……見ない顔だな。入場許可はあるのか? ここは上層、だぞ!』
武器と防具に身を包んだ子供達の集団……『聖銃士軍』。
上層は極限られた人達以外は立ち入ることが出来ない地……だからこそ、彼らが巡回し、不法に侵入した者達を捉える役目をしている訳で。
勿論イレギュラーズ達の様な外から来た者達は、当然ながら捕獲対象。
……そんな子供達に対し、沙耶とモカが。
「君達、下層から連れてこられた子供達を知らないか?」
「最近、下層から上層に子供達が何人も連れてこられている……君達は知って居るのか?」
と、素知らぬ素振りで子供達の所在を問い掛ける。
……それに子供達は。
『? ……よくわからない事をいうやつらだな! 変な事を言う奴等は、つかまえるぞ!」
どうやらこの子達……聖銃士達は、下層から子供達が連れてこられているのを、知らないらしい。
それに咲良とカインが。
「そういう事、ね……大人達は、子供達が知らぬ様に手筈を勧めている、という事なのかな?」
「かも知れないな……聖銃士に知られては不味い事なのだろう」
「……そうね。となると……」
口を噤む咲良……そしてニャンタルが。
「何にせよ、この子達が知らぬのなら、知らなくて良い事じゃ。ただ、ただでは此処を通してはくれなさそうじゃがの」
肩を竦めるニャンタルに頷きながらカインは。
「子供達……君達はきっと騙されている。僕達はその真実を突き止めに来た。だから、通してはくれないか?」
『うるさいっ! ファザー、マザー。不審者発見。聖獣様を呼んできて!』
『ああ!』
聖銃士達の言葉に、周りの大人達が頷き、笛を吹く。
すると、グルゥゥウゥと呻き声を上げながら、街中を駆けてくる聖獣達。
瞬く間に聖獣と聖銃士達の防衛網が築かれていく……その動きに、怒りを孕む表情で妙見子が。
「ならば……仕方ない。天罰の時、来たれり。どうか醜き怪物たちに、幸せな結末を……!」
先陣を切りニャンタルと共に聖獣に向けて踏み込む妙見子。
反撃しようと爪を振り上げた聖獣……その懐に潜り込み、全力の一撃を左右から放つ。
流石にその一閃のみでは倒れる事は無いが、中々のダメージを喰らった様で、其の身を怯ませる聖獣。
だが、更なる別の聖獣がドシンドシンと地面を蹴りながらやって来る。
更には聖銃士の子供達も、相手がイレギュラーズであろうとも臆すること無く剣や槍を幾重にも突き立て、攻撃してくる。
統率された聖銃士、対し個の力で暴れ通す聖獣……そして、そんな子供達を壁にしながら、更なる聖獣や聖銃士軍達を呼び寄せようとする周りの大人達。
ある意味においては、役割分担が出来た理想的な軍勢なのかもしれない。
……だが、聖銃士達はあくまでも子供達であり……まだ、戦い方も荒削り。
でも、そんな聖銃士達が前線に出て戦えば、自分達が傷つく事は無いだろう。
そんな子供達を利用する大人達に向けて沙耶が。
「お前達! 子供たちを騙したりするなど、それが神の許す事だというのか!? そのような加護を与え、そのような教義を説かせる神など……神であってたまるものか!」
辛辣に叫び、更にフルールも。
「もう、元に戻れぬ聖獣たちはきっと……子供達の成れの果て。ならば……仕方ありません」
聖獣たちに向けて、紅蓮の焔で以てその身を焦がし、傷付ける。
そう聖獣たちを攻撃する一方でモカは、聖銃士達を不殺の一撃で薙ぎ払いつつ戦陣を食い込ませ……大人達をターゲット。
「死にたい奴からかかってこい! 死ぬのが怖い奴は逃げていいぞ!」
と声高らかに宣言しながら、大人連中を攻撃していく。
大人達は高い戦闘力を持つ訳でもない故、モカの攻撃により倒れていく。
先んじて大人連中が倒れれば、更なる聖獣や聖銃士達を呼び寄せる事も無くなる。
続けて咲良、カイン、フルールらが聖獣を集中して討ち倒していくと共に、残る仲間達が前線を張る事で、聖銃士達の戦列を堰き止める。
……そして、呼び寄せられた聖獣らが全て倒れれば、残るは聖銃士達。
『うう……っ……』
流石にその戦況に唇を噛みしめ、動きが鈍る……やはり心根は、まだ未熟な子供達なのだろう。
……そんな子供達に向けて。
「まだ刃を剥ける様なら、こちらも対峙するまで……でも、今ならまだ、大丈夫だよ」
「そうだな……撤退するんだ。俺達は、追い立てたりはしない。約束だ」
投降を呼びかける咲良とカイン……聖銃士達は、その言葉に。
『……撤退、撤退っ……!』
とその場から退いていくのであった。
●救いの刻間
そして、イレギュラーズ達の上層攪乱作戦が一通り片が付いた頃。
傷を負うも、戻って来たシラス……彼からの子供達の聖獣化についての情報。
「やはり……そういう事でしたか……」
と唇を噛みしめるフルール。
そしてニャンタルも。
「幾分予想はしておったが……それが現実だと改めて知らしめられるとはな。倒した聖獣らも……そうであったのじゃろう。彼等が楽に逝く事が出来れば良かったのじゃが、な……」
と瞑目する。
とは言え当然ながら、聖獣を倒さなければ街の人にすら被害が及んでいた可能性もある訳で……。
……そんな仲間達の言葉にフルールは、降り注ぐ雪を見上げながら。
「……どれだけ経っても、人を殺すのは良い気分ではありませんね……私はあまりアドラステイアの事は知らないのですが、皆が住みやすい場所になってくれれば、と思うのですが……それは、難しい事なのでしょうか……」
ぽつり、自分に言い聞かせるように零す。
その言葉にモカが。
「何もかも……子供達を聖獣化させる方法を編み出した奴等が悪いに決まっている。それがこのアドラステイアに居る……ならば、彼等を必ず倒す。それが、私達に出来る事なのだろう」
歪な神を信じるアドラステイア。天義の理から外れたこの街を正すには……その元凶となる者を倒す他にない。
イレギュラーズ達の力でもって、その元凶を倒す……その時は少しずつ迫っていた。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
アドラステイアを巡る話も、いよいよ終盤戦……参加頂き、ありがとうございました。
下層の子供達を連れて、聖盃を飲ませる事で聖獣化させる……そんな酷い行為が行われていたようです。
子供達は苦しかったでしょう……その苦しみに終止符を打たなければなりません。
辛い所もあったと思いますが……きっと皆様の手で終止符を打った子供達は、苦しみの連鎖から解放され、助かった事でしょう。
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
今回の依頼はアドラステイア上層討伐作戦への参戦……となります。
ファルマコンを信じる者達の本拠地を制圧すれば、事態は大きく動く事でしょう。
●成功条件
アドラステイア上層に潜入し、立ちはだかる様々な敵を討滅する事です。
尚、子供達の行く末を調べる事自体は、成功条件には含みません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●周りの状況
アドラステイア上層は、何処か中世の雰囲気漂う街並みで、その狭間に教会やら信仰施設が設置されているという状態です。
町並み自体は平穏そのものではありますが、何故か焦げ臭かったり、生臭い薫りが街中に漂っており、その臭いを不快に感じる事でしょう。
又空からは雪が降り注いでおり、小さな音は掻き消す効果を持って居ます。
●討伐目標
・ファルマコン様に認められた聖銃士軍
子供達ではありますが、エリートとして認められ銃士達です。
ティーチャー達より鎧や武器を与えられ、それに身を包み戦い続ける者達となります。
戦闘能力は高めで、個より軍勢で高い戦闘能力を発揮する者達です。
ただ特殊な能力等は持って居らず、純戦に傾注したタイプの敵となります。
・子供達を指導する『大人』達。
上層で活動する大人達で、ファザーやマザー、ティーチャーetc、様々な呼ばれ方をしていますが、アドラステイアでは珍しい大人達です。
ただ彼等は子供達を慈愛の心で接する事は無く、あくまでも子供達は『自分達が使える駒や肉壁』程度でしか思ってません。
そんな非道な動きをする彼等ですが、一方で戦闘能力は低い様ですので、彼等一人ずつを誘い出せば倒す事は難しく在りません。
又、彼等は他の聖銃士軍や『聖獣』様を呼び寄せる事が有ります。
・絶大な力誇る『聖獣』達
ファザー/マザーによって呼び寄せられたりする聖なる獣です。
この聖獣は聖銃士軍達からすると、聖なる存在と考えており、聖獣が居る事で士気の上昇効果をもたらします。
その背中にある白い翼は、まるで天使の如き風情ですが……性格は獰猛かつ残忍です。
例え呼び出した大人や、子供達であっても、使えない奴と考えたら喰らいます。
勿論、戦闘能力は高く、更に爪・牙から繰り出される攻撃は猛毒と麻痺の効果が詰め込まれているので特にご注意下さい。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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