PandoraPartyProject

シナリオ詳細

わふわふ、わんわん!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 冬の気配が少しずつ訪れていた。
 段々と寒くなり始める季節――本格的な冬はまだもう少しだけ先かもしれない、が。
 混沌の中でも北部の方では一足早く雪がちらほらと降り始めている所もあった。
 特に此処、天義の北部に位置するサンドラス地方ではその傾向がみられており。

「わー雪ですよ雪―! ひゃっほー!」

 その、雪が積もって雪原となっている地にて元気よくはしゃぐのはリリファ・ローレンツ(p3n000042)だ。遂に感じる冬の気配、楽しみな所もあるのだと雪原の坂へ、大型ポメ犬茶太郎と共に往く。
 一気にダイブ。さすれば、まるでスキーの様に茶太郎が軽やかに滑るものであり。
「ひゃー! たのしいですね茶太郎――
 ぎゃー! ちゃたろー! どうして私のポニテを食べるんですか、うわわわー!」
「わふ!」
「ははは。リリファも茶太郎も楽しそうだな。ん、ポメ太郎お前も遊ぶか?」
「わん!」
 着地と同時にリリファに戯れ始める茶太郎――はむ。はむはむ。どういう訳かポニテがあるとはむりたくなるようだ――の光景をベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は、自らの足元で走り巡るポメ太郎と共に眺めるものだ。そのポメ太郎も随分とはしゃいでいる。
 ――白いですよご主人様! 全部白いです! 雪です雪!
 ポメ太郎も頭からダイブ。雪に埋もれて後ろ足パタパタ。
 ……と。この光景だけ見たら完全にピクニックにでも来た様な様子だが、実はそうではない。
 依頼である。実は、この辺りで何やら最近『白い影』が目撃されているという……ここは天義領内ではあるが鉄帝にも少し近い場所であり、もしかすれば最近あちらで目撃されている天衝種という魔物の一種ではないのかと――調査依頼が入ったのだ。
 天義も隣国の事はやはり気になるらしい。故にリリファが仲介し、イレギュラーズと共に出向いたのである。
 ……えっ。茶太郎とかポメ太郎はなんでかって? いやなんかいつの間にか付いて来てて……と、その時。
「わん!?」
「ん、どうしたんですか茶太郎……わわ!? なんです、あれ――白い茶太郎!!?」
 見えた。この辺りで目撃されていた不審な影だ――! と、思ったら。
 よー――く見てみるとソレは、人が乗れるサイズ程度には大きい茶太郎と同じぐらいの白ポメであった。木の影からこちらをじっと見据えていて……

「わふ?」
「わふ?」

 茶太郎が首を傾げれば、白ポメも同じ方向に首を傾げる。
 ……茶太郎の同族だろうか? 一瞬そう思ったが、違いそうだ。しかしサイズ感は似ている。すごくもふもふしている。さすれば、戯れる茶太郎と白太郎(?)。ワンぱんちの応酬でじゃれあえば、意気投合しているようだ。
「わん! わわわん!」
「わふ? わふ、わん!」
「……何か会話してるな。分かるか、ポメ太郎?」
「わん!」
 ――ご主人様、どうやら遊んでほしいみたいですよ!
 茶太郎andポメ太郎の身振り足振りを解析すると、白ポメは最近この辺りに移り住んできた一族らしい。依頼主は見かけぬ白ポメを魔物と勘違いしてしまったのだろう……他に魔物が潜んでいる様な気配もないし、白ポメの姿が目撃された、というのが真実であろうか。恐らく鉄帝の状況に過敏になっていただけだろう。
 では後はこの事実を依頼主に伝えればいい――だけなのだが。
「わふ~♪」
「わわわ! あっちからチビポメが沢山やってきましたよ!」
 直後。人懐っこい白ポメの子供達がやってきて、イレギュラーズの足元に纏わりつく――わー白い毛玉に襲われるー! ひー! うごけねー! 踏みそー!!
 ――と言う訳で『あそんで! あそんで!』モードの野生ポメに襲われてしまった。
 なんたる惨事であろうか。くっ、このままではどこまでも付いてくるかもしれない……!
「わん!」
「わふ!」
「わわん!」
「わーん!」
「うわー! これはちょっと落ち着かせないとどうしようもないですね!」
「やれやれ。ま、ポメ太郎達のいい運動になるだろうかな」
 眼を輝かせている白ポメ達。眼を離すと雪原の景色に溶け込んでしまいそうな白さだ……どうにも人が珍しいのか遊んでほしそうな表情なので、少しぐらい付き合ってもいいだろうか。茶太郎もポメ太郎も雪にはしゃいでいる事だし。
 この辺りは雪が降り積もっている。雪だるまを作ってみたり、坂を滑ってみたり。
 偶にはそういう穏やかな一時を楽しんでみるのもいいかと――想うものであった。

GMコメント

 雪が積もると楽しいよね! 鉄帝の冬もそんな感じかなぁ?
 ともあれ今回は天義北部。よろしくお願いします!

●依頼達成条件
 雪遊びを楽しみましょう!

●フィールド
 天義北部に位置するサンドラス地方です。
 この辺りは鉄帝にも近く、一足早く雪が降り始めている様です……だからか、雪原に住まう特殊なわんこが今現在出没しています。彼らは人懐っこく、皆さんに纏わりついてきました――このままではずっと纏わりついてて帰れそうにありません。折角なので遊んであげましょう。
 幸いにして周囲に魔物の気配などは感じませんので、思いっきりリラックスしても大丈夫そうです。

●白ポメ(もしくは『白太郎』など)
 茶太郎にも似てる気がする、おっきなわんこです。
 全身が白い体毛で覆われており、なんでも雪が降る時期にだけ現れる種族なんだとか。雪原などでじっ、としてると凄い迷彩効果がありそうなぐらいホントに真っ白です。最近この辺りに移住してきたらしいです。(byポメ太郎)

 人懐っこく、すぐに頭をスリスリしてきます。
 茶太郎と違って空は飛べませんが、雪原の移動速度に優れている様です。びゅーん!

●白チビポメ×たくさん
 ポメ太郎よりも小さいサイズの白チビポメです。
 とっても元気で好奇心旺盛。人懐っこくて『遊んで遊んで』とスリスリしてきます。
 首を撫ぜてくれないと満足しない子。大人しい子。すぐ転んじゃう子。雪ダルマをなんとか作りたい子。沢山のチビポメがいて、足元に毛玉の様に擦り寄ってきます。あそぼー!

●茶太郎
 人が乗れるぐらいのデカポメです。ポニテが好物(?)
 実は犬掻きで空が飛べたりします。

●ポメ太郎
 あんよが短いポメ太郎です。
 白チビポメ達に何故か慕われれて、ポメ太郎もスリスリされてます。
 あと時々茶太郎の上に乗っかってたりします。先輩ですもん! ふふん!

●リリファ・ローレンツ(p3n000042)
 茶太郎・ポメ太郎達と一緒に遊びに……違う。依頼の同行者としてきました!
 わーい雪遊びだー! とテンション高めです。茶太郎にポニテを狙われてます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • わふわふ、わんわん!完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2022年10月31日 23時57分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

すずな(p3p005307)
信ず刄
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
メーコ・メープル(p3p008206)
ふわふわめぇめぇ
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
ジュリエット・フォーサイス(p3p008823)
翠迅の守護
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

サポートNPC一覧(1人)

リリファ・ローレンツ(p3n000042)
永遠の0・ナイチチンゲール

リプレイ


「おぉー、雪ですか。流石北部ですね、冬の訪れが早い!
 ……では折角ですし、一足先に雪を満喫させて貰いましょう!
 と思ったら、雪に混じって白ポメもいるんですね……?」
「わふ?」
 どこを見ても純白の景色が広がっている光景に『忠犬』すずな(p3p005307)は感嘆の吐息を零すものだ。そうか、もうそんな季節なんですね――と思いつつも、やっぱり気になるのは視界に映る巨大なもふもふ。
 白ポメだ。その足元では白チビポメも毛玉の様にいる。遊んで遊んで感満載である!
「はむ。はむはむわふ!」
「びええええええ茶太郎あたしのポニテ食べないでえええええたすけてえええええ」
「ふふっ。茶太郎さんはポニーテールがお好きなのですね?
 では私も同じモノにしてみましょうか」
 と、その時。すずなが視線を滑らせればそこでは――早速とばかりに『また』ポニテを狙われている『ノームの愛娘』フラン・ヴィラネル(p3p006816)がいた。このポニテ、懐かしい……! とばかりに茶太郎は目を輝かせてはむはむしていて――同時『シロツメクサの花冠』ジュリエット・フォン・イーリス(p3p008823)も優しく微笑みながら高めに結い上げた髪へと至るもの。
 美しき銀色が雪景色に蕩ける様に。さすれば茶太郎の目が更に煌めくもの。
 わふ! わんわん! わ~ん♪ 随分とご機嫌である!
「ぜえ、はあ、なんかもうべとべとだしそれが乾いてかぴかぴだよ……ぐしぐし」
「ちょっとおおおお! 何しにゃの服で普通に拭いてるんですが、ハンカチ使ってくださいよ!」
 直後。ジュリエットの髪に喜んだ茶太郎がフランを解放す――れば。フランは早速隣にいた『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)の服で涎を拭くものだ。抗議の声が飛んできた気がするが気にしないもーん。
「おぉー! みんなもふもふで丸々してて可愛いですねぇ! まぁしにゃの方が可愛いですけどね!! ふふん! せっかくですからキチンと躾けてポメ太郎と同様にしにゃの忠実なる下僕にしてやりましょう! ほらポメ太郎、早くしにゃの下僕に率先してなる様に通訳を……なんですかその残念そうなモノを見る瞳は!? ポメ太郎!?」
 と、然らば相も変わらずドヤ顔のしにゃこは、ポメ太郎達を引き連れやってくるものだ――『相変わらずしにゃちゃんは何言ってるんですかねぇ』という視線を向けてくるが、しにゃこは気にしない。だってしにゃですもの!
 それよりもポメ太郎が非協力的ならば仕方ない!
「皆さーん、集まれー! ジャーキーいっぱい用意してきましたよ! 欲しかったら言う事を聞いてください! お座り! お座りです! お座……うぉめっちゃ集まってきた!待て! まっうわああぁ!! ジャーキーだけ持っていかないでください! ちょいちょいちょーい!! うわ、もうジャーキーないですって! ない、な……ぎゃああああ飲み込まれるうぅぅぅぅポメの波に飲み込まれるうううう!! このしにゃがあああ!!」
「……何をしているのですかねしにゃこ様は。まぁしにゃこ様ですし、放っておきましょう」
 秘密兵器ジャーキーを繰り出したしにゃこ……は、凶悪な当たり屋である白ポメ達に飲み込まれていった。さすれば『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)は思わず吐息を一つ零すものである。
 それよりもリュティスは希望者の髪を整えるものだ。
『何してるんだろう?』と茶太郎が不思議そうに覗き込めば――
 な、ななななんとそこでは皆さんがポニーテールになっているではありませんか!
「わん!?」
「ふふ! ポメちゃーん! 茶太郎ちゃんに白ちゃん、ちび白ちゃんともふもふがいっぱいね! 今日はいっぱい遊びましょうね! リュティスお姉さんにお願いして、ポニーテールにしてもらったのよ! どう? 今日はね、みんなポニーテールなのよ! あ、待って! 速攻で茶太郎ちゃんもぐもぐしちゃだめなのよ!? さっき整えてもらったばっかりなのに~!」
「わんわんわん~♪」
「ふふふ。メーコもポニーテールですめぇ。一緒に遊ぶですめぇ。
 とってもとっても大きなポメさんですめぇ……?」
 さすれば『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)や『ふわふわめぇめぇ』メーコ・メープル(p3p008206)の髪は既に整えられているものだ――さすれば茶太郎は速攻ですりすり。はむはむ。ぴゃあああ~!
 楽し気な雰囲気に白ポメも寄って来れば、右を見ても左を見てももふもふだらけだ。
「キルシェ様には編み込みを入れています。普通にポニーテール……にしても良いのですが折角ですので一工夫してみましょう。此方の方がキルシェ様らしいかなと……あぁ茶太郎。あまり騒いではいけませんよ。折角の髪でもありますので」
 わんわん~♪ メイドのリュティスの言が届いているのかいないのか、茶太郎は楽しそうである――さすれば。
「それでは、ご主人様の髪も結いましょうか?
 とはいえ、軽くまとめるくらいになりそうですが……」
「ああそうだな。折角の機会なんだ……ウィッグを付けて、それらしくしてみようか」
 『黒き葬牙』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)はやんちゃな茶太郎に苦笑しつつ、リュティスに整える手を願うものだ。であれば、リュティスの細く美しい指先が――ベネディクトの髪に絡むもの。
「これで喜ぶのならまぁいいが……しかし噛み癖があるのなら直した方がいいかもな」
「むしろアレは反応を楽しんでる様な気もしますね。まぁ、いざとなれば私が度を越したじゃれつきは止めるように言って来ましょう――そこのピンク髪(しにゃこ)は好きにしても良いですが」
 一言、二言。言を交わす間に調整を完了させてしまおうか。
 然らば、普段は短めの髪であるベネディクトが、ウィッグにより挑発に。
 似合うものである。偶には、こういう髪型も良いかと思考すれ、ば。
「よし――では精々満足させてあげるとしようか。白ポメ達も、な」
「わふ?」
 そして彼は近くに寄って来た白太郎の首筋を軽く擽るものだ。
 魔物の様な敵性生物でなくて良かったと――思い浮かべながら。


「しゃー! ソリですよソリー! ほら行け――!!
 最後のジャーキーですよ、早い者勝ちですよハッハッハ――!!」
 そして復活のしにゃこが新たに企んでいたのは――ジャーキーで言う事聞いてくれそうな子にリードを付けて、ソリ引いてもらう案件であった。白チビポメ達が『待て待て~!』とジャーキーを追いかける――ふふふしにゃの神算鬼謀ですよコレが!
「餌に釣られるとは所詮獣ですね! はっはっは、早い早い!
 明日からビーストマスター・しにゃを名乗りましょうか――!
 あ、目の前に木が! 避けてください! あ、ちょちょっと、うわー!!」
「ああ! しにゃこさんが木に直撃を――!! 大丈夫ですかしにゃこさん!!」
「う、うう……痛い……ひどい目にあいました……」
 が。案の定と言うべきか早速しにゃこの野望は砕け散った。
 ポメは避けたのだが、しにゃは木に頭からぶつかってしまったのだ――その光景をリリファは見ていた。マジで痛そうだ……さすれば『大丈夫?』『ジャーキー大丈夫?』『ジャーキー!』としにゃに白ポメ達が心配して近寄ってくる――
 あれ? もしかしてこの子達、しにゃの事をジャーキーって呼んでます!? マジで!?
「いっくよー白太郎! 白太郎ソリだー! リリファ先輩もいこー!」
「そうですね行きましょうフランさん! わ~! すっごい速いですね白太郎~~!」
「わふ~~~!♪」
 と。そんなしにゃこの横を軽快な様子で滑り降りていくのはフランである。
 思いっきりわいわいするんだ! だから、白太郎の背に乗って雪を滑り往く――ビャーって滑る事が可能な白太郎に乗っていれば、本当にスゴイ速度だ! ひぇ~さむ~い!! ってあれ、むぎゃ!!?
「わわわ、白ポメ達が沢山乗って来た!! むぐ、そこは顔! みえ、見えな、い!」
「わわわ私の方にも白ポメが! フランさんもしかしてこれ重量オーバー」
 そうしていたら楽し気な雰囲気に誘われた白ポメ達が一斉にフラン達に『乗せて~! ボクも~!』と来るものである。しかし多い……! 数が多い……! あ、あ、あ――!! ギャアアアアアアア!!
「……また凄い音がしたな。まぁ無事だろうが……見ている限り、知り合いという訳でもないか。元々の先祖が同じだったりするのかも知れんが……ま、人懐っこいのは一緒だな。ほら、茶太郎遊んでおいで。でも髪癖はほどほどにな。リュティスに怒られたくはないだろう?」
「わふ~!」
 その光景を見ながらベネディクトは茶太郎へと言を紡ぐものだ。
 もしかしたら何か関係があるのでは、と……しかし混沌も広い。似たようなポメ生物がいてもおかしくはないか――そうして茶太郎を皆と混ざって遊んであげなさい、と誘えば白ポメ達を引き連れて走り回るものだ。
「……しかしまあ。茶犬郎さんを見ていると――犬、ポメとは何かを考えさせられますよね。アレも一応ポメの一種なんですよね? ポメ太郎の同族……? 違う……?」
 そしてそんな茶太郎に思考を巡らせているのは、すずなだ。確かに大きさを考えれば茶太郎に乗れてもおかしくありませんが、しかし……どうして空を犬掻きで飛べて……? どう考えても飛べないですよね……? うん。
 ――と。思わず考え込んでしまった、それがすずなの『隙』であった。
 近付いてくる茶太郎に気付かなかった――! そして次の瞬間――!
「わひゃああ!?」
「はむ。はむはむ」
「ちょ、茶太郎さん! ポニテを齧らないで!
 そう! 離してステイステーイ……あれ?
 あっあっ、なんか視線をすごく感じます、ポニテ以外――に、まさか!?
 主に尻尾! すずなは気付いた――この子、尻尾も対象内なのでは!?
 そしたら案の定だった。尻尾を狙って跳ぶ茶太郎。
 逃げるすずな。転ぶすずな。はむられるすずな。
「や、やだ! 許して! 尻尾は、尻尾は――やーん!」
「――茶太郎。ほどほどにしないと……分かっていますね?」
「わふ!!?」
 刹那。茶太郎の背後に現れたのは――リュティスだ!
 彼女の氷の視線が……冬より怖い……!
 震える茶太郎。ごめんなさいと、すずなに謝って。
「はぁはぁ、それよりもソリ! ソリですよ雪と言えば!
 うおー! 折角なので楽しまねば! どこかの白い虎仕込みのソリ術です!
 ってあああああ、茶太郎さん!? 白太郎さん!? そこどいてえええええ!」
 然らば調子を取り戻したすずなは、楽しみであったソリへと直行――!
 したら、勢い付き過ぎて止まらなかった。あ、あ、あ――! どーん!!
「ふぇ~こうしてイヌと遊ぶなんて、思えばメーコにとっては滅多にない経験ですめぇ……」
「わふ?」
「むむ? 首を撫ぜてほしいんですめぇ? こうですめぇ? それともこうですめぇ?」
「わふふ~♪」
 すずな達が騒がしい一方で、メーコは白チビポメ何匹かと穏やかに戯れているものだ。
 撫でたり一緒に寝転んだり……白チビポメも懐いて、メーコの膝に昇ってくるもの。
 降ろしても『ここがいい~!』とまた戻って来る。ぬくぬく可愛いものだ……
「どの子もまるで毛玉みたいに丸くて……可愛いですね。
 みんなで集まるともふもふであったかいですし」
「わふ!」
「ん? どうしたんですか……あっ、もしかして雪だるまを作りたいんですか?」
 そう言った光景はジュリエットの膝下でも繰り広げられていた。多くの白チビ達が彼女に『撫でて~』『ボクも~!』と集まっている……が。その中での一匹が何やら白い球を転がしている――はっ。さては雪だるまかな?
「ふむ……こんな感じでしょうか? むっ、なんですかポメ太郎? 恰好いい方がいいと……?」
「わん!」
「仕方がないですね。少しだけ凛々しくしておきましょう――
 ですが、こうなる様にちゃんと頑張って運動もするんですよ」
 成程と思えばリュティスも試しに雪だるまを作ってみるものだ。
 それはポメ太郎ならぬポメだるま……が。ポメ太郎が何やら『もっと! もっと凛々しく格好良くお願いします!』と懇願して来たので、気持ちちょっとスラッとしたポメだるまが完成した。白チビ達がすごーい! とはしゃぎまわるものである――
「ふふ! なら次ね! ポメちゃんだるまと、茶太郎ちゃんだるまと、白ちゃんだるまと、ちび白ちゃんだるまと、しにゃこお姉さんだるまにチャレンジしてみましょうか! ふふ! 腕によりをかけて作るわ! ……ん? しにゃこお姉さんも雪だるまになるの……!? ルシェ細かい細工上手じゃないけど頑張るわ……!」
「しにゃこだるま……ですか? それはどんな……? リュティスさんご存じですか?」
「ええ――つまりはしにゃこ様の雪だるまですよ。ええ。
 仕上げに『ちょっと』工夫を施す、しにゃこ様雪だるまです」
「なるほど。えっと、僭越ながら頑張ります!」
 さすればキルシェが腕まくりしつつ、次なる雪だるまを作成してみんと目指すものだ――『しにゃだるま』という聞きなれない単語に?マークを思い浮かべるジュリエットは、念のためリュティスに詳細を確認するものだが。
 なんとなく分かったので、白チビポメと一緒に頑張るものだ。むんっ。
「よいしょ、よいしょ、一緒に頑張りましょうね」
「わん! わん?」
「大丈夫です。彫刻も少しは習いましたので、しにゃこさんに似せるのはお任せ下さい!」
 ジュリエットは足元でちょろちょろと動くチビ達に声を掛けながら、一緒に雪だまを作るものだ――その後は、ジュリエットの卓越した彫刻の腕が光るものだが……なんだあれは……? 美術館に並ぶような、リアル寄りのしにゃこだるま……!?
「あれ? おや? 何故でしょう?
 しにゃこさんなのに、皆さんと何かが違うような……??」
「めっちゃリアルじゃないですか! 此れもこれで凄いですが、しにゃだるまはもっとアイドル光を……うわ茶太郎! どうして私の髪をはむって!? え、リュティスさんが良いって? そんなー!」
「よし、俺もかまくらや雪だるまを作るのを手伝おう。雪をとりあえず運ぼうか。
 沢山作るとすると、それだけ必要になりそうだしな。茶太郎、運んでくれるか?」
 首をかしげるジュリエット。しにゃこはまた何か注文を付けようとしていたが――背後から静かに近寄って来た茶太郎にポニテ襲撃されてそれ所ではない。笑ましい感情をベネディクトは其方へと向ければ、彼もまた雪だるま作成を手伝おうか。
「うっうっ、酷い目にあいました……おっと。雪だるまですかいいですね!
 それなら私はちっちゃい白チビさん達の量産をしましょうか。
 えーと。まずは雪玉を作って……あれ?」
 と、雪に埋もれたすずなが犬のように頭を振って除雪すれば、復帰完了。
 白チビポメを模した雪だるまを作らんと意気揚々とし――て?
「うんしょ、うんしょ、雪玉沢山作らなきゃね! うんしょ――?」
「きゃうん!」
「あら! 雪だと思ったらちび白ちゃんだったのね! ごめんね、ん? なでなでして欲しいの? ここかしら? ふふ! 沢山してあげるから、だいじょうぶよ!」
「あっあっ 白チビさんが雪塗れに……! ご、ごめんなさい! い、いま助けます!
 た、助けますから! ポニテと尻尾は許して!! そこは、その、敏感というか、その」
 同時。キルシェも素材作成に勤しんでいれば。
 なんと! 雪だるまと白チビを間違えてコロコロしてしまった……! どうやらすずなの方も同様であったらしく、すずなの手の平に泣きそうになってる白チビポメがいる。お詫びになでなでしてたらすぐに機嫌が戻りましたけど! 危ない! 茶太郎と白太郎がポニテを見てた気がする!

 そして。そんなこんなしていたら雪だるまが次々作られていく。
 色んな雪だるまだ。皆で協力して作って行って……そうしたら。

「わぷ! ……なんかあたしも白フランになりかけたけど!? 雪で!
 あれ? 皆次は雪だるま作る気なの? ふふ、雪だるまなら任せてよ!
 ねー白チビポメ!」
「わん!」
 先程雪原に投げ出されてフラン改め白フランとなってしまった彼女が雪を掻き分け生還した――周囲の状況を素早く把握し、眼を輝かせる。『大丈夫だった?』『撫でて?』と、じゃれてくる白ポメたちの首をわしゃわしゃしながら雪だるま作成へと往こうか――!
 うんうん、なるほどね、普通のよりもっとこうどーん! て感じなんだね。
「んじゃ、しにゃだるまを作ろっかな。えーと材料は雪としにゃこさんだね。
 よーしだからこうしてこうして、こう! あ、ポメたちぺしぺし埋めていいよー」
「わふ! ……わふ?」
「え? 今本物入れなかったかって? まっさかぁ! 事故事故!」
「そうですよ。ええ事故です。ちょっと手が滑って先程簀巻きにして捉えていたしにゃこ様が中に入っていたとしても、事故ですので問題ありません」
 『どこが事故ですか――!!』なんかそんな、しにゃの叫び声がどっからか聞こえてきたが……フランやリュティスは聞き流した。代わりにフランはしにゃだるまの雪を更に硬く固めた。しにゃこが――雪だるまにされている――
「相変わらず仲がいいな」
 ベネディクトはしみじみ呟くものであった。

 ……そして。お別れの時間はやってくるものである。

 しにゃだるま(しにゃこin)の前で大きめのかまくらを作ったジュリエットは、お餅を焼いて暖かい御汁粉も共に。一緒に来たリトルワイバーンが色々運んでくれるのだ――彼の首筋も撫でてあげようか。
「ふふ、ポメさんや白ポメさん達にもちゃんとありますから安心して下さいね」
「だが、そろそろお別れかな……日も暮れ始めてきた。帰らねばなるまい。
 ――どうか皆、元気でな。妙な事に巻き込まれない様に気を付けて」
「わふ? わんわん!」
 その中で、最後の歓談を行いつつ、ベネディクトは白ポメ達に別れの言葉を告げるものだ。
 最後にもう一度撫でながら……かまくらを出れ、ば。
「うわーん! リリファさん、この白チビさん達、離れてくれないんですよ! 何とかして――って何してんですか! 自分の雪だるまの一部分を盛っても意味ないでしょう!? はやくたすけて! じゃないとその雪だるま削ぎますよ!」
「はっ??? これがリアルですけど??? すずなさんのをモギましょうか? むきゃー!」
 外では、名残惜しい白チビ達とすずなやリリファが戯れあっていた。
 これもまた微笑ましい……微笑ましい? 闘争である、が。
「ふふ、ちび白ちゃん混じると雪だるまかちび白ちゃんか分からなくなるわね。
 今日は有難う。とっても楽しかったわ! ねぇ――また今度遊びましょうね!」
「わん!!」
 キルシェもまた最後の別れをする。これ以上は、残れないのだと。
 白ポメ達が見送ってくれる。手を振って、分かれようか――さすれば。
「ポメ太郎。今日は白チビ達のお世話、お疲れさまでした」
 はい。ジャーキーですよ、と。
 リュティスが最後にポメ太郎にご褒美を挙げるものだ。
「わんわん!」
 ありがとうございます! と、ポメ太郎はじっくり味わって――食べようか。
 今日と言う想い出もじっくりと味わいながら……

 ……あれ? あ。しにゃこ回収したっけ? ま、いっか!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ポメかわいいよポメ!
 ありがとうございました!!

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