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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>前門の鉱猪、後門の溶岩鷹

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 政変によって国内事情が一変したゼシュテル鉄帝。
 新皇帝バルナバス・スティージレッドの勅令により、この国におけるルールは弱肉強食が全てとなってしまった。
 この体制に対するべく、様々な派閥が集まり、大きく鉄帝は6つの組織に分かれることとなる。
 帝政派、ザーバ派、非主流軍部派、ラド・バウ派、革命派……。
 その一つとして数えられている中に、ヴィーザル地方のノーザンキングス連合王国を中心とした勢力、ポラリス・ユニオン……北辰連合が挙げられる。
 彼等は鉄帝全土の戦いへと積極的に介入し、虎視眈々と漁夫の利を狙う。

 その北辰王国に所属するローレットイレギュラーズ8名は、魔物出現の情報を受け、ヴィーザルの山間部にあるマテア鉱山へと向かっていた。
 マテア鉱山はめぼしい産業のないヴィーザルにあって、山という立地を最大限活かして細々と人々が生計を立てている場所。
 その鉱石は首都に住まう鍛冶師らにも卸され、武具や防具となっている。
 普段は鉄帝民を下支えする場所でありながらも、さほど注目もされぬ場所なのだが……。
「なんでも、鉱山内部からマテリアルボアなる魔物が出現したそうよ」
「連中は鉱山夫に重傷を負わせ、外に出ようとしているらしい」
 レイリー=シュタイン (p3p007270)、ルカ・ガンビーノ(p3p007268)が後続参加のメンバー達へと簡単に状況説明する。
 鉄帝国内の戦いに参加するのを是とするメンバー達だが、やはりヴィーザルでの事件を放置することもできない。
「地固めは大事だ。後ろから魔物に襲われてはたまらん」
「それに、鉱山の町が襲われるのを黙って見てはいられないよ」
 ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ (p3p007867)、秋月 誠吾 (p3p007127)もこの事態を見過ごせぬと感じ、この魔物討伐に参加することにしていた。
 マテアへと到着したメンバー達はすぐに、町民の叫びを耳にする。
「「うああああああ!!」」
 これまで、鉱山内を徘徊していた魔物がついにそとへとでてしまったのだろう。
「鉱山から魔物がでたぞ!」
 入口へと詰めていた鉱山夫の渓谷もアリ、町民らは町の外に向かって走ってくる。
 程なく、奥からは地鳴りのような音が響いて。
 ブオオオオオオオオオオ!!
 討伐対象である猪……マテリアルボアが鼻息を鳴らして町に近づいてきている。
 自主的な避難が進んでいるのはありがたいが、このままでは町は魔物達によって 破壊されてしまうだろう。
「町へと被害が及びかねません。すぐに討伐を……!?」
「風の流れが……何かが後ろから近づいてきます」
 討伐対象の迎撃を考えていたリースリット・エウリア・ファーレル (p3p001984)だが、リュティス・ベルンシュタイン (p3p007926)と共に後方上空からの新手の強襲を察知する。
 クエエエエエッ!!
 全身が真っ赤に燃え滾るような色をしたマグマガルダが4体。勢いよく降下してくる。
 マグマの弾丸を振らせてくるこの魔物も多大なる被害をもたらすのは間違いない。
「ふん、タイミングのいいことね」
「同時に相手しないと、町は無事では済まないわね」
 燦火=炯=フェネクス (p3p010488)、秦・鈴花 (p3p010358)もあまりにタイミングの良い魔物達の奇襲に何かを感じながらも、仲間と共に手早く双方の魔物の討伐作戦を練り、掃討へと当たり始めるのである。

GMコメント

 リクエストありがとうございます。なちゅいです。
 ヴィーザル地方に存在する鉱山の街を襲う魔獣の群れの排除を願います。

●目的
 全ての魔獣の殲滅

●状況
 純戦シナリオです。
 ヴィーザル地方、マテア鉱山に現れた魔獣が町にまで攻め入ってきます。自主的な避難もあって、避難誘導などは必要ありません。
 2種6体がそれぞれ街の東西暴れ狂い、街の破壊と人々の命を狙おうとしますので、全力で撃破を願います。
 敵出現場所は街を挟んでいる為、もう片方の戦場に達するには数ターンが必要となります。

●敵
○マテリアルボア(略称:鉱猪、猪)×2体
 全長4mにも及ぶ巨体を持つ猪。鉱山内部から現れる全身が暗褐色の鉱物で構成された魔物。
 猪らしく突進するだけでなく、咆哮、地ならし、鉱物飛ばしと側面にいても油断なりません。

○マグマガルダ(略称:溶岩鷹、鷹)×4体
 全長2m弱。真っ赤な体躯を持つ鷹。火山から生まれたとも言われる燃え上がる鉱物で身体が構成された魔物。
 上空から強襲、つかみかかりといった鳥の魔物の定番攻撃を行いますが、いずれも炎を伴います。
 さらに、マグマを投げつけてきたり、叫んで地割れを越してマグマを高く巻き上げたりと多彩な攻撃で攻めてきます。

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <総軍鏖殺>前門の鉱猪、後門の溶岩鷹完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年11月20日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
秋月 誠吾(p3p007127)
虹を心にかけて
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者
燦火=炯=フェネクス(p3p010488)
希望の星

リプレイ


 ヴィーザルの鉱山、マテア鉱山を訪れたメンバー達。
 鉱山内部から現れる猪……マテリアルボア2体の討伐へと訪れていた。
「鉱山から現れた魔獣ね。町に着くまでに間に合ってよかったわ」
 『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)は町がまだ無事であることに安堵する。
 しかし、猪は直に町へと至るはずだ。
「町が襲われているとあらば、放ってはおけまい」
 『北辰連合派』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)も早速、仲間と共に鉱山へと向かおうとするのだが……。
 頭上から強襲してくる鷹……マグマガルダ4体。
 それらは叫びながら獲物を狙って街へと降下してくる。
「ずいぶん図ったようなタイミングで攻めてくるじゃねえか」
「示し合わしたように攻めてくるとは……煩わしい限りです」
 頭上を見上げる『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)。『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)も言葉通り煩わしげに小さく首を振る。
「ここにも魔獣、しかも妙にタイミングが良いときた」
「こいつらも天なんちゃら種も、新皇帝の意を受けて動いてるのか?」
 『希望の星』燦火=炯=フェネクス(p3p010488)は他の街を襲った事件について口にすると、ルカが彼女の考えたことを代弁する。
 新皇帝派だけでも厄介なのにとルカが続けると、『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)が少し唸って。
「新皇帝派は魔獣を手懐けて兵として活用しているようだけれど、それ以外に各地で魔獣の類の動きが活発化しているのも間違いない」
 片方が鉱山から出てきたこの状況は、ただの嫌な偶然か。
 リースリットが勘ぐってしまうのは無理もないことだろう。
 ともあれ、敵が近づいてくると、燦火は察して。
「まぁ、そんなことは後で考えましょ。今はブチ倒す事に集中しないとね!」
 同意する面々の中で、『虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)はしばらく鉱山の町を見回していたのだが、この状況に思わず嘆息して。
「一般人の避難が済んでいる分戦いやすくはあるが、どうせなら一か所に纏めて出てきてくれよ」
 駆け付けたイレギュラーズは8名のみ。
 2方向から来る魔物と対するべく仲間を分けねばならないと、誠吾は愚痴を零しかける。
「とはいえ、二手ならまだなんとでもなりましょう。これ以上、町に被害は出させません」
「この街に住まう民達の為に手早く片付けてしまいましょう」
 しかし、リースリットやリュティスは前向きに敵と対する構えをみせる。
「どうせ退治するなら、殴って美味しく食べられる肉質のモンスターがよかったんだけど」
 『パンケーキで許す』秦・鈴花(p3p010358)は現れた敵が鉱物にマグマと岩石などをベースとした敵であることを指摘して。
「ここの鉱石は確かにこの国の資源なんでしょ?」
 亜竜種の鈴花にとって、鉄帝は縁もゆかりもない国。
 それでも、そこに住んでいる人達が苦しむのは嫌だと語る。
「ただでさえよくない情勢、その上で住む場所がなくなってしまえば大変ですからね」
 リュティスも同意し、手早く仲間達と担当分担を始める。
 そんな仲間達に誠吾は流石だなと舌を巻いて。
(こんな状況でも怯むことなく向かっていく。俺もしっかりしねーとな)
 彼もまた気を強く持ち、この状況に対するのである。


 元々の依頼、猪……マテリアルボアに加え、不測の事態……新手の鷹、マグマガルダにも対処せざるを得ない状況。
 視認できる範囲に現れた燃え滾るような溶岩を思わせる体色をした鷹には、ルカ、ベルフラウ、リュティス、鈴花が対処に当たる。
「こちらが先に終えればそちらに向かう。逆の時は頼むぞ」
 猪側の対処へと向かう4人の背に声をかけたベルフラウ。
 戦闘場所はそれぞれ町の入り口に鉱山側入り口とかなり離れてしまうが、猪対処に向かったメンバーもまた手練ればかりとあって彼女もさほど心配はしていない。
「一刻も早く双方撃破して、町民を安心させてやりたいからな」
 町から退避した町民達はイレギュラーズが駆け付けたのを確認して一度は活気づいたが、それでも心配そうにこちらを見つめてくる。
 自分達がいたことは幸いだったとルカは呟いて。
「下がってな! ここは俺らがぶっ倒してやる!」 
 幸いにも敵が破壊活動を開始する前に駆け付けることができた。
 町から少し離れる様町民らへ促すルカ。
 町に被害を出すわけにはいかない。一匹残らずぶちのめすとルカは闘志を燃やして頭上を見上げる。
「二方向から攻めて勝った気になってるかもしれないけどね、アタシ達の力見誤ってるわよ!」
 鈴花の呼びかけを理解したかは分からぬが、鷹は代わる代わる嘶き、この場のイレギュラーズを牽制してくる。
 空からなら攻撃し放題、そうマウントをとるようにも見えたが。
「全力で行こう、いつも通りにな」
 そう告げたベルフラウの発する力により、メンバー達はふわりと空中へと舞い上がる。
「空を飛ぼうが、私には関係ありません。全て撃ち落としてみせましょう」
 リュティスは仲間の支援もできる位置をキープしたまま、術式を展開し始めるのである。

 少し遅れる形で、町を突っ切るように駆けるメンバー……リースリット、誠吾、レイリー、燦火も敵と対する。
「見えてきました」
 リースリットの視線の先には、鉱山奥から勢いよくかけてくる2つの塊。
 暗褐色の体躯を持つ巨躯の猪、マテリアルボアは鼻息荒く町を目指す。
「避難も済んでいるし、あとは町に入るまでに倒せばいいのよね!」
 確認するレイリーに燦火が頷く。
「さぁ、いくわよ……、私の名はヴァイスドラッヘ! 町を護るため只今参上!」
 すると、レイリーは高らかに猪に向けて名乗りを上げる。
 誠吾はそんな彼女を気にかけながらも、間近まで迫ってきたマテリアルボアと対するのだった。


 先に始まるのはマグマガルダとの交戦。
 こちらはギャラリーも多めだが、距離もあって人々に被害が及ぶ可能性は低い。
「ガッて殴って、ビュッて猪側に加勢するわよ!」
 オノマトペで勢いよく倒すことを主張する鈴花。
 何せ、こちらの4人は血の気が多いのだと彼女は語る。
「あのリュティスって涼しい顔したメイドもおっかないんだから」
 見た目はクールなメイドのリュティスだが、主張はしっかり行うし、敵対勢力には苛烈な攻めを見せる。
 空中で纏まって羽ばたく鷹達を鋭い視線で射抜くリュティスは、混沌を構成する力の一端を泥として具現化して浴びせかけていく。
 ケエエエエエエエエエッ!
 泥に塗れながらも、鷹は頭上からイレギュラーズを掴みかかろうとし、あるいは距離をとりつつマグマを投げつけてくる。
 殲滅兵団による仲間の支援強化を行っていたベルフラウはそれを見て、リュティスと鈴花に攻撃が当たらぬよう、両手に花とばかりに庇う。
 炎を伴う鋭い爪をその身に食い込ませ、さらに飛んでくる溶岩をやり過ごすベルフラウ。女性でありながら同性を気に掛ける彼女はそこらの男性以上に男らしい。
「ルカは花と呼ぶには些か牙が鋭すぎる故にな!」
 ベルフラウの庇護から外れる男性のルカは、守られるどころか率先して攻めに回る。
「空中戦は得意じゃねえんだが、……いざって時は仕方ねえな」
 ルカは飛行せず、地上から右手に込めた闘気を、鷹の中央で炸裂させる。
 空中で突如パァンと大きな音を立ち、闘気をまともに浴びた鷹3体が仰け反りながらも吹き飛ばされる。
 炸裂地点は敵の少し頭上に定めていたルカだったが、相手も翼を羽ばたかせて態勢を整え直す。
 そのまま敵を地面に叩きつけられれば良かったのだが、敵も簡単には地面に墜ちはしない。
 しかしながら、1体は態勢を整えられぬまま、強かに地面へとその身を強打してしまう。
「思い通りに行くとは思わねえ事だな!」
 ベルフラウの言葉を受け、メンバーの攻撃がその鷹へと集まる。
 再度飛翔しようとするその鷹を、鈴花が狙う。
「空での戦いはアタシも得意なのよ、負けてられない」
 速攻での戦いを宣言していた鈴花はその手から黒い大顎を発し、大きく膨張させる。
 燃え上がる溶岩を纏う鷹だが、高温など顎には関係なく、その体を貪り喰らう。
 早くもそのマグマガルダは力尽き、今度こそ地面に墜ちて動きを止めたのだった。

 一方、鉱山側では、物凄いスピードで突進してくるマテリアルボアの交戦も始まっていて。
「マテリアルボアは……二体。なら、片方を倒してしまえば此方は大分余裕が出来る」
 リースリットはその為にも1体を集中して倒したいと考えるが、この猪どもを町へと入れてしまえば、多くの家屋が破壊されてしまうことだろう。
「まず、手分けして猪を受け持ちましょ」
 燦火はレイリーと共に1体ずつ猪の抑えに当たることに。
 戦いの鼓動を限界まで高めた燦火は、かなり近くまで迫っていた敵1体の気を強く引く。
「私達の相手してもらうわよ! 付き合いなさい!」
 燦火が先に抑えへと動いたこともあり、レイリーはもう1体の抑えに専念して身を固める。
 戦場でその姿を示すだけで、麗しき白亜の騎士は人だけでなく魔物までも惹き込む。猪もレイリー目掛けて突進する。
 鉱物で身を包む猪はさながら鉄が飛んでくるようなもの。普通の生物であれば一溜りもなくその身を砕かれてしまうだろう。
 だが、ランスと盾を構えたレイリーは、猪の突進を受け流してみせた。
 手応えがなかったことに首を傾げる猪に、レイリーが微笑む。
「こんなので倒せると思ってるのかしら?」
 猪はバカにされたと感じたらしく、瞳を真っ赤にし、一層鼻息を強めていた。
「長引かせると、片方を抑えているレイリーの負担がでかくなるよな」
 うまく猪をいなすレイリーだが、それがいつまでも続くか分からないと誠吾は察して。
「なるべく早めに片付けられればいいが」
 燦火が抑えているもう1体を、リースリットと共に挟み込む。
 できるだけ早く倒すべく集中するリースリットは、高位術式を組み上げる。
 世界に干渉するその術は四象の力を顕現させる。
 リースリットのけしかけるそれらの象は巨躯であるはずの猪を牙で傷つけ、鼻を叩きつけた後頭突きをし、巨足で踏み潰さんとする。
「見た目は厳つい猪なんだが、こいつの身体の鉱物って加工して何かに使えたりしねーのかな」
 仲間達が攻撃を加える間、誠吾は思わず、さながら鋼鉄を纏ったような印象を受ける猪の体の有効利用法を考えてしまう。
 ふと、我に返った誠吾は、燦火が自身の抑える猪をレイリーが担当する1体から引き離しに当たっているのを目の当たりにする。
 今なら纏めて攻撃できると感じた誠吾は妖刀を握って2体纏めて乱撃を繰り出す。
「肉と呼べる部位はあるようだけれど……」
 切り裂くことはできたが、その身が非常に硬いこともあって。
「流石に肉は食えねーだろーな」
 食用には適さないだろうと直感で判断する彼だったが、直後に猪が方向転換してぶつかってくる。
 思いもしない一撃で吹き飛ばされながらも、誠吾はそいつを逃がさぬようにと元の位置に戻るのだった。


 再び町の入り口側、鷹との戦い。
 仲間が墜とされたことで鷹は警戒感を強め、地割れを起こしてマグマを巻き上げてくる。
「相手の土俵で戦うのは避けたかったが……どうもそうはいかねえみてえだな!」
 止むを得ず空中へと飛び上がるルカはラサの嵐の如く武器を乱舞させる。
 全てを捉えるのは難しいが、確実に残る鷹を傷つけ、体力を削ぐ。
「出し惜しみはなし!」
 鈴花は飛翔しようとした敵に三次元的な空間機動で追い詰め、その首を切り裂いてみせた。
「一気にカタをつける」
 2体が墜ちたことで、ベルフラウが仲間達の攻勢を強めるよう体の働きを最適化させる。
「果たして貴様の炎が私に火を付ける事が出来るのか。試してみるがいい!」
 溶岩と俊敏さを武器にベルフラウを強襲する鷹だが、イレギュラーズは冷静に対し、リュティスが幾多の星を瞬かせて仲間達の回復に当たる。
「くたばれええええ!」
 すぐに、威力と手数を両立したルカの殺人剣は確実に鷹の命をも奪い取る。
 残りが1体となれば、リュティスも攻撃へと転じ、黒死蝶を解き放つ。
 死へと誘われた鷹は目から光を失い、真っ逆さまに地面へと落下していったのだった。
 
 鉱山側、マテリアルボア戦。
「私がいる限り、絶対に仲間に攻撃は通させないわよ」
 ブオオオオオオオオオ!!
 突進するだけではだめだと猪も感じたらしく、地ならしし、咆哮を上げ始める。
「全然弱いわよ、猪ちゃん」
 だが、レイリーは平然とランスを支えにして揺れる地面の上に立ち続け、大声を上げて気合で相手の咆哮を跳ね返す。
 少し離れた場所では、他3人が猪を追い詰める。
 全身を傷つける猪は体から零れ落ちる鉱石を投げつけてくるが、燦火が最小限の動きでいなし、神聖を纏わせた一撃で敵の右前足を切り裂く。
 ブホォォ……ッ!
 血を流しつつ踏み留まろうとした猪だったが、さすがに前のめりに転倒する。
 燦火は流れるようにその頭目掛けて魔術を叩き込み、その息の根を止めてしまう。
 それを確認したリースリットはすぐさま猪の猛攻を止めるレイリーの回復に回る。
 どんどんと地ならしする猪はギラギラと目を輝かせ、メンバー達を睨みつける。
 タフな相手だが、鉄壁のレイリーが囮となって抑え続けることで、少しずつメンバーが攻撃を与えて猪の体に傷を増やす。
「お待たせ、どいてどいてー!」
 そこで、鈴花の声が聞こえる。
 駆け付けてくる鷹を掃討したメンバー達。移動しながらリュティスが回復に当たりつつ、態勢を整える。
 だが、残る猪1体は体力が尽きかけ、息が上がってきていた。
 燦火がレイリーを援護するように相手の意識を引いたところで、誠吾が仕掛ける。
(さすがだな。皆俺より強いしな)
 鷹を手早く倒した仲間達の力を認めながらも、誠吾が竜撃の一手で砕けた鉱物ごと猪の体を裂く。
 ブヒイイイイィィッ……!
 意識が飛びかけ、僅かに動きが止まった猪にリースリットが迫る。
 彼女は風の精霊の祝福と加護の力を束ねて。
「精霊剣、風神……」
 精霊術による必殺の極撃が猪の体を穿つ。
 ブオォォォォ……。
 力なく声を上げた猪は横倒しになり、町の入り口手前の地面に転がる。
「力比べはかなわなかったか」
 猪が倒れるのに立ち会ったルカは些か残念そうにその猪を見つめていたのだった。


 猪と鷹、それぞれを倒したメンバー達。
 リュティスは町に被害がないかを確かめる。町の柵や端の家々に破損が見られたが、それも軽微なもの。
「帰ってきて『家が壊れてました』は悲しいもんな」
 少しでも穴が開いている壁などを発見すれば、誠吾が簡単な補修に当たる。
「今後も何かあれば、ポラリス・ユニオンまで救援を求めてくれ」
 ベルフラウもまた見逃した被害がないかチェックしつつ、町民達へと自分達の属する組織を頼るよう直接伝えていた。
 その町の人々は比較的早くに避難ができたことで、多少の転倒による擦り傷程度の怪我で済んでいたようだ。
 それらに関しても、リュティスがリースリットと共に手厚く治療していた。
「念の為に、鉱山の中を確認しておくべきかしら?」
 鉱山の外からではなく、内側から魔物が出てきたことを警戒する
燦火だが、新皇帝の力によるものだという意見、そして町民達のケアが優先とあって、見送られることになった。

 程なくして、倒した魔物達が町の広場へと運ばれる。
「食べられはしなくても、この鉱物を何かに使えたらいいんだけど」
 亜竜種である鈴花はフリアノンの里で、竜の骸を使って暮らしていたことを話す。
 ――命は余すことなく使うのが礼儀。
 覇竜の地で生まれ育った彼女がその考え方を皆にも伝えると、町民を含めて同意を得られたようだ。
「これ鉱石として使えないかしら?」
 鍛冶での利用法などを考慮し、鑑定眼でじっとその体を見回すレイリー。
 色艶の良いマテリアルボアの鉱物に、死してなお燃え上がるマグマガルダの体の溶岩は、色々と利用法がありそうだ。
「魔獣の体は鉱石がわりになりそうでしょうか?」
 鉱山夫や町に詰めていた鍛冶師もその体をじっと見つめる。
 衝突にも強い鉱石は鈍器にもなるし、斬撃武器としても申し分ない。鷹の体の溶岩も炎の属性を持つ武具としてでなく、道具としても利用できそうだ。
「これからの季節、鉄帝は厳しい季節を迎える」
 鉄帝の冬は厳しい。ベルフラウは、どれほど燃え続けるのかは解析ができていないものの、蓄熱が可能な鉱石なら何かしらの役に立つはずだと話す。
「上手く使えるようであれば、色々と便利になるかなと思いましたので」
 魔獣を討伐した貰っただけでなく、有用な鉱石も手に入るなんてと喜ぶ町民達の姿に、リュティスは思わず笑みを浮かべるのだった。

成否

成功

MVP

レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは鉄壁の守りで猪を抑えた貴方へ。
 今回はリクエスト、並びにご参加、ありがとうございました!

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