シナリオ詳細
<総軍鏖殺>魔法少女とロードレイル<トリグラフ作戦>
オープニング
●七十式型重機動型機動魔法少女、推参
建物の屋上に身を潜め、双眼鏡で様子をうかがう。
アサルトライフルをいつでも撃てるように抱えた兵士が二名、視界内を通り過ぎたかと思うとスコープの視界に収まらないほど大きな巨体がそのあとに続いた。
倍率をさげて視界を引いて見ると、それが恐竜めいたフォルムのモンスターだとわかる。
絵本に描かれるティラノサウルス・レックスにシルエットは近く、軍によって使役されているのか専用の装甲具に身を包んでいる。頭部から足まで独特の装甲で覆った姿はさながら恐竜型ロボットのようであり、ヘルメットバイザーごしにギラギラと殺気を放つさまはそれこそ殺人ロボットのそれである。
しかもそれが一対のみでなく、3体も見えるのだから厄介だ。
「あれは、流石に私でも手に余るかな……。私の火力なら装甲を抜けるだろうけど、一発や二発じゃ対策されそう。せめてもう一人……装甲突破能力に優れた味方がいれば……」
そう呟いたのはオニキス・ハート(p3p008639)。双眼鏡をおろし、じっと考えを巡らせる。
今からあの戦力を潰し、制圧するための作戦をたてている最中なのである。
さてどうしたものかといくつものシミュレーションを脳内で動かしていた、その時。
「オーッホッホッホ!」
絵に描いたような高笑いが後方から聞こえ、『身を潜めているのに何故叫ぶ』という気持ちと『その声は!?』という気持ちの両方が口から出て「みゃ!?」といいながらオニキスは振り返った。
「どうやら苦戦しているようですわね!」
地面に突き立て、誇らしきく点を指すビーム砲搭載大型機槍マジカルカノンランサー。
大空に飛び立つのではと思えるほど優雅に広げた大出力マジカルバリアユニット『ウィドマンシュテッテン』。
それらの間でゆれるドリルヘアーと豊満な胸。
「そうっ、わたくしこそ断罪の淑女! 『七十式型重機動型機動魔法少女』ギベオン・ハート――只今推参ですわ!」
ドドン、と巨大なテロップで名前が出そうなくらい堂々と……ギベオン・ハートがそこには立っていた。
そろそろ背景を語らねば成るまい。
冠位魔種の新皇帝即位によって魔都と化した首都を中心に、鉄帝国は混迷を極めている。
そんな中でザーバ将軍率いる南部軍は派閥をまとめ抵抗姿勢を見せ始めた。
各地の村や補給地を新皇帝派の軍や魔物達から奪還するなか、ついに帝国を通る大動脈である鉄道に目を付ける。まずは新皇帝派に関連施設諸々含めて支配されている南方駅ゲヴィド・ウェスタン。
まずはこの地に繋がるいくつもの小駅を奪還することで、ゆくゆくはゲヴィド・ウェスタンとその先の路線を手に入れようという考えであった。
兵器と兵員を首都へ大量に送りつける手段を手に入れれば、南部軍は新皇帝派に対抗するカードのひとつを手に入れられるのだ。なかでもオニキス的に物凄く興味があるのはどこかに格納されているという列車砲の存在だ。
今回はそうしたなかで物資の保存と輸送を行っている『ホルンクト』という駅を奪還する作戦が立てられていた。
たてられていたのだが……。
「ギベオン、なぜここに?」
オニキスのもっともすぎる質問が飛んだ。
ギベオン・ハート。あんまりにも派手に登場し出て当たり前のような顔をしているが、彼女はオニキスと同じ世界にいたはずの『機動魔法少女』のひとりである。同じく召喚されたのだろうが……南部軍にでも所属していたのだろうか。
「わたくしの立場はあくまでfreedom(巻き舌)――しかし、民が混迷した今、このわたくし断罪の淑女ギベオン・ハートが立ち上がらないわけがありませんわ!」
「そういえばそういう人だったね君は……」
フフンと笑ってのしのしオニキスの横へとやってくる。フル装備で現れたので足音がすごいが、途中で『変身』を解除して上品なドレス姿に変わっていた。足音ももう革ブーツのそれだ。
「ホルンクトを落とすのでしょう? 手を貸しますわ。あの駅のせいで近くの村から収奪が起きていますの」
収奪、と聞いてオニキスは嫌な顔をした。
軍がたまにとる手のひとつで、付近の居住者から物資を取り上げることで兵站を維持するというものだ。しかも今回は新皇帝派。あの恐ろしいモンスターをちらつかせ、住民達を脅しているというところだろう。
「召喚して間もないころ、近くの村にはお世話になりましたの。正義の血が今こそ義を果たすべきと燃えておりますわ」
グッと拳を握って見せるギベオン。オニキスもそれを聞いて黙っていられるほど冷血ではない。
「いいよ。一緒にやろう。ローレットの仲間も来てるんだ」
オニキスも拳を作ると、ギベオンとその拳をごつんと打ち合わせた。
- <総軍鏖殺>魔法少女とロードレイル<トリグラフ作戦>完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月31日 22時06分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
(今回は鉄道を使用するための駅の解放。それに同じ世界の魔法少女の共闘とか楽しそうね……)
『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)はなにやら話し合っている二人の『魔法少女』をやや遠巻きに眺めながら、ひとり何かの感慨に浸っていた。
魔法少女という単語に縁が無いわけでは無いレイリーである。本職を見てみたい気持ちと、『と言うわりには癖の強いやつなのでは』という気持ちが心の中をサッと横切っていったが……まあ、それはそれ。
その後ろでは『瑠璃の刃』ヒィロ=エヒト(p3p002503)が『玻璃の瞳』美咲・マクスウェル(p3p005192)と相談をしていた。
「ねえ、ボクたちの名乗る? 皆やるみたいだし」
「皆かなあ?」
美咲はそう言いながら、今回の作戦手順書を読み直す。
「それにしても、新皇帝派ってクズの割りに兵站確保はするんだよね……焦土作戦気取り?
手段が略奪オンリーってのがクズofクズなんだけど。
まあ、返せばそいつらから奪っても文句言われる筋じゃないいわけよ」
「…………」
ヒィロは肯定の意図で沈黙する。
「あんたらが私らより弱いから、奪われる。元々そういう国なんでしょ? ……馬鹿馬鹿しい」
ヒィロの前では思っていることを全部口に出してくれる、ということなのだろうか。ちらりと見ると、仲間たちは今の発言を聞いてはいなかったようだ。
『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)がレイリーたちと今回のことについて話し合っている。
「貯蔵庫に線路、ザーバ派が抑えようとするのも納得です。
ザーバ派が力を付けても悪い方向には転がらないでしょう。
それに、新皇帝派を名乗る連中は目障り極まります。派閥を超えて協力する理由には十分です。
ただ、この作戦に帝政派の一員が手を貸した事、しっかりと報告して下さいね」
話には『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)が加わり、『そういう派閥争いみたいな話でしたっけ?』と首をかしげている。
「しかし、戦線というものは攻めるより守る方が難しいとも聞きます。今回は優秀な友軍もいるようですし、一つ実践してみましょうか。
それにしてもオニキス様の同郷の方……? 混沌も色んな人を召喚してますね」
「うむ。非常に好感と共感がもてる」
大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)が腕組みをして『機動魔法少女』たちの武装を眺めた。
「さておき。冬も迫らんとする中、兵站を収奪に頼るとは、恥を知らぬ行いである。
その根性を叩きなおしてくれるわっ」
「その通りですわ!」
ギベオン・ハートが高笑いをあげ、専用のステッキをひねり変身スイッチを入れた。
どこからともなく飛んできた黄金の鳥型ドローンが分解し、ギベオンにドレスの上から装着されていく。最後にステッキと巨大なくちばし部が合体したかと思うと、左右に開きビーム発射口を露わにした。
さああなたも。そんな視線を向けてくるギベオンに、オニキスは頷いた。
「今回の作戦目的は物資・人員の輸送のための補給基地の奪還。
でもそれ以上に重要なのは、力を持たない人たちを理不尽から守ること。
行くよ、ギベオン。そのために私たち機動魔法少女がいる。ローレットがいる」
マジカルライフルを天に向けてトリガーを引くと、どこからともなく現れた戦車ドローンが分解、オニキスのドレスの上から各パーツが装着されると、最後にライフルと砲身が合体。拠点殲滅用拡張武装『マジカルゲレーテ・アハト』を完成させる。
「あら? それってトパーズの拡張装備に似てますわね」
「そのレプリカのカスタム版。強襲作戦にはピッタリでしょ」
最後にセーフティーを解除すると、一連の流れを見ていた武蔵が『よきかな』と呟いた。
「では――征こうか」
●
巡回を行っていた新皇帝派の帝国軍兵は、降ろしていたライフルをサッと上げた。
戦闘状態を示すその動きに、隣を歩いていた兵がびくりと辺りを見回す。
「誰か来たのか? いやこれは――敵意! 音からして、そこか!」
振り返り発砲する兵。が、それを受けたのはレイリーによる巨大な盾であった。
身を多う程の巨大な盾は、最近お気に入りの『ヴァイスドラッヘ』スタイルとはちょっと違う。『白竜装甲騎士』タイプのそれを更に拡張したものであった。
「今日はそういう日みたいだし――」
盾を一度分解してバックラーサイズに収めると、ばらけたパーツを再結合して槍を形成した。
「私の名はヴァイスドラッヘ! 只今参上! 鉄帝の平和のため、駅を解放させてもらうわよ!」
「ヴァイスドラッヘ! 『あの』か!?」
兵士は舌打ちをしてレイリーめがけてライフルを連射。倒すためと言うより足止めと牽制が目的のようだ。というのも、彼が特殊なスイッチを押し込んだことでギガレックスが咆哮をあげながら突進してきたためである。
「ぐっ!?」
あまりのパワーに吹き飛ばされるレイリー。
「レイリー! 移動塹壕って呼ばれた貴方が犬相手にへばることはないわよね!」
後ろから呼びかけるイーリンに、レイリーは『当然』と答えて再び盾を形成。ギガレックスの尾による打撃をうけとめた。
「さて――『神がそれを望まれる』!」
イーリンはギガレックスの動きを阻害するべく術式を発動。足元に発生した紫色の魔方陣に、ギガレックスは困惑の様子を見せた。
が、それをみすみすやらせないというのが、どうやら兵士達の役割らしい。
イーリンめがけてかわった形のランチャーを持ち出すと、特殊な電磁ネットを展開。イーリンを押さえ込みにかかる。
「――ッ!」
なんとか防御するイーリンだが、兵士が『今だ』と叫ぶと別のギガレックスが飛び出しイーリンへと襲いかかった。
「そりゃあ、一体ずつ出したりしないわよね――馬鹿じゃあないんだから」
けど。とイーリンは小さく笑みを浮かべる。
「こっちだって、それは想定してるのよ」
物陰から飛び出すヒィロ。元々俊敏な彼女だが、数秒先を『視』ていたらしい美咲と意識をピッタリあわせることで最高のタイミングをとることができたようだ。
ギガレックスの側面から強烈なシールドバッシュを叩き込むと、剣を抜いて叫ぶ。
「ボクはイレギュラーズの『瑠璃の刃』ヒィロ!
義によって南部軍に助太刀する!
……くぅーー! 一度やってみたかったんだよね、こういう名乗り! 気持ちいーー!!
今日のボクはとってもご機嫌だから、いつも以上に念入りに刻んで甚振ってあげるよ!」
「気持ちいいのは結構だけど、キッチリ押さえ込むわよ」
美咲は片目を覆うように手をかざすと虹色の瞳をギラつかせた。
鞄から取り出した包丁から包みを外し、ギガレックスへと飛びかかる。
ヒィロひとりでは迂回されてしまうかもしれないギガレックスを、二人がかりでキッチリ押さえ込むためだ。
ギガレックスに先手をとり続け両サイドからマークすればそれが可能だ。この二人の優れたコンビネーションならなおのこと。
「そちらは任せました。イーリンさん、レイリーさん。今のうちに……!」
オリーブはコンテナの裏から姿を現し、レイリーたちが押さえ込んでいたギガレックスへとボウガンを撃ちながら接近、剣を抜いて斬りかかる。
そこへ早速加わるウルリカ。
「恐竜を模した機械兵器ですか……古代人の憧れもまた、似たりよったり……。
しかしアンチヘブンは無差別攻撃をすると思っていましたが、新皇帝派はそうでもない……?」
フライトユニットと自らを接続すると、豪速でギガレックスへと体当たりを仕掛けた。
いや、急加速に伴う衝撃波に指向性を持たせ、強烈な『パンチ』を生み出したようだ。
「順調なようです。続けて集中攻撃を」
ウルリカの呼びかけに応じ、武蔵がコンテナの上へと躍り出る。
「いいいだろう、戦艦武蔵――参る!」
艦姫ユニットを略式召喚。装着すると、全ての砲を動かしギガレックスへと向けた。
「九四式四六糎三連装砲改――撃ェ!」
指さしたその方角へむけ、全ての砲が発射される。放物線を描いて飛ぶ砲弾が次々にギガレックスへと命中。込められた特殊な術式によって爆発を引き起こす。
が、そんな武蔵めがけ新たなギガレックスが出現、牙をむき出しにして襲いかかった。
「な――」
防御が遅れる武蔵。だが、ギガレックスとの間にギベオンが割り込んだ。
「『ウィドマンシュテッテン』、出力全開!」
翼のように広がったバリアユニットがギガレックスの牙を物理的に止めると、構えた槍から露出したビーム砲身から螺旋状のビームランスを形成させた。
ぎゃりぎゃりと削りあいを起こすギベオンとギガレックス。
「オニキス、今のうちですわ!」
「了解。たすかるよ」
オニキスは『マジカルゲレーテ・アハト』を構え、ジェネレーターと接続。
「マジカル徹甲弾装填完了。マジカルゲレーテ出力120%――発射」
放たれた砲弾はギガレックスの鎧に包まれた頭部を貫通。
ぶしゅんと血を吹き出させ、ギガレックスは最後の咆哮をあげつつ轟音をたてながらその場に崩れ落ちた。
●
電磁ネットを内側から切り裂き、振り払うイーリン。
「まずは一体。優勢よ」
仲間に呼びかけるイーリン。しかし、彼女も当然分かっていた。
相手がよほどの無能でない限り、こちらの狙いはとっくにわかっているし、こちらの何を阻害すべきか理解しているはずだ、と。
敵の主力であるギガレックス三体を防御に優れたメンバーによって戦闘を遅滞させる間一体ずつ集中攻撃によって撃破する。これは理想かつ最高率の展開であって、こちらにとって最も都合の良い進行である。
つまり相手の立場からすれば、ここで邪魔すべきは『抑え役』ということになる。ギガレックスをいかに自由に暴れさせられるかが相手側の有利条件であり、こちらの不利条件なのだ。
余談だが。イーリンがそれでも『優勢』と述べたのは、こちらが襲撃側であり相手の情報を一方的に知っている状態であったためである。そういう勝負は、暫くの間はこちらが好きにできるのだ。例えるなら将棋の先手。どの駒をどう動かすも自由。これを軽く数手連続で自分だけ動かすようなものだ。(ゆえに情報は勝負を分けるとよく言われる)
相手の対応が追いついてきてからが、作戦の組みどころと言えるだろう。
「美咲は継続してヒィロをフォロー! オリーブとウルリカもヒィロのフォローに回って! 雑兵のヒィロへの足止めが成功したら終わりだと思って!」
「――! 了解しました」
ことの重大さを察したのだろう。オリーブがヒィロを見ると、確かに兵たちが電磁ネットランチャーを持ち出しヒィロに狙いをつけていた。させるわけには、当然いかない。
オリーブは『ジャミル・タクティール』のスキルを発動。ボウガンで巧みに射撃を行うと、雑兵たちの腕を見事に撃った。
更にウルリカもまた雑兵たちを払いのけるべく衝撃波を拡散して発射した。
「こちらはお任せを。派手な一撃をお願いします」
一方のギベオン。ギガレックスをかろうじて押さえ込んでいる彼女だが、体勢を崩されれば潰されかねない。どころか、雑兵にしがみつかれて一分ほど遅滞されればその間のギガレックスは好き放題できてしまう。
ということでこういうときに滅茶苦茶活躍するのがレイリーである。
「ヴァイスドラッヘンフリューゲル――増加装甲!」
白い大盾に接続する形で、両足から展開した装甲が彼女を守りつつ、自らギガレックスへと突進した。
「こんな攻撃じゃ私は倒せないわ! お前のパワーはこんなもの?」
純粋に『盾役を二人に増やす』作戦であり、レイリーは特殊抵抗力と回復力から『無力化しにくい盾』であった。彼女を無理矢理にでも押さえ込むには人手がいり、そうなってくれればむしろ範囲攻撃で振り払う役割にシフトできるのだ。
兵士によってしがみつかれ動きを制限されていたギベオンが『助かりましたわ』と苦笑する。
「幸い、火力担当は三人も残ってますわ」
「そういうこと。まだやれるよ、こっちは任せて」
ヒィロは爪の連打によって圧倒しようと攻め込んでくるギガレックスの攻撃を盾と剣でギリギリいなすことでしのいでいた。
そうしている間にぴったりと背後をマークした美咲がギガレックスの動きを徐々に鈍らせるよう関節部を的確に斬り付けている。
「頼もしいことだ……ならば、全力で応えさせてもらおう」
武蔵は向けた大砲を散発的に放ち、ギガレックスの装甲を少しずつ剥がしていく。
「オニキス、見せておやりなさい! 機動魔法少女のスペックというものを!」
「ん、わかってる」
オニキスは『120mmマジカル迫撃砲重力弾』をセット。ギガレックスへと発射すると、魔術弾頭が激しい重力を引き起こしギガレックスをがくりと跪かせた。
そこへ更にイーリンの魔術が発動し、ギガレックスがそれらを振り払おうと腕や尾を振り回す。
だがその動きはレイリーとギベオンの槍でピン留めすることによって無理矢理抑え込めた。
「今だ!」
誰が叫んだものか。オニキスと武蔵、そしてイーリンはもてる限りの最大火力をギガレックスめがけて叩き込んだ。
それこそ、ギガレックスの上半身がなくなってしまうほどの。
「さてと。お待たせ。最後も決めてスッキリしましょ」
その様子を見ていた美咲が包丁を握り直し、ヒィロと目を合わせる。それだけで何を考えているのか互いに理解しあったようで、二人は凄まじい速度でギガレックスの周囲を飛び回り、困惑したようすのギガレックスの急所だけを的確に攻撃。喉から血を吹き出したギガレックスは近くのコンテナをへこませながら転倒。沈黙したのだった。
●
その後、拠点にいた帝国兵たちを殲滅、あるいは撤退させ駅の占領を完了させた。
美咲やヒィロは生き残った兵を捕まえ尋問し、オリーブは派閥に持ち帰れる情報がないか捜索を始めていた。
そういった作業はやっぱりイーリンが得意なようで、大量に積み上がった書類の中から駅に残っていた物資をリストアップしていた。
「どうやら越冬にむけた物資がかなり貯蔵されていたようね。新皇帝派は鉄道網を使って鉄帝各所の部隊に兵站維持システムを確保しようとしていたのかしら」
「まあ、鉄帝国の鉄道はそもそもそういう目的で作られたんだろうし……鉄道を確保したら当然そうするわよね」
レイリーが資料のひとつをつまみあげる。
ウルリカは『仕事は終わった』とばかりに休憩モードに入っており、武蔵も武蔵で武装の手入れを行っている。
「ギベオン……」
オニキスが、コンテナの確認をしていたギベオンに話しかけた。
「村から収奪されたものを教えて。全て残ってるとは限らないけど、可能な限り返せるとおもう。『派閥として恩を売る』みたいな意図もあるだろうけどね」
「そうですねわね……他の村からも話を聞いてみますわ。冬越えのための物資が奪われたとなれば彼らも必死ですから。その……」
「わかってる。南部軍にも支援を要請できるか聞いてみる」
ギベオンは『ん』とだけこたえ目を瞑った。
「今回は、借りが出来てしまいましたわね。いずれ、返しますわ……オニキス」
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
倉庫にあった物資の多くは、収奪をうけた近隣の村へと返却されました。
一部が新皇帝派によって消費されていましたが、それなりに充分な補填は行えたようです。
GMコメント
南部軍ザーバ派の作戦に協力し、駅ホルンクトを新皇帝派の軍から奪還します。
建物は『物資貯蔵庫と線路』というきわめてシンプルな構成になっており、いわゆる駅のホームみたいなものはありません。
列車用のコンテナが複数やや乱雑に並んでおり、その脇に大型の貯蔵倉庫が建設されています。
戦闘を行う際はこれらのコンテナの間を走り抜けたり飛び越えたり(たまにコンテナごと吹き飛ばしたり)といった形で行われるでしょう。
●エネミー
・新皇帝派兵士
駅を占領するにあたって、南部軍を警戒し巡回している兵たちです。
彼らの警戒をすりぬけるのは困難なので、いっそ真正面から突っ込んでいって蹴散らしましょう。
それなりに武装していますが、兵士の戦闘力はあまり脅威ではありません。
・ギガレックス×3
古代兵器を利用した鎧等で武装したモンスター(アンチヘブン)です。
高い攻撃力、防御力を備え、更には高い抵抗力ももっているため高い火力や集中攻撃によるゴリ押しが推奨されています。
ですが相手の攻撃性能もかなり高いので、倒しきるまではタンク役に頑張ってもらうか回復や防御交代でなんとか凌ぎきりましょう。
●味方
・ギベオン・ハート
バリアを張りながら槍で突進するというかなり脳筋なタンクアタッカーです。
防御で粘らせてもよし攻撃に参加させてもよしで、今回の作戦にはわりとぴったりです。
PCのタンク役が足りなければギガレックスを抑えさせる役に、足りていればアタッカーに回して攻撃の最終火力を上げさせましょう。
火力が高くて命中が低いという特徴があるので、何回か集中攻撃を浴びせたあと最後に彼女に攻撃させると火力の期待値が高まります。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
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