シナリオ詳細
再現性東京202X:「呪いのビデオがあると聞きつけて除霊にやって来たらテレビから黒ビキニの幽霊が出てきた」(リクエスト原文ママ)
オープニング
●呪
こんなうわさがある――。
あるチェーン・レンタルショップに、呪いのビデオが存在するというのだ。
このレンタルショップの端っこ、今や使うものもほとんどいないような『ビデオ・テープ・エリア』。レトロな雰囲気とレアな映像を楽しむもののために押し込まれた旧時代の遺物の倉庫。そこにやってくるのはもの好きか、噂に踊らされた哀れな獲物であるか。
ある一人の希望ヶ浜学園の学生が、そのテープを入手したという。リサイクルショップの古ぼけたビデオ・デッキを1000円ほどで買ってきて、自宅のテレビにつなげ……ようとしたが、得体のしれない三色のケーブルは、現代のテレビにはつながらない。仕方がないので、まるで巨大な箱みたいな、馬鹿みたいに分厚いテレビも、これまたリサイクルショップで1000円くらいで買ってきて、えっちらおっちら友達数人で台車をおして、とにかく家に帰ってセッティング。
ようやくにテレビを起動して、移りの悪いブラウン管に恐怖の雰囲気を感じながら、生徒たちはビデオを再生した。
ざぁ、というそれは、砂嵐、とかつて呼称された、白黒のノイズの走る画面である。もうこれを見たことのある子供もいないだろう。とにかくそんな映像が数秒続いたのちに、ぶつ、と音がなって、何か大樹のような映像が映し出された。薄暗い、夜の森の中であろうか。大樹の真中にはうろのような穴が開いていて、そこから、何かが此方を覗き込んでいるような気がした。
ざざ、と画面内で風が吹いて、大樹の枝が揺れる。そのたびに、部屋の中に、ざざ、と、風が吹くような気がしていた。気づけば、視聴者である生徒たちは、森の中にいた。いや、重なり合っていた――部屋と、森とが。森は、厳密には、画面の中の映像のそれであった。あたりを慌てて見回せば、まるで埃か何かのように、あちこちにノイズが走っているのが分かる。
取り込まれたのだ、と生徒たちは直感的に理解した。ビデオの世界。或いは、呪い。
あっ、と、生徒の誰かが声をあげた。そして、ゆっくりと、大樹のうろを指さした。その中から、何かが、這いずり出てくるような気がした。それは、女だった。白いワンピースは薄汚れていて、黒い髪の毛は腰ほどにまで長く、前髪もひどく長くて、目元は完全に隠れていた。青白い、紫とも、青ともいえる肌は、死者のそれのように思える。血の気がないのだ。胸は大きい。あとお尻もデカイ。
ざ、ざ、とそれは這うように、うろから這いずり出てきた。そのまま、ざ、ざ、ざ、と、動けない生徒たちの前にやってきて、そのうち一人の男子生徒を、押し倒すように乗っかった。えっちだった。かわってほしい。
「あと、二日」
と、女は言った。
「二日。二日」
澄んだ声で、女が言った。
ばちん、と音が鳴った。気づいたら、生徒たちは元の部屋の中にいた。つけていたはずの電気は消えていて、画面は砂嵐をざあざあと流していた。いや、良く視れば、画面の中央に、真っ黒な文字で、こう書かれていた。
「お前の命はあと二日」
と。
●対抗・呪
「というわけで、ボク達がやってきたわけだけど!」
と、そういうのはリコリス・ウォルハント・ローア (p3p009236)である。ここは、希望ヶ浜のとある幽霊屋敷である。厳密には管理者がいて、普通に売り出し中の物件なのだが、なんか近所で『幽霊屋敷』『前住人が発狂して自殺した』『化けてでる』と言われている、いわくつきの建物であった。因みに前住人の老人は、宝くじが当たったので都市部のタワマンに住んでる。
さて、そんな幽霊屋敷に、『あなた』の姿があった。具体的には、仙狸厄狩 汰磨羈 (p3p002831)、耀 英司 (p3p009524)、メリーノ・アリテンシア (p3p010217)……いや、ローレット・イレギュラーズ達、と言えば済む話ではあるのだが。
「あー、確か、呪いのビデオに呪われた生徒の代わり……だっけか」
と、英司が言う。幽霊屋敷(というか、普通の一軒家なのだが)のリビングに設置された、古ぼけたテレビとビデオデッキ。それは、前章にて生徒たちが買った者であって、中には呪いのビデオが挿入されている。
事情はこうだ――なんか二日後に死ぬらしいので、その魔にビデオの幽霊を何とかしてほしい――とか。オーソドックスな依頼である。
「あれか? 化け物には化け物をぶつけろという奴か?」
汰磨羈がめんどくさそうに言った。リコリスがむむ、とうなる。
「それだとボクらが化け物って事にならない?」
「そうなっちゃうわねぇ」
くすくすとメリーノがわらった。まぁなんにしても、ただの幽霊退治であって――ついでに言えば、これには非常に綿密な下準備が施されていた。まず、該当の生徒たちを希望ヶ浜学園の結界内に保護する。しかる後、とりついた『呪い』をイレギュラーズ達に転嫁する。記述不足で申し訳ないが、つまり呪いのビデオには回避策があるのだ。それが、呪いを他人に押し付ける、というもの。まるでウイルスのように感染し、他人に押し付けて難を逃れる。なんとも、ヒトの業をあざ笑うような手段だが、さておき。
「わたしたちは呪いを受け取った。で、その呪いを正面から受け止めて、元凶を退治する」
メリーノが言った。
「ふむ。よくある話だ。ま、極論、化け物もゴルフクラブで殴れば死ぬからな」
汰磨羈が「わっはっは」と笑った流石仙狸厄狩。肝が据わっている。
「ま、さておき……ぼちぼち『二日後』か」
英司がそう言った。時計の針は、自分たちに呪いがうつされてから、ぴったり二日後を示そうとしていた。わずかに、皆の間に緊張が走った。するとどうだろう、途端に部屋の中の証明が落ちて、ブラウン管テレビに砂嵐がうつった。数秒の、砂嵐。その直後に、画面が切り替わる。森の中の、木。そのうろの中に、画面がフォーカスする。
「……来たか。恐ろしい気配を感じるぞ」
汰磨羈が、そう言った。ざざ、と、部屋の中に邪悪な気配がこもったような気がした。
「あっ、視て!」
と、リコリスが指をさす――とたん、木のうろの中から、何か、が、這い出してきた。
「ああ、これが……!」
メリーノが目を輝かせて言った。現れたのは、女であった。四つん這いに、這い出して来る。黒い、腰のあたりまで伸びているような長髪。青白い、死人のような肌。顔を上げれば、長い髪が目を隠して、その表情はうかがえない。後胸が大きくとお尻もいい感じ、太ももはふてぇって! これ! ってくらい太くて、黒ビキニを着ていた!
「おい、後半」
英司が声をあげた!
「なんだ後半の描写は」
「でも待って!? 確かに胸が大きくとお尻もいい感じ、太ももはふてぇって! これ! ってくらい太くて、黒ビキニを着ているよ!」
リコリスがなんか指さした! そう! 女――なんかいい感じの名前つけてあげてください――幽霊は、胸が大きくとお尻もいい感じ、太ももはふてぇって! これ! ってくらい太くて、黒ビキニを着ているのだ!
「いや……いや?」
英司が困惑する! その恐ろしさに困惑しているのだろう! そして、気づけば女は、ああ、画面の此方へ、やってこようとしていた! カメラに向かって……いや、そもそも本当に、これはカメラによって撮影されたのか、それすらも定かではない! いずれにしても、女がカメラに顔面を近づけると、どうだろう! ブラウン管の画面が、まるで窓のように、女はテレビ画面から這い出ようとしている!
「なんと……!」
流石の汰磨羈も驚愕した! 女は、頭を通し、そして、両手を通した! それから、身体を通そうと、通そうと、通そうと……通らない! 胸がでかすぎるのだ! 胸がつっかえて!!! いるのだ!!!
「えっ」
女が言った。
「なんで……15型のテレビ? 何でこんな、小さなテレビを?」
「そりゃアンタ」
英司が言った。
「持ち運びできるテレビなんてこんくらいが関の山だろうが」
そりゃそうである。冒頭でも言ったが、高校生がリサイクルショップで買って持って帰って来たものだ。そんなデカイテレビを買うわけがない。
「えいっ えいっ」
女が、ぐっ、ぐっ、と身体を押し込む。出ない。出られない。奇妙な沈黙が、辺りに漂った。シーンとした空気が、耳にいたかった。
「…………出して?」
女が言った。
お気づきですか? これはそういう依頼です。
- 再現性東京202X:「呪いのビデオがあると聞きつけて除霊にやって来たらテレビから黒ビキニの幽霊が出てきた」(リクエスト原文ママ)完了
- GM名洗井落雲
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2022年11月15日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●今回のあらすじ
長い黒の長髪と、メカクレ。ちょっと気弱。胸が大きく、お尻もいい感じで、太ももはふてぇって! ってくらい太い女幽霊がモニターから顔出して胸がつっかえて困っている。
のを、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)
『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
『お嫁さんに行くつもりだったのかい』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)
『メタルカオス・ライダー』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)
『華奢なる原石』フローラ・フローライト(p3p009875)
『食べ歩き仲間』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
『あでやかすれんだーぼでー』ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)
が見ている。
なんだこの状況は――。
●本編
「HAPPY BIRTHDAY♡
ちぃっと予想外の展開に困惑しちまったが、ようこそ現世へ、おめでとう、おめでとう。
ここは憎いアンチクショウも居ない、魅力的な仲間(黒ビキニ)だけのヘヴンだぜ。
さぁ、怨嗟を忘れて弄ら……楽しもうぜ! あんたの第二の霊生はこのブラウン管から誕生だ!」
わぁーーっ! とテンション高くぶち上げる英司! そう、この場に集まっていたメンバーは全員黒ビキニであった! 英司などはテンション高くジッパー付きのエッチな黒ビキニ……ジッパー!? どこにジッパーがついてるの!? その、ほら、杏仁豆腐で言う所のクコの実的な部分にジッパーがついてるのかな!? こう、ジッパーを開くとクコの実がこんにちはするタイプの
「You're fired(首になれ)!!!!」
英司が叫んだ。テンションは高いままだ! でもジッパーとかついてるのを着てる奴が悪い!
「ええ、と、ええと……」
フローラちゃんがもじもじしながら言う。フローラちゃんは黒ビキニである。洗井落雲と趣味の合うメイドから、「徐冷とは相手の気持ちになること。つまり黒ビキニの幽霊がいるならこちらも黒ビキニで行くべきでございます。控えめな性格だけどスタイル抜群なメカクレには控えめな性格だけどスタイル抜群なメカクレをぶつけるんだよ!」って言われたので着てきた。ありがとう。
「ゆあーふぁいあーど!!」
フローラが『><。』っていう顔で叫んだ。あらあら。
「さ、さておき、ええと、除霊ですよね。でもその前に……」
フローラが足元に視線を移す。15型のプラウン管モニター。およそ縦20センチちょい、横30センチちょいなので、「子供なら通れるんじゃないかなぁ?」くらいの窓があるものだと想像してもらいたい。そこに、細身とは言え、やたらとおっぱいの大きい女(メカクレでちょっと気弱そう。肌は青白い)が頭を突っ込んでいる。いや、こっちに向かって頭を突っ込んでいる。往年の名作ホラー映画を想像してもらいたい。モニターから女幽霊が這い出てくるシーンがあるが、それの途中である。
問題は、その往年の名作ホラー程、この幽霊――厳密にはビデオテープの精霊なのだが――が器用ではなかったことであろうか。モニターに合わせてサイズを変えるとか、そういう洒落た真似は出来ず、結構なナイスバディ(とくにちちしりふともも)をそのままに頭を突っ込んでしまったのでさぁ大変。
「でられない……」
というわけで、女幽霊さんが泣いている。
「出してあげないと、だめ……でしょうか……?」
「そうだね!!」
リコリスちゃんが叫んだ。リコリスちゃんは( ‘ᾥ’ )で黒ビキニだった。具体的に言うと、『 https://rev1.reversion.jp/illust/illust/72712 』の姿である。
「やっぱり出してからが本番だよね! まず出して! 全身を! 舐め回すように確認して! 後はインタビューする?」
「そうだな、やはりIVと言えば……イメージ・ビデオ! ならば! インタビューだよな! イメージビデオだからな! IVだからな!」
天のPPP倫理委員会に大丈夫ですよ、これは健全なシナリオですよ、とアピールしながら英司がそういう。フローラさんが「はわわ」ってなった。
「イメージビデオは、その、ビデオテープのイメージアップに使うんですよ……?」
フローラがそういう。なんというか、皆から獣の気配を感じたのだ。獣性。そういうやつ。
「そうよね。やっぱりイメージアップにはイメージビデオよね。イメージってついてるくらいだし」
ノアちゃんがにこにこと笑う。ノアちゃんは黒ビキニだった。画像はこちらです。『 https://rev1.reversion.jp/illust/illust/66818 』。本当にありがとうございます。因みに言い忘れていたが、今回はビデオテープのイメージアップも必要なので(なぜなら幽霊ちゃんがそれを望んでいるので)やらないとならないのである。そういうわけでイメージビデオは必須です。よろしく願いします。
「息子たちよ、お父さんの姿を見ないでくれよな」
ウェールさんがそういう。ウェールさんは黒ビキニだった。よし。
「まぁ、旅人の恥はかき捨てというからな。大丈夫だろう……所で」
ウェールがすっとしゃがんで、幽霊ちゃんの前にしゃがみこんだ。書いてて割とヤバいアングルだと思う。
「ええと、名前はあるのか? 幽霊ちゃんというのも、なんだかな……」
真面目な話をするので、幽霊ちゃんは「んー」と唸った。
「実は特に名前は……往年の名作ホラーのキャラの名前を使うのも不味いですから……」
「そうねぇ」
メリーノちゃんが笑った。メリーノちゃんは黒ビキニだった。もう本当にありがとうございます。因みにイメージ映像はこちら『 https://rev1.reversion.jp/illust/illust/67632 』にございます。みんなちゃんと見て。えっち、なんだこれ……。
「さぁちゃんなんてどうかしらぁ。ギリギリ元ネタを想像しつつとぼけられる塩梅だと思うわぁ?」
メリーノがウェールにすりすりした。正直ちょっと秋風が素肌につめたかったので、もふもふのウェールで暖をとっていた。
「ふむ、いいな。では、さぁちゃんで」
「わぁ、いいですね……」
さぁちゃんがちょっと目をキラキラさせた。メカクレなので目は視えないが、なんか目の周りがきらきらしてる。かわいい。
「まぁ、それはいいんですけど」
ルトヴィリアちゃん? くん? が言う。ルトヴィリアは黒のエナメルマイクロビキニだった。因みに、性別不明ガードとしてパレオ(風に見立てた魔女衣装)を着ている。いいよ、君の性別がどちらでも、僕は幸せにして見せるから結婚しようか……。
「なんだかこの幽霊よりも邪悪な存在があたしたちを見てませんか?」
「それはそう」
リコリスが言った。
「まぁ、でも無害な邪悪さだからほうっておいたらいいんじゃないかな!」
「無害かなぁ……?」
ルトヴィリアが困惑する。さておき。
「ええと、どうやって出してあげましょうか? 兎に角、引っ張りますか?
あたし、無限に出てくる包帯持ってるんですけど、下着とかにしてる奴」
今下着って言った?
「うーん、とりあえず、それで引っ張ってみましょうか……?」
フローラが言うのへ、メリーノがくすくすと笑う。
「試してみるのもいいわね。
ああ、そうそう、とってもいいカメラを持ってきたから、ちゃんと撮影するわねぇ?」
にこにことカメラをセッティングするメリーノ。さぁちゃんがちょっと困惑した。
「えっ、撮るの……?」
「そりゃ撮るだろう」
英司が言った。
「撮らないで何のために出てきたんだ?」
ウェールもそう言った。このシナリオのウェールは少し壊れています。
「だが……ちょっと待ってほしい。先ほどアナザーアナライズと未知解析でスリーサイズを測ったのだが」
「スリーサイズを!?」
英司が興奮した様子で言った。
「無敵かよ……アナザーアナライズにそんな能力が……!?」
「多分、このシナリオ以外でそんなこと言いだしたら怒られると思うけれど」
ノアが苦笑する。
「でも……私も使ってるわ……毎日のバスト測定(バストサイズがギフトによってころころ変わるため)に……アナザーアナライズ……(大嘘)」
ノアがそういうので、このシナリオではそういう事になった。
「まぁ、話を戻すと、かなりのサイズだ。そうだな。最近のアニメ絵のように、近年のおっぱいやおしりやふとももは大きくなっている……その御多分に漏れず、二次創作でいっぱいネタにされたさぁちゃんは、かなりのサイズ……! 仮にここでちちが抜けても、次はしりと太ももで引っかかることは火を見るより明らか……!」
ウェールの言葉に、ルトヴィリアが「がーん」って言った。
「そ、それじゃあ、いくつもの関門を抜けなければならない……!?」
それは衝撃であった。いくら包帯が無限でも、限界があるのでは……!?
「くくく、まだまだ青いな、御主等……!」
笑い声が響く! そう! 満を持して現れたのは、仙狸厄狩 ・絶対に猫・汰磨羈だ!!!
「たまきちさん! テレビの上に!」
リコリスの言葉通り! そう! 汰磨羈はテレビの上にいた! ギフト状態で猫の姿になり、上からさぁちゃんの首筋、せなか、しりとふとももを拝もうという寸法よ!!
「よいか! もっと良いものがあるではないか! 滑らせるもの……ぬるぬるしているもの……そう、オイル!!」
「オイル……!?」
フローラがあっ、って顔をした。
「美容オイルですか……?」
「ローションじゃないのぉ?」
メリーノが小首をかしげる。たまきちはくくく、と笑った。
「サラダオイルである! この廃墟に転がっていた、何故か転がっていた新品のサラダオイル! これを使う!」
「まて、汰磨羈! オイルは最高のアイデアだ……! だが、念のためこの薄手のTシャツも着せて肌を守ろう!
濡れ透け……? 俺の目を見てくれ、そんな雑念があるように見えるか!?」
英司がそういう。だがこいつは仮面をつけている。
「ああ、信じているよ、御主の事を……!」
汰磨羈もなんか適当な事を言った。かくして、さぁちゃんはいったん引っ込んでTシャツを着た後、もう一度顔を突っ込んだ。
「えっと、じゃあ、お願いしまーす」
さぁちゃんが言うのへ、汰磨羈がぽたぽたとオイルを垂らす。その冷たさとぬるぬるさに、さぁちゃんが「んっ♡」とか声をあげる!
「わ、ワァ~……なんか無駄にえっちですね……!」
ルトヴィリアがそういうのへ、ウェールが声をあげた。
「さぁ、ルトヴィリアさんの出番だ。包帯を巻きつけて引っ張るぞ!」
「は、はい。あ、とりあえずテレビの上に、たまきさん、リコリスさん、あたしのファミリアの猫を乗せておきますね」
( ^. ̫.^) /
( ‘ᾥ’ ) かがみもち!
( ˙꒳˙ ) \
「良いポジションだよ!」
リコリスが言った。
「さぁ! ボクにその尻を見せておくれ! たまきちさん、実況するよ!」
「任せよ! おお、でてきた、出てきたなぁ……!」
「うん、こう、モニターの縁におっぱいがすごく押し付けられてるねぇ! あっ、ちょっと痛そうに顔を赤らめてるよ!」
「頑張れ! 生みの苦しみに耐えるのだ……! そう、もうすぐ! もうすぐ胸が出るぞ!」
「ああっ! ぽんっ、って! いまぽんっ、って言ったよ! モニターから胸が飛び出した時に、音が! ファンタジーかな!?」
「これが現実だぞリコリス! そして、みよ、このTシャツから透けて見える背中のラインを……これが美ではないのか!?」
「う〜んいいねぇ〜この”生(ナマ)”感! 死んでるけど。
特にこの柔らかな肉付き! 思わず揉みしだきたくなっちゃうね! ボクといい勝負じゃない?( ‘ᾥ’ )」
「腰からしり、ふとももにかけてのラインが最高ではないか……ああっ、また引っかかった!!」
「よーし、皆、ここが正念場だよ! がーんばれっ、がーんばれっ!!
あっ、めーちゃんこっちこっち! いいアングルだよっ!」
ここにきて場の空気は最高潮に達していた!! さぁちゃんも頬を赤らめながら頑張る! 胸が結構揺れた。
「頑張って、もうすぐよ……!」
ノアが声をあげる。ノアの胸も豊満であったから、今日はポイント二倍デーである。
「う、ううん、でも、ちょっとお尻が出ないですね……」
フローラが物質透過で(多分無茶な使い方)後ろからさぁちゃんをおすが、やっぱりおしても出ないものは出ない。むしろ今地の文をジャックさせていただきましたが、お嬢様がオイルまみれになっておられます……ああ、動画は! 動画はとっておられますか!?
「ええ、ちゃんととってるわよぉ」
メリーノ様が親指をぐっと立ててくださいました! 眼福!
「さておき、ほら、もうすぐよぉ! がんばれ、がんばれー!」
メリーノがそういうのへ、んー、と顔を赤らめながら、ルトヴィリアが包帯を引っ張る。
「んー、でない、出ないですよぉ……こんなおっきなの、入るわけないじゃないですかぁ……!」
イレギュラーズ達の全力を以てしても、さぁちゃんはテレビから出てこられない! ああ、これが運命か!? これはどうしたらいいのか……!
「なぁ」
ウェールが言った。
「大型のテレビ買ってきた方がはやくないか」
素に戻っていた。
「それ採用」
英司が言った。
そういう事になった。
●ビデオテープのイメージ
――いつもこういうことしてるの?
「えっと、こういうのをとるのは今日がはじめてで……呪いのビデオで人の家に遊びに行ったのは、何回か……」
――初めてビデオに出た年齢は?
「呪いのビデオに精霊になったのはちょっと前で……多分、生まれてから4年目くらい……」
――えっちだね
「えー、そんなことないよぉ(笑)」
「あれは何をしているのですか?」
ルトヴィリアが指をさしてそう言ったので、フローラが頷いた。
「はい。あいぶい、というのは、ああいう事を聞くのがお決まりなのだそうです。うちのメイドも言っていたので間違いないかと……」
そう言って、バランスボールを膨らませるフローラ。
「そのボールは……?」
ルトヴィリアが尋ねるのへ、フローラが答えた。
「あ、これに乗ってポンポン跳ねるのも、あいぶいではお決まりなのだそうです。うちのメイドも言っていたので間違いないかと……」
「そんな事より、この油を何とかしないか……?」
ウェールが困った顔で言った。確かに油がヤバい。
「とりあえずボクも手伝って拭こうか。いやぁ、眼福眼福。良い感じに背中のラインとかお尻とか太ももとか確認できたからね! これはパンドラも回復しちゃうね!」
リコリスがつやつやした顔で言った。つやつやしているのは、多分サラダオイルのせいではない。
「後はもう、心霊系アイドルとか、そういうのでデビューしちゃえば完璧だよ!」
「んで、なんであったかな。ビデオテープのイメージアップだったか?」
汰磨羈が言う。
「ふむん。
ビデオテープが忘れられないように呪いのビデオの話をでっちあげたのは分かる。
更に青少年の心に性癖を植え付けて忘れられないようにする為にドスケベボディになったのも分かる。
イイ趣味してるな、洗井落雲」
ありがとうございます。でもこれリクシナなので、僕だけじゃなくて、みんなの力で得た勝利って言うか……。
「こういうリクシナは初めて?」
えっと、黒ビキニのエッチな女の子をサラダ油まみれにしたのは初めてで……。
「初めてリクシナをもらった年齢は?」
えっと、XXXXXXXX……。
「えっちだね」
やだー、もう♡
「なんだこの会話」
ウェールが途方に暮れた。
「えっと、インタビューおわったから、シャワールームで油をおとしてあげるわね?」
ノアが言う。
「ほら、恥ずかしがらないで、一緒に、ね……♡」
「お姉様……♡」
さぁちゃんの目が♡だった。
「流石にシャワーシーンはとっちゃだめかしらぁ?」
メリーノが言う。
「あ、あと英司ちゃんは後で縛り上げて、森の所に『この人がやりました』って書いて写真をおいておくからね?」
「え、なんで?」
英司が困惑した。
「でも、良い映像がとれたわぁ。これをビデオテープ限定で販売すれば、きっとビデオテープのイメージも良くなるわよぉ♪」
メリーノがにこにこと笑う。
『そうですかね……?』
フローラとルトヴィリアが異口同音で疑問の声をあげた。
「まぁ、でも、真面目なオチに軌道修正すると。
ビデオテープって、ある種のアンティークさがあるいと思いますよ、あたし」
「そうだな……再現性東京ではレトロブームというものもある。意外とそのうち再評価されるかもしれんな」
ウェールが頷いた。
「ビデオデッキの問題は……HDMI変換コンバータなどもあるからな、さほど見るのが難しいとも言えんだろうし」
「みなさん……」
さぁちゃんの目がうるうると潤んだ。
「わたし、やって行こうと思います……ビデオテープ限定系IVアイドルとして……!
そうすればきっと、ビデオテープのイメージもよくなりますよね……!」
きらきらと輝く、瞳。未来を信じて疑わない、瞳だった。
ので、
『そうかなぁ……』
全員一言一句たがわず、疑念の声をあげた。
おわり。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
とあるレンタルビデオショップには、えっちな幽霊さんの出演するイメージビデオが存在するという都市伝説が生まれまして、連日レンタルされてるそうです。めでたしめでたし。
GMコメント
お世話になっております。洗井落雲です。
これはリクエストシナリオなので、洗井落雲の性癖は少ししかかかわっていません。
●成功条件
女幽霊をテレビから出してやった後に何とかする。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
●状況
女幽霊(黒い、腰のあたりまで伸びているような長髪。青白い、死人のような肌。長い髪でメカクレ。後胸が大きくとお尻もいい感じ、太ももはふてぇって! これ! ってくらい太くて、黒ビキニを着ている)がテレビから這い出ようとしています。それは、呪いの幽霊。多分夜妖というより、会話ができる精霊とかだと思います。
女幽霊は、とりあえずテレビから這い出たいらしいです。出してあげてください。どうにかして……なんか、新しいテレビ買ってくるとかすればいいんじゃないかな……そこは皆さんのアイデアとガッツでなんと出してあげてください。テレビから出ないと、そもそも話が始まらないので。
さて、首尾よくテレビから出すことができたならば、本番です! 女幽霊がどうしてこんなことをしたのか……なんで黒ビキニを着ているのか……なんでそんなえっちな体つきなのか……そういう悩みを聞いてあげて、なんか前向きになれるような、そんな素敵なアドバイスをしたりして、どうにかこうにか呪いの元凶を解いてください。めんどくさくなったらていやー、ってすれば倒せますので、それでいいんじゃないかな……。
●女幽霊ちゃんの情報
長い黒の長髪と、メカクレ。ちょっと気弱。胸が大きく、お尻もいい感じで、太ももはふてぇって! ってくらい太い。
洗井落雲の趣味。
今のところ、15型のテレビに胸がつかえて、テレビから出られなくなっている。目下の目標は、テレビから出ること。
胸の次は知りと太ももが使えて出られなくなる2段構え。
本当は幽霊じゃなくてビデオテープの精霊。忘れられし遺物であるビデオテープを何とか印象付けたくて、呪いのビデオの噂をでっちあげた。
元々はやせ細った身体の女幽霊風の見た目だったが、なんかネットの二次創作とかの影響でえっちな身体になった。
洗井落雲の趣味。
黒ビキニを着せろって言ったのはリコリス・ウォルハント・ローア (p3p009236)だと思う。
とにかくこのシナリオで目指すのは、『女幽霊ちゃんをテレビから出してあげる工夫とてんやわんや』、『女幽霊ちゃんの悩みであるビデオテープの印象を良くするためのあれこれ考える』の二点。
それじゃあ皆さんグッドラック。
以上となります。
それじゃあ、後はよろしくお願いいたします。
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