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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>物資輸送と野盗殲滅

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 鉄帝の とある街。
 群雄割拠の修羅の国と化した鉄帝の中で、他と変わらず影響を受けている。
 頻繁する野盗などに対抗するべく街の要塞化を進め、それ以外の防衛策も進めていた。
 そのひとつとして行われている演習に、ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)は参加していた。

◆  ◆  ◆

「そのまま前進!」
 ジュートは、何度か指揮したことのある若い鉄帝の兵隊たちに指示を出す。
「オッケー!」
「いくぞー!」
 兵隊たちは応え、吶喊。
 戦い慣れしていることもあり勢いがあるが、それを迎え撃つのは老獪なラサの傭兵。
 守りに徹し、兵隊たちの体力を削るように受けながら左右に展開。
 誘い込んだ所で挟撃しようとし――
「左翼に突進!」
 ジュートは新たな指示を出しながら神秘の力を纏わせたコインを放ち、ラサの傭兵の動きを牽制。
 さらに兵達たちの近くに寄ると回復。
「ありがと! 隊長!」
 礼を言う兵達たちに笑顔を返しながら、勢いづけるように指示を出す。
「このまま押し切ろう!」
「了解! 隊長!」
 勢いのまま、突進。
 それをラサの傭兵は殺し切れず後退し――
「参った。今回はそっちの勝ちだ」
 ラサの傭兵のリーダーが降参した。
「やったー! 勝ったよ隊長ー!」
 喜びながらハイタッチをして来る兵隊に、ジュートもハイタッチをして応えると、ラサの傭兵にも声を掛ける。
「お疲れさま。強かったよ。戦い慣れしてるね」
「これが飯の種なんでね」
 笑みを浮かべながらラサの傭兵は返す。
 彼の足には怪我で衰えた足を補助する器具が取り付けられている。
 よく見れば、他のラサの傭兵たちも似たような者が多い。
 彼らは怪我などで一線を退きつつも、それでも傭兵業を続けていた者達だ。
 そんな彼らに、身体能力を補助する器具を提供しているのが、雇い主のリリスたち幻想の商人だ。
 器具を無償で提供しメンテナンスする代わりに、何かあれば優先的に仕事を受けることになっていた。
「一休みしたら、また続けるかい?」
 ラサの傭兵の問い掛けに、ジュートは返す。
「いいね、やろう。一勝一敗で引き分けてるし、今日は勝ち越しさせて貰うぜ」
「ははっ、やる気だね。こっちも雇い主に使える所見せないとならねぇから、負けれねぇな」
 笑みを浮かべ穏やかな声で、ラサの傭兵は返した。

 いまジュート達が演習をしているのは、街の防衛力を強化するためだ。
 鉄帝が群雄割拠状態になってから各地でキナ臭い動きが続いているせいで、守るための力をつける必要があった。
 そのために街の防衛に当たっている若い兵隊たちにも訓練をする必要があったので、以前に一緒に戦ったことのあるジュートがリリスに依頼され、指導していた。

「とりあえずもう一回勝負して、その後は昼飯にするか」
 ラサの傭兵の言葉に、ジュートが返す。
「オッケー。昼からは、おもちゃの機兵(マーチング・マーチ)っていう、ロボット達も演習に加わるだったよね?」
 それは、街に隣接する遺跡の遺物の技術を流用し、練達の科学者により作られた物だ。
 ラサの傭兵たちが身に着けている身体補助器具も同様で、今のような状況になる前は、よく遺跡に潜っていたらしい。
 もっとも今はそれどころではなく、身を守るための準備で忙しい。
「街を守るためにも、頑張らないと」
 ジュートの言葉に、兵隊や傭兵が同意するように声を上げていると――
「お茶にしない? おやつ持って来たわよ」
 リリスが、30cmほどのロボット達を連れてやってきた。
 飛行しているロボット達は、複数バスケットを持っている。
「飲み物色々と持って来たけど、なにが良い?」
「ココアある?」
「ええ。アイスココア、作るわね」
 リリスはジュートに応えると、おもちゃの機兵に指示を出し、お茶の用意をする。
 ちまちまと動き用意する、おもちゃの機兵。
 そうして用意されたアイスココアを、皆と一緒にジュートが飲んでひと息ついている時だった。

「隣街に援助したい。手を貸してくれ」
 街の実質的な統治者である軍人ギギルが、頼み込んできた。
「どうしたの?」
 ジュートが訊くと、ギギルは説明する。
「街が野盗に襲撃されて食料が枯渇したらしい。うちの街は余裕があるから持っていってやりたい」
 話を聞くと、数日前に街は野盗に襲われたらしい。
 幸い人的被害は、怪我人は出たものの最小で抑えたが、食料をごっそり奪われてしまったらしい。
「いつまた野盗が襲撃して来るかもわからねぇ。その前に飯を食わせてやって力をつけてやりてぇんだ」
「分かったわ」
 リリスは応えると、ラサの傭兵たちに尋ねる。
「予備人員は、どれぐらい用意出来るかしら?」
「20人って所だ。それ以上は、ここの守りが薄くなる」
「20人ね……あとは、この子達にも行って貰うとして――」
 おもちゃの機兵を見詰めながら思案するリリスは、ジュートに視線を向け言った。
「ローレットにも依頼を出すわ。もし良かったら、あなたも引き受けてくれない?」
「分かったよ。都合が合えば、引き受ける。それにしても――」
 ジュートは軽く眉を寄せ、続けて言った。
「また来なけりゃいいけど、野盗」

 当然、野盗は再び襲う気満々だった。

「お前ら! 前祝いだ! 飲め飲め!」
 粗野な男たちが歓声を上げながら酒を呷っていく。
 そいつらが食べて飲んでいるのは、数日前に街を襲撃して得たものだ。
「武器も『手配師』から手に入れた! あの街を俺達の物にするぞ!」
 歓声が上がる。
 それを離れた場所で、『手配師』と呼ばれる男を含めた3人が観察するように見ていた。
「あれらに、街を支配させるつもりかね? 巧くいかないと思うが」
 青白い肌の男に訊かれ、『手配師』は応える。
「邪魔が入らなきゃ、一時的に制圧するぐらいは出来るさ。そのあと破綻するだろうけど。でも、別に良いじゃん」
 にやにやと笑いながら『手配師』は続ける。
「お代は、もう貰ってんだ。あとは野となれ山となれ――って、それじゃダメか?」
「構わないよ」
 場違いな紳士然とした男が応える。
「混乱し掻き回された方が、色々と犯罪に馴染み易い土壌が出来る。私としては、『戦後』に犯罪組織を広げたいのでね」
「『戦後』ねぇ。ホント、暢気だなアンタ。この国が残るかどうか分かんねぇってのに」
「滅びてくれれば、それはそれで好しだ。鉄帝の人間全てが絶滅しない限り、他の国に難民が押し寄せる。そういう弱った人間には付け込み易い」
「ん? あぁ、あんたのシノギはクスリだったか? ははっ、売りさばく時は1枚噛ませろよ。上手く手配してやるぜ」
「その時は、よろしくして欲しいね……そのためにも、彼らのような人間には頑張って貰いたいものだ」
 バカ騒ぎをする野盗たちに、実験動物を見るような視線を向ける男だった。

◆  ◆  ◆

「鉄帝の街に、物資を届ける手伝いをして欲しいのです」
 招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「野盗に襲われて食料がない街に、食料や武器とかを輸送するので、その護衛をして欲しいのです」
 護衛には、現地からも応援が出るので、何か有事があれば彼らを指揮して対処して欲しいとのこと。
「運が悪くない限りは大丈夫だと思うです」
 気楽な声で言うユリーカに一抹の不安を覚えつつも、現地に向かうイレギュラーズ達であった。

GMコメント

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。

今回はアフターアクションでいただいた内容を元に作った物になります。

以下、詳細になります。

●目的

街に物資を届け、襲撃者があれば退ける。

●状況

10台ほどの馬車に食料や武器などの物資を詰め、2キロ先の街にまで向かいます。

道中は問題なく進みますが、街に辿り着くのとほぼ同時に、野盗が襲撃してきます。

●敵

野盗×100

以前、街を襲撃した際の強さは、数人強いのがいる以外は、ほどほどの強さでした。

武器は粗末な物を持っていた者が多いですが、その時よりも良い武器を持っていると、強さが多少上がっていると予想されています。

複数個所から街に侵入し暴れるようです。

街の破壊ではなく、収奪や、街の支配を目論んでいるようです。

●戦場

鉄帝の小さな街。

端から端まで1キロぐらいの大きさです。

民家や小さな工場がある中での戦いになります。

街の人間は、戦える者は野盗と戦いますが、強くは無いです。それ以外は、家や工場に隠れています。

遺跡から出た遺物を分解したり技術転用した物を作ったりしている工業の街。

技術力の高さで比較的裕福な街だったが、そのせいで狙われた。

●味方

ギギル隊×10

鉄帝の軍人です。戦い慣れしており強いです。

回復は持たず、攻撃主体です。

攻撃特化の遊撃隊です。

ラサの傭兵×20

老練な傭兵です。戦い慣れしており強いです。

回復・バフデバフ・防御・攻撃をバランスよく分担します。

バランスの取れた万能型部隊です。

おもちゃの機兵×40

鉄帝の遺跡から得た遺物を解析し、練達の科学者が作ったロボットです。それなりに強いです。

遠距離からの攻撃・回復・バフデバフを分担します。

後方支援部隊です。

上記の部隊を指揮してください。

指示通りに動きます。

部隊を何人かに分けることも可能です。

●特殊ドロップ『闘争信望』

当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度

このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

説明は以上になります。

それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • <総軍鏖殺>物資輸送と野盗殲滅完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年11月01日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
武器商人(p3p001107)
闇之雲
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
恋屍・愛無(p3p007296)
愛を知らぬ者
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)
ラッキージュート

リプレイ

 物資を届ける依頼。
 護衛として街に訪れたイレギュラーズは、住人から野盗に襲撃を受けていることを知らされた。

(予感的中!)
 知らせを受け、『ラッキー隊隊長』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)は嫌な予感が当たったことを実感していた。
「盗賊の奴ら、マジでまた襲撃してきたみたいだな」
 苦い声で呟くも、住人を励ますようにあえて明るい声で言った。
「心配しなくても大丈夫! だって、特異運命座標の仲間が来てるんだ!」
 力付けるように続けて言った。
「盗賊に襲われたのはアンラッキーだけど、それを俺達でラッキーに変えてみせる。ここで災いの根本を断ってやるからな!」
 ジュートの力強い言葉に、住人は助けて貰えるよう必死に頼む。
「もちろんだ!」
 ジュートの言葉に皆が賛同する様に返す中、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)も事態の改善に向け考える。
(どうやら運が悪かったようですが、ジュートさんの言うように幸運に変えていきましょう。楽に済む仕事ではなくなりましたけど、何とかやりましょうか)
 状況を把握し、皆に提案した。
「小さな街とは言え、守り切るには手分けしないといけません。分担して向かいましょう」
 これに皆は同意し、即座に割り振りを完了し、四方に分かれて向かう。その中で――
「北は一番遠い。俺が運ぶから乗ってくれ」
 自前の亜竜車を持って来ていた、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)が提案する。
 現在地は、街の入口である南寄りなため、北は一番遠いのだ。
「ありがとう、助かるぜ!」
 ジュートは礼を言うと、一緒に向かう『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)に声を掛ける。
「フリークライ君も、一緒に行こう」
「ン。一緒二 向カウ」
 フリークライはギギル隊と共に亜竜車に乗り込み、ジュートと共に北に向かう。
「では、出発する」
 乗り込んだのを確認し、ウェールは走らせる。
「頼むぞ、シュヴァくん」
「なのー!」
 ウェールの呼び掛けに応えるように亜竜は鳴き、出発。
 巧みな綱捌きで高速移動。
 亜竜車に揺られる中、フリークライはジュートに言った。
「指揮 隊長ギギル&指揮能力 優レタ ジュート 任セル」
 信用するように続ける。
「ジュート 指揮能力 ミンナ 知ッテノ通リ。ジュート 軍人サン達 互イニ 訓練 息ピッタリダシネ」
 これにジュートは返す。
「分かった。一緒に頑張ろう。頼りにしてるぜ」
 ジュートの言葉に続けるようにして、ギギル隊の皆も言った。
「よろしくね!」
 これにフリークライは応える。
「攻撃得意 ギギル隊 強ミ 活カセルヨウ 回復支援。常時 万全ニ。フリック ドコマデモ ミンナ 癒ヤシ続ケル」
 フリークライの言葉に、ギギル隊は笑顔で返す。
「助かる! 頼りになるな!」
「ン。ジュートモ ギギル隊モ 頼リ二ナル。加エテ フリック ドコマデモ ミンナ 癒ヤシ続ケル。ツマリ 負ケナシ!」
 フリークライの言葉に皆は力付けられ、高い士気で北へと向かった。

 その頃、一番近い南では戦闘が始まっていた。

●南部戦線
(今度は野盗が100人かぃ。とんでもなく、大所帯だこと)
 南に移動しながら、『闇之雲』武器商人(p3p001107)は皮肉げに思う。
(裏で手を引いてるのがいそうだが、それは事が終ってから考えるかね)
 戦闘に意識を集中していると、同行するラサの傭兵が声を掛ける。
「指揮系統を分散したくない。指揮を頼む」
 これに武器商人は――
(得意なわけでは無いが、よかろ)
 割り切ると指示を出す。
「索敵は任せる。我(アタシ)は引き付けに集中するから掃討は任せた」
「承知した」
 指示を受けラサの傭兵は陣形変更。
 斥候を前に、ファミリアーの鴉も使い情報収集しながら武器商人達と並走する。
 手際の良さを確認し、武器商人は同行する『雷虎』ソア(p3p007025)にも声を掛けた。
「虎の娘、そちらはどう動く?」
「もちろん前に出るよ」
 ソアは笑みを浮かべ応えると、ラサの傭兵にも声を掛ける。
「よろしくね、傭兵さん。ボクも商人さんも一番前に出るから、それを無視した敵をしっかり抑えてもらえるかしら?」
「承知した。取りこぼしは任せてくれ」
 ラサの傭兵は意図を読み込み援護に特化して動く。
「――敵影確認した。数はおおよそ20」
 野盗の状況を傭兵から聞いた武器商人とソアは並走して前に出ると、街の住人達に危害を加えている野盗に向け声を上げた。
「そこまでにしときな」
 武器商人は距離を詰めると同時に、地の底に引きずり込むような呼び声を響かせる。
 堪らず視線を向けて来る野盗達に、ソアが続けて言った。
「ねえ、あなた達。大人しく帰った方が絶対にいいよ、そうしようよ」
 戦闘体勢を取った上での呼びかけに、敵は反射的に脅威を感じ突っ込んでくる。
(まぁ、そう来るだろうね)
 予想通りの反応に、ソアは即座に迎撃。
 鋭い乱撃で薙ぎ払う。
「クソッなんだこいつ!」
「強ぇぞ油断すんな!」
 敵は仲間が倒され、新品の武器で襲い掛かって来るが、ソアは笑みを浮かべ迎え撃つ。
「へえ、一生懸命に武器を揃えてんだ。でもそんな哀れな鉄屑で虎の爪に勝てると思う?」
 有言実行。
 次々叩きのめし――
「みぃつけた……!」
 敵のリーダー格を見つけ突進。
 それを他の野が防ごうとするが――
「つれないねぇ」
 武器商人が引き付け邪魔はさせない。
 それに加えラサの傭兵が近付けないよう壁を作る。
 結果、一対一の絶好の好機が作られ、それをソアは活かす。
 瞬時に間合いを詰め、恐るべき爪でズタズタにした。
 倒れ伏す敵リーダー格。思わず視線が向く敵に向け――
「まだ続けるの? ボクは構わないけど尻尾巻いて逃げるなら今しかないと思うよ」
 凄味のある笑みを浮かべ言うと、逃げ出す者が出てくる。
 それをラサの傭兵たちが掃討。
 この場は彼らに任せて良しと判断したソアと武器商人は、他の地域の援護に向かった。

●西部戦線
「街の人達が襲われています。早く助けてあげましょう」
 ファミリアーから得た情報を、同行するローレルに伝えながら、『蒼穹の魔女』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)は懸命に走る。
(手遅れになる前に助けないと! 失われて良い生命なんてないんだから!)
 護る意志を抱きながらアレクシアは懸命に走り、街の住人達を殴り倒した野盗を見つけ声を上げた。
「やめなさい!」
 声で注意を引き視線が向いた所で、野盗から住人を遠ざけるように魔力で作られた白き綿のような花吹雪を発生させ――
「あなた達の相手は私!」
 転移魔法で住人達を背に庇うようにして現れる。
「何だテメェ!」
 イラつくように声を上げ敵は襲い掛かろうとするが、アレクシアが作り出した魔力の泥に絡め取られ、動きが止まる。
「クソッこんなもん」
「そう簡単に破れるとは思わないでね!」
 アレクシアの言葉通り、そう簡単には逃れられない。
 それを見て野盗の仲間が側面から襲い掛かろうとするが――
「させません」
 ローレルが一斉掃射。
 鉛の奏音を響かせ、次々撃ち抜いていった。
 容赦はない。
 それに恐れをなしたのか、敵は住人を人質に取ろうとするが――
「卑怯者」
 今まで以上の勢いで一斉掃射。
 さらにおもちゃの機兵が援護し、撃ち漏らしを無くした上で住人の保護と回復にも当たらせる。
 次々倒される野盗は――
「邪魔すんじゃねぇ!」
 怒声を上げながら住人達を人質にしようとするが、アレクシアが身体を張って止める。
「ダメよ!」
 自分の身を壁にするようにして住人を背に守り迎え撃つ。
「これ以上この街を好きにさせるわけにはいかないもの! 1人も通しはしないよ!」
 その言葉を証明する様に、アレクシアは全力で戦い抜く。
 どうにかして敵は死角に回ろうとするが、おもちゃの機兵が封じるように援護射撃。
 打つ手の無くなった敵は倒されていき、明らかに優勢になった所でローレルが言った。
「ここは自分が受け持ちます。アバークロンビーさんには、他の場所の援護をお願いできますか?」
「分かった。ここは頼むね」
 優勢なのは明らかなため、おもちゃの機兵と共に他の場所の援護に向かうアバークロンビー。
 残ったローレルは――
「他の仲間は、どこにいる?」
 息のある野盗に尋問。
「馬鹿が、話、ギャアッ!」
「話せ」
 死なないよう刺しながら情報を聞き出し、最後は止めを刺していった。

●北部戦線
「あと少しで現場に着く! 住人が襲われてるから助けてやってくれ!」
 ウェールは亜竜車を全力で走らせながら、ファミリアーの鴉から得られた情報をジュートやフリークライに連絡。
「分かった!」
「助ケル」
 ジュートやフリークライは戦闘準備。そのまま走らせ――
「止めねぇかお前ら!」
 ウェールは住人を痛めつけている野盗を目にし、狼札を取り出し弓や銃を実体化。
 一斉に撃ち出し、敵の注意を引き付けた。
「テメェ!」
 怒声を上げ敵が突っ込んでくるが、そこに亜竜車に乗っていたジュートやフリークライ、そしてギギル隊が飛び出し一斉に迎撃する。
「そのまま突進!」
 ジュートは怪我をした住人の助けに向かうため、ギギル隊に指示を飛ばし、風上に布陣。
(ガス攻撃とかあったら嫌だかな)
 戦局を見通しながら指示を出ししていく。
「練習通りにやれば楽勝だぜ、なぁ皆!」
 ギギル隊の士気を上げ、フリークライに呼び掛け連携する。
「フリークライ君、ガンガンやっていこう! ブレイン2倍なら最強だ!」
「ン ガンガン ヤル」
 フリークライはジュートとの連携を意識し、お互いの回復範囲を重ねるようにしてギギル隊や街の住人を癒す。
「怪我シテモ 大丈夫 皆 治ス」
 積極的にフリークライが回復に動くことで、ギギル隊は疲労を気にせず全力攻勢に出る。
 攻撃特化の部隊だけあって次々撃破。
 敵はどうにか立て直そうと距離を取ろうとするが――
「俺のアンラッキーを少しだけ分けてやるよ。踊ろうぜ、女神の掌で」
 ジュートが黄金の輝きで敵を誘い出し、すかさずギギル隊が追撃して叩きのめした。
 確認できる範囲の敵全てを戦闘不能にした所で――
「他ノ所ニモ 応援二 行ク」
 回復技能を持ったフリークライの提案に、ウェールが応える。
「分かった、乗ってくれ。鴉で確認した範囲だと東に行った方が良さそうだ」
 亜竜車にフリークライが乗り込み――
「ここは俺達で守るから、東は頼んだぜ!」
 ジュートに見送られ、東に向け出発。
(支配して定期的に搾取するのも加減の知らない奴らをのさばらせてたら街がゴーストタウンになっちまう。後顧の憂いがないように、できるだけ掃除しないとな)
 野盗の数を可能な限り減らすため、急いでいった。

 しばらく走らせていると――

「乗ってくれ! 東にまで送り届ける!」
 移動していたソアと武器商人に合流すると乗せ走らせ、さらに――
「他にも仲間を乗せてる! 東に援護に行くから乗り込んでくれ!」
 アレクシアを見つけ同乗して貰うと、全力で走らせる。
「速さ優先だ! 乗り心地は、しばらく我慢してくれよ!」
 勢い良く亜竜車を走らせ、東に向かった。

●東部戦線
(数が多いな)
 敵影を発見した『戦飢餓』恋屍・愛無(p3p007296)は、敵の配置を確認しながら考える。
(この時分には珍しくもないだろうが。これだけ大規模な賊ともなると、何ぞ唆した連中でもいないといいが)
 背後関係を考えずにはいられない。とはいえ――
(まぁ、叩きのめして吐かせればいいか。先に手を出したのは向こうの方だ。その流儀にのるとしよう)
 奪おうとしているのだ。命を奪われも文句は言えまい。
「さて。仕事といこう」
 先頭に意識を切り替えるように呟く。
(ラサの傭兵もいる。下手を打つわけにもいかないからな)
 おもちゃの機兵を従え、街の住人を地面に叩きつけている野盗に近付く。
「ッンだテメェ!」
 ある程度近付いた所で敵が気付く。
 まだ距離があるので悠長に迎撃態勢を取ろうとしていたが――
(遅い)
 物理的な衝撃を伴う強烈な咆哮を放つ。
「がぁっ!」
 堪らず敵は顔をしかめ怒りを見せると、手にした銃器で撃とうとし――
「ぎゃあっ!」
 愛無のハンドサインに反応した、おもちゃの機兵が一斉掃射。
 一撃で倒すほどではなかったが、確実に機先を制する。
 その状態で、愛無は距離を詰めつつ連続攻撃。
 槍状に精製した粘膜を何本も投擲し敵を貫く。
「ひっ――クソッ! 距離を取れ囲んで殺せ!」
 敵リーダー格らしい男が怪我をしつつ指示を出し、敵は動き出す。
 しかし、愛無の動きの方が速い。
 おもちゃの機兵に指示を出し、後方に下がらせ回復と援護射撃。
 援護射撃に支えられながら、愛無は縦横無尽に戦場を走る。
 敵は反撃するも捕えきれず、じわじわと倒されていく。
(数は多いが、このままボコボコにして尋問するか?)
 どうせなら有効活用したい。
(現状の鉄帝の情報や、物資の残っている都市の情報。数だけは多い連中だ。有益な情報の一つもあるかもしれん。利用できるなら生かしてやろう)
「利用できないならば、まぁ、死んでもらうだけだ」
 愛無は周囲に触手を展開。抉り取る様に敵を削り食らう。
「て、テメェ! く、食いやが――」
 怯えと怒りを滲ませる敵に――
「お前達は不味そうだが、僕は殺したモノは喰う事にしてるのでな」
 見せしめのように肉を幾らか削りながら静かに脅す。
「死にたくなければ、死ぬ気で価値を示す事だ。使える情報を持っていたら、吐け」
 確実に恐怖を刻みながら敵を殲滅。
 とはいえ数が多いので時間が掛かりそうであったが――
「援軍に来たぞ!」
 雨のように矢弾を降らせウェールが亜竜車を到着。
 即座に乗っていた仲間が外に飛び出し、愛無の援護に動き――

 ――ほどなくして敵を倒し切った。
 その後、各地の仲間と連絡。
 念のため残存勢力の確認を念入りに終わらせ、街の安全を確保した。

●戦い終わり
「怪我 他二 シテル人 イナイ?」
 戦い終わり、フリークライを始めとした回復手段を持った者は、怪我人を癒していく。
「他にも怪我をしている人がいたら、気兼ねなく教えて下さいね」
 アレクシアは寄り添うように住人を癒していく。
(ずっといるわけにはいかないけど、一時でも元気が出るように)
 治療だけでなく、物資を配ったり復旧を手伝った。
「ン。モウ大丈夫。安全」
 積極的に動くフリークライ達に、住人は礼を言った。

 街の安全を確保したあと、捕えた野盗に尋問する。

「知ってることがあれば話なよ。でないと殺して喰うよ」
 愛無は淡々と、事実を告げるように尋問する。
「使えん賊を生かしておいても、このご時世だ。リスクのが大きい。分かるだろ?」
「ひっ……」
 それが本気だと分かっている盗賊は、べらべらと喋る。
「手配師のヤツから買ったんだ……クソッあいつ、人の稼ぎ持っていったくせにろくな武器寄こさなかった」
「そんなことないだろ」
 野盗の武器を手に取り、尋問に加わっていたジュートが言った。
「俺の武器よりいいもん使ってるじゃんか。メーカーとか流通先調べて、ギギル隊長に聞いてみるか」
 尋問のあと、ギギルに訊くと――
「鉄帝で作られたもんじゃねぇな。幻想のヤツっぽいが……まぁ、あっちの伝手がありゃ用意出来るかもだが」
 首を捻りながら、調べてみると応えた。

 そうして野盗から情報を搾り取り、街の安全を確保し住人が安堵の表情を浮かべる中、武器商人は住人達に尋ねまわる。

「ねぇ、聞きたいことがあるのだけれど──」
 それは『前皇帝』の行方に関する噂。
 街の住人は、それらしいことを聞いたことは無いと返したが――
「あんたらには助けられた。恩返しじゃないが、可能な限り聞いて回ろう」
「うちの街と関わりのある他所の街にも訊いて回る。どのみち物資を届けて回る予定だったから、その時に聞き込んでみるよ」
 街から街へ、『前皇帝』の行方に関する噂を集められるだけ集めてくれると約束してくれた。
(何か見つかると良いんだがねぇ)
 期待はすれど、過度な希望は抱かず、取り得る手数を増やしていく武器商人であった。

成否

成功

MVP

ソア(p3p007025)
無尽虎爪

状態異常

なし

あとがき

皆さま、お疲れ様でした!
皆さまの活躍で、街の住人は死亡者も無く安全が確保されました。
物資も届けられ、他の街とも連携して今後の対応をしていくようです。

それでは、最後に重ねまして。
皆さま、お疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!

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