シナリオ詳細
なつやすみ
オープニング
●終わらない夏って怖くない?
「暑いっすねえ」
『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)はパサジール・ルメスの生まれ、『男子高校生』月原・亮(p3n000006)とは少し夏の捉え方が違うと言えば違うのだが。
暑い夏は少し涼し気な鉄帝で避暑感覚でのんびり過ごして、冬が近づけばラサ近辺に戻るという生活をしていたリヴィエールには幻想の夏は相当応えている。
「暑いけど、夏って嬉しくなんね?」
「なんでっすか?」
「何って夏休み」
「……?」
現在日本からの旅人である亮にとっては8月と言えば夏休み。実家の蔵の大掃除に駆り出されたとしてもお駄賃を貰って友達とプールや川や、海と大冒険を繰り広げる少年時代を送ってきた剣道少年にとって夏は思い出の宝庫だ。
対するリヴィエール。夏休みって何それという彼女は基本は流浪の民。学校に通った事も、ないわけで。
「学校、って知らない? ほら、夏休みの宿題に追われつつ新学期が始まってさ」
「新学期……?」
キョトンとしたリヴィエール。どうしたものかと悩まし気な亮はふと、何事かを思い出した。そう言えば、最近は某暗殺令嬢が面白道具に凝っている――その目的は特異運命座標という素晴らしき玩具がいるからなのだが――のだ。彼女に言えば、リヴィエールに学校を味合わせてやれるのではないか……?
「よろしくてよ」
――こういう時ににこっと笑って奇妙な魔法道具を練達より取り寄せてくるから、暗殺令嬢は怖いのだ。
- なつやすみ完了
- GM名夏あかね
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年09月16日 21時55分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●
爽やかな風が吹いている――穏やかな日差しが暖かで。
そう、雨の気配もなく、文明の利器(練達製品はお得なのだ!)で涼を感じ取れることができる。これが、最高の夏休み。
夏休みに馴染みがないという『絆の手紙』ニーニア・リーカー(p3p002058)は物心ついた頃から働いている勤労少女。魔道具の出所に不安はありつつも、『夏休み』という学生たちが感動を覚えているそれを是非とも体感してみたいというのが本音だ。
「夏休みって素敵デスよねぇ、学校行かなくても怒られないって最高デスぅ!」
『不運な幸運』村昌 美弥妃(p3p005148)はにんまりと笑みを浮かべる。世間一般的な白と紺色のセーラー服。スカートは勿論膝丈なのが優等生的スタイルだ。
「でも、夏休み……夏休みと言えば宿題があるんデスよぇ」
宿題、という言葉に 『ペリドット・グリーンの決意』藤野 蛍(p3p003861)は身に覚えがあるという様に「わかる」と大仰に頷いた。
「学校! 夏休み! わかる、わかるわ……! うん、せめて今だけは浸らせて……!」
蛍にとっては帰りたくても帰れないあの場所状態。セーラー服姿の蛍は願う様にそう呟いた。
彼女と揃いのセーラー服を着用していた『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)はそんな様子に「旅人からすると『楽しい』ものだったんすかね?」とこてりと首を傾げる。
「そうねぇ~、楽しいと言えば楽しいものなのかもしれないわ~。
んふふ~、ごく普通の高校91年生として、おばさんだってJKで夏休みをエンジョイするわよ~」
上級生の威厳マシマシ。高校91年生という言葉を感じさせないぐらいには愛らしい外見をしている 『夢色観光旅行』レスト・リゾート(p3p003959)。セーラー服姿で頼れる先輩オーラを見せているレストから漂う気配は信仰蒐集、凄い、信仰蒐集ってこうやって使うんだと言わんばかりの状況で胸を張った先輩に桜坂 結乃(p3p004256)は首をこてと傾げた。
「なつやすみ。学生さんが羽を伸ばす楽しいお休みって聞いた事があるよ。
ボクは学校に行ったことはないけど、お休みは嬉しいね。しゅくだい……しゅくだい……はマスターが知ってる事はボクも知ってるけど、ちゃんとしたお勉強はしたことない……。えとえと、がんばらなきゃ」
「あたしも学校行った事ないんで勉強なんてさっぱりっすよ」
不安げな顔をした結乃にリヴィエールも大きく頷く。セーラー服姿でくるりと回る結乃にかわいいかわいいと褒めながらレストはそっと、彼女の胸にリボンを結んだ。
「大丈夫よ~、おばさんがお手伝いするからね~」
その様子に、難しい仕事なのだろうと意気込んでいた『水面の瞳』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)は驚愕していた。
今回はどんな仕事だろうかと、任務内容を聞いてくれば『夏休みを謳歌せよ』という――「あ、遊ぶ、だって?」
首を傾げたニア。夏休みも宿題も初耳だ。身に着けるのはブレザータイプの学生服。リボンとひらひらとしたスカートが愛らしい一品だが、ニアは何処か居心地悪そうな雰囲気だ。
「ちょっとヒラヒラでペラペラだけど、動きにくいワケじゃない。
リ、リヴィは……この格好どう思う? 似たような『学生服』だけど、ちょっとタイプが違うみたいだ」
「そうっすね。あたしはわりと露出が高い衣服も着慣れてるんで違和感はないっすけど……ニアさん、似合ってるっすよ」
へらりと笑ったリヴィエールにニアは頬を掻く。似たようなデザインではあるが、何処か恥ずかしさは拭えないままだ。
「さてっ、皆で夏休みを謳歌しましょうね! そうですね、私は宿題は計画決めます。
やる日程は全部決めちゃって行動する方なので、ん~……そうですねー……今回は前半は遊び、中盤に宿題を終わらせて、後半は残りの遊びで楽しみたいと思います!」
白シャツに黒のチェックのスカート。学生カバンもしっかり装備済の 『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)。
「それは良い作戦だね。学生の夏休みの分かは私にはなかったから新鮮そのものだね。
うん、でも……私が学生服か、少し無理がないかね? 少し髪型を崩しておくかな」
初々しい少女のバカンスを、見守れるというのは役得だが、自分自身は男子学生としての動きを徹底しなくてはならない。
……誰だって夏休み。誰だって学生、だけれど――ちょっと、年齢的に恥ずかしい、かな? 『バトロワ管理委員会』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)はそう小さく呟いて、『今回の仕事』に励むのだった。
●
夏休み計画表。それは宿題に課せられる事のある重要なキーパーソンだ。それを用いたなれば、そうそうこの任務を失敗しない。
そうユーリエは踏んでいた。しかし、そんなユーリエにも苦手なことが有る。
「……夏休みの宿題って、『夏休みの学習ドリル』とかがあったり……? そ、それだけは勘弁……!」
ぞぞ、と背筋に奔る厭な気配。ユーリエは計算問題は友達と会話して、文章問題等の単純作業は得意だとユーリエは仲間達へと提案した。
「ううん、強敵があるんだね? 文章を書いたり、考えるのは得意だけど。
我流だけど、手紙の書き方位できないと、僕は郵便屋さんなんだって胸張って言えないからね」
初体験組のニア、結乃、リヴィエールで何とか熟そうと考えていたニーニアは『経験者』であるユーリエの言葉に表情を僅かに曇らせた。
「そうデスねぇ……苦手なのは英語と数学。得意分野は国語とか歴史デスね」
「すごく文系が集まってる気がする……」
美弥妃の言葉にユーリエは頬を掻く。全くの無学ではないが勉強は得意だということも出来ない。
ニアにとっては『全くの新しい分野』である宿題だ。最初に予定を立てるユーリエの言葉を聞きながら「好きでも嫌いでも」とぼやかすニアに結乃は首をこてんと傾げた。
「私は終盤から手を付けようかしらね~。ユーリエちゃんは偉いわぁ~」
大先輩レストの言葉。そして、その順番で行こうかというラルフに合わせて蛍は成程、と小さく頷いた。
「ボクは最初に全量を把握して消化計画を立てるつもり。元委員長としての気概、しっかり見て欲しいわ!
見てなさい! 元現役JK(?)の心意気!」
「ふふ、頼もしいわぁ~」
胸を張る蛍。それはそうと、レストは彼女が毎日コツコツと毒のDoT――失礼、宿題消化計画を立てる様子を微笑ましく見つめている。
しかし、大先輩レストさん。今回の作戦はと言えば。
「勿論、宿題はそっちのけで遊ぶわぁ。どうやら夏休みを知らない子もたくさんいるんでしょ~?
たくさん遊んで、たくさん良い思い出を作っちゃいましょう~。えい、えい、お~」
水辺に移動した美弥妃。靴と靴下を脱いで、素足を水に浸せばじんわりと冷たさが背筋を登る。
「え、と」
水遊びには慣れているが『夏休み』の過ごし方を全く持って理解していないリヴィエールの不安げな視線に美弥妃はにこりと笑って、「とにかく遊んで遊んでのんびりして遊ぶのが夏休みの醍醐味デスよぉー」よアドバイス。
「こういうのドラマで見て憧れてたんデスよねぇ」
ばしゃ、と水をかけた美弥妃にニアがぴくと耳を揺れ動かす。遊ぶときは全力で。メリハリは大事だと考えるニアはそれでもリヴィエールの護衛役だからとリヴィエールの傍らに立っていた。
「水遊び、楽しそうだよな。猫でも意外に泳げるモンだよ」
スクール水着を身に纏い、ビーチボールを打った蛍に「ふっふっふ」とニーニアが口元に笑みを浮かべる。
宙を飛び上がり、その翼を生かして水を掬い上げて大いにぶっかける。その勢いの儘、打たれたビーチボールの強さと言えば。
「フッフッフ、飛んでいれば反撃されても届かないよ!」
「降りてきたら足を掴んで川に引き摺り込むっす」
海種のリヴィエールの言葉にニーニアがくすくすと笑う。それは考えていなかった。反撃が怖いと翼をばたつかせて。
うっかり転ばないようにを気を付けるユーリエのシャツも水に濡れている。涼しいねと笑った彼女はばしゃばしゃと水を跳ねさせて、くるりと振り仰いだ。
「そろそろご飯にします?」
「バーベキュー?」
美味しいのよ、と微笑むレスト。その手にはカラフルなキノコがあるのだから、結乃は首を傾げた儘ぱちくりと瞬くしかない。
「リヴィちゃん、いっぱい食べてね?」
そのギフトの内容から、リヴィエールと仲良くなりたいと最初に笑っていたニーニア。勿論、リヴィエールだってお友達は大募集だ。嬉しそうにニアとニーニアの傍らでにこにこと笑い肉を全力で頬張っている。
「焼き加減はばっちりだ。あ、そっちのイカはまだだぞ」
てきぱきと指示をするラルフ。野菜と肉とバランスよく食べなきゃと楽し気に口に肉を運ぶ美弥妃と共に結乃はおいしいと瞳を煌めかせる。
「思い切り川で遊んで、それからバーベキューをして、後は花火もあるんだとか。
ほんと楽しいよね。『夏休み』って」
「これが学生たちの楽しむ夏休みなんすね。……楽しいのなら良かった」
仕事じゃない事に不安そうだったからと告げるリヴィエールにニアは頬を掻く。
勿論、どうしようかなと思ったのは確かだが――それでも、今はとても楽しい。
楽し気な女学生たちを眺めながら『思春期の男子学生的な気分』で隅でのんびりとしているラルフ。
彼女たちが遊び疲れたならばBBQで焼き奉行としてその手腕を大いに振るって見せよう。
暗くなればそれこそ夏のお楽しみ。花火大会だ。
小さな打ち上げ花火を設置してレストはにこりと微笑み結乃の手を引いた。
こっちこっちよと呼ぶ声にニアとリヴィエールは顔を見合わせ頷き合う。美弥妃は「打ち上げ花火デスかぁ!」と瞳をきらりと煌めかせた。
「さてさて、どんな花火が打ち上がるのかしらね~?」
その楽し気な声音にラルフはくつくつと喉を鳴らして楽し気に小さく笑う。
「手持ち花火も風情がだな、夜空を眺めながら燃え尽きる線香花火は夏の終わりを感じるにぴったりだね」
「花火は好きなんですけど、私目がやられやすくてすぐ目が赤くなっちゃうんですよね」
小さく息つくユーリエ。折角だ、夏の醍醐味と言えば――線香花火!
「少し揺れてもポトって落ちちゃうんだよね……意外と難しい」
線香花火がゆらゆらと揺れている。その様子を眺めながら蛍は小さく呟いた。
「花火って眺めてると無心になるわよね……綺麗。
……線香花火の落ち際なんて、まるで夏の終わりのよう……」
「花火って、あっという間に消えるけど、この光、好きだなぁ……」
きらきらと視界煌めくその華に結乃は小さく呟いた。だから、とても美しくって、とても素敵な思い出になるのだなとほうと小さく息をついて。
●
「ところで皆、宿題はちゃんと進めてるわよね?」
蛍の一声に、ぎくりとしたのは『終盤に進めればいいや』組である。
上手に進めていた螢とユーリエ以外、初めて組は『今からやればいい』のアドバイスを一身に受けていた。
「大丈夫、おばさんの出番ね~」
すく、と立ち上がった上級生。この終わるか終わらないかの焦燥感が実にいい。若い頃を思い出すと彼女が手にしたのは読書感想文。
「おねショタ本の読書感想文、受けてみなさぁい!」
式『腐』で爆発四散させて見せる。プレッシャーに負けないようにとサポートする蛍の声を聴きながら、疲労回復で必死に作業を進めていく。
てんやわんやの中、ニーニアとリヴィエールの苦戦はすごい。そう、この依頼は腐っても『難易度普通』なのだ。戦わぬ者には慈悲はないと言わんばかりの宿題の勢いがひどい。
「なかなか難しいね……! でも、大丈夫」
ヘイトレッド・トランプル? いいえ、問題を解くのです。おやつタイムも十分にユーリエはニーニアの宿題にちらと目をやる。
宿題高速焼却法(灼滅の腕)で懸命に持ち前の速さで宿題を終わらせていくラルフ。勿論、宿題対応準備がバッチリ組はしっかりと戦っている。
「えっと。このへんまでは……」
戦わぬ者には慈悲はない。分かっているからこそ、ニーニアと結乃は必死に宿題を勧めていた。攻撃(べんきょう)は中々に苛烈だ。
夏休みの終わりというのは斯くも苦しいものなのであろうか。リジェネートで持ちこたえるとニアはリヴィエールを庇いながら件目に戦う。
(……えーと、自分で殴り倒さなきゃいけないってワケじゃないよな?)
勿論です。協力するのも夏休みの宿題の大いなる攻略法。存在感を見せつつある宿題に「もしかしてBBQモグモグしている場合じゃないデスぅ?」と驚きながらも黙々とこなす美弥妃。
予想外なドッキリハプニング(水を思いっきり被る)という楽しい夏休みを謳歌した彼女でも目の前の宿題は成程、強敵だ。
「この問題ってどうすればいいんデスぅ?」
「ここは任せろ。解いて(もやし)てやろう」
ラルフの言葉に美弥妃は大きく頷く。物理的な攻撃なんて燃やして見せると美弥妃は考えていた。終わらない夏休み、新学期が始まっても宿題をやり続ける夏休み。
大丈夫、ここで耐えきれば期日通りに終わるはずだ。さあ、宿題のラストスパートだ――!
何はともあれ、楽しい夏休みになったのでした。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした、イレギュラーズ!
夏休みは楽しみましたか?
毎日が夏休みの用だったらいいのに、ネ!
GMコメント
私の学生時代は8月25日位から新学期始まってましたけどもね。
●成功条件
リヴィエールと共に魔法道具内の『宿題』を倒す。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
何故……? 魔法道具をくれたのは誰でしたっけ……。
●魔法道具『8月32日』
夏が過ぎ去りそうなそんな名前。しかし、侮るなかれ。
魔法道具に取り込まれた人間は誰であれど学生服です。学生服のデザインはおまかせします。
恥ずかしがったって学生服です。お気をつけ遊ばせ。
リヴィエールは『学生服分からない』と使う前に真顔でしたので、デザイン考えてくださってもOKです。
魔法道具の中では皆さんの想像した素晴らしき夏休みを体感できます。行きはよいよい帰りは恐いです。遊び続けられますが宿題はじわじわ迫ってきます。
●『宿題』×9
魔法道具の中に住まう魔物です。どんな存在かってその名の通りです。
強敵です。範囲攻撃でもなんでもござれ。絶対に逃がしません。
最初からそこに居ますが、最初は何だか存在感が薄く感じます。なんででしょう。
ギャグ補正ですごい勢いで攻撃を繰り出します。宿題を倒さなければ出ることが叶いません。
エンドレス夏休みです。9体倒してくださいね。1人1人に宿題は在りますからね。
●同行NPC
『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)。
一応戦えますが、そんなにです。基本はどなたかが護衛についた方がいいかもしれないです。
夏休み?すげえ、たのしそうっすね!遊んでもいいんすか!?というテンションです。
よろしくお願いいたします。
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