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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>腹が減ったら戦できないでしょーが!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●先立つもの、は。
 見渡す限り、生命の所在を許しはしない――荒野。
 あるものは砂。砂。砂。
 そんな中で、二人の男が対峙していた。
 傷だらけの男たちは、互いの力を誇示し合うように殴り合っている。
 どちらも武勇を響かせた、名のある男たちなのだろう。
 なのだろう。
 ……が。
 戦闘の合間に、くきゅぅ〜……と間の抜けた音が響く。
「譲らん!! この非常食は! 最後の一口まで俺のものだ!!」
「ほざけ!! 弱いものに飯を食う資格なんざねぇよ!!」
 弱肉強食と化した南部戦線。
 争いの中でライフラインがエライコッチャになってしまった結果、戦に赴く彼らの最大の敵は、空腹であると言えた。
 やがて男たちは、勝敗を決する前に、空腹に動けなくなってしまう。
「まったく、何やってんだ!」
 その様子を、呆れ顔で眺めたのはゴリョウだ。
 少しでも何か戦線での補給に役立つ食物はないかと探しに来たのだが、まさか、こんな喧嘩を眺めることになろうとは。
「ほら飯だ! 飯!」
 持ってきたおにぎりのような非常食をそれぞれに手渡すと、男たちはガツガツと貪り始める。
「あんまり一気に食うと胃がびっくりして最悪死ぬからな! ちょっとずつ、ちょっとずつだぞ!」
 そう言いながら水を分け与えるゴリョウを、男たちはまるで神でも見るように拝み倒す。
「で、何してたんだお前さんらは」
 そう聞かれ、一人の男は喧嘩しているうちにさまよったとアホの極みの返答を返し、早々に立ち去った。
 だが、もうひとりの男は、ゴリョウがザーバ派に与すると聞き、少し顔色を変えた。それから、遥か彼方を指差して、言った。
「この少し先に、洞窟があると聞いた。そこには、水源と、食える植物が生えてる、と……」
「何?」
「だが、その食える植物を……巨大な、食虫植物が、守っていて」
「ほう……」
 ゴリョウは顎をさする。男は深い溜め息をついた。
「なんとかこの水だけ持ち帰り、水源の場所を伝えようとしたんだが、きっと俺の仲間は勝てないだろう。だからせめて、情報だけでも伝えて、……少しでも、ザーバ派の足しになればと思ったんだが」
「そりゃ、いい情報だな。規模はどのぐらいなんだ」
「拠点を築くには十分だ。うまく他の基地と中継できれば、前線を広げることもできるだろう」
「なるほどな……」
 男は不思議そうにゴリョウを見た。
「あんた、この手の話が分かるのか?」
「まぁな。俺が昔居たところも戦争続きで……。でも飯はあったぜ。効率重視でうまかなかったがよ……」
「そうか。それなら、これを見たらアンタならなにか分かるか?」
 男は、小さな種を見せた。
「ん?」
 ゴリョウは、大きな手のひらに乗せられたちっぽけなそれをよくよく観察してみる。
「もう干からびて、死んだ種だ。何度か水を与えて芽吹かせようとしたが、駄目だった。だが、あの水源の植物から取ってきたものだ」
「ほう……。土壌を見てねえからなんとも言えんが、救荒食物になる可能性がある、ってことか」
「あぁ。俺は、そう考えている」
 ゴリョウは遥か彼方をみやった。男の言う洞窟はまだ見えず、一人で向かうにはなかなかに苦難もあるだろう。
「道を詳しく教えてくれ。それから、その途中に喧嘩を売ってくるような連中が入れば、それについても詳しく聞きたい」
 そう問われ、男はゴリョウに、情報を託した。

GMコメント

読んでくださりありがとうございます!
というわけでお腹が! お腹が空いている皆さんを助けてください!!
目の前に広がるのは荒野! その彼方に待つオアシスを開拓しましょう!

●フィールド:南部戦線(ザーバ派)
・鉄帝南部、ザーバ将軍が率いる部隊が駐屯している付近の地帯です。
 出発時に交渉すれば、部隊から物資支援を受けることが可能でしょう。
 辺りは砂、砂、砂。見渡す限りの荒野です。
 コンパスや絶対的な方向感覚などがなければ、たちまち帰路を失ってしまいます。
 自分がどこにいるのか、どちらに向かって帰れば良いのかを、常に把握できるように動きましょう。

●目的:南部の食糧問題を解決すること
 ▼目標
  メイン:洞窟『クジア』の巨大食虫植物を倒す
  サブ:洞窟『クジア』で手に入る種を確保し持ち帰る

●敵(道中)
 ゴリョウが出会った男が会敵したと証言しているのは以下の敵です。
 が、発生条件などは不明なので、実際に出向いた際に、どの程度会敵するかは不明です。
 備えあれば憂いなし、気をつけて向かいましょう。

①サソリの大群(出没:夜)
 文字通り、サソリの大群です。刺されるとエライコッチャな目に見舞われます。
 命を落とすことはアリません。
 逃げるなり音を隠すなりしてやり過ごしましょう。
 なお、刺された場合、シナリオ中以下のBSが付与される場合があります。
  ▶【痺れ】【不調】【混乱】

②巨大な蛇(出没:不明)
 砂の中に潜んでおり、人間を丸呑みにするぐらいの大きさがあります。
 戦いに打ち勝てば食糧にはなるかもしれません。
 動きは素早く、牙には毒がありますが、特殊な能力は持ちません。

③盗賊団(出没:夜)
 夜に出向けばかなりの可能性で出会います。
 前線補給の荷台を襲う連中が少数いるようです。
 あまり強くはありませんが、護衛を蹴散らす程度には小賢しいようです。
 目潰しの閃光弾をぼんぼこ投げてきて、相手が怯んだ隙に荷物を奪って逃げていくようです。
 荒野を進むための物資を取られる可能性がありますので、気をつけてください。

●敵(メイン)
 洞穴の中に巨大な食虫植物がいるとの情報です。大きい獲物から積極的に狙っていきます
 見た目は、ひまわりがやたらめったら長いツタを持っているイメージが近いでしょう。ひまわりの種がびっしりついている部分は複眼となっており、植物なのに視覚があります。聴覚や痛覚はありませんが、表面に生えた繊毛で振動は感知できるようです。
 高さはおよそ5メートルほど。幹は直径2メートルほどでとても硬いです。
 水源と光源に恵まれたためか、とても活発に動いて蔦をぶん回してきます。(範囲攻撃です)
 ただし、焼き払ってしまった場合、貴重な周囲の植物の種も燃やされてしまう可能性がありますのでご留意ください。
 ちなみに、この植物から取れる水はとてもエネルギーを与えてくれるそうです。

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●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
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●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <総軍鏖殺>腹が減ったら戦できないでしょーが!完了
  • GM名三原シオン
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年11月13日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
エマ(p3p000257)
こそどろ
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
※参加確定済み※
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
ソア(p3p007025)
猛獣
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官

リプレイ


「出たッ! ヘビだ!」
 『いにしえと今の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)が叫んだ。
 その声に反応して、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)がドレイク・チャリオッツを止める。
「どっちからだ!」
「進行方向右斜め後ろ!」
 アリアが叫んだ方角を聞き、『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が宙に泳ぎ上がり、敵の位置を確認する。『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)も、広域俯瞰で周囲を見渡した。
 砂埃を上げて、たしかに何かが接近している。
 丁寧に地図を作っていた『なきむし』エマ(p3p000257)も、ハイセンスでその砂埃を感知する。
「っ……! ここまで順調だったのに、突然の足止めですねぇ! もう~!」
 エマは素早く羊皮紙にヘビの出た地点をメモして、地図を守るように荷物へしまう。
 一方、武装した『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)と『雷虎』ソア(p3p007025)、『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)は、素早く迎撃に出た。
「ヘビって美味しいんでありますかね!!!!」
(被害が出る前に確実に仕留めましょう! まだ先は長いですからね!)
 モノローグとセリフが完全に入れ替わったムサシのコメントに、ソアが小さく笑いをこぼす。
「皆でかかればあっという間だよ」
「あぁ。……それに、こんなところで消耗するわけには行かないであります。手早く終えましょう」
 エッダはドレイク・チャリオッツから離れた場所へ移動する。
「自分が惹きつけるであります!」
 そう言って彼女はアッパーユアハートを発動させ、砂の中に潜むヘビの関心を自分へと向けさせた。
 荷台を壊されれば、ひとたまりもない。
 その考えを理解したムサシとソアも、荷台から離れた場所で迎撃体制を整える。
 次の瞬間、薄砂を突き破って巨大な塔が映えるように、ヘビが勢いよく現れた。
「エッダ!!」
 丸呑みにされたかに見えたが、エッダは素早く移動してヘビの動きを回避していた。
「なんて勢い……」
 だが、初撃が外れたためヘビの無防備な胴体がさらされたことになる。
「逃さないよっ!」
 ソアの爪が、その鱗にヒビを刻む。想定より硬質な鱗だったが、ソアの爪の強度のほうが勝った。
「丸焼きにするで、あります……ッ!」
 ムサシの繰り出す獄門・朱雀の熱が、砂を伝って一瞬でヘビを包み込む。
 ヘビは苦しそうに地面をのたうちながら、その全容を現した。普段なら多少熱から身を守るはずの鱗も、一部すでにソアの爪で傷つけられてしまっている。
 そこへ、エッダのダメ押しが入った。
「とどめ、だ!」
 地面へ降ろされた鎌首に、レオパードヴァラーの一撃が入る。
 どくどくと鎌首から血を流して暴れまわったが、ヘビはやがて、動かなくなった。
「終わったか?」
 ゴリョウが声をかける。ソアがぴょんと飛び跳ねた。
「うん! ばっちり~!」
「よしよし、ほんじゃいっちょ『食材』の様子でも見ますかね……」
 ムサシがヘッドギアのカバーを開き、すん、と、鼻を鳴らす。
「…………なんか、もういい匂いがするでありますな」
 その小腹が、くきゅうと鳴った。


 数時間前のこと。
 ゴリョウは、ドレイク・チャリオッツに荷物を積み入れていた。
「この旅で、食糧事情がちっとは改善されりゃいいんだがなァ……」
 防寒用毛布に、食糧、水。旅路に困らないだけの備えは十分だ。
 それを見たアリアが、安心したように目を細めた。
「良かった、馬車を借りなきゃと思ってたんだ」
 ゴリョウはニッカリと笑い、ドレイク・チャリオッツの荷台をぽんと軽く叩いてみせた。
「良いだろ。高速移動とまではいかねぇけど徒歩よりはマシだ」
「亜竜がひくんだね」
「まぁな。気のいいやつだよ」
 ゴリョウに「なー?」と声をかけられ、亜竜はなついた様子でぐるぐると返事をする。
 アリアは、支度してきたナイフと、密閉できる容器を見せた。
「ゴリョウさん、良かったらこれも積んでもらっていいかな?」
「おう。そんぐらいなら乗りそうだな。容器は、何に使うんだ?」
「蔦とか葉を入れて持って帰ろっかなーって。乾燥防止だよ」
「なるほど、そいつぁいい案だな」
 ゴリョウはニッカリと目を細めた。


 支度を整えた一行の前に現れたのは、どこまでも見渡す限り一面の砂だった。
 照りつける太陽。
 青い空。
 くっきりと落ちる、自分の黒い影。
 ここがビーチならビキニではしゃぎまわるのに最高の日だ。だがあいにく、これから始まるのは食糧難解決のためのサバイバルである。
 だが、ソアは、その光景に目を見開いた。
「こんな砂漠に食べられる植物があるんだね、何だか夢があるの」
 その目には、キラキラとした光が宿っている。
「この依頼が完遂出来たら、砦の食糧事情改善できるよね!」
 そうはりきるのはアリアだ。
「私、いくらでも頑張っちゃうよ!」
 ふんふんと意気込みバッチリの彼女の隣で、エッダも真剣に頷く。
「兵站は何よりも優先されるであります。文字通り“草の根齧ってでも”生きねばならないのですから」
 エマは、その光景に心当たりでもあるのか、唇をわずかに釣り上げた。
「ご飯の取り合いってのはみじめですからねぇ。わかりますとも。えひっひっひ」
 ムサシも深くうなずく。
 彼は神妙な表情で口を開き――
「食べ物の話題って聞くとなんだかもうお腹減るでありますよね!」
(厳しい環境である南部戦線で、食料を確保することは最優先事項! 必ず良い報告を持って帰らねばでありますね!)
 やっぱり、モノローグとセリフが逆転していた。
 だってお腹が空いちゃったのだ。食べ物の話題には誰も勝てないのだ。仕方ない。
「今回はそこそこ長期戦になりそうでありますから、気合! 入れて! 頑張ります!」
 ふんすふんすと力説するムサシである。
 ゴリョウは、一同の意気込みを前に、豪快に笑った。
「ぶはははッ!あの託してくれた兄さんのためにも、きっちり仕事こなさなきゃあな!」
 そんなゴリョウの隣で、ノリアは、少し昔を思い出すように目を細めた。
「海にいたころは 巨大食肉魚を避けて 食べものを 採集する 生活でしたの。
 ゴリョウさんの料理に 慣れたいまは もう あのころには もどれませんけれど…
 いまも サバイバルのお力にくらいは なれるでしょう」
 その水色の瞳が見つめる先には、一面の砂漠が広がっていた。


 ゴリョウが御者を務めるドレイク・チャリオッツに揺られながら、一行は砂漠を進んだ。
「本当に進んでんのか不安になるぐらい、景色が変わらねぇな……」
 ふぅ、と額を拭うゴリョウに、こくりとエマも同意する。
「ほんと、ランドマークも何もありませんね~……。動くのは太陽ぐらいで……」
 エマは周囲を見渡しながら、羊皮紙にペンで印をつけていく。
「でも、そのおひさまも、だいぶ傾いてきましたねー。そろそろ野営の準備に入ってもいいかも知れません」
 一定間隔ごとに、方位と距離をメモしていき、見えない道を羊皮紙へ刻んでいく。
「アリアさん、方角は、逸れてませんか?」
 アリアはばっちり、と指でサインを返した。
「まっすぐ進めてるよ~。方位問題なし! 無駄な蛇行もないよ!」
「おっ、そうか。んじゃ、このまま真っ直ぐでいいんだな?」
「はい!」
「それを聞いて安心したぜ」
 ゴリョウは安堵の息をつく。
「この砂漠、一人で進んでたらと思うと気が滅入る……」
「いやぁ、本当に……。見渡す限り砂ですね……」
 コクリと頷き、エマは丁寧にマッピングを続けていく。この地図こそが、今回の旅の命綱だ。
 一方のイズマは、傾いた太陽の位置と時計を見比べていた。その頭上を、イズマになついたワイバーン『リオン』がゆったりと旋回している。
「何をなさっているんです?」
 ノリアに話しかけられ、イズマは穏やかに微笑んだ。
「こうすると、方角が割り出せるんだ。今太陽があの位置にあって、時計の針がこの方角を指しているから……」
「おおよその方角がわかりますのね」
 ノリアは感心したように腕時計と太陽を見比べる。
「それにしても、暇だねぇ~」
 荷台に揺られながら、ソアは大きく伸びをした。
「なんかいっちょ派手に、どかーんってヘビとか出てきてもいいのにな~」
 そんなソアの言葉を聞いたかのように現れたのが――先刻のヘビというわけである。


 ムサシの展開した秘密の隠れ家を拠点に、一行は野営していた。
「やっぱりお肉しっかりついてたねぇ、ヘビさん……」
「えぇ、想像以上にいいご飯になりました。ひっひっひ……」
 幸せそうなソアと、エマの声が響く。
「えぇ。思わぬグルメ旅になったであります」
 ムサシとエッダは互いに頷きあっていた。
「二人が喋ってるの聞くと、口調がうつっちゃいそう」
「映っちゃいそうだね~であります」
 アリアとソアがふざけあって笑うところに、ゴリョウが追加の食事を持ってきた。
「へいおまちどう! ヘビの心臓を薄切りにして、直火で表面をさっと焼き上げてみたぜ。このヘビの心臓、思ったよりくさみもなくてなぁ!」
 美しい桜色の薄肉が、米の塊を優しく包んでいる。塩化粧も鮮やかに盛り付けられたそれに、一同は歓喜して手を叩いた。
 そう、――肉寿司である。
「ほわぁああ……!!」
 誰よりもむせび泣いたのはムサシだった。
「こんな美食が! こんな幸せがあるのでありますか!! うぅ……っ! 感激が止まらないであります!!」
 ハツならではのこりこりとした食感が、まるで天然の高級赤貝のような食感を育んでいる。同時に、肉ならではのガツンと来る旨味が、塩と、絶妙な香辛料で引き立てられていた。大胆でいて、ひどく繊細なバランスで作られた絶品である。
「すごいですね……」
 ノリアも驚いたように目を丸くした。ゴリョウの料理を、おそらくここに居る誰よりもよくよく食べているには違いないが、それでもまだ彼の力量には驚かされる。
「驚いたな、あのヘビと野営の火で、こんな料理が……」
 イズマもしみじみと感服の溜息を零した。その隣では、リオンが幸せそうに肉を貪っている。
 他にも、じっくりと時間をかけたヘビの煮込み料理に、骨からダシをとった汁物など、ヘビの身体を余すところなく使い切っている。
 ヘビをうまく部位ごとに切り分け、肉の性質を確認しながら適切な料理に仕上げたゴリョウの手腕は、さすがとしか言いようのないものだった。
 スパイシーで元気の出る品も多く、旅で疲れた身体にも力がみなぎってくるようだ。
「はぁ、もう最後の一口だなんて……惜しまれますねぇ~……」
 そう言って、ヘビを食べようと口を開いたエマの耳に、自分たち以外の足音が、届いた。
「……無粋じゃないですか~?」
 エマは食器を置き、立ち上がる。
「ちょっと様子を見てきましょう」
「お、何人か一緒に行くか?」
「いえ。このぐらいの人数ならおそらく斥候でしょう。少数精鋭で、うまく仕留めますよ」
 エマはちらりと一行を確認する。
「えぇっとー……。どなたか光らない方ご協力願えます?」
「あ、じゃあ私が。エネミーサーチあるから、暗い中でも敵の場所はわかりそうだし……」
 アリアがそっと挙手した。ソアは少し迷う素振りを見せるが、この後の交代時のために体力温存を選択し「いってらっしゃ~い」と二人を見送った。


 暗視を効かせて、ソアは進んでいく。その視界に、二人連れの女が見えた。
 出で立ちからして、斥候は彼女たちだろう。ソアはそっと、得物に手をかける。
 だが、あちらも暗視を持っていたらしい。
「あっ、あの……」
 二人の女は、困惑したようにソアたちに声をかけた。
「ひゃっ」
 アリアが驚いたような声を上げる。
(どうしました? アリアさん)
 ソアがヒソヒソと話しかけると、アリアもひそひそと小声で返事をする。
(そこに、斥候が?)
(えぇ)
(おかしいな……。エネミーサーチに引っかからなくて)
 困惑する二人に、斥候たちはそっと尋ねる。
「あちらのヘビ、みなさんが退治したんですか?」
 骨と成り果てた大蛇は、斥候たちにも確認されていたらしい。
「そうですけど」
 斥候たちは顔を見合わせた。そして
「そうですか、あはは……」
「おっ、お強いんですね……!」
 と、引きつった笑いをこぼしてそそくさと立ち去っていく。
 アリアはきょとんとして音のした方を眺めた。
「斥候さんたち、帰ったの?」
「そうですねぇ……」
「私たちに恐れをなしたとか?」
「ですねぇ……。斥候ならここで仕留めるのがセオリーですが、エネミーサーチで感知できなかったのなら、やり合うつもりはないでしょうし……。彼女たちに敵意がなくても、盗賊の本隊が襲ってくる可能性はありますが……」
 ソアは遠くに見える仲間を振り向いた。
「ひとまず、本隊にこのことは伝えましょう。寝ずの番はしつつ……」
 アリアは頷き、ソアとともに基地へ戻る。

 結局、大蛇を倒した一向を脅威とみなしたのか、盗賊団が襲いかかってくることはなかった。


 どこまでも続く砂漠を越えて、一行はようやく、目的の洞窟にたどり着いた。
 目の前にそびえるのは、薄暗い洞窟だ。だが、奥の方に光が見える。一部洞窟の天井が崩落でもしているのだろう。そこに植物が生い茂っているに違いない。
 音がどこまでも反響する、不気味な沈黙が待ち受ける。
「おっしゃ、行くぜ」
 と、ゴリョウが一歩歩みだした。その身体が、暖かな光を放つ。まるで巨大電球のようなコミカルな姿だが、光源としてはちょうどよい。これなら暗視を持たないメンバーでも、安全に進んでいけるだろう。
 やがて、唐突に洞窟が開けた。
 天井が崩落し、ぽっかりと大きな穴が空いている。土の質が変わったのか、地面は粘土質となり、少し湿っている。
 そこに、化け物が屹立していた。
 直径2m、高さ5mの巨大な茎。枝の代わりに、茎から伸びたツタが地面にだらりと垂れている。表面にはびっしりと繊毛が生えていた。
 だがまだ、動いている様子はない。
 話には聞いていたが、いざ目の辺りにするととてつもない大きさだ。
 イズマは自身を強化し、ソアは爪をきらりと伸ばした。
「じゃあ、いっちょやりますかね」
「えぇ。ゴリョウさんと一緒に、参りますの」
 ゴリョウとノリアは互いに目を合わせ、食虫植物の前へ躍り出た。
 ドン、ドンと力強く踏み鳴らす足音が轟く。
 途端、食虫植物のすべての繊毛が、緊張したように逆立った。
 同時に、ぶぅんと鈍い音を立てて空を切り裂き、ツタがゴリョウに向かって伸ばされる。
「おっと」
 ゴリョウは俊敏な動きで素早くツタの攻撃をかわす。先刻までゴリョウが立っていた地面が、無残にえぐれた。
 一方のノリアは、食虫植物の眼前へひらりとその身を現した。
「こちらもどうぞ」
 長いしっぽをひらりと見せつけ、植物の気をそらす。その隙に、イズマがリオンに騎乗し、食虫植物の目めがけて舞い上がった。
 ひまわりの種のようにびっしりと詰まった複眼の視線がすべて、ノリアに突き刺さる。その瞬間、イズマの手からカラーボールが放たれた。
「くらえ!」
 視界を奪われた食虫植物は、むやみやたらにツタを振り回し始める。イズマはフォルテッシモ・メタルをかき鳴らすか逡巡した。だが、この状況では振動感知が狂うのではなく、すべての繊毛で自分が感知され、総攻撃を食らうだろう。そう考え直し、イズマは残影百手を叩き込んだ。
 食虫植物が、ぐらりと、かしぐ。
「大きいねえ、元気だねえ!」
 ソアは笑みを深くした。
「本気でいこう」
 一瞬で相手を薙ぎ払うべく、ソアはその茎へ襲い掛かる。その一撃は、茎の片側を大きくえぐり取った。ちょうど、イズマとノリアの先導での傾きを利用した一撃で、食虫植物がゆっくり均衡を崩し始める。
「私も……ッ!」
 アリアはソアに続き、フルルーンブラスターで追い打ちをかける。ぶちぶちと音がして、
 茎から、ぼたぼたと大量の水が滴った。
「あともうひと押し……!」
 ダメ押しで、エッダがレオパードヴァラーを放つ。騎士の矜持を帯びたその一閃を受け、ばきりと、食虫植物の茎が折れた。ゆっくりと、食虫植物がかしいでいく。
 ミシミシと音を立てる茎から、大量の水がほとばしってゆく。
 食虫植物は、最後のあがきを見せた。
 せめて最後に居場所を感知したノリアとゴリョウを叩き潰そうと、ツタを伸ばす。
「そうは、いきません」
 迎撃するように、ノリアは熱水噴出杖から高温の塩水を放つ。
 一方のゴリョウは、攻撃を素早く回避した。
 攻撃をかわされた食虫植物が、最後の最後に踏みとどまろうとする。
「往生際が、悪いですねぇ」
 二人が狙われた隙に、エマとムサシが、最後の一筋でこらえている茎へと接触していた。
「ソニックエッジ!」
「ブレイジングマグ……ッ、じゃなかった、ゼタシウム・ストリーム!! であります!」
 それが、最後のダメ押しになった。
 食虫植物がどさりと地面へ落ちる。茎から激しく水を滴らせながら、それ以上、ツタが動くことはなかった。
「勝負、あったでありますか?」
 ムサシは食虫植物の様子を確認する。
「そう、みたい……」
 アリアは、そっと食虫植物に近づいた。そのほとばしる水に指を濡らし、おっかなびっくり舐めてみる。
 その水は、砂漠を渡り激戦を終えたアリアの身体に、すっと染み渡る甘美な一滴だった。


 一行が、アリアの持ってきた容器に入れて持ち帰った植物の種は、水さえあれば土の質を変えて繁殖できるものであることが分かった。
 短いサイクルで実をつけ、種を落とすので、乾燥さえ防いでやることができれば、増やすことはそう難しくはないだろう。甘みのあるその果実は、ゴリョウの調理次第では、砂漠を渡る活力源として人々を支えるに違いない。
 また、ゴリョウがうまく軍と交渉を進めた結果、洞窟の奥にあった水源は、継続的な水資源として管理される見通しがついた。
「ピクニックみたいで楽しかった〜」
 ソアは楽しげにしっぽを振った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

本当におまたせしてしまい申し訳ありません……!!

今回の道中が、みなさんにとって楽しくもドキドキな旅になれば幸いです!

●運営による追記
 本シナリオの結果により、<六天覇道>南部戦線の生産力が+10されました!

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