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シナリオ詳細

アンダーテイカーと曼珠沙華

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 残暑の頃ともなれば夜風は冷たさを帯び始めるが、未だその身に纏わりつく様な暑さはぐるりと尾を巻く様に感じさせる。黒を基調としたゴシックロリィタのドレスに身を包んでいた淑女は汗を拭う。
 ざくざく。ざくざく。土を掘り進める彼女の硝子の瞳に映り込んだのは鮮やか朱。
 そう言えば、もうこんな時期だったのかとアンダーテイカーは顔を上げる。
 春先に死者を尊ぶが為、花の種を探し求めて冒険に繰り出したアンダーテイカーにとって『生者』と尊さを知る事が出来たのは一番の幸福であったのかもしれない。
 嗚呼、けれど、死者と共に過ごすアンダーテイカーにとって『死の恐怖』はまだまだ勉強不足。
 ふと、顔を上げた先、彼女の縄張りの近くに密やかに語られた噂話を餞として、今日もギルド『ローレット』へと向かってみようではないか。


「御機嫌麗しゅう」
 ちょこりとギルド『ローレット』の椅子に腰かけた『アンダーテイカー』を見遣って『サブカルチャー』山田・雪風(p3n000024)はお客様だと静かに告げた。
「お見知りおきの方は、お久しゅうございましてよ。ご存じない方に改めて自己紹介いたしますわ。
 あたくしは『アンダーテイカー』、白銀の薔薇を胸に一刺しする墓守なのだわ。どうして薔薇を刺すかって? 死者の命の花を咲かせてるだけなのだわ、深い――それほど深い意味などないの」
 昏色のロリィタドレスに無骨なシャベル。変わった風貌の乙女は相変わらず美しい笑みを浮かべている。
「んで、えーと……墓守さんが俺達にお願いがあってきたそうな。依頼人ってなわけで……」
 もごもごと云う雪風は美しい淑女に緊張しているかのように視線を右往左往とさせながら小さな咳ばらいを漏らす。
「ええ、ええ、あたくし、皆様方にお願いがあってローレットに寄せていただきましたの。
 あたくしの護る墓地の近くで一つの噂話がございましてよ。凡そ、生者の皆様の考えることはあたくしには理解できないけれど」
「『死者から咲く曼珠沙華』、とかいう怪談が流行ってるそうで」
 こくりと頷いたアンダーテイカーはその怪談は事実であり、人の養分を吸う曼珠沙華が咲き誇っているのだとそう告げた。
「怪物ですわ。あたくしは死を恐れるという感覚が未だ薄い――勿論のこと、あたくしも生者。何者かの血肉になる可能性は十分に理解しておりましてよ。
 嗚呼、けれど、その怪物は『死者』からも養分を摂取する可能性があるというのです」
「アンダーテイカーの墓地に眠る死者を護るために、その曼珠沙華を倒してきて欲しい、という事らしい」
 こくり、と頷いたアンダーテイカーはどこか嬉しそうに笑みを浮かべる。
「あたくし、死を恐れる感覚が未だまだわかりませんの。また、教えてくださる?
 あたくしは死の靄の中に住まう墓守。生者の事は一等分かったものじゃあございません。
 お荷物であることは承知、我が麗しき墓地を護るが為にご協力いただけませんこと?」

GMコメント

 菖蒲(あやめ)と申します。
 アンダーテイカーとリコリスの花を倒しに。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●アンダーテイカー
 実年齢は不明。少女の外見をしています。長い髪に硝子の色の瞳。
 ロリータドレスにシャベルを背負った墓守。本名不詳です。
 生きているという感覚と、死の恐怖が分からず、特異運命座標との交流を通して知って良ければと考えているようです。
 ある程度の戦闘はこなせるようですが、本人談の通り『一般人よりましかな』程度です。
 過去『アンダーテイカーと薔薇の園』にて登場しております。

●麗しの墓地
 白銀の薔薇の香りがする麗しきアンダーテイカーの住まう墓地。
 仄暗く、ゆらゆらと揺れるランタンだけが唯一の光源です。
 その墓地近く、『生者』を養分とし、地中に眠る人々をも喰らわんと根を伸ばす曼珠沙華が存在しています。鮮やかな朱色は生者(ぼうけんしゃ)を待って居ることでしょう。

●曼珠沙華の怪物
 柔らかな朱色の花を咲かせた曼珠沙華の怪物です。
 周囲には美しい曼珠沙華が咲いていますがその中でも一等大きく、毒々しい気配を感じさせます。
 神秘攻撃を得意とし、遠距離での先方に優れています。中でも、拘束しそのHPを吸収するという特殊な攻撃方法を身に着けています。(吸収したHPで回復を行います)

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

  • アンダーテイカーと曼珠沙華完了
  • GM名日下部あやめ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年09月19日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オーカー・C・ウォーカー(p3p000125)
ナンセンス
チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
シキ(p3p001037)
藍玉雫の守り刀
シーヴァ・ケララ(p3p001557)
混紡
エイヴ・ベル・エレミア(p3p003451)
ShadowRecon
アンジェリーナ・エフォール(p3p004636)
クールミント
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先

リプレイ


 揺れる華の美しさは毒々しささえも感じさせる。ゆらりと揺らいだ彼岸の華。
 その朱は生への悲願が故か、それとも今世を彼岸より見遣る思いの色であるのかをアンダーテイカーは知らない。生の執着も死の恐怖も分からないと首振る彼女と再びの逢瀬を楽しみにしていたのだと『クールミント』アンジェリーナ・エフォール(p3p004636)は淑女の礼を一つ、柔らかに微笑んだ。
「アンダーテイカーのお嬢様とは、前回もご一緒させて頂きましたが覚えていらっしゃるでしょうか」
「勿論。あたくし、一度見たものは中々、そう、驚かんばかりに忘れませんの」
 口元にゆったりと笑みを浮かべた墓守にアンジェリーナは「此度もしっかりとお守りいたします」と悠々と微笑んで見せる。
「死の恐怖……」
 口にすれば『サイネリア』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)はぱちりと瞬く。色彩映す色違いの瞳は不思議そうに細められ――嗚呼、まだ年端のいかぬ少女には難しいという様に首を捻る。
「……んん、なんだか哲学的だなあ」
「そうね。生と死。そこに『当たり前』としてあるものだけど……違いはなにかしら?」
 ランタンの色はほの明るく。死の気配濃いその場所に生の安寧を感じさせるように揺れている。生温く夏と秋が混ざり込んだ湿気の匂いを鼻先饐えて、『混紡』シーヴァ・ケララ(p3p001557)は悩まし気な少女に笑みを溢した。
「……僕には、分からないけれど……僕は武器、だから……」
 アンダーテイカーのオーダーを思い返したように呟いて『刃に似た花』シキ(p3p001037)はそう、小さく呟いた。その様子にもアンダーテイカーは満足げだ。そうして、悩まし気にする様子から自身が望む者がそこにある気がして、淑女は幸福気に手を合わせて見せる。
「しかしな、死んだらそのご自慢の墓地の世話ができなくなる、まぁそうさせないのが今回の依頼だからな。死者も花も、依頼主も守るさ」
『ナンセンス』オーカー・C・ウォーカー(p3p000125)の言葉に 『旋律を知る者』リア・クォーツ(p3p004937)は大きく頷き「そういうことよ」とだけ短く付け加えた。
「自分で言っていたけれど『足手纏い』って」
「ええ、あたくしは皆さまの様に『運命に愛されし戦士』でなければ『世界が何かを与えた可能性』ですらございませんの。元より、この命、其方の殿方がおっしゃったように『ご自慢の墓地の世話』をするが為だけにございますから」
 饒舌なアンダーテイカーにシーヴァは 「大切なもの、貴女が失いたくないものは『自慢の墓地』なのかしら?」と薄らと瞳を開けて問い掛ける。
「そうなるのでございましょうか。ええ、『墓守』という立場故に付随するものでございましょう」
「……なら『ご自慢の墓地』の邪魔になる花は排除しなくちゃいけない」
 怜悧な視線を傾けて『ShadowRecon』エイヴ・ベル・エレミア(p3p003451)は淡々とそう云った。何所か物憂げであり眠たげ、それでいて華奢な体躯にAM96を装着したその姿は愛らしい淑女の様にも、戦場に慣れた戦士のようにも見える。
「『死体に咲く曼珠沙華』、人から養分を摂取するリコリス。
 聞いた話だと東方ではあの世に咲く花といわれヒガンバナ、と呼ばれていた。墓場にはもってこいの花だが――」
「……ん。今の今には必要ない、花だね……」
 花と言っても人食花だけどと『埋れ翼』チック・シュテル(p3p000932)はぱちりと瞬いた。
「沢山の命を食べるのは……それも、『死にたくない』って、気持ちから?
 でも。墓地に眠る人達…護る「手伝い」は、大事。だから、頑張らなくちゃ」
「……『死にたくない』」
 チックの言葉にぱちりと瞬いてアンダーテイカーが首傾ぐ。分からない、けれど、きっと彼らは解っている――そんな気がして、ほら、淑女の進む脚は軽い。


 薄昏の闇の中、無骨な色をした墓石が規則的にずらりと並ぶ。茂る草は整頓され、墓守の仕事ぶりが伺えた。
「曼珠沙華、か。ただ墓場に咲くだけならばそんな逸話もあるただの花。
 人、死体の養分まで吸うとあらばそれは怪物……魔物だ」
 エイヴの言葉にシキはこくりと頷いた。耳にした花の色は何処までも朱く、刃(シキ)を染めるに相応しい――その瞳の色までも染め込む様に美しい色をしているのだろうという事がシキには想像が易かった。
「それにしても死の恐怖を知りたい、か。
 生きているという感覚があれば自然と死の恐怖は生まれるものだと私は思う。
 生きているという自覚を持っていて、生きたいと思うからこそ、生の終わりたる死の恐怖は生まれる」
「『生きている自覚』でございますか」
 エイヴが淡々と呟く言葉にアンダーテイカーはぱちりと瞬く。その仕草、その『生』という証左を見出せないところに己を武器と認識しているシキは眩暈にも似た親近感を覚える。刃(シキ)は武器である以上、生死というものを直に考えたことはない。恐らくは、其処で息をしているというその動きさえもが一つの役割の為にあるかという様な有態だ。
「ふふ、此度も素敵なお話が聞けそうではございませんか? アンダーテイカーのお嬢様」
 エプロンドレスの裾をすい、と持ち上げて、薄昏を照らす薄暮の如きカンテラをゆっくりと地面に据えたアンジェリーナは口元に笑みを浮かべる。
 彼女と語らうのは二度目、そうなれば大体の人物像は見えるというものだ。理解と理想は程遠く、言葉にした生の実感を彼女に植え付けるのはそうそう簡単な事ではないという事をアンジェリーナはよくよく理解していた。
「此度も傍らでお嬢様と共に。どうぞ、よろしくお願いいたします」
 恭しく頭を下げて、アンジェリーナは眼前に揺れる朱をみやる。紅と呼ぶにも相応しきその色は――
「禍々しいわ」
 まるで不協和音だ。ぐちゃぐちゃと全ての旋律を混ぜ合わせたかのような。 
 捉えた旋律は、生者を喰らい死者を弄んだことがわかるかのような怨嗟の入り混じった酷い不協和音で。リアはゆっくりと目を細め深く息をつく。
「アンダーテイカー。悪いけれど、離れてみてて」
 淡々とそう云ったリア。ふい、と顔を逸らした彼女にアンダーテイカーはまあとぱちりと瞬いた。
「足手まといだからでございましょう?」
「ええ。……まあ、なんだ、ほら。ね?」
 怪我、してほしくないし、と囁く様に小さく。彼女の代わりに、自身が命を懸けるとリアはごにょごにょと口の中で呟いた。
「エイヴ君の後ろに控えていただけると嬉しいわ。さあ、行きましょう? 墓守さん」
 シーヴァはゆるりと呟いた。たん、と地面を踏み締めて手にした大剣には自由を据えて肉薄する。獣がその身に残した記憶を活用するように、靭やかに接敵したシヴァの眼前で赤はふわりと揺れた。
「ん……ランプに照らされて、明るいから、周りが良く見える……」
 チックの言葉にスティアはゆるりと頷いた。本を模した魔導器の背を撫でてスティアは指先飾った魔法具の指輪に一つ口づける。
 想いを糧に、力を得る。少女が胸に抱くは只、直向きさ。無垢なる想いをその身に宿してスティアは守護を首より下げて目を伏せる。
「死の恐怖、って、言葉にすると何だか漠然としちゃうけど。
 未練って言えばいいのかな? シーヴァさんが言っていたけど『思い残すこと』とか。
 まだやりたいこと、やらなきゃならないこと。そういうのを目の前にして、死にたくないなって思うかな」
 スティアは言う。例えば依頼で護衛を引き受けているけれど――こうして、戦う以上はアンダーテイカーを護り切らなければならないというその思いがある。
「でも、死ぬのが怖いと思いつつも何か守りたいモノのために命をかけるって事は……。
 あるから大事なモノになりすぎたら死の恐怖は薄れちゃう気はするかな」
 スティアの言葉に、ぱちり、とアンダーテイカーは瞬いて。リアの背と笑みを浮かべたスティアを見遣る。
 始まる花との攻防にオーカーが護り手として騎士纏う鎧に身を包み、撓る蔓を退けんとしている様子に「ふふ、」と小さく笑みを漏らして。
「自分の代わりに誰かが命を懸ける姿を見ているだけってのも、結構ハラハラするんじゃない?」
 ちら、と見遣れば、いまだにきょとんとした顔のアンダーテイカーが其処に居る。
「あたくしはこの墓地を護りたい。なれば、確かに『大事過ぎて己が事など二の次』であったのかもしれないのだわ」
 アンダーテイカーはリアに「素敵でしてよ」と小さく笑みを浮かべた。
 ふい、と視線を逸らしたリア。前線にぐん、と背を伸ばす様に飛び込んだシキの首もとでゆらりと藍玉の雫が揺れる。絆の雫を模って瞳は――その虹彩が彩る全てを感じ取る様にシキはその心を強くする。
 紅の花弁を切刻めば舞い散る其れは血の飛沫が如く。ひらひらと髪先を彩る其れは液体でないからかその毒々しいほどの赤でシキの髪先を彩って。
(僕のいた世界では、花は喋らなかったけど……この世界の花は、喋るのかな。
 ……斬ったら……叫んだり、するのかな……聞きたいなぁ……)
 ぽこりと隆起した土を踏み締めて、シキがぐんと、その身を反転させる。シーヴァはシキと擦れ違う様に前進し、流麗に舞うが如く刃を翻した。
「死と共に訪れるものが恐い――という気持ちもあるのではないかしら。
 心身に受ける痛み。死んだ先、彼の岸は知らない不安……死んだら忘れられてしまうという強迫観念。ええ、彼女が言ったけれど、諦められない、達成できない未練。大切なものや愛しい人を置いてゆく憂い」
饒舌にシーヴァは語る。墓地で一人、死者の相手をするアンダーテイカーは生者の未練をよく知らぬ。だからこそ『そういう思い』で『死を怖い』と感じることが無かったのかもしれないとシーヴァはゆるりと口元に笑みを浮かべた。
 波を描いた髪先が揺れ動く。その波を追い掛ける様にエイヴの弾丸は迫りくる蔓を弾いた。取り回しの良い弾丸が無数の直線を描く。夜闇の静寂を裂く様にうねる植物に鎮魂を謳うが如く。
 ――英雄幻奏第七楽章。祈りは悪竜を鎮める。それは聖女の旋律と呼ぶに相応しい。リアの指輪より産まれしヴァイオリンの奏でる旋律はその場に咲く花の力を弱くする。
 天使の旋律は治癒を乞い、傷を負いながらも戦うオーカーの心を奮い立たせた。
「……怪物であれど、灰になって大地に還り、新しい命として生まれ変わる。違う? アンダーテイカー」
「ええ、ええ、彼が死んだなればそこからはあたくしの仕事でございましょう。きちんと送って差し上げるのだわ」
 その言葉にリアはゆるりと頷いた。鮮やかな空色の瞳は細められる。この夜闇の中でさえ、彼女の髪は美しく、ヴァイオリンを奏でる仕草と共に揺れ動く。
 リズムと共に地面を踏み締めてチックは焔を身に纏う。花は全て、燃え落ちるものだから。
 刻んだマーチの音色と共に、焔は只、花を焼く。
「墓守の……お仕事?ど んなのか……気になる、かも。
 難しい事は……よくわからない、けど『死の恐怖』は、願いから……生まれるのかなって。おれは思う」
「願い?」
 アンダーテイカーはチックを見遣る。茫とした瞳の向こう側、『いつか墓守の仕事をお教えしましょう』と語るアンダーテイカーに頷いてチックはひらひらと散り急ぐ花を見遣った。
「幸せなままで……いたい。大事な人やものを……守りたい。それは人それぞれで…沢山あるの、かも。
 ……アンダーテイカーは、どんな願いから……『生きていたい』って、思う?」
 あの花は、きっと咲いて居たかったのだ。
 己が生きるために、誰かを犠牲にして。それは、人の生業と同じ。生きるためには何かの犠牲が必要になる事を誰もが知っているのだから。
 けれど、それだけではない。誰かを護るという矜持を胸にした以上、負けるわけにはいかぬと識るオーカーが「もう直ぐだ」と声を上げる。
 チックは頷く。前線で傷を負いながらもなお戦うオーカーを癒したリアの声を聴いて、チックは「アンダーテイカー」と彼女の名を呼んだ。
「あたくしは――」
 ああ、ほら――理解っていることが一つはあるではないか。謎でもなく、それはそこに当たり前の様にあったアンダーテイカーと名乗った淑女の想い。
 シーヴァは言う。
「死を恐れる感覚がわからない。其れを知りたいと想うアンダーテイカー嬢は此岸で生きたいのね」


「わかって、もらえた……のかな?」
「さあ?」
 スティアが呟く言葉にリアは首を傾ぐ。シキも、何となくは『理解る』気がしたが果たしてそれが本当の理解であるのかは分からない。
「あ、良い事言ってたら褒めてくれても良いんだよ!! ……でも言葉にするのって難しいな。
 簡単にまとめると他への興味を持ってみるって気はするんだけど……なんかこう伝われ! 私の想い!」
 くすくすと小さく笑う。アンダーテイカーは生者へ渡せるものを持たない。だから、こそ『素敵なのだわ』という言葉しか掛けることができないけれど。
「貴方の旋律は、とても静かで綺麗。貴女の声、貴女の仕草、その全てが死者を悼む鎮魂歌の様」
 もしも、自分が死んだならば貴女に。そう冗談の様に告げた言葉にアンダーテイカーはお待ちしておりますわと闇色のスカートを持ち上げて。
 ――ここは常世。死者が臨んだ箱の傍。
 スカートを持ち上げて、アンダーテイカーはからりと笑う。硝子の色の瞳が細められ、煌めく月を仰ぐように白い指先は揺れ動く。
「またよろしくお願いいたしますわ。それでは――白銀の薔薇が咲く頃に」

成否

成功

MVP

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女

状態異常

オーカー・C・ウォーカー(p3p000125)[重傷]
ナンセンス

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 淑女にとって、理解と理想は程遠いものではありますが。
 先ずは、アンダーテイカーに気付きを与えてくださった貴女へMVPをお送りして。
 教えていただこうと、言葉を下さった皆様に感謝を。

 またご縁がありましたら。

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